JP2017081319A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】模擬変速制御の際のバッテリの劣化を抑制する。
【解決手段】エンジン50とモータジェネレータ40とによって駆動されるハイブリッド車両100の制御装置70であって、車両の要求加速度が閾値を超えた場合に、変速機を備えるエンジン駆動車両のエンジン回転数の変化を模擬するようにエンジン50の回転数を変化させる模擬変速制御において、模擬変速制御を行った際のバッテリ10への充電電流に基づいてバッテリ10の劣化指標値を算出し、劣化指標値が所定値を超えた場合に、バッテリ10が充電されることを制限する充電制限手段を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンとモータとで駆動されるハイブリッド車両の制御装置に関する。
近年、エンジンとモータとを駆動源とするハイブリッド車両が多く用いられている。ハイブリッド車両では、最も効率が良くなるようにエンジンとモータの回転数を制御しているので、アクセルを大きく踏み込んだ場合でも、エンジンを一定回転させてモータの回転数を上げて加速するような動作を行う場合が多い。このため、従来のエンジン駆動車のように、例えば、3速から2速にシフトダウンしてエンジン回転数を上げて加速するというような動作をする従来のエンジン駆動車に慣れたドライバーが違和感を持つ場合がある。
そこで、運転者のアクセルの操作量に応じて変速段を模擬するように、目標エンジン回転数を設定し、その設定した目標エンジン回転数に基づいてエンジントルク、発電機回転数を制御し、エンジンと変速機を有する車両に慣れ親しんだ運転者にとって違和感のない走行制御を行う方法(模擬変速制御)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−173389号公報
ところで、ハイブリッド車両で模擬変速制御により変速段の切換えの際を模擬するようにエンジン回転数を通常制御よりも高くした場合、モータは発電機として機能し、発電した電力はバッテリに蓄積される。しかし、バッテリの状態、例えば、温度、劣化度等によっては、電力がバッテリに流れ込むことでバッテリの劣化を促進させてしまう場合がある。
そこで、本発明は、模擬変速制御の際のバッテリの劣化を抑制することを目的とする。
本発明の制御装置は、エンジンとモータとによって駆動されるハイブリッド車両の制御装置であって、車両の要求加速度が閾値を超えた場合に、変速機を備えるエンジン駆動車両のエンジン回転数の変化を模擬するように前記エンジンの回転数を変化させる模擬変速制御において、模擬変速制御を行った際のバッテリへの充電電流に基づいてバッテリの劣化指標値を算出し、前記劣化指標値が所定値を超えた場合に、前記バッテリが充電されることを制限する充電制限手段を備えることを特徴とする。
本発明は、模擬変速制御の際のバッテリの劣化を抑制することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態における制御装置が搭載されるハイブリッド車両の系統を示す系統図である。 本発明の実施形態における制御装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における制御装置が搭載されるハイブリッド車両の時間に対する車速の変化を示すグラフである。 本発明の実施形態における制御装置が搭載されるハイブリッド車両の時間に対するエンジン回転数の変化を示すグラフである。 本発明の実施形態における制御装置が搭載されるハイブリッド車両の時間に対するバッテリ電力の変化を示すグラフである。 本発明の実施形態における制御装置が搭載されるハイブリッド車両の時間に対するアクセル操作量の変化を示すグラフである。 バッテリが充放電を繰り返した際のハイレート劣化指標値ΣDの変化を示すグラフである。 本発明の実施形態のバッテリの充電電流に対するバッテリ入力電力制限値のマップである。
以下、図面を参照しながら本実施形態の制御装置70が搭載されたハイブリッド車両100の構成について説明する。ハイブリッド車両100は、エンジン50と、エンジン50の動力をモータジェネレータ40と出力軸61とに分配する動力分配機構60と、出力軸61にディファレンシャルギヤ62を介して接続される駆動軸63と、駆動軸63に接続される駆動輪64とを含んでいる。エンジン50には回転数を検出するレゾルバ53が取り付けられている。また、ハイブリッド車両100は、バッテリ10と、バッテリ10の直流電圧を昇圧する昇圧コンバータ20と、昇圧コンバータ20から供給された直流電力をモータジェネレータ40駆動用の交流電力に変換するインバータ30とを含んでいる。バッテリ10と昇圧コンバータ20とは正極ライン11、負極ライン12とで接続され、正極ライン11にはバッテリ10の充放電電流Ibを検出する電流センサ16が取り付けられ、正極ライン11と負極ライン12との間には、バッテリ10の電圧Vbを検出する電圧センサ15が配置されている。バッテリ10には温度Tbを検出する温度センサ17が取り付けられている。昇圧コンバータ20とインバータ30とは正極ライン21と負極ライン22とで接続され、正極ライン21と負極ライン22との間には、平滑コンデンサ23と昇圧後の電圧VHを検出する電圧センサ25が取り付けられている。インバータ30とモータジェネレータ40との間は、U,V,Wの3相の動力線31で接続されている。また、ハイブリッド車両100の車内には、アクセルペダル65が取り付けられている。なお、本実施形態では、バッテリ10はリチウムイオン電池である。
レゾルバ53、電圧センサ15,25、電流センサ16、温度センサ17、アクセルペダル65の操作量の各信号は、制御装置70に入力される。また、エンジン50、インバータ30、昇圧コンバータ20は、制御装置70の指令によって制御される。制御装置70は、内部に演算処理或いは情報処理を行うCPU71と、プロクラムや制御データ等を格納するメモリ72とを含むコンピュータである。
以上の様に構成されたハイブリッド車両100において、模擬変速制御を行った場合には、エンジン50の回転数を上昇させた際に、モータジェネレータ40は発電機として機能し、発電した電力はバッテリ10に入力される。しかし、発電電力のバッテリ10の状態によっては、バッテリ10への電力の入力がバッテリ10の劣化を促進してしまう場合がある。このような場合には、制御装置70は、以下に示すようにバッテリ10への充電を制限する充電制限を実施する。充電制限を行うかどうかは、(1)電池温度が高い場合の電池発熱増加量、(2)ハイレート劣化指標値ΣD(ΣDはマイナス)の絶対値、(3)リチウム析出が発生しないバッテリ10の入力電力、という3つの劣化指標値によって判断する。以下、各劣化指標値について説明する。
<劣化指標値(1)>
劣化指標値(1)は、電池温度が高い場合の電池発熱増加量であり、温度センサ17で検出したバッテリ10の温度Tbが、例えば、40℃程度の所定温度よりも高い場合の電流センサ16で検出したバッテリ10の充放電電流Ibの二乗にバッテリ10の内部抵抗Rを掛けた値(Ib×R)である。この電池発熱増加量が所定値A1を超えた場合、制御装置70は、バッテリ10の発熱が大きく、充電によりバッテリ10の温度上昇による劣化が予想されるため、電圧VHを昇圧してバッテリ10への充電を制限する。また、制御装置70は、電池発熱増加量が所定値A1よりも大きい所定値B1を超えた場合には、模擬変速制御を禁止してバッテリ10への充電を制限する。
<劣化指標値(2)>
劣化指標値(2)は、リチウムイオン電池であるバッテリ10の充電側のハイレート劣化指標値ΣD(ΣDはマイナス)の絶対値である。リチウムイオン電池等のバッテリ10は、繰り返し充放電を行うことにより劣化し、次第に電池容量が低下したり、内部抵抗Rが上昇してきたりすることが知られている。特に、大きな充放電電流Ib(ハイレート)での使用が繰り返し行われることにより劣化が進むことが知られており、「ハイレート劣化」と呼ばれることがある。ハイレート劣化は、大きな放電電流Ibo或いは大きな充電電流Ibiが流れる際に、バッテリ10の中の電解液中の塩濃度に偏りが発生し、これによって内部抵抗Rが上昇してくる現象である。
ハイレート劣化指標値ΣDは、所定の周期Δtごとにダメージ量Dを計算し、これを所定の式によって積算した値である。以下、詳細に説明する。
バッテリ10のハイレート劣化のダメージ量Dは、以下の式(1)を用いて所定の周期Δtごとに算出することによって行われる。

D[t+Δt]
=D[t]−α×Δt×D[t]+β×Ib×Δt/c0 −−−−(1)

上記の式(1)において、tは時間を示し、D[t+Δt]は、今回算出されるダメージ量であり、右辺第1項のD[t]は、前回算出されたダメージ量を示す。αは、忘却係数であり、βは電流係数であり、Ibは電流センサ16で検出したバッテリ10の充放電電流Ib(放電時は+、充電時は−)、c0は限界閾値である。上記の式(1)に示すように、今回のダメージ量D[t+Δt]は、前回のダメージ量D[t]に基づいて算出される。初期値としてのダメージ量D[0]は、例えば、「0」とすることができる。
電解液中の塩濃度の偏りは、時間の経過に伴うイオンの拡散に応じて緩和されるため、時間が経過するにつれてダメージ量Dは減少してくる。上記の式(1)の右辺第2項は、所定の周期Δtの間におけるダメージ量Dの減少を考慮する項である。忘却係数αは、バッテリ10の電解液中におけるイオンの拡散速度に対応する係数であり、拡散速度が高いほど、忘却係数αが大きくなる。「α×Δt」の値は、0から1の範囲内で設定される。「α×Δt」の値が、「1」に近づくほど、右辺第2項の絶対値は大きくなる。また、忘却係数αの値が大きくなるほど、或いは、周期Δtが長くなるほど、「α×Δt」の値が「1」に近づく。
忘却係数αは、バッテリ10のSOCや温度Tbに依存するため、SOCや温度Tbに応じて、忘却係数αを設定することができる。具体的には、忘却係数αと、SOCおよび温度Tbの少なくとも一方との対応関係を、実験などによって予め求め、マップ又は関数としてメモリ72に記憶しておき、電圧センサ15で検出したバッテリ10の電圧Vbと電流センサ16で検出したバッテリ10の充放電電流Ibに基づいてSOCを求め、このSOCと温度センサ17によって検出したバッテリ10の温度Tbとを用いてメモリ72に記憶したマップ又は関数に基づいて忘却係数αを設定するようにしてもよい。
電解液中の塩濃度の偏りは、電流値の絶対値が大きい程大きくなる。また、放電中と充電中とでは、塩濃度の偏りの方向が逆になる。このため、充放電電流Ibが正(+)となる放電中には、式(1)の右辺第3項は、正の値となってダメージ量Dを増加させ、充放電電流Ibが負(−)となる充電中には、式(1)の右辺第3項は負の値となって、ダメージ量Dを減少させる。したがって、ハイレートの放電電流Iboが流れるとダメージ量Dは正(+)となり、ハイレートの充電電流Ibiが流れるとダメージ量Dは負(−)となる。
式(1)の右辺第3項の電流係数βと限界閾値c0とは、バッテリ10のSOCや温度Tbに依存する。このため、忘却係数αと同様、SOCおよび温度Tbの少なくとも一方との対応関係を、実験などによって予め求め、マップ又は関数としてメモリ72に記憶しておき、電圧センサ15で検出したバッテリ10の電圧Vbと電流センサ16で検出したバッテリ10の充放電電流Ibに基づいてSOCを求め、このSOCと温度センサ17によって検出したバッテリ10の温度Tbとを用いてメモリ72に記憶したマップ又は関数に基づいて電流係数βと限界閾値c0を設定するようにしてもよい。
ハイレート劣化の進行状況は、先に説明したダメージ量Dを積算したΣDを指標値として用いる。ハイレート劣化指標値ΣDは、以下のように所定の周期Δtごとに算出する。ここで、D[t]は上記の式(1)によって計算したダメージ量Dである。

ΣD[t+Δt]=γ×ΣD[t]+η×D[t] −−−−(2)

上記の式(2)において、γは減衰係数で1よりも小さい値であり、時間経過に伴うイオンの拡散によって塩濃度の偏りが緩和される程度を予測して設定される値であり、メモリ72の中に格納されている値である。また、ηは補正係数であり、γ同様、メモリ72の中に格納されている値である。
先に述べたように、ハイレートの放電電流Iboが流れるとダメージ量Dは正(+)となり、ハイレートの充電電流Ibiが流れるとダメージ量Dは負(−)となるので、ハイレート劣化指標値ΣDは、ハイレートの放電電流Iboが流れると増加し、ハイレートの充電電流Ibiが流れると減少する。ただし、ハイレート劣化指標値ΣDが負の場合には、ハイレートの放電電流Iboが流れると絶対値が減少し、ハイレートの充電電流Ibiが流れると絶対値が増加する。つまり、ハイレート劣化指標値ΣDが正(+)の放電過多側に積算している場合には、充電はハイレート劣化指標値ΣDを減少させて、ハイレート劣化指標値ΣDをゼロに近づけさせ、ハイレート劣化指標値ΣDが負(−)の充電過多側に積算している場合には、放電はハイレート劣化指標値ΣDを増加させて、ハイレート劣化指標値ΣDをゼロに近づける。
バッテリ10の種類によっては、充放電を繰り返すことによってハイレート劣化指標値ΣDが正(+)の放電過多側に積算しやすい特性を持つものと、充放電を繰り返すことによってハイレート劣化指標値ΣDが負(−)の充電過多側に積算しやすい特性を持つものとがある。本実施形態のバッテリ10は、充放電を繰り返すことによってハイレート劣化指標値ΣDが負(−)の充電過多側に積算しやすい特性を持つので、図4(b)に示すように、充放電を繰り返すと、図4(a)に示すように、ハイレート劣化指標値ΣDは負(−)側に積算されて行く。このため、模擬変速制御によってバッテリ10に充電を行った場合、ハイレート劣化指標値ΣDは負側に大きくなっていく(より小さくなっていく)。このため、制御装置70は、模擬変速制御中にハイレート劣化指標値ΣD(マイナス)の絶対値が所定値A2を超えた場合には、バッテリ10への充電により劣化が進行すると判断して電圧VHを昇圧してバッテリ10への充電を制限する。また、制御装置70は、ハイレート劣化指標値ΣD(マイナス)の絶対値が所定値A2よりも大きい所定値B2を超えた場合には、模擬変速制御を禁止してバッテリ10への充電を制限する。
<劣化指標値(3)>
劣化指標値(3)は、バッテリ10でリチウム析出が発生しない入力電力である。制御装置70は、メモリ72に図5に示すようなバッテリ10への充電電流Ibiと温度Tbに対してリチウム析出の発生しないバッテリ10の入力電力の制限マップを格納している。図5の一点鎖線q1,q2,q3は、バッテリ10の温度TbがTb1,Tb2,Tb3の場合の充電電流Ibiに対するバッテリ10の入力電力の制限を示す線であり、図2のステップS102で用いる所定値A3を求める場合に用いる線である。また、図5の実線p1,p2,p3は、バッテリ10の温度TbがTb1,Tb2,Tb3の場合の充電電流Ibiに対するバッテリ10の入力電力の制限を示す線であり、図2のステップS103で用いる所定値B3を求める場合に用いる線である。
制御装置70は、電流センサ16で検出した充電電流Ibiと温度センサ17で検出した温度Tbとを用いて図5に示すマップからバッテリ10の入力電力の制限値を求める。バッテリ10の温度がTb1で充電電流Ibiが図5に示すIb1の場合、一点鎖線q1からバッテリ10への入力制限値はWI1となる。このWI1が所定値A3である。そして、制御装置70は、バッテリ10への入力電力が所定値A3を超えた場合には、バッテリ10でリチウム析出が発生する可能性があると判断して電圧VHを昇圧してバッテリ10への充電を制限する。また、図5に示す実線p1から求めたバッテリ10への入力制限値はWI2となる。このWI2が所定値B3である。所定値B3は所定値A3よりも大きい。そして、制御装置70は、バッテリ10への入力電力が所定値B3を超えた場合には、模擬変速制御を禁止してバッテリ10への充電を制限する。
<制御装置70の動作>
次に、図2〜図5を参照しながら本実施形態の制御装置70の動作について説明する。なお、図2のフローチャートは所定の周期で繰り返し実行されるものである。図2のステップS101に示すように、図3Dの時刻t11に実線e1で示すように、アクセル操作量が所定値Eを超えたら、制御装置70は、要求加速度が閾値を超えたと判断して図2のステップS102に進み、劣化指標値(1)が所定値A1を超えたか、劣化指標値(2)が所定値A2を超えたか、劣化指標値(3)が所定値A3を超えたかを判断する。そして、図2のステップS102で劣化指標値(1)が所定値A1を超えたか、劣化指標値(2)が所定値A2を超えたか、劣化指標値(3)が所定値A3を超えた場合には、ステップS102でYESと判断してステップS103に進む。また、ステップS102でNOと判断した場合には、制御装置70は、図2のステップS105にジャンプし、模擬変速制御を許可する。図3Cの一点鎖線d1に示すように、時刻t11では、ハイブリッド車両100は通常制御であり、バッテリ電力はプラスでバッテリ10には電力が入力されていない。このため、時刻t11では、制御装置70は、図2のステップS102でNOと判断してステップS105に進み、模擬変速制御を開始する。これにより、時刻t11以降、図3Bの実線b1に示すように、エンジン50の回転数は通常制御の際の回転数を示す図3Bの一点鎖線C1よりも大きくなっていく。
図3Dの実線e1に示すように、時刻t12では、アクセル操作量が所定値Eを超えており、要求加速度が閾値を超えている状態なので、制御装置70は、図2のステップS101でYESと判断して図2のステップS102に進む。時刻t12では、エンジン50の回転数が通常制御の際の回転数よりも高く、バッテリ電力はマイナスでバッテリ10に電力が入力されている。制御装置70は、図3Cの時刻t12に、図2のステップS102に示す劣化指標値(1)が所定値A1を超えたか、劣化指標値(2)が所定値A2を超えたか、劣化指標値(3)が所定値A3を超えた場合には、図2のステップS102でYESと判断して図2のステップS103に進む。制御装置70は、図2のステップS103で、劣化指標値(1)が所定値B1を超えたか、劣化指標値(2)が所定値B2を超えたか、劣化指標値(3)が所定値B3を超えたかを判断する。時刻t12では、まだバッテリ10への入力電力はあまり大きくないので、制御装置70は、図2のステップS103でNOと判断し、図2のステップS104に進み、バッテリ10の充電を制限するために、昇圧コンバータ20を動作させて電圧VHを上昇させる昇圧を行う。例えば、電圧VHが300Vの場合、これを600Vに上昇させる。これにより、モータジェネレータ40の発電した電力が平滑コンデンサ23に蓄積され、バッテリ10への入力電力が低減される。
図3Dに示す時刻t13でも、アクセル操作量が所定値Eを超えており、要求加速度が閾値を超えている状態なので、制御装置70は、図2のステップS101でYESと判断して図2のステップS102に進む。時刻t13では、時刻t12よりもエンジン50の回転数と通常制御の際の回転数との差が大きくなっており、バッテリ電力もマイナス側に大きくなっており、時刻t12よりも多くの電力がバッテリ10に入力されている。このため、制御装置70は、時刻t12と同様、図2のステップS102でYESと判断して図2のステップS103に進む。先に説明したように、時刻t13では、バッテリ10への入力電力が大きくなっていることから、バッテリ10への充電電流Ibiも大きくなって、劣化指標値(1)、(2)、(3)も増加しており、制御装置70は、図2のステップS103でYESと判断して図2のステップS106に進み、模擬変速制御を禁止する。
制御装置70は、図3Bの実線b1で示すように、エンジン50の回転数を通常の回転数制御に戻し、昇圧を停止して電圧VHを通常制御の電圧に戻す。また、制御装置70は、図3Cの一点鎖線d1に示すようにバッテリ10からモータジェネレータ40へ電力を出力する。以後、ハイブリッド車両100は、通常の制御で加速していく。そして、時刻t14にアクセルの操作量が所定値Eよりも小さくなったら、制御装置70は図2のステップS101でNOと判断し、模擬変速制御に入らず、通常の制御を行う。車速は図3Aの実線a1に示すように、時刻t14からは略一定の速度となる。
以上説明したように、本実施形態の制御装置70は、(1)電池温度が高い場合の電池発熱増加量、(2)ハイレート劣化指標値ΣD(ΣDはマイナス)の絶対値、(3)リチウム析出が発生しないバッテリ10の入力電力、という3つの劣化指標値のいずれか1つが所定値を超えた場合には、電圧VHを昇圧したり、模擬変速制御を禁止したりして、模擬変速制御におけるバッテリ10への充電を制限するので、バッテリ10の劣化を効果的に抑制することができる。また、本実施形態の制御装置70は、劣化指標値が小さい方の所定値A1,A2,A3を超えた場合には電圧VHを昇圧することによってバッテリ10への充電を制限しつつ、模擬変速制御を継続し、各劣化指標値が大きい方の所定値B1,B2,B3を超えた場合に模擬変速制御を禁止するようにしているので、バッテリ10の劣化を抑制しつつ模擬変速制御が可能な範囲を広くすることができ、運転者が違和感を持つ場合を少なくすることができる。
10 バッテリ、11,21 正極ライン、12,22 負極ライン、15,25 電圧センサ、16 電流センサ、17 温度センサ、20 昇圧コンバータ、23 平滑コンデンサ、30 インバータ、31 動力線、40 モータジェネレータ、42 メモリ、50 エンジン、53 レゾルバ、60 動力分配機構、61 出力軸、62 ディファレンシャルギヤ、63 駆動軸、64 駆動輪、65 アクセルペダル、70 制御装置、71 CPU、72 メモリ、100 ハイブリッド車両。

Claims (1)

  1. エンジンとモータとによって駆動されるハイブリッド車両の制御装置であって、
    車両の要求加速度が閾値を超えた場合に、変速機を備えるエンジン駆動車両のエンジン回転数の変化を模擬するように前記エンジンの回転数を変化させる模擬変速制御において、
    模擬変速制御を行った際のバッテリへの充電電流に基づいてバッテリの劣化指標値を算出し、前記劣化指標値が所定値を超えた場合に、前記バッテリが充電されることを制限する充電制限手段を備えることを特徴とする制御装置。
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