JP2003180166A - 植生具及びそれを用いた緑化法 - Google Patents

植生具及びそれを用いた緑化法

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JP2003180166A
JP2003180166A JP2001378909A JP2001378909A JP2003180166A JP 2003180166 A JP2003180166 A JP 2003180166A JP 2001378909 A JP2001378909 A JP 2001378909A JP 2001378909 A JP2001378909 A JP 2001378909A JP 2003180166 A JP2003180166 A JP 2003180166A
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Noriyuki Sasahara
則之 笹原
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TENCHION KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 景観的に美しく、しかも早期に施工面全体を
緑化することができる、軽便な植生具を提供する。 【解決手段】 植物植栽又は播種のための開口部を側面
縦方向に1個又は複数個設けたパイプを連接してなる植
生具であって、前記植生具を形成するパイプの内部に培
養基を充填し、前記植生具に適宜の間隔で貯水部、溢流
部及び培養基支持部を設けた植生具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】都市の建造物や構造物の壁面
の緑化に適する植生具及びそれを用いた緑化法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】都市の建設物壁面等は景観的にも見苦し
い事が多く、直射日光による熱や光を照り返し、都市部
の快適性を損なうヒートアイランド現象を起こす要因と
なっている。このため、近年、これらの壁面を緑化し、
景観を改善し、且つヒートアイランド現象を低減化しよ
うとの試みがなされている。このような試みとして、壁
面に土壌等の生育基盤を安定して保持出来る構造物を設
けて緑化を図る方法や、又は壁面全体を軽量な生育基盤
で覆う方法等が検討されている。
【0003】構造物を設けて緑化を図る場合に、種々の
植物を導入する事が期待出来るが、構造物自体の重量維
持のため、建設物そのものの改修や補強工事が必要であ
ったりして実現には多額の費用を要すると言うのが現状
であった。そのため、より安価に壁面を緑化出来る方法
として、壁面全体を軽量な生育基盤で覆う方法が種々考
案されている。しかし、敷設面が広く、且つ壁面が垂
直、良くても急勾配であることより、生育基盤層厚は、
軽量な基盤であっても、施工する生育基盤の自重により
自ずから制限が有り、結果として薄い生育基盤しか敷設
出来ないのが現状であった。壁面の全体を軽量な基盤で
覆った場合、種々の植物を生育させるためには基盤の絶
対量が不足しがちで有り、緑化に用いる事の出来る植物
としては蔦等の蔓性植物に限定されている。
【0004】壁面の緑化に蔓性植物を用いる場合は、一
般的に、繁茂後の景観及び管理の観点から、生育速度の
遅い種類が好ましいとされている。しかし、生育が遅い
蔓性植物は緑化過程において対象壁面を覆うのに時間を
要し、剥き出し面が相当期間残存するという景観上の問
題が有った。一方、生育の旺盛な蔓性植物を導入した場
合、特に壁面裾部にのみしか植生基盤が無い場合、壁面
底部が過繁茂状態となり管理に手数が掛かり過ぎると言
う問題が有った。以上のような壁面緑化の問題点を解決
できる植生具及び緑化法が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生育の遅い
種類の植物を用いた場合に、施工面全体を植物で覆う前
の緑化過程にあっても、剥き出し施工面が目立たず、景
観的に美しく、しかも早期に施工面全体を緑化すること
ができる、軽便な植生具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は壁面の
緑化に於いて、早期に施工面全体の景観を損なわない程
度に植物で覆うことによる緑化方法を鋭意研究した結
果、植物の生育基点を、例えば、施工面裾部の植生基盤
に生育基点を設ける場合の様に局在させる事無く、施工
面全体に多く設け、全体が同時に一様に植物で覆われて
いく様式で緑化を行なうことができる植生具を開発し
た。本発明によると、植物植栽又は播種のための、生育
基点としての開口部(以下、単に「開口部」と称す)を
側面縦方向に1個又は複数個設けたパイプを連接してな
る植生具であって、前記植生具を形成するパイプの内部
に培養基を充填し、前記植生具に適宜の間隔で貯水部、
溢流部及び培養基支持部を設けた植生具、が提供され
る。上記のような植生具を施工面に縦方向に設置する
と、パイプの側面縦方向に沿って1個又は複数個設けら
れた開口部が植物の生育基点となる。このため、施工面
全体が同時に一様に植物で覆われていく様式で緑化を行
なうことができる。生育の遅い植物を用いたときに、施
工面をムラなく緑化できるので、施工早期より景観を損
なう事がない。また、生育の速い植物を用いたときに
も、局部的な過繁茂状態になることがなく、管理が容易
である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の植生具、
及び施工面が壁面である場合の緑化法に関して説明する
が、本発明の植生具は、壁面に限定されるものでなく、
壁面に類似した傾斜面の緑化にも応用できる。
【0008】都市部に於いては、コンクリートジャング
ルと言われる程のビルディング等の建設物の増加、稠密
化、及び高層化により、又、環境対策としての高速道路
等の遮音壁、交通渋滞緩和対策として道路、鉄道等の高
架化に伴う高架橋梁構造、治水の為の河川等のコンクリ
ート護岸等の構造物造成等により、コンクリート剥き出
しの壁面が増加し、その結果それらが景観を損なってい
るばかりでなく、剥き出しのコンクリート壁面による日
光の熱や光の照り返しが一因となり、市街地はヒートア
イランドと呼ばれる現象を来している。景観を改善し、
且つヒートアイランド現象を緩和する目的で、このよう
な壁面の緑化が、壁面に植生基盤を保持出来る構造物を
設ける方法、軽量生育基盤材で壁面全体を覆う方法等で
検討されてきたが、性能、価格等で満足できるものは少
なかった。更に、この様な壁面の緑化では、壁面が植物
の生育にとって厳しい環境下に有る事に加えて、一般の
緑化対象地と異なる種々の制約が有ると言う問題が有っ
た。このような建設物、構造物壁面の緑化を試みる際に
制約条件としては以下のことが考えられる。
【0009】(1)植栽基盤が殆どない場合が多く、有
ったとしても壁面裾部に植栽基盤として活用出来る空間
が僅かに準備されているか、又は壁面に植栽基盤を保持
出来る構造物を設けて植生基盤を確保している程度であ
る。 (2)都市空間に有り、多くの同様の施設に隣接してい
るため、通常の緑化用植物と異なり、用いる事の出来る
植物は、具体的には蔓性植物等の立体的に成長出来ない
種類に限られる。 (3)壁面の方位、角度によって異なるが、日光直射に
より非常に高温となる可能性が高い壁面が有る、一方、
全く日照が期待出来ない壁面も有る。 (4)壁面材質が平滑で蔓性植物でも支点とする事が困
難な場合が有る。 (5)十分な植生基盤の確保が困難な事より水分補給、
肥料分補給など何らかの対策が必要である。 (6)壁面内部への根の侵入、及び補給水等の浸透を避
ける必要が有る。
【0010】本発明の発明者は上記の問題点、及び壁面
緑化で克服すべき条件を以下述べる方法によって解決
し、本発明に至った。縦方向に生育基点として1個又は
複数の開口部を設けたパイプを連設したものの中に、通
水性、保水性、通気性、保肥性に優れた無機資材、及び
団粒構造を有する土壌を充填し(パイプ中に充填される
材料を「培養基」と称す)、適宜の間隔で貯水部、溢流
部及び培養基支持部を設けて植生具とする。このように
得られた複数本の植生具を施工面の縦方向にそって間隔
を空けて並列に配置し、バンドなどの固定具を用いて開
口部が壁面に対して水平になるように固定する。設置さ
れた植生具のパイプ最上部又はパイプ側方の開口部より
点滴等により灌水する事により、生育の遅い蔓性植物で
も、施工早期より景観を損なう事無く、壁面全体を緑化
出来る。
【0011】以下において、図面を参照しながら本発明
を説明する。図1及び2は、それぞれ、本発明の植生具
の1態様の斜視図及び水平断面図を示している。図1に
おいて、植生具1はパイプ2の側面縦方向にそって複数
の開口部3を具備している。この開口部3は植物を植栽
し又は播種するための孔である。図2において、パイプ
2の中に、培養基4が充填されている。図3は植生具に
おけるパイプ接合部の長手方向の部分断面図を示してい
る。接合具5により上下パイプ2が接合され接合部6が
作られる。接合具5の内側中央付近に円錐台形の仕切り
板が接合され、接合具5と円錐台との隙間に貯水部7が
形成される。又円錐台上片から逆円錐台形の板が取り付
けられ、その中央が空けられており、溢流部8が形成さ
れる。接合具上面にはボール状発泡ポリスチロール、発
泡ポリウレタンなどの軽量資材により培養基支持部9が
設けられる。更に、培養基の支持をより完全にするた
め、又上段のパイプ2中の培養基が下段のパイプ2へ移
動するのを防止するために、貯水部7上面にステンレ
ス、塩化ビニリデンなどで作られた、適当な目開きの網
状物又は篩を取り付けても良い。図4及び5は、それぞ
れ、本発明の植生具が配置された施工面(壁面)の正面
図及び側面図を示している。図4に示すように、植生具
は、通常、複数の植生具が並列するように施工面に縦方
向に配置される。このように配置することにより、緑化
のための生育基点が壁面全体に一様に分布することとな
る。図4及び5の壁面の最上部には、水分補給装置10
が示されている。水分補給装置10により植生具1の最
上部から灌水して養生することができる。また、別の態
様において、灌水は植生具の側方から行なうこともでき
る。この方法の詳細に関しては後述する。図6は、本発
明の植生具を用いて緑化された壁面の斜視図を示してい
る。植生具の開口部からなる生育基点が壁面全体に一様
に分布しているので、植物は壁面全体にムラなく生育し
ていることがわかる。
【0012】本発明の植生具は、適宜の間隔(例えば、
50cm)で、貯水部、溢水部及び培養基支持部を有す
る。これらの貯水部、溢水部及び培養基支持部は、上記
のとおり、植生具を構成するパイプの接合部に設置する
のが便利である。貯水部、溢流部は、植生具全体にわた
って、一様に水分を分布させ、植生に好適な環境を与え
る作用を有する。すなわち、培養基は通水性とともに保
水性をも伴ったものではあるが、貯水部及び溢流部が存
在しないと、重力による流れにより、植生具の上方は過
度に乾燥し、下方は過湿の状態になり、壁面全体での植
物の生育を図ることが困難になる。このため、適宜の間
隔で、水分の一部を貯留できる貯水部と、過剰の水分を
下方へ流下させる溢流部を設けることにより、植生具全
体の水分分布を均一化することができる。貯水部の大き
さは、環境条件、すなわち、天候、壁面の向きなどを考
慮して適宜選択できるが、植生具は基本的には灌水条件
下で使用されるので、大きい貯水部は必要なく、灌水中
断期に過剰な乾燥に遭遇した場合に、水分を蒸発させ
て、若干の湿気分を供給できるものであれば充分であ
る。例えば、植生具のパイプの内径が10cm、貯水部
の高さが3cmである場合には、貯水部に約100ml
の水を貯留できる程度のものであればよい。溢流部のサ
イズは貯水部の大きさにより変動するが、培養基の流出
防止及び流下水の通過性の観点から、概ね、植生具のパ
イプ内径の1/3〜1/2程度の開口部を有するもので
あればよい。なお、貯水部、溢流部の形状は、図示した
形状に限定されず、上記機能を発揮するものであればよ
い。
【0013】培養基(植生基盤)の保持体である植生具
のためのパイプとしては硬質塩化ビニル、ポリプロピレ
ン、ポリプロピレン−エチレン酢酸ビニル等のプラスチ
ック製の管を用いることができる。管径は、通常、5c
m〜20cm程度であり、例えば10cm程度である。管
径は施工対象壁面の大きさ等を考慮し、適宜選択出来る
が、概ね外径10cmの管を標準として用いる。パイプ側
面には、開口部が設けられているが、好ましくは図1に
示すように左右交互に設けられる。このような場合に
は、壁面に広がるように植物が成長できるからである。
また、パイプ管径が大きい場合には、施工壁面と開口部
との間隔が離れすぎないように開口部を配置することが
好ましい。パイプ側面に設けられる、生育基点としての
開口部は、好ましくは、パイプに枝管を取り付け、上面
を開口させたような形状である。このような形状である
と、開口部を通じての培養基の水平方向への流亡、灌水
した水分の流出を防止する上で望ましい。植生のために
パイプ側面に設けられる開口部の大きさ、間隔は特に限
定はないが、概ね開口部は管径の1/5〜1/3、即ち
管径10cmの場合は直径2〜3cm程度が望ましく、図2
に示す様にパイプ側面に径2〜3cmの開口部を設ける場
合、例えば、パイプ側面を半楕円形に切り取り、その楕
円形の短径より若干大きい径を有する管をパイプ側面に
密着出来るように、適当な角度、曲面を持たせて切断
し、パイプに接合することにより成形出来、間隔は管径
1に対して0.5〜3、即ち管径10cmの場合は5〜3
0cm毎に交互に設ける事が望ましい。
【0014】パイプの外面は、壁面の景観を損なわない
ように、樹木の幹の外観を有するように加工されている
ことが好ましい。このように加工されたパイプは擬木と
呼ばれる。
【0015】パイプの内部には、培養基が充填される。
培養基は、通常、通水性、通気性、保水性に富んだパー
ライト、バーミュキュライト等の無機資材と保肥性、通
水性、通気性に富んだ、団粒構造を有する植生土壌を適
宜混合したものである。
【0016】縦方向にそって複数個の開口部を有するパ
イプの中に培養基を充填したものに対して、植物の種子
を植え又は植物の苗を植栽することにより、本発明の植
生具とする。この植生具は壁面に対して開口部が水平方
向になるようにして、壁面縦方向に固定して設置され
る。壁の幅にもよるが、植生具は、通常、適当な間隔で
複数本、並列にして設置される。このような場合、バン
ド等の固定具を用いて、それぞれの植生具どうしを固定
することが望ましい。
【0017】パイプの長さは壁面の高さにより適宜選択
出来るが、施工性及び耐荷重性の点より50〜200c
m程度が望ましく、複数のパイプを接合具を用いて接合
し用いる事が出来る。
【0018】パイプの設置間隔は特に限定はなく、緑化
対象壁面の面積、形状、方位、傾斜及び周辺気候条件、
及び緑化に用いる植物種によって適宜選択できるが、一
般的には100〜200cm程度の間隔で設置する事が望
ましい。
【0019】更に、植生具間の植物の広がりを補助し、
且つ壁面への絡みをよくする目的で壁面へ木片(チッ
プ)を含む植生基材や軽量植生基材を吹き付けるか、又
はネットを張っても良い。
【0020】壁面に設置された植生具の最上部は開口状
態とし、水分補給装置により水分、及び必要に応じて水
溶液とした肥料分を補給する。補給された水分等は逐次
培養基に浸透し、過剰の水分等は接合部の貯水部に一部
貯えられ、又更に過剰な分は溢流部を溢流し下部のパイ
プへと移動して行き、何本かの植生具を通過した後、最
終の過剰分は最下部より排水される。
【0021】本発明の植生具を用いると、基本的に植生
具の上部から下部にわたって、均一に水分を供給し、保
持することができるが、さらに、均一な灌水を行なうた
めに、植生具の側方の複数の箇所から灌水を行なうこと
ができるように植生具を設計することもできる。このこ
とは、壁面高さが高く、植生具が長い場合のように、水
分補給にむらが生じやすい場合に特に有効である。側方
からの灌水を可能にするために、例えば、植生具の側面
に適宜の間隔で複数個の灌水用の開口部を設け、該開口
部に接続された灌水用導管を前記植生具の外部に設ける
か、又は、適宜の間隔で複数個の開口部を有する灌水用
導管を前記植生具の内部に設けることが考えられる。図
7は、植生具1の外部及び内部に灌水用導管11を設け
た本発明の植生具の態様を示す水平断面図((a):外
部及び(b):内部)である。図8は、植生具1の外部
に灌水用導管11を設けた本発明の植生具の態様を示す
縦断面図である。灌水導管を植生具の外部に設ける場合
には、図示したように植生具1の側面に設けられた開口
部は接続管12により灌水用導管11に接続されて、こ
れを介して通水される。灌水用導管11として用いられ
る点滴用ホースは限定されず、市販品を加工して使用で
きる。例えば、点滴用ホースとしては、商品名スミドリ
ップ(住化農業資材株式会社製)の灌水ホースが挙げら
れる。点滴ホースの間隔及び管径は植生具1に合わせ、
例えば、貯水部間隔が50cmの場合には、点滴間隔は
50cm、100cmなどで、植生具の管径が10cm
の場合は点滴ホースの管径は10〜15mmなど適宜選
択される。
【0022】本発明の植生具を用いることにより、植生
基盤が確保され、水分、肥料分の補給も簡便に出来、緑
化植物の管理も生育基点が多数あるため容易となり、植
生基盤がパイプに包まれているため、基盤自体が直射日
光や風害から保護されると共に、主要根が生理上必要な
暗部に、風害を受ける事無く保持され、主要根が管内に
有るため壁面に侵入することなく、水路が壁面に触れな
いので壁面へ浸透せず、緑化が容易に可能になり、特に
蔓性植物を用いての緑化が容易に可能になる。
【0023】更に、植物が壁面全体の多数の植生具開口
部より生育を開始するため、早期に壁面全体に渡る緑化
が可能となり、特に、生育の遅い蔓性植物を用いても、
剥き出し面が施工後速やかに緑化され、景観上好ましい
状態となる。又、生育環境が悪く、生育速度が遅い蔓性
植物を用いた場合には早期の緑化が期待出来ないような
場合は、生育速度が遅い種類に代えて生育速度が速い種
類を植栽、播種する事もできる。このような場合、通常
の生育環境において生育速度の遅い蔓性植物を用いた場
合と同様の効果が得られる。
【0024】本発明で用いる事の出来る植物は、壁面の
構造、形態、規模、方位、又壁面の位置する場所の気象
条件、立地条件等を考慮して選択されるが、一般に、蔓
性植物が用いられる。
【0025】蔓性植物には、生育速度が遅い種類とし
て、オオイタビ、テイカカズラ、ビナンカズラ、ツルマ
サキ、及びヘデラ類、ムベ、アケビ、中位の生育速度を
有する種類として、ツルウメモドキ、キウイ、チリガネ
カズラ、アメリカツタ、ノウゼンカズラ等が、又最も生
育の速い種類としてナツヅタ、スイカズラ、フジ類等が
有り、適宜条件に合わせて選択して用いられる。
【0026】
【実施例】実施例1本発明による植生具を用いて壁面の
緑化を行った。 1.実験 イ.植生具の作製 長さ50cm、内径10cmの硬質塩化ビニール製パイプの
側面に、短径が3cmの半楕円形の孔を、間隔25cm毎に
交互に空け、径3cm強の硬質塩化ビニール製パイプを適
当な角度、曲面を持たせて切断し、上部が開口するよう
接合し開口部を設けた。上記のように加工された、長さ
50cmの硬質塩化ビニール製パイプ4本を接合し、接合
部を形成した。接合部において、長さ10cm、外径10
cmの硬質塩化ビニール製パイプからなる接合具が上記硬
質塩化ビニール製パイプ4本の端部の内側に配置され、
これら4本のパイプを接合するような構成となってい
る。この接合具(外径が10cmの硬質塩化ビニールパ
イプ)の中央部内側には、円錐台形の硬質塩化ビニール
製板が接合しており、これにより、貯水部を形成してい
る。貯水部の上辺には、逆円錐台形の硬質塩化ビニール
製板が接合されており、これにより、溢流部を形成して
いる。下段のパイプの下端も、上記の接合部と同様の構
成の構成のものを取り付けた。各々の接合部に最大径3
cmで粒径分布の広い発泡スチロール球状物を充填し、そ
の上に培養基を充填した。 ロ.培養基 黒ぼく土、有機堆肥、繊維分、パーライト、及びバーミ
ュキュライトを各々30,30,20,10,10Lを
混合し、高分子凝集剤を用いて団粒化させた。 ハ.壁面緑化試験 高さ2m、巾4m、傾斜垂直の壁面をスレート板で作製
し、両端を除き、1m間隔で、植生具2本を接続し、開
口部を壁面に水平になるよう3個固定設置した。開口部
に設置前にテイカカズラの苗(約6cm)を4本植栽し
た。植生具の最上部に点滴灌水装置より配管し適宜灌水
した。 2.結果 試験開始(5月上旬)直後より活着し、成長を開始し、
5月中旬より、苗は成長しながら壁面に沿って広がり始
めた。 移植約1〜2ヵ月後には試験壁全体にほぼ蔓が行き渡
り、3〜4月後には密度の濃い緑で壁面が覆われた。
【0027】比較例1 実施例1と同じ壁面を作製し、実施例1の培養基を用い
た植生基盤を壁面裾部にのみ配置し、実施例1と同じテ
イカカズラを植栽し、適宜灌水し比較した。結果5月後
約70〜90cmの高さ迄生育したが、上部のスレート板
が剥き出しのままであった。
【0028】比較例2 実施例1と同じ壁面を作製し、実施例1の培養基を用い
て植生基盤を壁面裾部にのみ配置し、成長の速いナツヅ
タの苗を植栽し、適宜灌水した。その結果、壁面全体を
早期に緑で覆うことはできたが、約3月後、蔓の先端は
2mを超えてしまい、且つ壁面下部は過繁茂状態となり
最初の剪定を行った。5月後再度下部が膨らんで来たの
で剪定した。
【0029】
【発明の効果】本発明の植生具を用いると、壁面全体を
一様に緑化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の植生具の1態様の斜視図を示す。
【図2】図1の植生具の水平方向の断面図を示す。
【図3】植生具の接合部における長手方向の部分断面図
を示す。
【図4】植生具が配置された壁面の正面図を示す。
【図5】植生具が配置された壁面の側面図を示す。
【図6】植生具を用いて緑化された壁面の斜視図を示
す。
【図7】植生具の外部及び内部に灌水用導管を設けた本
発明の植生具の態様を示す水平断面図((a):外部及
び(b):内部)である。
【図8】植生具の外部に灌水用導管を設けた本発明の植
生具の態様を示す縦断面図である。
【符号の説明】 1…植生具 2…パイプ 3…開口部 4…培養基 5…接合具 6…接合部 7…貯水部 8…溢水部 9…培養基支持部 10…水分補給装置 11…灌水用導管 12…接続管
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01G 7/00 602 A01G 7/00 602C 27/00 E04F 13/08 Z E04F 13/08 A01G 27/00 502E Fターム(参考) 2B022 AB04 BA01 BA02 BA04 BA15 BB01 2B027 NC02 NC05 NC14 NC21 NC24 NC41 NC56 ND02 NE07 NE08 NE09 QA02 QB03 QB11 RA06 RA26 UA03 UA04 UA10 UA13 UA21 2E110 AA57 AA64 AB04 AB22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物植栽又は播種のための開口部を側面
    縦方向に1個又は複数個設けたパイプを連接してなる植
    生具であって、前記植生具を形成するパイプの内部に培
    養基を充填し、前記植生具に適宜の間隔で貯水部、溢流
    部及び培養基支持部を設けた植生具。
  2. 【請求項2】 パイプ内へ充填する培養基が通気及び通
    水性に富んだ資材及び保水性に富んだ資材と団粒土を混
    合したものである、請求項1記載の植生具。
  3. 【請求項3】 植栽又は播種する植物が蔓性植物であ
    る、請求項1又は2記載の植生具。
  4. 【請求項4】 パイプが疑木である、請求項1〜3のい
    ずれか1項記載の植生具。
  5. 【請求項5】 前記植生具の側面に適宜の間隔で複数個
    の灌水用の開口部を設け、該開口部に接続された灌水用
    導管を前記植生具の外部に設けるか、又は、適宜の間隔
    で複数個の開口部を有する灌水用導管を前記植生具の内
    部に設けることにより、側方からの灌水を可能にした、
    請求項1〜4のいずれか1項記載の植生具。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の植生
    具に植物を植栽又は播種し、前記植生具を壁面の縦方向
    に固定し、前記植生具の最上部より灌水するか、又は、
    側方から灌水して養生する壁面の緑化法。
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