JP2017075344A - 端面を被覆したNiめっき鋼箔及び電池導電部材、Niめっき鋼箔の製造方法 - Google Patents

端面を被覆したNiめっき鋼箔及び電池導電部材、Niめっき鋼箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Niより安価な代替材として、耐食性と溶接性に優れたNiめっき鋼箔を提供する。【解決手段】表面から順に、厚さが0.5〜3μmであり、Niを90%超含有するNi層と、厚さが0.1〜2μmであり、Niを50〜90%含有するNi−Fe層を備え、Ni層とNi−Fe層の厚さの合計が1μm以上であり、圧延方向に垂直に測定した最大高さ粗さRzが0.9μm以下であり、スリット加工部の少なくとも一部がNiを含む金属で被覆されているNiめっき鋼箔。【選択図】図1

Description

本発明はNiめっき鋼箔及びそれを用いた電池導電部材に関する。
リチウムイオン二次電池(以下「LiB」という)は、小型で高出力が可能なため、スマートフォンやノートパソコンなどの小型電子機器から、ハイブリッドカーや災害時の補助電源などの大型機器まで幅広く使用されている。現在もさらなる小型化及び高出力化が進んでいるため、今後も適用分野はさらに広がると期待されている。
このLiB用部品の1つである負極リード材には導電性、耐食性、外装缶との溶接性が求められるため、多くの場合純Niが使用されている。しかし純NiはFeやCuと比較し高価であり、安価な代替材が求められている。
多くの場合、LiBの外装缶にはSUSやNiめっき鋼が使用される。純Niより安価なFeやCuは、純Niと比較し外装缶との溶接性や耐食性に劣るので、負極リード材として不適である。一方、耐食性や外装缶との溶接性に優れるSUSは、純Niと比較し導電性において著しく劣るので、負極リード材として不適である。
現行負極リード材に使用されている純Niの代替材としては、安価かつSUSより優れた導電性を持つFeを母材とし、耐食性や外装缶との溶接性を被覆Niで補完した、NiとFeの積層材が有望である。
特許文献1には、NiとFeを接合圧延によってNi/Fe/Ni積層材を製造する方法が開示されている。しかし、この方法では、Niめっき法と比較しNi層が厚くなるため、コスト的に不利である。さらに、接合圧延法であるため、常に接合界面への異物混入のおそれがある。
特許文献2には、鋼鈑にNiめっきを施す製造方法が開示されており、Niめっき後に焼鈍することでNiめっきと鋼鈑との間にNi−Fe合金層を形成させること、焼鈍によりNiめっきの圧延性が向上することが開示されている。しかし、めっき時に不可避的に発生するピンホール(めっきが施されなかった箇所)については開示されていない。また、めっき後の圧延についても開示されていないため、圧延時に不可避的に発生するめっきのピンホールの影響や対策について開示されていない。
特許文献3には、圧延性に優れた鋼板を箔まで圧延した後、Niめっきを施す製造方法が開示されている。しかし、ある程度の厚さ(0.5mm厚程度)の鋼鈑にNiめっきした後に箔まで圧延する方が、この方法より効率よく、低コストでNiめっき鋼箔を製造することが可能である。
特許文献4には、銅箔の両面にNi箔が貼り付けられたクラッド材をスリット加工により切断する際に、Ni箔が引き延ばされ、端面の銅をNiで被覆する方法が開示されている。
国際公開第2011/099160号 特開平6−2104号公報 特開2013−222696号公報 特開2013−161547号公報
低コストでNiめっき鋼箔を製造する方法としては、前述したように、ある程度の厚さの鋼鈑にNiめっきを施した後に、焼鈍することによりピンホールを撲滅させ、その後箔まで圧延する方法が有効である。
しかしながら、本発明者らが、焼鈍した0.5mm厚のNiめっき鋼板を0.1mm厚の箔まで圧延し、その後、めっきの健全性を確認するためSEM観察したところ、めっきの割れ部が確認された。割れ部をEDXで分析したところ、Fe分が80質量%を超えており、ピンホールであることが明らかとなった。Niめっき後の熱処理によりピンホールは消滅しているため、このピンホールは箔までの圧延時に形成されたことが分かる。
しかし、焼鈍したNiめっき鋼をリロールし、リード材として適用するのは少数であり、鋼板を箔まで圧延する際に再形成されるピンホールに対する対策方法は確立していない。
加えて、LiB負極リード材は抵抗溶接または超音波溶接し使用されるため、溶接性に影響を与える表面粗度は重要な因子である。しかしながら、表面粗度について言及したNiめっき鋼箔の文献は無い。
本発明は、上記の事情に鑑み、Niより安価な代替材として、耐食性と溶接性に優れたNiめっき鋼箔を提供することを目的とする。
本発明者らは、耐食性と溶接性に優れたNiめっき鋼箔を得る方法について鋭意検討した。
本発明者らは、ピンホールがNiめっき鋼板を圧延し箔とする際に再形成されていることから、Niめっき層の構成と圧延性との関係に注目した。また、高い耐食性を得られるNiめっき層の構成を調査した。加えて、箔のスリット加工方法を検討することによりスリット加工時にFeが露出する箔の加工面(端面)をNiを含む金属で被覆させることで更なる耐食性の向上を試みた。一方、優れた溶接性を得られる表面粗度についても調査した。
その結果、Niめっき鋼板を圧延し箔とする前に、Niめっき鋼板を適切な条件で焼鈍し、Niめっき層の構成を適切にすることで、箔まで圧延する際に不可避的に再形成されるピンホールを抑制でき、優れた耐食性が得られることを知見した。また適切な刃先角度と刃先の丸み半径(R)を有する刃で箔をスリット加工することによりスリット加工によりFeが露出する箔の加工面(端面)をNiを含む金属で被覆することができ、更なる耐食性の向上が図れることを知見した。さらに、表面を低粗度とする独特の圧延法により、優れた抵抗溶接性と外観を確保できることを知見した。
本発明は、上記の知見に基づきなされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1)表面から順に、厚さが0.5〜3μmであり、Niを90%超含有するNi層と、厚さが0.1〜2μmであり、Niを50〜90%含有するNi−Fe層を備え、Ni層とNi−Fe層の厚さの合計が1μm以上であり、圧延方向に垂直に測定した最大高さ粗さRzが0.9μm以下であり、スリット加工部の少なくとも一部がNiを含む金属で被覆されていることを特徴とするNiめっき鋼箔。
(2)厚さが0.04〜0.20mmであることを特徴とする前記(1)のNiめっき鋼箔。
(3)前記(1)又は(2)のNiめっき鋼箔を備えたことを特徴とする電池導電部材。
(4)鋼片を熱間圧延及び冷間圧延を施し冷延鋼板とする工程、前記冷延鋼板にNiめっきを施しNiめっき鋼板とする工程、前記Niめっき鋼板に750〜900℃で10〜30秒保持する焼鈍を施す工程、及び焼鈍後のNiめっき鋼板を圧延し、スリット加工してNiめっき鋼箔とする工程を備え、前記Niめっき鋼板を圧延する工程において、最終の2パス以上の圧延を、凝着Niが存在しないロールを用いて行い、スリット加工時にNiを含む金属を引き延ばしてスリット加工により現れる面を被覆することを特徴とするNiめっき鋼箔の製造方法。
(5)前記凝着Niが存在しないロールは未使用又は再研磨済みのロールであることを特徴とする前記(4)のNiめっき鋼箔の製造方法。
(6)刃先の角度が45〜90°、刃先の丸み半径(R)が10〜20μmの刃でスリット加工することを特徴とする前記(4)又は(5)に記載のNiめっき鋼箔の製造方法。
本発明によれば、Niと比較し安価な代替材としてNiめっき鋼箔を提供することができる。本発明によるNiめっき鋼箔は、従来のNiめっき鋼箔より安価に製造可能であり、さらに耐食性と溶接性に優れており、特に、電池導電部材用の鋼箔として好適である。
図1は、スリット加工に用いる刃を示す模式図である。 図2は、図1におけるII部分の拡大図である。
以下、本発明について詳細に説明する。はじめに、Niめっき層の構成について説明する。本発明の電池導電部材用Niめっき鋼箔は、表面から順に、Niを90%超含有するNi層と、Niを50〜90%含有するNi−Fe層を備える。
耐食性を劣化させるピンホールの再形成を抑制するには、上記のNi層、Ni−Fe層(50≦Ni(質量%)≦90)、及び鋼鈑層と比較して著しく硬い、Ni−Fe層(5≦Ni(質量%)<50)の影響を減少させる必要がある。Ni層、Ni−Fe層(50≦質量%Ni≦90)、鋼鈑層のビッカース硬さは100前後であるが、Ni−Fe層(5≦質量%Ni<50)は最大200程度になる。そのため、Ni−Fe層(5≦Ni(質量%)<50)は他の層と圧延追従性に大きな差が生じ、箔までの圧延中にピンホールの再形成を促進すると考えられる。ピンホールの再形成を抑制し、耐食性を保つためには上述のめっき層構成にする必要がある。
Ni−Fe層は、鋼板にNiめっきを施す際に不可避的に発生するピンホールを撲滅させ、鋼板との密着性を向上させるために必要であり、Niめっき後の鋼板に焼鈍を施すことにより形成させる。
焼鈍は、鋼板とNiめっきを再結晶させ圧延性を向上させるために施す。本発明において、焼鈍条件は、Niめっき層の構成を制御するために非常に重要である。
鋼板を圧延し箔とする際に再形成されるピンホールを抑制し、耐食性を維持するためには、箔とした際のNi層が0.5μm以上、Ni−Fe層(50%≦Ni(質量%)≦90%)が0.1μm以上、Ni層とNi−Fe層の合計が1μm以上必要である。経済的な観点から、Ni層は3μm以下、Ni−Fe層は2μm以下とする。
焼鈍により、Ni−Fe層(50%≦Ni(質量%)≦90%)の下層に拡散層であるNi−Fe層(5≦Ni(質量%)<50)が不可避的に形成される。上述のとおり、Ni−Fe層(5≦Ni(質量%)<50)は硬く、箔までの圧延中にピンホールの再形成を促進するが、Ni−Fe層(5≦Ni(質量%)<50)が十分に薄い場合、具体的には、箔とした際にNi層+Ni−Fe層(50≦Ni(質量%)≦90)の合計厚みの75%以下且つ1.5μm以下であれば、悪影響を及ぼさない。
Ni−Fe層(5≦Ni(質量%)<50)を十分に薄くするためには、Ni層、Ni−Fe層(50%≦Ni(質量%)≦90%)の厚さのバランスを上述した適切な範囲とするように焼鈍条件を設定する必要があり、そのためには、焼鈍温度は750〜900℃、保持時間は10〜30秒とする必要がある。
なお、Niめっきは鋼板に電気めっきを施すことにより形成する。電気めっきによれば、めっきの厚さは電流密度と時間を制御することにより、必要な厚さにすることができる。鋼箔において上記の必要なめっき厚が得られるように、鋼板のめっき厚を調整すればよい。
続けて、スリット加工により形成されるスリット加工部に露出するFeを、Niを含む金属、たとえば、Niを50%以上含む金属で被覆することによる耐食性の向上について説明する。
スリット加工時に現れる面に露出しているFeをNiで被覆することで耐食性の更なる向上が図れる。そのためには、図1および2に示すように、刃先の角度が45〜90°(図1では60°)、刃先の丸み半径(R)が10〜20μmの刃11,12でNiめっき鋼箔をスリット加工することで表面のNiめっきをスリット加工と同時に引き延ばし、スリット加工により箔が切断される際に現れる面(スリット加工部)に露出するFeを被覆する必要がある。
最後に、表面粗度について説明する。
表面粗度、特に最大高さ粗さRzが高いと、溶接面に不均一な接触を生じ、抵抗溶接において不良を生じやすくなる。本発明における圧延法では最終2パス以上に、圧延中に凝着したNiが存在しないロール、より具体的には、未使用又は再研磨済みのロールを使用することにより圧延方向に垂直に測定した最大高さ粗さRz0.9μm以下の抵抗溶接性に優れ、また美麗な外観を有することができる。凝着Niが存在しない清浄なロールで圧延することは、ピンホール抑制にも有効である。
本発明のNiめっき鋼箔は、厚みが0.04〜0.20mmであることが好ましい。厚みが0.04mm厚未満であると、製造工程で破断又は表面に亀裂が発生する場合がある。厚みが0.20mm厚を超えてもリチウムイオン二次電池用負極リード材としての特性上の不具合は無いが、組み込まれる電池の大型化、重量増加を招く。
極低炭素鋼を使用し、熱間圧延、冷間圧延(以下、冷延と記す)を経て板厚0.5mm厚の冷延鋼板を得た。得られた冷延鋼板に、電気めっき法で種々の厚さのNiめっきを施した。その後、比較例10を除き、750℃〜900℃×10〜30秒で焼鈍し、Niめっき層と鋼鈑との間に種々の厚さのNi−Fe合金層を形成させた。焼鈍によりNiめっきピンホール部にNi−Fe合金が形成されるので、箔への圧延前の時点ではピンホールは存在しない。
引き続き箔までの圧延工程においては、1回目の圧延パスの圧下率を30%以下とし、4回目の圧延パスにおける累積圧下率を70%以下とした。その後、圧延機のロールを未使用又は研磨したNiの凝着の無いロールに変更し、最終パスの2つ前の圧延パスにおける累積圧下率と最終パスにおける累積圧下率との差を5%以下として圧延し、0.1mm厚のNiめっき鋼箔を製造した。
負極リード材は、電圧がかかった状態で電解液による金属イオン溶出(腐食)環境にさらされる。この事情に鑑み、本発明者らは以下の試験方法を考案し、負極リード材としての耐食性を調査した。
電解液を1mol/LのLiPF、溶媒をエチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:3としたラミネートセルを製造した。電圧をかければセル内の負極箔の金属イオン溶出(腐食)環境は、負極リード材の金属イオン溶出環境と同様となる。そのため、本試験において金属イオンの溶出が起きないサンプルは、負極リード材として使用可能と判断できる。
加電圧は金属Li箔極で制御した。また、セル内で金属イオンの溶出が起こればセル内の電流値が上がる。本試験においては1mAの電流が流れることで「金属イオンの溶出有り」と判断した。
現行、負極リード材として使用されている純Niに、25℃で上記試験を実施したところ、3.4V以下では12h間溶出しなかった。しかし、3.5Vでは8hほどで溶出した。よって、25℃で3.4Vの加電圧下で12h溶出しなければ、現行使用されている純Niと同様の性能を持つと判断した。また、比較用にFeに対し同様の試験を実施したところ、12h以内に溶出した。純NiとFeの耐食性の違いが明瞭に確認できることより、本試験方法はリード材の耐食性調査試験として妥当であると判断できた。また腐食環境をより苛酷にするには試験温度を上げればよい。
Niめっき層の構成は、グロー放電質量分析法(以下GDSと表記)で調査した。加えて、各層のビッカース硬さを測定した。その結果、焼鈍したNi層と鋼鈑層のビッカース硬さは100弱でほぼ同等であり、Ni−Fe層(50≦Ni(質量%)≦90)のビッカース硬さは120であった。しかし、Ni−Fe層(5≦Ni(質量%)<50)のビッカース硬さは120〜200と他の層と比較して著しく硬く、圧延追従性の違いからピンホール再形成を促進すると考えられる。
まず耐食性に優れたNiめっき層の構成を調査するため、スリット加工部をNiを含む金属で被覆していない状態のNiめっき鋼箔で耐食性の比較試験を実施した。比較例の試験結果を表1に示す。比較例1〜8においては、金属イオンの溶出は起きなかった。これは、適切なめっき構成により、圧延に追従できずNiを含む層の表層が部分的に引きちぎられても、Niめっき層が十分に厚いためピンホールとならず耐食性を保てたためと判断できる。
比較例9はNi層が薄すぎたため、圧延中に再形成されたピンホールがFe母材に到達し溶出が生じたと考えられる。
比較例10はNiめっき後に焼鈍をしなかったため圧延性が悪く、さらにNi−Fe合金層による圧延前のピンホールの撲滅も行なわれなかった。加えて箔までの圧延時にピンホールが多く形成され、耐食性が低下したと考えられる。
比較例11はNiめっき層を全てNi−Fe合金相にしたため硬質なNi−Fe層(5≦質量%Ni<50)も増加してしまい、圧延中にピンホールの再形成が促進され耐食性が低下したと考えられる。
比較例12と13はめっき層の総厚が1μm未満のため圧延中に再形成されたピンホールがFe母材に到達し、溶出が生じたと考えられる。
以上の結果より、Niめっき層の構成により優れた耐食性を得るには表面から順に、厚さが0.5〜3μmであり、Niを90%超含有するNi層と、厚さが0.1〜2μmであり、Niを50〜90%含有するNi−Fe層を備え、Ni層とNi−Fe層の厚さの合計が1μm以上とする必要がある。
Figure 2017075344
続けてスリット加工部に露出するFeをNiを含む金属で被覆することによる耐食性への影響を調査した。表1の比較例1を、刃先の角度45°、60°、90°とし、種々の刃先の丸み半径(R)を有する刃でスリット加工し、表層のNiめっきを引き延ばすことによるスリット加工部(切断端面)に露出するFeの被覆を試みた。本方法で作製した試験片に対する耐食性試験は前述の表1の試験より苛酷な条件で行なった。具体的には試験温度を25℃から60℃へ上げ、より腐食し易い環境にすることで耐食性の差を明確化させた。
腐食環境が苛酷になっていることを検証するため、純NiとFeに上記60℃における耐食性試験を実施したところ、純Niは2.9V加圧電下では12hで溶出しなかったが3.0Vでは12h以内に溶出した。またFeは2.9V加圧電下で3h以内に溶出した。25℃における試験ではNiは3.4V加圧電下で、Feも3.2V加圧電下では12h溶出しなかったことより、60℃における試験は25℃より苛酷な腐食環境であることが確認された。またこれらの結果より、本試験では60℃で2.9Vの加電圧下で12h溶出しなければ現行使用されている純Niと同様の性能を持つと判断した。
刃先の角度および丸み半径(R)を変化させスリット加工したNiめっき鋼箔の耐食性試験の結果を表2に示す。刃先の角度が45〜90°の間においては、刃先の丸み半径(R)が大きい程引っ張られる表面のNiを含む金属は増加し、スリット加工により露出する母材のFeを覆い易くなる。本発明例14〜22は、刃先の丸み半径(R)が10μm以上である刃を用いたので、箔が切断されることにより現れるスリット加工部に露出するFeは十分にNiを含む金属で被覆され、Niと同等の耐食性を持つようになった。しかし比較例23〜43は刃先の丸み半径(R)が10μm未満である刃を用いたので、引き延ばされるNiを含む金属が少なくなった。その結果、スリット加工部をNiを含む金属により十分被覆できず、露出しているFeが多いため、溶出が生じ易かったと考えられる。
本結果より、スリット加工により現れる面(スリット加工部)をNi層で十分に被覆するには刃先の角度45〜90°、刃先の丸み半径(R)が10〜20μmの刃でスリット加工する必要があることが確認できた。
Figure 2017075344
最後に、前述した表2の本発明例17において、箔までの圧延においてロール変更のタイミングを変化させた番号44〜46の抵抗溶接性を調査した。各番号のサンプルは刃先の角度60°、刃先の丸み半径(R)が10μmの刃で5mm幅にスリット加工した後、0.3mm厚×5mm幅のSUSに抵抗溶接し、その後T字型剥離試験により溶接性を調査した。サンプル数はそれぞれ10個とし、全てのサンプルにおいて「Niめっき鋼箔が破断」したものを溶接性良好、1つでも「Niめっき鋼箔とSUS板が剥離」したものを溶接性不良と判断した。また圧延方向に垂直な最大高さ粗さは10個のサンプルの平均値とした。
結果を表3に示す。最大高さ粗さRzが高い比較例45,46は剥離するサンプルも多く、また抵抗溶接中に火花が散ることも多かった。これは箔表面の粗度が高く不均一な接触が生じ、溶接電流が安定しなかったためと考えられる。
本結果より、優れた溶接性を得るには、最終の2パス以上の圧延を凝着Niが存在しないロールを用いて行い、圧延方向に垂直に測定した最大高さ粗さRzが0.9μm以下の表面を持たせる必要がある。
Figure 2017075344

Claims (6)

  1. 表面から順に、
    厚さが0.5〜3μmであり、Niを90%超含有するNi層と、
    厚さが0.1〜2μmであり、Niを50〜90%含有するNi−Fe層
    を備え、
    Ni層とNi−Fe層の厚さの合計が1μm以上であり、
    圧延方向に垂直に測定した最大高さ粗さRzが0.9μm以下であり、
    スリット加工部の少なくとも一部がNiを含む金属で被覆されていることを特徴とするNiめっき鋼箔。
  2. 厚さが0.04〜0.20mmであることを特徴とする請求項1に記載のNiめっき鋼箔。
  3. 請求項1又は2に記載のNiめっき鋼箔を備えたことを特徴とする電池導電部材。
  4. 鋼片を熱間圧延及び冷間圧延を施し冷延鋼板とする工程、
    前記冷延鋼板にNiめっきを施しNiめっき鋼板とする工程、
    前記Niめっき鋼板に750〜900℃で10〜30秒保持する焼鈍を施す工程、及び
    焼鈍後のNiめっき鋼板を圧延し、スリット加工してNiめっき鋼箔とする工程
    を備え、
    前記Niめっき鋼板を圧延する工程において、最終の2パス以上の圧延を、凝着Niが存在しないロールを用いて行い、スリット加工時にNiを含む金属を引き延ばしてスリット加工により現れる面を被覆することを特徴とするNiめっき鋼箔の製造方法。
  5. 前記凝着Niが存在しないロールは未使用又は再研磨済みのロールであることを特徴とする請求項4に記載のNiめっき鋼箔の製造方法。
  6. 刃先の角度が45〜90°、刃先の丸み半径(R)が10〜20μmの刃でスリット加工することを特徴とする請求項4又は5に記載のNiめっき鋼箔の製造方法。
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