JP2017077247A - ノロウイルスの不活性化方法、ノロウイルス不活性化用発光ダイオード、およびノロウイルスの不活性化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 次亜塩素酸を含むノロフィルスの不活性処理剤、および/または水銀ランプを使用することなく、さらには加熱処理を実施しなくても、ノロウイルスを不活性化できる新規な方法を提供し、従来対応が難しかった対象物であっても、ノロフィルスを不活性化できる方法を提供する。【解決手段】 発光ピーク波長が260〜300nmの範囲に存在する紫外光をノロウイルスに照射することを特徴とするノロウイルスの不活性化方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、ノロウイルスの新規な不活性化方法、新規なノロウイルス不活性化用発光ダイオード、およびノロウイルスの新規な不活性化装置に関する。
近年、ノロウイルスは、食中毒の原因の大多数を占め、調理師などから不特定多数の人に感染し大きな問題となっている。ノロウイルスの感染を防ぐためには、学校、病院、宿泊施設、介護施設等の調理場、トイレ等における不活性化、即ち、ウイルスの持つ働きを完全に抑える不活化(殺菌)対策が重要となる。
ノロウイルスは、感染者が接触した物品等を介して容易に感染が広がる。そして、ノロウイルス(Norovirus)は、カリシウイルス科ノロウイルス属に分類されるインフルエンザウイルス等とは異なり、エンベロープという直径約30nmの脂質の膜を持たないプラス鎖の一本鎖RNAウイルスであり、アルコールや界面活性剤に対する耐性が高く、アルコール・石鹸による洗浄では不活性化できないことが知られている。そのため、通常、推奨されている不活性化方法としては、殺菌対象物を85℃以上の温度で加熱処理する方法、次亜塩素酸ソーダを含む殺菌剤を使用する方法(非特許文献1参照)、その他、様々な薬剤を含む殺菌剤を使用する方法(例えば、特許文献1、2参照)が提案されている。
しかしながら、加熱処理する方法では、殺菌する対象物が変質してしまうため、耐熱性が低い対象物や空気を処理することができず、限られた物品しか対象とすることができなかった。また、殺菌剤を使用する方法は、ノロウイルスに対する効果がある程度有効とされているが、人体に対する安全性の配慮から対象物品を殺菌剤と接触させて殺菌した後に不要な残留物を除去する必要があるため後処理が煩雑になったり、食品には直接接触できなかったり等の問題があった。また、殺菌剤を使用する場合も、空気を対象物とすることはできなかった。
そのため、以上の方法以外に、紫外光を照射してノロウイルスを不活性化する方法も提案されている。紫外光を照射する方法は、耐熱性が低いもの・空気を対象物とすることもでき、殺菌剤を使用する方法と比較して後処理が容易となり、環境にも優しい等の観点からより質の高い殺菌技術である。具体的な方法としては、低圧水銀ランプにより紫外光を対象となる物品(排水)に照射する方法が知られている(非特許文献2参照)。
特開2013−047196号公報 特開2013−040167号公報
厚生労働省ホームページ「ノロウイルスに対するQ&A」http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html 「漁業集落排水処理施設におけるノロウイルス対策」 http://www.jific.or.jp/article_result/pdf_002/002_17.pdf
しかしながら、水銀ランプは、消費電力量が大きいことに加え、光源寿命が短く、また有害物質である水銀を含むことから、製造、運用、廃棄に至る製品サイクルにおいて環境負荷が大きい。そのため、地球規模で使用量を削減する取り組みが加速している。「水銀に関する水俣条約」も採択され、水銀のライフサイクル全般にわたる包括的な規制が定められ、一定含有量以上の照明器具などの2020年以降の輸出禁止が確定しており、水銀ランプに代わる代替技術が望まれている。しかも、従来技術においては、紫外光の放射は水銀ランプでしか行われていなかったため、水銀輝線と呼ばれる輝線のうちの254nmの単一発光ピークのみの効果しか検討されておらず、ノロウイルスを不活性化する最適な発光ピーク波長の検討がなされていないのが現状であった。
したがって、本発明の目的は、水銀ランプを使用しなくとも、ノロウイルスを不活性化できる方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。従来技術である254nmの単一波長を使用する低圧水銀ランプによる殺菌は、大腸菌群の殺菌を主目的に開発されたものであり、ノロウイルスの不活性化に必要な紫外光の発光ピーク波長及び放射照度は把握されていなかった。そのため、本発明者等は、単一の波長選択が可能な紫外発光ダイオード技術を使用し、ノロウイルスの不活性化に必要な紫外光の発光ピーク波長及び放射照度の最適化の検討を行った。その結果、254nm以外の発光ピーク波長においてノロウイルスを効果的に不活性化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、第一の本発明は、発光ピーク波長が260〜300nmの範囲に存在する紫外光をノロウイルスに照射することを特徴とするノロウイルスの不活性化方法である。
前記第一の本発明においては、紫外光の発光ピーク波長の半値幅が5〜20nmであることが好ましい。また、前記紫外光の放射照度が0.5mW/cm以上であることが好ましい。紫外光が以上の条件を満足することにより、より効果的にノロウイルスを不活性化できる。
さらに、第一の本発明においては、前記紫外光を照射する手段が発光ダイオードであることが好ましい。また、前記発光ダイオードが、260nmの波長の透過率が80%以上であって、転位密度が10cm−2以下の窒化アルミニウム単結晶基板を有することが好ましい。発光ダイオードを使用することにより、発光ピーク波長の調整が容易になる。しかも、前記特性の窒化アルミニウム単結晶基板を有する発光ダイオードは、容易に放射照度を高くすることができため、本発明に適している。
また、第二の本発明は、発光ピーク波長が260〜300nmの範囲に存在する紫外光を放射する、ノロウイルス不活性化用発光ダイオードである。
さらに、第三の本発明は、前記ノロウイルス不活性化用発光ダイオードを備えてなるノロウイルス不活性化用装置である。
本発明によれば、特定の発光ピーク波長の紫外光によりノロウイルスを効率よく不活性化することができる。また、水銀ランプを使用しなくとも、該紫外光は発光ダイオードにより放射することができる。また、結晶性のよい窒化アルミニウム単結晶基板を有する発光ダイオードを使用した場合には、放射照度を容易に高めることができるため、短時間でノロウイルスを不活性化することができる。
実施例に使用したノロフィルスの不活性化装置の概略図と、その装置に使用した発光ダイオードを拡大した際の概略図である。 実施例2で使用した発光ダイオードの発光強度分布を示す発光スペクトルの図である。
本発明は、発光ピーク波長が260〜300nmの範囲に存在する紫外光をノロウイルスに照射することにより、ノロウイルスを不活性化する方法に関するものである。順を追って説明する。
(ノロウイルス)
ノロウイルス自体の安定した培養は困難である。そのため、本発明においては、殺菌対象物の指標菌として、ノロフィルスの代替ウイルスとして一般的に利用されているネコカリシウイルス(Feline calicivirus)を使用した。このネコカリシウイルス(Feline calicivirus)は、形態的特徴やゲノム構造からノロウイルスと同一のカリシウイルス科に属するものである。
(紫外光)
本発明において、ノロフィルスを不活性化するために使用する紫外光とは、発光ピークが波長260〜300nmの範囲に存在する近紫外線であり、近紫外線の中でもUVB、UVCに分類される光である。当該範囲に発光ピーク波長を有する紫外光を使用することで、ノロ代替ウイルスの持つウイルス蛋白質が分解するものと考えられ、効果的に不活性化できる。紫外光の発光ピーク波長が、260nm未満の場合並びに300nmを超える場合では、ウイルス蛋白質の分解が進まず、不活化効率が低下してしまう。紫外光の発光ピーク波長のより好ましい範囲は、260〜280nmである。また、前記範囲の発光ピーク波長を有する紫外光を使用する場合、その放射照度は、0.5mW/cm以上とすることが好ましく、0.80mW/cm以上とすることがより好ましく、1.00mW/cm以上とすることがさらに好ましい。なお、放射照度の上限値は特に制限されるものではないが、工業的な生産を考慮すると1.0W/cmであることが好ましい。また、効果的な不活性化を可能とするために、前記紫外光の発光ピーク波長の半値幅は、5〜20nmであることが好ましい。
(紫外光の放射手段)
前記紫外光を得る手段としては、既存のランプ等を用い、発光管内に塗布された蛍光体等の波長変換材料を変更することで、必要な波長の紫外光を得ることも可能である。ただし、既存のランプ等を使用した場合、蛍光体等の特性に依存するため、任意に発光波長を設定することは困難である。そのため、本発明においては、紫外発光ダイオードを使用することが好ましい。 紫外発光ダイオードでは、発光波長(発光ピーク波長)の調整が210nmから350nmの範囲で任意に設定できる。また、紫外発光ダイオードを備えたノロウイルス不活性化装置は、小型、軽量、省エネの不活性化装置となるため、従来のランプ等を用いた殺菌装置では設置が困難な狭隘な場所、大電力の供給が困難な場所にも設置できる。また、携帯して使用できるため、ノロウイルスの感染対策を実施したい場所で効果的に使用できる。次に、本発明で使用できる好適な紫外発光ダイオードについて説明する。
(紫外発光ダイオード)
本発明で使用する紫外発光ダイオードは、発光ピーク波長が260〜300nmの範囲に存在する紫外光を放射するものであれば、市販されている紫外発光ダイオードを特に制限なく用いることができる。より効果的にノロウイルスの不活性化を可能にするためには、紫外光の発光ピーク波長の半値幅が5〜20nmであることが好ましく、紫外光の放射照度が0.5mW/cm以上であることが好ましい。また、放射照度は、0.80mW/cm以上とすることがより好ましく、1.00mW/cm以上とすることがさらに好ましい。なお、放射照度の上限値は特に制限されるものではないが、工業的な生産を考慮すると1.0W/cmである。中でも、高い放射照度においても発光ダイオードの安定した動作を可能とするには、以下に示す態様の構造とすることが好ましい。具体的には、以下の基板、n型層、発光層、p型層、n電極、p電極を有する紫外発光ダイオードであることが好ましい。図1に紫外発光ダイオードの代表図を示した。次に、図1を使用してこれら態様について詳細に説明する。
(基板)
本発明において、紫外発光ダイオード5における基板6は、その上に成長して形成するn型層7、発光層8の転位密度を低減できる材料であれば限定されるものではなく、サファイア、窒化アルミニウム単結晶(AlN単結晶)などの材料が使用できる。より転位密度を低減し、優れた効果を発揮する紫外発光ダイオードとするためには、AlN単結晶を使用することが好ましい。AlN単結晶基板の転位密度は10cm−2以下であることが好ましく、5×10cm−2以下であることがより好ましく、2×10cm−2以下であることがさらに好ましく、10cm−2以下であることが特に好ましい。なお、この転位密度は、AlN単結晶基板をアルカリ溶液でエッチングして、そのピット数を数えて求めた値である。
基板6は、高い放射強度を実現するためには基板における吸収を抑制しなければならない。そのため、260nmの波長における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。透過率の上限値は、高ければ高いほど好ましく、理想的には100%である。なお、該透過率は、内部透過率を指す。また、基板の厚みは、透過率が80%以上となり、操作性を低下させない範囲で決定することが好ましい。具体的には、50〜500μmであることが好ましい。
さらに、AlN単結晶基板を使用する場合には、該基板に含まれる不純物濃度は、転位密度、紫外光の透過性に悪影響を与えない程度に低く抑える必要があり、特に炭素濃度が5×1017cm−3以下であることが好ましく、さらに好ましくは2×1017cm−3以下である。このような濃度とすることにより、転位密度が10cm−2(好ましくは転位密度が5×10cm−2以下)であり、透過率が80%以上の基板とすることが容易となる。このような基板上に、n型層7、発光層8、p型層12を形成することにより、優れた性能を発揮する本発明の紫外発光ダイオードを製造することができる。
転位密度が10cm−2以下であって、透過率が80%以上であるAlN単結晶基板は、以下の方法により製造することができる。例えば、AlN単結晶基板を薄膜化してもよいし、昇華法により得られた転位密度が10cm−2以下のAlN単結晶種基板上に、ハイドライド気相成長(HVPE)法によりAlN単結晶層を成長させ、その後、AlN単結晶層を分離して、AlN単結晶基板としてもよい。なお、これらの方法において、AlN単結晶基板を薄膜化する、または、HVPE法においてAlN単結晶層を分離するのは、n型層、活性層、およびp型層を形成する前に実行してもよいし、n型層、活性層、およびp型層を完成させた後に分離してもよい。
なお、HVPE法を採用する場合には、AlN単結晶基板の膜厚は、分離後に自立できる程度の膜厚を有していれば特に制限はないが、製造効率などの観点から、50〜500μmとすることが好ましい。
前記基板6は、その一方の面上にn型層7、発光層8、およびp型層12がこの順で積層され、これら層が形成されない反対の面が、光が放出される発光主面となる。
次に、前記基板の上に形成するn型層7、発光層8、およびp型層12について説明する。
(n型層)
n型層7は、公知のドーパント原料を含有することによりn型導電性を付与した導電層である。本発明の紫外発光ダイオードを容易に製造するためには、AlGaN単結晶からなることが好ましく、具体的には、n型層7は、AlX1Ga1−X1N層であることが好ましい。Al組成比のX1は、目的とする波長に応じて、0.1≦X1≦0.95の範囲で適宜決定すればよい。
n型層7の転位密度は、本発明の効果を発揮するためには10cm−2以下であることが好ましく、さらに10cm−2以下であることが好ましく、最も好ましくは10cm−2以下である。また、n型層7の厚みは、特に制限されるものではなく、500〜5000nmであることが好ましい。
n型層7は、結晶中にSi、O、Geなどの公知のn型ドーパント材料をドーピングしたものである。中でも、使用するドーピング材料は、原料濃度の制御性や、n型層7中のイオン化エネルギーなどを考慮すると、Siであること好ましい。n型ドーパント濃度は所望の導電性が得られるように、適宜決定すればよいが、一般的には1×1018cm−3〜1×1020cm−3の範囲であり、好ましくは5×1018cm−3〜5×1019cm−3の範囲である。
n型層7の導電性については、上述のn型ドーパント濃度によって制御することが可能であり、紫外発光ダイオードの設計に応じて適宜決定すればよい。また、n型層7は、単一のAl組成およびn型ドーパント濃度であってもよいし、Al組成比および、もしくはn型ドーパント濃度が異なる複数層の積層構造であってもよい。
また、n型導電性を高めるためには、n型ドーパントと補償中心として働く、III族元素の欠陥やIII族元素と不純物の複合欠陥の形成が抑制できるように、n型ドーパント以外の不純物の混入を低減できるような成長条件を適宜選定することが好ましい。それによって、n型層とn型電極との接触抵抗を低減することができる。
このようなn型層7は、有機金属気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシー(MBE)法などの公知の結晶成長法によって、前記基板上に作製できる。中でも、生産性が高く工業的に広く用いられているMOCVD法が好ましい。MOCVD法を採用する場合は、例えばWO2012/056928に記載の方法と同様にして、n型層を形成すればよい。MOCVD法でn型層を形成する場合、III族原料ガスおよび窒素源ガスの供給量等を調整することにより、所望の組成のn型層を形成することができる。その際、所望のドーパント濃度を満足するようにドーパントガス流量を調整することもできる。また、n型層の転位密度を10cm−2以下とするためには、転位密度の低いAlN単結晶基板を使用することが好ましい。
(発光層)
発光層8は、n型層7上に形成され、発光層における発光効率を向上させるため、量子井戸層と障壁層を組み合わせた量子井戸構造にすることが好ましい。
量子井戸構造は単一の量子井戸層、もしく複数の量子井戸層からなる多重量子井戸構造とすることもできる。量子井戸層の厚みは特に限定されるものではないが、発光効率の向上および信頼性の観点から、2〜10nmであることが好ましく、4〜8nmであることがより好ましい。また、より高い放射強度を安定して得るためには、量子井戸層は3層以上であることが好ましい。このようにすることで、量子井戸層の実効的な体積を大きくできるため、紫外発光ダイオード駆動時の急激な出力特性の劣化を抑制することが可能となる。
障壁層の厚みも、特に限定されるものではないが、一般的には5〜30nmの範囲である。
量子井戸層および障壁層は、III族窒化物単結晶から構成され、その中でも、いずれもAlGa1−XN層であることが好ましい。それぞれのAl組成および厚みは、所望の発光ピーク波長(260〜300nm)が得られるように適宜決定すればよい。また、量子井戸層および障壁層には、発光効率を向上させることを目的として、不純物をドーピングしてもよい。
発光層8も、有機金属気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシー(MBE)法などの公知の結晶成長法によって、前記n型層7上に作製できる。中でも、生産性が高く工業的に広く用いられているMOCVD法が好ましい。MOCVD法を採用する場合は、例えばWO2012/056928に記載の方法と同様にして、発光層を形成すればよい。MOCVD法で発光層を形成する場合、III族原料ガスおよび窒素源ガスの供給量等を調整することにより、所望の組成の発光層(量子井戸層、障壁層)を形成することができる。転位密度の低いn型層7上に発光層8を形成することにより、高性能な紫外発光ダイオードを製造することができる。
(p型層)
p型層12は、公知のドーパント原料を含有することによりp型導電性を付与した導電層である。その中でも、Mgをドーパントとすることが好ましい。
本発明の紫外発光ダイオードを容易に作製するためには、p型層12はAlGaN単結晶、またはInGaN単結晶からなることが好ましい。このp型層12は、特に制限されるものではないが、組成の異なる3層からなることが好ましい。具体的には、p型AlX3Ga1−X3N層9、p型AlX4Ga1−X4N層10、p型InGa1−yN層11からなることが好ましい。p型AlX3Ga1−X3N層9は発光層8と接続し、p型InGa1−yN層11はp電極(層)14と接続する層である。
p型AlX3Ga1−X3N層9、およびp型AlX4Ga1−X4N層10のAl組成は、n型層7の場合と同様に、所望の発光波長に応じて0.5≦X3≦1.0、0.2≦X4≦0.9の範囲で適宜決定すればよい。中でも、発光層8への電子の閉じ込め効果を高めるためには、上述の範囲内でX4≦X3とすることが好ましい。また、より高い出力密度を得るためには、X1≦X4≦X3とすることが好ましい。ただし、X1は上記で示したn型層7を構成するn型AlX1Ga1−X1N層におけるAl組成比である。
p型InGa1−yN層11は、p型電極(層)14との接触抵抗を低減するために設けられる。In組成比のYは特に限定されるものではないが、一般的には0≦y≦0.1である。その中でも、電極の接触抵抗を低減するためには、Yが0であるp型GaN層とすることが好ましい。
p型AlX3Ga1−X3N層9およびp型AlX4Ga1−X4N層10の膜厚は特に限定されるものではないが、5〜50nmの範囲であることが好ましい。また、p型InGa1−yN層11の膜厚も特に限定されるものではないが、5〜200nmであることが好ましい。また、p型層の各層に含まれるドーパントの量は、所望の紫外発光ダイオードとなるように適宜決定すればよいが、通常、1×1019〜1×1020cm−3である。
このようなp型層12は、有機金属気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシー(MBE)法などの公知の結晶成長法によって、前記発光層上に作製できる。中でも、生産性が高く工業的に広く用いられているMOCVD法が好ましい。MOCVD法を採用する場合は、例えばWO2012/056928に記載の方法と同様にして、p型層12を形成すればよい。MOCVD法でp型層12を形成する場合、III族原料ガスおよび窒素源ガスの供給量等を調整することにより、所望の組成のp型層12を形成することができる。その際、所望のドーパント濃度を満足するようにドーパントガス流量を調整することもできる。III族原料ガス、窒素源ガス、ドーパント原料ガスの供給量等を調整することにより、所望の組成のp型層12を形成することができる。そして、これらガスの供給量を調整して、多層構造、例えば、p型AlX3Ga1−X3N層9、p型AlX4Ga1−X4N層10、p型InGa1−yN層11の多層構造を形成すればよい。
(n型電極)
n型電極13は、n型層7上に形成される。通常、以下の方法によりn型層7上に形成する。先ず、基板6、n型層7、発光層8、およびp型層12の順で積層された積層構造を有する積層体を作製する。次に、p型層12側から一部をエッチング等により除去してn型層の表面を露出させる。エッチング方法は公知の方法、例えば、ICPエッチング等の方法を採用すればよい。そして、この露出させたn型層7上にn型電極を形成する。
n型電極13は、公知のn型オーミック電極材料および形成方法を使用することができる。具体的には、n型層7との接触抵抗値を低減可能な材料であれば、特に限定されるものではない。具体的には、特開2011−547604に記載されているTi、およびAlを含む電極材料を使用することが好ましい。これらの電極材料は、真空蒸着法、スパッタリング法などによって形成できる。また、接触抵抗値を低減させるため、電極層を形成した後に、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気中でアニールすることが好ましい。アニール温度は特に制限されるものではないが、700〜1100℃であることが好ましい。また、n型電極(層)13の厚みは、特に限定されるものではなく、アニール後の接触抵抗値の低減が可能な範囲で各層の膜厚を適示決定すればよいが、電極層の生産性などを考慮すると、総厚を50〜500nmにすることが好ましい。
また、n型電極の固有接触抵抗値(Ω・cm)を、n型電極が設置されている部分の面積(電極面積(cm))で除した値、すなわち、固有接触抵抗値(Ω・cm)/電極面積(cm)で算出されるn型電極抵抗を1.0Ω未満にすることが好ましい。なお、n型電極の電極面積とは、n型電極(層)とn型層が接触している面積を指す。電流―電圧特性を考慮すると、n型電極抵抗は小さいほど好ましく、0.5Ω以下であることがさらに好ましく、最も好ましくは0.4Ω以下である。n型電極抵抗の下限値は、理想的には0であるが、電極面積を大きくすることによって、個別の紫外発光ダイオードのサイズが大きくなる結果、一つの基板からの紫外発光ダイオードチップの取り数が少なくなるなどの工業的な観点を考慮すると、0.1Ω程度である。
n型電極の固有接触抵抗値と電極面積は、n型電極抵抗値1.0Ω未満を満足する範囲であれば、特に制限されるものではないが、以下の範囲であることが好ましい。具体的には、固有接触抵抗値は、10−2Ω・cm以下であることが好ましく、さらに10−3Ω・cm以下であることが好ましい。固有接触抵抗値の下限値は、低ければ低いほど好ましいが、工業的な生産を考慮すると10−7Ω・cmである。また、電極面積は、n型電極抵抗に合わせて適宜調整すればよく、紫外発光ダイオードの大きさにもよるが、通常、0.5〜0.0001cmの範囲である。
n型電極抵抗値を調整するためには、以下の方法を採用すればよい。固有接触抵抗値は、電極材料、成膜方法(アニール処理等を含む)等の作製条件によりその値が変わるため、電極面積を一定にし、作製条件を種々変更してn型電極を製造する。そして、一定の電極面積における作製条件と固有接触抵抗値との関係を予め調べる。その結果を基に、ある作製条件に対してn型電極抵抗値が1.0Ω未満となるような電極面積を算出し、その作製条件と電極面積を採用してn型電極を形成すればよい。
また、次の方法を採用することもできる。先ず、作製条件を一定にし、電極面積を種々変更してn型電極を形成する。そして、一定の作製条件における電極面積と固有接触抵抗値との関係を予め調べる。その結果を基に、その一定の作製条件を採用した際に、n型電極抵抗値が1.0Ω未満となるような電極面積を算出し、その電極面積のn型電極を形成すればよい。
なお、固有接触抵抗値は、公知のTLM(Transmission Line Model)法によって、測定することができる。
以上のような方法を採用して、n型電極抵抗値を1.0Ω未満とすることにより、より高性能な紫外発光ダイオードとすることができる。
また、n型電極13の配置は、特に限定されるものではないが、p型電極14との距離は0.5〜10μm以下であることが好ましく、さらに、紫外発光ダイオードの駆動時における電流経路の均一性を高められるように、p型電極14の周囲をn型電極13が略均等に囲う形状であることが好ましい。
(p型電極)
p型電極(層)14は、公知のp型オーミック電極材料を使用することができる。具体的には、p型層12との接触抵抗値を低減可能な材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば、特許3499385に記載されている、Ni、Auを含む電極材料を使用することができる。
これらの電極材料は、真空蒸着法、スパッタリング法などによって形成できる。p型電極14を形成した後には、接触抵抗値を低減させる目的で、窒素、酸素などの雰囲気中でアニール処理を行うことが好ましい。アニール温度は、特に制限されるものではないが、一般的に400〜700℃程度である。また、特に制限されるものではないが、p型電極層14の厚みは、5〜300nmであることが好ましい。
本発明の紫外発光ダイオードは、以上のような層構成、作製方法に従い作製することができる。このように作製した発光ダイオードを備えた殺菌装置を準備することにより、ノロウイルスを短時間で効率よく不活化することができる。
(好適な紫外発光ダイオードの特性、使用方法)
以上のように製造した紫外発光ダイオードの中でも、本発明に使用する紫外発光ダイオードは、25℃において、駆動電流値を150mAとしたときの発光出力密度が10W/cm以上であり、駆動電圧値が10V以下である特性を満足することが好ましい。この特性を満足することにより、ノロフィルスの不活性化効果を高めることができる。
また、紫外発光ダイオードを使用する場合には、一般的に行われているパッケージングを行うことが好ましい。該パッケージングを行うことにより、動作温度を一定に保持し発光ピーク波長を安定させる、静電気及び電磁波を遮断することができ、安定した紫外発光ダイオード特性を得ることができる。パッケージングは、図1に示した通り、例えば、リードフレームの付いた金属の台座に半田15付き多結晶AlNサブマウント16を介して発光ダイオードを載せてボンディングし、円筒形の金属缶をかぶせる方式(CANパッケージ)にて行う。発光ダイオードをパッケージに格納する際、フリップチップ実装を採用することが好ましい。該フリップチップ実装を採用することで、熱源となる発光層がパッケージ側に近くなるため、発光ダイオードチップからパッケージ側に熱を逃がしやすくなるという利点があるだけでなく、ワイヤ・ボンディングによる実装に比べ、発光層の光が外部に出る際、電極の遮蔽が無い、また、発光ダイオードの発光効率が数十%高められる。
(ノロウイルスの不活性化方法)
本発明において、ノロウイルス不活性化用発光ダイオードは、放射する不活性化作用のある紫外光を直接、殺菌対象物に照射するだけでよい。発光ダイオードから1cm離れた中心線上の放射照度が0.5mW/cm以上であれば、ノロウイルスを短時間で効率よく不活性化することができる。ノロフィルスをより効率よく不活性化するためには、該放射照度が0.80mW/cm以上とすることがより好ましく、1.00mW/cm以上とすることがさらに好ましい。この放射照度の上限値は、特に制限されるものではないが、工業的な使用を考慮すると1.0W/cmである。
また、前記ノロウイルス不活性化用発光ダイオードを備えてなるノロウイルス不活性化装置は、複数の発光ダイオードを、平面状、棒状もしくは任意の形状で発光ダイオードの発光面が外側となる様、配置し、組み立てることにより、小型でかつ広範囲に不活化効果を実現できる。
以下、実施例(および比較例)をあげて本発明について詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。試験に使用した装置、発光ダイオードの構成については、図1、図2を用いて説明する。
先ず、ウイルス懸濁液の調製法、不活性化試験方法、感染価測定について説明する。
(ウイルス懸濁液の調製法)
ネコカリシウイルス(Feline calicivirus)を10 mMリン酸緩衝液 (リン酸水素二ナトリウム, リン酸二水素カリウム、pH 7.0)に10−10plaque forming unit/mlとなるように懸濁し、ウイルス懸濁液を得た。
(ウイルス不活化試験)
図1に今回使用した装置の概略図を示した。該装置は電源4を備えたものである。前記した調製法にて調製したウイルス懸濁液1を、滅菌済み容器2(ポリプロピレン製96ウェルプレート)に180μl入れ、懸濁液の液表面と紫外発光ダイオードのCANパッケージ(型番 TO39)3の表面との距離が0.55cmとなるように配置して、所定時間、紫外光を照射した。紫外発光ダイオード部を交換することで、不活化効率への波長依存性を調べた。
(感染価測定)
紫外光を照射後、ウイルス懸濁液を取り出し、イーグル最小必須培地を用いて希釈を行った。続いて、あらかじめ6穴プレートに培養しておいたCrandell−Rees feline kidney(CRFK)細胞に対し、各ウイルス懸濁液 (100 μl/well) を接種し1時間静置した (34℃, 5% CO)。プレートをイーグル最小必須培地で洗浄したのちにイーグル最小必須寒天培地 (0.7%、3 ml/well) を導入し、46時間培養(34℃, 5% CO) してプラークを形成させた。最後に、ホルマリン液 (1.5ml/well,3h) による細胞固定およびメチレンブルー (1.5ml/well,1h) による細胞染色を行い、プラーク数を計数した。
実施例1
本実施例では、紫外発光ダイオードとして、紫外発光ダイオードの成長用基板としてサファイア基板を使用した発光ピーク波長275nm、半値幅10nmの市販品(CANパッケージされたもの)を使用した。発光ダイオード(CANパッケージ)は、電源((株)インステックジャパン製 型式:GPS−1830D)に接続し、駆動電流値20mAの条件で、100sec照射した。直接放射部分における紫外光の放射照度は、0.79mW/cmであった。紫外光を照射した後、ウイルス懸濁液を取り出し、前記した感染価測定により計測したプラーク数を用いて算出した不活化効率は、3.0であり、99.9%以上の不活性化が達成された。
実施例2
(基板:基板の準備)
本発明の紫外発光ダイオードを作製するためのAlN単結晶基板は、Applied Physics Express 5(2012)122101に記載の方法により作製した。具体的には、先ず、物理気相輸送(PVT)法により作製されたΦ25mmのAlN種基板上に、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE)法により250μmの厚みでAlN厚膜を形成し、AlN厚膜成長面の化学機械(CMP)研磨を行った。このようなHVPE法 AlN厚膜/AlN種基板の積層体(成長用基板)を紫外発光ダイオードの成長用基板として使用した。なお、下記に詳述するが、AlN種基板はこの成長用基板から最終的に除去する。この成長用基板を全く同じ条件で2枚作製した。
1つの成長用基板を分析用に使用するため、AlN種基板部分を除去した。得られたAlN単結晶基板(厚み 170μm、HVPE法 AlN厚膜部分)のX線ロッキングカーブの半値幅を測定した。具体的には、高分解能X線回折装置(スペクトリス社パナリティカル事業部製X‘Pert)により、加速電圧45kV、加速電流40mAの条件で、AlN単結晶基板の(002)および(101)面のX線ロッキングカーブ測定を行った。X線ロッキングカーブの半値幅はいずれも、30arcsec以下であった。また、他方の2つの成長用基板において、研磨したAlN厚膜部分の(002)および(101)面のX線ロッキングカーブ測定を同様の条件で行った。その結果、X線ロッキングカーブの半値幅はいずれも、30arcsec以下であった。このことから、AlN種基板を除いたAlN単結晶基板と、成長用基板のAlN厚膜部分は同じ結晶性を有する同一のものであることが確認できた。
この分析用のAlN単結晶基板の内部透過率を紫外可視分光光度計(島津製作所製UV−2550)により測定した結果、260nmにおける透過率(内部透過率)は95%であった。また、エッチピット観察により測定した転位密度は2×10cm−2であった。
その後、もう1枚の成長用基板を7mm角程度の正方形形状に切断した。
(n型層、発光層、p型層の形成)
切断後の一つの成長用基板のAlN厚膜上に、MOCVD法により、1080℃で、n型Al0.65Ga0.35N層(1μm:n型層7)、3重量子井戸層(Al0.45Ga0.55N(4nm)/Al0.55Ga0.45N層(10nm):発光層8)、p型AlN層(50nm:p型層12(p型AlX3Ga1−X3N層9相当))、p型Al0.75Ga0.25N(50nm:p型層12(p型AlX4Ga1−X4N層10))、p型GaN層(20nm:p型層12(p型InGa1−yN層11))を順次積層し、紫外発光用積層体を作製した。不純物のドーピングはn型層中のSi濃度が2×1019cm−3、p型層中のMg濃度が3×1019cm−3となるようにドーパントとして用いたテトラエチルシランおよびビスシクロペンタジエニルマグネシウム流量を制御した。
(n型電極の形成方法)
次いで、ICPエッチング装置により、紫外発光用積層体の一部(p型層側からの一部)をn型Al0.65Ga0.35N層(n型層7)が露出するまでエッチングした。該露出表面に真空蒸着法によりTi(20nm)/Al(100nm)/Ti(20nm)/Au(50nm)かならなるn型電極13を形成した。その後、窒素雰囲気中、1分間、950℃の条件で熱処理を行った。
(p型電極の形成方法)
次いで、p型GaN層11上に、真空蒸着法によりNi(20nm)/Au(50nm)からなるp型電極14を形成した後、酸素雰囲気中、5分間、500℃の条件で熱処理を行った。
(AlN種基板の除去:紫外発光ダイオードウェハの製造)
次いで、AlN種基板部分を機械研磨により除去し、紫外発光ダイオードウェハを完成させた。研磨後のHVPE法AlN厚膜層(基板6に相当)の残厚は170μmであった。
(紫外発光ダイオード、およびその物性評価)
その後、紫外発光ダイオードウェハを0.8mm角程度の正方形形状に切断し、紫外発光ダイオードチップを作製し、多結晶AlNサブマウント16に半田15によりマウントし、市販のTO39によりパッケージング(CANパッケージ3)した。作製したCANパッケージに、定電流電源(菊水工業製PMC250−0.25A)を用いて100mAを通電し発光させた。発光ダイオードより放出された光を2インチ積分球(SphereOptics社製SMS−500)を用いて分光することで発光スペクトルを測定した。紫外発光ダイオードの発光ピーク波長は272nmであり、半値幅は10nmであった。図2にこの発光スペクトルを示した。
このようにして作製した紫外発光ダイオードCANパッケージを使い、実施例1と同様に駆動電流値20mAの条件で、100sec照射した。直接放射部分における紫外光の放射照度は、1.13mW/cmである。紫外光を照射した後、実施例1と同様に感染価測定を行い計測したプラーク数を用いて不活化効率を算出したところ、その値は、6.5であり、99.99999%以上の不活性化が達成された。
実施例3
実施例2において、切断後の一つの成長用基板のAlN厚膜上に形成する3重量子井戸層を(Al0.50Ga0.50N(4nm)/Al0.55Ga0.45N層(10nm)発光層8)に変更した以外は、実施例2と同様にして、紫外発光ダイオードCANパッケージを完成させた。実施例2と同様に紫外発光ダイオードの特性を確認したところ、発光ピーク波長は260nmであり、半値幅は12nmであった。この紫外発光ダイオードCANパッケージを用いて、実施例1と同様の条件(駆動電流値・時間)で紫外光を照射した。直接放射部分における紫外光の放射照度は、1.10mW/cmである。紫外光を照射した後、実施例1と同様に感染価測定を行ったところ、不活化効率は、3.0であり、99.9%以上の不活性化が達成された。
1.ウイルス懸濁液
2.ポリプロピレン製96ウェルプレート
3.CANパッケージ
4.電源
5.紫外発光ダイオード
6.基板
7.n型層
8.発光層
9.p型AlX3Ga1−X3N層
10.p型AlX4Ga1−X4N層
11.p型InGa1−yN層
12.p型層
13.n型電極(層)
14.p型電極(層)
15.半田
16.多結晶AlNサブマウント

Claims (7)

  1. 発光ピーク波長が260〜300nmの範囲に存在する紫外光をノロウイルスに照射することを特徴とするノロウイルスの不活性化方法。
  2. 前記紫外光の発光ピーク波長の半値幅が5〜20nmであることを特徴とする請求項1に記載のノロウイルスの不活性化方法。
  3. 前記紫外光の放射照度が0.5mW/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のノロウイルスの不活性化方法。
  4. 前記紫外光を照射する手段が発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載のノロウイルスの不活性化方法。
  5. 前記発光ダイオードが、260nmの波長の透過率が80%以上であって、転位密度が10cm−2以下の窒化アルミニウム単結晶基板を有することを特徴とする請求項4に記載のノロウイルスの不活性化方法。
  6. 発光ピーク波長が260〜300nmの範囲に存在する紫外光を放射する、ノロウイルス不活性化用発光ダイオード。
  7. 請求項6に記載のノロウイルス不活性化用発光ダイオードを備えてなるノロウイルス不活性化装置。
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