JP2017073530A - 密着性向上材料、配線構造、及びその製造方法、並びに半導体装置、及びその製造方法 - Google Patents

密着性向上材料、配線構造、及びその製造方法、並びに半導体装置、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】バリア層と、絶縁樹脂層との密着性を向上させることができる配線構造などの提供。【解決手段】 基板と、前記基板の上方に配された金属配線と、前記金属配線の表面に配されたバリア層と、前記バリア層を覆う絶縁樹脂層と、前記バリア層と前記絶縁樹脂層との間に、前記絶縁樹脂層に接する金属酸化物層と、を有する配線構造である。【選択図】図1I

Description

本件は、密着性向上材料、配線構造、及びその製造方法、並びに半導体装置、及びその製造方法に関する。
近年、プリント配線板の微細化、及び多層化、並びに電子部品の高密度実装化が急速に進み、プリント配線板に対してビルドアップ多層配線構造の検討が行われている。前記ビルドアップ多層配線構造では、配線材料としては例えば銅が適用され、配線間の絶縁材料としては樹脂絶縁層が適用されており、これらを積層して高集積化した多層配線基板を形成する。
配線材料と樹脂絶縁層との密着性は、低い。そこで、従来では、配線の表面を物理的に粗化して積極的に凹凸を形成することにより、配線と樹脂絶縁層との密着性を高くしてきた。
しかし、近年の配線の微細化に伴って、表面粗化方法は適用ができない。そのため、化学的接着を発現する密着層を設ける方法が検討されている。
例えば、銅配線層上に、ニトロ基およびカルボキシ基を介してトリアジンチオール層が存在し、さらにその直上に絶縁樹脂層が存在する回路基板構造により、銅配線層と絶縁樹脂層との密着性が高い回路基板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、回路基板の信頼性の観点から、微細配線においては金属配線層に対して半導体同様にバリア層を設ける必要性が明らかになってきた。例えば、金属配線の幅の縮小、及び金属配線間の間隔の縮小によって、配線電流密度が増大する。そうすると、配線金属イオンの移動現象(エレクトロマイグレーション)が発生し、これにより信頼性が損なわれる。そこで、配線金属を覆う金属配線バリア層を設ける手法が求められる。具体的には、金属配線バリア層としては、NiP、CoW、CoWPなどが挙げられるが、これら金属配線バリア層を有する回路基板構造においては、前述した銅配線層に対して化学的接着を発現する密着層を設けた構造を持ってしても、高い密着性を実現する回路基板を提供することができない。
一方、銅箔上に形成した一定の合金組成のバリア層と、絶縁樹脂層とを有する構造であって、該構造の形成に際して、前記バリア層と前記絶縁樹脂層との間に、Sを含む加硫剤を架橋型接着剤として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この技術は、銅箔を有する回路基板構造へは適用できても、微細な銅配線を有する回路基板構造へは適用できない。
そのため、金属配線のバリア層と、絶縁樹脂層との密着性が高い回路基板構造の提供が求められている。
特開2007−173588号公報 特開平7−314603号公報
本件は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本件は、バリア層と、絶縁樹脂層との密着性を向上させることができる配線構造、及び半導体装置、及びそれらの製造方法、並びにそれらに使用可能な密着性向上材料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に記載した通りである。即ち、
開示の配線構造は、
基板と、
前記基板の上方に配された金属配線と、
前記金属配線の表面に配されたバリア層と、
前記バリア層を覆う絶縁樹脂層と、
前記バリア層と前記絶縁樹脂層との間に、前記絶縁樹脂層に接する金属酸化物層と、
を有する。
開示の配線構造の製造方法は、
基板の上方に配された金属配線の表面に配されたバリア層の表面に、密着性向上材料を塗布する工程と、
前記基板の上方に、前記金属配線及び前記バリア層を覆う絶縁樹脂層を形成する工程と、
を含み、
前記密着性向上材料が、金属を含有する金属化合物と、前記金属と反応する有機化合物とを含有する。
開示の半導体装置は、
基板と、
前記基板の上方に配された金属配線と、
前記金属配線の表面に配されたバリア層と、
前記バリア層を覆う絶縁樹脂層と、
前記バリア層と前記絶縁樹脂層との間に、前記絶縁樹脂層に接する金属酸化物層と、
を有する。
開示の半導体装置の製造方法は、
基板の上方に配された金属配線の表面に配されたバリア層の表面に、密着性向上材料を塗布する工程と、
前記基板の上方に、前記金属配線及び前記バリア層を覆う絶縁樹脂層を形成する工程と、
を含み、
前記密着性向上材料が、金属を含有する金属化合物と、前記金属と反応する有機化合物とを含有する。
開示の密着性向上材料は、
金属を含有する金属化合物と、有機化合物とを含有し、
前記金属が、Cu、Zn、Cd、Mn、La、Ni、Mg、Co、Fe、及びTiの少なくともいずれかであり、
前記有機化合物が、窒素、及び硫黄の少なくともいずれかを含有し、
バリア層と絶縁樹脂層との密着性の向上に使用される。
開示の配線構造によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、バリア層と、絶縁樹脂層との密着性を向上させることができる配線構造を提供できる。
開示の配線構造の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、バリア層と、絶縁樹脂層との密着性を向上させることができる配線構造の製造方法を提供できる。
開示の半導体装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、バリア層と、絶縁樹脂層との密着性を向上させることができる半導体装置を提供できる。
開示の半導体装置の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、バリア層と、絶縁樹脂層との密着性を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供できる。
開示の密着性向上材料によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、バリア層と、絶縁樹脂層との密着性を向上させることができる密着性向上材料を提供できる。
図1Aは、配線構造の製造方法の一例を示す断面図(その1)である。 図1Bは、配線構造の製造方法の一例を示す断面図(その2)である。 図1Cは、配線構造の製造方法の一例を示す断面図(その3)である。 図1Dは、配線構造の製造方法の一例を示す断面図(その4)である。 図1Eは、配線構造の製造方法の一例を示す断面図(その5)である。 図1Fは、配線構造の製造方法の一例を示す断面図(その6)である。 図1Gは、配線構造の製造方法の一例を示す断面図(その7)である。 図1Hは、配線構造の製造方法の一例を示す断面図(その8)である。 図1Iは、配線構造の製造方法の一例を示す断面図(その9)である。 図2Aは、配線構造の製造方法の他の一例を示す断面図(その1)である。 図2Bは、配線構造の製造方法の他の一例を示す断面図(その2)である。 図2Cは、配線構造の製造方法の他の一例を示す断面図(その3)である。 図2Dは、配線構造の製造方法の他の一例を示す断面図(その4)である。 図2Eは、配線構造の製造方法の他の一例を示す断面図(その5)である。 図2Fは、配線構造の製造方法の他の一例を示す断面図(その6)である。 図2Gは、配線構造の製造方法の他の一例を示す断面図(その7)である。 図2Hは、配線構造の製造方法の他の一例を示す断面図(その8)である。 図2Iは、配線構造の製造方法の他の一例を示す断面図(その9)である。 図3Aは、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図(その1)である。 図3Bは、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図(その2)である。 図3Cは、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図(その3)である。 図3Dは、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図(その4)である。 図3Eは、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図(その5)である。 図3Fは、半導体装置の製造方法の一例を示す断面図(その6)である。 図4Aは、実施例3の積層体のHAADF−STEM像である。 図4Bは、実施例3の積層体のEDXの結果である。 図5Aは、比較例3の積層体のHAADF−STEM像である。 図5Bは、比較例3の積層体のEDXの結果である。
(配線構造、及び半導体装置)
開示の配線構造は、基板と、金属配線と、バリア層と、絶縁樹脂層と、金属酸化物層とを少なくとも有し、好ましくは化合物層を有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
開示の半導体装置は、基板と、金属配線と、バリア層と、絶縁樹脂層と、金属酸化物層とを少なくとも有し、好ましくは化合物層を有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
<基板>
前記基板としては、例えば、シリコン基板、樹脂基板、セラミック基板などが挙げられる。前記樹脂基板の材質としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<金属配線>
前記金属配線は、前記基板の上方に配されている。
前記金属配線の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、スズ、クロム、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、金、白金、銀、パラジウムなどが挙げられる。これらの中でも、銅が好ましい。
前記金属配線の形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属配線の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セミアディティブ法などが挙げられる。
<バリア層>
前記バリア層は、前記金属配線の表面に配されている。
前記金属配線の酸化を防止するとともに、前記金属配線から前記絶縁樹脂層への金属の拡散を防止する作用が、前記バリア層には期待される。
前記バリア層は、Ni、Co、W、及びBの少なくともいずれかを含有することが好ましい。
前記バリア層の材質としては、例えば、CoWP、CoWB、CoP、CoB、NiP、NiWP、NiB、NiWBなどが挙げられる。
前記バリア層の形成方法としては、例えば、無電解めっきなどが挙げられる。
<絶縁樹脂層>
前記絶縁樹脂層は、前記バリア層を覆う。
前記絶縁樹脂層の材質としては、一般的に用いられる樹脂材料であれば特に限定されず、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記絶縁樹脂層を形成する方法としては、例えば、前記絶縁樹脂層を構成する材質を含有する塗布液を、前記金属配線及び前記バリア層を覆うように塗布する方法などが挙げられる。前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレーコート法、スピンコート法などが挙げられる。もしくは、シート状に成形された絶縁樹脂膜を貼り付ける方法などが挙げられる。
<金属酸化物層>
前記金属酸化物層は、前記バリア層と前記絶縁樹脂層との間に、前記絶縁樹脂層に接するように設けられる。
前記配線構造及び前記半導体装置においては、前記金属酸化物層により、前記バリア層との親和性が高くなり、かつ、前記絶縁樹脂層と水素結合することにより、前記バリア層と前記絶縁樹脂層との密着性を向上できると考えられる。
前記金属酸化物層は、金属酸化物に加え、金属水酸化物を含有することが好ましい。そうすることにより、前記絶縁樹脂層との水素結合がより強くなり、前記バリア層と前記絶縁樹脂層との密着性がより向上できる。
前記金属酸化物層は、Cu、Zn、Cd、Mn、La、Ni、Mg、Co、Fe、及びTiの少なくともいずれかを含有することが好ましい。これらの金属は水中でイオン化して存在することができる。これらの金属は、前記金属酸化物層中において、前記金属酸化物、又は前記金属水酸化物を構成する金属として存在している。
前記金属酸化物層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属酸化物層の存在は、例えば、EDX(エネルギー分散型X線分光法)により確認することができる。
<化合物層>
前記化合物層は、前記バリア層と前記金属酸化物層との間に配されている。
前記化合物層は、窒素、及び硫黄の少なくともいずれかを含有する。
前記化合物層が、窒素、及び硫黄の少なくとも含有することにより、前記バリア層の表面に層状の金属酸化物(即ち前記金属酸化物層)を形成させることができる。その理由は、開示の配線構造の製造方法及び開示の半導体装置の製造方法において説明する。
前記化合物層は、後述する有機化合物により形成することができる。
前記化合物層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記化合物層の存在は、例えば、EDX(エネルギー分散型X線分光法)により確認することができる。
前記配線構造は、後述する配線構造の製造方法により好適に製造できる。
前記半導体装置は、後述する半導体装置の製造方法により好適に製造できる。
(配線構造の製造方法、及び半導体装置の製造方法)
開示の配線構造の製造方法は、密着性向上材料塗布工程と、絶縁樹脂層形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
開示の半導体装置の製造方法は、密着性向上材料塗布工程と、絶縁樹脂層形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<密着性向上材料塗布工程>
前記密着性向上材料塗布工程は、バリア層の表面に、密着性向上材料を塗布する工程である。
前記バリア層は、金属配線の表面に配されている。
前記金属配線は、基板の上方に配されている。
前記基板としては、例えば、前記配線構造及び前記半導体装置の説明において例示した前記基板が挙げられる。
前記金属配線としては、例えば、前記配線構造及び前記半導体装置の説明において例示した前記金属配線が挙げられる。前記金属配線の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セミアディティブ法などが挙げられる。
前記バリア層としては、例えば、前記配線構造及び前記半導体装置の説明において例示した前記バリア層が挙げられる。前記バリア層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無電解めっきなどが挙げられる。
<<密着性向上材料>>
前記密着性向上材料は、金属を含有する金属化合物と、前記金属と反応する有機化合物とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、水などのその他の成分を含有する。
前記密着性向上材料が、前記金属化合物と、前記有機化合物とを含有することにより、前記バリア層の表面に、金属酸化物を層状に形成できる。即ち、前記バリア層の表面に金属酸化物層を形成できる。これは、前記密着性向上材料を前記バリア層の表面に塗布すると、前記有機化合物が前記バリア層の表面に均一に付着するが、その際に、前記有機化合物が、前記金属化合物の前記金属と反応しているために、前記金属化合物も、前記バリア層の表面に均一に付着できるためと考えられる。そして、前記金属化合物は、例えば、加熱酸化により金属酸化物となる。前記金属化合物の全てが金属酸化物になる必要はなく、一部は金属水酸化物となってもよい。
−金属化合物−
前記金属化合物における前記金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Cu、Zn、Cd、Mn、La、Ni、Mg、Co、Fe、及びTiの少なくともいずれかであることが好ましい。これらの金属は水中でイオン化して存在し、前記バリア層と前記絶縁樹脂層との密着性をより向上させることができる。
前記金属化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属塩などが挙げられる。前記金属塩としては、例えば、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属塩化物などが挙げられる。前記金属塩としては、例えば、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸チタンなどが挙げられる。
前記金属化合物は、水中でイオン化して存在し、例えば、加熱により金属酸化物に変化する。即ち、前記金属化合物は、金属酸化物の前駆体といえる。
前記密着性向上材料における前記金属化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属の含有量として、1質量ppm〜1,000質量ppmが好ましく、10質量ppm〜500質量ppmが好ましい。前記金属の含有量が、1質量ppm未満であると、密着性向上効果が低下することがあり、1,000質量ppmを超えても、更なる密着性向上効果は見込めない。
−有機化合物−
前記有機化合物としては、前記金属と反応するかぎり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、窒素、及び硫黄の少なくともいずれかを含有することが好ましい。前記反応とは、結合の生成を意味し、前記結合としては、例えば、イオン結合、共有結合、配位結合、水素結合などが挙げられる。
前記有機化合物としては、例えば、多官能チオール化合物、トリアジン環含有化合物、イソシアヌレート化合物、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物などが挙げられる。
そのような有機化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物などが挙げられる。
ただし、前記一般式(1)中、Xは、NR、及びSAのいずれかを表す(Rは、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜10の炭化水素基のいずれかを表す)。Aは、水素原子、及びアルカリ金属のいずれかを表す。
前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物がアルカリ金属塩の場合、前記アルカリ金属塩としては、例えば、モノアルカリ金属塩、ジアルカリ金属塩、トリアルカリ金属塩などが挙げられる。
前記トリアジンチオールとしては、例えば、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン1ナトリウム塩などが挙げられる。
また、前記有機化合物としては、以下の化合物が挙げられる。これらの化合物の一部は、昭和電工株式会社から多官能チオール(例えば、カレンズMTシリーズ)として販売されている。
・ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)
・1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン
・1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
・トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトブチレート)
・トリメチロールエタン トリス(3−メルカプトブチレート)
・イミダゾール−4−カルボン酸
・2−メルカプトイミダゾール
前記密着性向上材料における前記有機化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。前記有機化合物の含有量が、0.01質量%未満であると、密着性向上効果が低下することがあり、10質量%を超えると、前記有機化合物が析出して異物となることがある。
−水−
前記水としては、純水が好ましい。
前記密着性向上材料は、前記水に、前記金属化合物、及び前記有機化合物を溶解させた溶液であることが好ましい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、アルコールなどが挙げられる。
−−アルコール−−
前記バリア層への濡れ性を向上させる目的で、前記密着性向上材料は前記アルコールを含有することができる。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
前記密着性向上材料における前記アルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜5質量%が好ましい。
前記密着性向上材料を、前記バリア層の表面に塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬法、スプレー法、スピンコート法などが挙げられる。
前記浸漬法は、前記密着性向上材料に、被処理基板を一定時間浸ける方法である。浸漬中、被処理基板は、静止させていてもよいし、揺動させていてもよい。浸漬時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5秒間〜600秒間が好ましく、10秒間〜180秒間がより好ましい。浸漬時間が短いと、十分な処理がなされないことがあり、浸漬時間が長いと、工程時間の超過によって非効率となることがある。
前記スプレー法、及び前記スピンコート法では、前記密着性向上材料を、被処理基板の表面に接するように塗布する。各々の処理装置の処理手法に応じ、均一に処理されるように条件を最適化して処理することが望ましい。
いずれの塗布方法においても、前記密着性向上材料の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、反応の安定性を考慮した場合、一定温度に固定することが好ましい。固定する温度は、20℃〜100℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましい。
また、前記密着性向上材料を前記バリア層に塗布した後は、水、又はアルコールを含む水でのリンス処理を行ってもよい。前記リンス処理はできるだけ効率的に表面を洗浄することが必要なため、流水を用いる方法、大量の溜め水に浸漬する方法、循環された水浴に浸漬する方法が好ましい。リンスは必要に応じて適用する工程のため、特に処理時間に制限はないが、リンス時間が長いと、工程時間の超過によって非効率となることがあるため、600秒間以内で行うことが好ましく、120秒間で行うことがより好ましい。
また、前述のスプレー法、スピンコート法で用いる装置を使用して、スプレーリンス処理、スピンコートリンス処理を行っても十分に洗浄は可能であり、その際の処理時間は、十分に表面が洗浄されれば特に規定されず、浸漬法と同様に、600秒間以内で行うことが好ましく、120秒間以内がより好ましい。温度については、20℃〜100℃が好ましく、20℃〜80℃がより好ましい。
更に、処理工程中に必要に応じて適宜の加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことにより、前記密着性向上材料中の金属の前記バリア層に対する反応性の向上、及び安定化が期待できる。
加熱処理温度としては、60℃〜150℃が好ましい。
加熱処理時間としては、30秒間〜300秒間が好ましい。
<絶縁樹脂層形成工程>
前記絶縁樹脂層形成工程としては、前記基板の上方に、前記金属配線及び前記バリア層を覆う絶縁樹脂層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記絶縁樹脂層の材質としては、例えば、前記配線構造及び前記半導体装置の説明において例示した前記絶縁樹脂が挙げられる。
前記絶縁樹脂層を形成する方法としては、例えば、前記絶縁樹脂層を構成する材質を含有する塗布液を、前記金属配線及び前記バリア層を覆うように塗布する方法などが挙げられる。前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレーコート法、スピンコート法などが挙げられる。
前記塗布の後には、加熱処理を行うことが好ましい。
前記加熱処理における温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70℃〜300℃で段階的に加熱処理することが好ましく、具体的には70℃〜130℃で加熱処理を行った後、130℃〜300℃の温度範囲で1段または複数段階で加熱処理を行うことが好ましい。
前記加熱処理における時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、最初の加熱処理は30秒間〜10分間、その後の段階的な加熱処理は10分間〜5時間が好ましく、トータルの処理時間としては温度調整の時間も含め、30分間〜5時間程度が好ましい。
前記加熱処理における雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、130℃以上の加熱処理時には、絶縁樹脂層の酸化を防ぐため、不活性ガス雰囲気が好ましい。前記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスなどが挙げられる。
以下に図を用いて、開示の技術について説明する。
まず、配線構造の製造方法の一例について説明する。
図1A〜図1Iは、配線構造の製造方法の一例を工程順に示す断面図である。この方法では、金属配線として銅配線を用いている。
まず、図1Aに示すように、基板21上に下地絶縁層22を形成する。本実施形態では基板21としてシリコン基板を用いるが、樹脂又はセラミック等の基板を使用することもできる。下地絶縁層22は、基板21の表面を熱酸化させて形成した熱酸化膜でもよいし、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により成膜した絶縁膜を用いてもよい。
次に、図1Bに示すように、下地絶縁層22の上にTi(チタン)等の金属又はその化合物からなる密着バリア層23を例えば5nm〜20nmの厚みに形成する。この密着バリア層23は、後述する銅配線26(図2D参照)と下地絶縁層22とを強固に密着させる機能と、銅配線26から下地絶縁層22への金属原子(Cu)の拡散を防止するバリア層としての機能とを有する。密着バリア層23を形成後、例えばスパッタ法により、密着バリア層23の上に銅からなるめっきシード層24を10nm〜200nmの厚みに形成する。
次に、図1Cに示すように、めっきシード層24の上にフォトレジスト膜25を形成し、該フォトレジスト膜25を露光及び現像処理して、めっきシード層24が露出する開口部25aを所望のパターン(配線パターン)で形成する。ここでは、開口部25aの幅、すなわち形成しようとする配線の幅が2μm程度であるとする。
次に、図1Dに示すように、電解めっき法又は無電解めっき法により、開口部25aの内側のめっきシード層24上に銅を例えば2μmの厚みにめっきして、銅配線26を得る。その後、図1Eに示すように、フォトレジスト膜25を除去する。
次に、図1Fに示すように、銅配線26に覆われていない部分のめっきシード層24及び密着バリア層23をエッチングにより除去する。めっきシード層24は、例えば硫化カリウムを用いてエッチングする。このエッチング工程では銅配線26もエッチングされるが、銅配線26の厚みはめっきシード層24及び密着バリア層23に比べて十分厚いため、銅配線26の厚みの減少はわずかである。このエッチングによる膜厚の減少を考慮して、開口部25aの幅及び銅配線26形成時のめっき厚みを設定しておく。密着バリア層23は、例えばフッ化アンモニウムを用いてエッチングする。
次に、例えばHSO(硫酸)水溶液等を使用して、銅配線26の表面(上面及び側面)を酸洗浄する。この酸洗浄により、銅配線26の表面が活性化される。その後、基板21をPd(パラジウム)を含有するアクティベーション処理液(例えば、塩化パラジウムを主成分とする酸性液)に浸漬する。これにより、銅配線26の表面が活性化される。
次に、無電解めっき法により、銅配線26の側面及び上面に例えばCoWP又はNiP等の金属を被着させて、図1Gに示すようにバリア層27を形成する。バリア層27の厚みは、例えば20nm〜200nmとする。バリア層27は、銅配線26に対する密着性が高く、且つ水分や酸素の侵入、及びCuの拡散を防止できる金属により形成する。バリア層27に好適な金属には、前述のCoWP及びNiP以外にも、CoWB、CoP、CoB、NiWP、NiB及びNiWB等がある。
次に、図1Gに示す積層体を、前記密着性向上材料に浸漬して、バリア層27の表面に、密着層28を形成する(図1H)。密着層28は、バリア層27側から、前記化合物層と、前記金属酸化物層とを有している。
次に、図1Iに示すように、基板21の上側全面に絶縁樹脂層29を、例えば5μmの厚みに形成し、この絶縁樹脂層29により銅配線26を覆う。このようにして、本態様に係る配線構造が完成する。
この態様では、密着層28の形成により、バリア層27と絶縁樹脂層29との密着性が向上する。
次に、配線構造の製造方法の他の一例について説明する。
図2A〜図2Iは、配線構造の製造方法の他の一例を工程順に示す断面図である。この方法では、金属配線として銅配線を用いている。
本態様では、多層配線構造の製造方法について説明する。また、図2A〜図2Iにおいて、図1A〜図1Iと同一物には同一符号を付している。
まず、図1A〜図1Iを用いて説明した方法と同様の方法により、図2Aに示すように基板21の上に第1配線層(銅配線26及び絶縁樹脂層29等)を形成する。なお、図2Aにおいては、密着層28が形成されている。密着層28は、形成されていることが好ましいが、形成されていなくてもよい。
次いで、図2Bに示すように、絶縁樹脂層29の表面から所定の銅配線26に到達する孔を形成した後、基板21の上側全面に、Ti等の金属からなる密着バリア層31と、銅からなるめっきシード層32とを順次形成する。
次に、図2Cに示すように、めっきシード層32の上にフォトレジスト膜33を形成し、該フォトレジスト膜33を露光及び現像処理して、めっきシード層32が露出する開口部33aを所望のパターンで形成する。
次に、図2Dに示すように、開口部33aの内側のめっきシード層32の上に銅を例えば2μmの厚みにめっきして、銅配線34を形成する。その後、図2Eに示すように、フォトレジスト膜33を除去した後、図2Fに示すように銅配線34に覆われていない部分のめっきシード層32及び密着バリア層31をエッチングにより除去する。
次に、銅配線34の表面を酸洗浄して活性化した後、次に、基板21をアクティベーション処理液に浸漬して、銅配線34の表面を活性化する。
その後、無電解めっき法等により、図2Gに示すように銅配線34の側面及び上面を覆うバリア層35を形成する。
次に、図2Gに示す積層体を、前記密着性向上材料に浸漬して、バリア層35の表面に、密着層36を形成する(図2H)。密着層36は、バリア層35側から、前記化合物層と、前記金属酸化物層とを有している。
次に、図2Iに示すように、基板21の上側全面に絶縁樹脂層37を形成し、この絶縁樹脂層36により銅配線34を覆う。これにより、第2配線層が完成する。
その後、必要であれば、第2配線層と同様にして第3配線層、第4配線層、・・・を形成する。このようにして、本実施形態に係る配線構造(多層配線構造)が完成する。
この態様では、例えば、密着層36の形成により、バリア層35と絶縁樹脂層37との密着性が向上する。
次に、半導体装置の製造方法の一例について説明する。
図3A〜図3Fは、半導体装置の製造方法の一例を工程順に示す断面図であり、LSIに適用した例を示している。この方法では、金属配線として銅配線を用いている。
最初に、図3Aに示す構造を得るまでの工程について説明する。
まず、公知の方法により、半導体基板51に素子分離膜52及びトランジスタ53を形成する。その後、素子分離膜52及びトランジスタ53を被覆する層間絶縁膜54と、その上の保護層55とを形成する。ここでは、層間絶縁膜54は酸化シリコンからなり、厚みは300nmとする。また、保護層55はSiOCからなり、厚みは50nmとする。
次に、公知のフォトリソグラフィ法及びエッチング法を使用して、保護層55の上面からトランジスタ53に到達するビアホールを形成する。そして、例えばスパッタ法により、半導体基板51の上側全面にTiNからなるバリア層56を25nmの厚みに形成して、ビアホールの内側をバリア層56で覆う。その後、CVD法等により半導体基板51の上側全面にW(タングステン)膜を形成するとともに、ビアホール内にWを埋め込んでWプラグ57を形成する。次いで、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、保護層55が露出するまで保護層55上のW膜及びバリア層56を除去する。
このようにして、図3Aに示す構造が得られる。
次に、図3Bに示す構造を得るまでの工程について説明する。
上述の工程でWプラグ57を形成した後、保護層55及びWプラグ57の上に、酸化シリコン等により層間絶縁膜58を例えば300nmの厚みに形成する。そして、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて、層間絶縁膜58に配線溝を所望のパターンで形成する。その後、半導体基板51の上側全面に例えばTaによりバリア層59を例えば5nm〜20nmの厚みに形成し、更にその上にCuからなるめっきシード層(図示せず)を50nm〜200nmの厚みに形成する。そして、電解めっき法により、めっきシード層の上に銅膜を形成するとともに、配線溝内に銅を埋め込んで、銅配線60を形成する。次いで、CMP法により、層間絶縁膜58が露出するまで層間絶縁膜58上の銅膜、めっきシード層及びバリア層59を除去する。
このようにして、図3Bに示す構造が得られる。
次に、図3Cに示すように、銅配線60の上にNiP又はCoWPを無電解めっきして、バリア層61(メタルキャップ層)を形成する。
次に、図3Cに示す積層体を、前記密着性向上材料に浸漬して、バリア層61の表面に、密着層62を形成する(図3D)。密着層62は、バリア層35側から、前記化合物層と、前記金属酸化物層とを有している。
次に、図3Eに示す構造を得るまでの工程について説明する。
上述の工程で密着層62を形成した後、半導体基板51の上側全面に絶縁樹脂層63、ストッパ膜64、層間絶縁膜65及びストッパ膜66を順次形成する。ここでは、層間絶縁膜65は酸化シリコンからなり、ストッパ膜64,66は窒化シリコンからなるものとする。
その後、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を使用し、ストッパ膜66の上面からストッパ膜64まで到達する深さの配線溝65aと、ストッパ膜64の上面から銅配線60(バリア層61)に到達するビアホール63aとを形成する。
このようにして、図3Eに示す構造が得られる。
次に、図3Fに示す構造を形成するまでの工程について説明する。
上述の工程で配線溝65a及びビアホール63aを形成した後、半導体基板51の上側全面に例えばNiP又はCoWPからなるバリア層67と、銅からなるめっきシード層(図示せず)とを順次形成する。その後、電解めっき法によりめっきシード層の上に銅膜を形成するとともに、ビアホール63a及び配線溝65a内に銅を埋め込む。これにより、銅配線69(第2の銅配線)と、銅配線60(第1の銅配線)及び銅配線69を電気的に接続するビアコンタクト68とが形成される。
次いで、CMP法により、ストッパ層65が露出するまでストッパ層65上の銅膜、めっきシード層及びバリア層67を除去する。
次に、銅配線60と同様に、銅配線69の上にNiP又はCoWPを無電解めっきして、バリア層70(メタルキャップ層)を形成する。このようにして、本実施形態に係る半導体装置の多層配線構造が完成する。
この態様では、例えば、密着層62の形成により、バリア層61と絶縁樹脂層63との密着性が向上する。
以下、開示の技術の実施例について説明するが、開示の技術は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<処理液(密着性向上材料)の調製>
硫酸銅(関東化学社製)、及び2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン1ナトリウム塩(サンチオールN−1、三協化成株式会社製)を純水に溶解し、1Lの処理液(密着性向上材料)を調製した。
処理液における銅濃度は、10質量ppmとした。
処理液における2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン1ナトリウム塩の濃度は、0.4質量%とした。
<基板>
めっき銅(銅配線を想定)を形成した基板上にバリア層としてNiPを形成した基板を用いた。
<表面処理、及び積層体の作製>
樹脂製容器に前記処理液を入れた。そして、前記基板を80℃の前記処理液に浸漬し、静置した。次いで、純水を循環させた溜め水中で前記基板をリンス処理して、前記基板の表面の未反応物を除去した。次いで、窒素ブローにて表面を乾燥して、バリア層上面にCuを含む有機層を形成した。
次に、表面処理を行った表面に、フェノール樹脂を主材とする樹脂絶縁材料を、スピンコート法により塗布し、110℃のホットプレートで2分間ベークを行い、平均厚み5μmの絶縁樹脂層を形成した。更に、230℃の窒素雰囲気オーブンで1時間熱硬化処理を行い、金属配線バリア層上に密着層を介して絶縁樹脂層を形成し、積層体を得た。
(実施例2〜14、及び比較例1〜5)
実施例1において、以下の項目を、以下の表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、積層体の作製を行った。
・バリア層の種類
・処理液における金属化合物の種類
・処理液における金属の濃度
・処理液における有機化合物の濃度
・浸漬処理温度
・絶縁樹脂材料の種類
なお、比較例1においては、表面処理を行わず、バリア層上に直接絶縁樹脂層を形成した。
比較例2においては、処理液として硫酸銅水溶液を用い、前記処理液に有機化合物を含有させなかった。
比較例3〜5においては、処理液として有機化合物水溶液を用い、前記処理液に金属化合物を含有させなかった。
<評価>
以下の評価を行った。結果を表1に示した。
<<ピール強度>>
ピール強度測定は、90°剥離試験機(日新科学社製)にフォースゲージ(DPX−5TR、IMADA製)を設置したものを測定装置として用い、速度約50mm/minで垂直に引き剥がした際の引き剥がし強度を測定することで行った。
評価試料は以下の方法で作製した。
各実施例、及び各比較例の積層体の作製における基板を、ピーラブルCu箔上にCuめっきを形成し、更に平均厚み200nmのバリア層を形成したCCL基板(ガラス布などの基材にエポキシ等の絶縁樹脂を含浸させ、銅箔を張り合わせて積層したプリント基板用の積層基板)に変更した以外は、各実施例、及び各比較例と同様にして、積層体を作製した。更に、熱硬化性ドライフィルムを用いてCCL基板(転写基板)を接着し、ピーラブルCu箔界面で剥離して、評価試料を得た。
<<stud pull強度>>
評価試料を垂直方向に引っ張った際の引張り強度を測定した。
測定はセバスチャン試験装置(セバスチャンV型、quad group製)を用い、引張速度2.12kgf/sec、測定試料数は14個とした。
評価試料は以下の方法で作製した。
各実施例、及び各比較例の積層体の作製における基板を、評価用基板(酸化膜付Si基板上に、Ti及びCuシードを形成し、更に2μmのCuめっきを施し、更に平均厚み200nmのバリア層を形成した基板)に変更した以外は、各実施例、及び各比較例と同様にして、積層体を作製した。更に、前記積層体の絶縁樹脂層上にスタッドピン(直径2.7mm、901106型、フォトテクニカ製、エポキシ系接着剤付)を付け、150℃1時間の大気加熱によって接着材を硬化させ、評価試料を得た。
金属化合物
・A−1:硫酸銅(関東化学社製)
・A−2:硫酸マンガン(関東化学社製)
・A−3:硫酸チタン(関東化学社製)
有機化合物
・B−1:2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン1ナトリウム塩
(サンチオールN−1、三協化成株式会社製)
実施例1〜14は、比較例1〜5と比べて、ピール強度試験、Stud pull試験ともに、優れた強度を示し、密着性に優れることが確認できた。
なお、比較例2においては、金属化合物を含有する処理液を用いているが、前記処理液が有機化合物を含有していないため、層状の金属酸化物(即ち、金属酸化物層)が形成されなかった。
<断面観察>
<<実施例3>>
実施例3で得られた積層体について、断面観察を行った。
HAADF−STEM(high−angle annular dark−field scanning transmission electron microscopy)像を、図4Aに示す。
EDX(Energy Dispersive X−ray spectrometry)結果を、図4Bに示す。
その結果、積層体は、銅配線の外側にNiPから成る層(Layer1)を有し、さらにその外側にS、O、Cuを含む層(Layer2)を有し、さらにその外側にO、Cuを含む層(Layer3)を有し、さらにこの層に接してフェノール樹脂を主材とする絶縁樹脂層(Layer5)を有していることが確認できた。
それぞれのLayerにおける元素存在比(at%)から、以下のことが確認できた。
・Layer1は、NiPにわずかにCuとOを不純物として含む組成である。
・Layer2は、CuOとS含有機化合物とを含む組成である。
・Layer3は、CuOから成る組成である。
そして、Layer1は、45nmの膜厚であり、Layer2は、10nmの膜厚であり、Layer3は、15nmの膜厚である。
なお、他の実施例(実施例1、2、4〜14)においても、Layer3(金属酸化物層)、及びLayer2(S,O,金属化合物における金属を含有する層)が確認できた。
<<比較例3>>
比較例3で得られた積層体について、断面観察を行った。
HAADF−STEM像を、図5Aに示す。
EDX結果を、図5Bに示す。
その結果、積層体は、NiP層(Layer1)と、フェノール樹脂を主材とする絶縁樹脂層(Layer5)との間に、層の存在は確認できなかった。
Layer5について、Layer1との近接部分(Layer4)を分析すると、スペクトル強度が他Layerに比べて極めて小さく、着目している元素全体の存在量(絶対値)が少ないことがわかる。ただし、その中でも、SとOの存在比率が高いことから、Sを有する有機化合物を含んでいる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板と、
前記基板の上方に配された金属配線と、
前記金属配線の表面に配されたバリア層と、
前記バリア層を覆う絶縁樹脂層と、
前記バリア層と前記絶縁樹脂層との間に、前記絶縁樹脂層に接する金属酸化物層と、
を有することを特徴とする配線構造。
(付記2)
前記バリア層と前記金属酸化物層との間に、窒素、及び硫黄の少なくともいずれかを含有する化合物層を更に有する付記1に記載の配線構造。
(付記3)
前記金属酸化物層が、Cu、Zn、Cd、Mn、La、Ni、Mg、Co、Fe、及びTiの少なくともいずれかを含有する付記1から2のいずれか記載の配線構造。
(付記4)
前記金属酸化物層が、更に金属水酸化物を含有する付記1から3のいずれかに記載の配線構造。
(付記5)
前記バリア層が、Ni、Co、W、及びBの少なくともいずれかを含有する付記1から4のいずれかに記載の配線構造。
(付記6)
前記金属配線が、銅配線である付記1から5のいずれかに記載の配線構造。
(付記7)
基板の上方に配された金属配線の表面に配されたバリア層の表面に、密着性向上材料を塗布する工程と、
前記基板の上方に、前記金属配線及び前記バリア層を覆う絶縁樹脂層を形成する工程と、
を含み、
前記密着性向上材料が、金属を含有する金属化合物と、前記金属と反応する有機化合物とを含有する、
ことを特徴とする配線構造の製造方法。
(付記8)
前記金属が、Cu、Zn、Cd、Mn、La、Ni、Mg、Co、Fe、及びTiの少なくともいずれかである付記7に記載の配線構造の製造方法。
(付記9)
前記金属化合物が、金属塩である付記7から8のいずれかに記載の配線構造の製造方法。
(付記10)
前記有機化合物が、窒素、及び硫黄の少なくともいずれかを含有する付記7から9のいずれかに記載の配線構造の製造方法。
(付記11)
前記有機化合物が、下記一般式(1)で表される付記7から10のいずれかに記載の配線構造の製造方法。
ただし、前記一般式(1)中、Xは、NR、及びSAのいずれかを表す(Rは、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜10の炭化水素基のいずれかを表す)。Aは、水素原子、及びアルカリ金属のいずれかを表す。
(付記12)
前記バリア層が、Ni、Co、W、及びBの少なくともいずれかを含有する付記7から11のいずれかに記載の配線構造の製造方法。
(付記13)
前記金属配線が、銅配線である付記7から12のいずれかに記載の配線構造の製造方法。
(付記14)
基板と、
前記基板の上方に配された金属配線と、
前記金属配線の表面に配されたバリア層と、
前記バリア層を覆う絶縁樹脂層と、
前記バリア層と前記絶縁樹脂層との間に、前記絶縁樹脂層に接する金属酸化物層と、
を有することを特徴とする半導体装置。
(付記15)
基板の上方に配された金属配線の表面に配されたバリア層の表面に、密着性向上材料を塗布する工程と、
前記基板の上方に、前記金属配線及び前記バリア層を覆う絶縁樹脂層を形成する工程と、
を含み、
前記密着性向上材料が、金属を含有する金属化合物と、前記金属と反応する有機化合物とを含有する、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記16)
金属を含有する金属化合物と、有機化合物とを含有し、
前記金属が、Cu、Zn、Cd、Mn、La、Ni、Mg、Co、Fe、及びTiの少なくともいずれかであり、
前記有機化合物が、窒素、及び硫黄の少なくともいずれかを含有し、
バリア層と絶縁樹脂層との密着性の向上に使用されることを特徴とする密着性向上材料。
(付記17)
前記有機化合物が、下記一般式(1)で表される付記16に記載の密着性向上材料。
ただし、前記一般式(1)中、Xは、NR、及びSAのいずれかを表す(Rは、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜10の炭化水素基のいずれかを表す)。Aは、水素原子、及びアルカリ金属のいずれかを表す。
21 基板
22 下地絶縁層
23 密着バリア層
24 めっきシード層
25 フォトレジスト膜
25a 開口部
26 銅配線
27 バリア層
28 密着層
29 絶縁樹脂層
31 密着バリア層
32 めっきシード層
33 フォトレジスト膜
33a 開口部
34 銅配線
35 バリア層
36 密着層
37 絶縁樹脂層
51 半導体基板
52 素子分離膜
53 トランジスタ
54 層間絶縁膜
55 保護層
56 バリア層
57 Wプラグ
58 層間絶縁膜
59 バリア層
60 銅配線
61 バリア層
62 密着層
63 絶縁樹脂層
63a ビアホール
64 ストッパ膜
65 層間絶縁膜
65a 配線溝
66 ストッパ膜
67 バリア層
68 ビアコンタクト
69 銅配線
70 バリア層

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板の上方に配された金属配線と、
    前記金属配線の表面に配されたバリア層と、
    前記バリア層を覆う絶縁樹脂層と、
    前記バリア層と前記絶縁樹脂層との間に、前記絶縁樹脂層に接する金属酸化物層と、
    を有することを特徴とする配線構造。
  2. 前記バリア層と前記金属酸化物層との間に、窒素、及び硫黄の少なくともいずれかを含有する化合物層を更に有する請求項1に記載の配線構造。
  3. 前記金属酸化物層が、Cu、Zn、Cd、Mn、La、Ni、Mg、Co、Fe、及びTiの少なくともいずれかを含有する請求項1から2のいずれか記載の配線構造。
  4. 前記バリア層が、Ni、Co、W、及びBの少なくともいずれかを含有する請求項1から3のいずれかに記載の配線構造。
  5. 基板の上方に配された金属配線の表面に配されたバリア層の表面に、密着性向上材料を塗布する工程と、
    前記基板の上方に、前記金属配線及び前記バリア層を覆う絶縁樹脂層を形成する工程と、
    を含み、
    前記密着性向上材料が、金属を含有する金属化合物と、前記金属と反応する有機化合物とを含有する、
    ことを特徴とする配線構造の製造方法。
  6. 前記金属が、Cu、Zn、Cd、Mn、La、Ni、Mg、Co、Fe、及びTiの少なくともいずれかである請求項5に記載の配線構造の製造方法。
  7. 前記有機化合物が、窒素、及び硫黄の少なくともいずれかを含有する請求項5から6のいずれかに記載の配線構造の製造方法。
  8. 基板と、
    前記基板の上方に配された金属配線と、
    前記金属配線の表面に配されたバリア層と、
    前記バリア層を覆う絶縁樹脂層と、
    前記バリア層と前記絶縁樹脂層との間に、前記絶縁樹脂層に接する金属酸化物層と、
    を有することを特徴とする半導体装置。
  9. 基板の上方に配された金属配線の表面に配されたバリア層の表面に、密着性向上材料を塗布する工程と、
    前記基板の上方に、前記金属配線及び前記バリア層を覆う絶縁樹脂層を形成する工程と、
    を含み、
    前記密着性向上材料が、金属を含有する金属化合物と、前記金属と反応する有機化合物とを含有する、
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 金属を含有する金属化合物と、有機化合物とを含有し、
    前記金属が、Cu、Zn、Cd、Mn、La、Ni、Mg、Co、Fe、及びTiの少なくともいずれかであり、
    前記有機化合物が、窒素、及び硫黄の少なくともいずれかを含有し、
    バリア層と絶縁樹脂層との密着性の向上に使用されることを特徴とする密着性向上材料。
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