JP2017071824A - 銀粉の製造方法、及びそれを用いた導電性ペーストの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた導電性を確保しつつ、導電性ペースト等の用途として好適に利用することができる銀粉の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る銀粉の製造方法は、銀イオンと、添加剤とを含有する電解液を用いて電解を行うことにより陰極上に銀粉を析出させる工程を有するものであり、添加剤としては、アミン化合物とノニオン界面活性剤のいずれか一方あるいはその両方であり、そのアミン化合物は、フェナジン構造を有する化合物、アゾベンゼン構造を有する化合物、及びフェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物から選択される1種又は2種以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性ペースト等の材料として用いられる銀粉の製造方法に関するものであり、より詳しくは、導電性を改善させることのできる銀粉の製造方法及びそれを用いた導電性ペーストの製造方法に関する。
電子機器における配線層や電極等の形成には、樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストのような銀ペーストが多用されている。これらの銀ペーストは、塗布又は印刷した後、加熱硬化あるいは加熱焼成されることによって、配線層や電極等となる導電膜を形成する。
例えば、樹脂型銀ペーストは、銀粉、樹脂、硬化剤、溶剤等からなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷され、100℃〜200℃で加熱硬化されて導電膜となり、配線や電極を形成する。また、焼成型銀ペーストは、銀粉、ガラス、溶剤等からなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷され、600℃〜800℃に加熱焼成されて導電膜となり、配線や電極を形成する。これらの銀ペーストにより形成された配線や電極では、銀粉が連なることで電気的に接続した電流パスが形成される。
樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストに使用される銀粉としては、主として、球状銀粉末、粒状銀粉、樹枝状銀粉、あるいは鱗片状、板状、扁平状等の形状を有するフレーク状の銀粉が、その用途や目的に応じて使用される。
このうちフレーク状の銀粉は、導体ペーストの塗布適性や塗布形状の調整、導電性や焼結性の制御等に優れた効果が得られることが知られている。そして、近年の急速な電子部品の小型化、高性能化に伴い、高精細な導体パターンや薄く緻密な電極を精度よく形成する技術が要求され、そのため、微細なフレーク状銀粉が求められており、特に平均粒径が50μm以下で、高純度なフレーク状銀粉の要求が高まっている。
ここで、フレーク状銀粉の製造方法としては、液相還元法やアトマイズ法によって得られた球状や粒状の銀粉をボールミルやスタンプミル等の塑性変形による機械加工で扁平化する方法がある。例えば特許文献1には、球状銀粉を、所定粒径のメディアビーズをビーズミル内で混合攪拌することで、その球状銀粉の粒子を塑性変形させてフレーク化する方法が開示されている。具体的には、球状銀粉を溶媒中に分散させて銀スラリーを生成し、これに粒径0.1mm〜0.5mmのメディアビーズをビーズミル内に入れて混合攪拌することにより銀粒子を塑性変形させてフレーク銀粒子を作製し、フレーク化が終了したスラリーとメディアビーズとを分離してフレーク銀粉のみを回収し、回収したフレーク銀粉を洗浄し乾燥させてフレーク銀粉を得る方法が開示されている。
このような、ビーズミル等で混合攪拌して球状銀粉の粒子を塑性変形させフレーク化する方法は、容易に扁平化することが可能であるが、原料粉末が凝集した状態で加工されると、加工時に銀粒子同士が押し付けられて結合し粗大になるといった問題が発生する。そのため、特許文献1には、球状の銀粉を有機溶媒中に分散させてから塑性変形させることが開示されており、その有機溶媒としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類が適当であるとしている。
しかしながら、球状の銀粉を完全に分散させることは困難であり、また分散していても銀粉同士がぶつかり、メディアビーズによって粒子同士が結合することを防止することは難しい。それにより、厚みや大きさが不揃いになるといったことや、未粉砕粒子が残り易いといった問題が発生する。
また、このような機械加工では、銀粉表面の酸化が進行し易くなり、また、分散剤として使用している有機溶媒や扁平化に使用するジルコニアボール、ステンレスボール等のメディアビーズの材料が不純物として銀粉中に混入し易いという問題も発生する。
そこで、上述した塑性変形による扁平化方法の改良として、湿式の化学還元法で直接フレーク状銀粉末を製造することが検討されている。例えば特許文献2においては、硝酸銀水溶液とL−アスコルビン酸とを混合して銀粒子を析出する際に、ポリアクリル酸アンモニウムを添加することにより、粒状銀粉末を機械的に偏平化する工程を経ることなく、鱗片状のフレーク状銀粉末を得る技術が開示されている。しかしながら、この特許文献2にも記載されている通り、各鱗片の寸法は、平均で10μm〜30μmであり、微細回路の形成には適していない。
一方、デンドライト状と呼ばれる樹枝状に析出した電解銀粉が知られている。電解法は、高電流密度での操業が可能であるため生産性の高いものであり、工業的に求められる生産効率の観点では非常に優れたものである。しかしながら、電解法で生成されるデンドライト状銀粉は、電流密度と電解時間との相関の制御が困難であり、粒径も粗粒となり、粒度分布も広くなりやすい。そのため、これを銀ペーストに加工しようとしたとき、有機ビヒクルとの混練性能に劣ってしまい、しかもこのような粗粒の銀粉を含む樹枝型銀ペーストを用いて回路形成すると、加熱温度が300℃以下という非焼成若しくは低温焼結型の用途に適用される低温領域では、高い焼結性能を得ることができない。さらに、形成した回路の表面は荒れたものとなり、現在の微細回路の要求を満たすことは不可能となる。
そのため、微細な粒径を有する樹枝状の銀粉を製造することができれば、有機ビヒクルとの混合性能に優れるものとなり、その銀ペーストを用いて回路形成することで、加熱温度が300℃以下という低温領域であっても十分に高い焼結性能を得ることができることになる。さらに、焼結して得られた回路の表面は滑らかなものとなり、現在の微細回路の要求を満たすものになることが期待できる。
そこで、特許文献3では、硝酸銀溶液と還元剤とを反応させて、微細な粒径を有する樹枝状の銀粉を製造する方法が開示されている。この方法では、硝酸銀溶液に還元剤としてL−アスコルビン酸とイソアスコルビン酸とを添加し、硝酸銀溶液を十分に攪拌しつつ一括で還元剤を添加している。
しかしながら、この特許文献3に開示されるような、硝酸銀溶液に還元剤を添加して反応させる方法であっても、デンドライト状の銀粉のみを作製制御することは困難であり、デンドライト状の銀粉とそれ以外の銀粉とが混在するという問題がある。なお、この特許文献3においても、還元剤を緩やかに添加すると、生成する粉粒の形状がデンドライト状ではなく球状となる傾向が強くなるため、硝酸銀溶液を十分に攪拌しつつ一括で還元剤を添加することが重要であることが記載されている。
特開2007−254845号公報 特開2000−239713号公報 特開2013―144829号公報
本発明は、上述したような事情に鑑みて提案されたものであり、フレーク状形状と樹枝状形状の両形状の効果を併せもつ微細な銀粉であり、優れた導電性を確保しつつ、導電性ペースト等の用途として好適に利用することができる銀粉の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するための鋭意検討を重ねた。その結果、銀イオンと、特定の添加剤とを含有する電解液を用いた電解法により、樹枝状に成長した主幹とその主幹から分かれた複数の枝を有する形状を有し、さらに複数の枝の間に銀粒子が成長して平板状の形状となり、その平板状の形状の断面平均厚さが特定の範囲である樹枝状銀粉が得られることが分かった。このような樹枝状銀粉では、優れた導電性を確保しつつ、例えば樹脂と均一に混合させることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、銀イオンと、アミン化合物とを含有する電解液を用いて電解を行うことにより陰極上に銀粉を析出させる工程を有し、前記アミン化合物は、下記式(1)で表されるフェナジン構造を有する化合物、下記式(2)で表されるアゾベンゼン構造を有する化合物、及び下記式(3)で表される、フェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする銀粉の製造方法である。
[式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基であり、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、−O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択された基であり、Aがハライドアニオンである。]
[式(2)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基である。]
[式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基であり、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基であり、Aがハライドアニオンである。]
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記電解液における前記アミン化合物の濃度が0.1mg/L〜500mg/Lである、銀粉の製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、銀イオンと、ノニオン界面活性剤とを含有する電解液を用いて電解を行うことにより陰極上に銀粉を析出させることを特徴とする銀粉の製造方法である。
(4)本発明の第4の発明は、銀イオンと、アミン化合物と、ノニオン界面活性剤とを含有する電解液を用いて電解を行うことにより陰極上に銀粉を析出させる工程を有し、前記アミン化合物は、下記式(1)で表されるフェナジン構造を有する化合物、下記式(2)で表されるアゾベンゼン構造を有する化合物、及び下記式(3)で表される、フェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする銀粉の製造方法である。
[式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基であり、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、−O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択された基であり、Aがハライドアニオンである。]
[式(2)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基である。]
[式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基であり、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基であり、Aがハライドアニオンである。]、銀粉の製造方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記電解液における前記アミン化合物の濃度が0.1mg/L〜500mg/Lである、銀粉の製造方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第3乃至第5のいずれかの発明において、前記ノニオン界面活性剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、プルロニック型界面活性剤、テトロニック型界面活性剤、ポリオキシエチレングリコール・グリセリンエーテル、ポリオキシエチレングリコール・ジアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール・アルキルエーテル、芳香族アルコールアルコキシレート、及び下記(x)式で表される高分子化合物からなる群から選択される種又は2種以上である、銀粉の製造方法である。
[式(x)中、Rは、炭素数5〜30の高級アルコールの残基、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルフェノールの残基、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルナフトールの残基、炭素数3〜25の脂肪酸アミドの残基、炭素数2〜5のアルキルアミンの残基、又は水酸基を示す。また、R及びRは、水素原子又はメチル基を示す。また、m及びnは、1〜100の整数を示す。]
(7)本発明の第7の発明は、第3乃至第6のいずれかの発明において、前記電解液における前記ノニオン界面活性剤の濃度が1mg/L〜10,000mg/Lである、銀粉の製造方法である。
(8)本発明の第8の発明は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記電解液を用いた電解により析出される銀粉は、樹枝状に成長した主幹と該主幹から分かれた複数の枝を有する形状を有し、該複数の枝の間には銀粒子が成長して平板状の形状となり、その平板状の形状の断面平均厚さが0.02μm〜2.0μmである、銀粉の製造方法である。
(9)本発明の第9の発明は、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記電解液を用いた電解により析出される銀粉は、平均粒子径(D50)が0.5μm〜50μmであり、BET比表面積が0.2m/g〜4.5m/gである、銀粉の製造方法である。
(10)本発明の第10の発明は、第1乃至第9のいずれかの発明において、前記電解液を用いた電解により析出される銀粉は、嵩密度が0.5g/cm〜6.0g/cmである、銀粉の製造方法である。
(11)本発明の第11の発明は、銀粉を樹脂に混合させて導電性ペーストを得る導電性ペーストの製造方法であって、前記銀粉全量のうち、前記請求項1乃至10のいずれかに記載の製造方法により得られる銀粉を20質量%以上の割合で含有させることを特徴とする導電性ペーストの製造方法である。
本発明によれば、接点を多く確保することができるとともに接触面積を大きくとることができ、優れた導電性を確保し、また凝集を防止して導電性ペーストや電磁波シールド等の用途に好適に利用することができる銀粉を製造することができる。
樹枝状銀粉の具体的な形状の一例を模式的に示した図である。 樹枝状銀粉を走査電子顕微鏡(SEM)により倍率5,000倍で観察したときの観察像を示す写真図である。 樹枝状銀粉を走査電子顕微鏡(SEM)により倍率10,000倍で観察したときの観察像を示す写真図である。 樹枝状銀粉を走査電子顕微鏡(SEM)により倍率5,000倍で観察したときの観察像を示す写真図である。 比較例1にて得られた銀粉を走査電子顕微鏡(SEM)により倍率5,000倍で観察したときの観察像を示す写真図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。なお、本明細書にて、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.銀粉≫
本実施の形態に係る銀粉は、樹枝状に成長した主幹とその主幹から分かれた複数の枝を有する形状をなし、複数の枝の間には銀粒子が成長して平板状の形状となり、その平板状の形状の断面平均厚さが0.02〜2.0μmとなる。
本実施の形態に係る銀粉は、その平均粒子径(D50)が0.5μm〜50μmである。また、好ましくは、BET比表面積が0.2m/g〜4.5m/gの範囲であり、嵩密度が0.5g/cm〜6g/cmの範囲である。
図1は、本実施の形態に係る銀粉の具体的な形状を示した模式図である。この図1の模式図に示すように、本実施の形態に係る銀粉1は、2次元又は3次元の形態である樹枝状の形状をもつ銀粉(以下、本実施の形態に係る銀粉を「樹枝状銀粉」ともいう)である。より具体的に、この樹枝状銀粉1は、樹枝状に成長した主幹2と、その主幹2から分かれた複数の枝を有する形状の銀粉であり、その主幹2及び主幹2から分岐した枝3は平板状の銀粒子が集合して構成され、その複数の枝3の間に銀粒子が成長して平板状の形状となっている。そして、平板状の形状を有する樹枝状銀粉1は、その断面平均厚さが0.02μm〜2.0μmであり、銀粒子から構成される樹枝状銀粉1の平均粒子径(D50)が0.5μm〜50μmである。なお、この樹枝状銀粉1における枝3は、主幹2から分岐した枝3aと、その枝3aからさらに分岐した枝3bの両方を意味する。
詳しくは後述するが、本実施の形態に係る樹枝状銀粉1は、銀イオンと、特定の添加剤とを含有する電解液を用いた電解法により、陰極上に析出させて製造することができる。
ここで、図2〜図4は、本実施の形態に係る樹枝状銀粉1を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した観察像の一例を示す写真図である。この図2の写真図に示すように、銀粉1は、主幹とその主幹から分岐した枝とを樹枝状の形状を有し、2次元又は3次元状に銀粒子が成長して平板状の形状となっている。なお、図2〜図4の写真図に示す樹枝状銀粉1は、電解液中にフェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物であるヤヌスグリーンBを添加して陰極上に析出させて得られた銀粉である。
このように、本実施の形態に係る樹枝状銀粉1は、樹枝状に成長した主幹2とその主幹2から分かれた複数の枝3を有する形状をなし、複数の枝の間には銀粒子が成長して平板状の形状となる。このことにより、その主幹2や枝3を構成する銀粒子同士、また樹枝状銀粉1同士が接触する面積を大きく確保することができ、その接触面積が大きくなることで、低抵抗、すなわち高導電率を実現することができる。したがって、このような樹枝状銀粉1によれば、より導電性に優れ、またその導電性を良好に維持することができ、導電塗料や導電性ペーストの用途に好適に用いることができる。また、樹枝状銀粉1が平板状の形状となっていることにより、配線材等の薄型化にも貢献することができる。
また、本実施の形態に係る樹枝状銀粉1は、その平均粒子径(D50)が0.5μm〜50μmである。このような平均粒子径の銀粉であることにより、BET比表面積が大きくなり、良好な成形性や焼結性を確保することができる。なお、平均粒子径(D50)は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定することができる。
また、本実施の形態に係る樹枝状銀粉1は、好ましくは、そのBET比表面積が0.2m/g〜4.5m/gである。BET比表面積が0.2m/g未満であると、上述したような形状とはならない可能性があり、高い導電性が得られないことがある。一方で、BET比表面積が4.5m/gを超えると、凝集が生じやすくなってペースト化に際して樹脂中に均一に分散させることが困難となる。なお、BET比表面積は、JIS Z8830:2013に準拠して測定することができる。
さらに、本実施の形態に係る樹枝状銀粉1は、好ましくは、その嵩密度が0.5g/cm〜6.0g/cmの範囲であることが好ましい。嵩密度が0.5g/cm未満であると、銀粉同士の接点を十分に確保することができない可能性がある。一方で、嵩密度が6.0g/cmを超えると、銀粉の平均粒子径も大きくなり、BET比表面積が小さくなって成形性や焼結性が悪化することがある。
≪2.銀粉の製造方法≫
次に、上述した特徴的な形状を有する銀粉1の製造方法について説明する。
本実施の形態に係る樹枝状銀粉1は、銀イオンと、特定の添加剤とを含有する電解液を用いた電解を行うことにより製造することができる。より具体的には、例えば、シアン銀イオンを含有するアルカリ性の電解液やシアンを含有しない非シアン系の電解液を用い、その電解液に特定の添加剤を加えて、電解により陰極上に銀粉を析出させて製造できる。
電解に際しては、例えば、金属銀を陽極(アノード)とし、ステンレス板やチタン板等を陰極(カソード)として設置した電解槽中に、上述したシアン銀イオンを含有するアルカリ性の電解液を収容し、その電解液に所定の電流密度で直流電流を通電することによって電解処理を施す。これにより、通電に伴って陰極上に樹枝状銀粉1を析出(電析)させることができる。特に、本実施の形態においては、電解により得られた粒状等の銀粉をボール等の媒体を用いて機械的に塑性変形するといった処理を行うことなく、その電解のみによって、樹枝状銀粉1を陰極表面に析出させることができる。
[電解液]
電解液としては、上述したように、シアン銀イオンを含有するシアン系溶液や、シアンを含有しない非シアン系溶液を用いることができる。
シアン系電解液としては、例えば、シアン化銀カリウムと、炭酸カリウムとを含む溶液に、遊離シアンと添加剤とを含有させたものを用いることができる。遊離シアンは、銀アノードの溶解に必要な成分であり、シアン化カリウム又はシアン化ナトリウムを使用することができる。また、電解液組成としては、所望とする銀粉の形状や電解条件によって適宜設定することができるため特に限定されないが、銀イオン濃度が1g/L〜20g/L程度、遊離シアン化カリウム濃度が10g/L〜150g/L程度、炭酸カリウム濃度が5g/L〜20g/L程度とすることができる。
非シアン系電解液としては、シアンを含まない銀イオンと、ハロゲン化物イオンと含む溶液に、結晶調整剤や錯化剤、導電塩等を含有させたものを用いることができる。
ここで、シアンを含まない銀イオン源としては、硝酸銀、硫酸銀、酸化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀等が挙げられ、電解液中における銀イオン濃度としては、0.01g/L〜100g/L程度とすることが好ましく、より好ましくは0.1g/L〜50g/Lとし、さらに好ましくは1g/L〜20g/Lとする。電解液中の銀イオン濃度が低すぎると、電析効率が著しく低下し、一方で濃度が高すぎると、析出する銀粉の形状を制御できなくなる可能性がある。
ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。これらハロゲン化物イオンのカチオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。電解液中におけるハロゲン化物イオン濃度としては、1g/L〜600g/L程度とすることが好ましく、より好ましくは50g/L〜400g/Lとし、さらに好ましくは100g/L〜200g/Lとする。電解液中のハロゲン化物イオン濃度が低すぎると、析出する銀粉の形状制御が安定せず、一方で濃度が高すぎると、耐食性が劣る。
結晶調整剤としては、例えば、亜セレン酸カリウム、セレノシアン酸カリウム、セレン酸カリウム、チオシアン酸カリウム、スルファミン酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ゼラチン、トリエタノールアミン、チオ尿素、アラビアゴム等が挙げられ、これらを1種単独で、または2種以上を併せて用いることができる。結晶調整剤の添加量としては、電解液中で0.01g/L〜50g/L程度となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.1g/L〜20g/Lとし、さらに好ましくは1g/L〜10g/Lとする。
錯化剤としては、公知の錯化剤を使用することができる。例えば、グリシン等のアミノ酸、クエン酸ナトリウムやクエン酸アンモニウム等のクエン酸塩、乳酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルコン酸等のナトリウム塩もしくはアンモニウム塩やエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸及びN ,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ニトリロ三酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、グリシン、イミダゾール、ヒダントイン、ピロリドン、コハク酸イミド等のN含有化合物、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール等のイミダゾール類、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、サリチル酸、アンモニア等が挙げられる。錯化剤の添加量としては、電解液中で1g/L〜500g/L程度となるようにすることが好ましく、より好ましくは5g/L〜400g/Lとし、さらに好ましくは10g/L〜300g/Lである。
導電塩としては、例えば、ホウ酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、有機酸、有機アミン等が挙げられ、これらを適宜加えることができる。
また、析出させる銀粉の光沢(銀表面の平滑性)を向上させるために、電解液中に界面活性剤を含有させてもよい。具体的に、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルアミンポリエチレンオキサイド等の非イオン系界面活性剤が好ましい。
[添加剤]
本実施の形態に係る銀粉の製造方法においては、上述した銀イオンを含有するシアン系電解液又は非シアン系電解液に、特定の添加剤を含有させて電解を行うことが重要となる。具体的に、添加剤として、アミン化合物とノニオン界面活性剤のいずれか一方を含有させる。また、添加剤として、アミン化合物とノニオン界面活性剤との両方を含有させる。
これらのアミン化合物やノニオン界面活性剤は、析出する銀粉の形状制御に寄与し、陰極表面に析出させる銀粉を、銀粒子から構成される樹枝状形状であって、その銀粒子が成長して平板状の形状となったものにすることができ、さらに、特定の平均粒子径とBET比表面積を有する銀粉とすることができる。
(1)アミン化合物
具体的に、アミン化合物としては、特に限定されないが、フェナジン構造を有する化合物、アゾベンゼン構造を有する化合物、及びフェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物からなる群から選択されるいずれかの化合物を1種類、あるいはその群から選択される分子構造の異なる化合物を2種類以上併せて用いることが好ましい。
フェナジン構造を有する化合物、アゾベンゼン構造を有する化合物、フェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤の電解液中の濃度としては、添加する化合物の合計で0.1mg/L〜500mg/Lとすることが好ましく、1mg/L〜400mg/Lとするのがより好ましい。なお、アミン化合物の添加量は、所望の平均粒子径やBET比表面積に応じて適宜調整すればよい。
(フェナジン構造を有する化合物)
フェナジン構造を有する化合物は、下記式(1)によって表わすことができる。本実施の形態においては、下記式(1)で表されるフェナジン構造を有する化合物の1種又は2種以上を添加剤として含有させることができる。
ここで、式(1)中において、R、R、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基である。また、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、−O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基である。また、Aは、ハライドアニオンである。
具体的に、フェナジン構造を有する化合物としては、例えば、5−メチルフェナジン−5−イウム、エルギノシンB、アエルギノシンA、5−エチルフェナジン−5−イウム、3,7−ジアミノ−5−フェニルフェナジン−5−イウム、5−エチルフェナジン−5−イウム、5−メチルフェナジン−5−イウム、3−アミノ−5−フェニル−7−(ジエチルアミノ)フェナジン−5−イウム、2,8−ジメチル−3,7−ジアミノ−5−フェニルフェナジン−5−イウム、1−メトキシ−5−メチルフェナジン−5−イウム、3−アミノ−7−(ジメチルアミノ)−1,2−ジメチル−5−(3−スルホナトフェニル)フェナジン−5−イウム、1,3−ジアミノ−5−メチルフェナジン−5−イウム、1,3−ジアミノ−5−フェニルフェナジン−5−イウム、3−アミノ−7−(ジエチルアミノ)−2−メチル−5−フェニルフェナジン−5−イウム、3,7−ビス(ジエチルアミノ)−5−フェニルフェナジン−5−イウム、2,8−ジメチル−3,7−ジアミノ−5−(4−メチルフェニル)フェナジン−5−イウム、3−(メチルアミノ)−5−メチルフェナジン−5−イウム、3−ヒドロキシ−7−(ジエチルアミノ)−5−フェニルフェナジン−5−イウム、5−アゾニアフェナジン、1−ヒドロキシ−5−メチルフェナジン−5−イウム、4H,6H−5−フェニル−3,7−ジオキソフェナジン−5−イウム、アニリノアポサフラニン、フェノサフラニン、ニュートラルレッド等が挙げられる。
(アゾベンゼン構造を有する化合物)
アゾベンゼン構造を有する化合物は、下記式(2)によって表わすことができる。本実施の形態においては、下記式(2)で表されるアゾベンゼン構造を有する化合物の1種又は2種以上を添加剤として含有させることができる。
ここで、式(2)中において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基である。
具体的に、アゾベンゼン構造を有する化合物としては、例えば、アゾベンゼン、4−アミノアゾベンゼン−4’−スルホン酸、4−(ジメチルアミノ)−4’−(トリフルオロメチル)アゾベンゼン、C.I.アシッドレッド13、マーキュリーオレンジ、2’,4’−ジアミノ−5’−メチルアゾベンゼン−4−スルホン酸ナトリウム、メチルレッド、メチルイエロー、メチルオレンジ、アゾベンゼン−2,4−ジアミン、アリザリンイエローGG、4−ジメチルアミノアゾベンゼン、オレンジI、サラゾスルファピリジン、4−(ジエチルアミノ)アゾベンゼン、オレンジOT、3−メトキシ−4−アミノアゾベンゼン、4−アミノアゾベンゼン、N,N,2−トリメチルアゾベンゼン−4−アミン、4−ヒドロキシアゾベンゼン、スダンI、4−アミノ−3,5−ジメチルアゾベンゼン、N,N−ジメチル−4−[(キノリン−6−イル)アゾ]ベンゼンアミン、o−アミノアゾトルエン、アリザリンイエローR、4’−(アミノスルホニル)−4−ヒドロキシアゾベンゼン−3−カルボン酸、コンゴーレッド、バイタルレッド、メタニルイエロー、オレンジII、ディスパースオレンジ3、C.I.ダイレクトオレンジ39、2,2’−ジヒドロキシアゾベンゼン、アゾベンゼン−4,4’−ジオール、ナフチルレッド、5−フェニルアゾベンゼン−2−オール、2,2’−ジメチルアゾベンゼン、C.I.モルダントイエロー12、モルダントイエロー10、アシッドイエロー、ディスパースブルー、ニューイエローRMF、ビストラミンブラウンG等が挙げられる。
(フェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物)
フェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物は、下記式(3)によって表わすことができる。本実施の形態においては、下記式(3)で表されるフェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物の1種又は2種以上を添加剤として含有させることができる。
ここで、式(3)中において、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基である。また、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基である。また、Aは、ハライドアニオンである。
具体的に、フェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物としては、例えば、3−(ジエチルアミノ)−7−[(4−ヒドロキシフェニル)アゾ]−2,8−ジメチル−5−フェニルフェナジン−5−イウム、3−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アゾ]−7−(ジエチルアミノ)−5−フェニルフェナジン−5−イウム、ヤヌスグリーンB、3−アミノ−7−[(2,4−ジアミノフェニル)アゾ]−2,8−ジメチル−5−フェニルフェナジン−5−イウム、2,8−ジメチル−3−アミノ−5−フェニル−7−(2−ヒドロキシ−1−ナフチルアゾ)フェナジン−5−イウム、3−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アゾ]−7−(ジメチルアミノ)−5−フェニルフェナジン−5−イウム、3−アミノ−7−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アゾ]−5−フェニルフェナジン−5−イウム、2−(ジエチルアミノ)−7−[4−(メチルプロパルギルアミノ)フェニルアゾ]−9−フェニル−9−アゾニア−10−アザアントラセン、2−(ジエチルアミノ)−7−[4−(メチル4−ペンチニルアミノ)フェニルアゾ]−9−フェニル−9−アゾニア−10−アザアントラセン、2−(ジエチルアミノ)−7−[4−(メチル2,3−ジヒドロキシプロピルアミノ)フェニルアゾ]−9−フェニル−9−アゾニア−10−アザアントラセン等が挙げられる。
(2)ノニオン界面活性剤
ノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、エーテル基を有する界面活性剤であることが好ましく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、プルロニック型界面活性剤、テトロニック型界面活性剤、ポリオキシエチレングリコール・グリセリンエーテル、ポリオキシエチレングリコール・ジアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール・アルキルエーテル、芳香族アルコールアルコキシレート、後述する下記(x)式で表される高分子化合物等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤の数平均分子量としては、特に限定されないが、100〜200,000であることが好ましく、200〜15,000であることがより好ましく、1,000〜10,000であることがさらに好ましい。数平均分子量が100未満の界面活性剤であると、樹枝状を呈しない微細な電解銀粉が析出される可能性がある。一方で、数平均分子量が200,000を超える界面活性剤であると、平均粒子径の大きな電解銀粉が析出して、比表面積が0.2m/g未満の樹枝状銀粉しか得られない可能性がある。なお、本実施の形態において、数平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求めたポリスチレン換算の分子量とする。
ノニオン界面活性剤としては、上記列挙したような化合物を、1種類単独で、又は2種類以上を併せて用いることができ、電解液中の濃度としては合計で1mg/L〜10000mg/L程度とすることができる。
より具体的に、ポリエチレングリコールとしては、例えば下記式(i)で表されるものを用いることができる。
(式(i)中、n1は、1〜120の整数を示す。)
また、ポリプロピレングリコールとしては、例えば下記式(ii)で表されるものを用いることができる。
(式(ii)中、n1は、1〜90の整数を示す。)
また、ポリエチレンイミンとしては、例えば下記式(iii)で表されるものを用いることができる。
(式(iii)中、n1は、1〜120の整数を示す。)
また、プルロニック型界面活性剤としては、例えば下記式(iv)で表されるものを用いることができる。
(式(iv)中、n2及びl2は1〜30の整数を、m2は10〜100の整数を示す。)
また、テトロニック型界面活性剤としては、例えば下記式(v)で表されるものを用いることができる。
(式(v)中、n3は1〜200の整数を、m3は1〜40の整数を示す。)
また、ポリオキシエチレングリコール・グリセリルエーテルとしては、例えば下記式(vi)で表されるものを用いることができる。
(式(vi)中、n4、m4、及びl4はそれぞれ1〜200の整数を示す。)
また、ポリオキシエチレングリコール・ジアルキルエーテルとしては、例えば下記式(vii)で表されるものを用いることができる。
(式(vii)中、R及びRは水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基を示し、n5は2〜200の整数を示す。)
また、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール・アルキルエーテルとしては、例えば下記式(viii)で表されるものを用いることができる。
(式(viii)中、Rは水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基を示し、m6又はn6は2〜100の整数を示す。)
また、芳香族アルコールアルコキシレートとしては、例えば下記式(ix)で表されるものを用いることができる。
(式(ix)中、m7は1〜5の整数、n7は1〜120の整数を示す。)
また、下記(x)式で表される高分子化合物を用いることができる。
(式(x)中、Rは、炭素数5〜30の高級アルコールの残基、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルフェノールの残基、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルナフトールの残基、炭素数3〜25の脂肪酸アミドの残基、炭素数2〜5のアルキルアミンの残基、又は水酸基を示す。また、R及びRは、水素原子又はメチル基を示す。また、m及びnは、1〜100の整数を示す。)
本実施の形態に係る銀粉1の製造方法においては、例えば、上述したような組成の電解液を用いて電解することによって陰極上に銀粉を析出生成させて製造する。電解方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、電流密度としては、5A/dm〜40A/dmの範囲とすることが好ましく、電解液を撹拌しながら通電させる。また、電解液の液温(浴温)としては、例えば20℃〜60℃程度とすることができる。
≪3.導電性ペースト≫
上述した製造方法により得られる銀粉1は、上述したように、樹枝状に成長した主幹2と、その主幹2から分かれた複数の枝を有するものであり、その主幹2及び主幹2から分岐した枝3は微細な銀粒子が集合して構成され、その複数の枝3の間に銀粒子が成長して平板状の形状となっている。また、その銀粉1は、平均粒子径(D50)が0.5μm〜50μmであり、好ましくはBET比表面積が0.2m/g〜5.0m/gである。
このような樹枝状銀粉1によれば、成形性や焼結性に優れたものとなり、銀粒子から構成される樹枝状形状であって、しかも平板状の形状を呈していることにより、接点の数を多く確保することができ、優れた導電性を発揮する。
また、このような樹枝状銀粉1によれば、銀ペースト等とした場合であっても、凝集を抑制することができ、樹脂中に均一に分散させることが可能となり、またペーストの粘度上昇等による印刷性不良等の発生を抑制することができる。したがって、本実施の形態に係る樹枝状銀粉1は、導電性ペーストや導電塗料等の用途に好適に用いることができる。
例えば、導電性ペースト(銀ペースト)としては、本実施の形態に係る樹枝状銀粉1を金属フィラーとして含み、バインダ樹脂、溶剤、さらに必要に応じて酸化防止剤やカップリング剤等の添加剤と混練することによって作製することができる。
本実施の形態においては、バインダ樹脂等と混合する銀粉全量のうち、上述した樹枝状銀粉1が20質量%以上の量の割合となるように含有させて、銀ペーストを構成する。このような銀ペーストとすれば、樹脂中に均一に分散させることができ、またペーストの粘度が過度に上昇して印刷性不良が生じることを防ぐことができる。また、上述した特徴的な形状の樹枝状銀粉1を金属フィラーとして含有させることで、導電性ペーストとして優れた導電性を発揮させることができる。
なお、銀ペーストとしては、上述したように、本実施の形態に係る樹枝状銀粉1が20質量%以上の量の割合となるように含んでいればよく、その他は、例えば0.5μm〜10μm程度の球状銀粉等を混ぜ合わせてもよい。
バインダ樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。また、溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ターピネオール等の有機溶剤を用いることができる。また、その有機溶剤の添加量としては、特に限定されないが、スクリーン印刷やディスペンサー等の導電膜形成方法に適した粘度となるように、樹枝状銀粉1の粒度を考慮して添加量を調整することができる。
さらに、粘度調整のために他の樹脂成分を添加することもできる。例えば、エチルセルロースに代表されるセルロース系樹脂等が挙げられ、ターピネオール等の有機溶剤に溶解した有機ビヒクルとして添加することができる。なお、その樹脂成分の添加量としては、焼結性を阻害しない程度に抑える必要があり、好ましくは全体の5重量%以下とする。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示してさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
≪評価方法≫
下記の実施例、比較例にて得られた銀粉について、以下の方法により、形状の観察、平均粒子径の測定、BET比表面積の測定を行った。
(形状の観察)
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製,JSM−7100F型)により、所定の倍率の視野で任意に20視野を観察し、その視野内に含まれる銀粉の外観を観察した。
(平均粒子径の測定)
得られた銀粉の平均粒子径(D50)については、レーザー回折・散乱法粒度分布測定器(日機装株式会社製,HRA9320 X−100)を用いて測定した。
(BET比表面積)
BET比表面積については、比表面積・細孔分布測定装置(カンタクローム社製,QUADRASORB SI)を用いて測定した。
(比抵抗値測定)
被膜の比抵抗値については、低抵抗率計(三菱化学株式会社製,Loresta−GP MCP−T600)を用いて四端子法によりシート抵抗値を測定し、一方で、表面粗さ形状測定器(東京精密株式会社製,SURFCOM130A)により被膜の膜厚を測定して、シート抵抗値を膜厚で除することによって求めた。
(電磁波シールド特性)
電磁波シールド特性の評価は、各実施例及び比較例にて得られた試料について、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定して評価した。具体的には、比較例2の場合のレベルを『△』として、その比較例2のレベルよりも悪い場合を『×』とし、その比較例2のレベルよりも良好な場合を『○』とし、さらに優れている場合を『◎』として評価した。
また、電磁波シールドの可撓性についても評価するために、作製した電磁波シールドを折り曲げて電磁波シールド特性が変化するか否かを確認した。
≪実施例、比較例≫
[実施例1]
容量が100Lの電解槽に、電極面積が200mm×200mmのチタン製の電極板を陰極とし、電極面積が200mm×200mmの銀製の電極板を陽極として用いて、その電解槽中に電解液を装入し、これに直流電流を通電して銀粉を陰極板上に析出させた。
このとき、電解液としては、銀イオン濃度が5g/Lとなるようにシアン化銀を加え、遊離シアン化カリウム濃度が80g/Lとなるようにシアン化カリウムを加え、炭酸カリウムを10g/Lとなるように添加した組成のものを用いた。また、この電解液に、添加剤としてフェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物であるヤヌスグリーンB(和光純薬工業株式会社製)を電解液中の濃度として100mg/Lとなるように添加した。
そして、上述したように濃度調整した電解液を、定量ポンプを用いて15L/minの流量で循環しながら、温度を35℃に維持し、陰極の電流密度が20A/dmになるように通電して陰極板上に銀粉を析出させた。
析出した電解銀粉を、スクレーパーを用いて機械的に電解槽の槽底に掻き落として回収し、回収した銀粉を純水で洗浄した後、減圧乾燥器に入れて乾燥した。
得られた電解銀粉の形状を、上述した走査型電子顕微鏡(SEM)による方法で倍率5,000倍の視野で観察した結果、析出した銀粉は、銀粉全体の少なくとも90個数%以上の割合で、2次元又は3次元の樹枝状の形状の銀粉であって、主幹とその主幹から分岐した複数の枝と、その枝からさらに分岐した枝とを有する樹枝状形状を呈した銀粉であった。また、その主幹及び枝を構成する銀粒子が成長して、断面平均厚さが0.08μmの平板状の形状となっていた。
また、得られた樹枝状銀粉の平均粒子径(D50)は16.9μmであった。さらに、その樹枝状銀粉のBET比表面積は1.67m/gであり、嵩密度は2.43g/cmであった。
[実施例2]
容量が100Lの電解槽に、電極面積が200mm×200mmのチタン製の電極板を陰極とし、電極面積が200mm×200mmの銀製の電極板を陽極として用いて、その電解槽中に電解液を装入し、これに直流電流を通電して銀粉を陰極板に析出させた。
このとき、電解液としては、硝酸銀が20g/L、コハク酸イミドが200g/L、ホウ酸ナトリウムが30g/Lの組成のものを用いた。また、この電解液に、添加剤としてフェナジン構造を有する化合物であるサフラニン(関東化学工業株式会社製)を電解液中の濃度として150mg/Lとなるように添加した。
そして、上述したように濃度調整した電解液を、定量ポンプを用いて15L/minの流量で循環しながら、温度を35℃に維持し、陰極の電流密度が20A/dmになるように通電して陰極板上に銀粉を析出させた。
析出した電解銀粉を、スクレーパーを用いて機械的に電解槽の槽底に掻き落として回収し、回収した銀粉を純水で洗浄した後、減圧乾燥器に入れて乾燥した。
得られた電解銀粉の形状を、上述したSEMによる方法で5,000倍の視野で観察した結果、析出した銀粉は、銀粉全体の少なくとも90個数%以上の割合で、2次元又は3次元の樹枝状の形状の銀粉であって、主幹とその主幹から分岐した複数の枝と、その枝からさらに分岐した枝とを有する樹枝状形状を呈した銀粉であった。また、その主幹及び枝を構成する銀粒子が成長して、その断面平均厚さが0.25μmの平板状の形状となっていた。
また、得られた樹枝状銀粉の平均粒子径(D50)は8.6μmであった。さらに、そのBET比表面積は1.32m/gであり、嵩密度は2.87g/cmであった。
[実施例3]
容量が100Lの電解槽に、電極面積が200mm×200mmのチタン製の電極板を陰極とし、電極面積が200mm×200mmの銀製の電極板を陽極として用いて、その電解槽中に電解液を装入し、これに直流電流を通電して銀粉を陰極板に析出させた。
このとき、電解液としては、銀イオン濃度が5g/Lとなるようにシアン化銀を加え、遊離シアン化カリウム濃度が80g/Lとなるようにシアン化カリウムを加え、炭酸カリウムを10g/Lとなるように添加した組成のものを用いた。また、この電解液に、添加剤としてアゾベンゼン構造を有する化合物であるメチルオレンジ(関東化学工業株式会社製)を電解液中の濃度として100mg/Lとなるように添加した。
そして、上述したように濃度調整した電解液を、定量ポンプを用いて15L/minの流量で循環しながら、温度を35℃に維持し、陰極の電流密度が20A/dmになるように通電して陰極板上に銀粉を析出させた。
析出した電解銀粉を、スクレーパーを用いて機械的に電解槽の槽底に掻き落として回収し、回収した銀粉を純水で洗浄した後、減圧乾燥器に入れて乾燥した。
得られた電解銀粉の形状を、上述したSEMによる方法で5,000倍の視野で観察した結果、析出した銀粉は、銀粉全体の少なくとも90個数%以上の割合で、2次元又は3次元の樹枝状の形状の銀粉であって、主幹とその主幹から分岐した複数の枝と、その枝からさらに分岐した枝とを有する樹枝状形状を呈した銀粉であった。また、その主幹及び枝を構成する銀粒子が成長して、その断面平均厚さが0.16μmの平板状の形状となっていた。
また、得られた樹枝状銀粉の平均粒子径(D50)は7.5μmであった。さらに、そのBET比表面積は1.44m/gであり、嵩密度は2.65g/cmであった。
[実施例4]
容量が100Lの電解槽に、電極面積が200mm×200mmのチタン製の電極板を陰極とし、電極面積が200mm×200mmの銀製の電極板を陽極として用いて、その電解槽中に電解液を装入し、これに直流電流を通電して銀粉を陰極板に析出させた。
このとき、電解液としては、銀イオン濃度が5g/Lとなるようにシアン化銀を加え、遊離シアン化カリウム濃度が80g/Lとなるようにシアン化カリウムを加え、炭酸カリウムを10g/Lとなるように添加した組成のものを用いた。また、この電解液に、添加剤としてフェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物であるヤヌスグリーンBを電解液中の濃度として200mg/Lとなるように添加し、また、アゾベンゼン構造を有する化合物であるメチルオレンジを電解液中の濃度として100mg/Lとなるように添加した。
そして、上述したように濃度調整した電解液を、定量ポンプを用いて15L/minの流量で循環しながら、温度を35℃に維持し、陰極の電流密度が20A/dmになるように通電して陰極板上に銀粉を析出させた。
析出した電解銀粉を、スクレーパーを用いて機械的に電解槽の槽底に掻き落として回収し、回収した銀粉を純水で洗浄した後、減圧乾燥器に入れて乾燥した。
得られた電解銀粉の形状を、上述したSEMによる方法で5,000倍の視野で観察した結果、析出した銀粉は、銀粉全体の少なくとも90個数%以上の割合で、2次元又は3次元の樹枝状の形状の銀粉であって、主幹とその主幹から分岐した複数の枝と、その枝からさらに分岐した枝とを有する樹枝状形状を呈した銀粉であった。また、その主幹及び枝を構成する銀粒子が成長して、その断面平均厚さが0.12μmの平板状の形状となっていた。
また、得られた樹枝状銀粉の平均粒子径(D50)は8.9μmであった。さらに、そのBET比表面積は2.08m/gであり、嵩密度は1.90g/cmであった。
[実施例5]
容量が100Lの電解槽に、電極面積が200mm×200mmのチタン製の電極板を陰極とし、電極面積が200mm×200mmの銀製の電極板を陽極として用いて、その電解槽中に電解液を装入し、これに直流電流を通電して銀粉を陰極板に析出させた。
このとき、電解液としては、硝酸銀が20g/L、コハク酸イミドが200g/L、ホウ酸ナトリウムが30g/Lの組成のものを用いた。また、この電解液に、ノニオン界面活性剤である分子量600のポリエチレングリコール(PEG)(和光純薬工業株式会社製)を電解液中の濃度として500mg/Lとなるように添加した。
そして、上述したように濃度調整した電解液を、定量ポンプを用いて15L/minの流量で循環しながら、温度を35℃に維持し、陰極の電流密度が20A/dmになるように通電して陰極板上に銀粉を析出させた。
析出した電解銀粉を、スクレーパーを用いて機械的に電解槽の槽底に掻き落として回収し、回収した銀粉を純水で洗浄した後、減圧乾燥器に入れて乾燥した。
得られた電解銀粉の形状を、上述したSEMによる方法で5,000倍の視野で観察した結果、析出した銀粉は、銀粉全体の少なくとも90個数%以上の割合で、2次元又は3次元の樹枝状の形状の銀粉であって、主幹とその主幹から分岐した複数の枝と、その枝からさらに分岐した枝とを有する樹枝状形状を呈した銀粉であった。また、その主幹及び枝を構成する銀粒子が成長して、その断面平均厚さが1.22μmの平板状の形状となっていた。
また、得られた樹枝状銀粉の平均粒子径(D50)は5.4μmであった。さらに、そのBET比表面積は0.86m/gであり、嵩密度は3.22g/cmであった。
[実施例6]
容量が100Lの電解槽に、電極面積が200mm×200mmのチタン製の電極板を陰極とし、電極面積が200mm×200mmの銀製の電極板を陽極として用いて、その電解槽中に電解液を装入し、これに直流電流を通電して銀粉を陰極板に析出させた。
このとき、電解液としては、銀イオン濃度が5g/Lとなるようにシアン化銀を加え、遊離シアン化カリウム濃度が80g/Lとなるようにシアン化カリウムを加え、炭酸カリウムを10g/Lとなるように添加した組成のものを用いた。また、この電解液に、添加剤としてフェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物であるヤヌスグリーンB(和光純薬工業株式会社製)を電解液中の濃度として100mg/L、及びノニオン界面活性剤である分子量600のポリエチレングリコール(PEG)(和光純薬工業株式会社製)を電解液中の濃度として500mg/Lとなるように添加した。
そして、上述したように濃度調整した電解液を、定量ポンプを用いて15L/minの流量で循環しながら、温度を35℃に維持し、陰極の電流密度が20A/dmになるように通電して陰極板上に銀粉を析出させた。
析出した電解銀粉を、スクレーパーを用いて機械的に電解槽の槽底に掻き落として回収し、回収した銀粉を純水で洗浄した後、減圧乾燥器に入れて乾燥した。
得られた電解銀粉の形状を、上述したSEMによる方法で5,000倍の視野で観察した結果、析出した銀粉は、銀粉全体の少なくとも90個数%以上の割合で、2次元又は3次元の樹枝状の形状の銀粉であって、主幹とその主幹から分岐した複数の枝と、その枝からさらに分岐した枝とを有する樹枝状形状を呈した銀粉であった。また、その主幹及び枝を構成する銀粒子が成長して、その断面平均厚さが1.13μmの平板状の形状となっていた。
また、得られた樹枝状銀粉の平均粒子径(D50)は7.4μmであった。さらに、そのBET比表面積は1.02m/gであり、嵩密度は3.16g/cmであった。
[実施例7]
実施例1で得られた銀粉をステンレス製の小皿に9.2g分取し、エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製,JER828)とターピネオールとの重量比が1:7のビヒクル0.8gを秤量し、金属製のヘラを用いて混合した後に、自公転型混練機(株式会社シンキー製,ARE−250型)を用いて、2000rpm(遠心力として420G)で5分間混練し、均一なペーストを作製した。
さらに、アルミナ基盤上にスクリーン印刷機(ミナミ株式会社製,MODEL−2300)を用いて、得られたペーストで配線を印刷し、配線が印刷されたアルミナ基盤を、大気中200℃で60分間の熱処理を施した。
熱処理を施したペーストで印刷された配線の体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学アリナテック製,ロレスタGP)を用いて測定した。その結果、ペーストの体積抵抗率は6.5μΩ・cmであり、そのペーストは優れた導電性を有することが分かった。
[実施例8]
実施例2で得られた銀粉をステンレス製の小皿に9.2g分取し、エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製,JER828)とターピネオールとの重量比が1:7のビヒクル0.8gを秤量し、金属製のヘラを用いて混合した後に、自公転型混練機(株式会社シンキー製,ARE−250型)を用いて、2000rpm(遠心力として420G)で5分間混練し、均一なペーストを作製した。
さらに、アルミナ基盤上にスクリーン印刷機(ミナミ株式会社製,MODEL−2300)を用いて、得られたペーストで配線を印刷し、配線が印刷されたアルミナ基盤を、大気中200℃で60分間の熱処理を施した。
熱処理を施したペーストで印刷された配線の体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学アリナテック製,ロレスタGP)を用いて測定した。その結果、ペーストの体積抵抗率は7.7μΩ・cmであり、そのペーストは優れた導電性を有することが分かった。
[実施例9]
実施例3で得られた銀粉をステンレス製の小皿に9.2g分取し、エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製,JER828)とターピネオールとの重量比が1:7のビヒクル0.8gを秤量し、金属製のヘラを用いて混合した後に、自公転型混練機(株式会社シンキー製,ARE−250型)を用いて、2000rpm(遠心力として420G)で5分間混練し、均一なペーストを作製した。
さらに、アルミナ基盤上にスクリーン印刷機(ミナミ株式会社製,MODEL−2300)を用いて、得られたペーストで配線を印刷し、配線が印刷されたアルミナ基盤を、大気中200℃で60分間の熱処理を施した。
熱処理を施したペーストで印刷された配線の体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学アリナテック製,ロレスタGP)を用いて測定した。その結果、ペーストの体積抵抗率は5.5μΩ・cmであり、そのペーストは優れた導電性を有することが分かった。
[実施例10]
実施例4で得られた銀粉をステンレス製の小皿に9.2g分取し、エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製,JER828)とターピネオールとの重量比が1:7のビヒクル0.8gを秤量し、金属製のヘラを用いて混合した後に、自公転型混練機(株式会社シンキー製,ARE−250型)を用いて、2000rpm(遠心力として420G)で5分間混練し、均一なペーストを作製した。
さらに、アルミナ基盤上にスクリーン印刷機(ミナミ株式会社製,MODEL−2300)を用いて、得られたペーストで配線を印刷し、配線が印刷されたアルミナ基盤を、大気中200℃で60分間の熱処理を施した。
熱処理を施したペーストで印刷された配線の体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学アリナテック製,ロレスタGP)を用いて測定した。その結果、ペーストの体積抵抗率は9.6μΩ・cmであり、そのペーストは優れた導電性を有することが分かった。
[実施例11]
実施例5で得られた銀粉をステンレス製の小皿に9.2g分取し、エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製,JER828)とターピネオールとの重量比が1:7のビヒクル0.8gを秤量し、金属製のヘラを用いて混合した後に、自公転型混練機(株式会社シンキー製,ARE−250型)を用いて、2000rpm(遠心力として420G)で5分間混練し、均一なペーストを作製した。
さらに、アルミナ基盤上にスクリーン印刷機(ミナミ株式会社製,MODEL−2300)を用いて、得られたペーストで配線を印刷し、配線が印刷されたアルミナ基盤を、大気中200℃で60分間の熱処理を施した。
熱処理を施したペーストで印刷された配線の体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学アリナテック製,ロレスタGP)を用いて測定した。その結果、ペーストの体積抵抗率は6.1μΩ・cmであり、そのペーストは優れた導電性を有することが分かった。
[実施例12]
実施例1にて作製した樹枝状銀粉を樹脂に分散させて電磁波シールド材とした。
具体的には、樹枝状銀粉40gに対して、塩化ビニル樹脂100gと、メチルエチルケトン200gとをそれぞれ混合し、小型ニーダーを用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことによってペースト化した。ペースト化に際しては、銀粉が凝集することなく、樹脂中に均一に分散した。これを100μmの厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートからなる基材の上にメイヤーバーを用いて塗布・乾燥し、厚さ25μmの電磁波シールド層を形成した。
電磁波シールド特性については、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。表1に、その結果を示す。
[比較例1]
電解液に、添加剤としてのヤヌスグリーンを添加しない条件としたこと以外は、実施例1と同じ条件で銀粉を陰極板上に析出させた。
得られた電解銀粉の形状を、上述したSEMによる方法で5,000倍の視野で観察した結果、得られた銀粉は樹枝状の形状を呈していたものの、平板状でない形状であった。なお、図5は、この比較例1にて得られた銀粉のSEM観察像である。
得られた銀粉をステンレス製の小皿に9.2g分取し、エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製,JER828)とターピネオールとの重量比が1:7のビヒクル0.8gを秤量し、金属製のヘラを用いて混合した後に、自公転型混練機(株式会社シンキー製,ARE−250型)を用いて、2000rpm(遠心力として420G)で5分間混練し、均一なペーストを作製した。
さらに、アルミナ基盤上にスクリーン印刷機(ミナミ株式会社製,MODEL−2300)を用いて、得られたペーストで配線を印刷し、配線が印刷されたアルミナ基盤を、大気中200℃で60分間の熱処理を施した。
熱処理を施したペーストで印刷された配線の体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学アリナテック製,ロレスタGP)を用いて測定した。その結果、ペーストの体積抵抗率は18.4μΩ・cmであった。
[比較例2]
比較例1で得られた銀粉を樹脂に分散させて電磁波シールド材とした。
具体的には、比較例1で得られた銀粉40gに対して、塩化ビニル樹脂100gと、メチルエチルケトン200gとをそれぞれ混合し、小型ニーダーを用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことによってペースト化した。これを100μmの厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートからなる基材の上にメイヤーバーを用いて塗布・乾燥し、厚さ25μmの電磁波シールド層を形成した。
電磁波シールド特性については、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。表1に、その結果を示す。
1 銀粉(樹枝状銀粉)
2 主幹
3,3a,3b 枝

Claims (11)

  1. 銀イオンと、アミン化合物とを含有する電解液を用いて電解を行うことにより陰極上に銀粉を析出させる工程を有し、
    前記アミン化合物は、下記式(1)で表されるフェナジン構造を有する化合物、下記式(2)で表されるアゾベンゼン構造を有する化合物、及び下記式(3)で表される、フェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物から選択される1種又は2種以上である
    ことを特徴とする銀粉の製造方法。
    [式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基であり、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、−O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択された基であり、Aがハライドアニオンである。]
    [式(2)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基である。]
    [式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基であり、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基であり、Aがハライドアニオンである。]
  2. 前記電解液における前記アミン化合物の濃度が0.1mg/L〜500mg/Lである
    請求項1に記載の銀粉の製造方法。
  3. 銀イオンと、ノニオン界面活性剤とを含有する電解液を用いて電解を行うことにより陰極上に銀粉を析出させることを特徴とする銀粉の製造方法。
  4. 銀イオンと、アミン化合物と、ノニオン界面活性剤とを含有する電解液を用いて電解を行うことにより陰極上に銀粉を析出させる工程を有し、
    前記アミン化合物は、下記式(1)で表されるフェナジン構造を有する化合物、下記式(2)で表されるアゾベンゼン構造を有する化合物、及び下記式(3)で表される、フェナジン構造とアゾベンゼン構造とを有する化合物から選択される1種又は2種以上である
    ことを特徴とする銀粉の製造方法。
    [式(1)中、R、R、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基であり、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、−O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択された基であり、Aがハライドアニオンである。]
    [式(2)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基である。]
    [式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13は、それぞれ別個に、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される基であり、Rは、水素、ハロゲン、アミノ、OH、=O、CN、SCN、SH、COOH、COO塩、COOエステル、SOH、SO塩、SOエステル、ベンゼンスルホン酸、低級アルキル、及びアリールからなる群から選択される基であり、Aがハライドアニオンである。]
  5. 前記電解液における前記アミン化合物の濃度が0.1mg/L〜500mg/Lである
    請求項4に記載の銀粉の製造方法。
  6. 前記ノニオン界面活性剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、プルロニック型界面活性剤、テトロニック型界面活性剤、ポリオキシエチレングリコール・グリセリンエーテル、ポリオキシエチレングリコール・ジアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール・アルキルエーテル、芳香族アルコールアルコキシレート、及び下記(x)式で表される高分子化合物からなる群から選択される種又は2種以上である
    ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の銀粉の製造方法。
    [式(x)中、Rは、炭素数5〜30の高級アルコールの残基、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルフェノールの残基、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルナフトールの残基、炭素数3〜25の脂肪酸アミドの残基、炭素数2〜5のアルキルアミンの残基、又は水酸基を示す。また、R及びRは、水素原子又はメチル基を示す。また、m及びnは、1〜100の整数を示す。]
  7. 前記電解液における前記ノニオン界面活性剤の濃度が1mg/L〜10,000mg/Lである
    請求項3乃至6のいずれか1項に記載の銀粉の製造方法。
  8. 前記電解液を用いた電解により析出される銀粉は、
    樹枝状に成長した主幹と該主幹から分かれた複数の枝を有する形状を有し、該複数の枝の間には銀粒子が成長して平板状の形状となり、その平板状の形状の断面平均厚さが0.02μm〜2.0μmである
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載の銀粉の製造方法。
  9. 前記電解液を用いた電解により析出される銀粉は、
    平均粒子径(D50)が0.5μm〜50μmであり、BET比表面積が0.2m/g〜4.5m/gである
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載の銀粉の製造方法。
  10. 前記電解液を用いた電解により析出される銀粉は、
    嵩密度が0.5g/cm〜6.0g/cmである
    請求項1乃至9のいずれか1項に記載の銀粉の製造方法。
  11. 銀粉を樹脂に混合させて導電性ペーストを得る導電性ペーストの製造方法であって、
    前記銀粉全量のうち、前記請求項1乃至10のいずれかに記載の製造方法により得られる銀粉を20質量%以上の割合で含有させる
    ことを特徴とする導電性ペーストの製造方法。
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