JP2017085931A - 壁面緑化構造及びその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物を大きく成長させることを可能にする壁面緑化構造を提供する。【解決手段】壁面緑化構造1は、外壁面に固定されているボードであって、セメントからなるボード状の芯材の前面にガラス繊維ネットが埋め込まれているセメントボード2と、セメントボード2の前面を覆っている布状のものであって、セメントボード2との間に植物を入れるための切れ目4aが略水平にカットされているフェルト4と、フェルト4の前方からセメントボード2に打ち込まれて、フェルト4をセメントボード2に固定している複数のタッカーの針5と、を備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、木造、軽量鉄骨造、鉄筋コンクリート構造(RC構造)等の種々の建物の壁面に採用される壁面緑化構造及びその施工方法に関する。
昔から、種々の壁面緑化構造が知られている。
例えば、特許文献1には、第1の保水シート材と、略水平方向に切れ目を設けた第2の保水シート材とを積層し、切れ目を中心に区画するように第1、第2の保水シート材を縫製して、切れ目ごとにポケットを区画し、ポケット内で植物を植栽する植物育成マットが記載されている。
この植物育成マットは、ポケットが区画されているので、ポケット内に客土や保水性を有する綿、樹脂、粒子状物、布等を入れて、セダム植物や花の苗木を植栽することができる。また、植物育成マットは、ポケット内に苗木の代わりに植物の種子を混合した客土を入れて、ポケット内で発芽させることもできる。
また、特許文献2には、壁面に取り付けるための取付領域を周辺に有する支持板と、支持板上に敷かれる栽植マットと、栽植マットを覆うように支持板に固定される保持網とを備える緑化パネルが記載されている。
この緑化パネルは、栽植マットに切り込みを入れ、その隙間から植物を配置するので、栽植マットに根を張らせ、植物を定着させることができる。
特許文献1に記載されている植物育成マットは、草本植物を植栽するためのものであると考えられる。この植物育成マットは、ポケット内で植物を植栽する構造を採用しており、植物育成マットで木本植物を植栽することを試みたとしても、植物の根はそのポケットの中でぐるぐるととぐろを巻いて広がることができない。このため、植物を大きく成長させることができない。
特許文献2に記載されている緑化パネルについても、草木植物を植栽するためのものであると考えられる。この緑化パネルは、栽植マットに入れた切り込みに植物の根を挿入して配置する構造を採用しており、成長した植物の根が栽植マットの奥に配置され、栽植マットと支持板とによって挟持されるため、根が広がる範囲が栽植マットの大きさに制限される。栽植マットは、支持板と保持網とにより挟持されるものであるため、大きくすることができず、根が広がる範囲も、例えば横幅480mm×高さ450mm×厚さ10mm程度の大きさに制限される。このため、植物を大きく成長させることができない。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、植物を大きく成長させることを可能にした壁面緑化構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
(1)本発明は、壁面に固定されているボードであって、セメントからなるボード状の芯材の前面にガラス繊維ネットが埋め込まれているセメントボードと、セメントボードの前面を覆っている布状のものであって、セメントボードとの間に植物を入れるための切れ目が略水平にカットされているフェルトと、フェルトの前方からセメントボードに打ち込まれて、フェルトをセメントボードに固定している複数のタッカーの針と、を備えていることを特徴とする壁面緑化構造である。
本発明の壁面緑化構造によれば、ガラス繊維ネットに細かい根が繰り込んで固定されるので、雨風で植物が剥離して落下することがない。これにより、太い根がセメントボード伝いに例えば3〜4m程度は伸びていくことが可能となり、大型の植物(木本植物)を含め、植物を大きく成長させることができる。
そして、フェルト等を二重にしてその間に植物を入れる構造とは異なり、フェルトとセメントボードとの間に植物を入れることで、根がセメントボード側に固定されるので、根がセメントボードに一旦固定されてしまえば、フェルトが劣化した場合であってもフェルトを交換する必要がない。
また、太い根がセメントボード伝いに伸びていくことになるが、壁面に固定されるセメントボードの大きさに制限はなく、例えば、セメントボードを壁一面に固定しておくことで、従来の壁面緑化構造では不可能な大きさに植物を成長させることができる。
ところで、植物は、いくつかの種類を共生させることで大きく成長する性質がある。このため、本発明の壁面緑化構造によれば、太い根が伸びて沿うことになるセメントボードの大きさに制限はなく、植木鉢等を用いる場合とは異なり、いくつかの種類の植物を高密度になるように共生させることができるので、隣の植物と連続的に相互関係を保たせることができ、植物を大きく成長させることができる。
さらに、根が下向へどんどん伸びた場合であっても、根が地中に位置する場合と異なり、根が地上に位置するので、根がたくさんの新鮮な空気に触れることができる。これにより、植物を大きく成長させることができる。
(2)本発明はまた、セメントボードを壁面に固定している複数のボルトを備えていることを特徴とする上記(1)に記載の壁面緑化構造である。
上記発明の壁面緑化構造によれば、太い根が伸びて沿うことになるセメントボードを大きくしておくことができる。これにより、植物を大きく成長させることができる。
(3)本発明はまた、切れ目の下方に打ち込まれているタッカーの針は、切れ目に沿っているものではなく、かつ互いに間隔を空けていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の壁面緑化構造である。
上記発明の壁面緑化構造によれば、フェルトをセメントボードに固定しているタッカーの針が、下向に根を伸ばした植物の成長を阻害することはなく、植物を大きく成長させることができる。結果、植物の根は、タッカーの針同士の間を越えて下向に伸びていくことになる。
(4)本発明はまた、切れ目の上方に打ち込まれているタッカーの針は、切れ目に沿っていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の壁面緑化構造である。
上記発明の壁面緑化構造によれば、タッカーの針が、根が上方に伸びることを防止し、結果として、根を的確に下向に伸ばさせることができる。また、フェルトをセメントボードに固定しているタッカーの針が、下向に根を伸ばすことになる植物の成長を阻害することはなく、植物を大きく成長させることができる。
(5)本発明はまた、切れ目の下方に打ち込まれているタッカーの針は、切れ目の上方に打ち込まれているタッカーの針と比較して少ないことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の壁面緑化構造である。
上記発明の壁面緑化構造によれば、フェルトをセメントボードに固定しているタッカーの針が、下向に根を伸ばすことになる植物の成長を阻害することはなく、植物を大きく成長させることができる。
(6)本発明はまた、芯材は、骨材を含有していることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の壁面緑化構造である。
上記発明の壁面緑化構造によれば、セメントボードを曲げた状態で壁面に固定しておくことができる。このため、壁面が曲面である場合であっても、その曲面形状に応じて壁面緑化構造を施工することができる。すなわち、壁面緑化構造を曲面デザインにすることが可能である。
(7)本発明はまた、セメントボードは、デラクリート(登録商標)セメントボードであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の壁面緑化構造である。
上記発明の壁面緑化構造によれば、セメントボードとして、吉野石膏株式会社(東京都千代田区)が市販していることから入手が容易なデラクリート(登録商標)セメントボードを用いているので、誰でも簡単に壁面緑化構造を実施することができる。
(8)本発明はまた、セメントからなるボード状の芯材の前面にガラス繊維ネットが埋め込まれているセメントボードを壁面に固定するボード固定工程と、ボード固定工程の後に、セメントボードの前面をフェルトで覆う被覆工程と、被覆工程の後に、フェルトに、セメントボードとの間に植物を入れるための切れ目を略水平にカットするカット工程と、被覆工程の後であって、カット工程の前又は後に、フェルトの前方からセメントボードに複数のタッカーの針を打ち込んで、フェルトをセメントボードに固定するフェルト固定工程と、を備えていることを特徴とする壁面緑化構造の施工方法である。
本発明によって施工された壁面緑化構造によれば、ガラス繊維ネットに細かい根が繰り込んで固定されるので、雨風で植物が剥離して落下することがない。これにより、太い根がセメントボード伝いに例えば3〜4m程度は伸びていくことが可能となり、植物を大きく成長させることができる。
そして、フェルト等を二重にしてその間に植物を入れる構造とは異なり、フェルトとセメントボードとの間に植物を入れることで、根がセメントボード側に固定されるので、フェルトが劣化した場合であってもフェルトを交換する必要がない。
また、太い根がセメントボード伝いに伸びていくことになるが、壁面に固定されるセメントボードの大きさに制限はなく、例えば、セメントボードを壁一面に固定しておくことで、従来の壁面緑化構造では不可能な大きさに植物を成長させることができる。
ところで、植物は、いくつかの種類を共生させることで大きく成長する性質がある。このため、本発明によって施工された壁面緑化構造によれば、太い根が伸びて沿うことになるセメントボードの大きさに制限はなく、植木鉢等を用いる場合とは異なり、いくつかの種類の植物を共生させることができるので、隣の植物と連続的に相互関係を保たせることができ、植物を大きく成長させることができる。
さらに、根が下向へどんどん伸びた場合であっても、地中の場合と異なり、地上に位置するので、根がたくさんの空気に触れることができる。これにより、植物を大きく成長させることができる。
本発明の上記(1)〜(7)に記載の壁面緑化構造、及び上記(8)に記載の壁面緑化構造の施工方法によれば、植物を大きく成長させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実際形態に係る壁面緑化構造について、詳細に説明する。
[第1実施形態]まず、図1〜図6を用いて、外壁面(壁面)OWに施工された壁面緑化構造1を説明する。図1は、壁面緑化構造1の縦断面図であり、植物PLを入れる前の状態を示す。図2は、壁面緑化構造1の正面図であり、植物PLを入れる前の状態を示す。図3は、壁面緑化構造1の縦断面図であり、植物PLを入れた後の状態を示す。図4は、壁面緑化構造1の正面図であり、植物PLを入れた後の状態を示す。図5は、セメントボード2の分解斜視図である。図6は、セメントボード2の縦断面図である。
なお、各図において、一部の構成(例えば、図4及び図8における植物PLの根)を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
図1〜図4に示す壁面緑化構造1は、草本植物のみならず木本植物まで含めた植物PLを、外壁面OWに根付かせる構造であり、木造、軽量鉄骨造、鉄筋コンクリート構造(RC構造)等の種々の建物の外壁面OWに好適なものである。この壁面緑化構造1は、建物の壁面に採用されるだけではなく、コンクリートが吹き付けられた法面や、その他の壁面にも採用される。
具体的に、壁面緑化構造1は、基板となるセメントボード2と、このセメントボード2を外壁面OWに固定している複数のスクリュー3と、セメントボード2の前面を覆っている布状のフェルト4と、このフェルト4をセメントボード2に固定している複数のタッカーの針5と、植物PLに水を配給する配水パイプ6等を備えている。なお、壁面緑化構造1は、スクリュー3に代えて、ボルトを備えているものであってもよい。
図5及び図6に示すように、セメントボード2は、外壁面OWに固定されているボードである。このセメントボード2には、繊維補強セメントボード(両面繊維ネット張りセメントボード)を用いることができる。繊維補強セメントボードには、水硬性を有するセメントに骨材及び必要に応じた各種添加材を添加させたものを水と混練し、硬化して板状に成形する際に前面及び後面に繊維ネットを埋め込むことにより取り付け、補強したものを用いることができる。この繊維補強セメントボードとしては、無機軽量骨材入りポルトランドセメントモルタルを芯材にして、前面及び後面にガラス繊維ネットを埋め込んで補強したものが好適である。
具体的に、セメントボード2は、セメントに骨材を含有させているボード状の芯材2aと、この芯材2aの前面及び後面に埋め込まれている耐アルカリ性のガラス繊維ネット2b,2cと、を有している。なお、本発明において、芯材2aの後面に埋め込まれている耐アルカリ性のガラス繊維ネット2cは、必須の構成ではない。
芯材2aを構成するセメントには、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、ジェットセメント等の各種セメントが用いられる。芯材2aを構成する骨材には、例えば、珪砂、山砂、川砂、海砂、パーライト等の軽量骨材が用いられる。
芯材2aは、セメントに骨材と共に他の成分を含有されているものであってもよい。他の成分としては、例えば、シリカフューム、高炉スラグ、フライアッシュ、分散剤、流動化剤、減水剤、高性能減水剤、AE剤、高性能AE減水剤、再乳化型粉末樹脂(例えば、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂)、樹脂エマルション(例えば、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂)、短繊維(例えば、ガラス繊維、ポリプロピレン繊維)、硬化促進剤(例えば、蟻酸ソーダ)、増粘剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、凝結調整剤、収縮低減剤、膨張剤、消泡剤、防凍剤、耐久性向上剤等の混和材が挙げられる。
ガラス繊維ネット2b,2cは、格子状に構成されているネットであり、その目開きは、1mm以上5mm以下であることが好ましく、2mm以上3mm以下であることがより好ましい。
このようなセメントボード2には、例えば、吉野石膏株式会社(東京都千代田区)が市販するデラクリート(登録商標)セメントボードを用いることが好適である。デラクリート(登録商標)セメントボードは、厚さが12.5mmで、サイズが910mm×1820mm又は910mm×2000mmであり、1枚当たりの重さが25kg又は27.5kgである。
図1及び図3に示す複数のスクリュー3には、例えば、吉野石膏株式会社(東京都千代田区)が市販するデラクリート(登録商標)専用製品であるスクリューを用いることが好適である。当該スクリューは、32mm、45mm、60mmの各々の長さがあり、外壁面OW及びセメントボード2の組合せに応じて適宜選択される。
図1〜図4に示すフェルト4は、セメントボード2を覆うことが可能なサイズであり、複数のタッカーの針5がフェルト2の前方からセメントボード2に打ち込まれていることで、セメントボード2に固定されている。フェルト4の厚さは、0.5cm以上1.5cm以下であることが好ましく、1cmであることがより好ましい。
フェルト4には、セメントボード2との間に植物PLを入れるための複数の切れ目4aが略水平にカットされている。切れ目4aの長さは、セメントボード2との間に入れる植物PLの大きさや量に応じて設定されているものであるが、15cm以上30cm以下であることが好ましく、20cmであることがより好ましい。なお、本発明において、略水平にカットされている切れ目とは、略水平に一直線にカットされている切れ目4aのみならず、略水平な広がりをもった開口部を含む概念である。
タッカーの針5は、フェルト4の前方からセメントボード2に打ち込まれている。切れ目4aの下方に打ち込まれているタッカーの針5は、切れ目4aに沿っているものではなく、かつ互いに間隔を空けている。例えば、タッカーの針5は、切れ目4aの下方において、切れ目4aの両脇近傍に1個ずつ打ち込まれていると共に、切れ目4aの中心から数十cm下方に1個打ち込まれている。
また、切れ目4aの上方に打ち込まれているタッカーの針5は、切れ目4aに沿って複数個打ち込まれている。切れ目4aの下方に打ち込まれているタッカーの針5は、切れ目4aの上方に打ち込まれているタッカーの針5と比較して少ない。この他に、タッカーの針5は、フェルト4の四隅近傍等、フェルト4の外周縁近傍に打ち込まれている。
配水パイプ6は、セメントボード2における上端に沿って、セメントボード2とフェルト4との間に設けられ、図示を省略する金具等によってセメントボード2に固定されている。この配水パイプ6は、例えば硬質塩化ビニルパイプであり、セメントボード2とフェルト4との間に入れられた植物PLに散水する複数の孔6aを有する。複数の孔6aは、各々の径が2mm程度であり、例えば20cm間隔に穿たれている。
次に、図3、図4及び図7を用いて、壁面緑化構造1の施工方法の流れを説明する。図7は、壁面緑化構造1の施工方法の流れを示すフローチャートである。
図7に示すように、壁面緑化構造1の施工方法は、ボード固定工程S100、パイプ固定工程S200、被覆工程S300、第1フェルト固定工程S400、カット工程S500、第2フェルト固定工程S600、植栽工程S700、第3フェルト固定工程S800の順に行う。
ボード固定工程S100では、セメントボード2を外壁面OWに固定する。パイプ固定工程S200では、配水パイプ6をセメントボード2に固定する。被覆工程S300では、セメントボード2の前面をフェルト4で覆う。第1フェルト固定工程S400では、フェルト4の四隅近傍等、フェルト4の外周縁近傍に複数のタッカーの針5を打ち込んで、フェルト4をセメントボード2に固定する。
カット工程S500では、フェルト4に複数の切れ目4aをカットする。第2フェルト固定工程S600では、切れ目4aの上方に複数のタッカーの針5を打ち込んで、フェルト4をセメントボード2に固定する。栽植工程S700では、フェルト4における切れ目4aの下方をポケット状に手前に引っ張り、切れ目4aから、フェルト4とセメントボード2との間に植物PLを入れる。第3フェルト固定工程S800では、切れ目4aの下方に複数のタッカーの針5を打ち込んで、フェルト4をセメントボード2に固定する。
このように、壁面緑化構造1によれば、ガラス繊維ネット2bに細かい根が繰り込んで固定されるので、雨風で植物PLが剥離して落下することがない。これにより、太い根がセメントボード2伝いに例えば3〜4m程度は伸びていくことが可能となり、大型の植物(木本植物)PLを含め、植物PLを大きく成長させることができる。
そして、フェルト等を二重にしてその間に植物を入れる構造とは異なり、フェルト4とセメントボード2との間に植物を入れることで、根がセメントボード2側に固定されるので、根がセメントボード2に一旦固定されてしまえば、フェルト4が劣化した場合であってもフェルト4を交換する必要がない。
また、太い根がセメントボード2伝いに伸びていくことになるが、外壁面OWに固定されるセメントボード2の大きさに制限はなく、例えば、セメントボード2を壁一面に固定しておくことで、従来の壁面緑化構造では不可能な大きさに植物PLを成長させることができる。
ところで、植物は、いくつかの種類を共生させることで大きく成長する性質がある。このため、壁面緑化構造1によれば、太い根が伸びて沿うことになるセメントボード2の大きさに制限はなく、植木鉢等を用いる場合とは異なり、いくつかの種類の植物PLを高密度になるように共生させることができるので、隣の植物PLと連続的に相互関係を保たせることができ、植物PLを大きく成長させることができる。
さらに、根が下向へどんどん伸びた場合であっても、根が地中に位置する場合と異なり、根が地上に位置するので、根がたくさんの新鮮な空気に触れることができる。これにより、植物PLを大きく成長させることができる。
そして、セメントボード2を外壁面OWに固定している複数のスクリュー3を備えているので、太い根が伸びて沿うことになるセメントボード2を大きくしておくことができる。これにより、植物PLを大きく成長させることができる。
また、切れ目4aの下方に打ち込まれているタッカーの針5は、切れ目4aに沿っているものではなく、かつ互いに間隔を空けているので、フェルト4をセメントボード2に固定しているタッカーの針5が、下向に根を伸ばした植物PLの成長を阻害することはなく、植物PLを大きく成長させることができる。結果、植物PLの根は、タッカーの針5同士の間を越えて下向に伸びていくことになる。すなわち、植物PLの根は、フェルト4が手前に引っ張られてポケット状になっている範囲を超えて下向に伸びていくことになる(図3参照)。
さらに、切れ目4aの上方に打ち込まれているタッカーの針5は、切れ目4aに沿っているので、タッカーの針5が、根が上方に伸びることを防止し、結果として、根を的確に下向に伸ばさせることができる。そして、フェルト4をセメントボード2に固定しているタッカーの針5が、下向に根を伸ばすことになる植物PLの成長を阻害することはなく、植物PLを大きく成長させることができる。
また、切れ目4aの下方に打ち込まれているタッカーの針5は、切れ目4aの上方に打ち込まれているタッカーの針5と比較して少ないので、フェルト4をセメントボード2に固定しているタッカーの針5が、下向に根を伸ばすことになる植物PLの成長を阻害することはなく、植物PLを大きく成長させることができる。
さらに、セメントボード2とフェルト4との間に設けられているパイプであって、切れ目4aに入れられた植物PLに散水する孔6aを有する配水パイプ6を備えているので、まいた水は、植物PLの根が位置するセメントボード2とフェルト4との間を伝うことになり、植物PLに対し的確に散水することができる。結果として、不用意に水が散らばることがない。すなわち、散水時に水がまき散らされることはなく、周りが濡れてしまうことがない。このため、通行量が多い通路に面した外壁面OWに用いられている場合であっても、人等の往来に気を配ることなく散水することができる。
そして、芯材2aは、骨材を含有しているので、セメントボード2を曲げた状態で外壁面OWに固定しておくことができる。このため、外壁面OWが曲面である場合であっても、その曲面形状に応じて壁面緑化構造1を施工することができる。すなわち、壁面緑化構造1を曲面デザインにすることが可能である。
また、壁面緑化構造1は、セメントボード2として、吉野石膏株式会社(東京都千代田区)が市販していることから入手が容易なデラクリート(商標登録)セメントボードを用いているので、誰でも簡単に壁面緑化構造1を実施することができる。
[第2実施形態]次に、図8を用いて、内壁面(壁面)IWに施工された壁面緑化構造11を説明する。図8は、壁面緑化構造11の縦断面図であり、植物PLを入れた後の状態を示す。なお、ここでは、第2実施形態である壁面緑化構造11の特徴部分のみを説明し、第1実施形態の壁面緑化構造1と同様の構成、作用及び効果、並びにその施工方法についての説明は適宜省略する。
図8に示す壁面緑化構造11は、植物PLを内壁面IWに根付かせる構造であり、室内で利用される。この壁面緑化構造11は、セメントボード2が内壁面IWに固定されている点で、セメントボード2が外壁面OWに固定されている壁面緑化構造1とは異なる。
また、壁面緑化構造11は、壁面緑化構造1とは異なり、植物PLに高輝度光を照射するセラミックメタルハライドランプ等の高輝度放電ランプ12を備える。高輝度放電ランプ12は、金具等によって、天井TSに取り付けられている。
このように、壁面緑化構造11によれば、特殊なランプである高輝度放電ランプ12を備えていることで、室内でも大きな植物を壁面(内壁面IW)に維持することが可能になる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、長さ、数量、形状、材質、タイミングなどは適宜変更できる。
例えば、上記各実施形態において、カット工程S500の前に第1フェルト固定工程S400を行うと共に、カット工程S500の後に第2フェルト固定工程S600及び第3フェルト固定工程S800を行う場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、タッカーの針5を打ち込むタイミングは、被覆工程S300の後であれば適宜変更することができる。すなわち、カット工程S500の前に、全てのタッカーの針5を打ち込むようにしてもよいし、カット工程S500の後に、全てのタッカーの針5を打ち込むようにしてもよい。
1 壁面緑化構造
2 セメントボード
2a 芯材
2b,2c ガラス繊維ネット
3 スクリュー
4 フェルト
4a 切れ目
5 タッカーの針
6 配水パイプ
6a 孔
11 壁面緑化構造
12 高輝度放電ランプ
PL 植物
OW 外壁面(壁面)
IW 内壁面(壁面)
TS 天井
S100 ボード固定工程
S200 パイプ固定工程
S300 被覆工程
S400 第1フェルト固定工程(フェルト固定工程)
S500 カット工程
S600 第2フェルト固定工程(フェルト固定工程)
S700 植栽工程
S800 第3フェルト固定工程(フェルト固定工程)
2 セメントボード
2a 芯材
2b,2c ガラス繊維ネット
3 スクリュー
4 フェルト
4a 切れ目
5 タッカーの針
6 配水パイプ
6a 孔
11 壁面緑化構造
12 高輝度放電ランプ
PL 植物
OW 外壁面(壁面)
IW 内壁面(壁面)
TS 天井
S100 ボード固定工程
S200 パイプ固定工程
S300 被覆工程
S400 第1フェルト固定工程(フェルト固定工程)
S500 カット工程
S600 第2フェルト固定工程(フェルト固定工程)
S700 植栽工程
S800 第3フェルト固定工程(フェルト固定工程)
Claims (8)
- 壁面に固定されているボードであって、セメントからなるボード状の芯材の前面にガラス繊維ネットが埋め込まれているセメントボードと、
前記セメントボードの前面を覆っている布状のものであって、前記セメントボードとの間に植物を入れるための切れ目が略水平にカットされているフェルトと、
前記フェルトの前方から前記セメントボードに打ち込まれて、前記フェルトを前記セメントボードに固定している複数のタッカーの針と、を備えていることを特徴とする
壁面緑化構造。 - 前記セメントボードを壁面に固定している複数のスクリュー又はボルトを備えていることを特徴とする
請求項1に記載の壁面緑化構造。 - 前記切れ目の下方に打ち込まれている前記タッカーの針は、前記切れ目に沿っているものではなく、かつ互いに間隔を空けていることを特徴とする
請求項1又は2に記載の壁面緑化構造。 - 前記切れ目の上方に打ち込まれている前記タッカーの針は、前記切れ目に沿っていることを特徴とする
請求項1〜3のいずれかに記載の壁面緑化構造。 - 前記切れ目の下方に打ち込まれている前記タッカーの針は、前記切れ目の上方に打ち込まれている前記タッカーの針と比較して少ないことを特徴とする
請求項1〜4のいずれかに記載の壁面緑化構造。 - 前記芯材は、骨材を含有していることを特徴とする
請求項1〜5のいずれかに記載の壁面緑化構造。 - 前記セメントボードは、デラクリート(登録商標)セメントボードであることを特徴とする
請求項1〜6のいずれかに記載の壁面緑化構造。 - セメントからなるボード状の芯材の前面にガラス繊維ネットが埋め込まれているセメントボードを壁面に固定するボード固定工程と、
前記ボード固定工程の後に、前記セメントボードの前面をフェルトで覆う被覆工程と、
前記被覆工程の後に、前記フェルトに、前記セメントボードとの間に植物を入れるための切れ目を略水平にカットするカット工程と、
前記被覆工程の後であって、前記カット工程の前又は後に、前記フェルトの前方から前記セメントボードに複数のタッカーの針を打ち込んで、前記フェルトを前記セメントボードに固定するフェルト固定工程と、を備えていることを特徴とする
壁面緑化構造の施工方法。
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