JP2017071962A - 揚圧力低減装置、揚圧力低減構造及び揚圧力低減装置の設置方法 - Google Patents

揚圧力低減装置、揚圧力低減構造及び揚圧力低減装置の設置方法 Download PDF

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Abstract

【課題】津波等から受ける揚圧力を簡単な構成で低減することが可能な揚圧力低減装置を提供する。【解決手段】水が浸入する空間を有する構造物用の揚圧力低減装置である。そして、気体が充満された袋体部2と、袋体部を構造物に取り付けるためのつり下げ部3と、を備えている。ここで、袋体部には、袋体部の内外に連通する連通口が少なくとも下面2aに設けられており、袋体部の上面2bにはつり下げ部を構成するつり輪が設けられていることが好ましい。また、揚圧力低減構造は、複数の袋体部が、浸入する水面Wに対向する水路天端12の下面12aに取り付けられることによって構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、津波、高潮、洪水などによって、水が浸入する空間を有する構造物用の揚圧力低減装置、揚圧力低減構造及び揚圧力低減装置の設置方法に関するものである。
津波や高潮に伴う波や流れ、河川の洪水に伴う波や流れなどが起きると、海岸や河川近くに構築された構造物は、浸水や水圧などによって様々な被害を受けることになる。特許文献1には、このような津波などによる災害を防ぐための津波高潮減災構造物が開示されている。
この特許文献1の津波高潮減災構造物は、箱状の本体内部に遊水室が設けられており、津波などによって波が遊水室に流れ込むと、その波力及び遊水室内で高められた空気圧によって、遊水室の天井面となる起伏天端壁部が跳ね上がる構成となっている。
この起伏天端壁部は、コンクリート製であって、起伏後は津波の陸側への遡上を抑制する防潮堤として機能する。要するに、津波によって遊水室の天井面に作用する揚圧力は、重量物である起伏天端壁部を跳ね上げることができるほどの大きさになる。
特開2012−97536号公報
しかしながらこのような大きな揚圧力が通常の構造物に作用すると、構造物が破壊又は損傷してしまうおそれがあるため、なんらかの対策が必要になる。海岸近くには、発電所やコンビナートなどの取水路及び放水路を備えた重要な臨海施設や、桟橋などがあり、それらの構造物が津波や高潮、河川の洪水等に起因する揚圧力によって損傷等するのを、可能な限り抑えることが望まれる。
さらに、海岸部に構築された建造物は、津波来襲時の避難ビルに指定されていることがあり、このような避難先となる建造物の損傷は最小限に抑える必要がある。
そこで、本発明は、津波等から受ける揚圧力を簡単な構成で低減することが可能な揚圧力低減装置、揚圧力低減構造及び揚圧力低減装置の設置方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の揚圧力低減装置は、水が浸入する空間を有する構造物用の揚圧力低減装置であって、気体が充満された袋体部と、前記袋体部を前記構造物に取り付けるための取付手段と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記袋体部には、前記袋体部の内外に連通する穴が少なくとも下面に設けられており、前記袋体部の上面には前記取付手段を構成するつり下げ部材が設けられている構成とすることができる。また、前記袋体部の内空は、複数に区画されている構成とすることができる。
さらに、揚圧力低減構造の発明は、上記いずれかに記載の揚圧力低減装置が設置された水が浸入する構造物に設けられた揚圧力低減構造であって、複数の前記袋体部が、浸入する水面に対向する構造物面に取り付けられていることを特徴とする。
ここで、前記構造物面には、下方に向けて突出された突出部が設けられており、前記突出部を囲繞して前記袋体部が取り付けられている構成とすることができる。
また、揚圧力低減装置の設置方法の発明は、前記袋体部を折り畳んだ状態で水が浸入する構造物面の下方まで搬送する工程と、前記袋体部の上部を前記取付手段を介して前記構造物面に取り付ける工程と、前記袋体部に前記穴から気体を注入又は流入させて膨張させる工程と、を備えたことを特徴とする。
このように構成された本発明の揚圧力低減装置は、気体が充満された袋体部と、その袋体部を水が浸入する空間を有する構造物に取り付けるための取付手段とを備えている。
このような簡単な構成の揚圧力低減装置が構造物に取り付けられるだけで、津波や高潮、洪水等に起因する揚圧力は袋体部で緩衝されることになるので、構造物が受ける揚圧力を低減することができる。
本実施の形態の揚圧力低減装置及び揚圧力低減構造の構成を説明する断面図である。 揚圧力低減装置の構成を示した説明図である。 袋体部の構成を説明する斜視図である。 実施例1の揚圧力低減装置の効果を確認する実験の概要を示した説明図である。 実施例1で行った比較例の実験結果を示した図である。 実施例1で行った本実施の形態の揚圧力低減装置の実験結果を示した図である。 実施例1の実験結果をまとめて説明する図である。 実施例1の実験結果の妥当性を説明する図である。 実施例2の揚圧力低減構造の構成を説明する断面図である。 実施例3の揚圧力低減構造の構成を説明する断面図である。 実施例3の袋体部の構成を説明する斜視図である。 実施例3の別の形態の袋体部の構成を説明する斜視図である。 実施例4の揚圧力低減構造の構成を説明する側面図である。 図13のA−A矢視方向で見た断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の揚圧力低減装置及び揚圧力低減構造の構成を説明するための断面図である。
本実施の形態の揚圧力低減構造は、海岸近くの発電所やコンビナートなどの臨海施設や桟橋、河川近くの構造物など、津波や高潮に伴う波や流れ、河川の洪水に伴う波や流れなどによって水が浸入する空間を有する構造物に設けられる。発電所には、海水に繋がる取放水路1(取水路及び放水路)があり、桟橋のスラブも水位上昇の影響を受けやすい構造物である。
本実施の形態では、図1に示すような取放水路1に揚圧力低減構造を設ける場合について説明する。この取放水路1は、海とポンプ室11の配管14とを連絡する構造物である。
ポンプ室11の水路天端12の下面12aは、水面Wに対向する構造物面となる。すなわち常時においては、水路天端12の下面12aから下方に離隔した位置に海と繋がる水面Wが存在する。
この水面Wは、津波や高潮などが起きると水位上昇し、水路天端12の下面12aには衝撃的な揚圧力が作用することになる。そして、衝撃揚圧力の作用によって、水路天端12に設けられた点検口の天端蓋13が飛散するおそれがある。
また、天端蓋13が衝撃揚圧力によって外れると、点検口を通じて施設内に海水が流れ込み、浸水被害が発生することにもなる。さらに、衝撃揚圧力が大きい場合には、水路天端12を損傷させる可能性がある。このような被害の発生を防ぐために、衝撃揚圧力を低減するための揚圧力低減装置を下面12aに取り付ける。
本実施の形態の揚圧力低減装置は、気体が充満された袋体部2と、袋体部2を水路天端12の下面12aに取り付けるための取付手段としてのつり下げ部3とによって、主に構成される。
つり下げ部3は、図2に示すように、例えば水路天端12の下面12aに固定されるフック31と、袋体部2の上面2bに接合されるつり下げ部材としてのつり輪32とによって構成することができる。
一方、袋体部2は、図3に示すように、例えば直方体状に形成される。袋体部2は、布などの可撓性シート材を袋状に成形することによって製作することができる。
この袋体部2は、内空部22に注入された気体が、圧力を受けてもほとんど透過しない素材によって形成される。例えば袋体部2には、シートベルトなどの素材として使用されるポリエステル繊維による引張強度の高い織布などが使用できる。また、水面Wに近い位置に設置され、水と接触させることになるため、撥水性や防水性などの機能を有する素材を使用することもできる。
さらに、袋体部2は、取り付ける構造物(水路天端12)にかかる負荷をできるだけ抑えるために、軽量であることが望ましい。このため、所望する引張強度が得られるのであれば、自動車のエアバッグなどの素材として使用されるナイロン繊維による織布なども使用できる。また、ゴム素材によっても袋体部2を形成することができる。
また、「気体が充満された袋体部2」とは、気体が袋体部2の内部に溜まっている状態であればよく、袋体部2自体に引っ張りが生じるような張り詰めた状態から、多少の皺が残る程度にしか気体が注入されていない状態までもを含めた状態を指す。
この袋体部2の上面2bには、例えば隅角部にフック31に引っ掛けるためのつり輪32,・・・が設けられる。袋体部2は、水路天端12の下面12aに対して強固に固定されている必要はなく、風圧などによって外れない程度につり下げられていればよい。
一方、袋体部2の下面2aには、内外を連通させる穴としての連通口21が穿孔される。この連通口21は、衝撃揚圧力が作用した際に、内空部22の気体が一気に抜けない程度の大きさに成形されていればよい。
袋体部2の内空部22に充満される気体は、通常は空気となる。連通口21を通じて内空部22と水面W側とは連通された状態になるので、注入される気体がポンプ室11にある空気であれば、気体の入れ替わりによる影響を受けることがない。
次に、本実施の形態の揚圧力低減装置及び揚圧力低減構造の構築方法、並びにそれらの作用について説明する。
まず、取放水路1に流入する海水を遮蔽してポンプ室11をドライな状態にし、水路天端12の下面12aの所定の位置に、フック31,・・・をそれぞれ取り付けていく。一方、袋体部2は、連通口21から内空部22の空気を抜いて、折り畳まれた状態にしておく。
そして、折り畳まれた状態の袋体部2をポンプ室11の水路天端12の下方空間に搬送し、下面12aに取り付けられたフック31,・・・に対して、袋体部2のつり輪32,・・・をそれぞれ引っ掛ける。
このようにして袋体部2が下面12aに取り付けられた状態で、連通口21から内空部22に空気を注入して、袋体部2を膨張させる。この空気の注入は、連通口21の大きさが小さければ、空気入れ等の器具を使って行うことができるが、袋体部2を広げるだけで連通口21から自然に空気が流入する構成とすることもできる。
そして、袋体部2に空気を充満させて膨らませる作業を繰り返すことで、図1に示すように、水路天端12の下面12aが複数の袋体部2,・・・によって覆われた状態にする。
この図1では、ポンプ室11の奥行き方向(紙面左右方向)に複数の袋体部2,・・・が並べられた状態が図示されているが、水路の幅(紙面直交方向)が袋体部2の幅よりも広ければ、水路の幅方向にも複数の袋体部2,・・・が取り付けられる。
このように構成された本実施の形態の揚圧力低減装置は、空気が充満された袋体部2と、その袋体部2を水面Wに対向する水路天端12の下面12aに取り付けるためのつり下げ部3とを備えている。
この揚圧力低減装置を設置することによって既設構造物である水路天端12に追加される主な荷重は、袋体部2,・・・の重量であり、非常に軽量であるため、既設構造物の補強などを必要としない。
このような簡易な構成の揚圧力低減装置は、袋体部2のつり輪32,・・・をフック31,・・・に引っ掛けるだけで、簡単に下面12aに取り付けることができる。
特に、袋体部2には連通口21が設けられているので、袋体部2は折り畳まれた運びやすい状態で搬送することができるうえに、設置する場所で簡単に膨張させることができる。
また、連通口21が袋体部2の下面2aに設けられていれば、下面2aに揚圧力が作用して袋体部2が押し上げられても、連通口21から内空部22の空気が抜けだすことがない。
そして、津波や高潮等によって、取放水路1に通常時以上の海水が勢いよく流れ込んだ際には、下面12aに衝撃揚圧力が作用する前に、袋体部2に上昇した水面Wや高められた空気圧が接触して緩衝される。
このため、水路天端12が受ける揚圧力を低減することができる。特に、下面12aに複数の袋体部2,・・・が取り付けられていれば、広い範囲で下面12aが受ける揚圧力を低減することができる。
次に、前記実施の形態で説明した揚圧力低減装置の効果を確認するために行った実験及びその結果について、図4−図8を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語や同一符号を付して説明する。
実験は、衝撃的に作用する波を落下実験によって模擬し、袋体部2を取り付けたことによる揚圧力の低減効果を確認するために行った。図4の断面図に示すように、袋体部2が下面に取り付けられた板状の錘部4(100mm×100mm,717g,鉛製)を、水面Wに向けて自由落下させた際の衝撃的圧力を計測した。すなわち、錘部4の下面(袋体部2側の面)が、前記実施の形態で説明した水路天端12の下面12aに相当することになる。
この袋体部2は、100mm×100mm×100mmの直方体に成形されている。袋体部2には、撥水性の高い布地(帝人フロンティア株式会社製の傘地素材「ウォーターバリア(登録商標)」)を使用した。
この袋体部2には下面2aに連通口21が穿孔されており、内空部22には空気が充満している。また、錘部4の下面側には、衝撃的圧力を計測するための圧力センサ41が取り付けられる。
この落下実験は、落下高さhをパラメータとして複数ケース、行った。また、比較のために袋体部2のない錘部4A自体の落下実験も行った。ここで、落下高さhは、袋体部2があるケースでは、袋体部2の下面2aから水面Wまでの距離とし、袋体部2がないケースでは、錘部4Aの下面から水面Wまでの距離とした。
図5には、落下高さh=2cmで、袋体部なしの錘部4Aの計測結果の一例を示した。
袋体部なしの錘部4Aでは、衝撃揚圧力がピークに達するまでの時間は、約0.001sのオーダーとなった。要するに、0.0025s過ぎから圧力の上昇が始まり、0.0035sあたりで圧力はピークに達している。
これに対して図6には、落下高さh=2cmで、袋体部2ありの錘部4の計測結果の一例を示した。袋体部2ありの錘部4では、衝撃揚圧力がピークに達するまでの時間は、約0.01sのオーダーとなった。要するに、0.01s過ぎから圧力の上昇が始まり、0.03sの手前で圧力はピークに達している。
このように袋体部2を取り付けることによって、衝撃揚圧力がピークに達するまでの時間を10倍に引き延ばすことができた。さらに、衝撃揚圧力のピークは、袋体部2を取り付けることによって、1/10のオーダーに低減している。
2つの実験結果の力積(力×作用時間)を考えると、両者は同じオーダーになっているので、この点から実験の妥当性が確認できる。そして、袋体部2を取り付けることによって、揚圧力が作用し始めても袋体部2が膨張しきって錘部4に応力を発生させるまでに時間を要し、それと反比例して衝撃揚圧力を低下(最大圧力のピークが1/10)させることができる効果があることが確認できた。
図7には、各実験ケースで得られた最大圧力を整理して図示した。つまり、落下高さhが高いほど波等によって作用する揚圧力が大きいことを模擬的に示している。「袋体部あり」についてはh=1,2,5cmの3種類の試験を行ったが、衝撃圧は2000Pa−3000Pa程度であり、「袋体部なし」のh=1cmの1/3以下であった。なお、「袋体部なし」の実験結果がh=2cmまでしか無い理由は、h=5cmでは圧力センサ41の最大値に達し、最大圧力が計測できなかったためである。
この実験結果を比較した図を見れば、袋体部2を取り付けることによって、作用する衝撃揚圧力を大幅に低減できることは明らかである。一方、図8には、モデル化した取放水路1に対してこれまでに行った水理模型実験の結果を併せて図示している。
比較とした水理模型実験は、想定模型縮尺1/30、模型全長460cm、水路断面が1辺15cmの正方形断面、2箇所の立坑(開口10cm×15cm)、水路天端(圧力計取付位置)までの高さが水路底部より25cmの取水路模型を使って行った。実験は、この取水路模型の水路内の水深を17cmにし、チャンバー式津波造波装置により津波を発生させ、造波パターン(津波高さが実スケールで3m−22m)を変化させて行った。そして、実験によって得られた結果を、水路天端に作用した衝撃圧の大きさで3本の近似曲線(衝撃圧1(最小値),衝撃圧2(平均値),衝撃圧3(最大値))として示した。
この既往の実験ケース(衝撃圧1−3)の結果は、「袋体部なし」の結果に相当し、今回行った「袋体部なし」の実験結果も、ほぼ同じ傾向を示し、特に衝撃圧1に近い傾向を示している。すなわち自由落下による「袋体部なし」の実験結果は、別に実施した水理模型実験の結果と類似することが確認できたので、「袋体部あり」の実験結果についても、水理試験結果として適用できる。
なお、この他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
次に、前記実施の形態で説明した揚圧力低減構造とは別の形態について、図9を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語や同一符号を付して説明する。
本実施例2で説明する揚圧力低減構造は、海岸近くに建てられるビル、マンション、倉庫などの建物5に設けられる。この建物5には、エレベータホール、階段ホール、車庫、店舗、収容空間などの開放部51が地上階に設けられている。
この開放部51には、津波や高潮などが起きると、遡上した海水が流入するおそれがある。そして、遡上した海水の水面Wが上昇すると、開放部51の構造物面となる天井面52には、(衝撃)揚圧力が作用することになる。
一方、天井面52は、化粧板53で覆われている場合がある。化粧板53は、天井面52からつり材54,・・・によってつり下げられており、袋体部2を天井面52に取り付ける作業は、狭い空間で行われることになる。
このような狭い空間にも、折り畳まれた袋体部2であれば、容易に運び込むことができる。また、天井面52にフック31,・・・を固定する作業であれば、大掛かりな装置や工具を必要としないので、狭い空間でも実施することができる。
さらに、折り畳まれた状態の袋体部2は、連通口21から空気を注入することによって、天井面52と化粧板53との間という狭い空間でも容易に膨張させることができる。
また、複数の袋体部2,・・・が天井面52に取り付けられた後でも、可撓性のある素材に空気を充填しただけの袋体部2,2間であれば、掻き分けるなどして容易に通り抜けることができるので、施工性に優れている。
さらに、必要に応じて、一旦つり下げられた袋体部2は、容易に取り外すことができる。また、袋体部2の連通口21から内空部22の空気を抜いて折り畳むことができるので、狭い空間に置かれても邪魔にならず、作業空間を確保することができる。
なお、この他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
次に、前記実施の形態で説明した揚圧力低減装置とは別の形態について、図10−図12を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1,2で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語や同一符号を付して説明する。
前記実施の形態及び実施例1,2では、衝撃揚圧力は主に下方から上方という上下方向で作用することを前提にして説明を行った。これに対して、図10に示すように、側方からの波圧が先行して作用することもある。
この側方からの波圧によって袋体部6が縮小してしまうと、揚圧力に対して効果的に作用できなくなるおそれがある。このような事態を避けるための袋体部6,7の構成について、本実施例3では説明する。
まず、図11に示した袋体部6は、内空部が区画壁62,・・・によって4つの空間に区切られている。そして、各区画に気体を充満させるために、下面6aには、各区画の内外を連通させる穴としての連通口61,・・・がそれぞれ穿孔される。
このように各区画が完全に区切られていれば、側方から波圧が作用してもその区画だけが収縮し、他の区画の膨張状態を維持させることができる。また、図12に示すような袋体部7の構成とすることもできる。
この袋体部7は、袋体部6と同様に内空部が区画壁72,・・・によって4つの空間に区切られている。しかしながら気体を注入するために下面7aに穿孔される穴としての連通口71は、一つの区画に対してだけ設けられる。
そして、連通口71が設けられた区画とその他の区画とは、区画壁72,・・・にそれぞれ穿孔された連通穴73,・・・によって繋がっている。このため、連通口71から注入された空気を、各区画に充満させることができる。
一方、側方から波圧が作用した場合は、連通口71がない区画側であれば、空気は連通穴73を介して側方移動した後に連通口71から排出されることになるので、各区画の収縮を抑えたり遅らせたりすることができる。
このような構成の袋体部6,7とすることで、側方から波圧を受けるような場所に袋体部6,7が設置されても、収縮を抑えて揚圧力に対して効果的に低減機能を発揮させることができる。
なお、この他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
次に、前記実施の形態で説明した揚圧力低減装置及び揚圧力低減構造とは別の形態について、図13及び図14を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1−3で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語や同一符号を付して説明する。
本実施例4では、構造物面から下方に向けて突出された突出部を囲繞させる揚圧力低減構造について説明する。例えば前記実施の形態で説明したように、ポンプ室11には、水路天端12の下面12aから下方に向けて突出された配管14が設けられている。
この柱状の突出部である配管14は、水路天端12を貫通させて取り付けられており、津波等によって下面12aが衝撃揚圧力を受けるような状態になると、配管14の周囲から水路天端12上方に水が噴き出したり、配管14が破損したりする可能性がある。
そこで、揚圧力低減装置によって、円筒状の配管14の周囲を環状に囲むようにして保護する。このため、本実施例4の揚圧力低減装置を構成する袋体部8は、円筒を複数に分割した円弧板状に形成される。
ここで、円筒の分割数は任意に設定することができるが、実施例4では、図14に示すように、平面視で円環を4分割した場合について説明する。この袋体部8の上面8bには、つり下げ部3となるつり輪32が取り付けられ、下面8aには、内外を連通させる穴としての連通口81が穿孔される。
さらに、周方向の側端面8c,8cには、面ファスナーなどの接続部82が設けられる。すなわち、円弧板状の袋体部8は、配管14の外周に沿ってつり下げ部3によってつり下げ、連通口81から空気を取り込んで充満させることができるが、それだけでは各袋体部8,・・・を衝撃揚圧力に対して一体に挙動させることができない。
そこで、周方向に隣接させた袋体部8,8間を接続部82を介して繋げ、円筒状に形成された袋体部8,・・・群からなる揚圧力低減構造によって、配管14の外周を囲繞させる。
このように水面Wに対向する水路天端12の下面12aから下方に向けて突出された配管14などのような突出部が存在していても、その形状に合わせた袋体部8,・・・を取り付けることで、作用する衝撃揚圧力を低減させることができる。
なお、この他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態及び実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例では、直方体状の袋体部2,6,7について説明したが、これに限定されるものではなく、円柱状、球体状、楕円球体状など様々な形態の袋体部に成形することができる。
また、前記実施の形態では、取付手段及びつり下げ部3として、フック31とつり輪32とによる構成を例に説明したが、これに限定されるものではなく、様々な形態の取付手段を適用することができる。例えば、袋体部の内空部に連通されない縁部を、下面12aに直接、接合させるためのドリルねじを取付手段とすることができる。
さらに、前記実施の形態及び実施例では、袋体部2,6,7,8の下面2a,6a,7a,8aに連通口21,61,71,81を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、袋体部の側面や上面や下面などの一面又は複数の面に内外を連通させる穴を設けることもできる。
また、前記実施の形態又は実施例2では、水路天端12の下面12a又は天井面52の略全面を覆うように袋体部2,・・・を設置する構成について説明したが、これに限定されるものではなく、揚圧力が作用しやすい箇所や揚圧力に対して弱部となりやすい箇所のみに、部分的に袋体部2が取り付けられた揚圧力低減構造とすることもできる。
さらに、前記実施の形態及び実施例では、海水が浸入する場合について主に説明したが、これに限定されるものではなく、河川の洪水に伴う波や流れによって揚圧力が作用するような場合にも低減効果を発揮させることができる。
12a 下面(構造物面)
14 配管(突出部)
2 袋体部
2a 下面
2b 上面
21 連通口(穴)
3 つり下げ部(取付手段)
32 つり輪(つり下げ部材)
52 天井面(構造物面)
6,7,8 袋体部
6a,7a,8a 下面
61,71,81 連通口(穴)
W 水面

Claims (6)

  1. 水が浸入する空間を有する構造物用の揚圧力低減装置であって、
    気体が充満された袋体部と、
    前記袋体部を前記構造物に取り付けるための取付手段と、を備えたことを特徴とする揚圧力低減装置。
  2. 前記袋体部には、前記袋体部の内外に連通する穴が少なくとも下面に設けられており、
    前記袋体部の上面には前記取付手段を構成するつり下げ部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の揚圧力低減装置。
  3. 前記袋体部の内空は、複数に区画されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の揚圧力低減装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の揚圧力低減装置が設置された水が浸入する構造物に設けられた揚圧力低減構造であって、
    複数の前記袋体部が、浸入する水面に対向する構造物面に取り付けられていることを特徴とする揚圧力低減構造。
  5. 前記構造物面には、下方に向けて突出された突出部が設けられており、前記突出部を囲繞して前記袋体部が取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の揚圧力低減構造。
  6. 請求項2に記載の揚圧力低減装置の設置方法であって、
    前記袋体部を折り畳んだ状態で水が浸入する構造物面の下方まで搬送する工程と、
    前記袋体部の上部を前記取付手段を介して前記構造物面に取り付ける工程と、
    前記袋体部に前記穴から気体を注入又は流入させて膨張させる工程と、を備えたことを特徴とする揚圧力低減装置の設置方法。
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