JP2017071038A - 被覆層除去装置、被覆層除去工具、及び、棒状体の形成方法 - Google Patents

被覆層除去装置、被覆層除去工具、及び、棒状体の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被覆層を融着させることなく、棒状体から被覆層を除去することができる、被覆層除去装置、被覆層除去工具、及び、棒状体の形成方法を提供する。
【解決手段】被覆層除去装置1は、円形の断面形状を有する棒状体3の外表面を被覆する被覆層4を除去し、棒状体3の長手方向に沿った方向を回転軸として棒状体3に対して相対回転するとともに回転軸の方向に棒状体3に対して相対移動することにより、被覆層4の外表面4aを含む部分を切削する切削部Aと、回転軸の方向に棒状体3に対して相対移動することにより、被覆層4の残部を擦り取る擦り取り部Bと、を有する。工具10は、切削部A及び擦り取り部Bを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被覆層除去装置、被覆層除去工具、及び、棒状体の形成方法に関する。
樹脂管から当該樹脂管の外表面を含む部分を被覆層として除去することにより棒状体を形成するための装置には、樹脂管の長手方向に沿った方向を回転軸として当該樹脂管を回転させつつ、その軸直方向からカッターを移動させることにより、樹脂管の汚染された外表面部分を所定量だけ除去するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−6101号公報
しかしながら、例えば、ポリオレフィン系樹脂の棒状体の外表面をオレフィン系エラストマ等で被覆した樹脂管から、切削のみによってオレフィン系エラストマ等の被覆層を除去しようとすると、切削時に発せられる熱によって棒状体が溶けて被覆層と融着してしまうことがある。このため、切削のみによる従来の技術では、被覆層を完全に除去して棒状体を形成することが困難であった。
本発明の目的は、被覆層を融着させることなく、棒状体から被覆層を除去することができる、被覆層除去装置、被覆層除去工具、及び、棒状体の形成方法を提供することである。
本発明に係る、被覆層除去装置は、円形の断面形状を有する棒状体の外表面を被覆する被覆層を除去する被覆層除去装置であって、前記棒状体の長手方向に沿った方向を回転軸として前記棒状体に対して相対回転するとともに前記回転軸の方向に当該棒状体に対して相対移動することにより、前記被覆層の外表面を含む部分を切削する切削部と、前記回転軸の方向に当該棒状体に対して相対移動することにより、前記被覆層の残部を擦り取る擦り取り部と、を有する、ことを特徴とする。
本発明に係る、被覆層除去装置によれば、被覆層を棒状体に融着させることなく、棒状体から被覆層を除去することができる。
本発明に係る、被覆層除去装置では、前記被覆層は、前記棒状体が前記回転軸の一方側へ向かって当該回転軸の他方側から移動することで前記切削部により切削され、前記切削部は、前記切削部の一方側端部から前記切削部の他方側端部に向かうに従って前記回転軸から離間するように延在する刃を備える、ことが好ましい。
この場合、被覆層を当該被覆層の外表面側から徐々に切削することができるため、より確実に被覆層を切削することが可能になる。
本発明に係る、被覆層除去装置では、前記刃は、前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置することが好ましい。
この場合、刃と刃との間に隙間を形成することができ、その場合、当該隙間が被覆層の外表面を含む部分を切削するときに生じる切削くず等を逃がすことで、刃と刃との間の目詰まりが抑制される。
本発明に係る、被覆層除去装置では、前記擦り取り部は、前記回転軸の周方向に延在して前記回転軸に向かって突出した、突起であることが好ましい。
この場合、簡易な構成で、被覆層を融着させることなく、棒状体から被覆層を除去することができる。
本発明に係る、被覆層除去装置では、前記刃の一方側に前記擦り取り部が隣接して設けられることが好ましい。
この場合、簡易な構成で、切削時及び擦り取り時に芯ずれが起き難く、被覆層を均等な厚さで切削及び擦り取りを行うことが可能になる。
本発明に係る、被覆層除去装置では、前記棒状体と前記切削部との相対移動、又は前記棒状体と前記擦り取り部との相対移動により、当該棒状体の一方側の先端と当接可能な当接部を有することが好ましい。
この場合、棒状体を被覆層除去装置から抜き出して、棒状体の形成状況を確認することなく、被覆層を除去する長さを容易に設定することができる。
本発明に係る、被覆層除去工具は、上記のいずれかに記載の被覆層除去装置に配設され、前記切削部と、前記擦り取り部、とを一体に備える。
本発明に係る、被覆層除去工具によれば、回転軸方向における刃と擦り取り部の2箇所で棒状体が保持されることとなり、回転軸と棒状体の軸心とを一致させやすくすることができ、棒状体から被覆層を棒状体の周方向で均一に除去しやすくすることができる。
本発明に係る、棒状体の形成方法は、円形の断面形状を有する棒状体の外表面を被覆する被覆層の外表面を含む部分を切削する切削工程と、前記被覆層の残部を擦り取る擦り取り工程、とを備える。
本発明に係る、棒状体の形成方法によれば、被覆層を融着させることなく、棒状体から被覆層を除去することができる。
本発明によれば、被覆層を融着させることなく、棒状体から被覆層を除去することができる、被覆層除去装置、被覆層除去工具、及び、棒状体の形成方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る被覆層除去装置を、複合管とともに示す断面図である。 (a)は、図1の本発明の一実施形態に係る被覆層除去装置に採用した、本発明の一実施形態に係る被覆層除去工具を示す正面図であり、(b)は、(a)のX−X断面図である。 図2(a),(b)の被覆層除去工具の切削部及び擦り取り部を拡大して示す斜視図である。 (a)は、図1の被覆層除去装置又は図2(a),(b)に示す被覆層除去工具を用いて、本発明の一実施形態に係る棒状体の形成方法に従い、被覆層を除去するときに最初に行われる、切削工程の例を説明する断面図であり、(b)は、(a)の切削工程に引き続いて行われる、擦り取り工程の例を説明する断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、被覆層除去装置、被覆層除去工具、及び、棒状体の形成方法を説明する。
図1中、符号1は、本発明の一実施形態に係る被覆層除去装置である。被覆層除去装置1は、後述するように、円形の断面形状を有する棒状体の外表面を被覆する被覆層を除去する。
本実施形態において、符号2は、本実施形態に係る被覆層除去装置を用いた被覆層除去の対象となる、合成樹脂製の複合管である。複合管2は、円形の断面形状を有する筒状の本管(棒状体)3と、本管3の外表面を被覆する筒状の被覆層4とを有している。本実施形態に係る本管3は、給排水管として用いることができ、また、被覆層4は、例えば、本管3の保護を目的に使用している。本実施形態では、複合管2は、被覆層4を本管3の中心線O3と同軸に配置することで形成されている。なお、本実施形態に係る本管3は、棒材等の、中実の部材とすることができる。また本実施形態では、被覆層4は単層であるが、複数の層からなる積層体として形成することもできる。
また、本実施形態では、複合管2は、本管3をポリオレフィン系樹脂で形成し、被覆層4をオレフィン系エラストマで形成している。この場合、本管3と被覆層4との密着が強いため、本管3と被覆層4との間には、接着層を介在させる必要がない。ただし、複合管2は、本管3や被覆層4の材質に応じて、本管3と被覆層4との間に接着層を介在させたものであってもよい。
次に、符号10は、本発明の一実施形態に係る、被覆層除去装置に用いられる、本発明の一実施形態に係る、被覆層除去工具である。本実施形態では、被覆層除去工具10は、フランジ付きの筒状体である。詳細には、被覆層除去工具10は、筒体11と、筒体11と一体に設けられた固定板12とを有し、その内側には、貫通穴10Aが形成されている。貫通穴10Aには、被覆層4が除去された後の本管3を貫通させることができる。
固定板12には、駆動手段(例えば、モータ)に連結されている。本実施形態では、固定板12は、図1に示すように、ボルト等の締結要素Cを用いて、駆動手段の入力要素20に連結されている。駆動手段には、例えば、モータが挙げられる。これにより、被覆層除去工具10は、駆動手段の回転により、被覆層除去工具10の中心線(本実施形態では、貫通穴10Aの中心線と同軸)O1を回転軸として回転させることができる。
また、本実施形態では、駆動手段の入力要素20は、筒状体であって、その内側に穴20Aを有している。穴20Aは、被覆層除去工具10に形成された貫通穴10Aに通じ、本実施形態では、貫通穴10Aと同一の内径を有している。これにより、被覆層除去工具10を通過して被覆層4が除去された本管3をさらに、被覆層除去装置1の内部のより深い位置まで挿入することができる。すなわち、本実施形態では、被覆層4をより長く、本管3から除去することができる。
更に、図1中、符号30は、被覆層除去装置1に配置された、センタリング部材である。センタリング部材30は、被覆層除去工具10よりも手前の位置に、被覆層除去工具10と間隔を置いて配置されている。またセンタリング部材30は、複合管2を貫通させる貫通穴30Aを有している。貫通穴30Aは、複合管2をスライド可能に保持することができる。さらにセンタリング部材30は、図1に示すように、複合管2をセンタリング部材30の貫通穴30Aを通して被覆層除去工具10の前方に突出させることにより、被覆層除去工具10の中心線O1と本管3の中心線O3とを同軸に配置させることができる。これにより、本実施形態に係る被覆層除去装置1では、被覆層除去工具10は、本管3の中心線O3と同軸の中心線O1を回転軸として本管3に対して相対回転することができるとともに、回転軸の方向(本実施形態では、本管3の中心線O3と同軸の中心線O1が延在する方向)に本管3に対して相対移動することができる。
さらに、符号40は、複合管2を押し込んでいったときに本管3の先端3aと接触可能な当接(接触)部である。本実施形態では、当接部40は、駆動手段の入力要素20に形成された穴20Aに配置されている。当接部40は、被覆層除去工具10を通って被覆層4が除去された本管3の先端3aと当接することで、被覆層4を除去する長さを規定する。当接部30は、駆動手段の入力要素20に形成された穴20A内に被覆層除去工具1の中心線O1に沿った任意の位置に自由に位置決めできることが好ましい。
ここで、被覆層除去工具10を更に詳細に説明する。符号Aは、複合管2のうちの被覆層4の外表面を含む部分を切削する切削部である。本実施形態では、切削部Aは、被覆層除去工具10の筒体11に設けられている。切削部Aは、本管3の長手方向に沿った方向、即ち、本実施形態では、本管3の中心線O3と同軸の中心線O1を回転軸として本管3に対して相対回転するとともに前記回転軸の方向に本体3に対して相対移動することにより、被覆層4の外表面4aを含む部分を切削することができる。
より詳細には、図2(b)に示すように、切削部Aは、筒体11の内表面に形成された刃13で構成されている。刃13は、複合管2と被覆層除去工具10とを、本管3の中心線O3と同軸の中心線O1を回転軸として相対回転させると共にその回転軸の一方側へ向かって当該回転軸の他方側から複合管2と被覆層除去工具10とを相対移動させることで被覆層4の外表面4aを含む部分を切削する。本実施形態では、被覆層除去工具10が本管3の中心線O3と同軸の中心軸O1を回転軸として回転しながら、本管3がその中心軸O3の一方側(本実施形態では、刃13の刃元13a側)へ向かって中心軸O3の他方側(本実施形態では、刃13の刃先13b側)から移動することで被覆層4の外表面4aを含む部分を切削する。
刃13は、刃13の一方側端部(刃元13a)から刃13の他方側端部(刃先13b)に向かうに従って回転軸(本実施形態では、本管3の中心線O3と同軸の中心軸O1)から離間するように延在している。すなわち、図2(b)に示すように、刃13は、刃13の刃元13aから刃先13bに向かうに従って径方向(前記回転軸に対して軸直な方向)の外向きに傾斜している。これにより、刃13は、刃元13aから刃先13bまでで、複合管2の被覆層4の外表面4aを含む部分を、被覆層4の外表面4aから前記回転軸に向かって順次切削することができる。本実施形態のように、切削部Aを刃13で構成すれば、図2(a)に示すように、回転軸方向視の刃13の投影長さ、すなわち、回転軸方向から視たときの刃13の長さが長くなる。
刃13は、回転軸(本実施形態では、被覆層除去工具1の中心線O1)を取り囲むように連続して形成した、環状の刃13とすることも可能であるが、本実施形態では、図2(a)に示すように、複数の刃13を、前記回転軸の周りに間隔を置いて配置することで構成している。なお、本実施形態では、切削部Aは、12個の刃13で構成されているが、刃13の個数に制限はない。すなわち、複数の刃13の個数は、少なくとも1つ以上であればよい。
また、符号Bは、複合管2から被覆層4の残部を擦り取る擦り取り部である。擦り取り部Bは、被覆層除去工具10の筒体11に設けられている。擦り取り部Bは、本管3の長手方向に沿った方向、即ち、本実施形態では、本管3の中心線O3と同軸の中心線O1を回転軸として、当該回転軸の方向に本管3に対して相対移動することにより、本管3の外表面に残った被覆層4の残部を擦り取ることができる。
より詳細には、図2(a)に示すように、擦り取り部Bは、筒体11の内表面に形成された突起14で構成されている。突起14は、本管3の長手方向に沿った方向、即ち、本実施形態では、本管3の中心線O3と同軸の中心線O1を回転軸として、この回転軸の周方向に延在して当該回転軸に向かって突出した突起である。本実施形態では、図2(a)の拡大図に示すように、突起14は、その一部に、刃13の刃元13aを含んでいる。本実施形態では、図2(b)の回転軸方向断面視に示すように、刃13は、刃先13bから刃元13aに向かうに従って径方向内向きに傾斜するが、被覆層除去工具10の貫通穴10Aは、刃13の刃元13aから固定板12側に向かうに従って径方向外向きに傾斜している。すなわち、突起14は、前記回転軸の周方向に延在する領域のうち、刃13の刃元13aを通り、前記回転軸に向かって径方向内向きに突出した環状の突起となる。
擦り取り部Bは、前記回転軸の周方向に連続して延在する、単一の環状の突起を、突起14とすることができるが、本実施形態では、図2(a)の拡大図に示すように、前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置した、複数の突起をそれぞれ、突起14としている。具体的には、図1や図2(b)に示すように、機械加工筒11に形成された隙間Dの最深部15を、刃13の刃元13aよりも固定板12側の位置に規定している。すなわち、本実施形態では、刃13の間に形成される隙間Dの深さを刃13の刃元13aよりも被覆層除去工具10の後方(固定板12側)に向かって深く確保することで、前記回転軸の周りに、間欠的に、当該回転軸の周方向に延在する、複数の突起を形成し、これらをそれぞれ、突起14としている。これにより、本実施形態では、擦り取り部Bが複数の突起14で構成されている。
ここで、本発明の一実施形態に係る被覆層除去装置1を用いて、複合管2から被覆層4を除去することで、本管3を形成する方法の一例を説明する。
使用者は先ず、被覆層4のうち、被覆層4の外表面4aを含む部分を切削する切削工程を行う。本実施形態に係る本管3を形成する方法の切削工程では、被覆層除去工具10が、本管3の長手方向に沿った方向、即ち、本実施形態では、切削部Aが本管3の中心線O3と同軸の中心線O1を回転軸として本管3に対して相対回転するとともに当該回転軸の方向に本管3に対して相対移動することにより、被覆層4の外表面4aを含む被覆層4の部分を切削する。
具体的には、使用者はまず、本管3の中心線O3が被覆層除去工具10の中心線O1と同軸上に配置されるように、複合管2を被覆層除去工具10に対して位置合わせする。より詳細には、図1に示すように、複合管2をセンタリング部材30の貫通穴30Aに通すことで、本管3の中心線O3と被覆層除去工具10の中心線O1とが同軸上に配置されるようにセッティングする。
次に、使用者は、駆動手段を用いて被覆層除去工具10の中心線O1を回転軸として、被覆層除去工具10を回転させながら、複合管2を被覆層除去工具10に向かって押し込む(移動させる)。すると、図4(a)に示すように、本管3が被覆層除去工具10に対してセンタリングされた状態で、刃13を用いた被覆層4の外表面4aを含む部分4pの切削が行われる。すなわち、複合管2を被覆層除去工具10内に押し込むことで、複合管2の被覆層4を荒削りすることができる。
次いで、使用者は、本管3に付着した被覆層4の残部を擦り取る擦り取り工程を行う。本実施形態に係る擦り取り工程では、被覆層除去工具10が本管3に対して前記回転軸の方向に相対移動することで、被覆層4の残部を擦り取る。
具体的には、切削工程に引き続いて、被覆層除去工具10を回転させたまま、複合管2を被覆層除去工具10に向かって更に押し込む。すると、図4(b)に示すように、本管3が被覆層除去工具10に対してセンタリングされた状態で、複数の突起14を用いた被覆層4の残部の擦り取りが開始される。より詳細には、被覆層除去工具10に設けられた複数の突起14が被覆層除去工具10の中心線O1を回転軸として回転しながら、本管3が前記回転軸の方向に移動することで、本管3の外周面に残った被覆層4の残部を擦り取ることができる。すなわち、複合管2を被覆層除去工具10内に更に押し込むことで、本管3の外周面に残った被覆層4の残部を擦り取ることができる。
本実施形態に係る被覆層除去装置1では、切削部Aを用いて、被覆層4を荒削りすることにより、切削時に発せられる熱が抑えられる。また、この場合、その後に残った被覆層4を擦り取り工程で擦り取るときも、擦り取り時に発せられる熱は低く抑えられる。すなわち、被覆層除去装置1によれば、被覆層4を除去するときに発せられる熱が、被覆層4を切削のみにより除去する場合に比べて抑えられる。このため、被覆層除去装置1によれば、被覆層4を切削のみにより除去する場合に比べて、本管3の溶融(ひいては、被覆層4の本管3への融着)を抑制することができる。
このように、本実施形態に係る被覆層除去装置1によれば、被覆層4を融着させることなく、本管3から被覆層4を除去することができる。
特に、本実施形態に係る被覆層除去装置1では、切削部Aは、刃元13aから刃先13bに向かうに従って回転軸から離間するように延在する、刃13を備えている。この場合、被覆層4を当該被覆層4の外表面側から徐々に切削することができるため、より確実に被覆層4を切削することが可能になる。
また、本実施形態に係る被覆層除去装置1のように、切削部Aの刃13を、回転軸の周方向に間隔を置いて配置すれば、刃13と刃13との間に間隔を形成することができ、その場合、当該間隔によって形成された隙間Dが被覆層4の外表面4aを含む部分を切削するときに生じる切削くず等を逃がすことで、刃13と刃13との間の目詰まりが抑制される。
また、本実施形態に係る被覆層除去装置1のように、隙間Dの最深部15を深くすることで、刃13と刃13との間に設けられた隙間Dを大きく確保すれば、被覆層4の外表面4aを含む部分を切削することや擦り取ることによって生じた切削くず等を、より多く効果的に逃がすことができる。特に、本実施形態に係る被覆層除去装置1では、隙間Dの最深部15は、被覆層除去工具10の後方に向かうに従って径方向外側に傾斜する傾斜面で形成している。これにより、切削くず等を、更に多く効果的に逃がすことができ、本管3と筒体11の間に切削くず等が挟まることを抑制できる。
また、本実施形態に係る被覆層除去装置1のように、擦り取り部Bを、回転軸の周方向に延在して回転軸に向かって突出した突起14とすれば、簡易な構成で、被覆層4を融着させることなく、本管3から被覆層4を除去することができる。特に、本実施形態に係る被覆層除去装置1のように、擦り取り部Bを、複数の突起14とすれば、本管3又は被覆層4の残部と擦り取り部Bとの接触面積を抑制しつつ、被覆層4の残部を擦り取れることで、擦り取り時に発せられる熱を、より抑えることができる。
また、本実施形態に係る被覆層除去装置1のように、切削部Aの刃13の刃元13aに擦り取り部Bを隣接して設ければ、複合管2が切削時及び擦り取り時に擦り取り部B、すなわち、複数の突起14によって保持されるため、簡易な構成で、切削時及び擦り取り時に芯ずれが起き難く、被覆層4を均等な厚さで切削及び擦り取りを行うことが可能になる。このため、被覆層4を融着させることなく、本管3から被覆層4をより確実に除去することができる。
また、本実施形態に係る被覆層除去装置1のように、本管3と切削部Aとの相対移動、又は、本管3と擦り取り部Bとの相対移動、本実施形態では、本管3と切削部A及び擦り取り部Bとの相対移動により、本管3の先端3aと当接可能な当接部40を設ければ、複合管2(本管3)を被覆層除去装置1から抜き出して、本管3の形成状況を確認することなく、被覆層4を除去する長さを容易に設定することができる。なお、ここで、「本管3と切削部Aとの相対移動、又は、本管3と擦り取り部Bとの相対移動」とは、本実施形態の場合は勿論、切削部Aと擦り取り部Bとを別体の工具として動作させた場合、複合管2を回転させ、若しくは、複合管2及び被覆層除去工具10を互いに回転させる場合、又は、これらを組み合わせた場合等を含むことを意味する。
また、本実施形態に係る被覆層除去工具10は、切削部Aと、擦り取り部Bと、を一体に備えている。本実施形態に係る被覆層除去工具10によれば、被覆層除去装置1の中心線O1方向における刃13と擦り取り部Bの2箇所で本管3が保持されることとなり、被覆層除去装置1の中心線O1と本管3の中心線O3とを一致させやすくすることができ、本管3から被覆層4を本管3の周方向で均一に除去しやすくすることができる。しかも、この場合、モータ等の動力源以外にも、既存の電動ドリルや電動ドライバー等の電動工具を駆動手段として採用することで、被覆層除去装置を構成することができる。
特に、本実施形態に係る被覆層除去工具10では、図2(a),(b)に示すように、機械加工筒11は、被その内外周面が前方(複合管2が挿入される側(図2(b)の右側))に向かって先細りする円筒形を有している。この場合、本管3を被覆層除去工具10内に挿入するに従って本管3から機械加工筒11の外周面は被覆層除去工具10の中心線O1から径方向外側に離間していくので、例えば、切削工程の際に、本管3から被覆層4を容易に除去することができる。但し、機械加工筒11は、本実施形態のように、機械加工筒11の外周にテーパーを付けたものに限定されることなく、例えば、機械加工筒11の外周を同径としたストレートのものでもよい。また、固定板12は、円形のディスクとして形成されているが、固定板12の具体的な形状は、適宜選択をすることができる。なお、符号10aは、締結要素Cを貫通又は固定させるための締結用穴である。
また、本実施形態に係る本管3の形成方法は、例えば、本実施形態に係る被覆層除去装置1を用いて、或いは、本実施形態に係る被覆層除去工具10を採用した、他の被覆層除去装置を用いて、実行することができる。そして、上述した切削工程及び擦り取り工程によれば、被覆層4が融着することなく、被覆層4が除去された本管3を形成することができる。
上述したところは、本発明のいくつかの実施形態を開示したにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、被覆層除去工具10を駆動手段の入力要素20に取り付ける手段は、本実施形態のような締結要素Cを用いたものに限定されることなく、様々な手段を用いることで、被覆層除去工具10を駆動手段に連結することができる。また、本発明の他の実施形態に係る被覆層除去装置によれば、センタリング部材30を省略することができる。本発明の更に他の実施形態に係る被覆層除去装置によれば、本実施形態に係る被覆層除去工具10に代えて、切削部及び擦り取り部をそれぞれ、別の工具とすることで構成することができる。
更に、本発明に係る、棒状体の形成方法は、本実施形態のように、切削部A及び擦り取り部Bを一体に備える被覆層除去工具10を用いることで、切削工程及び擦り取り工程をそれぞれ、連続する一連の工程として行うことが好ましいが、切削部Aと擦り取り部Bとをそれぞれ、別体の工具で構成することで、切削工程及び擦り取り工程の2つの工程が間断なく連続する一連の工程ではなく、2つの工程の間にインターバルが入った非連続的な工程とすることもできる。また、本発明に係る、被覆層除去装置、被覆層除去工具、及び、棒状体の形成方法の適用範囲は、棒状体の外表面を含む部分から被覆層を除去する場合は勿論、棒状体そのものからその外表面の一部を被覆層として除去する場合も含まれる。
本発明は、円形の断面形状を有する棒状体の外表面を被覆する被覆層を除去するための、被覆層除去装置、この被覆層除去装置に用いられる被覆層除去工具、及び、被覆層を除去して棒状体を形成するための棒状体の形成方法であれば、様々な装置、工具及び形成方法として適用することができる。
1;被覆層除去装置, 2;複合管, 3;本管(棒状体), 3a;本管の先端, 4;被覆層, 10;被覆層除去工具, 10A;貫通穴, 11;筒体, 12;固定板, 13;刃(切削部), 13a;刃元(切削部の後端), 13b;刃先(切削部の先端), 14;突起(擦り取り部), 20;駆動手段の入力要素, 30;センタリング部材, 30A;貫通穴, 40;当接部, A;切削部, B;擦り取り部, D;隙間, O1;被覆層除去工具の中心線(回転軸), O3;本管の中心線(回転軸)

Claims (8)

  1. 円形の断面形状を有する棒状体の外表面を被覆する被覆層を除去する被覆層除去装置であって、
    前記棒状体の長手方向に沿った方向を回転軸として前記棒状体に対して相対回転するとともに前記回転軸の方向に当該棒状体に対して相対移動することにより、前記被覆層の外表面を含む部分を切削する切削部と、
    前記回転軸の方向に当該棒状体に対して相対移動することにより、前記被覆層の残部を擦り取る擦り取り部と、
    を有する、ことを特徴とする、被覆層除去装置。
  2. 前記被覆層は、前記棒状体が前記回転軸の一方側へ向かって当該回転軸の他方側から移動することで前記切削部により切削され、
    前記切削部は、前記切削部の一方側端部から前記切削部の他方側端部に向かうに従って前記回転軸から離間するように延在する刃を備える、請求項1に記載の被覆層除去装置。
  3. 前記刃は、前記回転軸の周方向に間隔を置いて配置される、請求項2に記載の被覆層除去装置。
  4. 前記擦り取り部は、前記回転軸の周方向に延在して前記回転軸に向かって突出した、突起である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の被覆層除去装置。
  5. 前記刃の一方側に前記擦り取り部が隣接して設けられる、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の被覆層除去装置。
  6. 前記棒状体と前記切削部との相対移動、又は前記棒状体と前記擦り取り部との相対移動により、当該棒状体の一方側の先端と当接可能な当接部を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の被覆層除去装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の被覆層除去装置に配設され、
    前記切削部と、
    前記擦り取り部、
    とを一体に備える、被覆層除去工具。
  8. 円形の断面形状を有する棒状体の外表面を被覆する被覆層の外表面を含む部分を切削する切削工程と、
    前記被覆層の残部を擦り取る擦り取り工程、
    とを備える、棒状体の形成方法。
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