JP2017072844A - 光学フィルムの活性化処理方法および製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロールに沿って光学フィルムを搬送し、ロールの反対側から光学フィルムの活性化処理を行う方法において、ロールを冷却しながら活性化処理を行う。活性化処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理およびグロー放電処理の少なくとも1種であることが好ましく、光学フィルムとしては、偏光子および透明保護フィルムの少なくとも1種であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
(1)活性化処理のための放電により、光学フィルム表面に高エネルギーの電子やイオンが衝突して、光学フィルム表面にラジカルやイオンが生成する。
(2)これらに周囲のN2、O2、H2などが反応してカルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基などの極性反応基が導入されるが、同時にシュウ酸塩(シュウ酸アンモニウム
((NH4)2C2O2))なども生成する。
(3)このシュウ酸塩などの発生が、光学フィルム上に堆積して外観欠点を発生させる原因であることを突き止めた。これらの知見に基づき、さらに検討を行った結果、光学フィルムを冷却しつつ活性化処理を行うことで、上記に起因したシュウ酸塩などの外観欠点の発生および堆積を防止することができることが判明した。本発明は、かかる知見の結果得られたものである。
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、10〜80μm程度である。また、一般的な厚さを有する偏光子の水分率は、乾燥後1時間内で10〜30%程度である。偏光子厚みの好ましくは10〜30μm、最も好ましくは15〜25μmである。また偏光子水分の好ましくは10〜25%、最も好ましくは15〜20%である。
前記偏光子としては厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることができる。薄型化の観点から言えば当該厚みは1〜7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
更に具体的には、次のような方法により、薄型偏光膜を製造することができる。
上記の薄型偏光膜の製造方法は、上記工程以外に、その他の工程を含み得る。その他の工程としては、例えば、不溶化工程、架橋工程、乾燥(水分率の調節)工程等が挙げられる。その他の工程は、任意の適切なタイミングで行い得る。
上記不溶化工程は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、不溶化工程は、積層体作製後、染色工程や水中延伸工程の前に行う。
上記架橋工程は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。また、上記染色工程後に架橋工程を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、架橋工程は上記第2のホウ酸水中延伸工程の前に行う。好ましい実施形態においては、染色工程、架橋工程および第2のホウ酸水中延伸工程をこの順で行う。
透明保護フィルムを構成する材料としては、特に限定されないが、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーのブレンド物なども上記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などが挙げられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは50〜99質量%、さらに好ましくは60〜98質量%、特に好ましくは70〜97質量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50質量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性などが十分に発現できないおそれがある。
(A)ラジカル重合性化合物は、少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を含むビニル基、(メタ)アクリロイル基などを有する化合物であれば、特に限定なく使用可能である。本発明においては、(A)ラジカル重合性化合物の中でも、下記一般式(1):CH2=C(R1)−CONH2−m−(X−O−R2)m (1)
(R1は水素原子またはメチル基を示し、Xは−CH2−基または−CH2CH2−基を示し、R2は−(CH2)n−H基(ただし、nは0,1または2)を示し、mは1または2を示す)で表されるN−置換アミド系モノマーが好ましい。
(メタ)アクリレート、各種の(メタ)アクリロイル基を有する化合物などを含有してもよい。但し、接着剤層の接着性および耐水性を考慮した場合、(A)ラジカル重合性化合物の合計量に対する上記一般式(1)で表されるN−置換アミド系モノマーの割合が、50〜99質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
(C)2個以上の炭素−炭素二重結合を有するモノマー、特に好ましくは多官能(メタ)アクリレート系モノマーを含有する場合、接着剤層の耐水性が向上するため好ましい。接着剤層の耐水性を考慮した場合、2個以上の炭素−炭素二重結合を有するモノマーは疎水性であることがより好ましい。疎水性の2個以上の炭素−炭素二重結合を有するモノマー、特に疎水性の多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えばトリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、EO変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ビスフェノールA−EO付加物ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸付加物、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと1,6−ジイソシアネートヘキサンとの重合物、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどが挙げられる。
(B)光ラジカル発生剤は、活性エネルギー線を照射することによりラジカルを発生する。(B)光ラジカル発生剤としては、水素引き抜き型光ラジカル発生剤と開裂型光ラジカル発生剤とが挙げられる。
薄型偏光膜を作製するため、まず、非晶性PET基材に9μm厚のPVA層が製膜された積層体を延伸温度130℃の空中補助延伸によって延伸積層体を生成し、次に、延伸積層体を染色によって着色積層体を生成し、さらに着色積層体を延伸温度65度のホウ酸水中延伸によって総延伸倍率が5.9倍になるように非晶性PET基材と一体に延伸された4μm厚のPVA層を含む光学フィルム積層体を生成した。このような2段延伸によって非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子が高次に配向され、染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光膜を構成する、厚さ4μmのPVA層を含む光学フィルム積層体を生成することができた。かかるPVA層(薄型偏光子)の水分率は乾燥後1時間内で1.7%であった。
(厚さ60μm、日本ゼオン社製)とを、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物(ヒト゛キシエチルアクリルアミト゛(HEAA)−50部、アクリロイルモルフォリン(ACMO)−40部、ニューフロンティアPGA−10部、重合開始剤としてイルガキュア907−2部、光増感剤としてシ゛エチルチオキサントン(DETX)−0.9部)を硬化することにより得られた接着剤層を介して接着した後、非晶性PET基材を剥離して、補償板上に薄型偏光子が積層された光学フィルムを製造した。
図1に示す装置を使用し、薄型偏光子が表面側(補償板がアースロール1に接する面側)となるように積層された光学フィルム3を使用し、アースロール1の外周面に沿って光学フィルム3を密着させながら搬送しつつ、処理電極4を使用してコロナ放電処理を行った。アースロール1は、表面温度が25℃に冷却され、コロナ放電時の放電量は(250)W/m2であった。
コロナ放電処理時の放電処理量を表1に記載の量に変更した以外は、実施例1と同様の方法により活性化処理を行った。
コロナ放電処理を大気圧プラズマ処理(放電量250W・min/m2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により活性化処理を行った。
強制剥離した場合に、接着剤と光学フィルムとの間で剥離していない状態を○とし、接着剤と光学フィルムとの界面で剥離している状態を×とした。
Claims (9)
- ロールに沿って光学フィルムを搬送し、前記ロールの反対側から光学フィルムの活性化処理を行う方法であって、
前記ロールを冷却しながら活性化処理を行うことを特徴とする光学フィルムの活性化処理方法。 - 前記活性化処理が、コロナ放電処理、プラズマ処理およびグロー放電処理の少なくとも1種である請求項1に記載の光学フィルムの活性化処理方法。
- 前記光学フィルムが、偏光子および透明保護フィルムの少なくとも1種である請求項1または2に記載の光学フィルムの活性化処理方法。
- 前記活性化処理の放電量が、100〜2000W・min/m2である請求項2または3に記載の光学フィルムの活性化処理方法。
- 前記ロールに冷媒を通すことで、前記ロールを冷却するものである請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムの活性化処理方法。
- 光学フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して他の光学フィルムが積層された光学フィルムの製造方法であって、
前記光学フィルムの前記接着剤層を積層する側の面に、請求項1〜4のいずれかに記載の活性化処理方法を行う活性化処理工程と、
前記光学フィルムの活性化処理がされた面に、接着剤を塗工して接着剤層を積層する塗工工程と、
前記接着剤層が積層された光学フィルムと他方の光学フィルムとを、前記接着剤層を介して貼り合わせる積層工程と、を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。 - 前記光学フィルムが、偏光子の少なくとも一方の面に接着剤層を介して透明保護フィルムが設けられた偏光フィルムであって、
前記偏光子および前記透明保護フィルムの少なくとも一方に、請求項1〜4のいずれかに記載の活性化処理方法を行う活性化処理工程と、前記偏光子の活性化処理がされた面または前記透明保護フィルムの活性化処理がされた面に、接着剤を塗工して接着剤層を積層する塗工工程と、前記偏光子と前記透明保護フィルムとを、前記接着剤層を介して貼り合わせる積層工程と、を有する請求項6に記載の光学フィルムの製造方法。 - 請求項6または7に記載の製造方法により得られた光学フィルム。
- 請求項8に記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像形成装置。
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