JP2017081392A - 燃料タンクユニットの固定構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】カバーの剛性を十分に確保するとともに、サイドメンバの捩れに起因するカバーの破損を防止する。
【解決手段】、燃料タンクユニット10の前後のタンク支持ブラケット12は、サイドメンバ3に固定される。燃料タンク11は、タンク支持ブラケット12に固定され、サイドメンバ3の車幅方向外側で前後方向に延びる。後側の移動規制部材14Rは、前後方向と交叉する状態で燃料タンク11の後側に配置される係合プレート25を有する。係合プレート25は、上下の連結ロッド24a,24bを介して前後のタンク支持ブラケット12に対して固定され、前後のタンク支持ブラケット12に対する燃料タンク11の後側への移動を規制する。係合プレート25の左上フランジ部34bは、カバー側板部29に対してカバー15の内側から接した状態で固定される。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両の前後方向に延びるサイドメンバに対する燃料タンクユニットの固定構造に関する。
特許文献1には、トラック等の大型の天然ガス車両のサイドメンバに、燃料となる天然ガスが貯蔵される燃料容器を保持するための保持装置が記載されている。燃料容器は、円筒状の胴部と、胴部の一端に設けられたネック部とから構成され、サイドメンバの長手方向に沿って配置される。この保持装置は、燃料容器の胴部を保持するための胴部保持部材と、燃料容器を覆うカバーを取付けるためのカバー取付部材と、胴部保持部材に支持され燃料容器のネック部と係合するための係合部材とを備えている。胴部保持部材は、サイドメンバに取り付けられた前後の車体取付ブラケットと、燃料容器の胴部を車体取付ブラケットに締め付けるための固定ベルトとから構成されている。カバー取付部材は、車体取付ブラケットに取り付けられる前後のカバー取付ブラケットと、前後のカバー取付ブラケットに取り付けられているカバーフレームとを有する。カバーの前後部を構成する前カバー及び後カバーは、2つのカバー取付ブラケットを介して車体取付ブラケットに連結される。係合部材は、燃料容器のネック部が嵌合される嵌合孔を有するプレート部と、車両前後方向に延出し、一端がプレート部に取り付けられ、他端が前側の車体取付ブラケットに取り付けられる延出部とを備えている。係合部材は、燃料容器の車両前後方向の移動を防止している。
特開2006−35891号公報
ところで、特許文献1に記載のような天然ガス車両では、大型の車両になるほど貯蔵する燃料の量が多くなり、前後方向の長さが長い燃料容器を搭載する場合がある。燃料容器の前後方向の長さが長くなると、その分だけカバーの前後方向の長さも長くなるので、上記特許文献1に記載のカバー取付部材では、カバーの剛性を確保することが難しくなる可能性がある。カバーの剛性を確保するために、前カバー及び後カバーの車幅方向内端部をサイドメンバに固定すると、前後方向に長いサイドメンバが捩れた際に、カバーが前カバー及び後カバーからサイドメンバの捩れの影響を受け易く、サイドメンバの捩れに起因してカバーが破損してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、カバーの剛性を十分に確保するとともに、サイドメンバの捩れに起因するカバーの破損を防止することが可能な燃料タンクユニットの固定構造の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、車両の前後方向に延びるサイドメンバに対する燃料タンクユニットの固定構造であって、タンク支持ブラケットと燃料タンクと移動規制板部とカバーとを備える。タンク支持ブラケットは、サイドメンバの車幅方向外側に配置されてサイドメンバに固定される。燃料タンクは、サイドメンバの車幅方向外側で前後方向に延びてタンク支持ブラケットに固定される。移動規制板部は、燃料タンクの前後方向の一側に配置されて前後方向と交叉し、タンク支持ブラケットに対して固定されてタンク支持ブラケットに対する燃料タンクの前記一側への移動を規制する。カバーは、燃料タンクを下方から覆うカバー下面部と、カバー下面部の車幅方向外端縁から起立して燃料タンクを車幅方向外側から覆うカバー側面部と、移動規制板部よりも前記一側で前後方向と交叉した状態でカバー下面部及びカバー側面部の前記一側の端部に固定的に設けられて燃料タンクを前記一側から覆うカバー一面部とを一体的に有し、タンク支持ブラケットに対して固定される。カバーのカバー一面部の車幅方向内端部は、サイドメンバに対して固定されない。移動規制板部は、カバーに対して固定されるカバー固定部を有する。
上記構成では、カバーのカバー一面部の車幅方向内端部が、サイドメンバに対して固定されないので、車両の走行中等にサイドメンバが捩れた際に、サイドメンバの捩れの影響をカバーが受け難く、サイドメンバの捩れに起因するカバーの破損を防止することができる。
また、移動規制板部が、カバーに対して固定されるカバー固定部を有するので、移動規制板部によってカバーをカバーの内側から支持して、カバーの剛性を向上させることができる。このように、移動規制板部によってカバーの剛性を向上させることができるので、カバー一面部をサイドメンバに固定しなくてもカバーの剛性を十分に確保することができる。
従って、カバーの剛性を十分に確保するとともに、サイドメンバの捩れに起因するカバーの破損を防止することができる。
また、タンク支持ブラケットに対する燃料タンクの上記一側への移動を規制する移動規制板部をカバーの剛性を向上させる補強部材として利用するので、部品点数の増加を抑えることができる。
本発明によれば、カバーの剛性を十分に確保するとともに、サイドメンバの捩れに起因するカバーの破損を防止することができる。
本発明に係る固定構造を適用した燃料タンクユニットを備えるトラックの平面図である。 図1の要部の平面図である。 図2の燃料タンクユニットの側面図である。 図2の燃料タンクユニットの後方からの斜視図である。 図2の燃料タンクユニットの前方からの斜視図である。 図2の燃料タンクユニットの後面図である。 他の実施形態に係る燃料タンクユニットの後面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料タンクユニット10の固定構造を適用する車両は、天然ガスを燃料としてエンジン(図示省略)を駆動する天然ガス車両であって、梯子状の車体フレーム2を有する大型のトラック(車両)1である。車体フレーム2の前端部の上方には、キャブ5が搭載される。トラック1は、キャブ5の左右両側の下方に配置される前輪(図示省略)と、キャブ5よりも後方の車体フレーム2の左右両側に配置される前後輪6及び後後輪7とを有する。
車体フレーム2は、トラック1の車幅方向両側で前後に亘って延びる断面略コ字状の左右1対のサイドメンバ3と、左右のサイドメンバ3間で車幅方向に延びて左右のサイドメンバ3を連結する断面略コ字状の複数のクロスメンバ4とによって梯子状に形成される。左右のサイドメンバ3には、複数(本実施形態では、5つ)の燃料タンクユニットが固定される。右側のサイドメンバ3には、前輪と前後輪6との間に1つと、後後輪7の後方に1つの計2つの燃料タンクユニットが固定される。左側のサイドメンバ3には、前輪と前後輪6との間に2つと、後後輪7の後方に1つの計3つの燃料タンクユニットが固定される。なお、複数の燃料タンクユニットは、それぞれ略同様の固定構造によって左右のサイドメンバ3に固定されるので、以下では、後後輪7の後方に配置されて左側のサイドメンバ3に固定される一の燃料タンクユニット10について説明し、他の燃料タンクユニットについては、その説明を省略する。
図2及び図3に示すように、燃料タンクユニット10は、1つの燃料タンク11と、前後1対のタンク支持ブラケット12と、カバー支持部材13と、前後1対の移動規制部材14F,14Rと、カバー15とを備える。
燃料タンク11は、金属製のタンクであって、円筒状のタンク胴部11aと、タンク胴部11aの両端を塞ぐ半球状の前後のタンク端部11b,11cとを一体的に有し、タンク胴部11aが左側のサイドメンバ3(以下、単にサイドメンバ3という)の車幅方向外側で前後方向に延びる状態で後述するタンク支持ブラケット12に固定される。前側のタンク端部11bの前端には、ネック部16が設けられる。ネック部16には、燃料供給装置(図示省略)及びガス充填口(図示省略)に連結された燃料配管17を接続するための容器元弁18が装着される。容器元弁18は、過流防止弁及び安全弁を内蔵している。なお、燃料タンク11は、金属製のタンクに限定されず、例えば、アルミライナーを繊維強化プラスチックで補強したアルミライナー製複合タンクや、プラスチックライナーを繊維強化プラスチックで補強したプラスチックライナー製複合タンク(オールコンポジット製タンク)等であってもよい。また、燃料タンク11に貯蔵される天然ガスは、例えば、気体のまま高圧で貯蔵される圧縮天然ガス(CNG:Compressed Natural Gas)や、液体状態で超低温容器としての燃料容器内に貯蔵される液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)や、燃料容器内の吸着材に吸着されて貯蔵される吸着天然ガス(ANG:Adsorbed Natural Gas)である。
図2〜図5に示すように、前後のタンク支持ブラケット12は、上下方向に延びる固定部12aと、車幅方向に延びる支持部12bと、前後の型板部12cを一体的にそれぞれ有する略L字状に形成され、燃料タンク11のタンク胴部11aの前後方向の長さよりも短い間隔で相互に前後に離間してサイドメンバ3の車幅方向外側に配置されてサイドメンバ3に固定される。固定部12aは、サイドメンバ3の車幅方向外側面3aに沿って、サイドメンバ3の上端近傍からサイドメンバ3よりも下方まで上下方向に延びて、サイドメンバ3に複数のボルト19によって締結固定される。支持部12bは、固定部12aの下端部から略水平に車幅方向外側へ延びる。前後の型板部12cは、固定部12aの前後面、及び支持部12bの前後面に固定される略L字状の板体であって、固定部12aの車幅方向外側から支持部12bの上方にかけて延びる湾曲端縁部20(図6参照)をそれぞれ有する。前後の型板部12cの湾曲端縁部20は、燃料タンク11のタンク胴部11aの外面に沿って湾曲し、燃料タンク11のタンク胴部11aを支持する。前後のタンク支持ブラケット12の固定部12aの上端部、及び支持部12bの車幅方向外端部には、燃料タンク11を前後のタンク支持ブラケット12に締め付けるための固定ベルト21が取付けられる。
固定ベルト21は、タンク支持ブラケット12の固定部12aの上端部から燃料タンク11のタンク胴部11aの上面と車幅方向外側面に沿って支持部12bの車幅方向外端部まで延びる。燃料タンク11は、前後のタンク支持ブラケット12の前後の型板部12cの湾曲端縁部20に載置された状態で、固定ベルト21によって、タンク支持ブラケット12の前後の型板部12cの湾曲端縁部20に対して締め付けられて前後のタンク支持ブラケット12に固定される。燃料タンク11が前後のタンク支持ブラケット12に固定された状態で、燃料タンク11の前端は、前側のタンク支持ブラケット12よりも前方に配置され、燃料タンク11の後端は、後側のタンク支持ブラケット12よりも後方に配置される。
カバー支持部材13は、前後のアーム部22a,22bとサイドバー23とを有する。前後のアーム部22a,22bは、タンク支持ブラケット12の固定部12aの上端部に対して固定されて、燃料タンク11と干渉しないように燃料タンク11の上方で車幅方向外側に延びる。前後のアーム部22a,22bの車幅方向の長さは、前後のアーム部22a,22bの先端部(車幅方向外端部)が燃料タンク11の車幅方向外端よりも車幅方向内側に配置されるように設定される。サイドバー23は、略水平に前後方向に延びる上板部23aと、上板部23aの車幅方向外端縁から車幅方向外側の下方へ傾斜して延びる外板部23bとを一体的に有し、前後のアーム部22a,22bの双方の先端部に固定されて燃料タンク11よりも上方で前後方向に延びる。サイドバー23の前後方向の長さは、燃料タンク11の前後方向の長さよりも短く設定される。
図2〜図6に示すように、前後の移動規制部材14F,14Rは、上下2本の連結ロッド24a,24bと、1枚の係合プレート(移動規制板部)25とをそれぞれ有する。なお、前後の移動規制部材14F,14Rは、燃料タンク11の前後に対称的に設けられてほぼ同様の構成を有するため、以下では、後側の移動規制部材14Rについて説明し、前側の説明を省略する。
上下の連結ロッド24a,24bは、後側のタンク支持ブラケット12に固定されて後側のタンク支持ブラケット12から後方へ延びる。上側の連結ロッド24aは、後側のタンク支持ブラケット12の後側の型板部12cの固定部12a側の上端部に固定され、下側の連結ロッド24bは、後側の型板部12cの支持部12b側の車幅方向外端部に固定される。上下の連結ロッド24a,24bは、後側の型板部12cの上端部又は車幅方向外端部に固定される固定部26と、固定部26に取付けられるロッド本体27とをそれぞれ有する。固定部26は、前後方向に貫通するボルト挿通孔(図示省略)を有し、後側の型板部12cから後方へ突出する状態で後側の型板部12cの上端部又は車幅方向外端部に固定される。ロッド本体27は、前後方向に延びる棒体であって、雄ネジが形成される前端部と、後述する係合プレート25に固定される後端部とを有する。ロッド本体27の前端部には、固定部26のボルト挿通孔を挿通した状態で、ロッド本体27の前端からナット(図示省略)が螺合される。このナットの締付けによって、連結ロッド24a,24bは、後述する係合プレート25を燃料タンク11側に締め付け可能となっている。
図4〜図6に示すように、係合プレート25は、前後方向と交叉する状態で燃料タンク11の後側に配置される。係合プレート25は、前後方向に貫通する略円形の係合開口32が形成される多角形のプレート本体33と、プレート本体33の外周縁の全域から前方へ曲折するフランジ部34とを一体的に有する。
係合プレート25のプレート本体33は、上側の連結ロッド24aの後方に配置されて上側の連結ロッド24aのロッド本体27の後端部と固定される上側の固定領域33aと、下側の連結ロッド24bの後方に配置されて下側の連結ロッド24bのロッド本体27の後端部と固定される下側の固定領域33bとを有する。プレート本体33の係合開口32は、上側の固定領域33aと下側の固定領域33bとの間に配置され、燃料タンク11のタンク胴部11aの外径よりも小さく形成されて、燃料タンク11の後側のタンク端部11cの半球面に係合する。プレート本体33の係合開口32を燃料タンク11の後側のタンク端部11cに係合させた状態(以下、係合状態という)では、燃料タンク11の後端がプレート本体33の係合開口32から後方へ突出する。係合状態で連結ロッド24a,24bのロッド本体27の前端部のナットを締め付けることによって、係合プレート25は、後側のタンク支持ブラケット12側へ締め付けられ、燃料タンク11を後方から前方へ押さえつける。これにより、係合プレート25は、前後のタンク支持ブラケット12に対する燃料タンク11の後側(前後方向の一側)への移動を規制する。
係合プレート25のフランジ部34は、プレート本体33の外周縁の全域から前方へ曲折し、プレート本体33の剛性を向上させる。プレート本体33の車幅方向外側(本実施形態では左側)の上端部の左上端縁36は、上方から下方の車幅方向外側へ向かって傾斜している。フランジ部34のうち、プレート本体33の左上端縁36から前方へ曲折して延びる左上フランジ部(カバー固定部)34bは、後述するカバー15に固定される。
図2〜図6に示すように、カバー15は、カバー下板部(カバー下面部)28と、カバー前板部(カバー一面部)30と、カバー後板部(カバー一面部)31と、カバー側板部(カバー側面部)29と、カバー上板部35とによって構成される。カバー15は、後述するように、前後のタンク支持ブラケット12を介してサイドメンバ3に対して固定される。
図4〜図6に示すように、カバー下板部28は、上下方向と交叉して前後方向に延びる金属製の略矩形状の板体であって、前後のタンク支持ブラケット12の支持部12bの下方に配置され、前後のタンク支持ブラケット12の支持部12bの下面にボルトによって締結固定される。カバー下板部28の前端縁28aは、燃料タンク11の前方、且つ前側の移動規制部材14Fよりも前方に配置されて車幅方向に延びる。カバー下板部28の後端縁28bは、燃料タンク11の後方、且つ後側の移動規制部材14Rよりも後方に配置されて車幅方向に延びる。カバー下板部28の車幅方向内端縁28cは、サイドメンバ3の車幅方向外側面3aよりも車幅方向外側に配置されて前後方向に延びる(図2参照)。カバー下板部28の車幅方向外端縁28dは、燃料タンク11の車幅方向外端よりも車幅方向外側に配置されて前後方向に延びる。すなわち、カバー下板部28は、燃料タンク11を下方から覆う。カバー下板部28は、車幅方向内端縁28dから上方へ曲折するフランジ部37を有する。カバー下板部28の後端部には、後上方へ僅かに傾斜して延びる傾斜部28eが設けられる(図3参照)。
図5に示すように、カバー前板部30は、金属製の板体であって、燃料タンク11の前方、且つ前側の移動規制部材14Fよりも前方に配置されて、カバー下板部28の前端縁28aから略鉛直方向に沿って起立して燃料タンク11を前方から覆う。カバー前板部30は、その外周縁の略全域から後方へ曲折するフランジ部41を有する。フランジ部41は、カバー前板部30を補強するとともに、カバー下板部28及びカバー側板部29に固定される固定部として機能する。フランジ部41のうちカバー前板部30の下端縁から後方へ延びる下フランジ部(図示省略)は、カバー下板部28の前端縁28aに複数のボルトによって締結固定される。フランジ部41のうちカバー前板部30の車幅方向外端縁から後方へ延びる外フランジ部41aは、カバー側板部29に複数のボルトによって締結固定される。カバー前板部30は、カバー前板部30の車幅方向外端縁の上端から連続して上方の車幅方向内側へ延びる傾斜端縁30aを有する。フランジ部41のうちカバー前板部30の傾斜端縁30aから後方へ延びる傾斜フランジ部41bは、カバー側板部29にボルトによって締結固定される。また、カバー前板部30の車幅方向内端縁部58は、サイドメンバ3から車幅方向外側へ離間して配置され、サイドメンバ3に対して固定されない。すなわち、カバー前板部30は、他のカバー板部(カバー下板部28やカバー側板部29等)に固定されることによって、前記他のカバー板部を介して前後のタンク支持ブラケット12に対して固定される。
図4及び図6に示すように、カバー後板部31は、金属製の板体であって、燃料タンク11の後方、且つ後側の移動規制部材14Rよりも後方に配置されて、カバー下板部28の後端縁28bから略鉛直方向に沿って起立して燃料タンク11を後方から覆う。カバー後板部31は、その外周縁から前方へ曲折するフランジ部43を有する。フランジ部43は、カバー後板部31を補強するとともに、カバー下板部28及びカバー側板部29に固定される固定部として機能する。フランジ部43のうちカバー後板部31の下端縁から後方へ延びる下フランジ部(図示省略)は、カバー下板部28の後端縁28bに複数のボルトによって締結固定される。フランジ部43のうちカバー後板部31の車幅方向外端縁から後方へ延びる外フランジ部43aは、カバー側板部29にボルトによって締結固定される。カバー後板部31は、カバー後板部31の車幅方向外端縁の上端から連続して上方の車幅方向内側へ延びる傾斜端縁31aを有する。フランジ部43のうちカバー後板部31の傾斜端縁31aから前方へ延びる傾斜フランジ部43bは、カバー側板部29にボルトによって締結固定される。また、カバー後板部31の車幅方向内端縁部59は、サイドメンバ3から車幅方向外側へ離間して配置され、サイドメンバ3に対して固定されない。すなわち、カバー後板部31は、他のカバー板部(カバー下板部28やカバー側板部29等)に固定されることによって、前記他のカバー板部を介して前後のタンク支持ブラケット12に対して固定される。
図4〜図6に示すように、カバー側板部29は、金属製の板体であって、略鉛直方向に延びる下部領域38と、下部領域38の上端から曲折して上方の車幅方向内側へ傾斜して延びる上部領域39とを一体的に有し、カバー下板部28の車幅方向内端縁28dから起立して、燃料タンク11を車幅方向外側から覆う。
カバー側板部29の下部領域38は、カバー下板部28の前後方向の長さと略同じ長さに形成され、その下端縁部がカバー下板部28の車幅方向内端縁28dのフランジ部37に複数のボルトによって締結固定されて略鉛直方向に沿って起立する。カバー側板部29の下部領域38の前端縁部は、カバー前板部30の外フランジ部41aに複数のボルトによって締結固定される。カバー側板部29の下部領域38の後端縁部は、カバー後板部31の外フランジ部43aに複数のボルトによって締結固定される。
カバー側板部29の上部領域39は、燃料タンク11の車幅方向外側の上方で前後方向に延びる。
カバー側板部29の上部領域39の前端縁部は、下方から上方へ(車幅方向外側から内側へ)向かうにつれて後方に配置されるように複数段(本実施形態では、3段)の階段状に形成される上部領域39の前端縁部のうち下段部51は、カバー前板部30の傾斜フランジ部41bにボルトによって締結固定される。上部領域39の前端縁部のうち中段部52には、前側の移動規制部材14Fと前後方向の略同じ位置に固定部53が設けられる。上部領域39の前端縁部の固定部53は、前後方向に延びる長孔状のボルト挿通孔54(図2及び図4参照)を有し、前側の移動規制部材14Fの係合プレート25の左上フランジ部34bに車幅方向外側の上方から面接触した状態で、ボルト挿通孔54を挿通するボルトによって前側の移動規制部材14Fの左上フランジ部34bに締結固定される。すなわち、前側の移動規制部材14Fの左上フランジ部34bは、カバー側板部29に対してカバー15の内側から接した状態で固定される。
カバー側板部29の上部領域39の後端縁部は、カバー後板部31の傾斜フランジ部43bに複数のボルトによって締結固定される。上部領域39には、上部領域39の後端部のうちの後側の移動規制部材14Rと前後方向の略同じ位置に固定部49が設けられる。上部領域39の後端部の固定部49は、前後方向に延びる長孔状のボルト挿通孔50(図2及び図4参照)を有し、後側の移動規制部材14Rの係合プレート25の左上フランジ部34bに車幅方向外側の上方から面接触した状態で、ボルト挿通孔50を挿通するボルトによって後側の移動規制部材14Rの左上フランジ部34bに締結固定される。すなわち、後側の移動規制部材14Rの左上フランジ部34bは、カバー側板部29に対してカバー15の内側から接した状態で固定される。
カバー側板部29の上部領域39の上端縁部は、カバー支持部材13のサイドバー23の外板部23bに車幅方向外側から面接触した状態で前後方向に延び、カバー支持部材13の前後のアーム部22a,22bの双方の先端部にボルトによって締結固定される。
図2及び図4に示すように、カバー上板部35は、金属製の板体であって、カバー側板部29の上部領域39の上端縁から車幅方向内側へ曲折して上下方向と交叉し、燃料タンク11の上方でカバー支持部材13のサイドバー23の上板部23aの上面に沿って前後方向に延びる。カバー上板部35の後端部には、カバー上板部35の後端から下方へ曲折するフランジ部56が設けられ、フランジ部56は、カバー後板部31の上端縁部にボルトによって締結固定される。カバー上板部35の車幅方向外端縁とカバー側板部29の上部領域39の上端縁との角部は、カバー15の内側からカバー支持部材13のサイドバー23に支持される。
上記のように構成された燃料タンクユニット10では、カバー15が、前後のタンク支持ブラケット12を介してサイドメンバ3に対して固定され、カバー前板部30の車幅方向内端縁部58が、サイドメンバ3に対して固定されない。このため、トラック1の走行中等にサイドメンバ3が捩れた際に、カバー15のうち前側のタンク支持ブラケット12に支持される部分とカバー前板部30との間の領域がサイドメンバ3の捩れの影響を受け難いので、サイドメンバ3の捩れに起因するカバー15の破損を防止することができる。また、カバー後板部31の車幅方向内端縁部59が、サイドメンバ3に対して固定されない。このため、上記と同様に、カバー15のうち後側のタンク支持ブラケット12に支持される部分とカバー後板部31との間の領域がサイドメンバ3の捩れの影響を受け難いので、サイドメンバ3の捩れに起因するカバー15の破損を防止することができる。
また、カバー前板部30及びカバー後板部31の双方の車幅方向内端縁部58,59がサイドメンバ3に対して固定されず、カバー15が前後のタンク支持ブラケット12を介してサイドメンバ3に固定される。このように、カバー15は、カバー15の前後の両端部ではなく、その間の前後のタンク支持ブラケット12を介してサイドメンバ3に固定されるので、サイドメンバ3に対する固定部間の距離が短い分だけサイドメンバ3の捩れから受ける影響を小さく抑えることができる。
また、前側の移動規制部材14Fの左上フランジ部34bが、カバー側板部29に対してカバー15の内側から接した状態で固定されるので、前側の移動規制部材14Fによってカバー15をカバー15の内側から支持して、カバー15の剛性を向上させることができる。このように、前側の移動規制部材14Fによってカバー15の剛性を向上させることができるので、カバー前板部30をサイドメンバ3に固定しなくてもカバー15の剛性を十分に確保することができる。また、後側の移動規制部材14Rの左上フランジ部34bが、カバー側板部29に対してカバー15の内側から接した状態で固定されるので、上記前側の移動規制部材14Fと同様に、カバー後板部31をサイドメンバ3に固定しなくてもカバー15の剛性を十分に確保することができる。
従って、本実施形態によれば、カバー15の剛性を十分に確保するとともに、サイドメンバ3の捩れに起因するカバー15の破損を防止することができる。
また、前後のタンク支持ブラケット12に対する燃料タンク11の前後方向の一側への移動を規制する前後の移動規制部材14F,14Rを、カバー15の剛性を向上させる補強部材として利用するので、部品点数の増加を抑えることができる。
また、前後の移動規制部材14F,14Rの左上フランジ部34bに締結固定されるカバー側板部29の前後の固定部53,49のボルト挿通孔54,50が前後方向に延びる長孔状であるので、トラック1の振動等によって燃料タンク11から前後の移動規制部材14F,14Rに前後方向の力が入力した際に、ボルトがボルト挿通孔54,50内を前後方向に移動することによって、ボルトからカバー側板部29への力の入力を抑制することができ、カバー15の破損を防止することができる。
なお、本実施形態では、前後の移動規制部材14F,14Rをカバー側板部29に対して固定したが、これに限定されるものではなく、カバー15に固定されていればよい。すなわち、前後の移動規制部材14F,14Rを、カバー15の複数の板部(本実施形態では、カバー下板部28、カバー後板部31、カバー前板部30、カバー側板部29、及びカバー上板部35)のうちの一の板部又は複数の板部に固定することができる。
また、本実施形態では、前後の移動規制部材14F,14Rの双方をカバー15(本実施形態では、カバー側板部29)に対して固定したが、前後の移動規制部材14F,14Rの一方のみをカバー15に対して固定してもよい。例えば、前側(前後方向の一側)の移動規制部材14Fのみをカバー15に対して固定してもよいし、後側(前後方向の一側)の移動規制部材14Rのみをカバー15に対して固定してもよい。
また、本実施形態では、略L字状に形成されたタンク支持ブラケット12を設けたが、タンク支持ブラケットの形状は、これに限定されるものではない。例えば、サイドメンバ3の車幅方向外側面3aに固定されて上下方向に延びるタンク支持ブラケット等であってもよい。
また、前後の移動規制部材14F,14Rの左上フランジ部34bとカバー側板部29との間に防振ゴム等を介在させた状態で、左上フランジ部34bをカバー側板部29に対して固定してもよい。
また、本実施形態では、カバー15の各板部(カバー下板部28、カバー前板部30、カバー後板部31、カバー側板部29、及びカバー上板部35)同士をボルトによって締結固定したが、他の方法(例えば、スポット溶接等)によって固定してもよい。
また、本実施形態では、1つの燃料タンク11を有する燃料タンクユニット10をサイドメンバ3に固定したが、例えば、図1に示すように、トラック1の前輪と前後輪6との間の左側のサイドメンバ3に固定される複数(例えば、2つ)の燃料タンク71a,71bを有する燃料タンクユニット70をサイドメンバ3に固定してもよい。この場合、図7に示すように、タンク支持ブラケット73に対する2つの燃料タンク71a,71bの後方への移動を規制する後側の移動規制部材72は、燃料タンク71a,71bの後端部と係合する略円形の2つの係合開口75a,75bが形成された係合プレート(移動規制板部)74と、係合プレート74をタンク支持ブラケット73に対して固定する2本の連結ロッド80を有してもよい。係合プレート74の上端部(カバー固定部)は、ブラケット76を介してカバー83のカバー上板部77とカバー側板部(カバー側面部)78との角部79に固定される。また、図7に示すように、2つの燃料タンク71a,71b同士を接続する燃料配管81の弁82等を、移動規制部材72の係合プレート74に固定してもよい。
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
例えば、本発明が適用される車両は、大型のトラックに限定されず、バス、乗用車等の他の車両であってもよい。
1:トラック(車両)
3:サイドメンバ
10,70:燃料タンクユニット
11,71a,71b:燃料タンク
12,73:タンク支持ブラケット
14F,14R,72:移動規制部材
15,83:カバー
25,74:係合プレート(移動規制板部)
28:カバー下板部(カバー下面部)
29,78:カバー側板部(カバー側面部)
30:カバー前板部(カバー一面部)
31:カバー後板部(カバー一面部)
34:係合プレートのフランジ部
34:係合プレートの左上フランジ部(カバー固定部)
58:カバー前板部の車幅方向内端部(カバー一面部の車幅方向内端部)
59:カバー後板部の車幅方向内端部(カバー一面部の車幅方向内端部)

Claims (1)

  1. 車両の前後方向に延びるサイドメンバに対する燃料タンクユニットの固定構造であって、
    前記サイドメンバの車幅方向外側に配置されて前記サイドメンバに固定されるタンク支持ブラケットと、
    前記サイドメンバの車幅方向外側で前後方向に延びて前記タンク支持ブラケットに固定される燃料タンクと、
    前記燃料タンクの前後方向の一側に配置されて前後方向と交叉し、前記タンク支持ブラケットに対して固定されて前記タンク支持ブラケットに対する前記燃料タンクの前記一側への移動を規制する移動規制板部と、
    前記燃料タンクを下方から覆うカバー下面部と、前記カバー下面部の車幅方向外端縁から起立して前記燃料タンクを車幅方向外側から覆うカバー側面部と、前記移動規制板部よりも前記一側で前後方向と交叉した状態で前記カバー下面部及び前記カバー側面部の前記一側の端部に固定的に設けられて前記燃料タンクを前記一側から覆うカバー一面部とを一体的に有し、前記タンク支持ブラケットに対して固定されるカバーと、を備え、
    前記カバーの前記カバー一面部の車幅方向内端部は、前記サイドメンバに対して固定されず、
    前記移動規制板部は、前記カバーに対して固定されるカバー固定部を有する
    ことを特徴とする燃料タンクユニットの固定構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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