JP2008129428A - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型、広幅であり、偏光子と保護層との密着性が極めて良好である偏光板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子と、当該偏光子の片面または両面に積層された、無機酸化物層と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層とをこの順で含むことを特徴とする偏光板。無機酸化物層は、シリコン、チタンおよびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属の酸化物からなることが好ましい。および、(a)偏光子の片面または両面に、有機金属化合物を含むガスの火炎を吹き付けることにより、無機酸化物層を形成する無機酸化物層形成工程と、(b)該無機酸化物層上に電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布した後、電離放射線を照射して硬化させる硬化物層形成工程とを含む偏光板の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子と、当該偏光子の片面または両面に積層された、無機酸化物層と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層とをこの順で含むことを特徴とする偏光板。無機酸化物層は、シリコン、チタンおよびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属の酸化物からなることが好ましい。および、(a)偏光子の片面または両面に、有機金属化合物を含むガスの火炎を吹き付けることにより、無機酸化物層を形成する無機酸化物層形成工程と、(b)該無機酸化物層上に電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布した後、電離放射線を照射して硬化させる硬化物層形成工程とを含む偏光板の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶表示装置等の光学表示装置などに好適に用いられる偏光板およびその製造方法に関し、より詳しくは、従来用いられてきたトリアセチルセルロース系の保護フィルムを用いない偏光板およびその製造方法に関するものである。
現在、液晶表示装置用の偏光板は、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着配向せしめたヨウ素系フィルムや、ポリビニルアルコールに二色性染料を吸着配向せしめた染料系フィルムを偏光子として用い、その偏光子の少なくとも片面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤層を介してトリアセチルセルロース(TAC)等の保護フィルムを貼合した構成のものが一般的である。しかし、このような構成においては、保護フィルムであるTAC等の幅以上の幅を有する広幅の偏光板は作製できないという問題を有している。したがって、近年の液晶パネルの大型化に伴い、広幅の偏光板が求められる中、TAC等の予め製膜された保護フィルムを偏光子に貼り合せる偏光板の製造方法には限界があった。また、偏光板の保護フィルムに用いられるTACフィルムは、通常、溶剤溶液からのキャスト法により製膜され、その厚さは80μmが一般的であり、その他、最近では40μm厚のものも一部で使われているものの、TACフィルムを使う以上、偏光板全体を薄くするにはやはり限界があった。
このような問題を解決するため、偏光子上に直接保護膜を形成する手法が過去に検討されており、近年、再度この手法が検討されつつある。たとえば特許文献1〜3には、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、1分子中にイソシアネート基と反応する活性水素および重合性不飽和基を有する化合物とを配合してなる組成物を偏光子に塗布し、そこに活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする偏光板の製造方法や、当該硬化した塗膜を有する偏光板が開示されている。
また特許文献4には、(1)光開始剤および、(2)アミド結合基、イミド結合基、ウレタン結合基、ウレア結合基、トリアジン基、およびイソシアヌル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する多官能(メタ)アクリレートのほか、(3)アミド結合基、イミド結合基、ウレタン結合基、ウレア結合基、トリアジン基およびイソシアヌル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するポリエン化合物または多官能マレイン酸誘導体および/または(4)ポリチオール化合物からなる光硬化性樹脂組成物で偏光材料を被覆し、光硬化させることを特徴とする偏光材料の処理方法が開示されている。
しかしながら、これら電離放射線硬化性樹脂を偏光子に直接塗布することにより得られる偏光板は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物層からなる保護層と偏光子との密着性が十分ではない。これは、偏光子であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面が、親水性であるにもかかわらず、水に対する接触角が50°前後という高い値を示すという特異性に起因するものと考えられる。
一方で、硬化性化合物にシランカップリング剤の加水分解物を混合した硬化性樹脂組成物を偏光子の表面に塗付し、硬化させて保護層とすることも知られている(たとえば、特許文献5)。また、シランカップリング剤を含むアンダーコート層を形成し、その上に硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化することも考えられる。しかしながら、シランカップリング剤をアンダーコート層として用いても、依然として偏光子と保護膜との密着性は十分であるとはいえない。
特開昭55−12930号公報
特開昭55−36862号公報
特開昭56−80001号公報
特開昭62−218904号公報
特開2005−107238号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、薄型、広幅であり、偏光子と保護層との密着性が極めて良好である偏光板およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、無機酸化物層を、偏光子と保護層との間に介在させることにより、偏光子と保護層との密着性が極めて良好な偏光板が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、さらに種々の検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子と、当該偏光子の片面または両面に積層された、無機酸化物層と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層とをこの順で含むことを特徴とする。
ここで、上記無機酸化物層は、シリコン、チタンおよびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属の酸化物からなることが好ましい。
また本発明は、上記偏光板の製造に好ましく用いられる方法であって、(a)偏光子の片面または両面に、有機金属化合物を含むガスの火炎を吹き付けることにより、無機酸化物層を形成する無機酸化物層形成工程と、(b)該無機酸化物層上に電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布した後、電離放射線を照射して硬化させる硬化物層形成工程と、を含むことを特徴とする偏光板の製造方法を提供する。
ここで、上記有機金属化合物は、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物およびアルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層との間に無機酸化物層を形成しているため、偏光子と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層との密着性が極めて良好である。また、従来の偏光板では機械的強度を付与するために、保護膜の上にハードコート層を積層するのが通常であったが、本発明の偏光板においては、電離放射線硬化性樹脂の硬化物層がハードコート層の機能をも果たし得るとともに、TACのような予め製膜されたフィルムを貼り合せる必要もないため、従来と比較して薄型とすることができる。
また、本発明の偏光板の製造方法によれば、TAC等の保護フィルムを偏光子に貼り合せる方法とは異なり、液晶表示装置の大型化にも対応可能な広幅な偏光板を量産性よく製造することができる。
<偏光板>
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子と、偏光子の片面または両面に積層された、無機酸化物層と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層とをこの順で含んでいる。以下、本発明の偏光板について具体的に説明する。
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子と、偏光子の片面または両面に積層された、無機酸化物層と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層とをこの順で含んでいる。以下、本発明の偏光板について具体的に説明する。
(偏光子)
本発明の偏光板に使用される偏光子としては、従来公知のポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムを用いることができ、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性染料を吸着配向させた染料系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂を部分的に脱水処理したポリエン系偏光フィルム等を挙げることができる。
本発明の偏光板に使用される偏光子としては、従来公知のポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムを用いることができ、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性染料を吸着配向させた染料系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂を部分的に脱水処理したポリエン系偏光フィルム等を挙げることができる。
偏光子(偏光フィルム)を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体、たとえばエチレンとの共重合体などが例示される。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、たとえば、約80〜100モル%、好ましくは約98〜100モル%である。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、たとえば、約1,000〜10,000、好ましくは約1,700〜5,000である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、ブチルアルデヒドで変性されたポリビニルブチラール、アセトアルデヒドで変性されたポリビニルアセタール、ホルムアルデヒドで変性されたポリビニルホルマールなども、使用し得る。これらのなかでも、ポリ酢酸ビニルのケン化物であるポリビニルアルコールのフィルムが、偏光子の原反として好ましく用いられる。
ここで、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて偏光子(偏光フィルム)を作製する方法について述べる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて偏光子(偏光フィルム)を作製する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を好適に用いることができる。たとえば、上記したようなポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムを原反とし、これに、一軸延伸を施す工程、ヨウ素または二色性染料からなる二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液で処理する工程、およびこのホウ酸含有水溶液による処理後に水洗する工程を経て、製造される。原反フィルムの厚みは特に限定されるものでないが、たとえば、50〜150μm程度のものが用いられる。また、原反フィルムに一軸延伸等を施して得られる偏光子(偏光フィルム)の厚みも特に制限されないが、たとえば、約10〜50μm程度である。
一軸延伸は、染色の前に行なってもよいし、染色と同時に行なってもよいし、染色の後に行なってもよい。一軸延伸を染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよいし、ホウ酸処理中に行なってもよい。もちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸には、例えば、周速の異なるロール間で一軸に延伸する方法などが採用できる。また、熱ロールを用いて一軸に延伸する方法や大気中で延伸を行なうなどの乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。乾式延伸の場合は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのガラス転移温度〜160℃の温度範囲で延伸することが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素およびヨウ化カリウムの含有量は、たとえば水100質量部に対して、ヨウ素が0.01〜0.5質量部程度、ヨウ化カリウムが0.5〜10質量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性の二色性染料を含む水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して、染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、たとえば水100質量部に対して、1×10-4〜10質量部、好ましくは1×10-3〜1質量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、またこの水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1,800秒程度である。
二色性色素を吸着させた後は、ホウ酸含有水溶液で処理する。処理方法は特に限定されないが、好ましくはホウ酸含有水溶液に浸漬する方法が用いられる。ホウ酸の量は特に限定されるものではなく、たとえば、水100質量部に対してホウ酸が約2〜15質量部程度であり、好ましくは水100質量部に対してホウ酸が約5〜12質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸含有水溶液にヨウ化カリウムを含有させることが好ましく、その量はたとえば、水100質量部に対して約2〜20質量部程度であり、さらに好ましくは水100質量部に対して約5〜15質量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、たとえば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行なわれる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行なわれる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させ、ホウ酸処理を行ない、必要に応じてさらに水洗を行なった後、熱緩和が起こらないようにするために、緊張状態下にフィルムを高温加湿処理してもよい。緊張状態における張力は、約3〜30kg/cm2、好ましくは約8〜20kg/cm2である。典型的には、高温加湿処理は、このような緊張状態下に、たとえば恒温恒湿機等を用いて、温度が約40〜90℃かつ相対湿度が約50〜95%の雰囲気で約1分〜24時間行なわれる。好ましくは温度が約60〜80℃かつ相対湿度が約60〜90%の雰囲気で約10分〜10時間である。なお、一軸延伸を染色前に行なったときは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する際の緊張状態を維持したまま、上記二色性色素の吸着配向、ホウ酸処理、必要に応じた水洗および高温加湿処理がなされるのが通常であるが、特に制限されるものではない。
(無機酸化物層)
本発明の偏光板においては、上記偏光子と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層との間に無機酸化物層が設けられる。これにより、偏光子と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層との密着性を向上させることができる。当該無機酸化物層は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物層を偏光子の片面に設けるか、両面に設けるかに応じて、偏光子の片面または両面に設けられる。
本発明の偏光板においては、上記偏光子と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層との間に無機酸化物層が設けられる。これにより、偏光子と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層との密着性を向上させることができる。当該無機酸化物層は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物層を偏光子の片面に設けるか、両面に設けるかに応じて、偏光子の片面または両面に設けられる。
ここで、本発明の偏光板に係る無機酸化物層は、シリコン、チタンおよびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属の酸化物からなることが好ましい。なお、本明細書中において「金属」はシリコンを含むものとする。無機酸化物層をシリコン酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物の少なくとも1種から構成することにより、より高い密着性を得ることができる。また、無機酸化物中の金属をシリコン、チタンまたはアルミニウムとすることにより、後述する火炎処理を用いて比較的容易に無機酸化物層を形成できる。
無機酸化物層の厚みは、偏光子と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層との密着性が確保される限り特に制限されるものではなく、一般的な火炎処理によって形成される程度の極薄膜でよい。無機酸化物層の形成には、後述するように、偏光子の片面または両面に、有機金属化合物を含むガスの火炎を吹き付ける火炎処理法を好適に用いることができる。
(電離放射線硬化性樹脂の硬化物層)
次に、本発明の偏光板に係る電離放射線硬化性樹脂の硬化物層について説明する。当該硬化物層は、電離放射線により硬化する樹脂を硬化させてなり、偏光子を保護する保護層としての役割を果たすものである。典型的には、電離放射線硬化性樹脂と、必要に応じて添加される重合開始剤や溶媒とを含む樹脂組成物を無機酸化物層上に塗布し、これに紫外線や電子線等の電離放射線を照射し、硬化させることにより形成される。電離放射線硬化性樹脂としては、分子内に1個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましく用いられるが、保護層としたときの機械的強度を向上させるため、あるいはさらにハードコート層としても機能しうる程度の機械的強度を付与するためには、3官能以上のアクリレート、すなわち、分子内に3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物が、より好ましく用いられる。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、グリセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが例示される。
次に、本発明の偏光板に係る電離放射線硬化性樹脂の硬化物層について説明する。当該硬化物層は、電離放射線により硬化する樹脂を硬化させてなり、偏光子を保護する保護層としての役割を果たすものである。典型的には、電離放射線硬化性樹脂と、必要に応じて添加される重合開始剤や溶媒とを含む樹脂組成物を無機酸化物層上に塗布し、これに紫外線や電子線等の電離放射線を照射し、硬化させることにより形成される。電離放射線硬化性樹脂としては、分子内に1個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましく用いられるが、保護層としたときの機械的強度を向上させるため、あるいはさらにハードコート層としても機能しうる程度の機械的強度を付与するためには、3官能以上のアクリレート、すなわち、分子内に3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物が、より好ましく用いられる。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、グリセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが例示される。
また、電離放射線硬化性樹脂の硬化物層に可撓性を付与して割れにくくするために、分子内にウレタン結合を有するアクリレート化合物も好ましく用いられる。具体的には、トリメチロールプロパンジアクリレートやペンタエリスリトールトリアクリレートの如き、分子内にアクリロイルオキシ基とともに少なくとも1個の水酸基を有する化合物2分子が、ヘキサメチレンジイソシアネートやトリレンジイソシアネートの如きジイソシアネート化合物に付加した構造のウレタンアクリレートが例示される。この他、エーテルアクリレート系、エステルアクリレート系等、電離放射線によりラジカル重合を開始し、硬化するその他のアクリル系樹脂も用いることができる。上記したアクリル系樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のようなアクリル系の電離放射線硬化性樹脂を紫外線の照射により硬化させる場合は、紫外線の照射を受けたときにラジカルを発生し、重合・硬化反応を開始させるために、無機酸化物層上に塗布する樹脂組成物には、公知の紫外線ラジカル開始剤が添加される。
紫外線ラジカル開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等の光ラジカル開始剤が例示される。
また、エポキシ系やオキセタン系等、カチオン重合性の電離放射線硬化性樹脂を保護層形成用の樹脂として用いてもよい。この場合、たとえば1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼンやビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルの如きカチオン重合性多官能オキセタン化合物と、(4−メチルフェニル)〔4−(2−メチルプロピル)フェニル〕ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートの如き光カチオン開始剤が併用される。
電離放射線硬化性樹脂の硬化物層の厚みは、5〜50μmの範囲内であることが好ましい。特に、30μm以下の薄肉であっても、偏光子の保護層として十分に機能する。当該硬化物層の厚みが5μmを下回る場合には、保護層として充分な硬度や機械強度を得ることができない虞がある。また、当該硬化物層の厚みが50μmを超える場合には、硬度が高くなりすぎ、割れやすくなるとともに、偏光板としての厚みも厚くなるため、好ましくない。
<偏光板の製造方法>
次に、本発明の偏光板の製造方法について説明する。本発明の偏光板の製造方法は、基本的に以下に示す工程(a)および(b)を含む。
(a)偏光子の片面または両面に、有機金属化合物を含むガスの火炎を吹き付けることにより、無機酸化物層を形成する無機酸化物層形成工程、
(b)無機酸化物層上に電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布した後、電離放射線を照射して硬化させる硬化物層形成工程。
次に、本発明の偏光板の製造方法について説明する。本発明の偏光板の製造方法は、基本的に以下に示す工程(a)および(b)を含む。
(a)偏光子の片面または両面に、有機金属化合物を含むガスの火炎を吹き付けることにより、無機酸化物層を形成する無機酸化物層形成工程、
(b)無機酸化物層上に電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布した後、電離放射線を照射して硬化させる硬化物層形成工程。
(a)無機酸化物層形成工程
本工程では、偏光子の片面または両面に、有機金属化合物を含むガスの火炎を吹き付ける火炎処理を行なうことにより、偏光子上に無機酸化物層を形成する。ここで、有機金属化合物は、無機酸化物層を構成する無機酸化物の前駆体となるものであり、当該有機金属化合物が火炎により酸化されて、対応する無機酸化物の層が形成される。たとえば、無機酸化物層としてシリコン酸化物層、チタン酸化物層、アルミニウム酸化物層を偏光子上に形成する場合には、有機金属化合物としては、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物およびアルコキシアルミニウム化合物などを好適に用いることができる。これらの有機金属化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本工程では、偏光子の片面または両面に、有機金属化合物を含むガスの火炎を吹き付ける火炎処理を行なうことにより、偏光子上に無機酸化物層を形成する。ここで、有機金属化合物は、無機酸化物層を構成する無機酸化物の前駆体となるものであり、当該有機金属化合物が火炎により酸化されて、対応する無機酸化物の層が形成される。たとえば、無機酸化物層としてシリコン酸化物層、チタン酸化物層、アルミニウム酸化物層を偏光子上に形成する場合には、有機金属化合物としては、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物およびアルコキシアルミニウム化合物などを好適に用いることができる。これらの有機金属化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
火炎処理は、たとえば無機酸化物の前駆体である有機金属化合物を貯蔵するための、加熱手段を有する第1の貯蔵タンクと、圧縮空気を伴う引火性ガスを貯蔵するための第2の貯蔵タンクと、有機金属化合物のガスと引火性ガスとを含む混合ガス(以下、燃焼ガスと称する)を燃やし、得られた火炎を吹き付けるためのバーナー部、および燃焼ガスをバーナー部へと移送するための移送部より構成される火炎処理装置を用いて行なわれる。燃焼ガスは上記のとおり、有機金属化合物のガスと引火性ガスとを含む混合物であり、ここでいう引火性ガスは、空気と、たとえばLPガス(液化石油ガス)の如き燃料ガスとを含む混合物である。火炎処理を連続的に行なえるよう、火炎処理装置は、偏光子フィルムを略一定の速度で移動させる移動手段を備えていることが好ましい。好適な火炎処理の方法および装置は、たとえば特開2006−16685号公報に記載されている。
バーナー部の種類は特に制限されるものでなく、例えば予混合型バーナー、拡散型バーナー、部分予混合型バーナー、噴霧バーナー、蒸発バーナーなどの何れであっても構わない。また、バーナーの形態についても特に制限されるものではなく、扇形、長方形などの何れの形態であっても構わない。
また、火炎処理装置は、火炎処理の際に偏光子に生じる熱エネルギーを素早く吸収し熱拡散させるために、熱拡散手段が備えられていることが好ましい。熱拡散手段の方法についても特に制限されるものではなく、たとえば、各種冷媒を用いた熱冷却ロールなどを用いることができる。
有機金属化合物の燃焼ガス中における濃度を制御するため、第一の貯蔵タンクに圧力計を設けて、有機金属化合物の蒸気圧をモニターすることが好ましい。燃焼ガス中の有機金属化合物の濃度は、有機金属化合物の種類等にもよるが、その燃焼ガスを構成するLPガスの如き燃料ガスの量を基準に、たとえば10-4〜1モル%程度である。
上記火炎処理装置を用いた具体的な火炎処理は、たとえば次のとおりである。まず、第1の貯蔵タンクに備えられた加熱手段(たとえば、ヒータや電熱線)を用いて、常温・常圧では液体である有機金属化合物を気化させ、第2の貯蔵タンクから送られてきた引火性ガス(たとえば、空気とLPガスの混合物)と均一混合させて燃焼ガスとし、移送部を経てバーナー部に移送する。バーナー部に移送された燃焼ガスは、燃やされ、得られた火炎を被処理物である偏光子の表面に吹き付ける。
ここで、火炎処理の時間は特に限定されるものではなく、所望する偏光子と保護層との密着性や有機金属化合物の種類等に応じて適宜選択される。火炎処理の時間は、たとえば偏光子フィルムの移動速度を調整することにより制御することができる。
(b)硬化物層形成工程
次に、工程(a)で形成された無機酸化物層上に電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布した後、電離放射線を照射して硬化させる。電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂のほか、必要に応じて重合開始剤や希釈剤としての溶媒を含む。塗布方法としては、たとえばディッピング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ダイコート法、バーコート法など公知の塗布方法が用いられる。電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物が溶媒を含む場合には、塗布後に溶媒を乾燥させる。溶媒の乾燥方法については特に限定はなく従来公知の方法を使用することができる。
次に、工程(a)で形成された無機酸化物層上に電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布した後、電離放射線を照射して硬化させる。電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂のほか、必要に応じて重合開始剤や希釈剤としての溶媒を含む。塗布方法としては、たとえばディッピング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ダイコート法、バーコート法など公知の塗布方法が用いられる。電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物が溶媒を含む場合には、塗布後に溶媒を乾燥させる。溶媒の乾燥方法については特に限定はなく従来公知の方法を使用することができる。
電離放射線硬化性樹脂層は、硬化後の厚みが5〜50μmの範囲内となるようにすることが好ましい。当該樹脂層の厚みが5μmを下回る場合には、保護層として充分な硬度や機械強度が得られにくくなる。また、当該樹脂層の厚みが50μmを超える場合には、硬度が高くなりすぎ、割れやすくなるとともに、偏光板としての厚みも厚くなるため、好ましくない。
ついで、電離放射線硬化性樹脂層に電離放射線を照射して硬化させ、硬化物層とする。当該電離放射線硬化性樹脂の硬化物層は、偏光子を保護する保護層の役割を果たす。電離放射線は、紫外線や電子線であり得るが、取扱いの容易さや安全性の観点から、紫外線が好ましく用いられる。紫外線の光源としては、電極を有する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどや、無電極のフュージョン社製の「V−バルブ」や「D−バルブ」(いずれも商品名)なども、好ましく用いられる。照射線量は、所望する硬度、たとえば鉛筆硬度2H程度以上の硬度が紫外線硬化性樹脂に付与されるのに十分な線量であればよく、特に限定されるものではない。表面硬度をさらに向上させるために、複数回の照射を行なってもよい。
以上のようにして本発明の偏光板を得ることができる。このようにして得られた本発明の偏光板は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物層が偏光子を保護する役割を果たし、また一般にはそれがハードコート層としての役割も果たすため、トリアセチルセルロース系フィルムのような予め製膜された保護フィルムを貼り合せる必要がなく、従来の偏光板と比べて薄型となる。また、本発明の偏光板の製造方法によれば、偏光板の幅が保護フィルムとして用いられてきたトリアセチルセルロース系フィルムの幅に制限されることがないため、近年のパネルの大型化に対応可能な広幅の偏光板を量産性よく作製することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特に断りのない限り質量基準である。
<実施例1>
(i)偏光子の作製
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレから販売されている「クラレビニロン#7500」)を30℃の純水に、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったまま約130秒間浸漬し、フィルムを十分に膨潤させた。次にヨウ素/ヨウ化カリウム/水が質量比で0.02/1.5/100の水溶液に浸漬して染色処理をしつつ一軸延伸を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が質量比で10/5/100の60℃水溶液に浸漬してホウ酸処理をしつつ原反からの積算延伸倍率が5.9倍になるまで一軸延伸を行った。次いで、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が質量比で10/3/100の水溶液に40℃で約30秒間浸漬して第2のホウ酸処理をしつつ、フィルムを延伸方向に約3%収縮させた(したがって、最終延伸倍率は5.9×0.97=5.72倍)。さらに、10℃の純水で約10秒間水洗した後、60℃で2分間乾燥して、偏光子を得た。得られた偏光子の厚さは、31μmであった。
(i)偏光子の作製
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレから販売されている「クラレビニロン#7500」)を30℃の純水に、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったまま約130秒間浸漬し、フィルムを十分に膨潤させた。次にヨウ素/ヨウ化カリウム/水が質量比で0.02/1.5/100の水溶液に浸漬して染色処理をしつつ一軸延伸を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が質量比で10/5/100の60℃水溶液に浸漬してホウ酸処理をしつつ原反からの積算延伸倍率が5.9倍になるまで一軸延伸を行った。次いで、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が質量比で10/3/100の水溶液に40℃で約30秒間浸漬して第2のホウ酸処理をしつつ、フィルムを延伸方向に約3%収縮させた(したがって、最終延伸倍率は5.9×0.97=5.72倍)。さらに、10℃の純水で約10秒間水洗した後、60℃で2分間乾燥して、偏光子を得た。得られた偏光子の厚さは、31μmであった。
(ii)電離放射線硬化性樹脂組成物の調製
ペンタエリスリトールトリアクリレート60部、ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物である多官能ウレタン化アクリレート40部を酢酸エチルに固形分濃度60%となるように溶解し、さらに、その固形分100部あたり、光重合開始剤である「ルシリン TPO」(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)を固形分量で5部添加して混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物とした。
ペンタエリスリトールトリアクリレート60部、ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物である多官能ウレタン化アクリレート40部を酢酸エチルに固形分濃度60%となるように溶解し、さらに、その固形分100部あたり、光重合開始剤である「ルシリン TPO」(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)を固形分量で5部添加して混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物とした。
(iii)火炎処理
(株)イシマットジャパンに委託して、上記(i)で得られた偏光子の両面にケイ酸化炎による火炎処理を施してもらい、表面に無機酸化物層が形成された偏光子を入手した。燃焼ガスの組成は、前記特開2006−16685号公報にも記載されるとおり、LPガスを100モル%として、テトラメチルシランを0.01モル%およびテトラメトキシシランを0.001モル%含み、これらがさらに空気と混合されてなるものである。
(株)イシマットジャパンに委託して、上記(i)で得られた偏光子の両面にケイ酸化炎による火炎処理を施してもらい、表面に無機酸化物層が形成された偏光子を入手した。燃焼ガスの組成は、前記特開2006−16685号公報にも記載されるとおり、LPガスを100モル%として、テトラメチルシランを0.01モル%およびテトラメトキシシランを0.001モル%含み、これらがさらに空気と混合されてなるものである。
(iv)偏光板の作製
次に、(iii)で無機酸化物層が形成された偏光子の片面に、上記(ii)の電離放射線硬化性樹脂組成物を#8のワイヤーバーで塗工した。得られた塗工品に、フュージョン社製の「Vバルブ」ランプ(最大発光波長420nm)を光源として、積算光量550mJ/cm2で紫外線を照射し、電離放射線硬化性樹脂を硬化させることにより、硬化物層を形成した。硬化物層の厚さは、7μmであった。偏光子のもう一方の面にも、同様の手順で無機酸化物層を介して電離放射線硬化性樹脂の硬化物層を7μmの厚さで形成させた。こうして、偏光子の両面に無機酸化物層を介して電離放射線硬化性樹脂の硬化物層が形成された偏光板を得た。
次に、(iii)で無機酸化物層が形成された偏光子の片面に、上記(ii)の電離放射線硬化性樹脂組成物を#8のワイヤーバーで塗工した。得られた塗工品に、フュージョン社製の「Vバルブ」ランプ(最大発光波長420nm)を光源として、積算光量550mJ/cm2で紫外線を照射し、電離放射線硬化性樹脂を硬化させることにより、硬化物層を形成した。硬化物層の厚さは、7μmであった。偏光子のもう一方の面にも、同様の手順で無機酸化物層を介して電離放射線硬化性樹脂の硬化物層を7μmの厚さで形成させた。こうして、偏光子の両面に無機酸化物層を介して電離放射線硬化性樹脂の硬化物層が形成された偏光板を得た。
<実施例2>
電離放射線硬化性樹脂組成物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの50%酢酸エチル溶液に、実施例1で用いたのと同じ光重合開始剤「ルシリン TPO」を、樹脂成分であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100部あたり5部添加した組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
電離放射線硬化性樹脂組成物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの50%酢酸エチル溶液に、実施例1で用いたのと同じ光重合開始剤「ルシリン TPO」を、樹脂成分であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100部あたり5部添加した組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
<比較例1>
無機酸化物層を設けることなく、偏光子の両面に直接、電離放射線硬化性樹脂の硬化物層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
無機酸化物層を設けることなく、偏光子の両面に直接、電離放射線硬化性樹脂の硬化物層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
<比較例2>
無機酸化物層の代わりに、信越化学工業(株)から販売されているシランカップリング剤「KBM−303」(化学名:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)の1%トルエン溶液を、#4のワイヤーバーで塗工し、80℃のオーブンに入れて3分乾燥させ、アンダーコート層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
無機酸化物層の代わりに、信越化学工業(株)から販売されているシランカップリング剤「KBM−303」(化学名:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)の1%トルエン溶液を、#4のワイヤーバーで塗工し、80℃のオーブンに入れて3分乾燥させ、アンダーコート層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。
上記実施例1、2および比較例1、2の偏光板を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)鉛筆硬度試験: JIS K 5600−5−4〔引っかき硬度(鉛筆法)〕に準拠して、偏光板表面の電離放射線硬化性樹脂の硬化物層の鉛筆硬度を測定した。
(2)密着性試験: 偏光板表面の電離放射線硬化性樹脂の硬化物層に、カッターナイフで1mm角の碁盤目を100個刻み、そこにセロハンテープを貼ってから引き剥がす試験を行ない、100個の碁盤目のうち剥がれずに残った碁盤目の数で評価した。
(3)耐擦傷性試験: 偏光板表面の電離放射線硬化性樹脂の硬化物層に、スチールウール#0000を荷重250g/cm2で10往復させた後、表面に付いた傷の程度を以下の基準で目視により評価した。
A :傷がまったく観察されない。
A′:傷がほとんど観察されない。
A′:傷がほとんど観察されない。
B :数本の傷が観察される。
C :十数本の傷が観察される。
C :十数本の傷が観察される。
D :数十本の傷が観察される。
E :多数の傷が観察される。
E :多数の傷が観察される。
表1に示されるように、実施例1および2の偏光板は十分な機械特性と良好な密着性を示した。また、実施例1および2の偏光板は、いずれも厚さ45μmと薄型であるが、十分な機械特性を有する。そして表面硬度も高いことから、その上にさらにハードコート層を設ける必要もない。そのため、従来の偏光板と比較して、全体としてより薄型である。一方、比較例1および2の偏光板は、偏光子と保護層との密着性が悪く、積層した硬化物層は保護層として機能し得ないことがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の偏光板は、液晶表示装置に好適に用いることができる。具体的には、1対の基板と、それら基板の対向する内側表面(TNやVAなどの場合)または一方の基板の内側表面(IPSの場合)に設けられた1対の電極と、基板間に充填された液晶層とを少なくとも含む構造の液晶セルに対し、その外側の片面又は両面に、本発明に係る偏光板を配置して、液晶表示装置とすることができる。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子と、
前記偏光子の片面または両面に積層された、無機酸化物層と電離放射線硬化性樹脂の硬化物層とをこの順で含むことを特徴とする偏光板。 - 前記無機酸化物層は、シリコン、チタンおよびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属の酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- (a)偏光子の片面または両面に、有機金属化合物を含むガスの火炎を吹き付けることにより、無機酸化物層を形成する無機酸化物層形成工程と、
(b)前記無機酸化物層上に電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布した後、電離放射線を照射して硬化させる硬化物層形成工程と、を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。 - 前記有機金属化合物は、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物およびアルコキシアルミニウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の偏光板の製造方法。
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-
2006
- 2006-11-22 JP JP2006315818A patent/JP2008129428A/ja not_active Withdrawn
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