JP2017079554A - 振動波モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】振動子と摺動部材が相対移動する駆動力を発生させる楕円運動の、振幅楕円比の調整において、調整範囲が広く楕円運動の振幅楕円比の最適な比率へ調整可能で、かつ、振動子の駆動効率を高くできる振動波モータを提供する。【解決手段】振動波モータは、振幅変更手段16を有し、振幅変更手段16は振動子101が振動により変形する方向において、振動子101と少なくとも一部が重なって配置され、振動子101と振幅変更手段16との重なり量Lを変更することにより、振動子101の振幅33を変更する。【選択図】 図3
Description
本発明は、振動子に発生する振動によって、振動子と振動子に摩擦接触する摺動部材が相対移動する振動波モータに関する。
近年、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影装置では、フォーカシングやズーミングの駆動源に超音波モータが用いられている。この超音波モータは、例えば特許文献1に開示されているように、二つの突起部を有する振動板に圧電素子を貼りあわせた振動子と、二つの突起部が摺動する摺動部材から構成されている。そして、振動子の圧電素子に互いに位相の異なる2相の交流電圧を印加することで、突起部に超音波振動を励振させ、この振動板の突起部を摺動部材に加圧接触させることで、両者間に発生する摩擦力により振動子と摺動部材とは相対移動する。この相対移動を利用して、前後方向に移動するリニアタイプや、正逆方向に回転する回転タイプの超音波モータが構成される。
超音波振動は、一つの振動子に上下運動をする突き上げ振動モードと、振り子運動をする送り振動モードとを発生させ、これら複数の異なる振動モードを重ね合せることにより、振動板の突起部の振動が楕円の軌跡になるようにする。そして、一般的に相対移動の駆動効率を向上させるためには、突き上げ振動モードと送り振動モードを重ね合せた楕円運動の振幅楕円比において、振動子ごとに最適なバランス比率が存在する。
しかし、振動板や圧電素子の寸法ばらつき、圧電素子の振動特性ばらつき、振動板と圧電素子の接合ずれにより、突き上げ振動モードと送り振動モードのそれぞれの振動特性がばらついてしまい、最適なバランス比率が崩れて駆動効率が低下するという問題がある。
この問題に対しては、振動子の楕円運動の振幅楕円比を調整する技術が従来提案されている。例えば、特許文献1では振動子に備えられた振動板の長辺方向の端面に、振動板の等価長さを増加させるための調整部材であるねじ(質量体)を装着することにより、突き上げ振動モードと送り振動モードの楕円運動の振幅楕円比を調整している。
しかしながら、上記の特許文献1に開示された従来技術では以下のような課題がある。振動子の突き上げ振動モードと送り振動モードとを重ね合わせて得られる楕円運動の振幅楕円比を調整する調整部材が、振動板の振幅の大きい位置において振動板の等価長さを増加させるように取り付けられている。この構成では、突き上げ振動モードと送り振動モードとが共に影響し合い、それぞれの振幅が変化してしまう。又、突き上げ振動モードと送り振動モードの振幅の変化量の差で調整が行われているため、調整範囲が狭くなり、部品のばらつきが大きい場合等に、楕円運動の振幅楕円比を最適なバランス比率に調整することが困難となる課題がある。更に、調整に際し、調整部材の質量を更に増加させていくので、振動子の振動が抑制されてしまう課題がある。更に振動子自体の重量が増すので、駆動効率が低下してしまうという課題がある。
そこで、本発明の目的は、振動子の楕円運動の振幅楕円比を調整する際に、該振幅楕円比の調整範囲が広く、振幅楕円比を最適なバランス比率へ調整可能な振動波モータを提供することである。更に、振動子の駆動効率を効率化した振動波モータを提供することである。
本発明では上記目的を達成するために、突起部を有する振動子と、突起部が接触する摺動部材と、を備え、振動子を振動させることにより振動子と摺動部材とが相対移動する振動波モータにおいて、振動子の振幅を変更する振幅変更手段を有し、振幅変更手段は振動子が振動により変形する方向において、振動子と少なくとも一部が重なって配置され、振動子と振幅変更手段との重なり量を変更することにより、振動子の振幅を変更することを特徴とする。
本発明により、振動子の楕円運動の振幅楕円比の調整をする際に、該振幅楕円比の調整範囲が広く、振幅楕円比を最適なバランス比率へ調整可能な振動波モータを提供することができる。更に、振動子の駆動効率を効率化した振動波モータを提供することができる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、すべての図面において、振動波モータの移動方向をX方向、移動方向に直交し振動子101を加圧する方向を−Z方向、X方向及びZ方向それぞれに直交する方向をY方向と定義する。なお、Z方向においては適宜、上下方向及び上側、下側が用いられる。
以下、図1乃至図5を用いて、本発明の実施例の振動波モータの構成を説明する。図1(A)には、振動子101が摺動部材3に摩擦接触する状態における概略斜視図が示されており、図1(B)には、上記状態における正面図が示されている。振動波モータの駆動源である振動子101は、駆動時に高周波駆動電圧が印加される圧電素子2と、圧電素子2に与える高周波駆動電圧によって超音波領域の周波数の振動(超音波振動)が発生する振動板1から構成されている。圧電素子2は、2つの電極(不図示)を有し、2つの電極のそれぞれに高周波駆動電圧が印加される。又、圧電素子2と振動板1とは、接着剤等で接合されている。
更に、振動板1には突起部1aが移動方向に沿って並んで2つ形成されている。圧電素子2に高周波駆動電圧が印加されると、振動子101に超音波振動が励振される。この振動子101が摺動部材3に対して後述の加圧手段(不図示)により加圧されることにより、突起部1aと摺動部材3との間に摩擦力が発生し、この摩擦力により振動子101と摺動部材3とがX方向に相対移動する。
図2(A)、(B)には、振動子101の2つの異なる振動モードがそれぞれ示されている。振動子101の圧電素子2に特定の周波数の高周波駆動電圧を印加することにより、複数の振動モードが励振される。そして、これら複数の振動モードを重ね合せることにより、突起部1aに駆動源としての楕円運動が発生する。本実施例では、図1(A)に示された振動子101と摺動部材3の構成に対して、図2(A)、(B)に示された2つの曲げ振動モードを振動子101に励振させている。
図2(A)には、圧電素子2の2つの電極(不図示)に正の電圧、或いは負の電圧を同時に印加した場合に発生する、振動子101の短辺方向の第1の曲げ振動モードが示されている。又、第1の曲げ振動モードの節32、及び腹31がそれぞれ一点鎖線で示されている。突起部1aは、第1の曲げ振動モードにおいて振動の腹31となる所、又はその近傍に位置している。そして、突起部1aは、Z方向に往復運動、即ち上下運動(33)の形態の第1の曲げ振動をする。この上下運動(33)は、駆動の突き上げ振動の振幅33の成分である。
図2(B)には、圧電素子2の2つの電極(不図示)のそれぞれに、正と負、或いは負と正の異なる電圧を同時に印加した場合に発生する、振動子101の長辺方向の第2の曲げ振動モードが示されている。又、第2の曲げ振動モードの腹34及び節35がそれぞれ一点鎖線で示されている。突起部1aは、第2の曲げ振動モードにおいて振動の節35となる所、又はその近傍に位置している。そして、突起部1aが位置する所を支点としてX方向に往復運動(36)、即ち振り子運動(36)の形態の第2の曲げ振動をする。この振り子運動は、駆動の送り振動の振幅36の成分である。
図2(A)、(B)において振動子101は、それぞれ直交して示されている。したがって、第1の曲げ振動モードの曲げの方向と第2の曲げ振動モードの曲げの方向とは直交している。又、振動子101の形状は、第1の曲げ振動モードと第2の曲げ振動モードの共振周波数が一致するか、又は近くなるように設計される。
上記第2の曲げ振動モードを実現するために、圧電素子2は長辺方向に2つの領域に分極されている。即ち、振動子101の長辺を等分する中央線(振動の節35と重畳する線)から+X方向と−X方向において圧電層が分極されており、この2つの圧電層により第2の曲げ振動を可能としている。そして、それぞれ直交する第1の曲げ振動モードと第2の曲げ振動モードとを同時に励振し、これら2つの振動モードを重ね合わせることで、X−Z面内で上下運動(33)と振り子運動(36)が合成され、突起部1aは楕円運動37をする。この楕円運動37により、振動子101は摺動部材3に対して相対移動することができる。
図3は、振動子101を備えた振動波モータの構成を示す断面図である。図4(A)乃至(C)は、後述の振幅変更手段を構成する部品を示す図である。図5(A)は、振動波モータを構成するガイド部材9の平面図及び側面図である。図5(B)は、振動波モータを構成する天板7の底面図である。まず、図3を参照して、振動波モータの構成を説明する。
振動波モータの駆動源である振動子101は、振動波モータの駆動時に高周波駆動電圧が印加される圧電素子2と、圧電素子2に与える高周波駆動電圧により超音波振動が発生する振動板1とを接着剤等で固定して構成されている。又、振動板1には、突起部1aがX方向に並んで2つ形成されている。そして、振動子101は、剛性が弱いばね材から形成された振動子保持部材6に接着剤等で固定され保持されている。
振動子101を保持している振動子保持部材6は、ガイド部材9の下側に取り付けられている。振動子保持部材6が取り付けられることにより形成されるガイド部材9の内部空間には、振動子101を加圧する加圧手段が備えられている。加圧手段は、加圧力26を発生し、この加圧力26によって振動子101は摺動部材3に加圧接触している。振動子101の上側には、加圧手段からの加圧力26を受ける加圧ベース5が取り付けられている。
図4(A)には、加圧ベース5の平面図及び正面図が示されている。加圧ベース5の長辺方向のほぼ中央に加圧力受け部5aが形成されており、加圧力受け部5aの形状は、振動子101の短辺方向にR形状が延びる略半円筒形状となっている。
図4(B)には、振幅変更部材16の平面図、正面図及び底面図が示されている。振幅変更部材16は、加圧力受け部5aと接する先端面16bを有する先端部16a、加圧ばね17の一端部を受ける受け部16c、加圧力26を伝達する加圧軸部16d及びピン孔16eを備えている。先端部16aの形状は略長方形であり、先端部16aの長辺方向の長さは、加圧ベース5の短辺方向の長さより長くなっている。即ち、先端部16aの長さは、加圧力受け部5aの長さより長い。
図4(C)には、調整部材19の平面図及び正面図が示されている。調整部材19は、略円形の円盤形状をしており、中央に嵌合孔19a、該嵌合孔19aと平行な方向に二つのかに目孔19b、及び該嵌合孔19aに直交する方向にピン孔19cを備えている。振幅変更部材16の加圧軸部16dは、調整部材19の嵌合孔19aに嵌合すると共に、振幅変更部材16にあるピン孔16eと調整部材19にあるピン孔19cにピン22が打ち込まれることにより、振幅変更部材16と調整部材19とは一体となる。
振幅変更部材16と一体となった調整部材19は、ガイド部材9のほぼ中央に配置される(図3参照)。そして、加圧蓋20をガイド部材9のほぼ中央にある嵌合凹部9cに嵌合する際に、調整部材19を加圧蓋20の中央にある嵌合孔20aに嵌合する。更に、加圧蓋20は、ねじ21によりガイド部材9に固定される。このような構成により、振幅変更部材16の先端面16bは、加圧力受け部5aのR形状頂点線5b(一点鎖線、図4(A)参照)に接した状態になる。
加圧ばね17は、振幅変更部材16の受け部16cとワッシャ18との間に挟持されており、ワッシャ18を固定端として、振幅変更部材16の先端部16aを−Z方向へ加圧する。振幅変更部材16の先端面16bは、振動子101に取り付けられた加圧ベース5の加圧力受け部5aに加圧力26を付加する。加圧力26は、振動子101を保持する剛性が弱いばね材からなる振動子保持部材6を変形させると共に、振動子保持部材6に取り付けられた振動子101を摺動部材3へ加圧する。
図3において、加圧手段は、振幅変更部材16、加圧ばね17、ワッシャ18、調整部材19、加圧蓋20等から構成される。又、振幅変更手段は、上記加圧手段と振動子101に取り付けられた加圧ベース5から構成される。調整部材19は、ガイド部材9と加圧蓋20とに挟持され位置決めされると共に、調整部材19に備えられた、かに目孔19bを使ってZ軸周り(回転方向r)に回転させることが可能である(図4(C)参照)。調整部材19を回転させることにより、振幅変更部材16の先端面16bが加圧ベース5のR形状頂点線5bに接する長さ(重なり量L)を変更することが可能である。つまり、振幅変更部材16の先端面16bは、振動子101が振動して変形する方向において、振動子101と重なって配置され、振動子101に取り付けられた加圧ベース5のR形状頂点線5bとの接する長さを変更することが可能である。
そして、振幅変更部材16の先端面16bと振動子101との重なり量Lを変更することにより、振動子101の上下運動(33)が変更され突き上げ振動の振幅33が制御される。重なり量Lを変更する位置は、突き上げ振動モード(第1の曲げ振動モード)の振幅を抑制させ易い腹31の位置(図2(A)参照)であると共に、送り振動モード(第2の曲げ振動モード)の節35の位置(図2(B)参照)でもある。一般的に、節35の位置では振動しないので、重なり量Lを変更したことによる送り振動への影響は非常に小さく、結果として振幅36は変更されないことになる。
振動波モータは、略箱型形状のユニットベース4の内部に保持されている。ユニットベース4内の底面には、振動子101に摩擦接触する金属材料から形成された摺動部材3が固定され、ユニットベース4の開放端部には天板7が固定されている。そして、振動波モータを構成するガイド部材9と天板7との間には、4つの転動部材8が挟持されている。転動部材8は、天板7とガイド部材9とに挟持された状態で転動することにより、ガイド部材9のX方向への移動を許容している。
図5(A)には、ガイド部材9の平面図及び側面図が示され、ガイド部材9の上面には2つのガイド溝9b、及びガイド部材9のほぼ中央には貫通孔9a、加圧蓋20が嵌合する嵌合凹部9cが形成されている。又、図5(B)には、天板7の底面図が示され、天板7の下面には2つのガイド溝7bが備えられている。天板7がユニットベース4に固定される際、ガイド部材9のガイド溝9bと対応関係にある天板7のガイド溝7bとによって形成される2つの空間にそれぞれ2つの転動部材8が挟持される。なお、天板7に設けられた孔7aは、天板7をユニットベース4に取付けるためのねじ取付け孔であり、角孔7cは調整部材19を回転させるための開口部である。
以上のような構成で本発明の実施例の振動波モータは構成され、加圧手段が振動子101を摺動部材3に対して加圧することで、突起部1aが摺動部材3に摩擦接触する。振動子101に固定された圧電素子2に高周波駆動電圧が印加されると、振動子101に超音波振動が励振される。そして、突起部1aと摺動部材3の両者間の摩擦力により駆動力が生じ、摺動部材3に対し振動子101がX方向に相対移動する。振動子101のX方向の移動に伴い、転動部材8が転動することで、振動子101が取り付けられているガイド部材9はX方向に移動する。なお、本実施例では振動子101が移動し、摺動部材3が固定される構成としたが、振動子101を固定し、摺動部材3が移動する構成でもよい。
次に、振動子101と摺動部材3とが相対移動するための駆動力を発生させる楕円運動の振幅楕円比を調整する方法について説明する。本発明の実施例の振動子101の楕円運動の振幅楕円比を調整する方法は、振幅楕円比の調整範囲が広く、楕円運動の振幅楕円比の最適な比率へ調整可能で、かつ、振動子101の駆動効率を高くすることができる特徴を有する。
図6(A)乃至(C)は、本発明の実施例における振動波モータにおいて、振動子101の楕円運動37の振幅楕円比の調整機構を模式的に示している。図6(A)の左図には、振幅変更部材16が取付けられた振動子101の平面図が示されている。理解しやすいように受け部16c及び加圧軸部16dの記載は省略している。又、回転方向rに回転させることができる振幅変更部材16が調整位置(b)に位置する場合について、振幅変更部材16の先端部16aが実線で示されている。調整位置(a)は、先端部16aが振動子101の長辺方向に平行になる場合の位置、調整位置(c)は、先端部16aが振動子101の短辺方向に平行になる場合の位置であり、それぞれ破線によって示されている。
図6(A)の右図には、上記左図における断面線A−Aに沿った断面図が示されると共に、振幅変更部材16の先端部16aの各調整位置における振動子101の突き上げ振動の振幅33が示されている。図6(B)には、振動子101、該振動子101に取り付けられる加圧ベース5、及び振幅変更部材16の先端部16aの配置関係を示す正面図が示されている。又、図6(C)には、振幅変更部材16の先端部16aの各調整位置と楕円運動37の振幅楕円比との関係が示されている。なお、突き上げ振動の振幅33は、説明を解り易くするため誇張して示されている。
図6(B)において、振幅変更部材16の先端面16bは、振動子101に取り付けられた加圧ベース5のR形状頂点線5bに対して、振動子101が振動により変形する方向に少なくとも一部が重なって配置されている。この振動子101と振幅変更部材16との重なり量Lを変更することにより、振動子101の振幅を変更することができる。なお、振幅変更部材16は模式図のため先端部16aのみ示されている。
ここで、重なり量Lの変更について以下に述べる。振幅変更部材16と一体になっている調整部材19に備えられた、かに目孔19bを用いて振幅変更部材16をZ軸周りに回転させる。図6(A)において、振幅変更部材16を回転させることにより、先端部16aは、位置(a)、(b)、(c)へと回転する。この先端部16aの回転により、先端部16aの先端面16bと加圧ベース5のR形状頂点線5bの重なり量LがLa、Lb、Lcへと変化する。
先端面16bと加圧ベース5のR形状頂点線5bとの重なり量が増えることにより、振動子101の突き上げ振動による変形が抑制されるので、振動子101の振幅は小さくなる。即ち、先端部16aの先端面16bと加圧ベース5のR形状頂点線5bとの重なり量LをLa、Lb、Lcへと長くすると、振動子101の振動による突き上げ振動の振幅は33a、33b、33cへと小さくなる。そして、楕円運動の振幅楕円比が変化し振幅楕円運動の軌跡が37a、37b、37cへと変化する(図6(C)参照)。
ここで、重なり量Lが変化しても送り振動の振幅36は一定である。それは、先端面16bと加圧ベース5のR形状頂点線5bの重なり部が、送り振動モードの節35の位置(図2(B)参照)にあるので、送り振動が抑制されにくいため、送り振動の振幅36は一定となる。図3において説明したように、振幅変更手段により変更される重なり量Lは、振動子101の送り振動モードの節35の線上の重なり長さである。
一般的に送り振動モードの振幅が大きい方が駆動効率は良いが、これに対して突き上げ振動モードの振幅が余分に大きいと、無駄な動きが発生し駆動効率が悪く消費電力のみが増加する。又、突き上げ振動モードの振幅が余分に小さいと速度低下が発生する。そして、目標速度を一定にする制御では、駆動電圧を更に上昇させることが必要となり結果として電力が増加する。しかしながら、本発明の実施例の楕円運動37の振幅楕円比の調整機構では、振動子101と摺動部材3とを相対移動させるための駆動力に必要な送り振動モードを抑制せずに、突き上げ振動モードのみを抑制し、楕円運動の振動楕円比を調整可能としている。そのため、高速度、省電力、駆動効率が高い振動波モータを実現可能としている。
又、送り振動の振幅36が一定で、突き上げ振動の振幅33a、33b、33cのみが調整されるので、楕円運動の振動楕円比のバランス比率を広範囲に変更することが可能であり、最適なバランス比率に調整が容易に可能となる。
バランス比率を最適に調整することにより、振動子101と摺動部材3の摩擦状態が一定に保たれるので駆動力の低下が起こらず、結果として速度低下が発生しない。又、駆動力の低下が起きないので無駄な消費電力の増加がなく、結果として駆動効率の低下を回避することが可能となる。
バランス比率の調整後は、振幅変更部材16の回転ずれを防止するために、調整部材19と加圧蓋20とを接着剤等で固定している。なお、従来技術では、振幅楕円比を調整するために振動子の振動板の長辺方向の端面に、振動板の等価長さを増加させるねじ(質量体)を装着しており、振動波モータの長辺方向のスペースがより必要となっていた。これに対して、本発明では、振幅楕円比を調整するための振幅変更手段が既存の加圧手段と加圧ベース5を利用する構造となり、振動波モータのスペースを増やしていない。これにより、コンパクトな振動波モータを提供することが可能となる。
以上、説明したように、振動子101の楕円運動の振幅楕円比の調整において、調整範囲が広く楕円運動の振幅楕円比の最適な比率へ調整可能で、かつ、振動子101の駆動効率を高くできる振動波モータを提供することができる。本発明の実施例では、送り振動モードの節35と突き上げ振動モードの腹31との交点において、突き上げ振動モードの振幅33を調整した。しかし、これに限定されず、突き上げ振動モードの節32と送り振動モードの腹34との交点において、送り振動モードの振幅33を調整するように構成してもよい。
次に、図7を参照して、本発明の振動波モータをレンズ装置のフォーカシングの駆動源に応用したレンズ鏡筒41の構成を説明する。レンズ鏡筒41内には、被写体側に撮像光学系としての1、2群レンズ鏡筒42が備えられている。次に、絞りユニット48、フォーカスレンズ43が備えられ、フォーカスレンズ43を保持するレンズ移動枠44が備えられている。次に、4、5群レンズ鏡筒45が備えられている。なお、1、2群レンズ鏡筒42、4、5群レンズ鏡筒45には、固定レンズが組み込まれている。
そして、レンズ移動枠44を光軸49に沿って前後移動させる2つのメインガイドバー46がレンズ鏡筒41の鏡筒内壁へ光軸49に平行に付けられている。又、レンズ鏡筒41の鏡筒内部には、振動波モータを構成するガイド部材9が光軸49に沿って移動可能となるようにユニットベース4が取り付けられている。ガイド部材9とレンズ移動枠44とは、連結部材47で連結されると共に、振動子101の駆動力はレンズ移動枠44に伝達されて、フォーカスレンズ43を光軸49方向に移動させることが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
101 振動子
1a 突起部
3 摺動部材
5 加圧ベース(振幅変更手段)
16 振幅変更部材(加圧手段、振幅変更手段)
17 加圧ばね(加圧手段、振幅変更手段)
18 ワッシャ(加圧手段、振幅変更手段)
19 調整部材(加圧手段、振幅変更手段)
20 加圧蓋(加圧手段、振幅変更手段)
32 節(第1の曲げ振動モード)
35 節(第2の曲げ振動モード)
41 レンズ鏡筒
L 重なり量
1a 突起部
3 摺動部材
5 加圧ベース(振幅変更手段)
16 振幅変更部材(加圧手段、振幅変更手段)
17 加圧ばね(加圧手段、振幅変更手段)
18 ワッシャ(加圧手段、振幅変更手段)
19 調整部材(加圧手段、振幅変更手段)
20 加圧蓋(加圧手段、振幅変更手段)
32 節(第1の曲げ振動モード)
35 節(第2の曲げ振動モード)
41 レンズ鏡筒
L 重なり量
Claims (9)
- 突起部を有する振動子と、
前記突起部が接触する摺動部材と、
を備え、
前記振動子を振動させることにより前記振動子と前記摺動部材とが相対移動する振動波モータにおいて、
前記振動子の前記振動の振幅を変更する振幅変更手段を有し、前記振幅変更手段は前記振動子が前記振動により変形する方向において、前記振動子と少なくとも一部が重なって配置され、前記振動子と前記振幅変更手段との重なり量を変更することにより、前記振動子の前記振幅を変更することを特徴とする振動波モータ。 - 前記振幅変更手段が前記振動子と重なる位置は、前記振動子の振動モードの節の位置にあることを特徴とする請求項1に記載の振動波モータ。
- 前記重なり量は、前記振動子の振動モードの節の線上の重なり長さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動波モータ。
- 前記振幅変更手段は、前記振動子の短辺方向の重なり量を変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の振動波モータ。
- 前記振幅変更手段は、加圧手段を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動波モータ。
- 前記加圧手段は、振幅変更部材を備え、前記振幅変更部材の先端の形状は略長方形であることを特徴とする、請求項5に記載の振動波モータ。
- 前記振動子には、前記加圧手段からの加圧力を受ける加圧ベースが備えられ、前記加圧ベースの受け部は、前記振動子の短辺方向にR形状が延びる形状であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の振動波モータ。
- 前記振動は、超音波領域の周波数で振動し、前記振動波モータは、超音波モータであることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動波モータ。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の振動波モータを備えたレンズ鏡筒。
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2015
- 2015-10-21 JP JP2015206959A patent/JP2017079554A/ja active Pending
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