JP2017082296A - 金属膜の形成方法 - Google Patents

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Kazuhiko Yamazaki
和彦 山崎
史朗 石川
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史朗 石川
中矢 清隆
Kiyotaka Nakaya
清隆 中矢
隆二 植杉
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隆二 植杉
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Abstract

【課題】銅含有基材への密着性が高いメッキ膜として使用することを可能にする。
【解決手段】銅含有基材の表面に金属レジネートインクを塗布して金属レジネートインク層を形成し、前記インク層の有機溶媒を除去した後、前記基材表面から前記インク層にレーザ光照射、マイクロ波照射、赤外線照射又は光焼成による光照射のいずれかの熱処理を施すことにより、前記インク層を焼成して金属膜を形成する。金属レジネートが、α―ピネン、α―ターピネオール又はイソボルネオールのメルカプタン金、サルフィド金、アベチエン酸金、ネオデカン酸金、2−エチルヘキサン酸金及びナフテン酸金からなる群より選ばれた1種又は2種以上である金レジネートインクであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属レジネートインクを用いて、銅基材表面に密着性の高いメッキ膜として使用可能な金属膜を形成する方法に関する。
従来より、銅含有基材の表面に局所的なメッキを施す方法として、金、銀、銅等の導電性の良い金属の導電性ナノ粒子を含む金属ナノインクを銅含有基材の表面に塗布して金属ナノインク層を形成し、このインク層の溶媒を除去した後、このインク層にレーザ光を照射することにより、インク層を焼成して、銅含有基材表面にメッキを施す技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
特開2004−259647号公報(請求項1、請求項3、段落[0013]、段落[0021]) 特開2008−210650号公報(請求項1、請求項5、段落[0018]、段落[0023]) 特開2010−043346号公報(請求項1、請求項7、請求項8、段落[0024])
上記特許文献1〜3に示されるメッキを施す技術では、導電性ナノ粒子を含む金属ナノインクを銅含有基材の表面に塗布して金属ナノインク層を形成し、このインク層の溶媒を除去した後、このインク層にレーザ光を照射することにより、インク層を焼成しているため、焼成により、ナノ粒子同士の焼結は進むものの、粒子間に微細なポアを有するポーラスな皮膜が得られる。この皮膜は銅含有基材への密着性が高くなく、また膜自体の強度も低く、銅含有基材が端子金具の場合、メッキ膜としての使用には未だ解決すべき問題点があった。
本発明の目的は、銅基材表面に密着性の高いメッキ膜として使用可能な金属膜を形成する方法を提供することにある。
本発明者らは、金属ナノインクの代わりに、金属の有機化合物である金属レジネートインクを用いて、この金属レジネートインクを銅含有基材表面に塗布して金属レジネートインク層を形成し、このインク層の有機溶媒を除去すると、有機金属塩の薄膜が形成され、この薄膜に熱処理を加えると、薄膜に含有する有機物が酸化分解し、同時に金属イオンと銅含有基材表面の酸化膜が還元されて、ポーラスでない緻密な皮膜が形成されることを知見し、本発明に到達した。
本発明の第1の観点は、銅含有基材の表面に金属レジネートインクを塗布して金属レジネートインク層を形成し、前記インク層の有機溶媒を除去した後、前記基材表面から前記インク層にレーザ光照射、マイクロ波照射、赤外線照射又は光焼成による光照射のいずれかの熱処理を施すことにより、前記インク層を焼成して金属膜を形成する方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記金属レジネートが、α―ピネン、α―ターピネオール又はイソボルネオールのメルカプタン金、サルフィド金、アベチエン酸金、ネオデカン酸金、2−エチルヘキサン酸金及びナフテン酸金からなる群より選ばれた1種又は2種以上である金レジネートインクである金属膜の形成方法である。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、前記金属レジネートインクが、還元剤としてギ酸又はアスコルビン酸を含む金属膜の形成方法である。
本発明の第4の観点は、第2又は第3の観点に基づく発明であって、前記金属レジネートインクが、平均粒径が100nm以下の金ナノ粒子を含む金属膜の形成方法である。
本発明の第5の観点は、第1ないし第4のいずれかの観点に基づく発明であって、前記銅含有基材が銅又は銅合金の端子金具である金属膜の形成方法である。
本発明の第1の観点の金属膜の形成方法では、金属の有機化合物である金属レジネートインクを銅含有基材表面に塗布して金属レジネートインク層を形成し、このインク層の有機溶媒を除去すると、有機金属塩の薄膜が形成される。この薄膜に熱処理を加えると、薄膜に含有する有機物が酸化分解し、同時に金属イオンと銅含有基材表面の酸化膜が還元され、ポーラスでない緻密な皮膜が形成される。この結果、銅基材表面に密着性の高いメッキ膜として使用可能な金属膜を形成することができる。
本発明の第2の観点の金属膜の形成方法では、金属レジネートとして、金レジネートインクを用いることにより、銅含有基材表面の酸化防止に優れた金膜を形成することができる。
本発明の第3の観点の金属膜の形成方法では、金属レジネートインクがギ酸又はアスコルビン酸を含むことにより、熱処理により金属レジネートインク中の金属の有機物が酸化分解した際に、金属イオンと銅含有基材表面の酸化膜をより効率的に還元することができる。
本発明の第4の観点の金属膜の形成方法では、金属レジネートインクが金レジネートインクであって、かつ金ナノ粒子を含むことにより、より緻密で強度の高い金属膜を形成することができる。
本発明の第5の観点の金属膜の形成方法では、銅含有基材を、民生用機器、産業用機器、自動車用機器等の銅又は銅合金の端子金具に用いれば、端子金具の金属膜を有する接点部分の信頼性を向上させることができる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の金属膜の形成方法は、先ず銅含有基材の表面に金属レジネートインクを塗布して金属レジネートインク層を形成する。銅含有基材としては、銅又は銅合金からなる基材以外に、この基材表面にニッケルめっきが施されたものが挙げられる。基材は基板が好ましいが、基板に限らない。金属レジネートインクは、金属の有機化合物である金属レジネートと有機溶媒を含む。還元剤を更に含むことが好ましい。この還元剤としては、ギ酸又はアスコルビン酸が挙げられる。本発明の塗布物は、金属レジネートインクに更に平均粒径が100nm以下の金ナノ粒子を含んでもよい。金ナノ粒子を含ませることにより、より緻密で強度の高い金属膜を形成することができる。
金属レジネートとしては、金レジネート、銀レジネート、ニッケルレジネート等が挙げられる。金レジネートとして、α―ピネン、α―ターピネオール又はイソボルネオールのメルカプタン金、サルフィド金、アベチエン酸金、ネオデカン酸金、2−エチルヘキサン酸金及びナフテン酸金からなる群より選ばれた1種又は2種以上のレジネートが例示される。有機溶媒としては、α―ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、イソブタノール等が例示される。銅含有基材表面に金属レジネートインクを塗布する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサ印刷法等が挙げられる。
金属レジネートインクを塗布して金属レジネートインク層を形成した後、このインク層の有機溶媒を除去する。インク層の有機溶媒の除去方法としては、基板をヒータ、ホットプレート等により強制的に加熱乾燥するか、加熱せずに放置し風乾する方法が挙げられる。有機溶媒を除去した後、前記基材表面から前記インク層に対して熱処理してこのインク層を焼成することにより金属膜を形成する。この熱処理方法としては、レーザ光照射、マイクロ波照射、赤外線照射又は光焼成による光照射の方法が挙げられる。インク層を局所的に熱処理可能なレーザ光照射又は光焼成が好ましい。なお、熱処理は、大気雰囲気、不活性ガス雰囲気等で行うことができるが、大気雰囲気で行うことが好ましい。
マイクロ波照射は、2.2〜2.8GHzの周波数と、0.005〜20W/cmの照射強度で、300〜500℃の温度を保持するように、1〜60秒間、有機溶媒を除去したインク層に施すことが好ましい。
赤外線照射は、赤外線のピーク波長を1.00〜2.20μmの範囲にして、300〜500℃の温度を保持するように、0.1〜30秒間、有機溶媒を除去したインク層に施すことが好ましい。
レーザ光照射としては、赤外線レーザ、YAGレーザが好ましい。また光焼成による光照射で使用される光源としては、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線等が挙げられる。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザビーム)も光源として使用される。これらの光照射の具体的な態様としては、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
光照射は、フラッシュランプによる光照射が好ましく、フラッシュランプによるパルス光照射であることがより好ましい。高エネルギーのパルス光の照射は、インク層を形成した部分の表面を、極めて短い時間で集中して300〜500℃の温度を保持するように、加熱することができるため、基材への熱の影響を極めて小さくすることができる。
パルス光の照射エネルギーとしては、1〜100J/cmが好ましく、1〜30J/cmがより好ましく、パルス幅としては1μ秒〜100m秒が好ましく、10μ秒〜10m秒がより好ましい。パルス光の照射時間は、1〜100m秒が好ましく、1〜50m秒がより好ましく、1〜20m秒が更に好ましい。
以上の方法により、金属の有機化合物である金属レジネートインクを銅含有基材表面に塗布して金属レジネートインク層を形成し、このインク層の有機溶媒を除去すると、有機金属塩の薄膜が形成される。この薄膜にレーザ光照射等の熱処理を加えると、薄膜に含有する有機物が酸化分解し、同時に金属イオンと銅含有基材表面の酸化膜が還元され、ポーラスでない緻密な皮膜が形成される。この結果、銅基材表面に密着性の高いメッキ膜として使用可能な金属膜が形成される。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
長さ20mm、幅20mm、厚さ0.5mmの大きさを有し、ニッケルめっき厚が3μmのニッケルめっき銅(OFC:4N銅)を銅含有基板として用い、この基板の表面に金レジネートインク(大研化学社製:Au−2201Y−10)を幅0.3mm、長さ0.5mm、厚さ0.3μmとなるようにスクリーン印刷法により印刷し、金レジネートインク層を形成した。次に、表面温度100℃に加熱したホットプレート上に、この基板を10分間置くことで、金レジネートインク層に含まれる有機溶媒を除去した。その後、光焼成装置(PulseForge PF1200)を用いて、上記基板の表面から、金レジネートインク層が形成された部分に400℃の温度を保持するように、照射エネルギー1J/cmで10m秒間パルス光を照射し続けることで、導電性のある金属膜を基板の表面に形成した。
<実施例2>
金レジネートインクを、ネオデカン酸金のα−ターピネオール溶液(10質量%−Au)とした。これ以外は、実施例1と同様にして導電性のある金属膜を形成した。
<実施例3>
金レジネートインクとして、ネオデカン酸金のα−ターピネオール溶液(10質量%−Au)に、金ナノメタルインク(アルバックマテリアル社製:Au1T)を、金 重量換算で1:1になるように加えたものを用いた。これ以外は、実施例1と同様にして導電性のある金属膜を形成した。
<実施例4>
金レジネートインクとして、ネオデカン酸金のα−ターピネオール溶液(10質量%−Au)を用い、この溶液100質量%に対してギ酸を1質量%となるように添加した。これ以外は、実施例1と同様にして導電性のある金属膜を形成した。
<実施例5>
光焼成装置の代わりに、Nd:YAGレーザー(発振部:LASER SOS社製SOS8956QSS)を用いた。このYAGレーザーにより、10mJ/パルスで、450℃の温度を保持するように、基板の表面から、金レジネートインク層が形成された部分に10パルス照射し続けた。これ以外は、実施例1と同様にして導電性のある金属膜を形成した。
<実施例6>
銅含有基板として、ニッケルめっきを施していない銅(OFC:4N銅)基板を用いた。これ以外は、実施例1と同様にして導電性のある金属膜を形成した。
<実施例7>
光焼成装置の代わりに、マイクロ波加熱装置(四国計測工業社製μReactor)を用いた。このマイクロ波加熱装置により、300℃の温度を保持するように、周波数が2.45GHz、照射強度が10W/cmのマイクロ波を照射し続け、20秒間保持した。これ以外は、実施例1と同様にして導電性のある金属膜を形成した。
<実施例8>
光焼成装置の代わりに、赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工社製RHL-E25P)を用いた。赤外線ランプ加熱装置により、400℃の温度を保持するように、ピーク波長1.5μmのマイクロ波を照射し続け、20秒間保持した。これ以外は、実施例1と同様にして導電性のある金属膜を形成した。
<比較例1>
金レジネートインクの代わりに、金ナノメタルインク(アルバックマテリアル社製:Au1T)を用いた。これ以外は、実施例1と同様にして導電性のある金属膜を形成した。
<比較例2>
光焼成装置の代わりに、マップル炉(ヤマト化学製FP300)内で、金レジネートインク層に含まれる有機溶媒を除去した基板を350℃10分加熱した。これ以外は、実施例1と同様にして導電性のある金属膜を形成した。
<比較試験及び評価>
実施例1〜8及び比較例1〜2で形成した金属膜について、基板に対する密着性試験をJIS H8504(めっきの密着性試験方法)に規定されるテープ試験方法に準拠して金属膜の密着性を確認し、以下の評価基準で金属膜の剥離抑制効果を評価した。金属膜の密着不良と判定されなかったものを「良好」とし、目視で金属膜の剥離が確認されたもの、又は金属膜の密着不良と判定されたものを「不良」とした。これらの結果を表1に示す。
Figure 2017082296
表1から明らかなように、実施例1〜8は、密着性の評価結果はいずれも良好であったが、比較例1〜2は、いずれも不良であった。
本発明の金属膜の形成方法は、民生用機器、産業用機器、自動車用機器を中心とする、金属膜を有する接点部分の信頼性を向上した銅合金製端子金具を形成する方法に利用することができる。

Claims (5)

  1. 銅含有基材の表面に金属レジネートインクを塗布して金属レジネートインク層を形成し、前記インク層の有機溶媒を除去した後、前記基材表面から前記インク層にレーザ光照射、マイクロ波照射、赤外線照射又は光焼成による光照射のいずれかの熱処理を施すことにより、前記インク層を焼成して金属膜を形成する方法。
  2. 前記金属レジネートが、α―ピネン、α―ターピネオール又はイソボルネオールのメルカプタン金、サルフィド金、アベチエン酸金、ネオデカン酸金、2−エチルヘキサン酸金及びナフテン酸金からなる群より選ばれた1種又は2種以上である金レジネートインクである請求項1記載の金属膜の形成方法。
  3. 前記金属レジネートインクが、還元剤としてギ酸又はアスコルビン酸を含む請求項1又は2記載の金属膜の形成方法。
  4. 前記金属レジネートインクが、平均粒径が100nm以下の金ナノ粒子を含む請求項2又は3記載の金属膜の形成方法。
  5. 前記銅含有基材が銅又は銅合金の端子金具である請求項1ないし4いずれか1項に記載の金属膜の形成方法。
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