JP2017073437A - 銅配線の製造方法及び銅配線の製造装置 - Google Patents

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英志 高橋
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Abstract

【課題】あらゆる基板に対応し、配線抵抗を形成する銅配線の製造方法を提供する。【解決手段】配線の製造方法は、アルカリ水溶液中に基板を浸漬させ、基板の表面に水酸基を修飾する工程と、表面にカルボキシ基を修飾した金属ナノ粒子の分散液を得る工程と、表面にカルボキシ基を修飾した金属ナノ粒子の分散液中に、水酸基を修飾させた基板を浸漬させ、基板の表面に金属ナノ粒子からなる配線を形成する工程と、を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、太陽電池などの低抵抗の銅配線を形成する銅配線の製造方法及び銅配線の製造装置に関する。
近年、太陽電池セル、プリント基板、ディスプレイデバイス等の分野において、発電効率の向上と共に、樹脂対応など低温焼結できる高導電率配線が望まれている。その中で銀または銅材料を用いた配線材料が使用されている。現状は配線素材として扱いやすい銀が多く使われている。銀は材料単価が高いため、近年では配線形成に銅ペースト・銅めっきなどの安価な材料の置換えが進んでいる。
配線形成において、銅めっきによって非常に低い抵抗率を確保することができる。しかし、銅めっき法では、例えば、図17のフロー図に示すように工程数が非常に多い。それに代わる方法として、銅ナノ粒子を用いた銅配線の製造方法がある(例えば、特許文献1及び2参照。)。この特許文献1及び2では、ベース基板としてポリイミド樹脂を用いている。
特許文献1では、金属コロイドである金属ナノ粒子の水溶液中に、マスクを形成した樹脂基板を浸漬し、無電解めっきのように金属ナノ粒子をポリイミド上に回路配線を形成させている。樹脂基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルフェート(PPS)、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレンおよびそれらの共重合体などのフィルムシート基板が用いられている。これらの基板以外では、チオール基、ジスルフィド基、アミノ基、イミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、スルホニル基、ホスホリル基を基板に新たに付着させている。
また、特許文献2では、図18のS1のようにポリイミド基板をアルカリ液に浸漬させることでポリイミド樹脂を構成するイミド基を開環させ、カルボニル基を形成させる。次にS2ではポリピロール主鎖を有する重合体からなる被膜を備えた金属ナノ粒子が分散する酸性コロイド水溶液中に浸漬させ、前記金属ナノ粒子がポリイミド基板表面のイミド基と反応し、1層のナノ粒子が形成する。S3ではポリイミド樹脂基材をベーキングし、金属微粒子を溶融させ、さらに大きな粒子を形成させる。さらにS4では無電解めっき浴に浸漬させ、前記金属ナノ粒子の隙間に無電解めっきでの金属イオンを付着させ、所望の導電性をもつ膜を形成する。
特開2006−278443号公報 特開2010−196137号公報
しかし、特許文献1では樹脂基板に含まれている官能基がチオール基、ジスルフィド基、アミノ基、イミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、スルホニル基、ホスホリル基でなければ、新たに基板に付着させる必要がある。多くの場合、配線は多層に形成されているため、官能基が酸化膜上に形成されてしまうという問題がある。
また、官能基の付着方法として、例えば、チオール基またはジスルフィド基、スルホニル基の場合には、硫化水素と反応または酸化させなければならず、人体に危険なガスを用いる必要があるという問題があった。また、マスキングが必要であるが、上記処理においてマスキングがレジストと反応してしまい、マスクとして成り立たないという問題があった。
また、特許文献2においては、ポリイミド基板しか対応できないという課題を有している。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、あらゆる基板に対応し、配線抵抗を形成する銅配線の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る配線の製造方法は、アルカリ水溶液中に基板を浸漬させ、前記基板の表面に水酸基を修飾する工程と、
表面にカルボキシ基を修飾した金属ナノ粒子の分散液を得る工程と、
表面にカルボキシ基を修飾した前記金属ナノ粒子の分散液中に、前記水酸基を修飾させた基板を浸漬させ、前記基板の表面に前記金属ナノ粒子からなる配線を形成する工程と、
を含む。
以上のように、本発明の配線の製造方法によれば、基板に含まれる官能基に依存することなく、ほとんどの材料からなる基板に対して硫化水素等の危険なガスを用いず、アルカリ水溶液に浸漬させるだけで基板の表面に水酸基を修飾させることができる。これによって、基板の表面の水酸基の箇所に銅ナノ粒子を成膜して、銅配線を形成することができる。
実施の形態1に係る配線の製造装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る配線の製造装置及び製造方法におけるアルカリ水溶液に基板を浸漬する第1槽を示す概略図である。 実施の形態1に係る配線の製造装置及び製造方法における銅ナノ粒子の分散液に基板を浸漬して、基板に銅ナノ粒子からなる配線を形成する第2槽を示す概略図である。 実施の形態1に係る配線の製造方法のフロー図である。 配線形成前の太陽電池基板の構成を示す断面図である。 受光面側のみにパターニングされた配線を形成した太陽電池基板の断面図である。 両面にパターニングされた配線を形成した太陽電池基板の断面図である。 配線形成後の太陽電池基板の平面図である。 実施の形態1に係る配線の製造方法における銅ナノ粒子の生成ユニットを示す概略図である。 実施の形態1における配線の製造方法における銅ナノ粒子の表面にカルボキシ基を修飾するユニットを示す概略図である。 実施の形態2に係る配線の製造装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る配線の製造方法のフロー図である。 実施の形態2に係る配線の製造装置及び製造方法における露光ユニット及びパターニング工程を示す概略図である。 実施の形態2に係る配線の製造装置及び製造方法における露光用の配線マスクを示す概略図である。 実施の形態2に係る配線の製造装置及び製造方法における銅ナノ粒子の表面に正電荷を修飾するユニット及び工程を示す概略図である。 実施の形態2に係る配線の製造装置及び製造方法におけるシード層への銅ナノ粒子の電着を行う第3槽を示す概略図である。 従来のめっきの工程フローを示す図である。 従来の銅配線の製造方法のフロー図である。
第1の態様に係る配線の製造方法は、アルカリ水溶液中に基板を浸漬させ、前記基板の表面に水酸基を修飾する工程と、
表面にカルボキシ基を修飾した金属ナノ粒子の分散液を得る工程と、
表面にカルボキシ基を修飾した前記金属ナノ粒子の分散液中に、前記水酸基を修飾させた基板を浸漬させ、前記基板の表面に前記金属ナノ粒子からなる配線を形成する工程と、
を含む。
第2の態様に係る配線の製造方法は、上記第1の態様において、金属ナノ粒子の表面に正電荷を修飾する工程と、
表面に前記正電荷を修飾した前記金属ナノ粒子を分散させた水溶液中に、表面に前記金属ナノ粒子からなる配線を形成した前記基板を浸漬させる工程と、
前記基板の表面に形成した前記配線に負電位の電圧を印加し、前記基板の表面に形成した前記配線をシード層として、表面に正電荷を修飾した前記金属ナノ粒子によって前記配線を成長させる工程と、
をさらに含んでもよい。
第3の態様に係る配線の製造方法は、上記第1の態様において、前記基板の表面に水酸基を修飾する工程の後、前記基板の表面の配線を形成する箇所以外の水酸基を除去して、所望の部分に配線を形成するためのパターニングを行う工程をさらに含んでもよい。
第4の態様に係る配線の製造方法は、上記第3の態様において、前記パターニングを行う工程において、紫外線照射、レーザ照射、プラズマ処理の群から選ばれる少なくとも一つの処理を行って、前記基板の表面の配線を形成する箇所以外の水酸基を除去してもよい。
第5の態様に係る配線の製造方法は、上記第4の態様において、前記パターニングを行う工程において、前記紫外線照射を行う光源は、低圧紫外線ランプまたはエキシマランプであってもよい。
第6の態様に係る配線の製造方法は、上記第3の態様において、前記パターニングを行う工程において、紫外線光源から前記基板への光路中にクロムパターンを有するマスクを設け、前記基板と前記マスクとのギャップに酸素を導入し、酸素の圧力で前記ギャップの幅を10μm以上100μm以下の範囲に設定してもよい。
第7の態様に係る配線の製造方法は、上記第2の態様において、前記金属ナノ粒子の表面に正電荷を修飾する工程において、正電荷を修飾するための添加剤は、アミノ基、ジアミン基、ジアゾ基の群から選ばれる少なくとも1つを含む物質であってもよい。
第8の態様に係る配線の製造方法は、上記第1の態様において、前記金属ナノ粒子の表面にカルボキシ基を修飾する工程において、前記金属ナノ粒子の生成時にカルボキシ基を含む物質を添加しておいてもよい。
第9の態様に係る配線の製造方法は、上記第1の態様において、前記基板の表面を構成する層は、酸化物であってもよい。
第10の態様に係る配線の製造方法は、上記第1の態様において、前記基板の表面に水酸基を修飾する工程において、前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメトキシアミン(TMAH)の群から選ばれる少なくとも一つを含む、pH8以上のアルカリ水溶液であってもよい。
第11の態様に係る配線の製造方法は、上記第1の態様において、前記基板の表面に水酸基を修飾する工程において、アルカリ水溶液の温度は、0℃以上30℃以下であってもよい。
第12の態様に係る配線の製造装置は、基板の前処理を行うアルカリ水溶液を保持する第1槽と、
表面にカルボキシ基を修飾させた金属ナノ粒子を分散させた分散液を保持する第2槽と、
前記第1槽、前記第2槽の順に前記基板を搬送する搬送ユニットと、
前記第1槽、前記第2槽、及び、前記搬送ユニットを制御して、
前記基板を前記第1槽に浸漬して、前記基板の表面に水酸基を修飾し、
前記基板を前記第2槽に浸漬して、前記基板の表面に前記金属ナノ粒子からなる配線を形成する、
制御部と、
を備える。
第13の態様に係る配線の製造装置は、上記第12の態様において、表面に正電荷を修飾させた金属ナノ粒子を分散させた分散液を保持する第3槽と、
前記第3槽において、浸漬した前記基板の表面に電圧を印加する電圧制御ユニットと、
をさらに備え、
前記搬送ユニットは、前記第2槽の次に前記第3槽に前記基板を搬送し、
前記制御部は、前記第3槽及び前記電圧制御ユニットを制御して、前記第3槽に浸漬した前記基板の表面に負電位の電圧を印加して、前記基板の表面に形成した前記配線をシード層として、表面に正電荷を修飾した金属ナノ粒子によって前記配線を成長させてもよい。
第14の態様に係る配線の製造装置は、上記第12の態様において、前記基板の表面に紫外線を照射する露光ユニットをさらに備え、
前記搬送ユニットは、前記第1槽の次に前記露光ユニットに前記基板を搬送し、その後、前記第2槽に基板を搬送し、
前記制御部は、前記露光ユニットで前記基板に紫外線を照射して、前記基板の表面に配線を形成する箇所以外の水酸基を除去してもよい。
第15の態様に係る配線の製造装置は、上記第14の態様において、前記露光ユニットは、前記基板の表面に紫外線を照射する光源が低圧紫外線ランプまたはエキシマランプであってもよい。
第16の態様に係る配線の製造装置は、上記第14の態様において、前記露光ユニットは、
前記基板に紫外線を照射する光源と、
前記光源と前記基板との間の光路中に設けられたクロムパターンのあるマスクと、
を備え、
前記光源から前記マスクにわたる光路における酸素分圧より前記マスクから前記基板にわたる光路における酸素分圧を高く設定していてもよい。
以下、実施の形態に係る配線の製造方法及び配線の製造装置について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
<配線の製造装置>
図1は、実施の形態1に係る配線の製造装置20の構成を示すブロック図である。この配線の製造装置20は、アルカリ水溶液を保持する第1槽21と、表面にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子を分散させた分散液を保持する第2槽23と、基板10を搬送する搬送ユニット25と、制御部26と、を備える。搬送ユニット25は、第1槽21、第2槽23の順に基板10を搬送する。制御部26は、第1槽21、第2槽23、及び、搬送ユニット25を制御して、基板10を第1槽21に浸漬して、基板10の表面に水酸基を修飾し、基板10を第2槽23に浸漬して、基板10の表面に銅ナノ粒子からなる配線を形成する。
この配線の製造装置20によれば、あらかじめ基板10を第1槽21のアルカリ水溶液に浸漬しておくことによって、基板10の表面に水酸基を修飾することができる。つまり、特定の材料からなる基板や特定の官能基を有する基板に限定されず、基板10の表面に水酸基を修飾できる。さらに、表面にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子の分散液に、水酸基を修飾した上記基板10を浸漬することで、基板10の表面に銅ナノ粒子からなる低抵抗の配線を形成できる。
以下に、この配線の製造装置20の構成要素について説明する。
<第1槽>
図2は、実施の形態1に係る配線の製造装置20におけるアルカリ水溶液に基板10を浸漬する第1槽21を示す概略図である。第1槽21は、基板10を浸漬するためのアルカリ水溶液を保持する。使用するアルカリ溶液としては、水酸化ナトリウムの事例を示したがこれに限られない。例えば、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメトキシアミン(TMAH)でもよい。また、基板10に水酸基を付加するためには十分な濃度の水酸化イオンが必要であるため、pH8以上が望ましい。アルカリ水溶液の温度は、アルカリ水溶液と基板10との化学反応を抑制するために、常温、又は、0℃以上常温以下の範囲が有効である。具体的には、0℃以上30℃以下の温度範囲である。
<第2槽>
図3は、実施の形態1に係る配線の製造装置20における銅ナノ粒子の分散液に基板10を浸漬して、基板10に銅ナノ粒子からなる配線を形成する第2槽23を示す概略図である。第2槽23は、表面にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子の分散液を保持する。銅ナノ粒子は、粒子サイズがナノサイズである銅の微粒子である。また、銅ナノ粒子の表面を修飾するカルボキシ基としては、例えば、クエン酸、酢酸、ギ酸等のカルボン酸、あるいは、カルボキシ基を有する物質によるカルボキシ基であればよい。分散液のpHは、銅ナノ粒子が溶解しないpH7以上に管理する。一方、pH8以上では、基板10の配線を形成したい箇所以外にも水酸基が付着し、銅ナノ粒子が付着してしまうため、水酸基の余分な付着を抑制するためにpH8未満が好ましい。
<搬送ユニット>
搬送ユニット25は、第1槽21、第2槽23の順に基板10を搬送する。搬送ユニット25は、複数の基板10を格納できるカセットを用いて、複数の基板10を第1槽21及び第2槽23に順に浸漬させてもよい。搬送方法は、通常使用される方法であれば使用できる。
<制御部>
制御部26は、第1槽21、第2槽23、及び、搬送ユニット25を制御して、基板10を第1槽21に浸漬して、基板10の表面に水酸基を修飾し、次いで、基板10を第2槽23に浸漬して、基板10の表面に銅ナノ粒子からなる配線を形成する。制御部26としては、例えば、パーソナルコンピュータであってもよい。あるいは、第1槽21で基板10を所定時間にわたって浸漬した後、第1槽21から第2槽23に基板10を搬送し、第2槽で基板10を所定時間にわたって浸漬するように制御部26を機械的に構成してもよい。
<配線の製造方法>
図4は、実施の形態1に係る配線の製造方法のフロー図である。この配線の製造方法は、以下の工程を含む。以下では、太陽電池の配線の製造方法の事例について説明する。
(1)アルカリ水溶液中に基板を浸漬させ、基板の表面に水酸基を修飾する(S01)。配線を形成する基板として、図5に示す太陽電池基板10を用いる。
(2)表面にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子の分散液を得る(S02)。銅ナノ粒子の分散液の生成については後述する。
(3)表面にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子の分散液中に、水酸基を修飾させた基板を浸漬させ、基板10の表面に銅ナノ粒子からなる配線を形成する(S03)。
以上によって、基板10の表面に銅ナノ粒子からなる配線を形成することができる。
この配線の製造方法によれば、あらかじめ基板10をアルカリ水溶液に浸漬しておくことによって、基板10の表面に水酸基を修飾することができる。つまり、特定の材料からなる基板や特定の官能基を有する基板に限定されず、基板10の表面に水酸基を修飾できる。さらに、表面にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子の分散液に、水酸基を修飾した上記基板10を浸漬することで、基板10の表面に銅ナノ粒子からなる低抵抗の配線を形成できる。
以下に、この配線の製造方法の各工程について説明する。
<基板>
図5は、ヘテロ接合型太陽電池セルの基板10の構造を示す概略断面図である。ここでは、配線を形成する基板10として、太陽電池基板10を用いた。この太陽電池基板10は、結晶シリコン基板1と、その表面側のn型アモルファスシリコン2と受光面側導電性透明電極4と、裏面側のp型アモルファスシリコン3と裏面側導電性透明電極5とを有する。結晶シリコン基板1は、表面側に(100)面を有する。結晶シリコン基板1の表面にはウェットエッチングによりピラミッド型のテクスチャーが形成され、光の反射を抑制している。また、受光面側導電性透明電極4及び裏面側導電性透明電極5にITOを用いている。
図6は、受光面側のみにパターニングされた配線6を形成した太陽電池基板11の断面図である。図7は、両面にパターニングされた配線6、7を形成した太陽電池基板11の断面図である。図8は、配線形成後の太陽電池基板11の平面図である。この太陽電池基板11では、受光面側導電性透明電極303の上にパターニングされたバスバー301とフィンガー302とが形成されている。
なお、配線を形成する基板としては、上記太陽電池基板に限られるものではない。例えば、プリント基板、ディスプレイデバイス等であってもよい。あるいはその他の基板であってもよい。
<アルカリ水溶液への基板の浸漬>
まず、太陽電池基板10を第1槽21のアルカリ水溶液へ浸漬する工程(S01)によって、基板10の表面に水酸基を修飾する(S01、図2)。図2は、第1槽21のアルカリ水溶液への基板10の浸漬工程を示す概略図である。図2の第1槽21中のアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムの1mol/Lの水溶液を用いた。アルカリ水溶液は、第1槽21内で常温で撹拌している。具体的には、基板10が25枚入るカセット12に基板10を入れて、第1槽21のアルカリ水溶液に浸漬する。
アルカリ処理において、使用するアルカリ溶液としては、水酸化ナトリウムの事例を示したがこれに限られない。例えば、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメトキシアミン(TMAH)でも可能である。また、水酸基を付加するためには水酸化イオンが必要であるため、pH8以上が望ましい。基板10をアルカリ水溶液へ浸漬後、基板10をリンス・乾燥させ、これにより基板表面に水酸基を修飾させる。アルカリ水溶液と基板10との化学反応を抑制するために、反応温度は、常温、又は、0℃以上常温以下の範囲が有効である。具体的には、0℃以上30℃以下の温度範囲である。
<銅ナノ粒子の製造方法>
図9は、銅ナノ粒子の生成ユニット203を示す概略図である。表面にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子が分散する分散液の生成工程(S02)について、図9を用いて説明する。銅ナノ粒子の生成ユニット203内には第1の水溶液211のタンクと第2の水溶液212のタンクがある。
(a)第1の水溶液211は、pH11、70℃に調整された0.1mol/Lのクエン酸銅(錯体等)を含んでいる。なお、ここでは銅とクエン酸との銅錯体を形成したが、これに限られない。例えば、シアン、アンミン、フタロシアニンなどの銅錯体を形成させてもよい。
(b)第2の水溶液212は、第1の水溶液211と実質的に同一のpH及び温度に調節された6mol/Lの還元剤を含んでいる。還元剤としては、例えばL−アスコルビン酸を用いることができるが、これに限られない。他の還元剤としては、例えばヒドラジン、シュウ酸、ギ酸などでもよい。
(c)次に、第1の水溶液211内に第2の水溶液212を混合し、70℃に保ちながら攪拌してクエン酸銅を還元することによって、銅ナノ粒子が分散する分散液を生成する。例えば、第1の水溶液211を第2の水溶液212の5倍の容量としておき、最終的な還元剤の濃度が1mol/Lとなるようにしてもよい。
<銅ナノ粒子の表面へのカルボキシ基の修飾>
上記の銅ナノ粒子の分散液の生成工程(S02)では、第1の水溶液211としてクエン酸銅を含むので、クエン酸に含まれるカルボキシ基が生成した銅ナノ粒子の表面にも付着していると考えられる。
なお、銅ナノ粒子の表面へのカルボキシ基の修飾は、上記のように銅ナノ粒子の生成工程(S02)において使用する第1の水溶液211又は第2の水溶液212にカルボキシ基を含む物質を用いることによって生成する銅ナノ粒子の表面にカルボキシ基を修飾させることができる。
一方、銅ナノ粒子の生成工程において使用する第1の水溶液又は第2の水溶液にカルボキシ基を含む物質を用いていない場合には、表面にカルボキシ基を有しない銅ナノ粒子が生成される。つまり、銅ナノ粒子の生成反応時にクエン酸を用いずに銅ナノ粒子を生成すると、表面にカルボキシ基が修飾されない銅ナノ粒子が得られる。この場合には、生成後の銅ナノ粒子の分散液にクエン酸、酢酸、ギ酸等のカルボン酸、あるいは、カルボキシ基を有する物質等を添加して、銅ナノ粒子表面にカルボキシ基を修飾させることができる。
<水分散液の中性付近の水への置換工程>
図10は、銅ナノ粒子の表面にカルボキシ基を維持したまま、銅ナノ粒子の生成工程(S02)のアルカリ水溶液を中性付近の水に置換するユニット及び工程204に関する。図10を用いて、銅ナノ粒子の中性付近の水への置換工程について説明する。この中性付近の水への置換工程は、銅ナノ粒子を純水に分散させる前工程に該当する。
i)まず、濃縮槽214に前工程(S02)で合成した銅ナノ粒子が分散した分散液を移動させる。
ii)次に、濃縮槽214からポンプ215によって銅ナノ粒子が分散した分散液をフィルタ213に送る。クロスフローろ過では、筒状のフィルタ213があり、そのフィルタ213内部に銅ナノ粒子を含んだ水溶液を通過させながら循環させ、フィルタ213により銅ナノ粒子を含んだ水溶液からろ液を取り去り、再び濃縮槽214に返していき、徐々に濃縮していく。
iii)クロスフローろ過フィルタ216から排出されたろ液は、排出槽216に送られる。クロスフローろ過フィルタ213は、ザルトリウス製のビバフロー50(MWCO(Molecular Weight Cut Off:分子量カットオフ)=50000D)を用いる。なお、銅ナノ粒子の大きさにより分子量カットオフ値(MWCO)を変更する必要がある。今回生成した銅ナノ粒子は、60nm程度の粒度であるため、MWCOが50000Dのものを用いてもよい。
iv)初期の水溶液から約20倍濃縮後、濃縮槽214にろ液として排出した同等の容量のエタノールを加えていき、さらに濃縮し、約10%になるまで濃縮する。エタノールのようなアルコールとカルボキシ基とは反応しないため、銅ナノ粒子の表面をカルボキシ基に修飾したままに維持することができる。
なお、濃縮についてはクロスフローろ過を用いたが、円盤のフィルタを高速で回転させながら濃縮する動的クロスフローろ過を用いても同様の性能が得られる。
<銅ナノ粒子からなる銅配線の形成>
次に、銅ナノ粒子の分散液中への基板10の浸漬により銅ナノ粒子を基板10に付着させる工程(S03)について説明する。
図10の濃縮槽214で濃縮した銅ナノ粒子の濃縮液を純水に入れ、表面にカルボキシ基が修飾された銅ナノ粒子が分散したコロイド液を作製し、図3の第2槽23に入れる。
基板10上の水酸基がある部分は、銅ナノ粒子の表面のカルボキシ基と吸着し合うため、銅ナノ粒子は、基板10上の水酸基がある部分に付着する。一方、水酸基がなく酸素終端となっている部分にはカルボキシ基が反発し、その結果、銅ナノ粒子は、基板10上の水酸基がない部分には付着しない。なお、続けて銅ナノ粒子を付着させる場合は、使用したコロイド液にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子をさらに追加することで再現性よく付着させることができる。このときのpHを管理する必要があり、pH7以上であれば銅ナノ粒子が溶解することがない。一方、pH8以上では、基板10の配線を形成したい箇所以外にも水酸基が付着し、銅ナノ粒子が付着してしまうため、水酸基の余分な付着を抑制するためにpH8未満が好ましい。
以上によって、基板10上に銅ナノ粒子からなる銅配線を形成できる。
(実施の形態2)
<配線の製造装置>
図11は、実施の形態2に係る配線の製造装置20aの構成を示すブロック図である。この配線の製造装置20aは、実施の形態1に係る配線の製造装置と対比すると、基板10に紫外線を照射して、基板10の表面の配線を形成しない箇所の水酸基を除去する露光ユニット22と、表面に正電荷を修飾した銅ナノ粒子を分散した分散液を保持する第3槽24と、をさらに備える点で相違する。
露光ユニット22を備えることによって、基板10の表面の配線を形成しない箇所の水酸基を除去でき、配線を形成する箇所のパターニングを行うことができる。
また、第3槽24を備えることによって、配線に電圧を印加して、配線をシード層として、正電荷を修飾した銅ナノ粒子によって配線を成長させることができる。
この配線の製造装置20aの構成要素について説明する。なお、実施の形態1と実質的に同様の構成要素については説明を省略する。
<露光ユニット>
図13は、露光ユニット202を示す概略図である。露光ユニット202は、基板10に紫外線を照射する光源13と、光源13と基板10との間の光路中に設けられたマスク14と、を備える。露光ユニット202によって、基板10に紫外線を照射して、基板10の表面に配線を形成する箇所以外の水酸基を除去する。これによって、基板10の配線を形成する箇所のパターニングを行うことができる。
紫外線を照射する光源13としては、紫外線を照射できるものであればよく、点光源、線光源又は面光源のいずれであってもよい。例えば、水銀ランプ等であってもよい。
図14は、露光用の配線マスク304を示す概略図である。この配線マスク304では、クロム305及び306によって紫外線を遮り、基板10上に影を生じる。影とならなかった部分には紫外線が照射され、水酸基が除去される。一方、クロム305及び306によって影となった部分の水酸基は残存する。
<第3槽>
図16は、正電荷を修飾させた銅ナノ粒子を分散させた分散液を保持する第3槽207を示す概略図である。図16の第3槽207は、例えば、定電流源222と、定電流源222のプラス端子側と接続されたアノード電極221と、定電流源222のマイナス端子側と基板10の電極パッドとを接続する配線と、を備える。アノード電極221は、例えば、白金電極である。正電荷としては、例えば、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)であるが、これに限定されない。
<配線の製造方法>
図12は、実施の形態2に係る配線の製造方法のフロー図である。この配線の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)アルカリ水溶液中に基板10を浸漬させ、基板10の表面に水酸基を修飾する(S11)。配線を形成する基板として、図5に示す太陽電池基板10を用いる。なお、基板10に水酸基を修飾する工程は、前述の通りであるので説明を省略する。
(2)基板10の表面の配線を形成する箇所以外の水酸基を除去して、所望の部分に配線を形成するためのパターニングを行う(S12)。
(3)表面にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子の分散液を得る(S13)。銅ナノ粒子の分散液の生成は前述の通りであるので説明を省略する。
(4)表面にカルボキシ基を修飾した銅ナノ粒子の分散液中に、水酸基を修飾させた基板10を浸漬させ、基板10の表面に銅ナノ粒子からなる配線を形成する(S14)。この場合、上記パターニング工程(S12)で紫外線照射された部分の水酸基がない部分と水酸基の部分とを有する基板10を浸漬する。これによって所望の部分に銅ナノ粒子からなる配線を形成できる。なお、基板10への銅ナノ粒子からなる配線の形成工程は、水酸基がない部分には銅ナノ粒子が付着しない点を除いて前述の通りであるので説明を省略する。
(5)銅ナノ粒子の表面に正電荷を修飾する(S15)。
(6)表面に正電荷を修飾した銅ナノ粒子を分散させた水溶液中に、基板10を浸漬させる。次いで、基板10の表面に形成した配線に負電位の電圧を印加し、基板10の表面に形成した上記配線をシード層として、表面に正電荷を修飾した銅ナノ粒子によって配線を成長させる(S16)。
以上によって、銅ナノ粒子からなる配線をシード層として、正電荷を修飾した銅ナノ粒子によって成長させることができる。
以下に、この配線の製造方法の各工程について説明する。なお、実施の形態1に係る配線の製造方法と実質的に同様の工程については説明を省略する。
<パターニング工程>
図13は、パターニング工程(S12)を示す概略図である。図13を用いて、露光ユニット202によって電極をパターニングする工程(S12)の説明を行う。図13の露光ユニット202における紫外線光源は水銀ランプ13であり、184nmと252nmの波長により、基板10の表面付近にオゾンを発生・分解させる。基板10上の紫外線が照射された部分は、水酸基が前述のオゾンの分解で発生したラジカルにより分解される。マスク14により基板10の表面に影を作ることによって紫外線が照射されない部分を作る。この影となった部分について水酸基が残る。
なお、太陽電池セルの基板11における配線は、例えば、図8の平面図に示すようにフィンガー302で基板11の背面全面から電気を集電し、太いバスバー301で集めた電気を送っていくパターンを有する。それらの配線を形成するマスク14の一例として、例えば、図14のマスク304を用いており、クロム305および306が紫外線を遮り、前記影になる。配線の微細化に対して、紫外線照射ユニットは平行光が望ましいが、50μm以上の配線であれば通常の線光源または点光源ランプでも使用することができる。
また、基板10とマスク14との間のギャップを小さくすることによって、生成するオゾンガスの横方向の移動を抑制し、紫外線を照射していない部分の水酸基の反応を抑制することができる。基板10とマスク14とのギャップは、10μm以上100μm以下の範囲が望ましい。これによって、紫外線を照射して生じるオゾンガスによる紫外線を照射していない箇所の水酸基の分解を抑制でき、パターニング精度の低下を抑制できる。なお、マスク14において、184nmの紫外線が90%以上透過する石英ガラスを用いた。
また、上記紫外線の波長では酸素により紫外線を吸収されるため、基板10に到達するときには光量が落ちてしまうという問題がある。そのため、光源13とマスク14との間の酸素分圧を下げる必要がある。一方、逆にマスク14と基板10との間は酸素と紫外線の反応を促進させるために、光源13とマスク14との間の酸素分圧よりも高くするほうがよい。
なお、硫化水素でチオール官能基を付着させる場合、アルカリの存在下で生成させるため、アルカリとレジストが反応し、レジストマスクが除去され、レジストマスクを使ってのパターニングは困難である。
また、基板10の側面にも紫外線を照射させ、水酸基を除去することによって銅ナノ粒子付着を抑制することができ、表裏の短絡を防止することができる。なお、基板10の全面に銅膜を形成する場合、露光工程は不要である。
例えば、図6のように受光面のフィンガー配線6と裏面側全面銅膜7の構造を有する太陽電池基板11を作製する場合には、元の基板10の受光面側と基板側面に紫外線を照射させ、裏面は紫外線を照射しなくてもよい。
また、太陽電池セルでは基板10の両面に電極を形成しなければならない。例えば、図7のように両面にパターンがある場合は、パターニング工程(S12)において基板10を反転させ、両面を紫外線でパターニングしてもよい。これによって、図7のような両面にパターニングされた配線6、7を形成した構造の太陽電池基板11を作成することも可能である。
ここでは、紫外線、特に水銀灯の輝線の波長184nm、252nmを用いた露光により水酸基を分解したがこれに限定されない。例えば、Xe2エキシマレーザ露光、ArFエキシマレーザ露光、レーザ加熱または大気圧プラズマなどにより水酸基を分解させることができる。
<銅ナノ粒子の表面に正電荷を修飾する工程>
図15は、銅ナノ粒子の表面に正電荷を修飾するユニット205及び工程を示す図である。図15を用いて、銅ナノ粒子の表面に正電荷を修飾する工程(S15)について説明する(S15、図15)。上述の第1の水溶液と第2の水溶液とを混合することで生成した銅ナノ粒子では、表面にカルボキシ基が修飾されている。そこで、この工程(S15)では、表面にカルボキシ基が修飾された銅ナノ粒子に対し、まずカルボキシ基を除去し、その後、例えば臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB:C1642BrN)によって置換して、表面に正電荷を修飾した銅ナノ粒子を得る。
i)上記工程(S13)で得られた銅ナノ粒子を含んだ水溶液を濃縮槽218に移動させる。
ii)次に、濃縮槽218からポンプ219によってフィルタ217に送る。クロスフローろ過フィルタ217において、筒状のフィルタに銅ナノ粒子を含んだ水溶液を通過させながら循環させ、フィルタからろ液を取り去り、再び濃縮槽218に返していき、徐々に濃縮していく。
iii)クロスフローろ過フィルタ217から排出されたろ液は排出槽220に送られる。クロスフローろ過フィルタ217は、ザルトリウス製のビバフロー200(MWCO(Molecular Weight Cut Off:分子量カットオフ)=50000D)を用いる。
iv)初期の水溶液から約20倍濃縮後、濃縮槽218にろ液として排出した同等の容量の純水を加えていき、さらに濃縮し、約20倍になるまで濃縮する。この過程において、カルボキシ基は除去される。
v)その後、例えば臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)によって置換して、銅ナノ粒子の表面に正電荷を修飾する。なお、表面に正電荷を修飾した銅ナノ粒子の形成のためにCTABを用いたがこれに限られない。例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジンなどの塩基性アミノ酸、硝酸基を還元させたニトロ基、アミン基、またはジアミン基を銅ナノ粒子の表面に付着させてもよい。
以上によって、表面に正電荷を修飾した銅ナノ粒子を得ることができる。
<シード層の銅配線の成長>
図16は、表面に正電荷を修飾した銅ナノ粒子が分散したコロイド液の電着によって配線をシード層として、銅ナノ粒子によって配線を成長させる工程(S16)を示す図である。この配線の成長工程(S16)では、工程(S14)で生成した銅ナノ粒子からなる配線をシード層として、シード層に負電位の電圧を印加する。これによって、表面に正電荷を修飾した銅ナノ粒子が配線の上に付着して成長する(図16)。
i)まず、濃縮槽214で濃縮した銅ナノ粒子の濃縮液を純水に入れて分散させ、さらに臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)を添加して、表面に正電荷を修飾された銅ナノ粒子が分散したコロイド液を第3槽207に入れる。図16の第3槽207では、定電流源222のマイナス端子側と基板11の電極パッドとが接続されている。また、定電流源222のプラス端子側と白金のアノード電極221とが接続されている。
ii)次に、表面に正電荷を修飾した銅ナノ粒子を分散させたコロイド液中に基板10を浸漬し、定電流源222のマイナス端子側から基板10の配線に電流を流す。コロイド液中の銅ナノ粒子はゼータ電位測定を行うと+80mVとなり正に帯電していた。これにより基板10の電位をマイナス側にすることでシード層付近に銅ナノ粒子が引き寄せられ、さらには電子を受け取り、還元が進んで配線の上に銅が積層されていく。このとき銅イオンに対して銅ナノ粒子の大きさが十分大きく、かつ一銅原子当たりの電子の個数が少ないため、少ない電流量で積層させることができ、シード層の抵抗による面内分布バラツキを抑制することができる。また、銅イオンに対して大きな粒子が成長するため成長速度が大幅に向上する。
さらに銅ナノ粒子は凝集しやすいことから、成長速度を向上させるために、銅ナノ粒子の分散液にクエン酸銅錯体の銅イオンを混入させてもよい。pH7以上のアルカリ水溶液であれば、銅イオンと銅ナノ粒子とを混在させることができる。これによって、積層された銅ナノ粒子と銅ナノ粒子との間に銅イオンが入り込み、より細密な構造を得ることができ、成長速度の向上が可能になる。
以上によって、銅ナノ粒子からなる配線をシード層として、正電荷を修飾した銅ナノ粒子によって成長させることができる。なお、従来の配線のシード層形成はスパッタによって行っているが、この配線の製造方法によれば、紫外線を照射してパターニングを行い、正電荷を修飾した銅ナノ粒子の分散液に基板を浸漬し、配線を成長させることができる。そこで、レジストの使用およびシード層のエッチングの必要がなく、効果がより大きい。
ここでは銅ナノ粒子とクエン酸との銅錯体を形成させたがこれに限られない。例えば、シアン、アンミン、フタロシアニンなどの銅錯体を形成させてもよい。銅錯体を用いる場合、基板への配線形成の工程(S03、S14)において、銅イオンの供給源確保のために銅製のアノードを使用してもよい。これにより銅が基板10に付着すると同時に、アノードの銅が電子を放出し、イオン化される銅イオンが継続して供給される。
また、この配線の製造装置及び製造方法では銅イオンを使ったがこれに限られない。例えば、銀イオン、金イオン、Coイオン、Niイオン等の金属イオンでも同様に金属ナノ粒子を作製できる。また、得られた金属ナノ粒子を用いて配線を製造することも原理的に可能である。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態、実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態、実施例が有する効果を奏することができる。
本発明に係る配線の製造装置及び製造方法によれば、基板に含まれる官能基に依存することなく、ほとんどの材料からなる基板に対して硫化水素等の危険なガスを用いず、アルカリ水溶液に浸漬させるだけで基板の表面に水酸基を修飾させることができる。これによって、基板の表面の水酸基の箇所に銅ナノ粒子を成膜して、銅配線を形成することができる。
1 結晶シリコン基板
2 n型アモルファスシリコン
3 p型アモルファスシリコン
4 受光面側導電性透明電極
5 裏面側導電性透明電極
6 受光面側フィンガー電極
7 裏面側金属電極
10 太陽電池基板(配線形成前)
11 太陽電池基板(配線形成後)
12 ウェハ収納カセット
13 紫外線光源
14、304 マスク
20、20a 配線の製造装置
21 第1槽
22、202 露光ユニット
23 第2槽
24、207 第3槽
25 搬送ユニット
26 制御部
203 銅ナノ粒子の生成ユニット
204 銅ナノ粒子のアルカリ水溶液を中性付近の水に置換するユニット
205 銅ナノ粒子の表面に正電荷を修飾させる工程
211 第1の水溶液
212 第2の水溶液
213、217 フィルタ
214、218 濃縮槽
215、219 ポンプ
216、220 排出槽
221 アノード
222 定電流源
301 バスバー
302 フィンガー
303 受光面側導電性透明電極
305、306 クロム

Claims (16)

  1. アルカリ水溶液中に基板を浸漬させ、前記基板の表面に水酸基を修飾する工程と、
    表面にカルボキシ基を修飾した金属ナノ粒子の分散液を得る工程と、
    表面にカルボキシ基を修飾した前記金属ナノ粒子の分散液中に、前記水酸基を修飾させた前記基板を浸漬させ、前記基板の表面に前記金属ナノ粒子からなる配線を形成する工程と、
    を含む、配線の製造方法。
  2. 金属ナノ粒子の表面に正電荷を修飾する工程と、
    表面に前記正電荷を修飾した前記金属ナノ粒子を分散させた水溶液中に、表面に前記金属ナノ粒子からなる配線を形成した前記基板を浸漬させる工程と、
    前記基板の表面に形成した前記配線に負電位の電圧を印加し、前記基板の表面に形成した前記配線をシード層として、表面に正電荷を修飾した前記金属ナノ粒子によって前記配線を成長させる工程と、
    をさらに含む、請求項1に記載の配線の製造方法。
  3. 前記基板の表面に水酸基を修飾する工程の後、前記基板の表面の配線を形成する箇所以外の水酸基を除去して、所望の部分に配線を形成するためのパターニングを行う工程をさらに含む、請求項1に記載の配線の製造方法。
  4. 前記パターニングを行う工程において、紫外線照射、レーザ照射、プラズマ処理の群から選ばれる少なくとも一つの処理を行って、前記基板の表面の配線を形成する箇所以外の水酸基を除去する、請求項3に係る配線の製造方法。
  5. 前記パターニングを行う工程において、前記紫外線照射を行う光源は、低圧紫外線ランプまたはエキシマランプである、請求項4に記載の配線の製造方法。
  6. 前記パターニングを行う工程において、紫外線光源から前記基板への光路中にクロムパターンを有するマスクを設け、前記基板と前記マスクとのギャップに酸素を導入し、酸素の圧力で前記ギャップの幅を10μm以上100μm以下の範囲に設定する、請求項3に記載の配線の製造方法。
  7. 前記金属ナノ粒子の表面に正電荷を修飾する工程において、正電荷を修飾するための添加剤は、アミノ基、ジアミン基、ジアゾ基の群から選ばれる少なくとも1つを含む物質である、請求項2に記載の配線の製造方法。
  8. 前記金属ナノ粒子の表面にカルボキシ基を修飾する工程において、前記金属ナノ粒子の生成時にカルボキシ基を含む物質を添加しておく、請求項1に記載の配線の製造方法。
  9. 前記基板の表面を構成する層は、酸化物である、請求項1に記載の配線の製造方法。
  10. 前記基板の表面に水酸基を修飾する工程において、前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメトキシアミン(TMAH)の群から選ばれる少なくとも一つを含む、pH8以上のアルカリ水溶液である、請求項1に記載の配線の製造方法。
  11. 前記基板の表面に水酸基を修飾する工程において、アルカリ水溶液の温度は、0℃以上30℃以下である、請求項1に記載の配線の製造方法。
  12. 基板の前処理を行うアルカリ水溶液を保持する第1槽と、
    表面にカルボキシ基を修飾させた金属ナノ粒子を分散させた分散液を保持する第2槽と、
    前記第1槽、前記第2槽の順に前記基板を搬送する搬送ユニットと、
    前記第1槽、前記第2槽、及び、前記搬送ユニットを制御して、
    前記基板を前記第1槽に浸漬して、前記基板の表面に水酸基を修飾し、
    前記基板を前記第2槽に浸漬して、前記基板の表面に前記金属ナノ粒子からなる配線を形成する、
    制御部と、
    を備えた、配線の製造装置。
  13. 表面に正電荷を修飾させた金属ナノ粒子を分散させた分散液を保持する第3槽と、
    前記第3槽において、浸漬した前記基板の表面に電圧を印加する電圧制御ユニットと、
    をさらに備え、
    前記搬送ユニットは、前記第2槽の次に前記第3槽に前記基板を搬送し、
    前記制御部は、前記第3槽及び前記電圧制御ユニットを制御して、前記第3槽に浸漬した前記基板の表面に負電位の電圧を印加して、前記基板の表面に形成した前記配線をシード層として、表面に正電荷を修飾した金属ナノ粒子によって前記配線を成長させる、請求項12に記載の配線の製造装置。
  14. 前記基板の表面に紫外線を照射する露光ユニットをさらに備え、
    前記搬送ユニットは、前記第1槽の次に前記露光ユニットに前記基板を搬送し、その後、前記第2槽に基板を搬送し、
    前記制御部は、前記露光ユニットで前記基板に紫外線を照射して、前記基板の表面に配線を形成する箇所以外の水酸基を除去する、請求項12に記載の配線の製造装置。
  15. 前記露光ユニットは、前記基板の表面に紫外線を照射する光源が低圧紫外線ランプまたはエキシマランプである、請求項14に記載の配線の製造装置。
  16. 前記露光ユニットは、
    前記基板に紫外線を照射する光源と、
    前記光源と前記基板との間の光路中に設けられたクロムパターンのあるマスクと、
    を備え、
    前記光源から前記マスクにわたる光路における酸素分圧より前記マスクから前記基板にわたる光路における酸素分圧を高く設定している、請求項14に記載の配線の製造装置。
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