JP2017072019A - トンネル掘削機及びトンネル掘削方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1の図17〜図22に示すシールド掘削機においては、前胴部を内胴と外胴で構成し、その外胴を複数の外殻プレートに周方向に分割し、外殻プレートの分割境界部に裏当てプレートを設け、それら裏当てプレートを拡縮駆動可能な複数の油圧ジャッキを設けている。後胴部も同様の構成としている。
請求項1の発明によれば、外胴の底部以外の部分を構成する複数の分割胴板を拡縮駆動手段により縮径位置と拡径位置とに切換えることができる。それ故、地山の崩壊等でトンネル掘削機が地山に拘束された際に、複数の分割胴板を縮径位置に切換えて、拘束を解除することができ、安全に能率的に経済的に拘束解除を行うことができる。
支持面形成胴体の内面にセグメントを組み付けるエレクタ装置を取り外し可能に設けたため、崩落しやすい地山を掘削する際にはエレクタ装置により支持面形成胴体の内面にセグメントを安定的に組み付けることができ、崩落し難い地山を掘削する際にはエレクタ装置と支持面形成胴体とを取り外しておくことができる。
また、崩落し難い地山を掘削する際には、前記エレクタ装置と支持面形成胴体を取り外した状態で、トンネルを掘削するため、崩落し易い地山に遭遇して薬液注入ドリルにより地山に薬液を注入する際に、ドリル挿通管を用いることなく、直接地山にドリルして注入可能になり、薬液注入の作業性が向上する。
図1に示すように、トンネル掘削機1は、カッターヘッド2、前胴部材3、中胴構造4、後胴部材5、掘削機本体6、カッターヘッド駆動機構7、岩石片や土砂等の掘削物を排出する掘削物排出機構8、4本のスラストジャッキ9、8本のシールドジャッキ10、1対のローリングジャッキ11、1対のメイングリッパー12、セグメントSを組み付けるエレクタ装置13、1対の薬液注入ドリル14等を備えている。
カッターヘッド2は、複数のカッタースポーク2aと、これらカッタースポーク2aに取り付けた回転自在の複数のローラカッター2bと、外周フレーム2c等を有する。
中胴構造4は、掘削機本体6の前半部に固定された中部固定胴体4aと、この中部固定胴体4aに摺動自在に外嵌された中胴部材4bとを備えている。中胴部材4bは、二重構造の中部内胴4cと、この中部内胴4cの外側に所定間隔(例えば約100mm)あけて同心状に配置された中部外胴4dとを備えている。
4本のスラストジャッキ9のうち、2本のスラストジャッキ9は上部に、2本のスラストジャッキ9は下部に、前後方向向きに配設されている。スラストジャッキ9の前端部が前胴部材3の内部で掘削機本体6に固定された1対のブラケット17にピン結合されると共に後端部が後胴部材5の内部で掘削機本体6に固定された1対のブラケット18にピン結合されている。
最初に、前胴部材3とその付随機器について図1〜図5、図9に基づいて説明する。
前記のように前胴部材3は、掘削機本体6に固定された径不変の前部内胴3aと、この前胴内胴3aの外側に配置された径可変の前部外胴3bとを有する。
最も下側の前部分割胴板3sの周方向の上端側部分には、外面側の板厚の約半分を削除した第1の板厚減少部3iが形成され、その上側に隣接する前部分割胴板3sの周方向の端部側部分には内面側の板厚の約半分を削除した第2の板厚減少部3jが形成され、第1,第2の板厚減少部3i,3jを重複させている。
図3、図4、図9に示すように、第1油圧ジャッキ21は、前部分割胴板3sの周方向中央部且つ前後方向中央部のやや前寄り部位に対応する位置に、軸心を径方向に向けて配設されている。第1油圧ジャッキ21は、ケース部材24と、シール用筒部材25と、シリンダ本体26と、ピストン部材27と、グリップ部材28等を備えている。
シリンダ本体26は、シール用筒部材25に隙間をあけて内装され、シリンダ本体26の内端面がケース部材24の内端壁24bに図示外のボルトで固定されている。
図3に示すように、複数の第1油圧ジャッキ21と同じ前後方向位置において、掘削機本体6の下部には、左右1対の第2のフロントグリッパー35が設けられている。この第2のフロントグリッパー35は、ケース部材36内にグリップ部材37と可動部材38を進退自在に組み込み、そのグリップ部材37と可動部材38を内部の複動油圧シリンダにより進退駆動可能に構成したものである。グリップ部材37と可動部材38を進出位置に切換えると、グリップ部材37は、前部外胴3bの外面外へ所定長さ(例えば約50mm)突出し、グリップ部材37を退入位置に切換えると、グリップ部材37の先端面が前部外胴3bの外面と同一面となる。
図1、図6に示すように、中胴構造4は、掘削機本体6の前半部に固定された中部固定胴体4aと、この中部固定胴体4aに摺動自在に外嵌された中胴部材4bとで構成されている。中胴部材4bは、二重構造の中部内胴4cと、この中部内胴4cの外側に同心状に配置された中部外胴4dを備えている。
最も下側の中部分割胴板4sの周方向の上端側部分には、外面側の板厚の約半分を削除した第1の板厚減少部4iが形成され、その上側に隣接する中部分割胴板4sの周方向の端部側部分には内面側の板厚の約半分を削除した第2の板厚減少部4jが形成され、第1,第2の板厚減少部4i,4jを重複させている。最も下側の中部分割胴板4s以外の各中部分割胴板4sには、1対の第1の板厚減少部4i又は1対の第2の板厚減少部4jが形成されている。第1の板厚減少部4iを有する中部分割胴板4sの周方向に隣接する位置には第2の板厚減少部4jを有する中部分割胴板4sが配置されている。
中部内胴4cの外周面の前端近傍部のワイヤブラシ型シール56Aは、前後1対の円弧状且つテーパ状のワイヤブラシ56aを前後に所定間隔空けて配置したもので、ワイヤブラシ56aの基端部が中部内胴4cの外周面に固定されると共に、前方程外径側へ移行するように傾斜状に形成され、前後1対のワイヤブラシ56a間にはグリース溜まり56gが形成されている。
図1、図8に示すように、後胴部材5の底部5m以外の部分は、前部内胴3aや中部内胴4cとほぼ同径に構成されている。後胴部材5の底部5mは、所定厚さのある二重構造部とされ、底部5m以外の部分と一体的に形成され、底部5mの外周面は前部底部3m,4mの外周面と略同一の円筒面に形成されている。底部5mの周方向両端部分にはテーパ部5tが形成されている。尚、トンネル掘削機前半部に対してトンネル掘削機後半部を僅少角度だけ中折れさせる中折れ機構6pも設けられている。
トンネルを掘削する際には、前部外胴3bと中部外胴4dを拡径状態にしてトンネル掘削を行う。但し、掘削中には第1,第2のフロントグリッパー23G,35が退入状態(非グリップ状態)に保持される。このトンネル掘削時、1対のメイングリッパー12をグリップ状態に保持し、カッターヘッド2を回転させながら、4本のスラストジャッキ9を伸長させていくと、トンネル掘削機前半部分がトンネル掘削機後半部分に対して前進移動し、中胴構造4が伸長しながらトンネルを掘削する。
しかも、前部外胴3bの底部3m及び中部外胴4dの底部4mは所定半径の外面を有し且つ夫々前部内胴3aと中部内胴4cに固定されているため、前部外胴3bと中部外胴4dの底部以外の部分を縮径する場合にも、トンネル掘削機1の軸心の高さ位置を一定に維持することができ、トンネル掘削機1が下方に沈む虞がなく、健全な掘削が可能である。
ヘッド部28dの先端部分には、ロッド部28cよりも大径の円板部28eが形成されている。グリップ部材28Aを退入状態に切換えた状態では、円板部28eが前部分割胴板3sの厚板部3zに形成した凹部3vに嵌まり円板部28eの外面と前部分割胴板3sの外面とが同一面となる。
後部外胴5bの上部と中段部(底部以外の部分)は、周方向に複数(本実施例では8枚)の後部分割胴板5sで構成されている。後部分割胴板5sには実施例1の中部分割胴板4sの板厚減少部4i,4jと同様の板厚減少部(図示略)が形成されている。
この支持面形成胴体63は、掘削機本体6の後端部に取り外し可能に取り付けられている。支持面形成胴体63は、後部内胴5aよりも小径の胴体部材であり、後部胴体5Aの後側に同心状に配設される。この支持面形成胴体63の上部と左右中段部(底部以外の部分)は、周方向に複数分割(本実施例では9分割)された複数の分割胴体63sで構成されている。
前記支持面形成胴体63を組み付ける場合、最初に底部分割体63x,63y,63zを組み付けてから、複数の分割胴体63sを底部側から順次組み付けることが望ましい。
前記底部63mを構成する底部分割体63x,63y,63zは、分割胴体63sと一体的に接合するとは限らず、分割胴体63sとは別体に構成してからボルト等により一体的に連結してもよい。また、前記底部63mを1つ又は2つ又は4つの底部分割体で構成してもよい。
エレクタ装置13は、実施例1のエレクタ装置13と同様のものであるが、掘削機本体6の後半部に取り外し可能に取り付けられる。そのため、環状体13bを支持する複数の遊転ローラ13aを支持する複数の支持体13fが支持面形成胴体63の内面に連結解除可能に固定され、回転駆動手段13d(油圧モータ又は電動モータ)を支持する支持部材13gが掘削機本体6に連結解除可能に固定され、回転駆動手段13dの出力軸を支持する支持部材13hも掘削機本体6に連結解除可能に固定されている。それ故、エレクタ装置13は、必要に応じて掘削機本体6から解体したり、取り付けたりすることができる。
崩落し難い安定した地山を掘削する際には、シールドジャッキ10及びスプレッダ19とエレクタ装置13と支持面形成胴体63を取り外した状態にして、トンネルを掘削していく。この場合、前部外胴3bと中部外胴4dと後部外胴5bを拡径状態に保持し、4本のスラストジャッキ9の推進力によりトンネル掘削機前半部分をトンネル掘削機後半部分に対して前進移動させながら、実施例1と同様にして掘削を行う。
崩落し易い地山に遭遇して薬液注入ドリル14により地山に薬液を注入する際に、ドリル挿通管を用いることなく、直接地山にドリルして注入可能になり、薬液注入の作業性が向上する。
また、第1のフロントグリッパー23Gのグリップ部材28Aの先端部に外径を拡大した円板部28eを形成したため、グリッパー面圧を下げてグリッパー機能を高めることができる。
1)第1油圧ジャッキ21に組み込んだ第1のフロントグリッパー23Gを省略し、第1のフロントグリッパーを第1油圧ジャッキ21とは独立に設けてもよい。
2)カッター駆動モータ7cの数、スラストジャッキ9の数、シールドジャッキ10の数などは図示のものに限定されるものではない。
2 カッターヘッド
3 前胴部材(前部胴体)
3a 前部内胴
3b 前部外胴
3c 延長カバー
3s 前部分割胴板
3i 第1の板厚減少部
3j 第2の板厚減少部
4 中胴構造
4a 中部固定胴体
4b 中胴部材(中部胴体)
4c 中部内胴
4d 中部外胴
4s 中部分割胴板
4i 第1の板厚減少部
4j 第2の板厚減少部
5 後胴部材(後部胴体)
5A 後部胴体(後胴部材)
5a 後部内胴
5b 後部外胴
5f 分割胴板前端部分
5r 分割胴板後端部分
5s 後部分割胴板
10 シールドジャッキ
12A メイングリッパー
12a グリップ部材
13 エレクタ装置
20 第1拡縮駆動手段
21 第1油圧ジャッキ
22 拡縮用油圧ジャッキ部
23 グリップ用油圧ジャッキ部
23G 第1のフロントグリッパー
28 グリップ部材
40 第1土圧計
42A,42B ワイヤブラシ型シール
50 第2拡縮駆動手段
51 第2油圧ジャッキ
54 第2土圧計
55 スラスト支持機構
56A,56B ワイヤブラシ型シール
60 第3拡縮駆動手段
61 第3油圧ジャッキ
63 支持面形成胴体
63s 分割胴体
63m 底部
Claims (14)
- 胴体と、胴体の前方に配置されたカッターヘッドとを備えたトンネル掘削機において、
前記胴体は、掘削機本体に固定された内胴と、この内胴の外側に同心状に配置された外胴とを有し、
前記外胴の底部は所定半径の外面を有し、前記外胴の底部以外の部分は周方向に複数分割された複数の分割胴板で構成され、
前記複数の分割胴板を前記内胴に接続し且つこれら複数の分割胴板を前記内胴に接近させた縮径位置と前記内胴から外側へ所定距離離隔させた拡径位置とに亙って切換え可能な拡縮駆動手段を設けたことを特徴とするトンネル掘削機。 - 前記胴体は、前部内胴と前部外胴とを有する前胴部材と、中部固定胴体に摺動自在に外嵌される中部内胴と中部外胴とを有する中胴部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機。
- 前記胴体は、前部胴体と中部胴体と後部胴体とを有し、
前記内胴は、前部胴体の前部内胴と、中部胴体の中部固定胴体に摺動自在に外嵌される中部内胴と、後部胴体の後部内胴とを有し、
前記外胴は、前部胴体の前部外胴と、中部胴体の中部外胴と、後部胴体の後部外胴とを有することを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機。 - 前記拡縮駆動手段は複数の油圧ジャッキを備え、
各油圧ジャッキは、前記分割胴板を拡縮させる拡縮用油圧ジャッキ部と、この拡縮用油圧ジャッキ部に同心状に組み込まれ且つ前記分割胴板の外側へ所定長さ突出可能なグリップ部材を有するグリップ用油圧ジャッキ部とを備え、前記拡縮用油圧ジャッキ部とグリップ用油圧ジャッキ部とを独立に伸縮作動可能に構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載のトンネル掘削機。 - 前記分割胴板の周方向の端部側部分と、周方向に隣接する前記分割胴板の周方向の端部側部分を周方向に重複するように構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトンネル掘削機。
- 前記各分割胴板の、前記拡縮駆動手段に対応する周方向位置の土圧を検知する土圧計を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトンネル掘削機。
- 前記内胴の外周面の前端近傍部と後端近傍部に、前記内胴と外胴間の隙間をシールする1対のワイヤブラシ型シールを外径側へ向けて装備し、
各ワイヤブラシ型シールは、1対のワイヤブラシとこれらワイヤブラシ間に形成されたグリース溜まりを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトンネル掘削機。 - 前記前部外胴の複数の分割胴板に、その後端から後方へ延びて中部外胴が摺動自在に内嵌可能な複数の延長カバーを夫々固定的に設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載のトンネル掘削機。
- 前記外胴に装備されたメイングリッパーは、前記外胴を貫通するグリップ部材を有し、このグリップ部材の前後両端に前記外胴の分割胴板の一部として機能する分割胴板前端部分と分割胴板後端部分を固定的に設けたことを特徴とする請求項3に記載のトンネル掘削機。
- 前記掘削機本体の後端部に前端部が連結されて後方へ所定長さ延び且つセグメント組み付け用支持面を形成する支持面形成胴体と、この支持面形成胴体の内面にセグメントを組み付けるエレクタ装置を取り外し可能に設けたことを特徴とする請求項3に記載のトンネル掘削機。
- 前記支持面形成胴体の底部は所定半径の部分円筒面を有し、前記支持面形成胴体の底部
以外の部分は、周方向に複数分割された複数の分割胴体で構成され、
前記支持面形成胴体の底部は、1又は複数の底部分割体で構成されていることを特徴とする請求項10に記載のトンネル掘削機。 - 胴体と、この胴体の前方に配置されたカッターヘッドとを備えたトンネル掘削機によりトンネルを掘削する方法において、
前記胴体を、径不変の内胴と、この内胴の外側に配置され且つ底部以外の部分を径可変に形成した外胴とで予め構成し、
通常のトンネル掘削時は外胴の底部以外の部分を拡径状態に保持し、
トンネル掘削機が地山に拘束されたときには、前記外胴の底部以外の部分を縮径状態に切換えて拘束を解除することを特徴とするトンネル掘削方法。 - 崩落し易い地山を掘削する際には、セグメント組み付け用のエレクタ装置と、複数のシールドジャッキと、前記胴体の後端側にセグメント組み付け用支持面を形成する支持面形成胴体とを着脱可能に取り付けた状態で、トンネルを掘削すると共にセグメントを組み付け、
崩落し難い地山を掘削する際には、前記エレクタ装置と複数のシールドジャッキと支持面形成胴体を取り外した状態で、トンネルを掘削することを特徴とする請求項12に記載のトンネル掘削方法。 - 前記支持面形成胴体の底部以外の部分を、周方向に複数分割された複数の分割胴体で予め構成し、
前記支持面形成胴体を組み付ける際に、前記底部を組み付けてから、複数の分割胴体を前記底部側から順次組み付けることを特徴とする請求項13に記載のトンネル掘削方法。
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