以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返されない。
図1に、エンジン10の概略構成が示される。本実施の形態において、エンジン10は、2つのバンクを有する内燃機関である。エンジン10は、たとえば、V型エンジンであってもよいし、水平対向型エンジンであってもよい。また、エンジン10は、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。
図1に示すように、エンジン10は、第1バンク12と、第2バンク14と、第1燃料噴射装置17と、第2燃料噴射装置19と、第1インテークマニホールド20と、第2インテークマニホールド22と、第1エキゾーストマニホールド24と、第2エキゾーストマニホールド26と、第1過給機50と、第2過給機52と、接続通路30と、制御装置200とを備える。
第1バンク12と第2バンク14とは、エンジン10のエンジンブロックに設けられる。第1バンク12には、1つまたは2以上の円孔が気筒16として設けられる。第1バンク12の気筒16の頂部には、吸気ポートと排気ポートとが形成されるシリンダヘッドが設けられる。吸気ポートには、第1燃料噴射装置17が設けられる。第1燃料噴射装置17は、制御装置200の制御信号に基づいて燃料を吸気ポート内に噴射する。なお、第1燃料噴射装置17は、気筒16内に直接燃料が噴射可能なように設けられてもよい。
第2バンク14には、1つまたは2以上の円孔が気筒18として設けられる。第2バンク14の気筒18の頂部には、吸気ポートと排気ポートとが形成されるシリンダヘッドが設けられる。吸気ポートには、第2燃料噴射装置19が設けられる。第2燃料噴射装置19は、制御装置200の制御信号に基づいて燃料を吸気ポート内に噴射する。なお、第2燃料噴射装置19は、気筒18内に直接燃料が噴射可能なように設けられてもよい。
また、第1バンク12の吸気ポートには第1インテークマニホールド20が接続される。第1バンク12の排気ポートには第1エキゾーストマニホールド24が接続される。第2バンク14の吸気ポートには第2インテークマニホールド22が接続される。第2バンク14の排気ポートには第2エキゾーストマニホールド26が接続される。第1エキゾーストマニホールド24と、第2エキゾーストマニホールド26とは、接続通路30によって連通するように接続される。
第1エキゾーストマニホールド24は、排気通路37の一方端に接続される。排気通路37の他方端には、第1過給機50が接続される。第1過給機50は、コンプレッサ50aと、タービン50bと、可変ノズル機構50cとを含む。
コンプレッサ50aの吸入口には、吸気通路32の一方端が接続される。コンプレッサ50aの排出口には、吸気通路33の一方端が接続される。吸気通路32の他方端は、スロットルバルブを経由してエアクリーナに接続される。コンプレッサ50aのハウジング内にはコンプレッサホイールが収納される。
タービン50bの吸入口には、排気通路37の他方端が接続される。タービン50bの排出口には、排気通路38の一方端が接続される。タービン50bのハウジング内にはタービンホイールが収納される。コンプレッサホイールとタービンホイールとは、連結軸によって連結され、一体的に回転する。そのため、コンプレッサホイールは、タービンホイールに供給される排気ガスの排気エネルギーによって回転駆動される。コンプレッサホイールが回転駆動されることによって吸気通路32を流通する吸入空気が圧縮される。コンプレッサ50aにおいて圧縮された空気は、吸気通路33に供給される。
可変ノズル機構50cは、タービンホイールの回転軸を中心とした周囲の排気流入部に配置され、第1エキゾーストマニホールド24から供給される排気ガスをタービンホイールに導く複数のベーンと、複数のベーンの各々を回転させることによって隣接するベーン間の隙間(以下の説明においてこの隙間をVN開度あるいはベーン開度と記載する)を変化させるアクチュエータとを含む。アクチュエータは、電動モータあるいは油圧アクチュエータであって、制御装置200からの制御信号に応じて可変ノズル機構50cのVN開度を変化させる。
可変ノズル機構50cのVN開度を変化させることによって、排気流入部における排気ガスの流路が絞られたり、拡げられたりする。これにより、タービンホイールに吹き付けられる排気ガスの流速を変化させることができる。
第2エキゾーストマニホールド26は、排気通路39の一方端に接続される。排気通路39の他方端には、第2過給機52が接続される。第2過給機52は、コンプレッサ52aと、タービン52bと、可変ノズル機構52cとを含む。
コンプレッサ52aの吸入口には、吸気通路34の一方端が接続される。コンプレッサ52aの排出口には、吸気通路35の一方端が接続される。吸気通路34の他方端は、吸気通路32に合流して、スロットルバルブを経由してエアクリーナに接続される。コンプレッサ52aのハウジング内にはコンプレッサホイールが収納される。
タービン52bの吸入口には、排気通路39の他方端が接続される。タービン52bの排出口には、排気通路40の一方端が接続される。タービン52bのハウジング内にはタービンホイールが収納される。コンプレッサホイールとタービンホイールとは、連結軸によって連結され、一体的に回転する。そのため、コンプレッサホイールは、タービンホイールに供給される排気ガスの排気エネルギーによって回転駆動される。コンプレッサホイールが回転駆動されることによって吸気通路34を通過する吸気が圧縮される。コンプレッサ52aにおいて圧縮された空気は、吸気通路35に供給される。
吸気通路33の他方端と吸気通路35の他方端とは吸気通路36の一方端に接続される。吸気通路36の他方端は、分岐して第1インテークマニホールド20および第2インテークマニホールド22の各々に接続される。
排気通路39には、ECV(Exhaust Control Valve)60が設けられる。ECV60は、排気通路39の一方端と他方端との間を、制御装置200からの制御信号に応じて、弁体が開状態になることによって連通状態にしたり、弁体が閉状態になることによって遮断状態にしたりする。排気通路39の一方端と他方端との間が連通状態になる場合、第2エキゾーストマニホールド26内の排気ガスは、タービン52bを経由して排気通路40を流通して、タービン52bのタービンホイールを回転させる。
一方、排気通路39の一方端と他方端との間が遮断状態になる場合は、第2エキゾーストマニホールド26内の排気ガスは、排気通路39を通過できないため、接続通路30を経由して第1エキゾーストマニホールド24に流通して、タービン50bのタービンホイールを回転させる。
吸気通路35には、ACV(Air Control Valve)64が設けられる。ACV64は、吸気通路35の一方端と他方端との間を、制御装置200からの制御信号に応じて、弁体が開状態になることによって連通状態にしたり、弁体が閉状態になることによって遮断状態にしたりする。吸気通路35の一方端と他方端との間が連通状態になる場合、コンプレッサ52aからの圧縮した空気が流通可能になる。
一方、吸気通路35の一方端と他方端との間が遮断状態になる場合は、コンプレッサ52aからの圧縮した空気の流通が遮断される。
吸気通路34と吸気通路35との間には、コンプレッサ52aを経由せずに吸気通路34と吸気通路35との間で空気を流通可能にするバイパス通路42が設けられる。バイパス通路42の途中には、IBV(Intake Bypass Valve)62が設けられる。IBV62は、バイパス通路42の一方端と他方端との間を、制御装置200からの制御信号に応じて、弁体を開状態にすることによって連通状態にしたり、弁体を閉状態にすることによって遮断状態にしたりする。バイパス通路42の一方端と他方端との間が連通状態になる場合、吸気通路34と吸気通路35との間で空気の流通が可能となる。そのため、たとえば、ACV64が吸気通路35の一方端と他方端との間を遮断状態にしている場合、コンプレッサ52aから吸気通路35に供給される空気を吸気通路35を通過させずに、バイパス通路42を経由して吸気通路34に循環させることができる。そのため、後述する制御モードの切り替え時に、第2過給機52のタービンホイールの回転数が適切な値まで上昇するまでの間、過給が行なわれないようにバイパス通路42を経由した空気の流れを形成することができる。
一方、バイパス通路42の一方端と他方端との間が遮断状態となる場合には、圧縮された空気は、コンプレッサ52aから吸気通路35に供給される。そのため、たとえば、ACV64が吸気通路35の一方端と他方端との間を連通状態にしている場合、コンプレッサ52aから吸気通路35に供給される空気は、吸気通路35および吸気通路36を経由して第1インテークマニホールド20および第2インテークマニホールド22の各々に供給される。
また、エンジン10のクランク軸には、エンジン回転数センサ206が設けられる。エンジン回転数センサ206は、クランク軸の回転速度(以下、エンジン回転数と記載する)Neを検出する。エンジン回転数センサ206は、検出したエンジン回転数Neを示す信号を制御装置200に送信する。
吸気通路36の他方端の通路が分岐する位置には、過給圧センサ208が設けられる。過給圧センサ208は、吸気通路36内の圧力(過給圧)Pbを検出する。過給圧センサ208は、検出した過給圧Pbを示す信号を制御装置200に送信する。
制御装置200は、エンジン回転数センサ206から受信するエンジン回転数Ne、および、過給圧センサ208から受信する過給圧Pb等のエンジン10の状態を示す信号を受信して、受信したエンジン10の状態を示す信号に基づいて第1燃料噴射装置17、第2燃料噴射装置19、第1過給機50、第2過給機52、ECV60、IBV62およびACV64の動作を制御する。
具体的には、制御装置200は、エンジン10の負荷およびエンジン回転数Neに基づいてシングルターボモードと、ツインターボモードとのうちのいずれか一方の制御モードを選択し、選択された制御モードに応じて第1過給機50、第2過給機52、ECV60、IBV62およびACV64の動作を制御する。
シングルターボモードは、第1過給機50のみを用いて過給する制御モードである。ツインターボモードは、第1過給機50および第2過給機52の両方を用いて過給する制御モードである。
制御装置200は、たとえば、シングルターボモードが選択される場合、排気通路39の一方端と他方端との間が遮断状態になるようにECV60を制御し、バイパス通路42の一方端と他方端との間が連通状態になるようにIBV62を制御し、吸気通路35の一方端と他方端との間が遮断状態になるようにACV64を制御する。
シングルターボモード時に、ECV60と、IBV62と、ACV64とを上述のように制御することにより、第2バンク14から第2エキゾーストマニホールド26に排出される排気ガスは、接続通路30を経由して第1エキゾーストマニホールド24に流通する。そのため、第1過給機50のタービン50bには、第1バンク12および第2バンク14の双方から排出される排気ガスが供給される。
第1過給機50のコンプレッサ50aは、タービン50bのタービンホイールの回転によって吸気通路32からの空気を圧縮して吸気通路33に供給する。吸気通路33に供給された空気は、吸気通路36を経由して第1インテークマニホールド20および第2インテークマニホールド22の各々に供給される。
一方、バイパス通路42の一方端と他方端との間は、連通状態になる。そのため、コンプレッサ52aから吸気通路35に供給される空気は、バイパス通路42を経由して吸気通路34に循環可能となる。
一方、制御装置200は、たとえば、ツインターボモードが選択される場合、排気通路39の一方端と他方端との間が連通状態になるようにEVC60を制御し、バイパス通路42の一方端と他方端との間が遮断状態になるようにIBV62を制御し、吸気通路35の一方端と他方端との間が連通状態になるようにACV64を制御する。
ツインターボモード時に、ECV60と、IBV62と、ACV64とを上述のように制御することにより、第2バンク14から第2エキゾーストマニホールド26に排出される排気ガスは、排気通路39を経由してタービン52bに供給され、タービン52bのタービンホイールを回転させる。これにより、コンプレッサ52aのコンプレッサホイールが回転し、吸気通路34からの空気が圧縮されて吸気通路35に供給される。
一方、第1バンク12から第1エキゾーストマニホールド24に排出される排気ガスは、タービン50bに供給され、タービン50bのタービンホイールを回転させる。これにより、コンプレッサ50aのコンプレッサホイールが回転し、吸気通路32からの空気が圧縮されて吸気通路33に供給される。
吸気通路33および吸気通路35の各々に供給された空気は、吸気通路36の一方端において合流した後に吸気通路36の他方端にて再度分岐して第1インテークマニホールド20および第2インテークマニホールド22の各々に供給される。
以上のような構成を有するエンジン10において、上述したようなシングルターボモードとツインターボモードとの間で制御モードを切り替えて、排気の流通経路を変更するためには、切替弁であるECV60を排気通路39内に設ける必要がある。しかしながら、排気通路39内にECV60が設けられる場合には、排気通路39の方が排気通路37よりも圧力損失が大きくなる場合がある。そのため、排気通路39に接続される第2過給機52のタービンホイールの回転数が第1過給機50のタービンホイールの回転数よりも低くなる場合がある。その結果、吸気通路33および吸気通路35内は、第1過給機50の動作によって過給圧が高くなるのに対して、排気通路39の排気流量の低下により第2過給機52において適切な過給ができない、いわゆる、サージが発生する場合がある。
そこで、本実施の形態においては、制御装置200は、第1過給機50および第2過給機52の両方を作動させる場合において、可変ノズル機構52cのVN開度が可変ノズル機構50cのVN開度よりも大きくなるように可変ノズル機構52cのVN開度を制御するものとする。
このようにすると、タービン52bにおける圧力損失を低下させることができ、タービン52bから排気通路40へと排気ガスが流通しやすくなる。そのため、第2過給機52への排気ガスの流量の低下を抑制して、第2過給機52においてサージが発生することを抑制することができる。
図2に、本実施の形態に係るエンジン10の動作を制御する制御装置200の機能ブロック図を示す。制御装置200は、目標過給圧算出部250と、目標過給圧決定部252と、VN開度決定部254と、VN開度制御部256と、切替弁制御部258とを含む。なお、これらの構成は、プログラム等のソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現されてもよい。
目標過給圧算出部250は、エンジン回転数Neと負荷(具体的には、燃料噴射量Af)とに基づいてシングルターボモード用の第1目標過給圧Pbtsを算出する。目標過給圧算出部250は、たとえば、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afと第1目標過給圧Pbtsとの関係を示すマップを用いて第1目標過給圧Pbtsを算出する。
目標過給圧算出部250は、さらに、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afとに基づいてツインターボモード用の第2目標過給圧Pbttを算出する。目標過給圧算出部250は、たとえば、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afと第2目標過給圧Pbttとの関係を示すマップを用いて第2目標過給圧Pbttを算出する。
なお、目標過給圧算出部250は、たとえば、アクセル開度、スロットル開度と吸入空気量等に基づいて燃料噴射量Afを決定する。
目標過給圧決定部252は、第1目標過給圧Pbtsと、第2目標過給圧Pbttとを比較し、いずれか大きい方を目標過給圧Pbtとして決定する。たとえば、図3に、第1目標過給圧Pbtsと第2目標過給圧Pbttとの変化を示す。図3の横軸は、時間を示し、図3の縦軸は、過給圧を示す。
図3に示すように、時間T(0)になる前の期間において、第1目標過給圧Pbts(図3の破線)は、第2目標過給圧Pbtt(図3の細実線)よりも大きい。そのため、当該期間においては、第1目標過給圧Pbtsが目標過給圧Pbt(図3の太実線)として決定される。
一方、時間T(0)以後の期間においては、第2目標過給圧Pbttが第1目標過給圧Pbtsよりも大きくなる。そのため、当該期間においては、第2目標過給圧Pbttが目標過給圧Pbtとして決定される。
図2に戻って、VN開度決定部254は、可変ノズル機構50cのVN開度D(1)および可変ノズル機構52cのVN開度D(2)を決定する。本実施の形態においては、VN開度決定部254は、第1目標過給圧Pbtsが目標過給圧Pbtとして決定された場合には、可変ノズル機構50cのVN開度D(1)を決定し、決定された同じVN開度を可変ノズル機構52cのVN開度D(2)として決定する。
VN開度決定部254は、たとえば、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afとに基づくベース開度と、過給圧センサ208によって検出される実過給圧Pbrと目標過給圧Pbtとの差分に基づくフィードバック補正値(たとえば、PID制御による補正値)とを加算してVN開度D(1)を算出する。VN開度決定部254は、たとえば、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afとベース開度との関係を示すマップを用いてベース開度を決定する。マップは、たとえば、実験等によって適合される。
マップにおいて、エンジン回転数Neとベース開度とは、たとえば、エンジン回転数Neが高いほどベース開度が大きくなり、エンジン回転数Neが低いほどベース開度が小さくなるように設定される。また、マップにおいて、燃料噴射量Afとベース開度とは、たとえば、燃料噴射量Afが高くなるほどベース開度が大きくなり、燃料噴射量Afが小さくなるほどベース開度が小さくなるように設定される。なお、マップにおいて、エンジン回転数Neが低い領域においては、燃料噴射量Afにかかわらずベース開度が一定値となる領域を設定してもよい。
本実施の形態において、VN開度決定部254は、第2目標過給圧Pbttが目標過給圧Pbtとして決定された場合には、可変ノズル機構50cのVN開度D(1)と、VN開度D(1)からのオフセット量Cとを決定するとともに、決定されたVN開度D(1)にオフセット量Cを加算して可変ノズル機構52cのVN開度D(2)を決定する。
VN開度決定部254は、たとえば、上述したとおり、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afとに基づくベース開度と、過給圧センサ208によって検出される実過給圧Pbrと目標過給圧Pbtとの差分に基づくフィードバック補正値とを加算してVN開度D(1)を算出する。VN開度決定部254は、たとえば、マップを用いてベース開度を決定する。マップについては上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
VN開度決定部254は、さらに、エンジン回転数Neに基づいてVN開度D(1)からのオフセット量Cを決定する。
VN開度決定部254は、たとえば、図4に示すように、エンジン回転数Neとオフセット量Cとの関係を示すマップを用いて可変ノズル機構52cのVN開度D(1)からのオフセット量Cを決定する。マップは、たとえば、実験等により適合される。
図4の横軸は、エンジン回転数Neを示し、図4の縦軸は、オフセット量Cを示す。図4に示すように、エンジン回転数NeがNe(0)ときには、オフセット量Cは、ゼロとされる。エンジン回転数NeがNe(0)よりも大きいNe(1)のときには、オフセット量Cは、C(1)とされる。エンジン回転数NeがNe(1)よりも大きいNe(3)のときには、オフセット量Cは、C(1)よりも小さいC(0)とされる。
なお、図4に示すマップは、一例であって、特に図4に示すマップに限定されるものではない。なお、オフセット量C(0)およびC(1)は、可変ノズル機構52cのVN開度D(1)からの増加量を示す。
VN開度決定部254は、決定された可変ノズル機構50cのVN開度D(1)にオフセット量Cを加算した値を可変ノズル機構52cのVN開度D(2)として決定する。
VN開度制御部256は、VN開度決定部254によって決定されたVN開度D(1)になるようにVN制御信号(1)を生成して、生成したVN制御信号(1)を可変ノズル機構50cのアクチュエータの駆動回路に送信する。当該駆動回路によって可変ノズル機構50cのアクチュエータが駆動される。また、VN開度制御部256は、VN開度決定部254によって決定されたVN開度D(2)になるようにVN制御信号(2)を生成して、生成したVN制御信号(2)を可変ノズル機構52cのアクチュエータの駆動回路に送信する。当該駆動回路によって可変ノズル機構52cのアクチュエータが駆動される。
切替弁制御部258は、たとえば、第1目標過給圧Pbtsが第2目標過給圧Pbttよりも高い場合には、シングルターボモードを選択する。切替弁制御部258は、第2目標過給圧Pbttが第1目標過給圧Pbtsよりも高くなる場合には、ツインターボモードを選択する。
切替弁制御部258は、シングルターボモードの選択中に、第2目標過給圧Pbttが第1目標過給圧Pbtsよりも高くなる場合には、シングルターボモードからツインターボモードへの移行モードを経由した後にツインターボモードに制御モードを移行させる。
切替弁制御部258は、ツインターボモードの選択中に、第1目標過給圧Pbtsが第2目標過給圧Pbttよりも高くなる場合には、ツインターボモードからシングルターボモードへの移行モードを経由した後にシングルターボモードに制御モードを移行させる。
切替弁制御部258は、制御モードにしたがってECV60、IBV62およびACV64の動作を制御する。具体的には、切替弁制御部258は、制御モードに応じてECV60を制御するためのECV制御信号と、IBV62を制御するためのIBV制御信号と、ACV64を制御するためのACV制御信号とを生成して、生成したECV制御信号と、IBV制御信号と、ACV制御信号とをECV60、IBV62およびACV64のそれぞれの駆動回路に送信する。各駆動回路によってECV60、IBV62およびACV64が駆動される。
以下、図5を用いて、切替弁制御部258によって実行される、制御モードに応じたECV60、IBV62およびACV64の制御の一例について説明する。図5に示すように、切替弁制御部258は、シングルターボモードの選択中においては、ECV60およびACV64の双方が閉状態になり、IBV62が開状態になるように各切替弁を制御する。
切替弁制御部258は、たとえば、時間T(1)に、第2目標過給圧Pbttが第1目標過給圧Pbtsよりも高くなる場合には、シングルターボモードからツインターボモードへの移行モードを選択する。この場合、切替弁制御部258は、ECV60を閉状態から開状態に切り替えるとともに、ACV64の閉状態およびIBV62の開状態を維持する。ECV60が開状態になることにより、第2エキゾーストマニホールドから排気通路39を経由してタービン52bに排気ガスが流れるため、タービン52bのタービンホイールが回転する。このとき、コンプレッサ52aにおいて圧縮された空気は、バイパス通路42を経由して吸気通路34に循環される。
切替弁制御部258は、時間T(2)にて、タービンホイールの回転数が過給に適切な回転数まで上昇した時点で、ACV64を閉状態から開状態に切り替えるとともに、IBV62を開状態から閉状態に切り替えることによって、ツインターボモードに移行する。このとき、コンプレッサ52aにおいて圧縮された空気は、吸気通路35に供給される。すなわち、第1過給機50および第2過給機52を用いて過給が行なわれる。
切替弁制御部258は、時間T(3)にて、第1目標過給圧Pbtsが第2目標過給圧Pbttよりも高くなる場合には、ツインターボモードからシングルターボモードへの移行モードを選択する。この場合、切替弁制御部258は、IBV62を閉状態から開状態に切り替えるとともに、ECV60の開状態およびACV64の開状態を維持する。IBV62が開状態になることにより、コンプレッサ52aから吸気通路35に供給される空気は、バイパス通路42を流通可能になる。
時間T(4)にて、切替弁制御部258は、ACV64を開状態から閉状態に切り替えることによって、シングルターボモードに移行する。ACV64が閉状態になることにより吸気通路35の一方端と他方端との間が遮断状態になる。
時間T(5)にて、切替弁制御部258は、ECV60を開状態から閉状態に切り替える。これにより、第2バンク14から第2エキゾーストマニホールド26に排出された排気ガスは、接続通路30および第1エキゾーストマニホールド24を経由してタービン50bに流通する。すなわち、第1過給機50を用いて過給が行なわれる。
図6を参照して、本実施の形態に係るエンジン10に搭載された制御装置200で実行される制御処理について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、制御装置200は、第1目標過給圧Pbtsおよび第2目標過給圧Pbttを算出する。
S102にて、制御装置200は、第1目標過給圧Pbtsが第2目標過給圧Pbttよりも大きいか否かを判定する。第1目標過給圧Pbtsが第2目標過給圧Pbttよりも大きいと判定される場合(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでない場合(S102にてNO)、処理はS108に移される。
S104にて、制御装置200は、第1目標過給圧Pbtsを目標過給圧Pbtとして決定する。S106にて、制御装置200は、第1過給機50の可変ノズル機構50cにおけるVN開度D(1)を決定する。なお、制御装置200は、第2過給機52の可変ノズル機構52cにおけるVN開度D(2)は、VN開度D(1)と同じ値に決定する。
S108にて、制御装置200は、第2目標過給圧Pbttを目標過給圧Pbtとして決定する。S110にて、制御装置200は、第1過給機50の可変ノズル機構50cにおけるVN開度D(1)を決定する。S112にて、制御装置200は、エンジン回転数Neに基づいてオフセット量Cを決定する。S114にて、制御装置200は、第1過給機50の可変ノズル機構50cにおけるVN開度D(1)に、決定されたオフセット量Cを加算して第2過給機52の可変ノズル機構52cにおけるVN開度D(2)を決定する。S116にて、制御装置200は、決定されたVN開度になるように第1過給機50および第2過給機52を制御する。S118にて、制御装置200は、制御モードに応じた切替弁の制御を実行する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係るエンジン10の制御装置200の動作について図7および図8を用いて説明する。たとえば、エンジン10が搭載された車両が走行する場合を想定する。
図7の横軸は、時間を示し、図7の縦軸は、制御モードと、エンジン回転数Neと、燃料噴射量Afと、過給圧Pbとを示す。図8の横軸は、時間を示し、図8の縦軸は、VN開度を示す。
図7に示すように、たとえば、シングルターボモードが選択され、エンジン回転数Ne、燃料噴射量Afおよび過給圧Pbがそれぞれアイドル状態に対応するエンジン回転数、燃料噴射量および過給圧である場合を想定する。
時間T(6)にて、運転者がアクセルペダルを踏み込むなどすると、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afとが増加して、車両が発進する。このとき、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afとに基づいて第1目標過給圧Pbtsおよび第2目標過給圧Pbttが算出される(S100)。
第1目標過給圧Pbtsが第2目標過給圧Pbttよりも高い場合には(S102にてYES)、第1目標過給圧Pbtsが目標過給圧Pbtとして決定される(S104)。そのため、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afとに基づくベース開度に、実過給圧Pbrと目標過給圧Pbtとの差に基づくフィードバック補正値が加算されて可変ノズル機構50cのVN開度D(1)が決定される(S106)。決定されたVN開度D(1)になるように第1過給機50の可変ノズル機構50cが制御される(S116)。
第1目標過給圧Pbtsが第2目標過給圧Pbttよりも高い場合には、制御モードとしてシングルターボモードが選択される。そのため、図5を用いて説明したように、ECV60およびACV64はいずれも閉状態となり、IBV62は、開状態となる(S118)。
時間T(7)にて、第2目標過給圧Pbttが第1目標過給圧Pbtsよりも高くなる場合には(S102にてNO)、第2目標過給圧Pbttが目標過給圧Pbtとして決定される(S108)。そのため、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afとに基づくベース開度に、実過給圧Pbrと目標過給圧Pbtとの差に基づくフィードバック補正値が加算された値が、可変ノズル機構50cのVN開度D(1)として決定される(S110)。そして、エンジン回転数Neに基づいてオフセット量Cが決定される(S112)。VN開度D(1)にオフセット量Cが加算された値が可変ノズル機構52cのVN開度D(2)として決定される(S114)。決定されたVN開度D(1)になるように第1過給機50の可変ノズル機構50cのVN開度が制御されるとともに、決定されたVN開度D(2)になるように第2過給機52の可変ノズル機構52cのVN開度が制御される(S116)。
第2目標過給圧Pbttが第1目標過給圧Pbtsよりも高い場合には、制御モードとして、シングルターボモードからツインターボモードへの移行モードが選択され、切替弁制御が実行される(S118)。すなわち、シングルターボモードからツインターボモードへの移行モードにおいては、図5を用いて説明したように、ECV60が閉状態から開状態に切り替えられる。ECV60が開状態に切り替えられることにより、第2エキゾーストマニホールド26からタービン52bに排気ガスが流通するため、タービン52bのタービンホイールが回転を開始する。
ACV64は閉状態でありIBV62が開状態であるため、コンプレッサ52aにおいて圧縮された空気は、吸気通路35からバイパス通路42を経由して吸気通路34に循環される。
時間T(7)〜(8)においては、図7に示すように、時間の経過とともにエンジン回転数Neが増加していく。そのため、時間の経過とともにオフセット量Cが増加していくことになり、図8の実線と破線とに示すように、可変ノズル機構50cのVN開度と、可変ノズル機構52cのVN開度とは、乖離していく。
時間T(8)にて、第2過給機52の回転数が適切な回転数になるタイミングで制御モードがツインターボモードに移行される。そのため、図5を用いて説明したように、IBV62が開状態から閉状態に切り替えられるとともに、ACV64が閉状態から開状態に切り替えられる。
時間T(8)〜時間(9)においては、図8の破線に示す可変ノズル機構52cのVN開度D(2)は、図8の実線に示す可変ノズル機構50cのVN開度D(1)よりもオフセット量Cだけ大きい値となる。
VN開度D(2)がVN開度D(1)よりも大きくなることによりタービン52bにおける圧力損失がタービン50bにおける圧力損失よりも低下する。その結果、タービン52bにおける排気流量がタービン50bにおける排気流量と同程度になる。そのため、第1過給機50の回転数と第2過給機52の回転数とが同程度になる。これにより、第2過給機52におけるサージの発生が抑制される。
図7に戻って、時間T(9)にて、第1目標過給圧Pbtsが第2目標過給圧Pbttよりも高くなる場合には(S102にてYES)、第1目標過給圧Pbtsが目標過給圧Pbtとして決定される(S104)。そのため、可変ノズル機構50cのVN開度D(1)が決定される(S106)。決定されたVN開度D(1)になるように第1過給機50の可変ノズル機構50cが制御される(S116)。
第1目標過給圧Pbtsが第2目標過給圧Pbttよりも高い場合には、制御モードとして、ツインターボモードからシングルターボモードへの移行モードが選択され、切替弁制御が実行される(S118)。ツインターボモードからシングルターボモードへの移行モードにおいては、図5を用いて説明したように、IBV62が閉状態から開状態に切り替えられる。IBV62が閉状態から開状態に切り替えられることにより、コンプレッサ52aにおいて圧縮された空気は、吸気通路35からバイパス通路42を経由して吸気通路34に循環可能となる。
時間T(9)〜(10)においては、図7に示すように、時間の経過とともにエンジン回転数Neが減少していく。そのため、時間の経過とともにオフセット量Cが減少していくこととなり、図8の実線と破線とに示すように、可変ノズル機構50cのVN開度D(1)と、可変ノズル機構52cのVN開度とは、近づいていく。
時間T(10)にて、ACV64が開状態から閉状態に切り替えられて、シングルターボモードに移行する。その後、ECV60が開状態から閉状態に切り替えられる。
以上のようにして、本実施の形態に係るエンジン10によると、第1過給機50および第2過給機52の両方を作動させる場合において、可変ノズル機構52cのVN開度が可変ノズル機構50cのVN開度よりも大きくなるように可変ノズル機構52cのVN開度が制御される。可変ノズル機構52cのVN開度を大きくすることにより、タービン52bにおける圧力損失を低下させることができ、タービン52bから排気通路40へと排気ガスが流通しやすくなる。これにより、第2過給機52への排気ガスの流量の低下を抑制することができる。そのため、第1過給機50および第2過給機52の回転数が同程度になるように作動させることができるため、第2過給機52においてサージが発生することを抑制することができる。したがって、第1過給機と第2過給機とを用いた過給時にサージの発生を抑制する内燃機関を提供することができる。
さらに、エンジン回転数Neと燃料噴射量Afとに基づいて可変ノズル機構50cのVN開度を決定し、決定された可変ノズル機構50cのVN開度をエンジン10の状態に応じた増加分だけ増加させた値が可変ノズル機構52cのVN開度として決定される。これにより、可変ノズル機構50cのVN開度と、可変ノズル機構52cのVN開度とを過給圧等に基づいて別々に制御する場合と比較して、VN開度の制御において応答遅れに起因するハンチングが発生することを抑制することができる。
以下、変形例について説明する。
上述した実施の形態では、第1目標過給圧と第2目標過給圧との大小によって制御モードを変更するものとして説明したが、第1目標過給圧と第2目標過給圧との比較にヒステリシスを設定してもよい。
上述した実施の形態では、オフセット量Cは、エンジン回転数Neに基づいて決定するものとして説明したが、たとえば、エンジン回転数Neと負荷(すなわち、燃料噴射量Af)とに基づいて決定してもよい。この場合、たとえば、燃料噴射量Aが大きいほどオフセット量Cの値を大きくしてもよい。
上述した実施の形態では、VN開度制御を実行した後に、切替弁制御が実行されるものとして説明したが、第1目標過給圧と第2目標過給圧との比較結果に基づいて切替弁制御が実行されればよく、VN開度制御の実行後に限定して実行されるものではない。
上述した実施の形態では、シングルターボモードにおいては、可変ノズル機構52cのVN開度D(2)は、可変ノズル機構50cのVN開度D(1)と同じ値であるものとして説明したが、特に、可変ノズル機構50cのVN開度D(1)と同じ値であることに限定されるものではない。たとえば、シングルターボモードにおける可変ノズル機構52cのVN開度D(2)は、予め定められた開度であってもよいし、現在の可変ノズル機構52cのVN開度と同じ開度であってもよい。
なお、上記した変形例は、その全部または一部を組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。