JP2017069470A - 発光素子用基板、モジュール及び発光素子用基板の製造方法 - Google Patents
発光素子用基板、モジュール及び発光素子用基板の製造方法 Download PDFInfo
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【解決手段】可撓性基板11と、可撓性基板11の少なくとも一方の面側に透光性接着層12を介して形成されている金属配線部13と、金属配線部間13に形成されている溝部17とを有しており、溝部17における透光性接着層12の表面側から、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によって測定した塩素量が1質量%以下である、発光素子用基板である。
【選択図】図1
Description
前記封止部材は、エポキシ樹脂、変成エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、又は変成シリコーン樹脂である、(4)乃至(8)のいずれか一項に記載のモジュール。
本発明の発光素子用基板の一実施形態について説明する。発光素子2を実装することのできる本実施形態の発光素子用基板は、図1に示す通り、可撓性基板11の表面には、金属層等からなる導電性の金属配線部13が、透光性接着層12を介して形成されている。そして金属配線上に発光素子2を設けることができる。又、図1のように周りには表面反射層16が積層することもできる。表面反射層を設ける場合には、基板の表面上においては、接着剤層等を介して、基板上に積層されていてもよい。なお、表面反射層は本発明の必須の構成要件ではない。
可撓性基板は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂が用いられることが好ましい。可撓性基板の材料としては、耐熱性及び絶縁性が高いものであることが求められる。このような樹脂として、耐熱性と加熱時の寸法安定性、機械的強度、及び耐久性に優れるポリイミド樹脂(PI)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることができる。中でも、アニール処理等の耐熱性向上処理を施すことによって耐熱性と寸法安定性を向上させたポリエチレンナフタレート(PEN)を好ましく用いることができる。又、難燃性の無機フィラー等の添加によって難燃性を向上させたポリエチレンテレフタレート(PET)も可撓性基板の材料樹脂として選択することができる。
本実施形態に関する透光性接着層は、塩素量が1質量%未満である。又、鉄量及び/又は銅量が1質量%以下であることが好ましい。具体的には、金属配線部間13に形成されている溝部17における透光性接着層12の表面側から、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によって測定した塩素量及び/又は鉄量若しくは銅量が1質量%未満である。なお、溝部17とは、図1に示すように、金属配線部が積層されておらず、透光性接着層が露出している面であって透光性接着層の表面をいう。金属配線部13を製造する際には、可撓性基板と金属層とを透光性接着層を介して製造された金属層をエッチングによりパターンを形成することで製造するのが一般的である。そのため、エッチング残渣である塩素量及び/又は鉄量若しくは銅量が透光性接着層に含有される場合がある。本発明の発光素子用基板は、発光素子用基板を構成する透光性接着層に含まれる塩素量及び/又は鉄量若しくは銅量の含有量を1質量%未満とすることで、主に青色発光素子からの光に対する耐光性が向上することを特徴とする。青色発光素子とは、波長430nm以上500nm以下の青色の光を放出可能な発光素子を意味する。なお、発光素子用基板を構成する透光性接着層に含まれる塩素量及び/又は鉄量若しくは銅量の含有量を0.7質量%未満とすることがより好ましい。なお、透光性接着層に含まれる塩素及び/又は鉄若しくは銅量の含有量を1質量%未満である発光素子用基板は、エッチング工程におけるエッチング条件である温度、塩酸濃度などのエッチング液濃度、エッチング時間等を適宜調整することにより得られる。
金属配線部13は、発光素子用基板1の表面に金属層等の導電性基材によって形成される配線パターンである。
発光素子用基板においては、金属配線部13と発光素子2との接合については、ハンダ層14を介した接合を行うことが好ましい。このハンダによる接合は、例えば、リフロー方式、或いは、レーザー方式によって行うことができる。
絶縁性保護膜15は、本発明においては必須の構成要件ではないが、絶縁性保護膜を設ける場合には、上述の通り、熱硬化型インキ、UV硬化性インキ又はカバーレイフィルムによって、金属配線部13と発光素子用基板の表面上の電気的接合が必要となる一部分を除いた他の部分に、主として発光素子用基板の耐マイグレーション特性を向上させるために形成される。
表面反射層16は、本発明においては必須の構成要件ではないが、表面反射層を設ける場合には、上記のモジュール10において、発光能力を向上させることを目的として、本実施形態では、発光素子用基板の発光面側の最表面に、発光素子2の実装部分を除いて積層される。発光素子の発光を反射し、所定の方向へ導くための反射面を持つ部材であれば特に限定されないが、白色ポリエステル発泡タイプの白色ポリエステル、白色ポリエチレン樹脂、銀蒸着ポリエステル等を、最終製品の用途とその要求スペック等に応じて適宜用いることができる。
発光素子2は、発光素子用基板上に配置される。発光素子2は、一方の面に一対の電極を有し、一対の電極を介して金属配線部13と電気的に接続している。ここで用いられる発光素子2は形状や大きさ等が特に限定されない。発光素子2の発光色としては、用途に応じて任意の波長のものを選択することができるが、青色に発光する発光素子を用いることができる。青色発光素子とは波長430nm以上500nm以下の光を放出可能な発光素子を意味するが、例えば、430nm以上470nm以下に発光波長のピークを持つ青色発光の発光素子を用いることが好ましい。発光素子2としては、GaN系やInGaN系を用いることができる。InGaN系としては、InXAlYGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y<1)等を用いることができる。
図5は、本発明の他の実施形態のモジュールの部分断面図である。図5の実施形態のモジュールのように透光性接着層12と発光素子2との間にアンダーフィル21を配置することもできる。アンダーフィル21は、発光素子2と透光性接着層12との接合強度を高めることができる。アンダーフィル21はエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。また、アンダーフィル21は透光性接着層12との接合強度を高める材質が好ましく、アンダーフィル21と透光性接着層12とは同一種類の材料を用いることが好ましいが、異なる材料であってもよい。
可撓性基板11の上には、発光素子2を封止する封止部材19が配置されていることが好ましい。発光素子2を埃や水分から保護することができるからである。封止部材19は、エポキシ樹脂、変成エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂のいずれかであることが好ましい。
封止部材19中には、蛍光体20を含有させてもよい。蛍光体20は発光素子2からの光を吸収し、異なる波長の光を放出するものであり、緑色、黄色、赤色等の光を放出する。蛍光体20は、YAG、シリケートなどの酸化物蛍光体、CASN、SCASN等の窒化物蛍光体、KSFなどのフッ化物蛍光体などを用いることができる。
発光素子用基板は、特に限定されるものではなく、従来公知の電子基板の製造方法によって製造することができる。例えば、以下に記載したエッチング工程を経ることによって製造することができる。又、選択する材料樹脂に応じて、予め当該樹脂にアニール処理による耐熱性向上処理を施すことが好ましい。
本発明において必須ではないが、アニール処理を行う場合には、従来公知の熱処理手段を用いることができる。アニール処理温度の一例としては、樹脂基板がPENである場合には、ガラス転移温度から融点の範囲、更に具体的には160℃から260℃、より好ましくは180℃から230℃の範囲である。アニール処理時間としては、10秒から5分程度が例示できる。このような熱処理条件によれば、一般的に80℃程度であるPENの熱収縮開始温度を、100℃程度に向上させることができる。
アニール処理を経た樹脂基板の表面に、金属配線部の材料とする金属層の金属配線部13を積層して発光素子用基板の材料とする積層体を得ることができる。積層方法としては、可撓性基板の少なくとも一方の面側に透光性接着層を介して金属層を積層する方法、或いは、可撓性基板の表面に直接にメッキ方法や気相製膜法(スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等)により金属配線部13を蒸着させる方法を挙げることができる。コストや生産性の面からは、金属層をウレタン系の接着剤によって可撓性基板の表面に接着する方法が有利である。
金属配線部形成後、必要に応じて絶縁性保護膜114及び表面反射層16を更に積層する。これらの積層は公知の方法によって行うことができる。採用する材料によりスクリーン印刷等の印刷法或いは、ドライラミネーション、熱ラミネーション法等、各種のラミネート処理方法によることができる。
モジュール10は、上述の発光素子用基板1に、発光素子2を実装することにより、得ることができる。モジュール10は、図2に示すように、LED画像表示装置100のバックライトとして使用することができる。
(実施例1)
本発明のLED表示装置の実施例として、サイズが400mm×500mmのフィルム状の支持基板の表面に、電解銅層(厚み35μm)からなる金属配線部をエッチング処理(電解銅層マット面を可撓性基板側に向けて積層した)をし、発光素子用基板の試験用サンプルを作成した。エッチング処理は、塩酸濃度2.6g/Lのエッチング溶液(塩化鉄)を用いて、温度60℃、エッチング時間90秒の条件で処理を行った。可撓性基板としては厚さ75μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。
金属配線部を構成する銅箔を可撓性基板に接着する接着剤は、ウレタン系の接着剤(「KTEP」、ロックペイント社製)を用いた。
上記エッチング処理において塩酸濃度15g/Lのエッチング溶液(塩化鉄)を用いて、温度60℃、エッチング時間120秒の条件で処理を行った以外は上記実施例1と同様に発光素子用基板の試験用サンプルを製造した。
本発明のLED表示装置の実施例として、サイズが400mm×500mmのフィルム状の支持基板の表面に、電解銅層(厚み35μm)からなる金属配線部をエッチング処理(電解銅層マット面を可撓性基板側に向けて積層した)をし、発光素子用基板の試験用サンプルを作成した。エッチング処理は、塩酸濃度2.6g/Lのエッチング溶液(塩化銅)を用いて、温度60℃、エッチング時間150秒の条件で処理を行った。可撓性基板としては厚さ75μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。
上記エッチング処理において塩酸濃度15g/Lのエッチング溶液(塩化銅)を用いて、温度60℃、エッチング時間180秒の条件で処理を行った以外は上記実施例2と同様に発光素子用基板の試験用サンプルを製造した。
実施例及び比較例の発光素子用基板の塩素量、鉄量、銅量を測定した。具体的には、金属配線部間に形成されている溝部における透光性接着層の表面側から、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によってスペクトルを求め、塩素量、鉄量、銅量を測定した。なお、SEM−EDXにおいてSEMは日本電子製JSM−6700Fを使用し、EDXはオックスフォード・インストゥルメンツ製XMAX80を使用した。前処理としてPt−Pdスパッタ膜を数nm程度付与、加速電圧は15kV、焦点距離15mm、試料傾斜0度、エミッション電流20μA、測定時間60秒、測定倍率500倍で行った。定量分析にはZAF補正法を用いている。実施例及び比較例の発光素子用基板のスペクトル図を図3及び図4に示す。この図面において実施例及び比較例はFe、Cl、Cuの量において違いを有する。
実施例及び比較例の発光素子用基板について、耐光性試験の加速試験として、溝部における透光性接着層上から青色レーザー(日亜化学製レーザーダイオード、波長450nm、出力0.5W)を照射し、フィルムに穴が開いた時間を測定した。測定結果を下記表1に示す。
実施例、比較例の各発光素子用基板について、下記の試験条件における密着強度を測定して金属密着性を評価した。
測定は、上記の金属密着性評価用サンプルにおいて、可撓性基板上に密着している金属配線部について、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行い、測定結果を表1に示す。
11 可撓性基板
12 透光性接着層
13 金属配線部
14 ハンダ層
15 絶縁性保護膜
16 表面反射層
17 溝部
10 モジュール
2 発光素子
3 表示画面
4 放熱部
19 封止部材
20 蛍光体
21 アンダーフィル
22 吸着剤
100 LED画像表示装置
Claims (11)
- 可撓性基板と、前記可撓性基板の少なくとも一方の面側に透光性接着層を介して形成されている金属配線部と、前記金属配線部間に形成されている溝部とを有しており、
前記溝部における前記透光性接着層の表面側から、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によって測定した塩素量が1質量%以下である、発光素子用基板。 - 前記走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によって測定した鉄量及び/又は銅量が1質量%以下である、請求項1に記載の発光素子用基板。
- 前記溝部における前記透光性接着層の表面側から測定した、Lab表色系におけるb値が10以下である、請求項1又は2に記載の発光素子用基板。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光素子用基板に発光素子が実装されている、モジュール。
- 前記発光素子用基板に実装されている発光素子が青色発光素子である、請求項4に記載のモジュール。
- 前記発光素子は、430nm以上470nm以下に発光波長のピークを持つ、請求項4又は5に記載のモジュール。
- 前記透光性接着層と前記発光素子との間に、鉄及び/又は銅の吸着剤が含有されている、アンダーフィルが配置されている、請求項4乃至6のいずれか一項に記載のモジュール。
- 前記吸着剤は、光反射部材がコーティングされている、請求項7に記載のモジュール。
- 更に、前記可撓性基板上の前記発光素子を封止する封止部材が配置され、
前記封止部材は、エポキシ樹脂、変成エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、又は変成シリコーン樹脂である、請求項4乃至8のいずれか一項に記載のモジュール。 - 可撓性基板の少なくとも一方の面側に透光性接着層を介して金属層を積層する工程と、
前記金属層をエッチング後に洗浄して、金属配線部と、前記金属配線部間の溝部と、を形成する工程と、を備え、
前記溝部の前記透光性接着層の表面側から、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によって測定した塩素量が1質量%以下となるように前記エッチング及び洗浄を行う、発光素子用基板の製造方法。 - 前記走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)によって測定した鉄量及び/又は銅量が1質量%以下となるように前記エッチング及び洗浄を行う、請求項9に記載の発光素子用基板の製造方法。
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