JP2017075433A - 壁紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不陸隠蔽性を得るのに十分なボリューム感を持たせても簡易に優れた耐圧性及び表面強度を付与可能な壁紙の製造方法を提供する。【解決手段】壁紙は、壁紙用裏打紙の上に発泡した発泡樹脂層が形成される。発泡樹脂層を構成する樹脂に、発泡剤として少なくとも、第1の発泡剤と、第1の発泡剤よりも発泡開始温度が高い第2の発泡剤とを添加し、第1の発泡剤の発泡開始温度以上、第2の発泡剤の発泡開始温度未満の温度である第1の加熱温度で予め設定した時間、加熱する第1発泡処理工程と、第1発泡処理工程の後に、第2の発泡剤の発泡開始温度以上の温度である第2の加熱温度で加熱する第2発泡処理工程と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は壁紙の製造に関する。
下地の壁面に存在する凹みや隙間、段差などを隠蔽する隠蔽性向上のために、壁紙にボリューム感が求められる場合がある。
ここで、壁紙用裏打紙と樹脂層からなる壁装材においては、樹脂層を厚くするか、あるいは特許文献1の壁紙のように樹脂を発泡形成させかつその発泡倍率を上げることでボリューム感を上げることができる。
しかしながら、単純に樹脂層を厚くすると、耐圧性や表面強度を保つことが出来ず、耐圧性や表面強度が低下するものとなってしまう。
ここで、樹脂層の発泡倍率と強度を両立する方法として、押し出し成型やコーティング方式での複層化が考えられるが、何れも専門の加工機が必要となり、また加工の難しさから生産性が低下する。
特開2008−38265号公報
本発明は、裏打紙と発泡樹脂層とからなる壁紙において、簡易な手段によって耐圧性及び表面強度を向上可能な壁紙の製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様である壁紙の製造方法は、裏打紙と、上記裏打紙の上に形成された発泡樹脂層とを有する壁紙の製造方法であって、発泡樹脂層を構成する樹脂に、発泡剤として少なくとも、第1の発泡剤と、第1の発泡剤よりも発泡開始温度が高い第2の発泡剤とを添加し、第1の発泡剤の発泡開始温度以上、第2の発泡剤の発泡開始温度未満の温度である第1の加熱温度で予め設定した時間、加熱する第1発泡処理工程と、第1発泡処理工程の後に、第2の発泡剤の発泡開始温度以上の温度である第2の加熱温度で加熱する第2発泡処理工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の態様である壁紙によれば、不陸隠蔽性を得るのに十分なボリューム感が出るまで発泡させても、簡易な手段で耐圧性及び表面強度が向上した壁紙を提供可能となる。
本発明に基づく実施形態に係る壁紙を説明するための模式的断面図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の壁紙原紙は、図1に示すように、裏打紙1の一方の面の上に、発泡樹脂層2が形成され、その発泡樹脂層2の上に印刷層3およびコート層4が形成されている。また、壁紙の表面には、エンボス処理等の加工によって凹凸模様5が付与されている。ここで、本実施形態の壁紙として、印刷層3、コート層4、及び凹凸模様5は省略されていても良い。
<裏打紙1>
裏打紙1としては、発泡壁紙の基材として適した機械強度、耐熱性等を備えていれば、特に限定されない。裏打紙1は、例えば、樹脂シート、繊維質シート(紙等)などからなる。
裏打紙1としては、特に紙等の繊維質シートが好ましい。繊維質シートの例としては、普通紙、難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙、上質紙、薄用紙などが挙げられる。本実施形態では、無機添加剤が少ないか添加しない紙、例えば普通紙を使用する。
裏打紙1として、例えば、坪量50〜100g/mかつ厚さ80〜150μmの範囲のものを採用する。これによって、壁装材として求められる剛性を確保可能となる。
<発泡樹脂層2>
発泡樹脂層2は、例えば塩化ビニル系樹脂やオレフィン系樹脂などの樹脂を主成分とし、且つ発泡剤を含有した発泡樹脂層である。
この発泡樹脂層2を構成する樹脂の重合度は1000以上が好ましい。重合度を1000以上とすることで壁紙の表面強度を高くすることが出来る。
発泡樹脂層2には、発泡剤を混合し、加熱処理によって発泡させる。発泡倍率は3倍以上6倍以下とする。
発泡剤としては、発泡剤は、公知又は市販のものを使用することができる。例えばアゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド系化合物;N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;炭酸アンモニウム、ソジウムボロンハイドライト、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の熱分解型発泡剤等を用いることができる。これらのうち発泡開始温度が異なる2種以上の発泡剤を添加する。
例えば、添加する発泡剤として、ADCA(アゾジカルボンアミド発泡剤)及びOBSH(オキシビススルホニルヒドラジド発泡剤)を用いる。例えば、発泡倍率の確保と発泡表面の荒れ防止のため、上記2種類の発泡剤ADCAとOBSHとを3:1〜1:1の割合で、2種類の合計が樹脂100部に対して1〜4部になるよう混合する。
発泡安定剤としては、熱安定性の付与と発泡厚さ増加のため、2種類の安定剤(バリウム塩系と亜鉛塩系)を1:4〜4:1の割合で、2種類の合計が樹脂100部に対して1〜4部になるよう混合することができる。
発泡樹脂層2としては、坪量50〜280g/mかつ3倍以上の発泡倍率とすることで、不陸隠蔽性を得るのに十分なボリューム感を有しかつ優れた表面強度を有するとともにエンボスによる表面の凹凸模様5もシャープに再現することのできるものとなる。
発泡樹脂層2には、可塑剤、減粘剤その他の有機系添加剤および無機粉体を用途に応じて適宜混合しても良い。
無機粉体は、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪砂、タルク、シリカ類、ケイ酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、二酸化チタン等からなる。無機粉体は、発泡樹脂層2を構成する塩化ビニル系樹脂100部に対して40〜150部を加えることが好ましい。ここで、無機粉の量が、150部を超えると、不燃性能が上がるもののボリューム感が低下するおそれがある。
<印刷層3>
印刷層3は、発泡樹脂層2の上に、カレンダー成形法、コーティング法、スクリーン印刷法などによって、シート状もしくは絵柄模様状に設ける。
印刷層3は、印刷インキ(非発泡性インキ)及び/又は水性エマルジョン樹脂を主成分とした発泡性インキ、塩化ビニルペースト樹脂を主成分とした発泡性インキなどを用いて構成する。
<コート層4>
コート層4は、壁紙の表面を保護する層である。
<凹凸模様5>
凹凸模様5は、発泡抑制インキにより部分的に発泡させる方法や、熱風や赤外線により部分的に加熱発泡させるケミカルエンボス方法があるが、特にはエンボスロールによる圧接によるメカニカルエンボスが、発泡樹脂層2に対してシャープな凹凸を得ることが出来るので好ましい。
<発泡処理>
ここで、発泡樹脂層2に添加した2種類の発泡剤の発泡開始温度T1、T2、但しT1<T2とする。ここで、他の発泡剤が含有していても良い。
第1発泡処理工程として、上記の壁紙原紙を先ず、T1以上好ましくはT1よりも高く且つT2よりも低い加熱温度である第1の加熱温度で所定時間(例えば5秒以上)加熱することで、発泡開始温度が低い側の発泡剤を先に発泡させる。このとき、加熱の所定時間は、発泡開始温度が低い側の発泡剤の発泡を必ずしも100%発泡させるための加熱時間である必要はなく、例えば発泡開始温度が低い側の発泡剤の発泡が50%以上発泡するまでの加熱時間であっても良い。
次に、第2発泡処理工程として、T2以上、好ましくはT2より高い加熱温度で所定時間(例えば10秒以上)加熱することで、発泡していない発泡剤を発泡させる。
発泡開始温度T1は、例えば140℃〜180℃の範囲とし、発泡時間を20秒〜40秒とする。また、発泡開始温度T2は、例えば190℃〜230℃の範囲とし、発泡時間を5秒〜60秒とする。
ここで、発泡開始温度T1とTとは10℃以上の温度差が有ることが好ましい。
このように、2段階で発泡させることで、発泡樹脂層2内の発泡セルが、2段階で発泡させる場合に比べて緻密になる。この結果、発泡倍率を3倍以上として不陸隠蔽性を得るのに十分なボリューム感を発泡樹脂層2に付与しても、耐圧性及び表面強度が優れた壁紙となる。
またこのことは、凹凸模様5をエンボス等により設けても凹凸形状をシャープに再現することができる。
ここで、発泡樹脂層2に無機粉体を40部以上添加することで、発泡ガスを適度に逃がし、発泡による空隙(セル)の形状を適切な形にすることが可能となる。
但し、無機粉体が150部を超えると、ボリュームを低下させることから150部を上限としている。
次に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
壁紙用裏打紙1として、坪量65g/m厚さ110μmの普通紙(日本製紙(株):「NI65AT」)を用いた。
その壁紙用裏打紙1の上に、塩化ビニル系樹脂(東ソー(株)製:「SP−039」、重合度1050)に無機粉体100部、及び発泡剤としてADCAを2部、OBSHを1.5部を加えたペーストを坪量300g/mとなるようにコーティング法により塗布して発泡樹脂層2を形成し、加熱発泡(発泡倍率3倍)を行い、更にエンボスロールで加圧冷却した後に、乾燥して実施例1の壁紙とした。
上記の加熱発泡は、第1発泡処理工程として、紙面温度145℃で10秒加熱し、その後、第2発泡処理工程として、紙面温度210℃で20秒加熱して発泡させた。
<実施例2>
壁紙用裏打紙1として、坪量65g/m厚さ110μmの普通紙(日本製紙(株):「NI65AT」)を用いた。
その壁紙用裏打紙1の上に、塩化ビニル系樹脂(東ソー(株)製:「SP−039」、重合度1050)に無機粉体100部、及び発泡剤としてADCAを2部、OBSHを1.5部を加えたペーストを坪量300g/mとなるようにコーティング法により塗布して発泡樹脂層2を形成し、その上に、水性インキを用いてグラビア印刷にて絵柄印刷を行い、加熱発泡(発泡倍率3倍)を行い、更にエンボスロールにて加圧してエンボス付与を行い、その後冷却、乾燥して実施例2の壁紙とした。
上記の加熱発泡は、第1発泡処理工程として、紙面温度145℃で10秒加熱し、その後、第2発泡処理工程として、紙面温度210℃で20秒加熱して発泡させた。
<比較例1>
加熱発泡として、第1発泡処理工程を省略し、第2発泡処理工程だけを実施した以外は、実施例2と同様にして比較例1の壁紙を得た。
<比較例2>
発泡剤をADCAのみ2.5部とした以外は、比較例1と同様にして比較例2の壁紙を得た。
<評価方法>
ボリューム感は、ダイヤルシクネスゲージを用いた厚さ測定を行い、厚さが0.5mmを超えているか否かで評価した。
不陸隠蔽性は、厚さ110μm、直径20mmの円形シールを準不燃規格の石膏ボード(厚さ9.5mm)に1枚貼り、側面から光を当てて目視で場所を特定できるか否かを評価した。
耐圧性は、ブロッキングテスターを用いて1kg/mの荷重をかけ、温度25℃、湿度60%で24時間保管した後、解圧して24時間経過した上で、加重前を100%とした時の解圧後24時間経過後の厚みの比率が90%を超えるか否かで評価した。
表面強度は、壁紙工業会制定の規格「表面強化壁紙性能規定」に準拠した試験により、引っ掻き時の表面の破損状態を目視判定し、原紙層が露出するか否かを評価した。
<評価結果>
評価結果を表1に示す。
Figure 2017075433
表1から分かるように、本発明に基づく実施例1,2の壁紙では、ボリューム感、不陸隠蔽性、耐圧性、表面強度ともに良好であることを確認した。
一方、比較例1の壁紙では、実施例2と同様な発泡剤を適用しても、実施例1,2に比べて耐圧性及び表面強度が低下していることが分かる。
1 裏打紙
2 発泡樹脂層
3 印刷層
4 コート層
5 凹凸模様

Claims (2)

  1. 裏打紙と、上記裏打紙の上に形成された発泡樹脂層とを有する壁紙の製造方法であって、
    上記発泡樹脂層を構成する樹脂に、発泡剤として少なくとも、第1の発泡剤と、第1の発泡剤よりも発泡開始温度が高い第2の発泡剤とを添加し、
    第1の発泡剤の発泡開始温度以上、第2の発泡剤の発泡開始温度未満の温度である第1の加熱温度で予め設定した時間、加熱する第1発泡処理工程と、
    第1発泡処理工程の後に、第2の発泡剤の発泡開始温度以上の温度である第2の加熱温度で加熱する第2発泡処理工程と、
    を備えることを特徴とする壁紙の製造方法。
  2. 上記発泡樹脂層の発泡倍率は、3倍以上の発泡倍率であることを特徴とする請求項1に記載した壁紙の製造方法。
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