JP2017070000A - 回転電機の制御装置 - Google Patents

回転電機の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017070000A
JP2017070000A JP2015189564A JP2015189564A JP2017070000A JP 2017070000 A JP2017070000 A JP 2017070000A JP 2015189564 A JP2015189564 A JP 2015189564A JP 2015189564 A JP2015189564 A JP 2015189564A JP 2017070000 A JP2017070000 A JP 2017070000A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
harmonic
order
current
amplitude
phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015189564A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6459878B2 (ja
Inventor
辰也 戸成
Tatsuya Tonari
辰也 戸成
龍之介 秋松
Ryunosuke Akimatsu
龍之介 秋松
智裕 内田
Tomohiro Uchida
智裕 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asmo Co Ltd
Denso Corp
Original Assignee
Asmo Co Ltd
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asmo Co Ltd, Denso Corp filed Critical Asmo Co Ltd
Priority to JP2015189564A priority Critical patent/JP6459878B2/ja
Publication of JP2017070000A publication Critical patent/JP2017070000A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6459878B2 publication Critical patent/JP6459878B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Abstract

【課題】モータの磁石温度が変化しても、騒音の発生要因となる電磁力を適切に低減可能な回転電機の制御装置を提供する。【解決手段】磁石12aの温度を取得する温度取得部と、巻線12U,12V,12Wに流す基本波電流を算出する基本波算出部と、回転電機10に作用する電磁力を抑制するように、前記基本波算出部により算出された前記基本波電流に重畳する高調波電流を算出する高調波算出部と、前記基本波算出部により算出された基本波電流に、前記高調波算出部により算出された前記高調波電流を重畳した駆動電流が、巻線12U,12V,12Wに流れるように電力変換器20を操作する操作部と、を備え、前記高調波算出部は、予め取得されている相間関係であって磁石12aの温度に対する前記高調波電流の振幅及び位相を示す相間関係と、前記温度取得部により取得された磁石12aの温度とに基づいて、前記高調波電流の振幅及び位相を算出する。【選択図】 図1

Description

本発明は、回転電機の制御装置に関する。
従来、モータに作用する径方向の電磁力を抑制して、モータの騒音を低減するモータの制御装置が提案されている。その一例として、特許文献1に記載のモータの制御装置がある。特許文献1に記載のモータの制御装置は、インナーロータ型モータに適用される制御装置であり、騒音抑制のために、ステータに作用する径方向の6M次(Mは自然数)の電磁力を低減することが効果的であることに着目し、6M次の電磁力を低減している。具体的には、特許文献1に記載のモータ制御装置は、トルク指令値及びモータ回転速度に基づいて算出した基本波電流に、基本波電流の回転角速度の「6M−1」又は「6M+1」(Mは自然数)倍の角速度を持つ高調波電流を重畳して、ステータに作用する「6M」次の電磁力を低減している。このようなモータの騒音は、アウタロータ型モータの場合、ロータに作用する径方向の電磁力が主な発生要因となる。アウタロータ型モータの場合も、インナーロータ型モータと同様に、基本波電流に高調波電流を重畳して、ロータに作用する径方向の電磁力を低減することで、騒音を抑制することができる。
特開2007−312520号公報
モータが回転角速度一定の状態で駆動していても、モータの磁石温度が変化すると、モータに作用する電磁力の大きさも変化する。よって、モータの磁石温度が変化すると、磁石温度が変化する前と同じ条件の高調波電流を基本波電流に重畳しても、十分な低減効果が得られない、もしくは騒音が悪化するおそれがある。
本発明は、上記実情に鑑み、モータの磁石温度が変化しても、騒音の発生要因となる電磁力を適切に低減可能な回転電機の制御装置を提供することを主たる目的とする。
本発明は、巻線(12U,12V,12W)が巻回された固定子(12)及び磁石(14a)を含んだ回転子(14)を有する回転電機(10)と、前記巻線に駆動電流を流して前記回転電機を駆動する電力変換器(20)と、を備える回転電機システムに適用される回転電機の制御装置(30)であって、前記磁石の温度を取得する温度取得部と、前記回転電機に作用する電磁力を抑制するように、前記巻線に流す基本波電流に重畳する高調波電流を算出する高調波算出部と、前記巻線に流す基本波電流に、前記高調波算出部により算出された前記高調波電流を重畳したものを前記駆動電流とし、前記駆動電流が前記巻線に流れるように前記電力変換器を操作する操作部と、を備え、前記高調波算出部は、予め取得されている相間関係であって前記磁石の温度に対する前記高調波電流の振幅及び位相を示す相間関係と、前記温度取得部により取得された前記磁石の温度とに基づいて、前記高調波電流の振幅及び位相を算出する。
本発明によれば、巻線に流す基本波電流に重畳される高調波電流が算出される。さらに、巻線に流す基本波電流に高調波電流が重畳された電流が駆動電流とされ、駆動電流が回転電機の巻線に流されて、回転電機が駆動される。
ここで、回転子の磁石温度と重畳する高調波電流の振幅及び位相との相間関係が予め取得されており、予め取得されている相間関係と取得された磁石温度とに基づいて、重畳する高調波電流の振幅及び位相が算出される。すなわち、磁石温度に応じた高調波電流が算出される。よって、磁石温度が変化した場合でも、磁石温度の変化に対応した高調波電流が基本波電流に重畳される。そのため、磁石温度が変化しても、騒音の発生要因となる電磁力を適切に低減することができる。
モータシステムの構成を示す図。 モータの鉛直断面図。 モータの円環モードを示す図。 10次及び12次の電磁力を低減する場合における、電磁力の変換手法を示す図。 10次及び12次の電磁力を低減する場合における、磁石温度と11次の高調波電流の振幅との関係を示す図。 10次及び12次の電磁力を低減する場合における、磁石温度と11次の高調波電流の位相との関係を示す図。 高調波電流が重畳された基本波電流の推移を示す図。 14次及び12次の電磁力を低減する場合における、電磁力の変換手法を示す図。 10次及び12次の電磁力を低減する場合における、磁石温度及び基本波電流の振幅と高調波電流の振幅との関係を示す図。 10次及び12次の電磁力を低減する場合における、磁石温度及び基本波電流の振幅と高調波電流の位相との関係を示す図。
(第1実施形態)
以下、回転電機の制御装置を具現化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各実施形態に係る制御装置は、車載空調装置を構成するブロワ用モータに適用することを想定している。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
まず、本実施形態に係るモータシステム(回転電機システム)の構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。本実施形態に係るモータシステムは、モータ10、インバータ20、回転角センサ50、温度センサ51及び制御装置30を備える。
モータ10は、三相の集中巻の永久磁石同期機であり、インバータ20を介して直流電源であるバッテリ80から電力の供給を受けて駆動する。図2は、モータ10を、回転軸に垂直な断面で切断した断面図である。中心点Оは、回転軸が通る点である。モータ10は、ステータ12(固定子)及び円環状のロータ14(回転子)を備えている。また、本実施形態において、モータ10は、極対数Pが「5」で、スロット数Sが「12」のモータを採用している。
ロータ14は、ロータ14及びステータ12の径方向において、ステータ12の外側にステータ12に対してギャップを有して配置されている。ロータ14は、ロータ14の周方向に並べられた複数個の永久磁石14aと、複数個の永久磁石14aを連結する軟磁性体のバックヨーク14bとを備えている。本実施形態では、永久磁石14aの個数は10個となっている。各永久磁石14aは、互いに同一形状であり、1つの磁極を構成している。永久磁石14aは、ロータ14の径方向に着磁され、周方向に隣り合う永久磁石14aの極性は、互いに異なる極性となっている。すなわち、ロータ14の周方向において、S極の永久磁石14aとN極の永久磁石14aとが交互に配置されている。なお、図2において、永久磁石14a上に記載されている矢印は、S極からN極の向きを示す。
ステータ12は、12個のティース12aと12個のスロット12bとを備えている。12個のスロット12bの幅は等しく、ティース12aとスロット12bは、ステータ12の周方向に交互に配置されている。すなわち、ティース12aは、ステータ12の周方向に等間隔で配置されている。そして、ティース12aには、三相の巻線12U,12V,12Wが巻回されている。
インバータ20(電力変換器)は、三相のインバータであり、上アームスイッチSUpと下アームスイッチSUnの直列体、上アームスイッチSVpと下アームスイッチSVnの直列体、及び上アームスイッチSWpと下アームスイッチSWnの直列体を、備えている。各直列体は、バッテリ80に対して並列に接続されている。各スイッチとしては、IGBTやMOSFET等の半導体スイッチング素子を採用することができる。また、各直列体の接続点は、ステータ12の巻線12U,12V,12Wの第1端にそれぞれ接続されている。巻線12U,12V,12Wの第2端同士は、中性点Nで接続されている。
制御装置30は、CPU、ROM,RAM及びI/O等を備えたマイクロコンピュータ、並びに不揮発性メモリ等の記憶装置41等から構成されており、モータ10の制御量をその指令値に制御するように、インバータ20を操作する。本実施形態では、モータ10の制御量を、回転角速度としており、制御装置30には、レゾルバ等の回転角センサ50により検出されたロータ14の磁極位置に応じた検出信号が入力される。
制御装置30は、CPUがROMに記憶されているプログラムを実行することにより、後述する各機能を実現して、回転角速度を指令角速度ωm*に制御する。各機能は、電気角演算器31、角速度演算器32、偏差算出部33、基本波電圧算出部34、第1高調波電流算出部35、第2高調波電流算出部36、第1高調波電圧算出部37、第2高調波電圧算出部38、第1重畳部39a、第2重畳部39b及び変調部40である。
電気角演算器31は、回転角センサ50から受信した検出信号に基づいて、モータ10の回転角である電気角θeを算出する。角速度演算器32は、電気角演算器31により算出された電気角θeを時間微分して、モータ10の回転角速度ωmを算出する。回転角速度ωmは、機械角速度である。
偏差算出部33は、指令角速度ωm*から、角速度演算器32により算出されたモータ10の実際の回転角速度ωmを差し引いて、速度偏差Δωを算出する。指令角速度ωm*は、制御装置30よりも上位の外部装置から制御装置30へ送信される。詳しくは、ユーザが車載空調装置の風量を選択すると、選択した風量に対応した指令角速度ωm*が、制御装置30へ送信される。
基本波電圧算出部34は、速度偏差Δω、電気角θe及び回転角速度ωmに基づいて、回転角速度ωmを指令角速度ωm*にフィードバック制御するための操作量として、式(1)で表される3相高低座標系におけるU,V,W相の基本波電圧VUB,VVB,VWBを算出する。詳しくは、基本波電圧算出部34は、速度偏差Δωの比例積分制御(PI制御)により、電気角一周期に渡る基本波電圧VUB,VVB,VWBを算出する。ここでは、各基本波電圧VUB,VVB,VWBの変動角速度の算出に、電気角速度ωeが用いられる。電気角速度ωeは、入力された回転角速度ωmに極対数Pを乗算した値として算出すればよい。そして、算出された各基本波電圧VUB,VVB,VWBを、入力された電気角θeに対応させて出力する。各基本波電圧VUB,VVB,VWBは、最大振幅がVaで波形形状が互いに同一であってかつ、電気角で位相が互いに「2π/3」ずれた波形となっている。
巻線12U,12V,12Wのそれぞれに、式(1)に示す基本波電圧VUB,VVB,VWBを印加すると、式(2)に示す基本波電流IUB,IVB,IWBが流れる。
ここで、モータ10の巻線12U,12V,12Wに電流が流れ、回転磁界が生成されると、ロータ14に径方向の電磁力が作用する。この電磁力は、ロータ14の周方向において変動する力であり、ロータ14をステータ12の方に引き付ける吸引力、及びロータ14をステータ12から引き離す反発力として作用し、弾性体であるロータ14を振動させる加振力となる。この電磁力の周波数が、ロータ14の円環モードの共振周波数と一致する場合、モータ10の騒音、詳しくは磁気音が増大するおそれがある。以下、円環モードについて説明する。
円環モードは、ロータ14の径方向に加わる加振力に起因して、ロータ14に生じる周期的な変動のモードである。図3に、円環モードの例として、1〜4次の円環モードを示す。図3は、ロータ14の鉛直断面の模式図である。図3において、破線は、ロータ14に加振力が作用していない状態におけるロータ14の形状(以下、原形状という)を示し、実線は、ロータ14に加振力が作用している状態におけるロータ14の形状を示す。また、一点鎖線は、ロータ14に加振力が作用してロータ14が変位する状態で、互いにπだけ離間する二つの節を結ぶ節線である。隣接する節同士の中間点が腹となる。節の部分においては、ロータ14に加振力が作用しても、ロータ14は原形状からほとんど変位しない。
1次の円環モードは、ロータ14が、回りつつ1本の節線を基準として変位するモードである。詳しくは、1次の円環モードは、原形状に対して、1か所の腹が径方向に伸長するとともに、伸長する腹からπだけ離間した1か所の腹が径方向に収縮するモードである。2次の円環モードは、ロータ14が、回りつつ2本の節線を基準として変位するモードである。詳しくは、2次の円環モードは、原形状に対して、互いにπだけ離間した2か所の腹が径方向に伸長するとともに、伸長する2か所の腹から「π/2」だけ離間した2か所の腹が径方向に収縮するモードである。
3次の円環モードは、ロータ14が、回りつつ3本の節線を基準として変位するモードである。詳しくは、3次の円環モードは、原形状に対して、「2π/3」間隔で離れた3か所の腹が径方向に伸長するとともに、伸長する3か所の腹から「π/3」だけ離間した3か所の腹が径方向に収縮するモードである。4次の円環モードは、ロータ14が、回りつつ4本の節線を基準として変位するモードである。詳しくは、4次の円環モードは、原形状に対して、「π/2」間隔で離れた4か所の腹が径方向に伸長するとともに、伸長する4か所の腹から「π/4」だけ離間した4か所の腹が径方向に収縮するモードである。X(Xは自然数)次の円環モードを生じさせる加振力は、吸引力の増加する箇所と吸引力の減少する箇所との角度間隔が、「π/X」となる力である。
これらの円環モードは、それぞれ固有の共振周波数(共振角速度)を有している。そして、各円環モードを生じさせる加振力の周波数が、各円環モードの共振周波数近傍となることで、ロータ14の共振現象が生じる。加振力の実際の周波数が共振周波数近傍となる場合、モータ10の磁気音が増大し、可聴周波数帯域におけるノイズレベルが大きくなる等の問題が生じる。そのため、各円環モードの共振周波数近傍となる周波数の電磁力を低減することが望まれる。
また、一般に同期モータでは、電流による磁束と磁石による磁束との相互作用に起因して、6M(Mは正の整数)次のトルクリップルが発生することが知られている(特許文献1等参照)。よって、6M次の電磁力が騒音の要因となりやすいため、6M次の電磁力を低減させることが望まれる。ここでは、基本波電流IUB,IVB,IWBの変動角速度のK倍(Kは2以上の整数)の変動角速度をK次角速度とし、K次角速度を変動角速度とする電磁力をK次の電磁力とする。また、K次角速度を変動角速度とする電流をK次の高調波電流とする。なお、ロータ14の径方向に作用する電磁力の主要成分は、偶数次数の電磁力であることが知られている。
上述したように、各円環モードの共振周波数近傍となる周波数の電磁力、及び6M次の電磁力が磁気音の要因となりやすいため、これらの電磁力を低減することが望まれる。特に、本実施形態において、モータ10は、車載空調装置のブロワ用モータとして用いられ、車室内に設置されている。そのため、快適な車室内環境を実現するためには、磁気音の要因となる電磁力を低減することが望まれる。
ここで、特許文献1では、「6M−1」次又は「6M+1」次の高調波電流を基本波電流に重畳させて、6M次の電磁力を低減させている。以下、「6M−1」次の高調波電流を基本波電流に重畳させて、6M次の電磁力を低減させる手法について説明する。次の式(3)は、β次の高調波電流を表す。
「β=6M−1」とする場合、高調波電磁力FHは次の式(4)となる。
式(4)は、「6M−1」次の高調波電流を、巻線12U,12V,12Wに流すと、「6M」次及び「6M−2」次の電磁力が、ロータ14に作用することを表している。すなわち、「6M−1」次の高調波電流の係数e,fを調整することにより、「6M」次及び「6M−2」次の電磁力を制御できることを表している。特許文献1では、係数e,fを調整して、「6M」次の電磁力を低減させている。
しかしながら、「6M」次の電磁力を低減させると、「6M−2」次の電磁力が増大する。すなわち、「6M」次の電磁力が、「6M−2」次の電磁力に変換される。そのため、「6M−2」次が共振周波数近傍の周波数であった場合、モータ10の騒音が増大するおそれがある。
一方、「6M−2」次が共振周波数近傍の周波数であった場合、係数e,fを調整して、「6M−2」次の電磁力を低減させると、「6M」次の電磁力が増大する。すなわち、「6M−2」次の電磁力が、「6M」次の電磁力に変換される。「6M」次は、トルクリップルの次数であるとともに、共振周波数近傍から十分に離れていないことがある。そこで、「6M−2」次及び「6M」次の両方の電磁力を低減する手法として、「6M−2」次の電磁力を「6M」次の電磁力に変換し、さらに、「6M」次の電磁力を、他の次数の電磁力に変換することが考えられる。
「6M−1」次の高調波電流を巻線12U,12V,12Wに流すことにより、「6M−2」次及び「6M」次の電磁力がロータ14に作用したように、「6M+1」次の高調波電流を巻線12U,12V,12Wに流すことにより、「6M」次及び「6M+2」次の電磁力がロータ14に作用する。すなわち、「6M+1」次の高調波電流の係数e,fを調整することにより、「6M」次及び「6M+2」次の電磁力を制御できる。よって、「6M−1」次の高調波電流をモータ10に流すことにより、「6M−2」次の電磁力を「6M」次の電磁力に転換するとともに、「6M+1」次の高調波電流をモータ10に流すことにより、「6M」次の電磁力を「6M+2」次の電磁力に転換できる。すなわち、「6M−2」次及び「6M」次の電磁力を低減することができる。さらに、「6M+3」次以降の奇数次数の高調波電流をモータ10に流せば、「6M+4」次以降の偶数次数の電磁力も低減できる。
このように、複数の奇数次数の高調波電流を基本波電流に重畳させることにより、所定の範囲の偶数次の電磁力を低減することができる。詳しくは、「L」次(Lは2以上の偶数)から、「L」次よりも大きい「N−2」次(NはLと異なる2以上の偶数)までの電磁力を抑制範囲とした場合は、「L」次から「N」次までに含まれる複数の連続する奇数次数の高調波電流を、基本波電流に重畳すればよい。このようにすると、「L」次から「N−2」次までの電磁力が順次転換されて、「N」次の電磁力になる。よって、「L」次から「N−2」次までの電磁力を低減することができる。
本実施形態では、図4に示すように、「6M−2」次を共振周波数近傍の周波数として、「6M−2」次及び「6M」次の電磁力を抑制範囲とし、「6M−1」次及び「6M+1」次の高調波電流を基本波電流に重畳させる。本実施形態では、図4に示すように、M=2とした例を示す。すなわち、本実施形態では、10次(「6M−2」次)及び12次(「6M」次)の電磁力を抑制範囲とし、11次(「6M−1」次)及び13次(「6M+1」次)の高調波電流を基本波電流に重畳させて、抑制範囲の電磁力を14次の電磁力に転換する例を示す。本実施形態では、11次の高調波電流を第1高調波電流IUH1,IVH1,IWH1とし、13次の高調波電流を第2高調波電流IUH2,IVH2,IWH2とする。なお、ここで示す次数は、極対数P=1とした場合の次数である。実際には、極対数P=5の場合は、極対数P1とした場合の5倍の次数となる。
ここで、モータ10の負荷が一定となるような一定回転速度時であっても、永久磁石14aの温度が変化すると、永久磁石14aの性能が変化し、発生する電磁力が変化する。発生する電磁力が変化すれば、基本波電流に重畳すべき高調波電流も変化する。そのため、モータ10の所定温度の動作点において式(3)及び式(4)から高調波電流を算出した場合、永久磁石14aの温度が変化すると、所定温度の動作点において算出した高調波電流を基本波電流に重畳させても、適切に抑制範囲の電磁力を低減できないおそれがある。
よって、永久磁石14aの温度に応じて、基本波電流に重畳する高調波電流を設定する必要がある。そこで、本実施形態では、永久磁石14aの温度と、重畳する高調波電流の振幅及び位相との相間関係を予め用意することにした。第1高調波電流の振幅をI11、位相をβ11とし、第2高調波電流の振幅をI13、位相をβ13とすると、第1高調波電流IUH1及び第2高調波電流IUH2は、式(5)のようになる。高調波電流の振幅は最大振幅、位相は例えば電気角0°を基準とした位相である。第1高調波電流IUH1,IVH1,IWH1は、波形形状が互いに同一であってかつ、電気角で位相が互いに「2π/3」ずれた波形となる。第2高調波電流IUH2,IVH2,IWH2も同様となる。
以下、本実施形態において、基本波電流IUB,IVB,IWBに重畳させる、第1高調波電流IUH1,IVH1,IWH1、及び第2高調波電流IUH2,IVH2,IWH2を算出する手法を説明する。第1高調波電流算出部35は、11次の第1高調波電流IUH1,IVH1,IWH1を算出する。また、第2高調波電流算出部36は、13次の第2高調波電流IUH2,IVH2,IWH2を算出する。
詳しくは、本実施形態では、11次の高調波電流を主高調波電流として、11次の高調波電流の振幅I11及び位相β11のそれぞれと、磁石温度Tとの関係を近似した主近似式又はマップを、記憶装置41に予め格納しておく。図5に、磁石温度Tと11次の高調波電流の振幅I11との相間関係を示す。また、図6に、磁石温度Tと11次の高調波電流のβ11との相間関係を示す。これらの相間関係は、所定温度の動作点において、式(3)及び式(4)から算出した高調波電流を、温度の変化に応じて補正したものとなる。これらの相関関係は、予め実験やシミュレーションにより取得されている。
図5及び図6に示す相関関係を表す主近似式は、次の式(6)及び式(7)で表される。式(6)及び式(7)において、iは次数であり、Ki及びAiは近似係数である。記憶装置41には、式(6)及び式(7)で表される主近似式、又は図5及び図6の相関関係を示すマップが、指令角速度ωm*と関連付けられて格納される。詳しくは、記憶装置41には、主近似式として、所定の次数まで展開した近似式が格納される。例えば、2次までの近似式とした場合、主近似式は式(8)及び式(9)のようになる。
第1高調波電流算出部35は、温度センサ51により検出された磁石温度を取得する。そして、第1高調波電流算出部35は、取得した磁石温度Tと、記憶装置41に格納されている主近似式又はマップとに基づいて、11次の高調波電流の振幅I11及び位相β11を算出する。
なお、磁石温度は、永久磁石14aの温度を直接検出しなくてもよい。巻線の温度を検出し、巻線の温度を補正して磁石温度を取得してもよい。また、モータ10が冷却オイルにより冷却されている場合には、冷却オイルの温度を検出し、冷却オイルの温度を補正して磁石温度を取得してもよい。あるいは、モータ10の回転速度及び電圧指令値と磁石温度との公知の関係式を用いて、磁石温度を推定してもよい。
さらに、11次の高調波電流の振幅I11と13次の高調波電流の振幅I13との関係、及び11次の高調波電流の位相β11と13次の高調波電流の位相β13との関係を近似した副近似式を、指令角速度ωm*と関連付けて記憶装置41に予め格納しておく。副近似式は、次の式(10)及び式(11)で表される。Kaは補正係数、Δβaは補正項である。
第2高調波電流算出部36は、第1高調波電流算出部35により算出された振幅I11及び位相β11、並びに指令角速度ωm*に対応する式(10)及び(11)から、振幅I13及び位相β13を算出する。なお、13次の高調波電流を主高調波電流(第1高調波電流)とし、近似式(6)及び(7)を、13次の高調波電流の振幅I13及び位相β13のそれぞれと、磁石温度との相関関係を近似した主近似式としてもよい。
あるいは、11次の高調波電流の振幅I11及び位相β11と同様に、13次の高調波電流の振幅I13及び位相β13のそれぞれと、磁石温度との関係を近似した近似式又はマップを、指令角速度ωm*と関連付けて記憶装置41に予め格納しておいてもよい。そして、第2高調波電流算出部36は、温度センサ51により検出された磁石温度と、記憶装置41に格納されている近似式又はマップとに基づいて、13次の高調波電流の振幅I13及び位相β13を算出してもよい。
本実施形態では、第1高調波電流算出部35及び第2高調波電流算出部36が、高調波算出部に相当する。また、記憶装置41が記憶部に相当し、第1高調波電流算出部35が温度取得部に相当する。
第1高調波電圧算出部37は、モータの電圧方程式を用いて、第1高調波電流算出部35により算出された第1高調波電流IUH1,IVH1,IWH1を、第1高調波電圧VUH1,VVH1,VWH1に変換する。同様に、第2高調波電圧算出部38は、第2高調波電流IUH2,IVH2,IWH2を、第2高調波電圧VUH2,VVH2,VWH2に変換する。
第1重畳部39aは、基本波電圧算出部34により算出された基本波電圧VUB,VVB,VWBに、第1高調波電圧算出部37により算出された第1高調波電圧VUH1,VVH1,VWH1を、それぞれ加算する。第2重畳部39bは、第1重畳部39aの出力電圧であるVUB+VUH1,VVB+VVH1,VWB+VWH1に、第2高調波電圧算出部38により算出された第2高調波電圧VUH2,VVH2,VWH2を、それぞれ加算する。第2重畳部39bの出力電圧であるVUB+VUH1+VUH2,VVB+VVH1+VVH2,VWB+VWH1+VWH2が、それぞれ巻線12U,12V,12Wに印加する電圧の指令電圧VU,VV,VWとなる。
巻線12U,12V,12Wに指令電圧VU,VV,VWを印加することにより、基本波電流に高調波電流が重畳された駆動電流IU,IV,IWが流れる。駆動電流IU,IV,IWは、それぞれ、IUB+IUH1+IUH2,IVB+IVH1+IVH2,IWB+IWH1+IWH2である。図7に、U相の駆動電流IUを示す。V相の駆動電流IV及びW相の駆動電流IWは、駆動電流IUと波形形状が同一で、電気角において位相が「2π/3」ずれた波形となる。
変調部40は、インバータ20の各相の出力電圧を、U相の指令電圧VUとするための操作信号gUp,gUn、V相の指令電圧VVとするための操作信号gVp,gVn、及びW相の指令電圧VWとするための操作信号gWp,gWnを生成する。本実施形態では、各指令電圧VU,VV,VWとキャリア信号との比較に基づいたPWM処理によって、各操作信号を生成する。操作信号gUp,gUn,gVp,gVn,gWp,gWnは、それぞれ、スイッチSUp,SUn,SVp,SVn,SWp,SWnのオン・オフを制御するゲート駆動信号である。変調部40により生成された各操作信号が、インバータ20の各スイッチに送信されることにより、駆動電流IU,IV,IWが、それぞれ巻線12U,12V,12Wに流れるように、インバータ20の各スイッチが操作される。なお、本実施形態では、変調部40が操作部に相当する。
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)磁石温度に応じた高調波電流が算出される。よって、磁石温度が変化した場合でも、磁石温度の変化に対応した高調波電流が基本波電流に重畳される。そのため、磁石温度が変化しても、騒音の発生要因となる電磁力を適切に低減することができる。
(2)「L」次からLよりも大きい「N−2」次までが抑制範囲とされた場合に、「L」次から「N」次までに含まれる複数の奇数の次数の高調波電流が算出される。このように、基本波電流に複数の奇数の次数の高調波電流を重畳することにより、抑制範囲の電磁力が、抑制範囲の外側の「N」次の電磁力に変換される。よって、抑制範囲の電磁力を適切に抑制することができる。
(3)重畳する全ての高調波電流の相間関係を表すマップを記憶しておく場合、使用メモリ量が膨大になる。これに対して、マップを用いないで近似式のみを用いる、又は主高調波電流のみマップを用いて他の高調波電流は近似式を用いることにより、使用メモリ量を低減することができる。
(4)主高調波電流以外の高調波電流について、主高調波電流の振幅及び位相との関係を表す近似式を用いる場合、演算負荷を軽減することができる。
(5)重畳する全ての高調波電流について、各高調波電流の相間関係を表す近似式を用いる場合、使用メモリ量を抑制しつつ、適切な複数の高調波電流を算出することができる。
(6)「6M−2」次及び「6M」次の電磁力を抑制範囲とした場合、「6M−1」次及び「6M+1」次の高調波電流を基本波電流に重畳することにより、抑制範囲の電磁力を「6M+2」次の電磁力に変換できる。
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態では、「L」次からLよりも大きい「N−2」次までの電磁力を抑制範囲とし、「L」次から「N」次までに含まれる複数の奇数次数の高調波電流を基本波電流に重畳させて、抑制範囲の電磁力を「N」次の電磁力に転換させた。特に、第1実施形態では、「6M−2」次及び「6M」次の電磁力を抑制範囲とし、「6M−1」次及び「6M+1」次の高調波電流を基本波電流に重畳させて、抑制範囲の電磁力を「6M+2」次の電磁力に転換させる例を示した。本変形例では、「L」次からLよりも小さい「N+2」次までの電磁力を抑制範囲とし、「L」次から「N」次までに含まれる複数の奇数次数の高調波電流を基本波電流に重畳させる例を示す。
特に、本変形例では、図8に示すように、「6M+2」次及び「6M」次の電磁力を抑制範囲とし、「6M+1」次及び「6M−1」次の高調波電流を基本波電流に重畳させて、抑制範囲の電磁力を「6M−2」次の電磁力に転換させる。さらに、本変形例では、図8に示すように、M=2とした例を示す。すなわち、本変形例では、14次及び12次の電磁力を抑制範囲とし、13次及び11次の高調波電流を基本波電流に重畳させて、抑制範囲の電磁力を10次の電磁力に転換する例を示す。本変形例では、13次の高調波電流を第1高調波電流IUH1,IVH1,IWH1とし、11次の高調波電流を第2高調波電流IUH2,IVH2,IWH2とする。
第1高調波電流算出部35は、第1実施形態と同様に、振幅I13及び位相β13と磁石温度との相間関係を近似した主近似式又はマップから、振幅I13及び位相β13を算出して、13次の第1高調波電流IUH1,IVH1,IWH1を算出する。また、第2高調波電流算出部36も、第1実施形態と同様に、振幅I13と振幅I11との関係を表す副近似式、及び位相β13と位相β11との関係を表す副近似式から、振幅I11及び位相β11を算出して、11次の第2高調波電流IUH2,IVH2,IWH2を算出する。なお、転換先の電磁力の次数が異なるため、本変形例に係る主近似式又はマップと副近似式は、第1実施形態に係る主近似式又はマップと副近似式とは異なるものとなる。
なお、本変形例においても、第1実施形態と同様に、全ての高調波電流の振幅及び位相と温度との相間関係を表す近似式を用いてもよい。
以上説明した第1実施形態の変形例によれば、上記効果(1)〜(5)を奏するとともに、以下の効果(7)を奏する。
(7)「6M+2」次及び「6M」次の電磁力を抑制範囲とした場合、「6M−1」次及び「6M+1」次の高調波電流を基本波電流に重畳することにより、抑制範囲の電磁力を「6M−2」次の電磁力に変換できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るモータシステム及び制御装置30について、第1実施形態と異なる点を説明する。
本実施形態に係るモータシステムは、図1に破線で示すように、電流センサ15を備える。電流センサ15は、モータ10に流れる各相の駆動電流を検出する。また、本実施形態に係る制御装置30は、LPF42の機能を備えるとともに、第1高調波電流算出部35及び第2高調波電流算出部36の機能が異なる。
第1実施形態では、モータ10の回転速度が一定で且つ負荷が一定の場合において、磁石温度Tの変化に応じて高調波電流を変化させたが、モータ10の回転速度が一定であっても、モータ10の負荷が変動する場合がある。モータ10の負荷が変動すると、基本波電流の条件が変化するため、基本波電流に重畳すべき高調波電流も変化する。基本波電流の条件は、基本波電流の振幅や位相である。
モータ10の負荷が変動する要因としては、車載空調装置のモードの変更が挙げられる。車載空調装置の吹き出し口は、インストルメントパネルや後部座席の足元等にあり、車載空調装置のモードとしては、インストルメントパネルの吹き出し口から風を吹き出すフェイスモードや、後部座席の足元の吹き出し口から風を吹き出すフットモード等がある。よって、車載空調装置のモードが異なると、モータ10から吹き出し口までの流通経路の体積が異なり、風の流通抵抗が異なる。そのため、車載空調装置のモードを変化させると、モータ10の負荷が変化して、指令角速度ωm*が同じであっても、基本波電流の条件が変化する。また、車格によっても、モータ10から吹き出し口までの流通経路の体積が異なるため、異なる車種で同じ指令角速度ωm*が指令されても、基本波電流の条件は異なるものとなる。
よって、磁石温度Tだけでなく、モータ10を流れる基本波電流の条件にも応じて、基本波電流に重畳する高調波電流の振幅及び位相を設定する必要がある。そこで、車載空調装置のモード毎に、第1実施形態に係る主近似式又はマップや副近似式を、メモリに記憶しておく手法が考えられる。しかしながら、この手法の場合、車種ごとに高調波電流の主近似式やマップ等を作成しなければならず、工程の増加やコストの増加につながる。特に、主近似式をマップとした場合、保有マップ数が多くなり、使用メモリ量が膨大になるため、高グレードなマイコンが必要となりコストが増大する。
また、基本波条件に対する高調波電流の振幅及び位相の変化は、磁石温度Tに対して非線形となる。そのため、第1実施形態のように磁石温度Tに応じて算出した高調波電流の振幅及び位相を、基本波電流の条件に応じて更に変化させても、適切な高調波電流の振幅及び位相を算出することは困難である。すなわち、磁石温度Tと基本波電流の条件とで独立に、重畳する高調波電流の振幅及び位相を変化させても、適切な高調波電流の振幅及び位相を算出することは困難である。
そこで、本実施形態では、磁石温度Tと基本波電流の条件とに対する高調波電流の振幅及び位相を示す相間関係を予め取得し、この相間関係に基づいて高調波電流の振幅及び位相を算出する。本実施形態では、基本波電流の条件を振幅とし、位相によらず規格化した基本波電流の振幅、例えば電気角θeにおける振幅を電気角0°や90°における振幅に変換したものを用いる。なお、基本波電流の条件を振幅及び位相としてもよい。
以下、10次及び12次の電磁力を抑制範囲とし、11次及び13次の高調波電流を基本波電流に重畳させて、抑制範囲の電磁力を14次の電磁力に転換する例を示す。なお、第1実施形態の変形例のように、14次及び12次の電磁力を抑制範囲とし、13次及び11次の高調波電流を基本波電流に重畳させる場合も、本実施形態に係る高調波電流の算出手法を適用できる。
本実施形態では、11次の高調波電流を主高調波電流として、11次の高調波電流の振幅I11及び位相β11のそれぞれと、磁石温度T及び基本波電流の振幅Iとの関係を近似した主近似式又はマップを、指令角速度ωm*と関連付けて記憶装置41に予め格納しておく。図9に、磁石温度T及び基本波電流の振幅Iと11次の高調波電流の振幅I11との相間関係を示す。また、図10に、磁石温度T及び基本波電流の振幅Iと11次の高調波電流のβ11との相間関係を示す。図9及び図10において、磁石温度TはT1,T2,T3の値を取る。これらの相関関係は、予め実験やシミュレーションにより取得されている。
図9及び図10に示す相関関係を表す主近似式は、次の式(12)及び式(13)で表される。式(12)及び式(13)において、i,jは次数であり、Kij及びAijは近似係数である。記憶装置41には、式(12)及び式(13)で表される主近似式、又は図9及び図10の相関関係を示すマップが、指令角速度ωm*と関連付けられて格納される。詳しくは、記憶装置41には、式(12)及び式(13)を所定の次数まで展開した近似式が格納される。
第1高調波電流算出部35は、取得した磁石温度Tと、モータ10を流れる基本波電流の振幅Iと、記憶装置41に格納されている主近似式又はマップとに基づいて、11次の高調波電流の振幅I11及び位相β11を算出する。モータ10を流れる基本波電流の振幅Iは、電流センサ15により検出したモータ10を流れる駆動電流に、LPF42(ローパスフィルタ)を適用することにより取得される。本実施形態では、LPF42が基本波取得部に相当する。なお、モータ10を流れる基本波電流の振幅は、モータ10の回転速度及び電圧指令値と基本波電流の振幅との公知の関係式を用いて、推定してもよい。また、磁石温度T及び基本波電流の振幅Iの一方をセンサで検出し、他方を推定してもよい。この場合、磁石温度Tをセンサで検出する方が、高調波電流の算出精度が良い。
さらに、11次の高調波電流の振幅I11と13次の高調波電流の振幅I13との関係、及び11次の高調波電流の位相β11と13次の高調波電流の位相β13との関係を近似した副近似式を、指令角速度ωm*と関連付けて記憶装置41に予め格納しておく。副近似式は、次の式(14)及び式(15)で表される。Kbは補正係数、Δβbは補正項である。
第2高調波電流算出部36は、第1高調波電流算出部35により算出された振幅I11及び位相β11、並びに指令角速度ωm*に対応する式(14)及び(15)から、振幅I13及び位相β13を算出する。なお、第1実施形態において示した種々の変更は、第2実施形態に適宜適用できる。
以上説明した第2実施形態によれば、上記効果(1)〜(7)を奏するとともに、以下の効果を奏する。
(8)磁石温度と基本波電流の振幅とに対応する高調波電流の振幅及び位相を示す相間関係が予め取得され、この相間関係に基づいて、高調波電流の振幅及び位相が算出される。したがって、磁石温度及びモータ10を流れる基本波電流の振幅の両方が変化した場合でも、適切な高調波電流を基本波電流に重畳し、騒音の発生要因となる電磁力を低減することができる。
(他の実施形態)
・3つ以上の高調波電流を基本波電流に重畳する場合も、少なくとも1つの高調波電流を主高調波電流として、主高調波電流の振幅及び位相と磁石温度Tとの相間関係、又は、主高調波電流の振幅及び位相と磁石温度T及び基本波電流の振幅Iとの相間関係を表す主近似式を、記憶装置41に格納しておけばよい。そして、主高調波電流の振幅及び位相と、重畳するその他の高調波電流の振幅及び位相との関係を表す副近似式を、記憶装置41に格納しておけばよい。このようにすれば、上記各実施形態と同様に、磁石温度T、又は磁石温度Tと基本波電流の振幅Iに応じた、3つ以上の高調波電流を設定することができる。また、この場合も、主近似式をマップとして記憶装置41に格納しておいてもよい。
・上記各実施形態ではM=2の例を示したが、Mが2以外の場合でも、磁石温度T、又は磁石温度T及び基本波電流の振幅Iに応じて、重畳すべき高調波電流の振幅及び位相が変わる。よって、Mが2以外の場合でも、上記各実施形態と同様に、主近似式又は主近似式に相当するマップと、副近似式を予め作成し、記憶装置41に格納しておけばよい。あるいは、全ての高調波電流の振幅及び位相と、磁石温度T又は磁石温度T及び基本波電流の振幅Iとの相関関係を表す近似式を予め作成し、記憶装置41に格納しておけばよい。なお、近似式及びマップは、Mの値ごとにことなるものとなる。
・電磁力の抑制範囲は、モータの特性に応じて任意に設定し、電磁力の抑制範囲に応じて適宜近似式又はマップを作成すればよい。
・制御装置30は、第1実施形態に係る制御と第1実施形態の変形例に係る制御のどちらも実施できるようにしてもよい。このようにすれば、モータ10の回転角速度ωm等の運転状態に応じて、抑制範囲の電磁力をどのように転換するか適宜選択できる。
・各実施形態では、基本波電流に複数の奇数次数の高調波電流を重畳させたが、基本波電流に重畳する高調波電流は、1つの奇数次数の高調波電流であってもよい。この場合、重畳する1つの高調波電流について、高調波電流の振幅及び位相と、磁石温度T又は磁石温度Tと基本波電流の振幅Iとの相関関係を近似する近似式又はマップを作成して、近似式又はマップを記憶装置41に格納しておけばよい。
10…モータ、12…ステータ、12U,12V,12W…巻線、14…ロータ、14a…永久磁石、20…インバータ、30…制御装置。

Claims (7)

  1. 巻線(12U,12V,12W)が巻回された固定子(12)及び磁石(14a)を含んだ回転子(14)を有する回転電機(10)と、前記巻線に駆動電流を流して前記回転電機を駆動する電力変換器(20)と、を備える回転電機システムに適用される回転電機の制御装置(30)であって、
    前記磁石の温度を取得する温度取得部と、
    前記回転電機に作用する電磁力を抑制するように、前記巻線に流す基本波電流に重畳する高調波電流を算出する高調波算出部と、
    前記巻線に流す基本波電流に、前記高調波算出部により算出された前記高調波電流を重畳したものを前記駆動電流とし、前記駆動電流が前記巻線に流れるように前記電力変換器を操作する操作部と、を備え、
    前記高調波算出部は、予め取得されている相間関係であって前記磁石の温度に対する前記高調波電流の振幅及び位相を示す相間関係と、前記温度取得部により取得された前記磁石の温度とに基づいて、前記高調波電流の振幅及び位相を算出する、回転電機の制御装置。
  2. 前記巻線を流れている基本波電流の条件を取得する基本波取得部を備え、
    前記相間関係は、前記磁石の温度と前記基本波電流の条件とに対する前記高調波電流の振幅及び位相を示し、
    前記高調波算出部は、前記相間関係と、前記温度取得部により取得された前記磁石の温度と、前記基本波取得部により取得された前記基本波電流の条件とに基づいて、前記高調波電流の振幅及び位相を算出する請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  3. 前記巻線に流す基本波電流の変動角速度のK(Kは2以上の整数)倍の変動角速度をK次角速度と定義し、
    前記K次角速度を変動角速度とする電流をK次の高調波電流と定義し、
    前記K次角速度を変動角速度とする前記電磁力をK次の電磁力と定義し、
    「L」(Lは2以上の偶数)次からLよりも大きい「N−2」(Nは2以上の偶数)次まで、又は「L」次からLよりも小さい「N+2」次までの前記電磁力を抑制範囲とした場合に、
    前記高調波算出部は、「L」次から「N」次までに含まれる複数の奇数の次数の前記高調波電流を算出する請求項1又は2に記載の回転電機の制御装置。
  4. 前記巻線に流す基本波電流に重畳する複数の前記高調波電流のうちの少なくとも1つの高調波電流を主高調波電流とし、前記主高調波電流の前記相間関係を表す主近似式又はマップと、前記複数の前記高調波電流のうちの前記主高調波電流以外の前記高調波電流の振幅及び位相と前記主高調波電流の振幅及び位相との関係を表す副近似式と、が記憶されている記憶部を備え、
    前記高調波算出部は、前記記憶部に記憶されている前記主近似式又は前記マップと前記副近似式とから、前記複数の前記高調波電流の振幅及び位相を算出する請求項3に記載の回転電機の制御装置。
  5. 前記巻線に流す基本波電流に重畳する複数の前記高調波電流のそれぞれの前記相間関係を表す近似式が記憶されている記憶部を備え、
    前記高調波算出部は、前記記憶部に記憶されている前記近似式から、前記複数の高調波電流の振幅及び位相を算出する請求項3に記載の回転電機の制御装置。
  6. 前記抑制範囲を「6M−2」次及び「6M」次の前記電磁力とし、
    前記高調波算出部は、前記複数の高調波電流として、「6M−1」次と「6M+1」次の高調波電流を算出する請求項3〜5のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
  7. 前記抑制範囲を「6M」次及び「6M+2」次の前記電磁力とし、
    前記高調波算出部は、前記複数の高調波電流として、「6M−1」次と「6M+1」次の高調波電流を算出する請求項3〜5のいずれか1項に記載の回転電機の制御装置。
JP2015189564A 2015-09-28 2015-09-28 回転電機の制御装置 Active JP6459878B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015189564A JP6459878B2 (ja) 2015-09-28 2015-09-28 回転電機の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015189564A JP6459878B2 (ja) 2015-09-28 2015-09-28 回転電機の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017070000A true JP2017070000A (ja) 2017-04-06
JP6459878B2 JP6459878B2 (ja) 2019-01-30

Family

ID=58492987

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015189564A Active JP6459878B2 (ja) 2015-09-28 2015-09-28 回転電機の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6459878B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9813001B2 (en) 2015-05-20 2017-11-07 Denso Corporation Control device for rotating electric machine
JP2019030186A (ja) * 2017-08-02 2019-02-21 本田技研工業株式会社 回転電機の制御装置、および回転電機の制御方法
WO2020145068A1 (ja) * 2019-01-11 2020-07-16 日立オートモティブシステムズ株式会社 モータ制御装置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11341864A (ja) * 1998-05-29 1999-12-10 Hitachi Ltd 回転電機の制御装置
JP2005304238A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Denso Corp 交流回転電機の磁気音制御方法
JP2007274779A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Aisin Aw Co Ltd 電動駆動制御装置及び電動駆動制御方法
US20090251096A1 (en) * 2008-04-04 2009-10-08 Gm Global Technology Operations, Inc. Method and apparatus for torque ripple reduction
JP2014087167A (ja) * 2012-10-24 2014-05-12 Hitachi Appliances Inc モータ制御装置、およびそれを用いた空気調和機

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11341864A (ja) * 1998-05-29 1999-12-10 Hitachi Ltd 回転電機の制御装置
JP2005304238A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Denso Corp 交流回転電機の磁気音制御方法
JP2007274779A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Aisin Aw Co Ltd 電動駆動制御装置及び電動駆動制御方法
US20090251096A1 (en) * 2008-04-04 2009-10-08 Gm Global Technology Operations, Inc. Method and apparatus for torque ripple reduction
JP2014087167A (ja) * 2012-10-24 2014-05-12 Hitachi Appliances Inc モータ制御装置、およびそれを用いた空気調和機

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9813001B2 (en) 2015-05-20 2017-11-07 Denso Corporation Control device for rotating electric machine
JP2019030186A (ja) * 2017-08-02 2019-02-21 本田技研工業株式会社 回転電機の制御装置、および回転電機の制御方法
WO2020145068A1 (ja) * 2019-01-11 2020-07-16 日立オートモティブシステムズ株式会社 モータ制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6459878B2 (ja) 2019-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4631672B2 (ja) 磁極位置推定方法、モータ速度推定方法及びモータ制御装置
US9093932B2 (en) Control system for three-phase rotary machine
JP5035641B2 (ja) 電動機駆動装置の制御装置
KR101618490B1 (ko) 전동기의 자극 위치 추정 장치, 전동기의 제어 장치 및 전동기의 자극 위치 추정 방법
CN110235357B (zh) 逆变器控制装置
JP5916526B2 (ja) 電力変換器制御装置および多重巻線型電動機駆動装置
US8649887B2 (en) Methods, systems and apparatus for implementing dithering in motor drive system for controlling operation of an electric machine
JP5435292B2 (ja) 制御装置
JP5835450B2 (ja) 回転機の制御装置
JPWO2017064756A1 (ja) 交流回転機の制御装置及びそれを備えた電動パワーステアリング装置
US20130314011A1 (en) Methods, systems and apparatus for computing a voltage advance used in controlling operation of an electric machine
JP6604206B2 (ja) 回転電機の制御装置
JP6459878B2 (ja) 回転電機の制御装置
KR101393903B1 (ko) 모터 제어 장치 및 그것을 사용한 공기 조화기
JP7280170B2 (ja) モータ制御装置、モータ制御方法、ハイブリッドシステム、昇圧コンバータシステム、電動パワーステアリングシステム
JP7094859B2 (ja) モータ制御装置及びモータ制御方法
JP6742393B2 (ja) 電力変換装置、発電電動機の制御装置、および、電動パワーステアリング装置
JP6293401B2 (ja) 空気調和機のモータ制御装置及び空気調和機
JP2016021848A (ja) 回転機の制御装置
JP2017205017A (ja) 空気調和機のモータ制御装置及び空気調和機
KR101422132B1 (ko) 모터 제어 장치, 및 그것을 사용한 공기 조화기
JP2002136172A (ja) ブラシレスdcモータ制御方法およびその装置
JP6681266B2 (ja) 電動機の制御装置及びそれを備えた電動車両
JP2020089203A (ja) モータ駆動装置
WO2022085351A1 (ja) モータ制御装置、機電一体ユニット、ハイブリッドシステム、および電動パワーステアリングシステム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180122

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20180404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181023

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181024

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181217

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6459878

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250