JP2017072730A - 顕微鏡用ステージ、メカニカルステージおよび顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】メカニカルステージを取り付けた状態でも、保持部の固定ステージ上への配置と、保持部の固定ステージからの退避とを簡易に切り替えられる顕微鏡用ステージを提供する。【解決手段】メカニカルステージ1は、観察対象を保持する保持部材を載置可能な顕微鏡用の固定ステージ10に着脱自在に取り付けられ、保持部材を保持可能なメカニカルステージ1であって、固定ステージ10に着脱自在に支持される支持部11と、支持部11に取り付けられ、固定ステージ10の表面と平行な平面上を移動可能な移動機構12と、移動機構12に取り付けられ、保持部材を保持する保持機構13と、移動機構12の移動方向および移動量の入力操作を受け付ける操作部20と、を備え、保持機構13は、保持部材を保持する保持部131と、移動機構12に支持され、保持部131を固定ステージ10の表面と略平行な軸のまわりに回転させる回転機構とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞等の試料を保持する保持部材を載置する顕微鏡用ステージ、メカニカルステージ、およびこの顕微鏡用ステージを備えた顕微鏡に関するものである。
従来、医学や生物学等の分野では、培養細胞のチェック用に用いられる倒立型の顕微鏡が普及している。この顕微鏡は、主に大学・研究機関、検査センターの培養室、生物系実験室等で使用されており、例えば、培養状態のチェック、継代・細胞数カウントなどに用いられる。特に、インキュベータから培養容器を取り出して顕微鏡でチェックし、その後すぐにインキュベータに戻すような、培養状態のチェックにかかる一連の作業は、培養細胞へのダメージ、汚染のリスク等を最小限に抑えるために、極めて短時間で行われる。このとき、ユーザは手で培養容器をステージの面内の縦横方向に動かしながら観察するので、ステージは固定型のステージで構成されるのが一般的である。
このような顕微鏡において、複数の試料を収容可能なマイクロプレートなどの収容容器を観察する場合には、どの穴を観察しているかの判別、操作性を容易にするために、収容容器を保持する保持部を固定ステージの面上で移動させることが可能なメカニカルステージが普及している(例えば、特許文献1,2を参照)。特許文献1,2では、操作ハンドルを用いて手動で保持部を移動させる。
特開2001−281522号公報 特開2004−294497号公報
しかしながら、メカニカルステージを用いて収容容器を機械的にフレーミングするか、ユーザが手で収容容器を持ってフレーミングするかはユーザの好みにより選択される。メカニカルステージを固定ステージに取り付けた場合、手でフレーミングする際に、保持部と収容容器との干渉を防ぐため、メカニカルステージの移動可能範囲の端、例えば、固定ステージの端に保持部を移動したとしても、保持部の一部が固定ステージ上に残る場合があり、収容容器の移動範囲が制限されたり、手で収容容器を直接持つ際の邪魔になったりするなどの欠点がある。収容容器の移動範囲をより広く確保するためには、保持部を固定ステージから完全に退避させることになるが、従来のメカニカルステージの構成では、都度ネジを外してメカニカルステージの取り外しを行わなければならなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、メカニカルステージを取り付けた状態でも、保持部の固定ステージ上への配置と、保持部の固定ステージからの退避とを簡易に切り替えることができる顕微鏡用ステージ、メカニカルステージおよび顕微鏡を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる顕微鏡用ステージは、顕微鏡本体に取り付けられ、観察対象を保持する保持部材を載置可能な固定ステージと、前記固定ステージに着脱自在に支持される支持部、前記保持部材を保持する保持部、前記保持部を支持するとともに、前記保持部を前記固定ステージの表面と略平行な軸のまわりに回転させる回転機構、前記固定ステージの表面と平行な平面において前記回転機構を移動可能な移動機構、ならびに前記移動機構の移動方向および移動量の入力操作を受け付ける操作部を有するメカニカルステージと、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる顕微鏡用ステージは、上記の発明において、前記回転機構は、前記移動機構に固定される固定部と、前記固定部に対して回転自在に当接する当接部を有し、前記保持部に支持される回転支持部と、を有することを特徴とする。
また、本発明にかかる顕微鏡用ステージは、上記の発明において、前記回転支持部は、前記当接部による前記固定部への接触荷重を調整する調整部材を有することを特徴とする。
また、本発明にかかる顕微鏡用ステージは、上記の発明において、前記固定部の重心が、前記保持部の保持中心を通過し、かつ前記軸に対して垂直な平面上に位置することを特徴とする。
また、本発明にかかるメカニカルステージは、観察対象を保持する保持部材を載置可能な顕微鏡用の固定ステージに着脱自在に取り付けられ、前記保持部材を保持可能なメカニカルステージであって、前記固定ステージに着脱自在に支持される支持部と、前記保持部材を保持する保持部と、前記保持部を支持するとともに、前記保持部を前記固定ステージの表面と略平行な軸のまわりに回転させる回転機構と、前記固定ステージの表面と平行な平面において前記回転機構を移動可能な移動機構と、前記移動機構の移動方向および移動量の入力操作を受け付ける操作部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる顕微鏡は、上記の発明にかかる顕微鏡用ステージと、前記ステージ上の前記観察対象からの観察光を集光する対物レンズと、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、メカニカルステージを取り付けた状態でも、保持部の固定ステージ上への配置と、保持部の固定ステージからの退避とを簡易に切り替えることができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるステージの概略構成を示す斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態にかかるステージの構成を模式的に示す平面図である。 図3は、本発明の実施の形態にかかるステージの構成を模式的に示す平面図である。 図4は、図2に示すA−A線断面図である。 図5は、本発明の実施の形態にかかるステージの構成を模式的に示す平面図である。 図6は、本発明の実施の形態にかかるステージの構成を模式的に示す平面図である。 図7は、本発明の実施の形態にかかるステージを備えた顕微鏡の全体構成を示す模式図である。 図8は、本発明の実施の形態にかかるステージに載置される保持部材の一例を模式的に示す斜視図である。 図9は、本発明の実施の形態にかかるステージに載置される保持部材の一例を模式的に示す斜視図である。 図10は、本発明の実施の形態にかかるステージに載置される保持部材の一例を模式的に示す斜視図である。 図11は、本発明の実施の形態の変形例1にかかるステージの構成を模式的に示す断面図である。 図12は、本発明の実施の形態の変形例2にかかるステージの構成を模式的に示す断面図である。 図13は、本発明の実施の形態の変形例3にかかるステージの構成を模式的に示す平面図である。 図14は、本発明の実施の形態の変形例3にかかるステージの構成を模式的に示す側面図である。 図15は、本発明の実施の形態の変形例3にかかるステージの構成を模式的に示す平面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面とともに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態にかかるステージの概略構成を示す斜視図である。図2は、本実施の形態にかかるステージの構成を模式的に示す平面図である。図3は、本実施の形態にかかるステージの構成を模式的に示す平面図である。図1〜3に示すステージ1は、顕微鏡の本体部などに取り付けられ、当該ステージ1の土台をなす固定ステージ10と、固定ステージ10に着脱自在に支持される支持部11と、支持部11に取り付けられて、固定ステージ10の表面と平行な平面上を移動可能な移動機構12と、移動機構12に取り付けられ、保持部材としてのマイクロプレート30を保持する保持機構13と、移動機構12の移動方向および移動量の入力操作を受け付ける操作部20と、を備える。移動機構12、保持機構13および操作部20により、メカニカルステージを構成する。
固定ステージ10は、板状をなしており、その表面は例えばグラファイト、フッ素樹脂などの潤滑性の良い塗装がされている。固定ステージ10には、板厚方向に貫通する貫通孔10aが形成されている。以下、各部材の最も面積の大きな面を主面、該主面に略直交する面を側面という。
支持部11は、略角柱状をなして延び、側面同士が対向するように固定ステージ10に隣接して配置される。固定ステージ10および支持部11には図示しないネジ穴が形成されており、固定ステージ10と支持部11とは、ネジ穴を介してネジ11aによって着脱自在に固定されている。
移動機構12は、支持部11に対して、所定の方向に往復動可能に取り付けられた第1移動部材121と、支持部11に対して、第1移動部材121の移動方向と直交する方向に対して往復動可能に取り付けられた第2移動部材122と、を有する。以下の説明では、固定ステージ10の主面と平行な平面をXY平面(図2参照)とみなし、第1移動部材121がY方向、第2移動部材122がX方向に移動するものとして説明する。
保持機構13は、マイクロプレート30を保持する保持部131と、保持部131を回動可能に支持するとともに、第2移動部材122に固定される固定部132と、保持部131を回動可能に支持する第1回転支持部133および第2回転支持部134と、を備える。固定部132、第1回転支持部133および第2回転支持部134により、回転機構を構成する。
保持部131は、平板状の部材を用いて形成され、図2に示す平面視において、中心軸T1を通過し、板面と直交する平面に対して対称なC字状をなしている。なお、保持部131は一般的にステンレスなどの金属の平板により形成されるが、保持機能を満たすことができれば金属に限らない。例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂などで形成されていても良い。保持部131には、マイクロプレート30を収容可能な空間を形成する凹部131aが形成されている。本実施の形態では、凹部131aのマイクロプレート30の保持中心が、中心軸T1上に位置するものとして説明する。保持部131は、図1〜3に示す状態において、C字の中央部が第1回転支持部133および第2回転支持部134を介して固定部132に支持される。その際、保持部131は固定ステージ10の主面と接触しない高さに調整され、第1回転支持部133および第2回転支持部134に固定される。なお、マイクロプレート30を載置した状態では、当該マイクロプレート30の自重によって、マイクロプレート30を保持する側と反対側の面が固定ステージ10の主面と接触している。なお、保持部131が非対称な形状をなす場合、中心軸T1は、保持部131の保持中心を通過し、かつ中心軸Cに対して垂直な軸となる。
図4は、図2に示すA−A線断面図であって、固定部132および回転支持部133,134の構成を示す図である。固定部132は、平板状をなし、第2移動部材122に固定される被固定部1321と、平板状をなし、被固定部1321の主面に対して略垂直に延びる平板状をなす第1側面部1322と、第1側面部1322に対向して設けられ、被固定部1321の主面に対して略垂直に延びる平板状をなす第2側面部1323と、を有する。第1側面部1322および第2側面部1323には、同一の中心軸Cを有する開口部132a,132bがそれぞれ形成されている。中心軸Cは、固定ステージ10の表面と略平行な軸である。
第1回転支持部133は、角柱状をなし、保持部131に立設される。第1回転支持部133には、当該第1回転支持部133と螺合可能であり、保持機構13の回動態様を調整可能な調整部材135が設けられている。調整部材135は、外周がネジ加工された棒状をなし、一端に、開口部132aに当接可能な球状部135a(当接部)が設けられるとともに、他端に、調整部材135の径より大きい径を有する操作ツマミ136が設けられている。操作ツマミ136の外表面には、ローレット加工が施されている。第1回転支持部133と操作ツマミ136との間には、ワッシャ135bが設けられている。ユーザが操作ツマミ136を回転させることで、調整部材135が第1回転支持部133に対して進退し、球状部135aが開口部132aを介して固定部132に加える荷重(接触荷重)が変化する。
第2回転支持部134は、角柱状をなし、保持部131に立設される。第2回転支持部134には、当該第2回転支持部134から突出し、開口部132bに当接する球状部134a(当接部)が設けられている。
固定部132は、第1回転支持部133の球状部135a、および第2回転支持部134の球状部134aを介して第1回転支持部133および第2回転支持部134を、中心軸Cまわりに回転自在に支持する。これにより、保持部131は、中心軸Cまわりに回転することが可能である。また、調整部材135の第1回転支持部133に対する進入量により、固定部132に加わる荷重を変化させることができ、球状部135aの開口部132aへの圧接荷重を小さくすることで第1回転支持部133および第2回転支持部134を固定部132に対して着脱可能な状態とし、球状部135aの開口部132aへの圧接荷重を大きくすることで第1回転支持部133および第2回転支持部134をがたつかせることなく回転させる、つまり、高い回転精度で回転させることができる。例えば、図1〜3では、球状部134aおよび球状部135aが開口部132a,132bにそれぞれ圧接して、第1側面部1322および第2側面部1323が弾性変形した状態となっており、中心軸C方向のガタツキが抑制される。
また、固定部132の重心Gは、図1〜3に示す状態において、保持部131の中心軸T1を通過し、板面と直交する平面上に位置する。これにより、ヒステリシスの発生を抑制して中心軸T1と直交する軸のまわりの回転を抑制することができる。このため、第1移動部材121または第2移動部材122が移動することによって、保持部131が固定ステージ10上を摺動した場合であっても、該摺動による振動および回転が生じにくく、マイクロプレート30を安定して移動させることができる。
操作部20は、第1移動部材121に支持され、XY平面に対して垂直な方向に延びる略棒状をなしている。操作部20は、図1および図3に示すように、第1移動部材121から延びる軸部21と、第1移動部材121の移動量の入力を受け付ける第1入力部22と、第2移動部材122の移動量の入力を受け付ける第2入力部23と、を有する。第1入力部22および第2入力部23は、軸部21とそれぞれ連結することによって、軸部21の中心軸のまわりに自転可能であって、中心軸のまわりの回転に応じた動力を各伝達機構に入力する。各伝達機構は、入力された動力に応じて、第1移動部材121または第2移動部材122を移動させる。具体的には、移動機構12および操作部20は、例えばラックアンドピニオンを用いて実現され、第1移動部材121が、支持部11に対してY方向に移動することが可能であり、第2移動部材122が、第1移動部材121に対してX方向に移動することが可能である。
以上の構成を有するステージ1は、保持部131の凹部131aにマイクロプレート30を載置し、操作部20の第1入力部22および第2入力部23を回転させることによって、保持機構13のX方向またはY方向への移動を操作することができる。この際、保持部131は、自重により固定ステージ10の主面と接することで、保持部131の位置が安定する。このため、従来のようにバネ等によりマイクロプレートを固定ステージに安定させる場合と比して、固定ステージ10に対する摩擦力を低減し、操作性および耐摩耗性の観点で有効である。
また、保持部131が、マイクロプレート30の自重により固定ステージ10の主面に接触し、該固定ステージ10にならって移動するため、保持部131を比較的薄い板金を用いて形成しても、XY平面における移動の精度を容易に確保することができる。このため、高精度な保持部131の移動を安価に実現することができる。
図5は、本実施の形態にかかるステージの構成を模式的に示す平面図であって、図2に示す状態から保持部131を回転させた際の状態を示す図である。図6は、本発明の実施の形態にかかるステージの構成を模式的に示す平面図であって、図3に示す状態から保持部131を回転させた際の状態を示す図である。
図5,6に示すように、保持部131および第1回転支持部133および第2回転支持部134を中心軸Cのまわりに回転させると、保持部131が第2移動部材122側に移動し、XY平面において、中心軸Cを軸として反転した状態となる。この際、保持部131が固定ステージ10から退避し、固定ステージ10の主面上に保持部131が存在しない状態となる。このように、球状部135aの開口部132aへの圧接荷重を調整することで、がたつきを抑制して保持部131を中心軸Cのまわりに回転させて固定ステージ10から保持部131を退避させることができるとともに、保持部131を固定部132から容易に着脱できる状態に切り替えることができる。保持部131を中心軸Cのまわりに回転させて固定ステージ10から保持部131を退避させれば、ユーザが固定ステージ10の主面上で、マイクロプレート30を自由に移動させることができる。また、保持部131には載置できない収容容器を使う場合にも有効である。
以上のように構成されたステージ1は、図7に示すように、顕微鏡100に取り付けることで、マイクロプレート30が収容する細胞等の試料を拡大観察することができる。図7に示す顕微鏡100は、例えば蛍光色素にて特異的に染色された試料の像を結像して該試料を観察するための倒立型顕微鏡であって、本体部101と、本体部101に支持される支柱102と、上述したステージ1と、対物レンズ103と、接眼レンズ104と、透過照明光を試料に結像するコンデンサ105と、を備える。本体部101は、ステージ1(固定ステージ10)および対物レンズ103を保持する。本体部101の内部には、対物レンズ103に入射した光を結像し、接眼レンズ104に導光するための結像光学系(図示せず)が設けられている。
図7に示す顕微鏡100において、保持部131のC字のなす中空部により、コンデンサ105に干渉することなく保持部131を回転させることができる。このため、保持機構13を固定ステージ10や第2移動部材122から取り外すことなく、また、保持部131の位置を変えることなく、保持部131を固定ステージ10上から退避させることができる。なお、正立型の場合であっても、対物レンズに干渉することなく、保持部131を固定ステージ10上から退避させることができる。
上述した本実施の形態によれば、マイクロプレート30を保持する保持部131と、第1回転支持部133および第2回転支持部134を介して保持部131を中心軸Cのまわりに回転可能に支持する固定部132と、を備え、保持部131を中心軸Cのまわりに回転させて、固定ステージ10から保持部131を退避可能としたので、メカニカルステージを取り付けた状態でも、保持部131の固定ステージ10上への配置と、保持部131の固定ステージ10からの退避とを簡易に切り替えることができる。
ネジ式によって固定ステージに着脱する従来のメカニカルステージでは、保持部を固定ステージから退避させる場合、都度ネジを外してメカニカルステージの取り外しを行わなければならなかった。これに対し、本実施の形態にかかるメカニカルステージは、メカニカルステージを固定ステージ10から取り外すことなく、固定ステージ10の主面から退避させることができる。
また、本実施の形態では、保持部131がC字状をなすため、保持部131の回転による移動領域にコンデンサ105等の顕微鏡100を構成する部材が存在したとしても、干渉することなく、保持部131を回転させることができる。
また、本実施の形態では、移動部材の移動によって、保持部131が、固定ステージ10の主面にならって移動するため、観察像のボケを抑制したり、観察像の配置を高精度に決定したりできるという効果を奏する。これに対し、保持部131が固定ステージ10から浮いた構成の場合、観察像が光軸方向に動いて観察像がボケたり、高精度に配置できないというおそれがあった。
また、本実施の形態では、保持部131が、調整部材135による荷重によって第1回転支持部133および第2回転支持部134を固定部132に圧接させた状態で、固定ステージ10の主面にならって移動するため、顕微鏡100にステージ1が配置されている場合に、外乱振動が加わっても、保持部131は振動しにくく、観察像のボケを抑制することができる。このため、操作部20を操作した際などに外乱振動が発生した場合であっても、観察像のボケを生じにくくすることができる。このように、本実施の形態によれば、観察像のボケや観察像の不要な移動を抑制し、剛性の高いステージを得ることができる。
なお、上述した実施の形態では、操作ツマミ136を操作して調整部材135を中心軸C方向に移動させて、球状部134a,135aによる固定部132への圧接荷重を調整して、保持部131を、かたつきを抑制して回転させる状態、または着脱自在な状態に切り替えるものとして説明したが、調整部材135を調整して球状部135aを開口部132a(固定部132)に対する荷重を調整すれば、ユーザに応じた荷重で保持部131を回転させることができる。
また、上述した実施の形態では、マイクロプレート30を用いるものとして説明したが、観察対象の試料を保持する部材、例えば、スライドガラス等であってもよい。図8〜10は、本実施の形態にかかるステージに載置される保持部材の一例を模式的に示す斜視図である。保持部131は、上述した実施の形態でも説明したマイクロプレート30(図8参照)を保持してもよいし、スライドガラスを用いる場合は、図9に示すようなスライドガラス保持穴31aを有するスライドガラスホルダ31を保持してもよいし、ディッシュを用いる場合は、図10に示すような複数のディッシュ保持穴32aを有するディッシュホルダ32を保持してもよい。
(実施の形態の変形例1)
次に、本発明の実施の形態の変形例1について説明する。図11は、本発明の実施の形態の変形例1にかかるステージの構成を模式的に示す断面図である。図8に示す断面図は、ステージ1において、図2に示すA−A線に対応している。上述した実施の形態では、調整部材135を設けて、固定部132の回転にかかる荷重を調整するものとして説明したが、本変形例1では、第1回転支持部133および調整部材135に代えて、球状部137a(当接部)を支持する第1回転支持部137が設けられる。
図11に示すように、固定部132の開口部132aには、球状部137aが圧接している。本変形例1のように、単純に球状部134a,137aが固定部132に圧接する場合であっても、第1回転支持部137および第2回転支持部134を回転させることができ、保持部131の固定ステージ10への配置と、保持部131の固定ステージ10からの退避とを簡易に切り替えることができる。
(実施の形態の変形例2)
次に、本発明の実施の形態の変形例2について説明する。図12は、本発明の実施の形態の変形例2にかかるステージの構成を模式的に示す断面図である。図12に示す断面図は、ステージ1において、図2に示すA−A線に対応している。上述した変形例1では、球状部137aを設けるものとして説明したが、本変形例2では、球状部137を第1回転支持部137に対して進退自在に保持する圧縮バネ137bが設けられる。
図12に示すように、第1回転支持部137には、圧縮バネ137bが設けられ、球状部137aが第1回転支持部137に対して進退自在に支持されている。固定部132の開口部132aには、球状部137aが圧接している。本変形例2のように、球状部137aを進退自在に取り付けることで、第1回転支持部137および第2回転支持部134をがたつきつきなく回転させるとともに、固定部132から第1回転支持部137および第2回転支持部134を取り外す際、変形例1と比して小さな力で取り外すことができる。
(実施の形態の変形例3)
次に、本発明の実施の形態の変形例3について説明する。図13は、本発明の実施の形態の変形例3にかかるステージの構成を模式的に示す平面図である。図13は、図3で示したように、保持部131を固定ステージ10に当接させた状態を示している。図14は、本発明の実施の形態の変形例3にかかるステージの構成を模式的に示す側面図であって、図13に示す矢視Bからみたステージの要部の構成を示す図である。図15は、本実施の形態の変形例3にかかるステージの構成を模式的に示す平面図であって、図13,14に示す状態から保持部131を180°回転させた際の状態を示す図である。
本変形例3では、保持部131が、固定部132側と反対側の先端であって、固定ステージ10と対向する面に設けられており、樹脂を用いて形成されてなる厚さ(図14に示す厚さd1)がd1=0.2(mm)程度の薄板138を有している。上述した実施の形態では保持部131が固定ステージ10の主面にならって移動するものとして説明したが、本変形例3では、樹脂製の薄板138が固定ステージ10の主面にならって移動する。このとき、保持部131は、例えば、薄板138が設けられた面の端部であって、薄板138側と反対側の端部と、固定ステージ10の上面との間の距離(高さd2)がd2=0.2(mm)程度となるように固定部132に保持されている。このため、マイクロステージ30を保持した際に、光軸方向の観察範囲で0.2mmのずれが発生し、保持部131を固定ステージ10の面上で移動した場合、観察像のボケが0.2mm発生するが、観察像のボケが、マイクロプレート30のなかで最も離れた観察範囲で0.2mmであれば、ユーザは観察対象を見失うことなく、わずかな顕微鏡操作でピントを合わせることができるため実用上の問題はない。なお、従来の顕微鏡では、観察像のボケが、マイクロプレート30のなかで最も離れた観察範囲で0.3mm程度のものが存在するため、0.3mmより大きくなる場合は品位を損なう。
図14に示すように、樹脂製の薄板138が固定ステージ10に当接している場合、保持部138の回転支持部付近の高さd2は、樹脂製の薄板138の上面側を基準に上下0.2mm、すなわち0≦d2≦0.4(mm)の範囲で位置調整可能である。本変形例3のように、厚さが0.2mm程度の樹脂製の薄板138を有している場合、保持部131の組立位置調整の許容範囲は広くなり、組立を容易にすることができる。また、保持部131が金属の平板で形成される場合、固定ステージ10との当接面が保持部131ではなく樹脂製の薄板138となるため、固定ステージ10を傷つけることなく保持部131を固定ステージ10の面上で移動させることができ、固定ステージ10の耐久性を向上させることができる。
上述した実施の形態および変形例は、本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明は、各実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。本発明は、仕様等に応じて種々変形することが可能であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは、上記記載から自明である。
1 ステージ
10 固定ステージ
11 支持部
12 移動機構
13 保持機構
20 操作部
21 軸部
22 第1入力部
23 第2入力部
121 第1移動部材
122 第2移動部材
131 保持部
132 固定部
133,137 第1回転支持部
134 第2回転支持部
134a,135a,137a 球状部
135 調整部材
136 操作ツマミ
137b 圧縮バネ
138 薄板

Claims (6)

  1. 顕微鏡本体に取り付けられ、観察対象を保持する保持部材を載置可能な固定ステージと、
    前記固定ステージに着脱自在に支持される支持部、前記保持部材を保持する保持部、前記保持部を支持するとともに、前記保持部を前記固定ステージの表面と略平行な軸のまわりに回転させる回転機構、前記固定ステージの表面と平行な平面において前記回転機構を移動可能な移動機構、ならびに前記移動機構の移動方向および移動量の入力操作を受け付ける操作部を有するメカニカルステージと、
    を備えたことを特徴とする顕微鏡用ステージ。
  2. 前記回転機構は、
    前記移動機構に固定される固定部と、
    前記固定部に対して回転自在に当接する当接部を有し、前記保持部に支持される回転支持部と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用ステージ。
  3. 前記回転支持部は、前記当接部による前記固定部への接触荷重を調整する調整部材を有することを特徴とする請求項2に記載の顕微鏡用ステージ。
  4. 前記固定部の重心が、前記保持部の保持中心を通過し、かつ前記軸に対して垂直な平面上に位置することを特徴とする請求項2または3に記載の顕微鏡用ステージ。
  5. 観察対象を保持する保持部材を載置可能な顕微鏡用の固定ステージに着脱自在に取り付けられ、前記保持部材を保持可能なメカニカルステージであって、
    前記固定ステージに着脱自在に支持される支持部と、
    前記保持部材を保持する保持部と、
    前記保持部を支持するとともに、前記保持部を前記固定ステージの表面と略平行な軸のまわりに回転させる回転機構と、
    前記固定ステージの表面と平行な平面において前記回転機構を移動可能な移動機構と、
    前記移動機構の移動方向および移動量の入力操作を受け付ける操作部と、
    を備えたことを特徴とするメカニカルステージ。
  6. 請求項1に記載の顕微鏡用ステージと、
    前記固定ステージ上の前記観察対象からの観察光を集光する対物レンズと、
    を備えたことを特徴とする顕微鏡。
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