JP2017074926A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
タイヤ金型50は、タイヤ周方向に沿って例えば9分割されたものが使用される。
また、スタッド取付穴形成用突起51は、形成する取付穴52に対応した形状に形成される。
取付穴52は、トレッド14の表面14aに開口する開口側部と底側部とを備え、開口側部は、トレッド14の表面14aから穴底面に向けて径寸法が徐々に小さくなる逆円錐形状に形成された穴入口側部と、穴入口側部と底側部とを繋ぐ円筒状の穴中間側部とを備える。
スタッド取付穴形成用突起51は、取付穴52の底側部を形成するための先端側が取付穴52の穴中間側部を形成するための中間部よりも大径に形成されているため、タイヤ金型50を脱型する場合、スタッド取付穴形成用突起51をトレッド14から引き抜く際の引き抜き抵抗によって取付穴52の内周面からトレッドゴムにクラック(亀裂)が生じる虞がある。特に、タイヤ金型50のタイヤ周方向に沿った両端に近いスタッド取付穴形成用突起51ほど、図8(c)に示すように、脱型時において、スタッド取付穴形成用突起51の脱型方向55と脱型により形成されるスタッド取付穴52の中心軸56とのずれ角度θが大きくなるため、脱型し難くなり、トレッドゴムにクラックが生じやすくなる。
そこで、スタッド取付穴形成用突起51の形状を脱型しやすい形状にすることが考えられる。
しかしながら、スタッド取付穴形成用突起51を脱型しやすい形状にすればスタッド取付穴に取付けられたスタッドも抜けやすくなる可能性がある。
即ち、スタッダブルタイヤは、使用時においては、スタッドが抜け難いこと、即ち、耐スタッド抜け性能が高いことが望ましいが、タイヤの加硫の際には、スタッド取付穴形成用突起51がトレッド14から脱型しやすいようにして、脱型時にトレッドゴムにクラックを発生させないこと、即ち、脱型性能が高いことが望ましい。
しかしながら、耐スタッド抜け性能と脱型性能とは背反した性能であるため、これら性能を両立させることは困難であった。
従来、スタッドが取付けられる取付穴をトレッドの表面側に備えたタイヤにおいて、トレッドの表面に開口する開口側部と、底側部とを備え、開口側部と底側部との境界部分における取付穴の中心軸に沿った曲面の曲率半径が、底側部の内周面における取付穴の中心軸に沿った曲面の曲率半径よりも小さく形成されたタイヤが知られている(特許文献1等参照)。
本発明は、タイヤの加硫の際においてスタッド取付穴形成用突起がトレッドから脱型しやすく、また、取付穴に取付けられたスタッドが抜けにくい取付穴を備えたタイヤ、即ち、トレッドの表面側に、脱型性能と耐スタッド抜け性能とを両立できるスタッド取付用の取付穴を備えたタイヤを提供する。
また、底側部の内周面の最大径の位置が、境界領域部と前記底側部との境界位置と取付穴の穴底面との間の中間位置よりも穴底面に近い位置に形成されたので、境界位置と最大径の位置とを繋ぐ取付穴の中心軸に沿った曲面の曲率半径を、穴底面と最大径の位置とを繋ぐ取付穴の中心軸に沿った曲面の曲率半径よりも大きくできるようになるため、境界位置と最大径の位置とを繋ぐ取付穴の中心軸に沿った曲率半径の大きい曲面からのスタッド取付穴形成用突起の引き抜き抵抗を小さくできて、スタッド取付穴形成用突起が脱型しやすくなって、トレッドにクラックが発生することを抑えることができる一方で、曲率半径の小さい曲面により、当該取付穴に取付けられたスタッドのフランジ部を拘束する拘束力が大きくなるため、スタッダブルタイヤの使用時においてはスタッドが取付穴から抜け難くなる。即ち、脱型性能と耐スタッド抜け性能とを両立できる取付穴を備えたタイヤを提供できる。
また、開口側曲面の曲率半径が、底側部の内周面における取付穴の中心軸に沿った方向での最大径の位置と取付穴の穴底面との間の曲面である穴底側曲面の曲率半径よりも大きい構成としたので、曲率半径の大きい開口側曲面からのスタッド取付穴形成用突起の引き抜き抵抗を小さくできて、スタッド取付穴形成用突起が脱型しやすくなって、トレッドにクラックが発生することを抑えることができる一方で、曲率半径の穴底側曲面により、当該取付穴に取付けられたスタッドのフランジ部を拘束する拘束力が大きくなるため、スタッダブルタイヤの使用時においてはスタッドが取付穴から抜け難くなる。
なお、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、特徴群を構成する個々の構成もまた発明となり得る。
図3に示すように、スタッダブルタイヤ10は、トレッド14の表面14a側にスタッド2(スパイクピンと呼ばれる場合もある)を取り付けるための取付穴3が形成されたタイヤ1と、タイヤ1の取付穴3内に嵌め込まれて取付けられたスタッド2とを備えた構成である。
各陸部17A,17B,18の表面には、複数のサイプ19が形成されている。
サイドトレッド15は上記トレッド14の端部からタイヤのサイド部に延長して上記カーカス層12を覆うゴム部材である。
トレッド14と外側のベルト層13bとの間には、スタッド2下(タイヤ径方向内側)のゴムのへたりにより、スタッド2が陥没して外側のベルト層13bに突き刺さるのを防止するためのベルト保護層13cが設けられる。ベルト保護層13cは、有機繊維等から成るコードを備えた構成である。
取付穴3は、例えば上記ショルダー側陸部18と上記外側陸部17Bとに設けられる。
スタッド2は、ボディ部21の中心軸とピン部22の中心軸とフランジ部23の中心軸とが、連続する一直線により形成され、当該連続する一直線がスタッド2の中心軸2C(以下、単に「中心軸2C」という)を形成する。
アッパー部21Aは、中心軸2Cと直交する断面形状が中心軸2Cに沿った全長に亘って等しい円柱体に形成される。
ローアー部21Bは、中心軸2Cと直交する断面形状が中心軸2Cに沿った全長に亘って等しい円柱体に形成される。
アッパー部21Aの断面径とローアー部21Bの断面径との関係は、アッパー部21Aの断面径>ローアー部21Bの断面径である。
ミドル部21Cは、中心軸2Cと直交する断面形状の径が、アッパー部21A側からローアー部21B側に近づくに従って徐々に小さくなる逆円錐状柱体により形成される。
ボディ部21の先端面21tは、例えば、中心軸2Cと直交する平面、又は、中心軸2Cに沿った方向の一端に向けて突出するように湾曲する湾曲面、又は、中心軸2Cに沿った方向の他端に向けて窪むように湾曲する湾曲面に形成されている。
ピン部22の先端面22tは、例えば、中心軸2Cと直交する平面、又は、中心軸2Cに沿った方向の一端に向けて突出するように湾曲する湾曲面、又は、中心軸2Cに沿った方向の他端に向けて窪むように湾曲する湾曲面に形成されている。
スタッド2の高さ寸法は取付穴3の深さ寸法よりも長く形成され、スタッド2の一端側であるピン部22がトレッド14の表面14aより突出するようにスタッド2がトレッド14の表面14a側に埋込まれてスタッダブルタイヤ10が構成される。
取付穴3の中心軸3Cと直交する平面と交わる取付穴3の内周面36の断面形状は円形である(図1(a)参照)。
尚、取付穴3の中心軸3Cとは、スタッド2が取り付けられる穴のタイヤ半径方向又はタイヤ半径方向に傾斜して穴が延在する方向の穴の中心軸、つまり、タイヤ径方向に直交する穴の断面の形状における重心(実際には穴内は空間であるので断面形状における仮想の重心)を通る中心軸をいう。
底側部32は、穴底側における取付穴3の中心軸3C周りの内周面36と穴底面35とで形成される。
境界領域部33は、開口側部31との境界位置38となる開口側部31の底側部側端と、底側部32との境界位置37となる底側部32の開口部側端と、の間に位置する取付穴3の中心軸3C周りの内周面36により形成される。
取付穴3の穴底面35は、取付穴3の底部の平面を形成する面であり、取付穴3の深さ方向の最深位置において中心軸3Cと直交する平面に形成されている。
また、内周面36と穴底面35との境界が曲面(穴底側曲面41B)により形成されている。
底側部32の内周面36における取付穴3の中心軸3Cに沿った面は、一端が境界領域部33との境界位置37となる底側部32の開口部側端と繋がり、他端が穴底面35と繋がる曲面であって、中心軸3Cから離れる方向に突出するように湾曲する曲面41により形成される。
即ち、境界領域部33と底側部32との境界位置37は、境界領域部33の内周面36を形成する曲面40と底側部32の内周面36を形成する曲面41との境界により形成される。言い換えれば、境界位置37は、境界領域部33の曲面40を形成する曲線と底側部32の曲面41を形成する曲線との変曲点の集合である取付穴3の中心軸3Cを中心とする円線により形成される。
即ち、底側部32の内周面36を形成する曲面41は、前記境界位置37と前記最大径Cの位置36Mとを繋ぐ開口側曲面41Aと、前記最大径Cの位置36Mと底側部32の穴底面35とを繋ぐ穴底側曲面41Bとで形成される。
つまり、最大径Cの位置36Mは、開口側曲面41Aを形成する曲線と穴底側曲面41Bを形成する曲線との変曲点の集合である取付穴3の中心軸3Cを中心とする円線により形成される。
尚、内周面や曲面の曲率半径とは、取付穴3の中心軸3Cに沿った方向の中心軸3Cを含む取付穴3の断面を、取付穴3の深さ方向に側面視した場合の側方側の面を形成する線分の曲率半径をいう。
言い換えれば、底側部32の開口側曲面41Aの曲率が境界領域部33の曲面40の曲率よりも大きい(開口側曲面41Aの曲がり具合が曲面40の曲がり具合よりもきつい)構成となっている。
また、底側部32の開口側曲面41Aの曲率半径R1と底側部32の穴底側曲面41Bの曲率半径R2との関係は、曲率半径R1>曲率半径R2である。
言い換えれば、穴底側曲面41Bの曲率が開口側曲面41Aの曲率よりも大きい(穴底側曲面41Bの曲がり具合が開口側曲面41Aの曲がり具合よりもきつい)構成となっている。
言い換えれば、穴底側曲面41Bの曲率>開口側曲面41Aの曲率>境界領域部33の曲面40の曲率である。
境界領域部33の曲面40の曲率半径R3を小さくし過ぎて、R3/R1を1.2よりも小さくしてしまうと、スタッド取付穴形成用突起51が境界領域部33の曲面40に引掛かり易くなって抜け難くなり、脱型性能が向上しない可能性があり、逆に、R3を大きくし過ぎて、R3/R1を5よりも大きくしてしまうと、スタッド2のフランジ部23の外周面24が境界領域部33の曲面40に引掛かり難くなって、耐スタッド抜け性能が向上しない可能性があるからである。
そこで、脱型性能が向上するように境界領域部33の曲面40の曲率半径R3を設定するとともに、当該曲率半径R3との関係において、R3/R1の数値の範囲を、1.2≦R3/R1≦5、好ましくは、1.7≦R3/R1≦3としたことで、脱型性能と耐スタッド抜け性能とを両立できる取付穴3を形成した。
即ち、R3/R1を1.2よりも小さくした場合、スタッド取付穴形成用突起51の脱型性能が低下し、R3/R1を5よりも大きくした場合、耐スタッド抜け性能が低下する可能性があるため、R3/R1の数値の範囲を、1.2≦R3/R1≦5とした。そして、耐スタッド抜け性能とスタッド取付穴形成用突起51の脱型性能とををより向上できる取付穴3とするため、R3/R1の数値の範囲を、1.7≦R3/R1≦3とした。
穴底側曲面41Bの曲率半径R2は、小さくても脱型性能に影響を与え難いが、曲率半径R2を小さくしすぎれば、穴底側曲面41Bが鋭角な角部になってしまい、当該角部からクラックが発生しやすくなる。一方、穴底側曲面41Bの曲率半径R2を大きくしすぎれば、スタッド2のフランジ部23を拘束する拘束力が不足して耐スタッド抜け性能が低下する。
そこで、脱型性能が向上するように開口側曲面41Aの曲率半径R1を設定するとともに、当該曲率半径R1との関係において、R1/R2の数値の範囲を、1.5≦R1/R2≦100、好ましくは、2≦R1/R2≦10としたことで、脱型性能と耐スタッド抜け性能とを両立できる取付穴3を形成した。
即ち、R1/R2を1.5よりも小さくした場合、耐スタッド抜け性能が低下し、R1/R2を100よりも大きくした場合、穴底側曲面41Bが鋭角な角部になって当該角部からクラックが発生しやすくなるので、R1/R2の数値の範囲を、1.5≦R1/R2≦100とした。そして、耐スタッド抜け性能の向上とクラックの発生をより抑制できる取付穴3とするため、R1/R2の数値の範囲を、2≦R1/R2≦10とした。
即ち、ベースゴム層14Bを形成するゴムを、トップゴム層14Tを形成するゴムと比べて、室温時に硬く、加硫時に柔らかくなる特性を有したゴムにより形成した。
尚、室温時とは、10℃〜40℃のことをいい、ここでは23℃である。当該温度は、氷雪路面での通常のタイヤの使用状態における温度のことであり、耐スタッド抜け性能に最も関係のある温度だからである。
また、加硫時とは、100℃〜200℃のことをいい、ここでは100℃である。未加硫ゴムが加硫された直後の温度のことであり、脱型性能に最も関係のある温度だからである。
尚、弾性率として50%モジュラス(M50)を用いて評価値=(Mn2/Mn1)/(Mn4/Mn3)を評価することで、脱型性能を最も的確に制御できる。
さらに、50%モジュラス(M50)は、JIS K6251−2010に基づき、50%の引張応力(50%モジュラス)をJIS K6250−6.1(試験室の標準温度)の23℃で室温時の弾性率を測定し、JIS K6250−11.2.2(その他の試験温度)から選択した100℃で加硫時の弾性率を測定した。
即ち、取付穴3の中心軸3Cに沿った方向における前記境界面14Xと前記境界位置37との間の距離d3は、取付穴3の底側部32の中心軸3Cに沿った方向の高さ寸法(=距離d)よりも小さい構成とした。
また、スタッド2が取付穴3に取付けられたスタッダブルタイヤ10の使用時において最も大きい歪がかかる部位は、取付穴3の境界領域部33と底側部32との境界位置37である。実施形態においては、トップゴム層14Tとベースゴム層14Bとの境界面14Xが、取付穴3の境界領域部33と底側部32との境界位置37よりもトレッド14の表面14aに近い位置に形成されている。即ち、境界面14Xが、スタッダブルタイヤ10の使用時において最も大きい歪がかかる境界位置37に位置されず、当該境界面14Xに大きな歪が発生しないようになるので、境界面14Xでゴムが破壊されにくくなり、耐スタッド抜け性能が向上する。
また、脱型時において最も大きい歪がかかる部位は、取付穴3の境界領域部33と底側部32との境界位置37から底側部32の高さ寸法dだけ離れた位置X2よりも取付穴3の開口3tに近い位置であり、当該位置に、境界面14Xが位置されず、脱型時に当該境界面14Xに大きな歪が発生しないようになるので、境界面14Xでゴムが破壊されにくくなり、脱型性能が向上する。
また、取付穴3の中心軸3Cに沿った断面(取付穴3を取付穴3の中心軸3Cを含む平面で切断した断面)の形状は、中心軸3Cを中心とした左右で異なった形状であってもよい。
また、スタッドは、中心軸と直交する断面形状が、取付穴の断面形状に対応して形成されたスタッドを用いればよい。
また、トップゴム層も、ベースゴム層も、1種のゴムからなる1つの層でなく、複数種のゴムからなる層であってもかまわない。トップゴム層とベースゴム層との境界面での隣接するトップゴム層とベースゴム層との弾性率と位置の関係を満たせば本発明の構成は成立するからである。
また、境界領域部の曲面の曲率半径、開口側曲面の曲率半径、穴底側曲面の曲率半径は、1つの曲率半径である必要はない。即ち、上述した境界領域部の曲面、開口側曲面、穴底側曲面は、複数の曲率半径を有した曲面であってもよいし、一部(例えば途中や始点、終点等)に直線部分を含む曲面であってもよい。
14 トレッド、14a トレッドの表面、31 開口側部、32 底側部、
33 境界領域部、35 穴底面、36 内周面、36M 最大径の位置、
37 境界位置(底側部の開口部側端)、38 境界位置(開口側部の底側部側端)、
41A 開口側曲面、41B 穴底側曲面、C 最大径。
Claims (3)
- スタッドが取付けられる取付穴をトレッドの表面側に備えたタイヤであって、
取付穴は、取付穴の中心軸に沿った方向の一方側に設けられてトレッド表面に開口する開口側部と、取付穴の中心軸に沿った方向の他方側に設けられた底側部と、取付穴の中心軸に沿った方向における開口側部の底側部側端と底側部の開口部側端との間の領域である境界領域部とを備え、
底側部の内周面における取付穴の中心軸に沿った面が、取付穴の中心軸から離れる方向に突出する曲面により形成され、
前記境界領域部の内周面における取付穴の中心軸に沿った面が、前記開口側部の底側部側端より底側部に向けて徐々に拡径するとともに取付穴の中心軸に近づく方向に突出するように湾曲する曲面により形成され、
前記底側部の内周面における取付穴の中心軸に沿った面が、取付穴の中心軸から離れる方向に突出するように湾曲する曲面により形成され、
前記境界領域部の内周面における取付穴の中心軸に沿った曲面の曲率半径が、前記底側部の内周面における取付穴の中心軸に沿った方向での最大径の位置と前記底側部の開口部側端の位置との間の曲面である開口側曲面の曲率半径よりも大きいことを特徴とするタイヤ。 - 前記底側部の内周面の最大径の位置が、前記境界領域部と前記底側部との境界位置と取付穴の穴底面との間の中間位置よりも穴底面に近い位置に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
- 前記開口側曲面の曲率半径が、前記底側部の内周面における取付穴の中心軸に沿った方向での最大径の位置と取付穴の穴底面との間の曲面である穴底側曲面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
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