JP2017078222A - 厚鋼板および溶接継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】腐食環境下において、塗膜が一部損傷した場合にも、腐食疲労特性に優れる厚鋼板および溶接継手を提供する。【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.04〜0.60%、Mn:0.50〜1.70%、P:0.025%以下、S:0.020%以下、N:0.0120超〜0.0240%、Sol.Al:0.003〜0.045%、Ti:0.002〜0.040%、Sn:0.03〜0.30%、Zr:0〜0.040%、Nb:0〜0.040%、V:0〜0.040%、B:0〜0.0050%、Cr:0〜0.2%、Mo:0〜0.2%、Cu:0〜0.7%、Ni:0〜3.0%、Ca:0〜0.007%、Mg:0〜0.007%、Ce:0〜0.007%、Y:0〜0.5%、Nd:0〜0.5%、および、残部:Feおよび不純物である、厚鋼板。【選択図】図3

Description

本発明は、厚鋼板および溶接継手に関する。特に、塗膜下の腐食疲労特性に優れた厚鋼板および溶接継手に関する。
橋梁、船舶、建機、建築、海洋構造物、タンク、パイプなどに使用される鋼材は、強度および靭性などの静的な機械的性質、ならびに、溶接施工性に優れていることが要求される。さらに、使用時には定常的な繰返し荷重、および、風、地震などに起因する非定常な繰返し荷重を受けるので、繰返し荷重に対する強度健全性を確保することも、鋼材特性として要求される。つまり、繰返し荷重に対する健全性、言い換えれば、疲労強度健全性に優れていることが鋼材に要求される。
さらに、近年、応力解析精度の向上、および、破壊メカニズムの解明などによって、脆性破壊および延性破壊に対する防止技術が進化するのに伴い、破壊原因に占める疲労破壊の相対的な比率が高まっている。そのため、疲労破壊を防止することが、設計、施工および保全の各段階において、最も重要な技術課題のひとつになっている。疲労破壊は、大気中のみならず、腐食環境中でも腐食損傷が重畳することにより生じる。このような疲労破壊を、腐食疲労破壊という。
構造物の腐食疲労破壊形態として、定常または非定常の繰返し荷重により、腐食ピット底から疲労き裂が発生し、それらが成長と合体とを繰返して巨視的な疲労き裂に成長し、終局的な破壊に至ることが知られている。上記破壊形態に対して、疲労き裂発生の抑制、すなわち、疲労強度の向上には、腐食ピットの生成を抑制することが最も重要である。したがって、各産業分野において、鋼材による腐食疲労特性の改善が強く求められている。
特許文献1では、Snを0.02〜0.40%含有させることにより、耐食性を向上させたバラストタンク用鋼材が開示されている。また、特許文献2では、Snを0.03〜0.50%含有させることにより、耐食性を向上させた鋼材が開示されている。
特開2012−057236号公報 国際公開第2011/102244号
疲労特性に関して、特許文献1では、溶接部が継手疲労特性に優れていることを記載しているものの、母材の疲労特性については一切記載されていない。母材および溶接継手は、金属組織、溶接残留応力、および、余盛り止端の有無により、疲労特性が大きく異なる。また、疲労特性に関して、特許文献2では、母材が疲労き裂進展特性に優れていることを記載しているものの、母材の疲労特性については一切記載されていない。疲労き裂進展特性および疲労特性は、それぞれ、疲労き裂が発生した後の特性、および、疲労き裂が発生するまでの特性を表す。したがって、両特性は、大きく異なる。
一般的に、母材の疲労特性は、母材の静的強度を高めることにより、向上することが知れらている。しかしながら、溶接継手の疲労特性は、母材の静的強度を高めても向上しない。また、母材の静的強度が上昇すると、溶接鋼構造物施工時に、曲げ加工性および溶接施工性を大きく阻害する。したがって、従来の鋼と同様の曲げ加工性および溶接施工性を維持するためには、母材の静的強度を上昇させることなく、母材の疲労特性を向上させる必要がある。特に、腐食損傷と疲労損傷とが重畳する使用環境下、具体的には、腐食損傷を抑制するために鋼板表面に施した塗膜が、局所的に損傷、剥離した状態において、腐食疲労特性に優れる鋼材が求められている。
本発明は、腐食環境下において、塗膜が一部損傷した場合にも、腐食疲労特性に優れる厚鋼板および溶接継手を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、下記の厚鋼板および溶接継手にある。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.10%、
Si:0.04〜0.60%、
Mn:0.50〜1.70%、
P:0.025%以下、
S:0.020%以下、
N:0.0120超〜0.0240%、
Sol.Al:0.003〜0.045%、
Ti:0.002〜0.040%、
Sn:0.03〜0.30%、
Zr:0〜0.040%、
Nb:0〜0.040%、
V:0〜0.040%、
B:0〜0.0050%、
Cr:0〜0.2%、
Mo:0〜0.2%、
Cu:0〜0.7%、
Ni:0〜3.0%、
Ca:0〜0.007%、
Mg:0〜0.007%、
Ce:0〜0.007%、
Y:0〜0.5%、
Nd:0〜0.5%、および、
残部:Feおよび不純物であり、かつ、
Sn含有量と、下記式(i)で表されるフリー窒素パラメータNとが、下記式(ii)を満足する、厚鋼板。
=N−14×(Sol.Al/27+Ti/47.9+Zr/91.2+Nb/92.9+V/50.9+B/10.8) ・・・(i)
(Sn−0.03)×(N+0.015) ≧ 0.0002 ・・・(ii)
ただし、(i)式および(ii)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
(2)前記化学組成が、質量%で、
Cr:0.02〜0.2%、
を含有する、前記(1)に記載の厚鋼板。
(3)前記化学組成が、質量%で、
Mo:0.03〜0.2%
を含有する、前記(1)または(2)に記載の厚鋼板。
(4)前記化学組成が、質量%で、
Zr:0.002〜0.040%、
Nb:0.006〜0.040%、および、
V:0.007〜0.040%、
から選択される1種以上を含有する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の厚鋼板。
(5)前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.1〜0.7%、および
Ni:0.2〜3.0%、
から選択される1種以上を含有する、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の厚鋼板。
(6)前記化学組成が、質量%で、
B:0.0006〜0.0050%
を含有する、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の厚鋼板。
(7)前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.0015〜0.007%、
Mg:0.0005〜0.007%、
Ce:0.0005〜0.007%、
Y:0.01〜0.5%、および、
Nd:0.01〜0.5%、
から選択される1種以上を含有する、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の厚鋼板。
(8)下記式(iii)で表される固溶窒素量Sol.Nの値が0.0120を超える、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の厚鋼板。
Sol.N=N−14×(Sol.Al/759+Ti/382+Zr/91.2+Nb/152−V/311−B/457) ・・・(iii)
ただし、(iii)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
(9)上記(8)に記載の複数枚の厚鋼板が互いに溶接されている、溶接継手。
本発明によれば、腐食環境下において、塗膜が一部損傷した場合にも、腐食疲労特性に優れる厚鋼板および溶接継手を提供することができる。
母材の腐食疲労試験片の形状および寸法 母材の腐食疲労試験結果 フリー窒素パラメータNと、Sn含有量と、腐食疲労特性との関係 継手に相当する試験片の形状および寸法 溶接継手の腐食疲労試験結果
本発明者らは、腐食環境下において、塗膜が一部損傷した場合であっても、腐食疲労特性に優れる厚鋼板および溶接継手を得るために鋭意検討を行った。その結果、下記の知見を得るに至った。
鋼材の耐食性は、適切な量のSnを含有させ、さらに、他の化学成分を調整することにより、向上する。一方、鋼材の疲労特性は、窒素を含有させ、転位を固着させることにより向上することが、実験的に明らかになっている。これは、転位の移動を抑制することにより、疲労き裂発生の前段階であるセル構造の形成を遅らせている。
そこで、本発明者らは、Snおよび窒素に着目し、化学組成を適切に設定することができれば、耐食性および疲労特性の両立が可能であるという着想に至った。上記着想に基づき、試作材を準備し、腐食疲労特性を詳細に評価したところ、耐疲労耐食鋼材、すなわち、耐食性と疲労特性とを両立した、腐食疲労特性に優れた鋼材を見出すことができた。
腐食疲労特性を向上させるメカニズムとしては、Snを含有させることにより耐食性を向上させるメカニズムをそのまま活用するともに、化学組成を適切に設定することにより、窒素を活用して転位を固着させ、転位の移動を抑制することによって疲労特性を向上させた。なお、窒素を含有させると、加工硬化などを促進するため、脆性破壊の原因となる場合がある。このため、従来、材料開発指針として、窒素の含有量を減少させることが一般に定着していた。しかしながら、詳細な検討を行うことにより、靭性に悪影響を及ぼす窒素を含有する鋼材においても、化学組成を適切に設定してミクロ組織を細粒化することで、脆化を抑制しつつ、転位のセル構造形成を抑制することが可能となった。すなわち、窒素を含有する鋼材において、脆化を抑制しつつ疲労特性を向上させることが可能となった。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。まず、本発明に係る厚鋼板(母材)の化学組成について説明する。なお、本発明において厚鋼板とは、5〜600mmの厚みを有する鋼板のことをいう。
(A)厚鋼板(母材)の化学組成について
各元素の作用効果と、含有量の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.01〜0.10%
Cは、母材の強度を高める作用を有する元素である。この効果を得るため、C含有量は、0.01%以上とする必要がある。一方、C含有量が0.10%を超えると、母材の疲労き裂進展特性が不芳となる。したがって、C含有量は0.01〜0.10%とする。なお、Cは安価な元素である。母材の強度を高める作用を有する他の添加元素を抑制し、経済的に母材の強度を確保する。そのため、C含有量は、0.03%以上であることが好ましい。
Si:0.04〜0.60%
Siは、鋼を脱酸するために必要な元素である。Si含有量が0.04%未満では、適切な脱酸効果を期待できない。一方、Si含有量が0.60%を超えると、母材の靱性が劣化し始め、構造用鋼としての適正を欠くこととなる。したがって、Si含有量は、0.04〜0.60%とする。Si含有量は、0.20%以上であることが好ましく、0.50%以下であることが好ましい。
Mn:0.50〜1.70%
Mnは、Cと同様に、母材の強度を確保し、かつ、母材の疲労き裂進展特性を向上させるのに有効な元素である。この効果を得るため、Mn含有量は、0.50%以上とする必要がある。一方、Mn含有量が1.70%を超えると、母材の靱性劣化が顕著となる。したがって、Mn含有量は、0.50〜1.70%とする。Mn含有量は、0.80%以上であることが好ましく、1.55%以下であることが好ましい。
P:0.025%以下
Pは、不純物元素であり、中心偏析を助長するなど、母材の靭性を劣化させる。そのため、本発明においては、P含有量を0.025%以下とする。P含有量は、0.018%以下であることが好ましい。
S:0.020%以下
Sは、不純物元素である。Sが0.020%を超えて多量に存在する場合、MnS等の割れの起点となり得る介在物が形成されることにより、母材の靭性が低下する。そのため、S含有量は、0.020%以下とする。母材の靭性を確保するため、S含有量は、0.015%以下であることが好ましく、0.006%以下であることがより好ましい。
N:0.0120超〜0.0240%
Nは、転位を固着させることにより、転位セルの形成を阻害する。この効果を得るため、Nは、0.0120%を超えて含有させる必要がある。一方、N含有量が0.0240%を超えると、母材の靱性が損なわれ始める。したがって、N含有量は、0.0120超〜0.0240%とする。N含有量は、0.0150%以上であることが好ましく、0.0180%以下であることが好ましい。
Sol.Al:0.003〜0.045%
Sol.Alは、脱酸作用を有する元素である。この効果を得るため、Sol.Alは、0.003%以上含有させる必要がある。一方、Sol.Al含有量が0.045%を超えると、溶接部に硬質の島状マルテンサイトが多数生成する。その結果、この島状マルテンサイトが破壊起点となり、継手の靱性が劣化する。したがって、Sol.Al含有量は、0.003〜0.045%とする。より十分な継手の靱性を確保するため、Sol.Al含有量は、0.020%以下であることが好ましい。
Ti:0.002〜0.040%
Tiは、炭化物を生成することにより、軟質部を細粒化して強化するため、母材の疲労き裂進展特性を向上させるのに有効な元素である。この効果を得るため、Tiは、0.002%以上含有させる必要がある。一方、Ti含有量が0.040%を超えると、母材の疲労き裂進展特性を向上させる効果が飽和するだけでなく、母材の強度が上昇しすぎる。その結果、母材の靱性が損なわれる。したがって、Ti含有量は、0.002〜0.040%とする。Ti含有量は、0.005%以上であることが好ましく、0.030%以下であることが好ましい。
Sn:0.03〜0.30%
Snは、Sn2+となって溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。また、Fe3+を速やかに還元させ、酸化剤としてのFe3+濃度を低減する作用を有することにより、Fe3+の腐食促進作用を抑制するので、高飛来塩分環境における耐候性を向上させる。また、Snには、鋼のアノード溶解反応を抑制することにより、耐食性を向上させる作用がある。これらの効果を得るため、Snは、0.03%以上含有させる必要がある。一方、Sn含有量が0.30%を超えると、上記効果が飽和するとともに、母材の靱性が劣化する。したがって、Sn含有量は、0.03〜0.30%とする。Sn含有量は、0.05%以上であることが好ましく、0.20%以下であることが好ましい。
Zr:0〜0.040%
Nb:0〜0.040%
V:0〜0.040%
Zr、NbおよびVは、いずれも、CおよびNの化合物として析出し、結晶粒を微細化させ、母材の靱性を向上させるのに有効な作用をする。しかしながら、Zr、NbおよびVの含有量が、それぞれ0.040%を超えると、顕著な効果を示さなくなる。したがって、Zr、NbおよびVの含有量は、それぞれ0.040%以下とする。これらの元素の下限は特に定めないが、母材の靭性をより向上させるため、Zrを0.002%以上、Nbを0.006%以上、Vを0.007%以上含有させることが好ましい。
B:0〜0.0050%
Bは、BNとして析出し、フェライト変態を促進させる。しかしながら、B含有量が0.0050%を超えると、継手の靱性が低下する。したがって、B含有量は、0.0050%以下とする。また、フェライト変態をより促進させるため、B含有量は、0.0006%以上であることが好ましい。
Cr:0〜0.2%
Crは、母材の強度を高める作用があり、かつ、母材の疲労き裂進展特性を向上させるのに有効であるため、含有させてもよい。しかしながら、Crを過剰に含有させると、母材の靱性が劣化するだけでなく、塗膜下での耐食性を劣化させる。そのため、Crを含有させる場合、その含有量は0.2%以下とする。また、母材の強度および疲労き裂進展特性をより向上させるため、Cr含有量は、0.02%以上であることが好ましく、0.04%以上であることがより好ましい。
Mo:0〜0.2%
Moは、焼入れ性を高めて、母材の強度を高めるのに有効な元素であるため、含有させてもよい。しかしながら、Mo含有量が0.2%を超えると、母材の靱性の劣化を引き起こすばかりでなく、コスト上昇を招く。そのため、Moを含有させる場合、その含有量は0.2%以下とする。また、母材の強度をより高めるため、Mo含有量は、0.03%以上であることが好ましい。
Cu:0〜0.7%
Cuは、母材の強度を高める作用があるので、含有させてもよい。しかしながら、Cu含有量が0.7%を超えると、母材の靱性が劣化する。そのため、Cuを含有させる場合、その含有量は0.7%以下とする。Cu含有量は、0.5%以下であることが好ましい。また、母材の強度をより高めるため、Cu含有量は0.1%以上であることが好ましく、0.3%以上であることがより好ましい。
Ni:0〜3.0%
Niは、母材の強度を高める作用があり、かつ、母材の疲労き裂進展特性を向上させるのに有効であるため、含有させてもよい。しかしながら、Ni含有量が3.0%を超えると、コスト上昇に見合うだけの強度が得られないとともに、疲労き裂進展特性を向上させる効果も飽和する。そのため、Niを含有させる場合、その含有量は3.0%以下とする。また、母材の強度を高め、かつ、母材の疲労き裂進展特性をより向上させるため、Ni含有量は、0.2%以上であることが好ましい。
Ca:0〜0.007%
Caは、組織微細化を通して母材の靭性を向上させるため、含有させてもよい。しかしながら、Ca含有量が0.007%を超えると、Ca介在物の量が過剰となり、かえって母材の靭性が劣化する。したがって、Caを含有させる場合、その含有量は0.007%以下とする。Ca含有量は、0.003%以下であることが好ましい。また、母材の靭性をより向上させるため、Ca含有量は、0.0015%以上であることが好ましい。
Mg:0〜0.007%
Mgは、組織微細化を通して母材の靭性を向上させるため、含有させてもよい。しかしながら、Mg含有量が0.007%を超えると、Mg介在物の量が過剰となり、Caと同様に母材の靭性が劣化する。したがって、Mgを含有させる場合、その含有量は0.007%以下とする。Mg含有量は、0.003%以下であることが好ましい。また、母材の靭性をより向上させるため、Mg含有量は、0.0005%以上であることが好ましい。
Ce:0〜0.007%
Ceは、組織微細化を通して母材の靭性を向上させるため、含有させてもよい。しかしながら、Ce含有量が0.007%を超えると、Ce介在物の量が過剰となり、かえって母材の靭性が劣化する。したがって、Ceを含有させる場合、その含有量は0.007%以下とする。Ce含有量は、0.003%以下であることが好ましい。また、母材の靭性をより向上させるため、Ce含有量は、0.0005%以上であることが好ましい。
Y:0〜0.5%
Yは、組織微細化を通して母材の靭性を向上させるため、含有させてもよい。しかしながら、Y含有量が0.5%を超えると、Y介在物の量が過剰となり、かえって母材の靭性が劣化する。したがって、Yを含有させる場合、その含有量は0.5%以下とする。Y含有量は、0.05%以下であることが好ましい。また、母材の靭性をより向上させるため、Y含有量は、0.01%以上であることが好ましい。
Nd:0〜0.5%
Ndは、組織の微細化を通して母材の靭性を向上させるため、含有させてもよい。しかしながら、Nd含有量が0.5%を超えると、Nd介在物の量が過剰となり、かえって母材の靭性が劣化する。したがって、Ndを含有させる場合、その含有量は0.5%以下とする。Nd含有量は、0.05%以下であることが好ましい。また、母材の靭性をより向上させるため、Nd含有量は、0.01%以上であることが好ましい。
本発明の厚鋼板は、上記の元素を含有し、残部はFeおよび不純物である化学組成を有する。「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
(B)フリー窒素パラメータNについて
本発明は、転位の移動阻止に固溶窒素を積極的に活用し、疲労特性が向上することに特徴がある。固溶窒素は、靱性を劣化させる。そのため、従来、固溶窒素の含有量の抑制のみが追及されてきた。しかしながら、脆化に繋がる固溶窒素は、粒内に存在する窒素である。そのため、窒素を母材の粒界に留めることができれば、脆化を回避できる。細粒組織を安定して製造し、固溶窒素を適量の範囲に精度よく制御すれば、脆化を抑制しつつ疲労特性を改善することが可能となる。ここで、固溶窒素量とは、添加されている総窒素量から、窒化物として析出された分を差し引いた残りの窒素量である。固溶窒素量は、析出物を濾過するなど、精緻な測定を経なければ正確に確定できないが、窒化物生成元素量を用いて、下記(i)式から固溶窒素量の概略を見積もることができる。なお、下記(i)式から得られる数値を、フリー窒素パラメータNと呼ぶ。
=N−14×(Sol.Al/27+Ti/47.9+Zr/91.2+Nb/92.9+V/50.9+B/10.8) ・・・(i)
ただし、(i)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
なお、フリー窒素パラメータが正となった場合にのみ、固溶窒素が存在するようにも思えるが、いずれの窒化物生成元素も、全量が窒化物を形成する訳ではない。よって、フリー窒素パラメータが負の数値であっても、ある閾値以上であれば、固溶窒素は存在し、疲労特性は向上する。なお、疲労特性をより向上させるためには、フリー窒素パラメータを正の値でより大きくすることが望ましい。
母材(厚鋼板)の腐食疲労特性の向上には、耐食性の向上と疲労特性の向上とがともに必要である。母材の耐食性に関しては、今回の検討範囲では、Sn含有量にほぼ依存していた。一方、母材の疲労特性に関しては、今回の検討範囲では、フリー窒素パラメータNがほぼ一義的に特性を規定していた。ただし、本発明者らの詳細な検討の結果、単に、Sn含有量およびフリー窒素パラメータNを調整するだけでは、母材の腐食疲労特性を適切に向上させることができないことが分かった。
そこで、本発明者らは、Sn含有量およびフリー窒素パラメータNが、腐食疲労特性にどのように影響しているかを検討した。その結果、母材の腐食疲労特性の優劣は、(Sn−定数)と(フリー窒素パラメータN+定数)との積で表現し得ることを、新たに見出した。より詳細には、母材腐食疲労特性に優れる鋼材のグループと、劣る鋼材のグループとの境界は、(Sn−0.03)×(N+0.015)=0.0002で表わされる。したがって、母材腐食疲労特性に優れる鋼材の要件として、(Sn−0.03)×(N+0.015)≧0.0002を規定した。母材腐食疲労特性をより向上させるためには、(Sn−0.06)×(N+0.015)≧0.001を満たすことが好ましい。なお、式中のSnは、Snの含有量(質量%)を表す。
(C)溶接継手について
溶接継手の溶接熱影響部(HAZ)のように、加熱後急冷される部分では、窒素が均等に分散している。本発明者らは、溶接熱影響部の固溶窒素量について、数十点の測定値を用いて下記の近似式(iii)を導出した。以下、下記式(iii)から得られる数値を、溶接熱影響部の固溶窒素量Sol.Nと呼ぶ。
Sol.N=N−14×(Sol.Al/759+Ti/382+Zr/91.2+Nb/152−V/311−B/457) ・・・(iii)
ただし、(iii)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
上述したように、固溶窒素は靱性を劣化させるため、従来、含有量の抑制のみが追及されてきた。しかしながら、本発明者らの検討の結果、溶接熱影響部における固溶窒素量を注意深く管理することによって、溶接熱影響部の脆化を抑制できることが分かった。具体的には、溶接熱影響部の脆化を抑制する観点から、固溶窒素量Sol.Nを正の値でより大きくなるように母材の化学組成を調整することが好ましいことが分かった。
なお、溶接継手の腐食疲労特性の向上には、溶接熱影響部における耐食性の向上および疲労特性の向上がともに必要である。本発明者らの検討の結果、溶接熱影響部の耐食性は、Sn含有量にほぼ依存していた。一方、溶接熱影響部の疲労特性に関しては、固溶窒素量Sol.Nがほぼ一義的に特性を規定していた。具体的には、固溶窒素量Sol.Nの値は、正の値でより大きいことが好ましい。ただし、本発明者らの詳細な検討の結果、単に、Sn含有量および固溶窒素量Sol.Nを調整するだけでは、溶接熱影響部の腐食疲労特性を向上させることができないことが分かった。
そこで、本発明者らがさらに詳細な検討を行った結果、溶接熱影響部の腐食疲労特性の向上の観点からは、Sn含有量およびフリー窒素パラメータNが、上述の(Sn−0.03)×(N+0.015)≧0.0002の関係を満たすとともに、上述の固溶窒素量Sol.Nの値が、0.0120を超えることが好ましいことが分かった。
(D)厚鋼板(母材)の製造方法
本発明に係る厚鋼板の製造方法については、特に制限は設けないが、例えば、上記で説明した化学組成を有するスラブを加熱した後、熱間圧延し、最後に冷却することにより製造することができる。
冷却速度は、15℃/s以上であることが好ましい。冷却速度が15℃/s未満であると、金属組織が粗粒となり、母材の靱性が不芳となる場合がある。
(E)溶接継手の製造方法
本発明に係る溶接継手の製造方法については、特に制限は設けないが、上記で説明した厚鋼板を、例えば、CO溶接法を用いて溶接することにより製造することができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<圧延母材の製造>
表1に示す鋼種No.a〜z、A〜Eの化学成分を有する鋼材をラボ設備である150kg真空溶解炉にて溶解し、インゴットを幅120mm、厚さ100mmに熱間鍛造した。その後、長手方向が圧延方向となるように、熱間圧延を行った。圧延終了後、鋼板温度が830℃の状態から冷却槽へ浸漬させ15℃/s以上の加速水冷を行い、室温程度まで冷却を行った。これにより得られた鋼種No.a〜z、A〜Eの圧延母材から各種試験片を採取し、下記の材料特性を測定した。
Figure 2017078222
<母材疲労き裂進展特性>
鋼種No.a〜z、A〜Eの圧延母材から、CT(Compact Type)試験片を採取した。CT試験片の代表寸法Wは、50mmであった。また、試験片の厚さBは15mmであった。試験片は、LT方向、すなわち、負荷方向が圧延方向であり、疲労き裂進展方向が圧延直角方向である。この試験片に対し、疲労予き裂を導入した後、予き裂導入時の応力拡大係数範囲ΔKを超えないように、ΔK16〜30MPa√mの範囲にて、荷重制御下で応力比R0.1の条件下において、疲労き裂進展試験を実施した。その結果、疲労き裂進展速度da/dNが7×10−5mm/cycleを超えるものは、母材疲労き裂進展特性が不芳な鋼材であるとして、その後の腐食疲労特性評価を行わなかった。具体的には、試験No.9、10、15および24が、母材疲労き裂進展特性不芳に該当した。
<母材引張特性>
鋼種No.a〜z、A〜Eの圧延母材から、丸棒試験片を2つずつ採取した。採取方向は、試験片長手方向が圧延直角方向となるようにし、試験片中心と板厚t/2が一致するようにした。各2つの試験片の引張試験を室温大気中にて実施し、得られた2つの値の平均値が1000MPaを超えるものを、強度過多として、母材引張特性が不芳と見なした。母材引張特性が不芳な鋼材に対しては、その後の腐食疲労特性評価を行わなかった。具体的には、試験No.11および15が、母材引張特性不芳に該当した。
<母材靭性>
鋼種No.a〜z、A〜Eの圧延母材から、10×10×55mmのシャルピー衝撃試験片を3つずつ採取した。板厚貫通切欠き部は、2mm深さのVノッチとした。試験片の採取方向は、試験片長手方向が圧延方向となるようにし、試験片中心と板厚t/2が一致するようにした。各3つの試験片の衝撃試験を0℃にて実施し、得られた3つの値の平均値が100J未満の場合を、母材靭性不芳と見なした。母材靭性が不芳な鋼材に対しては、その後の腐食疲労特性評価を行わなかった。具体的には、試験No.12、14、16〜18、23および25が、母材靱性不芳に該当した。
<継手靭性>
鋼種No.a〜z、A〜Eの圧延母材から、11×11×60mmの熱サイクル付与用の試験片を3つずつ採取した。この試験片に対し、Heガス冷却機能付きの誘導加熱装置を用いて、室温から1400℃まで、熱電対で温度計測および温度制御を行いながら、40℃/sの昇温速度で急速加熱した。その後、1400℃で5秒間保持した後、Heガスを用いて、40℃/sの冷却速度を目標値として、急速冷却した。この加熱、保温および冷却の熱サイクルは、16mm鋼板に対し、1.5kJ/mmの溶接入熱にて溶接施工がなされた時の熱履歴を模擬している。上記熱サイクル付与後に、11×11×60mmの熱サイクル付与用の試験片から10×10×55mmのシャルピー衝撃試験片を採取した。切欠き部は2mm深さのVノッチとした。各3つのシャルピー衝撃試験片の再現HAZ材の衝撃試験を、0℃にて実施し、得られた3つの値の平均値が27J未満の場合を、継手靱性不芳と見なした。継手靱性が不芳な鋼材に対しては、その後の腐食疲労特性評価を行わなかった。具体的には、試験No.21が、継手靱性不芳な鋼材に該当した。
<脱酸>
鋼種No.a〜z、A〜Eの圧延母材から、化学分析サンプルを採取し、鋼中の総酸素量を分析した。その結果、総酸素量が120ppmを超える場合に、鋼材の脱酸不足と判断した。脱酸不足の鋼材に対しては、その後の腐食疲労特性強度評価を行わなかった。具体的には、試験No.13および22が、脱酸不足の鋼材に該当した。
以上、母材の疲労き裂進展特性、母材の引張特性、母材の靭性、継手の靭性、および、脱酸の良否の結果を、表2にまとめて示す。上記5つの材料特性の内、ひとつでも不芳な圧延母材は、構造用鋼としての適用性を著しく欠くため、その後の腐食疲労特性を評価しなかった。
Figure 2017078222
<厚鋼板(母材)の腐食疲労特性>
(試験片の製造)
まず、鋼種a〜h、s、t、zおよびB〜Eについて、図1に示す形状および寸法の腐食疲労試験片を準備した。該試験片の表面には、下地処理を行った後、厚膜形エポキシ系さび止め塗料(BANNOH−200、中国塗料製)を塗装することにより、膜厚150〜200μmの塗膜が形成されている。また、前記塗膜の表面には、卦書き用カッターナイフを用いて作製した直線状の切込みが形成されている。前記切込み部からは、鋼板が露出していることを確認した。なお、図1に示す各稜線には、面取りR1が施されている。
次に、前記試験片を腐食させながら、同時に疲労試験を実施した。腐食は、ASTM規格に準拠した人工海水を用いて、該人工海水の噴霧による湿潤、および、温風による乾燥を、表3に示す条件で繰返すことにより行った。なお、試験片は、連続長繊維不織布で覆った。
Figure 2017078222
腐食環境中に試験片を設置して、軸力疲労試験を行った。軸力疲労試験は、荷重制御で、応力範囲:230MPa、応力比(最小応力/最大応力):0.1、繰返し速度:1.7Hzの条件で行った。ここで、最大荷重時の変位が、初期状態から1mm増した時点を疲労寿命と定義した。前記疲労寿命において、試験片には表面長さ数mm程度、深さ1mm程度の疲労き裂が進展した状態であった。
腐食疲労試験の結果を表2および図2に示す。なお、表2においては、疲労寿命が5.0×10回以上であった場合の判定結果を“◎”で示し、疲労寿命が3.0×10回以上であった場合の判定結果を“○”で示し、疲労寿命が3.0×10回未満であった場合の判定結果を“×”で示している。表2および図2から分かるように、本発明例の鋼材は、母材の疲労き裂進展特性、母材の引張特性、母材の靭性、継手の靭性および脱酸のいずれの材料特性にも優れる上、疲労寿命が3×10回以上であることから、腐食疲労特性にも良好であることが確認された。
図3は、フリー窒素パラメータNと、Sn含有量と、腐食疲労特性との関係を示す。図3から分かるように、フリー窒素パラメータNおよびSn含有量が、(Sn−0.03)×(N+0.015)≧0.0002を満たす場合、腐食疲労特性は良好であった。また、フリー窒素パラメータNおよびSn含有量が、さらに、(Sn−0.06)×(N+0.015)≧0.001を満たす場合、腐食疲労特性はより良好であった。
<溶接継手の腐食疲労特性>
(試験片の製造)
鋼種a〜f、A〜Eの圧延母材から、長さ(圧延方向の長さ)が250mmで、幅(圧延方向に直角な方向の長さ)が500mmの主板をそれぞれ採取した。溶接継手において形成される溶接ビードを想定して、上記の主板の表面に、溶接ビードを形成した。溶接ビードは、CO溶接法を利用して形成した。溶接材料としては、日鐡住金溶接工業製のNS1を用いた。溶接入熱の狙い値は、1.5kJ/mmとした。このようにして、溶接ビードを形成した主板を幅方向に短冊加工することによって、図4に示す形状および寸法の試験片(継手に相当する試験片)を準備した。なお、図4に示す試験片の長手方向が、圧延方向である。
図4に示すように、試験片の中央部の15mm×15mmの領域(以下、保護部という。)を粘着テープで保護し、保護部以外の領域に、図1の腐食疲労試験片と同じ条件で塗膜を形成した。以下、このようにして塗膜が形成された試験片を、継手試験片という。なお、継手試験片においても、図1の腐食疲労試験片と同様に、面取りを行っている。
鋼種a〜f、A〜Eの圧延母材からそれぞれ得られた継手試験片について、上記保護部を評価部として、母材の腐食疲労試験と同様の条件で、乾湿繰返し腐食疲労試験を実施した。継手試験片の腐食疲労試験の結果を表2および図5に示す。なお、表2においては、疲労寿命が9.0×10回以上であった場合の判定結果を“◎”で示し、疲労寿命が3.0×10回以上であった場合の判定結果を“○”で示し、疲労寿命が3.0×10回未満であった場合の判定結果を“×”で示している。表2および図5から分かるように、固溶窒素量Sol.Nが0.0120を超える鋼種a〜e、AおよびC〜Eを用いた継手試験片(試験No.1〜5、27および29〜31)は、疲労寿命が3.0×10回以上であることから、腐食疲労特性に優れることが確認された。
本発明によれば、腐食環境下において、塗膜が一部損傷した場合にも、腐食疲労特性に優れる厚鋼板および溶接継手を提供することができる。したがって、本発明の厚鋼板および溶接継手は、橋梁、船舶、建機、建築、海洋構造物、タンク、パイプなどに好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.01〜0.10%、
    Si:0.04〜0.60%、
    Mn:0.50〜1.70%、
    P:0.025%以下、
    S:0.020%以下、
    N:0.0120超〜0.0240%、
    Sol.Al:0.003〜0.045%、
    Ti:0.002〜0.040%、
    Sn:0.03〜0.30%、
    Zr:0〜0.040%、
    Nb:0〜0.040%、
    V:0〜0.040%、
    B:0〜0.0050%、
    Cr:0〜0.2%、
    Mo:0〜0.2%、
    Cu:0〜0.7%、
    Ni:0〜3.0%、
    Ca:0〜0.007%、
    Mg:0〜0.007%、
    Ce:0〜0.007%、
    Y:0〜0.5%、
    Nd:0〜0.5%、および、
    残部:Feおよび不純物であり、かつ、
    Sn含有量と、下記式(i)で表されるフリー窒素パラメータNとが、下記式(ii)を満足する、厚鋼板。
    =N−14×(Sol.Al/27+Ti/47.9+Zr/91.2+Nb/92.9+V/50.9+B/10.8) ・・・(i)
    (Sn−0.03)×(N+0.015) ≧ 0.0002 ・・・(ii)
    ただし、(i)式および(ii)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Cr:0.02〜0.2%、
    を含有する、請求項1に記載の厚鋼板。
  3. 前記化学組成が、質量%で、
    Mo:0.03〜0.2%
    を含有する、請求項1または2に記載の厚鋼板。
  4. 前記化学組成が、質量%で、
    Zr:0.002〜0.040%、
    Nb:0.006〜0.040%、および、
    V:0.007〜0.040%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板。
  5. 前記化学組成が、質量%で、
    Cu:0.1〜0.7%、および、
    Ni:0.2〜3.0%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の厚鋼板。
  6. 前記化学組成が、質量%で、
    B:0.0006〜0.0050%
    を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の厚鋼板。
  7. 前記化学組成が、質量%で、
    Ca:0.0015〜0.007%、
    Mg:0.0005〜0.007%、
    Ce:0.0005〜0.007%、
    Y:0.01〜0.5%、および、
    Nd:0.01〜0.5%、
    から選択される1種以上を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の厚鋼板。
  8. 下記式(iii)で表される固溶窒素量Sol.Nの値が0.0120を超える、請求項1〜7のいずれかに記載の厚鋼板。
    Sol.N=N−14×(Sol.Al/759+Ti/382+Zr/91.2+Nb/152−V/311−B/457) ・・・(iii)
    ただし、(iii)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
  9. 請求項8に記載の複数枚の厚鋼板が互いに溶接されている、溶接継手。
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