JP2017078466A - 変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】後進用経路の選択状態と前進用経路の選択状態との切替時の応答性の向上を図ることができる変速機を提供する。【解決手段】入力軸(13)からの駆動力を無段変速機構(20)に伝達する第一入力経路(14)と、入力軸(13)からの駆動力の回転を無段変速機構(20)を介さず逆転して駆動輪(W)に伝達する第三入力経路(16)とを有する変速機(1)において、入力切替機構で動力伝達経路を第三入力経路(16)から第一入力経路(14)へ切り替える切替制御を行う際に、第三入力経路(16)の選択中に第一摩擦クラッチ(61)を係合する前に、予め第一摩擦クラッチ(61)にその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧(PM1)を供給する第一制御を行うことで、第一摩擦クラッチ(61)の無効ストロークを詰めた状態で待機するようにした。【選択図】図5

Description

本発明は、車両に搭載されるベルト式などの無段変速機構を備えた変速機に関し、詳細には、駆動源からの駆動力を無段変速機構に伝達する入力経路と無段変速機構を介さず逆転して駆動輪に伝達する他の入力経路とを備えた変速機に関する。
従来、車両などに搭載される変速機として、ベルト式などの無段変速機構を備えた変速機(自動変速機)がある。この種の変速機が備えるベルト式無段変速機構は、一対のプーリに無端ベルトを巻き掛けた構成である。また、この種の無段変速機は、動力伝達経路における動力伝達の有無を切り替えるための動力伝達切替機構として、摩擦材同士を当接させることで係合する構成の摩擦クラッチを備えている。また、無段変速機構と最終出力機構との間に動力伝達切替機構として噛合式の締結機構(ドグクラッチ)を備えたものがある。このドグクラッチは、一方の回転要素上に設けた歯車と他方の回転要素上に設けた他の歯車との間で軸方向に移動可能なスリーブなどの部材を備え、当該スリーブなどの部材が軸方向に移動することで、一方の回転要素と他方の回転要素との係合の有無を切り替えるように構成した機構である。
国際公開2013/175568号公報
ところで、従来の変速機では、例えば、上記のような摩擦式のクラッチや噛合式の締結機構などを制御するための油圧回路は、レンジセレクタで選択されたシフトポジションに応じて、各摩擦係合機構(クラッチ)などへの油圧の供給先を切り替えるように構成したマニュアルバルブを備えている。そして、このマニュアルバルブによって、シフトポジションに応じた所定の機構にのみ油圧が供給される構造となっている。そのため、マニュアルバルブを有する油圧回路を備えた変速機では、車両の後進状態と前進状態とを切り替えるスイッチバックにおける後進用経路の選択状態と前進用経路の選択状態との切替(R→D又はD→R切替)時の応答性を向上させるには限界があった。
これに対して、マニュアルバルブを有していない油圧回路を備える変速機では、各クラッチなどの油圧機構に対して別個に油圧を供給する制御が可能となる。そのため、適切な制御を行うことで、車両の後進状態と前進状態とを切り替えるスイッチバックにおける後進用経路の選択状態と前進用経路の選択状態との切替時の応答性を向上させることができる。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の後進状態と前進状態とを切り替えるスイッチバックにおける後進用経路の選択状態と前進用経路の選択状態との切替時の応答性の向上を図ることができる変速機を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明にかかる変速機は、車両に搭載した駆動源(E)からの駆動力が入力される入力軸(13)と、入力軸(13)からの駆動力を無段変速機構(20)に伝達する第一、第二入力経路(14,15)と、入力軸(13)からの駆動力の回転を無段変速機構(20)を介さず逆転して駆動輪(W)に伝達する第三入力経路(16)と、第一乃至第三入力経路(14〜16)を選択的に切り替える入力切替機構と、を備える変速機(1)であって、入力切替機構は、入力軸(13)と第一入力経路(14)との間に設けた第一摩擦クラッチ(61)と、入力軸(13)と第二、第三入力経路(15,16)との間に設けた第二摩擦クラッチ(62)と、第二入力経路(15)と第三入力経路(16)とを切り替えるドグクラッチ(71)を有する前後進切替機構(70)と、を備え、第一、第二摩擦クラッチ(61,62)は、油圧供給機構(102,103)により供給油圧が制御されることでその係合/非係合が切り換わる構成であり、入力切替機構で動力伝達経路を第三入力経路(16)から第一入力経路(14)へ切り替える第一切替制御を行う際に、前記第二摩擦クラッチ(62)を非係合とし前記第一摩擦クラッチ(61)を係合することで前記第一入力経路(14)を選択した後に前記ドグクラッチ(71)の切り替えを行い、前記第三入力経路(16)が選択されているときに、該第三入力経路(16)から前記第一入力経路(14)への切り替えに備えて予め前記第一摩擦クラッチ(61)にその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧(PM1)を供給する第一制御を行うことを特徴とする。
本発明にかかる上記の変速機によれば、入力切替機構で第三入力経路から第一入力経路へ切り替える第一切替制御を行う際に、油圧回路は、第三入力経路が選択されているときに、該第三入力経路から第一入力経路への切り替えに備えて予め第一摩擦クラッチにその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧をかける制御を行うようにした。すなわち、車両の後進走行用経路である第三入力経路から前進走行用経路である第一入力経路への切替時のインギヤ応答性を向上させるために、予め第一摩擦クラッチの無効ストロークを詰めた状態で待機するようにした。これにより、入力切替機構で第三入力経路から第一入力経路へ切り替える制御を行う際に、第一経路への切り替えを迅速に行うことが可能となる。したがって、変速機で車両の走行状態を後進状態から前進状態へ切り替えるスイッチバック制御を行う際の高い応答性を確保できる。
また、本発明にかかる変速機は、車両に搭載した駆動源(E)からの駆動力が入力される入力軸(13)と、入力軸(13)からの駆動力を無段変速機構(20)に伝達する第一、第二入力経路(14,15)と、入力軸(13)からの駆動力の回転を無段変速機構(20)を介さず逆転して駆動輪(W)に伝達する第三入力経路(16)と、第一乃至第三入力経路(14〜16)を選択的に切り替える入力切替機構と、を備える変速機(1)であって、入力切替機構は、入力軸(13)と第一入力経路(14)との間に設けた第一摩擦クラッチ(61)と、入力軸(13)と第二、第三入力経路(15,16)との間に設けた第二摩擦クラッチ(62)と、第二入力経路(15)と第三入力経路(16)とを切り替えるドグクラッチ(71)を有する前後進切替機構(70)と、を備え、第一、第二摩擦クラッチ(61,62)は、油圧供給機構(102,103)により供給油圧が制御されることでその係合/非係合が切り換わる構成であり、入力切替機構で動力伝達経路を第一入力経路(14)から第三入力経路(16)へ切り替える第二切替制御を行う際に、前記第一摩擦クラッチ(61)を非係合としてから前記ドグクラッチ(71)の切り替えを行い、その後、前記第二摩擦クラッチ(62)を係合することで前記第三入力経路(16)を選択し、前記第二切替制御における前記ドグクラッチ(71)の切り替え中に、前記第二摩擦クラッチ(62)にその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧(PM2)を供給する第二制御を行うことを特徴とする。
本発明にかかる上記の変速機によれば、入力切替機構で第一入力経路から第三入力経路へ切り替える第二切替制御を行う際に、油圧回路は、当該第二切替制御におけるドグクラッチの切り替え中に、第二摩擦クラッチにその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧をかける制御を行うようにした。すなわち、車両の前進走行用経路である第一経路から後進走行用経路である第三入力経路への切替時のインギヤ応答性を向上させるために、予め第二摩擦クラッチの無効ストロークを詰めた状態で待機するようにした。これにより、入力切替機構で第一入力経路から第三入力経路へ切り替える制御を行う際に、第三入力経路への切り替えを迅速に行うことが可能となる。したがって、変速機で車両の走行状態を前進状態から後進状態へ切り替えるスイッチバック制御を行う際の高い応答性を確保できる。
また、上記の変速機では、無段変速機構(20)で所定の変速比に変速された駆動力を出力する第一、第二出力経路(17,18)と、第一、第二出力経路(17,18)を選択的に切り替える出力切替機構と、をさらに備え、出力切替機構は、無段変速機構(20)と第一、第二出力経路(17,18)それぞれとの間に設けた第三、第四摩擦クラッチ(63,64)を備え、第三、第四摩擦クラッチ(63,64)は、油圧供給機構(102,103)により油圧制御されることでその係合/非係合が切り換わる構成であってよい。そしてこの場合、上記の第一切替制御において、さらに出力切替機構により第三摩擦クラッチ(63)を係合することで第一出力経路(17)への切り替えが行われるようにしてよい。あるいは、上記の第二切替制御において、さらに出力切替機構により第三摩擦クラッチ(63)の係合を解除することで第三入力経路(16)への切り替えが行われるようにしてよい。
また、上記の変速機では、車両の車速(V)を検出する車速検出手段(120)を備え、車速検出手段(120)で検出した車速(V)が所定値以上のときは第一制御又は第二制御を禁止するとよい。
この構成によれば、車速が所定値以上のときは第一制御又は第二制御が実施されない。したがって、第一制御又は第二制御によって第一クラッチ又は第二クラッチに準備油圧を供給することで、万一、変速機にインターロック状態が生じた場合でも、車両の挙動に大きな影響が生じることを回避できる。したがって、車両の安全性を確保できる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかる変速機によれば、車両の後進状態と前進状態とを切り替えるスイッチバックにおける後進用経路の選択状態と前進用経路の選択状態との切替時の応答性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態にかかる変速機のスケルトン図である。 変速機のLOWモードの動力伝達経路を示す図である。 変速機のHIモードの動力伝達経路を示す図である。 変速機のRVSモードの動力伝達経路を示す図である。 RVSモード→LOWモードの切り替えを行う際の各値の変化について示すタイミングチャートである。 LOWモード→RVSモードの切り替えを行う際の各値の変化について示すタイミングチャートである。 変速機のLOWモードでのニュートラル状態を示す図である。 変速機のRVSモードでのニュートラル状態を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の第一実施形態にかかる変速機のスケルトン図である。図1に示すように、車両に搭載される変速機1は、エンジン(駆動源)Eのクランクシャフト11と入力軸13との間にトルクコンバータ12が設置されている。変速機1は、駆動源Eからトルクコンバータ12を介して接続された入力軸13と、入力軸13からの駆動力が伝達される第一入力経路14と第二入力経路15とを備える。
第一入力経路14と第二入力経路15の下流側には、無段変速機構20が配設される。無段変速機構20は、第一入力経路14の下流端に設けられた第二プーリ22と、第二入力経路15の下流端に設けられた第一プーリ21と、第一プーリ21と第二プーリ22との間に巻き掛けられた無端ベルト23とを備える。第一プーリ21及び第二プーリ22の溝幅は油圧によって相互に逆方向に増減し、第一入力経路14又は第二入力経路15から入力した駆動力の回転の変速比を連続的に変化させる。
第一入力経路14上には、入力軸13からの入力を減速させて駆動力を無段変速機構20に伝達する第一伝達ギヤ列51が配設される。第一伝達ギヤ列51は、第一入力経路14の入力軸13側に配設される第一伝達駆動ギヤ51Aと、第一入力経路14の無段変速機構20側に配設される第一伝達従動ギヤ51Bとを有する。第一伝達駆動ギヤ51Aと第一伝達従動ギヤ51Bとのギヤ比は1よりも大きい。そのため、第一伝達ギヤ列51は、入力軸13からの駆動力を減速させて伝達する減速ギヤ列として機能する。
第二入力経路15上には、入力軸13からの入力を増速させて駆動力を無段変速機構20に伝達する第二伝達ギヤ列52が配設される。第二伝達ギヤ列52は、第二入力経路15の入力軸13側に配設される第二伝達駆動ギヤ52Aと、第二入力経路15の無段変速機構20側に配設される第二伝達従動ギヤ52Bとを有する。第二伝達駆動ギヤ52Aと第二伝達従動ギヤ52Bとのギヤ比は1よりも小さい。そのため、第二伝達ギヤ列52は、入力軸13からの駆動力を増速させて無段変速機構20に伝達する増速ギヤ列として機能する。
第二入力経路15と最終出力機構30との間の第三入力経路16には、入力軸13からの駆動力を回転方向を逆転させて最終出力機構30に伝達する第三伝達ギヤ列53が配設される。第三伝達ギヤ列53は、第三入力経路16の第二入力経路15側に配設される第三伝達駆動ギヤ53Aと、最終出力機構30側に配設される第三伝達従動ギヤ53Cと、第三伝達駆動ギヤ53Aと第三伝達従動ギヤ53Cとの間に配設される第三伝達アイドルギヤ53Bを有する。第三伝達アイドルギヤ53Bはアイドル軸53D上に支持されている。第三伝達アイドルギヤ53Bがあることによって、第三伝達ギヤ列53は、駆動力の回転方向を逆転させて伝達するギヤ列として機能する。
無段変速機構20の第一プーリ21と最終出力機構30との間の第一出力経路17には、中間伝達ギヤ列54が配設される。中間伝達ギヤ列54は、第一出力経路17の第一プーリ21側に配設される中間伝達駆動ギヤ54Aと、最終出力機構30側に配設される中間伝達従動ギヤ54Cと、中間伝達駆動ギヤ54Aと中間伝達従動ギヤ54Cとの間に配設される中間伝達アイドルギヤ54Bとを有する。中間伝達アイドルギヤ54Bはアイドル軸54D上に支持されている。なお、本実施形態では、中間伝達駆動ギヤ54Aから中間伝達従動ギヤ54Cへの駆動力を伝達する中間伝達部材として中間伝達アイドルギヤ54Bを用いたが、必ずしもギヤを用いる必要はない。例えば、中間伝達駆動ギヤ54Aと中間伝達従動ギヤ54Cとの間にチェーンを掛け渡すことで駆動力を伝達する構成でもよい。
入力軸13と第二伝達ギヤ列52及び第三伝達ギヤ列53との間には、前後進切替機構(リバースセレクタ機構)70が配設される。前後進切替機構70は、第二入力経路15と第三入力経路16とを切り替えるドグクラッチ(噛合式クラッチ)71を備え、このドグクラッチ71によって入力軸13からの駆動力を第二伝達ギヤ列52に伝達するか第三伝達ギヤ列53に伝達するかを選択的に切り替えるように構成されている。すなわち、ドグクラッチ71は、第二伝達ギヤ列52側の第一受歯71aと、第三伝達ギヤ列53側の第二受歯71bと、これら第一受歯71aと第二受歯71bとの間で移動(ストローク)可能に設けた移動歯(スリーブ)71cとを備えている。移動歯71cが第一受歯71a側に移動して該第一受歯71aと噛み合うことで、入力軸13からの駆動力が第二伝達ギヤ列52に伝達する状態(以下では、この状態を「D側の選択状態」という。)となる。一方、移動歯71cが第二受歯71b側に移動して該第二受歯71bと噛み合うことで、入力軸13からの駆動力が第三伝達ギヤ列53に伝達する状態(以下では、この状態を「R側の選択状態」という。)となる。すなわち、前後進切替機構70は、移動歯71cが第一受歯71aと第二受歯71bのいずれかに選択的に噛み合うことで、入力軸13の回転を増速させる第二伝達ギヤ列52と、入力軸13の回転を逆回転させる第三伝達ギヤ列53とを切り替える構成である。
第一出力経路17及び第二出力経路18の下流側には、これら第一出力経路17又は第二出力経路18へ伝達された駆動力が出力される最終出力機構30が配設される。最終出力機構30は、第一出力経路17及び第二出力経路18から駆動輪Wへの動力伝達経路における上流側に配設される最終駆動ギヤ31と、この最終駆動ギヤ31に噛み合う最終従動ギヤ(ディファレンシャルギヤ)32と、ディファレンシャルギヤ32で配分された駆動力を駆動輪Wに伝達するための駆動軸35とを備える。なお、本実施形態では、第二出力経路18から最終出力機構30への駆動力は、中間伝達ギヤ列54を経由して第一出力経路17に伝達された後に最終出力機構30へ伝達されるように構成しているが、これに限るものではない。したがって例えば、他の例として、中間伝達ギヤ列54を介さず、第二出力経路18に最終駆動ギヤを配設して、第二出力経路18の駆動力を最終出力機構30へ伝達するように構成してもよい。
また、本実施形態の変速機1は、動力伝達切替機構として4つの摩擦クラッチを備えている。具体的には、入力軸13から第一伝達ギヤ列51への動力伝達の有無を切り替える第一摩擦クラッチ61を第一入力経路14における第一伝達ギヤ列51の上流側に備える。また、入力軸13から第二伝達ギヤ列52への動力伝達の有無を切り替える第二摩擦クラッチ62を第二入力経路15における第二伝達ギヤ列52及び前後進切替機構70の上流側に備える。また、第一プーリ21から最終出力機構30への動力伝達の有無を切り替える第三摩擦クラッチ63を第一出力経路17上の第一プーリ21と中間伝達ギヤ列54との間に備える。また、第二プーリ22から最終出力機構30への動力伝達の有無を切り替える第四摩擦クラッチ64を第二出力経路18上の第二プーリ22と最終出力機構30との間に備える。
次に、変速機1に関する油圧供給機構及びセンサ群について説明する。車両運転席にはレンジセレクタ101が設けられ、運転者が例えばP,R,N,Dなどのレンジのいずれかを選択することで、変速機1における動力伝達経路の切り替えが行われる。即ち、運転者のレンジセレクタ101の操作によるレンジ選択はコントローラ(制御手段)102を介して油圧供給機構103に伝えられ、車両を前進あるいは後進走行させる。なお、油圧供給機構103に作動油を供給するオイルポンプ108が設けられている。オイルポンプ108は、エンジンEで駆動されてリザーバ(ストレーナ)106に貯留された作動油を汲み上げて油圧供給機構103に送る。モータ109で駆動する電動オイルポンプ105も設けられている。
油圧供給機構103は、無段変速機構20の第一、第二プーリ21,22、第一〜第四摩擦クラッチ61〜64などに油圧を供給する。第一伝達ギヤ列51、第二伝達ギヤ列52、中間伝達ギヤ列54にはそれぞれ回転数センサ111,112,114が設けられ、第一伝達ギヤ列51、第二伝達ギヤ列52、中間伝達ギヤ列54の回転数、換言すれば第一入力経路14、第二入力経路15、第一出力経路17の回転数に応じたパルス信号を出力する。また、ファイナルドライブギヤ31の付近には車速センサ(回転数センサ)120が設けられて車両の走行速度を意味する車速Vを示すパルス信号を出力する。また、レンジセレクタ101の付近にはレンジセレクタスイッチ130が設けられ、運転者によって選択されたP,R,N,Dなどのレンジに応じた信号を出力する。
また、図示は省略するが、油圧供給機構103において、第一〜第四摩擦クラッチ61〜64に通じる油路にはそれぞれ油圧センサが配置され、第一〜第四摩擦クラッチ61〜64のピストン室(図示せず)に供給される油圧に応じた信号を出力する。また、第一摩擦クラッチ61の付近には移動量(ストローク)を検出するストロークセンサ150が設けられ、第一摩擦クラッチ61の移動量に応じた信号を出力する。ドグクラッチ71の付近には移動歯71cの移動量(ストローク)を検出するストロークセンサ140が設けられ、ドグクラッチ71の移動量に応じた信号を出力する。上記した各センサの出力は、図示しないその他のセンサの出力も含め、コントローラ102に送られる。コントローラ102はセンサの出力に基づきプーリ供給油圧(側圧)を算出し、算出された側圧に応じて油圧供給機構103の種々の電磁弁を励磁・消磁することにより第一、第二プーリ21,22の油圧アクチュエータのピストン室への油圧の給排を制御して無段変速機構20の動作を制御する。また、第一〜第四摩擦クラッチ61〜64のピストン室に供給される油圧を制御して、これら第一〜第四摩擦クラッチ61〜64の係合を制御する。また、前後進切替機構70のドグクラッチ71の係合切り替えを制御する。
次に、上記構成の変速機1の各変速モードの動力伝達経路について説明する。まず、変速機1で前進走行用のLOWモード(低速モード)を設定する場合を説明する。図2は、LOWモードの動力伝達経路を示す図である。LOWモードでは、第一摩擦クラッチ61が係合する一方、第二摩擦クラッチ62が非係合となる。このため、駆動源Eから入力軸13に伝達された駆動力は、第一摩擦クラッチ61を介して第一伝達ギヤ列51のみに伝達され、第二摩擦クラッチ62の下流側にある第二伝達ギヤ列52には伝達されない。また、LOWモードでは、第三摩擦クラッチ63が係合し第四摩擦クラッチ64が非係合となる。
この結果、図2に示すように、駆動源Eの駆動力は、入力軸13→第一入力経路14→第一伝達ギヤ列51→第二プーリ22→無端ベルト23→第一プーリ21→第一出力経路17→第三摩擦クラッチ63→中間伝達ギヤ列54→最終駆動ギヤ31→最終従動ギヤ32→駆動軸35の経路で駆動輪Wへ伝達される。
次に、変速機1において前進走行用のHIモード(高速モード)を設定する場合を説明する。図3は、HIモードの動力伝達経路を示す図である。HIモードでは、第一摩擦クラッチ61が非係合となる一方、第二摩擦クラッチ62が係合する。また、ドグクラッチ71の移動歯71cは第一受歯71a側(D側)に噛み合う。このため、駆動源Eから入力軸13に伝達された駆動力は、第二摩擦クラッチ62及びドグクラッチ71を介して第二伝達ギヤ列52のみに伝達され、第一伝達ギヤ列51及び第三伝達ギヤ列53には伝達されない。また、このHIモードでは、第三摩擦クラッチ63が非係合となる一方、第四摩擦クラッチ64が係合する。
この結果、図3に示すように、駆動源Eの駆動力は、入力軸13→第二入力経路15→第二伝達ギヤ列52→第一プーリ21→無端ベルト23→第二プーリ22→第二出力経路18→最終駆動ギヤ31→最終従動ギヤ32→駆動軸35の経路で駆動輪Wへ伝達される。
次に、変速機1において後進走行用のRVSモード(後進モード)を設定する場合を説明する。図4は、RVSモードの動力伝達経路を示す図である。RVSモードでは、第一摩擦クラッチ61が非係合となる一方、第二摩擦クラッチ62が係合する。また、ドグクラッチ71の移動歯71cは第二受歯71b側(R側)に噛み合う。このため、駆動源Eから入力軸13に伝達された駆動力は、第二摩擦クラッチ62及びドグクラッチ71を介して第三伝達ギヤ列53のみに伝達され、第一伝達ギヤ列51及び第二伝達ギヤ列52には伝達されない。
この結果、図4に示すように、駆動源Eの駆動力は、入力軸13→第二入力経路15→第三入力経路16→第三伝達ギヤ列53→第二出力経路18→最終駆動ギヤ31→最終従動ギヤ32→駆動軸35の経路で駆動輪Wへ伝達される。このように、本実施形態のRVSモードによれば、無段変速機構20を用いることがない。
ここで、車両の走行状態が後進走行状態から前進走行状態へ移行する際に、上記構成の変速機1でRVSモードからLOWモードへの切り替えを行う際の制御について説明する。変速機1でRVSモードからLOWモードへの切り替えを行うには、第一摩擦クラッチ61を非係合状態から係合状態に切り替えると共に、第二摩擦クラッチ62を係合状態から非係合状態に切り替え、かつ第三摩擦クラッチ63を係合状態に切り替え、その後にドグクラッチ71をR側からD側へ切り替える第一切替制御を行う。
図5は、このRVSモードからLOWモードへの切り替えを行う際の各値の変化について示すタイミングチャートである。同図及び後述する図6のタイミングチャートでは、シフトポジション(レンジセレクタ101で切り替えられたシフトポジション)、車速V、ドグクラッチ71(リバースセレクタ機構70)のストローク(移動歯71cのストローク)、第一〜第四摩擦クラッチ61〜64の供給油圧(第一〜第四クラッチ圧P1〜P4)それぞれの経過時間Tに対する変化を示している。
ここでは、まず運転者によるレンジセレクタ101の操作で、時刻T11にシフトポジションがR(リバース)からD(ドライブ)に切り替わるが、その前(時刻T11以前のリバース駆動中)の段階で既に第一摩擦クラッチ61に油圧が供給されており、第一クラッチ圧P1=PM1となっている。この第一クラッチ圧P1=PM1は、第一摩擦クラッチ61が係合する油圧よりも小さい所定の準備油圧である。この第一クラッチ圧P1=PM1によって第一摩擦クラッチ61の無効ストローク詰めがなされている。
そして、時刻T11にシフトポジションがR(リバース)からD(ドライブ)に切り替わったことで、第一摩擦クラッチ61にさらに油圧が供給されて第一クラッチ圧P1がPM1から上昇する。その一方で、それまで第二摩擦クラッチ62に供給されていた油圧が停止することで、第二クラッチ圧P2が係合圧PX2から低下する。また、第三摩擦クラッチ63にも油圧が供給されることで、それまで0であった第三クラッチ圧P3が上昇を開始する。
そして、時刻T12に第一クラッチ圧P1が係合圧PX1に達することで、該第一クラッチ圧P1の上昇が停止する。これにより第一摩擦クラッチ61の係合が完了する。その後、時刻T3に第三クラッチ圧P3=PM3となる。この第三クラッチ圧P3=PM3は、該第三摩擦クラッチ63が係合する油圧よりも小さい所定の準備油圧である。この第三クラッチ圧P3=PM3によって第三摩擦クラッチ63の無効ストローク詰めがなされている。そして、時刻T14以降、第三摩擦クラッチ63にさらに油圧が供給されて第三クラッチ圧P3がPM3から上昇する。そして、時刻T15に第三クラッチ圧P3が係合圧PX3に達することで、該第三クラッチ圧P3の上昇が停止する。これにより第三摩擦クラッチ63の係合が完了する。こうして、前進用駆動力伝達経路(LOWモード)が形成される。
その後、車速V(R車速)が次第に減少してゆく。車速Vが十分に減少した時刻T16にドグクラッチ71がR側からD側に切り替えられる。すなわちここでは、ドグクラッチ71に入力する差回転が所定値よりも小さな値となったことをもってR側からD側に切り替えられる。その後、時刻T17に車速Vが0となり、以降、車速V(D車速)が上昇してゆく。
次に、車両の前進状態から後進状態への移行において、上記構成の変速機1でLOWモードからRVSモードへの切り替えを行う際の制御について説明する。変速機1でLOWモードからRVSモードへの切り替えを行う際には、第一摩擦クラッチ61を係合状態から非係合状態に切り替えると共に、第二摩擦クラッチ62を非係合状態から係合状態に切り替え、かつ、第三摩擦クラッチ63を係合状態から非係合状態に切り替え、それと同時にドグクラッチ71をD側からR側へ切り替える第二切替制御を行う。
図6は、LOWモードからRVSモードへの切り替えを行う際の各値の変化について示すタイミングチャートである。ここでは、まず運転者によるレンジセレクタ101の操作で時刻T21にシフトポジションがD(ドライブ)からR(リバース)に切り替わる。このとき、ドグクラッチ71のD側からR側への切り替えが開始される。また同時に、それまで第一摩擦クラッチ61に供給されていた油圧が停止することで、第一クラッチ圧P1が係合圧PX1から低下すると共に、それまで第三摩擦クラッチ63に供給されていた油圧が停止することで、第三クラッチ圧P3が係合圧PX3から低下する。その一方で、第二摩擦クラッチ62に油圧が供給されることで、それまで0であった第二クラッチ圧P2が上昇を開始する。その後、時刻T22にドグクラッチのD側からR側への切り替えが完了する。この時刻T22から時刻T23までの間は、第二クラッチ圧P2はPM0となる。このPM0は、第二摩擦クラッチ62が係合する油圧よりも小さい所定の準備油圧である。この第二クラッチ圧P2=PM0によって第二摩擦クラッチ62の無効ストローク詰めがなされている。なお、この時刻T22から時刻T23までの所定時間TMは、ストロークセンサでドグクラッチ71のD側からR側への切り替え完了を検知してからタイマで計測した設定時間が経過するまでの時間である。その後、第二クラッチ圧P2が再び上昇し、時刻T24から時刻T25までの間、第二クラッチ圧P2=PM2(PM2>PM0)となる。この第二クラッチ圧P2=PM2は、第二摩擦クラッチ62が係合する油圧よりも小さい他の所定の準備油圧である。この第二クラッチ圧P2=PM2によって第二摩擦クラッチ62の更なる無効ストローク詰めがなされる。その後、第二クラッチ圧P2が再び上昇し、時刻T26に第二クラッチ圧P2が係合圧PX2に達することで、該第二クラッチ圧P2の上昇が停止する。これにより第二摩擦クラッチ62の係合が完了する。こうしてRVSモードが形成される。
なお、ここではシフトポジションがD(ドライブ)からR(リバース)に切り替わった(ドグクラッチ71のD側からR側への切り替えが開始された)時刻T21以降に第二クラッチ圧P2として準備油圧(PM0又はPM2)を供給する場合を示したが、これ以外にも、時刻T21よりも前の段階から第二クラッチ圧P2として準備油圧(PM0又はPM2)を供給するようにすることも可能である。
その後、車速V(D車速)が次第に減少してゆき、時刻T27に車速Vが0となり、以降、車速V(R車速)が上昇してゆく。
以上説明したように、本実施形態の変速機1では、第一、第二摩擦クラッチ61,62とドグクラッチ71とを有する入力切替機構で駆動力の伝達経路を第三入力経路16から第一入力経路14へ切り替える第一切替制御を行う際に、第二摩擦クラッチ62を非係合とし第一摩擦クラッチ61を係合することで第一入力経路14を選択した後にドグクラッチ71の切り替えを行い、第三入力経路16が選択されているときに、該第三入力経路16から第一入力経路14への切り替えに備えて予め第一摩擦クラッチ61にその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧PM1を供給する第一制御を行うようにした。すなわち、車両の後進走行用経路である第三入力経路16から前進走行用経路である第一入力経路14への切替時のインギヤ応答性を向上させるために、第三入力経路16の選択中に第一摩擦クラッチ61の無効ストロークを詰めた状態で待機するようにした。これにより、第三入力経路16から第一入力経路14へ切り替える制御を行う際に、第一入力経路14への切り替えを迅速に行うことが可能となる。したがって、変速機1で車両の走行状態を後進状態から前進状態へ切り替えるスイッチバック制御を行う際の高い応答性を確保できる。
また、本実施形態の変速機1では、入力切替機構で第一入力経路14から第三入力経路16へ切り替える第二切替制御を行う際に、第一摩擦クラッチ61を非係合としてからドグクラッチ71の切り替えを行い、その後、第二摩擦クラッチ62を係合することで第三入力経路16を選択し、この第二切替制御におけるドグクラッチ71の切り替え中に、第二摩擦クラッチ62にその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧PM2を供給する第二制御を行うようにした。すなわち、車両の前進走行用経路である第一入力経路14から後進走行用経路である第三入力経路16への切替時のインギヤ応答性を向上させるために、ドグクラッチ71の切替中に第二摩擦クラッチ62の無効ストロークを詰めた状態で待機するようにした。これにより、入力切替機構で第一入力経路14から第三入力経路16へ切り替える制御を行う際に、第三入力経路16への切り替えを迅速に行うことが可能となる。したがって、変速機1で車両の走行状態を前進状態から後進状態へ切り替えるスイッチバック制御を行う際の高い応答性を確保できる。
また、本実施形態の変速機1では、第一切替制御を行う際に、第二摩擦クラッチ62を非係合とし第一摩擦クラッチ61を係合することで第一入力経路14を選択し、かつ第三摩擦クラッチ63を係合することで第一出力経路17を選択した後に、ドグクラッチ71の切り替えを行うようにしている。
これによって、ドグクラッチ71にトルクが入力しない状態でドグクラッチ71の切り替えを行うことができるので、ドグクラッチ71をスムーズに切替えることができ、ドグクラッチ71の機構を効果的に保護できる。
また、本実施形態の変速機1では、車速センサ120で検出した車速Vが所定値以上のときは第一制御又は第二制御を禁止するようにしてもよい。これによれば、車速Vが所定値以上のときは第一制御又は第二制御が実施されない。したがって、第一制御又は第二制御によって第一摩擦クラッチ61又は第二摩擦クラッチ62に準備油圧を供給することで、万一、変速機1にインターロック状態が生じた場合でも、車両の挙動に大きな影響が生じることを回避できる。したがって、車両の安全性を確保できる。特に、車速センサ120で検出した車速Vが所定値以上のときは第一制御を禁止することで、車両の後進車速が所定値以上のときに後進状態から前進状態への切り替え(R→D切り替え)が行われないようにすることができる(Dインヒビット)。これにより、後進状態から前進状態への切り替えにおける安全性を確保することができる。
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態を説明する。なお、第二実施形態の説明及び対応する図面においては、第一実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同じである。
図7は、変速機1のLOWモードでのニュートラル状態を示す図である。変速機1では、先の図2に示すLOWモードを設定している状態で、第三摩擦クラッチ63を非係合とすることによって、エンジンEからの駆動力が駆動輪W側に伝達されないニュートラル状態とすることができる。そして、このニュートラル状態から第三摩擦クラッチ63を係合することで、エンジンEの駆動力を駆動輪W側に伝達させて車両を発進させることができる。この際、第三摩擦クラッチ63を係合する前に、予め第三摩擦クラッチ63にその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧(上記の準備油圧PM3に相当する油圧)を供給する制御を行うことができる。すなわち、ニュートラル中に第三摩擦クラッチ63の無効ストロークを詰めた状態で待機するようにする。これにより、第三摩擦クラッチ63の係合による車両の発進を迅速に行うことが可能となる。したがって、第三摩擦クラッチ63を係合して車両を発進させる際の高い応答性を確保できる。
図8は、変速機1におけるRVSモードでのニュートラル状態を示す図である。変速機1では、先の図4に示すRVSモードを設定している状態で、第二摩擦クラッチ62を非係合とすることによって、エンジンEからの駆動力が駆動輪W側に伝達されないニュートラル状態とすることができる。そして、このニュートラル状態から第二摩擦クラッチ62を係合することで、エンジンEの駆動力を駆動輪W側に伝達して車両を発進(後進方向へ発進)させることができる。この際、第二摩擦クラッチ62を係合する前に、予め第二摩擦クラッチ62にその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧(上記の準備油圧PM2に相当する油圧)を供給する制御を行う。すなわち、ニュートラル中に第二摩擦クラッチ62の無効ストロークを詰めた状態で待機するようする。これにより、第二摩擦クラッチ62の係合による車両の発進を迅速に行うことが可能となる。したがって、第二摩擦クラッチ62を係合して車両を発進させる際の高い応答性を確保できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
1 変速機
11 クランクシャフト
12 トルクコンバータ
13 入力軸
14 第一入力経路
15 第二入力経路
16 第三入力経路
17 第一出力経路
18 第二出力経路
20 無段変速機構
21 第一プーリ
22 第二プーリ
23 無端ベルト
30 最終出力機構
31 最終駆動ギヤ
32 最終従動ギヤ
33 ディファレンシャルギヤ
35 駆動軸
51 第一伝達ギヤ列
52 第二伝達ギヤ列
53 第三伝達ギヤ列
54 中間伝達ギヤ列
61 第一摩擦クラッチ
62 第二摩擦クラッチ
63 第三摩擦クラッチ
64 第四摩擦クラッチ
70 前後進切替機構(リバースセレクタ機構)
71 ドグクラッチ
71a 第一受歯
71b 第二受歯
71c 移動歯
101 レンジセレクタ
102 コントローラ(制御手段)
103 油圧供給機構
111,112,114 回転数センサ
120 車速センサ
130 レンジセレクタスイッチ
140 ストロークセンサ
150 ストロークセンサ

Claims (5)

  1. 車両に搭載した駆動源からの駆動力が入力される入力軸と、
    前記入力軸からの駆動力を無段変速機構に伝達する第一、第二入力経路と、
    前記入力軸からの駆動力の回転を前記無段変速機構を介さず逆転して駆動輪に伝達する第三入力経路と、
    前記第一乃至第三入力経路を選択的に切り替える入力切替機構と、を備える変速機であって、
    前記入力切替機構は、
    前記入力軸と前記第一入力経路との間に設けた第一摩擦クラッチと、
    前記入力軸と前記第二、第三入力経路との間に設けた第二摩擦クラッチと、
    前記第二入力経路と前記第三入力経路とを切り替えるドグクラッチを有する前後進切替機構と、を備え、
    前記第一、第二摩擦クラッチは、油圧供給機構により供給油圧が制御されることでその係合/非係合が切り換わる構成であり、
    前記入力切替機構で動力伝達経路を前記第三入力経路から前記第一入力経路へ切り替える第一切替制御を行う際に、前記第二摩擦クラッチを非係合とし前記第一摩擦クラッチを係合することで前記第一入力経路を選択した後に前記ドグクラッチの切り替えを行い、
    前記第三入力経路が選択されているときに、該第三入力経路から前記第一入力経路への切り替えに備えて予め前記第一摩擦クラッチにその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧を供給する第一制御を行うことを特徴とする変速機。
  2. 車両に搭載した駆動源からの駆動力が入力される入力軸と、
    前記入力軸からの駆動力を無段変速機構に伝達する第一、第二入力経路と、
    前記入力軸からの駆動力の回転を前記無段変速機構を介さず逆転して駆動輪に伝達する第三入力経路と、
    前記第一乃至第三入力経路を選択的に切り替える入力切替機構と、を備える変速機であって、
    前記入力切替機構は、
    前記入力軸と前記第一入力経路との間に設けた第一摩擦クラッチと、
    前記入力軸と前記第二、第三入力経路との間に設けた第二摩擦クラッチと、
    前記第二入力経路と前記第三入力経路とを切り替えるドグクラッチを有する前後進切替機構と、を備え、
    前記第一、第二摩擦クラッチは、油圧供給機構により供給油圧が制御されることでその係合/非係合が切り換わる構成であり、
    前記入力切替機構で動力伝達経路を前記第一入力経路から前記第三入力経路へ切り替える第二切替制御を行う際に、前記第一摩擦クラッチを非係合としてから前記ドグクラッチの切り替えを行い、その後、前記第二摩擦クラッチを係合することで前記第三入力経路を選択し、
    前記第二切替制御における前記ドグクラッチの切り替え中に、前記第二摩擦クラッチにその係合油圧よりも小さい所定の準備油圧を供給する第二制御を行うことを特徴とする変速機。
  3. 前記無段変速機構で所定の変速比に変速された駆動力を出力する第一、第二出力経路と、
    前記第一、第二出力経路を選択的に切り替える出力切替機構と、をさらに備え、
    前記出力切替機構は、
    前記無段変速機構と前記第一、第二出力経路それぞれとの間に設けた第三、第四摩擦クラッチを備え、前記第三、第四摩擦クラッチは、前記油圧供給機構により油圧制御されることでその係合/非係合が切り換わる構成であり、
    前記第一切替制御において、さらに前記出力切替機構により前記第三摩擦クラッチを係合することで前記第一出力経路への切り替えが行われることを特徴とする請求項1に記載の変速機。
  4. 前記無段変速機構で所定の変速比に変速された駆動力を出力する第一、第二出力経路と、
    前記第一、第二出力経路を選択的に切り替える出力切替機構と、をさらに備え、
    前記出力切替機構は、
    前記無段変速機構と前記第一、第二出力経路それぞれとの間に設けた第三、第四摩擦クラッチを備え、前記第三、第四摩擦クラッチは、前記油圧供給機構により油圧制御されることでその係合/非係合が切り換わる構成であり、
    前記第二切替制御において、さらに前記出力切替機構により前記第三摩擦クラッチの係合を解除することで前記第三入力経路への切り替えが行われることを特徴とする請求項2に記載の変速機。
  5. 前記車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
    前記車速検出手段で検出した車速が所定値以上のときは前記第一制御又は前記第二制御を禁止することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の変速機。
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