JP2017068188A - マイクロレンズアレイの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザとエッチングを利用し、より精密に凹部が形成されたマイクロレンズアレイの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係るマイクロレンズアレイの製造方法は、レーザ加工ステップとエッチングステップを含む。レーザ加工ステップでは、ガラス基板の主面にレーザを照射することで所定の間隔で配列された所定サイズの凹部を複数形成する。エッチングステップでは、レーザ加工ステップにて凹部が形成されたガラス基板の主面にエッチング液を接触させて凹部を拡大させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、マイクロレンズアレイの製造方法に関し、特にレーザ処理とエッチング加工により精密に凹部が形成されたマイクロレンズアレイの製造方法に関する。
マイクロレンズアレイは、透明基板上に凹凸が稠密に形成された基板であり、基板に集光された光を好適に拡散または集光させて所望の光学特性を得る手段として、様々な光学製品に利用されている。従来、マイクロレンズアレイには樹脂基板が使用されることが多かった。樹脂基板は、マイクロレンズアレイに必要な凹凸を容易に形成することが可能であるため、樹脂基板を利用したマイクロレンズアレイは多くの機器において採用された。
しかしながら、樹脂基板は凹凸の加工の精密性や光透過性において問題があった。樹脂基板は耐熱温度が100度前後のものが多く、高温処理が必要な場面では熱膨張を起こしてしまい、精密性が低下してしまっていた。そこで、ガラス基板を利用したマイクロレンズアレイが採用されることが多くなった。ガラス基板は、樹脂基板と比較しても熱変形等が小さく、光透過性が高く、精密性が要求される場面において採用された。しかし、ガラス基板に対する凹凸の加工は、樹脂基板ほど容易ではない。そこで、従来技術の中では、ガラス基板の主面上を尖状物により加圧し、凹部を形成した後にエッチングで凹部を拡大することよりガラス基板上にマイクロレンズを形成する方法があった。(例えば、特許文献1参照。)。
特許4510405号
一方で、光学部品等に使用されるマイクロレンズアレイは各凹部のサイズが更に均一なレンズが要求されることがある。特許文献1に記載された方法は、尖状物で加圧することによってガラス基板上に凹部を形成しているが、尖状部での加圧は、ガラス基板に対する加圧の精密性にも限界があったり、凹部の形成位置がずれたりするおそれある。このため、より精密な凹部が形成されたマイクロレンズアレイの製造方法が求められていた。
本発明の目的は、レーザ処理とエッチング処理を組み合わせることにより、より精密な凹部が形成されたマイクロレンズアレイの製造方法を提供することである。
本発明に係るマイクロレンズアレイの製造方法は、ガラス基板にレーザを照射することで所定の間隔で配置された所定サイズの凹部をガラス基板上に複数形成する工程と、前記ガラス基板に対してエッチング液を接触させることによって前記複数の凹部を拡大する工程と、を含むことを特徴としている。
本発明ではレーザにより凹部を形成することで尖状物による加圧と比較して、形成される凹部の間隔やサイズをより精密に形成することが可能になる。また、ガラス基板を加圧する必要がないため、ガラス基板の破損のおそれもない。続いて、エッチング処理によってレーザで形成された凹部を拡大して所望の大きさの凹部を形成する。レーザが照射されたガラス基板は表面状態が均一でなかったり、凹部の周辺においてガラスくずが飛散したりするが、エッチング処理によってガラス基板の表面状態も改善することが可能となる。
また、本発明において使用するエッチング液の粘度は、5000〜10000cpsであることが好ましい。エッチング液の粘度をこの範囲に設定することにより、エッチング液の流動性が低下するため、エッチング量のコントロールを容易に行うことが可能になる。つまり、ガラス基板にエッチング液が接触した段階でガラス基板の表面付近に存在するエッチング液しか反応せず、新たなエッチング液が供給されてエッチングが進行することがない。また、このエッチングは一定時間経過することにより自動的に完了し、エッチング液が接触した状態で一定時間放置されたとしても、マイクロレンズアレイの主面に悪影響を及ぼすおそれもない。このため、凹部のエッチング量にばらつきがなくなり、均一なサイズの凹部を形成することが可能になる。さらに、通常のエッチング液を使用したエッチングと比較して、使用する薬液量や薬液の洗浄水の使用量も削減できるため、処理コストの削減や環境への負荷を軽減することもできる。
また、マイクロレンズアレイの別の製造方法として、ガラス基板上に保護膜を形成することも可能である。保護膜を使用する場合は、まずガラス基板の主面上に保護膜を形成する。さらに、保護膜に対してレーザを照射することで、所定の間隔で配列された所定のサイズの開口部を複数形成する。そして、ガラス基板とエッチング液を接触させることにより開口部からガラス基板にエッチング液が侵入して凹部が形成される。ガラス基板とエッチング液を所定時間接触させた後にガラス基板から保護膜を除去する。
このような保護膜を使用することにより、レーザを照射した際の加工飛散物が凹部の周辺に付着することを防止できる。また、凹部の周辺は保護膜によって覆われているため、凹部以外をエッチングせずに効率的にマイクロレンズアレイを製造することが可能となる。
本発明によれば、レーザ加工とエッチング処理によりに凹部の間隔やサイズが精密に形成されたマイクロレンズアレイの製造方法を提供することが可能になる。
ガラス基板に凹部を形成する工程を示す図である。 第1の実施形態で使用するエッチング装置の概略側面図である。 第2の実施形態で使用するエッチング装置の概略側面図である。 エッチングペーストの塗布工程を示す図である。 第3の実施形態のマイクロレンズアレイの製造工程を示す図である。
ここから、図1から図3を用いてマイクロレンズアレイの製造方法の第1の実施形態について説明する。まず、第1の実施形態では、ガラス基板の主面にレーザを照射して、所定の間隔で所定のサイズの凹部を複数形成する。続いて、凹部が複数形成された主面にエッチング液を接触させて凹部を拡大させることによってマイクロレンズアレイを製造する。
図1は、ガラス基板10にレーザ装置12を用いて凹部を形成する工程を示す図である。本実施形態では、レーザ装置12を使用してガラス基板10の主面上に凹部14を所定の間隔で、所定のサイズにて複数形成する。レーザ装置12を使用することで、ガラス基板10に加圧することなく、正確に凹部14を形成することが可能となる。なお、本実施形態においては、耐熱性や光透過性等を考慮してガラス基板10として石英ガラス基板を使用しており、ガラス基板10のサイズや厚みは必要に応じて適宜変更することができる。
本実施形態で使用するレーザ装置12は、特に制限はなく、形成する凹部の間隔、直径、深さ等によって適宜変更することができる。使用可能なレーザ装置の一例としては、赤外線レーザ、YAGレーザ、COレーザ等が挙げられ、適宜ビーム径、照射時間、パワー密度または焦点距離等を変更して使用する。
本実施形態においては、レーザによって形成される凹部の間隔は15〜500μmが好ましく、凹部の深さは3〜100μmが好ましく、凹部の直径は5〜150μmが好ましい。なお、本発明において、凹部の間隔とは、1つの凹部の中心部から隣接する凹部の中心部までの距離のことを示す。また、レーザ加工の際の凹部の直径は、後工程におけるエッチング処理の際に拡大するため、最終的に所望する凹部の直径よりも小さく形成する。なお、本実施形態では円形状の凹部14が形成されているが、本発明はこれに限定されず、適宜所望の光学特性が得られるように凹部の形状を変更することが可能である。
レーザ装置12によって凹部14が形成されたガラス基板10は、エッチング液と接触させることによって凹部14が拡大される。このエッチングでは、レーザ装置12によって形成された凹部14の表面をより平滑にし、光学特性を向上させることができると同時に、ビーム照射時に凹部14の周辺に付着した飛散物を除去することも可能となる。エッチング液を接触させる手段に特に制限はないが、本実施形態では、スプレー機構を用いてエッチング液を噴射することによりエッチングする方法について説明する。
ここから、図2に示すようなエッチング装置20を利用したエッチング方法について説明する。エッチング装置20は、少なくとも搬入部22、搬送手段24、エッチング手段26、洗浄部28および搬出部30を備えている。エッチング装置20は、搬送手段24を用いてガラス基板10を水平方向に搬送しながら、エッチング手段26によりガラス基板10の上部からエッチング液を噴射することによって、エッチング処理を行うように構成される。
搬入部20は、ガラス基板10をエッチング装置20に導入するように構成される。搬送手段22は、ガラス基板10を水平方向に搬送するように構成される。本実施形態では、複数の搬送ローラによって図面左方向から右方向にガラス基板10を搬送するように構成されるが、搬送手段24はこれに限定されず、ベルトコンベヤやウォーキングビーム等を使用することも可能である。ガラス基板10は、搬入部22から搬送手段24にガラス基板10を載せることによってエッチング装置20に投入される。その際、ガラス基板10は、凹部14が形成された主面を上向きにして投入される。エッチングしない主面には、ガラス基板10にエッチング液が接触しないように適宜保護膜等を形成することが好ましい。
エッチング手段26は、ガラス基板10の主面にエッチング液を噴射するように構成される。エッチング手段26は、少なくともエッチング液供給パイプ32および噴射ノズル34を備えている。エッチング液供給パイプ32は、エッチング装置20の長さ方向に沿って、搬送手段24の上部に複数配置されている。このエッチング液供給パイプ32は、所望の比率で配合されたエッチング液を不図示のエッチング液収容槽から噴射ノズル34に供給するように構成される。噴射ノズル34は、エッチング液供給パイプ32から供給されたエッチング液を下方に向けて噴射するように構成される。なお、本実施形態に使用するエッチング液は、少なくともフッ酸が含まれており、塩酸や硫酸等の酸を適宜配合することが可能である。これらの無機酸だけでなく、酢酸やクエン酸等の有機酸を用いることも可能であり、さらには、水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液を用いてエッチング液を配合しても良い。エッチング手段26は、必要なエッチング量に応じて、ガラス基板10の搬送速度やエッチング液の噴射圧力を調整しながらエッチングを行う。また、エッチング液を噴射する際は、不図示の駆動手段を用いてエッチング液供給パイプ32をガラス基板10の進行方向と直行する方向に揺動させることが好ましい。
なお、エッチング手段26の前段に前洗浄部36を配置することが好ましい。前洗浄部36によって簡易洗浄をしてガラス基板10上の異物等を除去し、ガラス基板10を適度に湿らせておくことで、良好にエッチングを行うことが可能になる。本実施形態では、前洗浄部36は、搬送手段24の上部に配置されており、複数のシャワーノズルから水を噴射するように構成される。また、必要に応じて、前洗浄部36とエッチング手段26の間にスポンジロールやエアナイフを配置し、ガラス基板10の表面から不要な水分を取り除くことが好ましい。
エッチング手段26の後段には、洗浄部28が配置されている。洗浄部28は、所望量のエッチングが行われた後に、エッチング手段26によって噴射されたエッチング液をガラス基板10から除去するように構成される。本実施形態では、ガラス基板10の上下方向から複数の噴射ノズルを用いて水を噴射するように構成される。また、洗浄部28の後段にエアナイフやスポンジローラ等を配置することによってガラス基板10から水分を除去することが好ましい。洗浄部28にて洗浄されたガラス基板10は、搬出部30から取り出される。
本実施形態のようなエッチング装置20を使用することにより、レーザ装置12で形成された微細な凹部14にも均一にエッチングを行うことが可能になる。特に、凹部14の直径が100μm未満である場合、エッチング液がガラス基板に接触する際に凹部14に空気が入り込み、好適にエッチングできないおそれがある。特にガラス基板をエッチング液に浸漬させるエッチング方法では、凹部に空気が入り込んでエッチングされにくいおそれが高い。ガラス基板をエッチング液に浸漬させてエッチングする方法と比較して、スプレーからエッチング液を噴射するエッチング方法では、エッチング液が凹部に浸入しやすくなる。また、エッチング液供給パイプ32を揺動させることにより、ガラス基板10上にエッチング液の液流を発生させることが可能になるため、凹部14に対してさらにエッチング液を供給しやすくなる。
ここから、本発明の別の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、レーザにより凹部を形成する工程は、前述の実施形態と同様であるが、エッチング工程において粘度を5000〜10000cpsに調節したエッチング液を使用することを特徴とする。
本実施形態では、図3に示すようなエッチング装置201を利用してエッチングを行う。エッチング装置201は、搬入部221、搬送手段241、エッチングペースト塗布手段261、洗浄部281、搬出部301および前洗浄部361を備えている。エッチング装置201の実質的な構成は、前述のエッチング装置20と同一であるため、各部の詳細な説明は省略する。ここから、図4を用いて本実施形態におけるエッチングペースト塗布手段261を用いたエッチング方法について説明する。
エッチングペースト塗布手段261は、搬送手段241の上部に配置されており、ガラス基板10の主表面にエッチングペーストを塗布するように構成される。なお、本実施形態においてエッチングペーストとは、増粘剤が添加され、所定範囲の粘性を有するエッチング液のことを示す。エッチングペースト塗布手段261は、エッチング装置201の所定の位置で固定されており、不図示のセンサ等でガラス基板10が搬送されてきたことを感知すると、ガラス基板10上にエッチングペーストを塗布するように構成される。また、本実施形態では、エッチングペースト塗布手段261としてスリットコーターを用いてエッチングペーストを塗布しているが、エッチングペーストの粘度に応じて、ロールコーターやスプレーコーターを使用することも可能である。上記のように搬送されてくるガラス基板10に対してエッチングペーストを塗布することにより、エッチングペーストを塗布する際に凹部14に空気が入り込むことを防止し、確実に凹部14を拡大させることが可能になる。
エッチングペーストは、エッチング成分、溶媒としての水および増粘剤を少なくとも含んでおり、必要に応じて界面活性剤等を添加することも可能である。エッチング成分としては、少なくもガラスをエッチング可能な薬品であれば特に制限はなく、フッ酸、フッ化アンモニウムまたはバッファードフッ酸等を使用することができる。エッチング成分は、必要な研磨量に応じて適宜濃度を調整することが好ましく、フッ酸であれば、5〜20重量%に調節することで良好なエッチングを行うことができる。増粘剤は、エッチングペーストの粘度を調整するために使用される。増粘剤としてはエッチングを阻害しないような成分で、適度に粘度をコントロール可能であれば、特に制限はない。本発明では増粘剤として、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム等のマグネシウム化合物、エステル系、ノニオン系、アミン系、エーテル系、高分子アルコールの界面活性剤、アニオン系凝集剤、合成または天然の吸水ポリマー、ポリグリコール系の消泡剤、尿素、天然の糖類、接着剤から選ばれる増粘剤を使用することが可能である。
本実施形態では、エッチング成分としてはフッ酸を使用し、増粘剤として硫酸マグネシウムを使用した。フッ酸濃度は10重量%添加し、硫酸マグネシウムはエッチングペーストの粘度が6000cpsになるように添加した。なお、本発明における粘度の測定は、JIS Z 8803に規定された方法を用いて測定する。エッチングペーストの調合は、不図示のエッチングペースト収容槽内でエッチングペースト塗布手段261に供給される前に行うことが好ましい。また、エッチングペーストは、ガラス基板10に塗布される前に20〜30℃程度に温度調整されていることが好ましい。エッチングペーストの温度を20〜30℃に調整することによって、エッチング速度が安定して、均一なエッチングを行うことが可能になる。
ここから、エッチングペーストを用いたエッチングの効果について説明する。ガラス基板の薄型化や切断等の処理を行う際のエッチングは、増粘剤が添加されることは少なく、水、フッ酸、その他の酸、界面活性剤等を適宜混合したエッチング溶液が使用される。しかし、ウェットエッチング処理においてエッチング量のコントロールは非常に難しい。例えば、複数のガラス基板をカセットにセットしてエッチング溶液中に浸漬する場合では、エッチング液の液流等の関係でガラス基板の上部と下部においてもエッチング量が異なることがある。また、多量のガラス基板をエッチングする場合、徐々にエッチング速度が低下し、フッ酸の追加等の煩雑な作業をしなければ、エッチング量を均一に保つことは困難である。
エッチングペーストは、通常のエッチング溶液と比較してエッチング量が少なくなり、効率の良い生産が難しいため、あまり使用されることがない。しかしながら、本発明では増粘剤が添加されたエッチングペーストを敢えて使用することで、エッチング量のコントロールを容易にしている。その理由は、エッチングペーストは、増粘剤が添加されていないエッチング溶液に比べて、ガラスをエッチングするための有効成分であるフッ素イオンの循環が少なくなるからである。ガラス基板のエッチングは、ガラス基板とエッチング溶液中のフッ素イオンとの反応によって起こるが、通常のエッチング溶液を用いたエッチング処理では、フッ素イオンがガラスと反応したとしても、エッチング溶液中の新たなフッ素イオンが供給されることによってエッチング反応が進行する。しかし、エッチングペーストは溶液中の流動性が低いため、ガラス基板に新たなフッ素イオンが供給されずに、塗布された段階でガラス基板の近くに存在するフッ素イオンがガラス基板と反応すると、それ以上はエッチング反応が進行せず、ガラス基板の周囲のフッ素イオンが反応すると、自動的にエッチング反応が止まる。このため、エッチング量が均一になり、かつ、フッ素イオン濃度を調整することにより容易にエッチング量の制御が可能になる。
このようなエッチングペーストの特性により、各凹部14のエッチング量が均一になるようにエッチング処理を行うことが可能になる。特に、マイクロレンズアレイでは凹部の直径や各凹部の間隔の均一性が要求されるため、エッチングペーストを用いたエッチング処理が有効である。さらに、フッ素イオン濃度の調整によってエッチング量もコントロールできるため、凹部14のサイズも容易に変更することができる。また、前述のようにエッチングペーストの粘度は5000〜10000cpsになるように調節することが好ましい。エッチングペーストの粘度が5000cps未満になると、エッチング液の流動性が高くなるため、エッチング量が安定せずに、均一な凹部を作成することが難しい。また、粘度が10000cpsを超えると、ガラス基板にエッチングムラが発生してしまうおそれがある。
さらに、エッチングペーストを用いたエッチングを行う際は、1回のエッチング量が20μm以下にすることが好ましい。エッチングペーストを用いて20μm以上のエッチングを行う場合、ガラス基板の表面品質が悪化してしまうおそれがあるからである。エッチングペーストを用いてエッチング処理を行う場合は、エッチング量が20μm以下になるようにレーザ処理の工程で凹部のサイズを調整するか、20μmを超えるエッチング量が必要な場合は、一旦エッチングペーストをガラス基板上から除去して再びエッチングペーストを塗布することが好ましい。
エッチングペースト塗布手段261にてエッチングペーストが塗布されたガラス基板10は、搬送手段241によって後段の洗浄部281まで搬送される。ガラス基板のエッチング量は、あらかじめ調合しておいたフッ素イオン濃度によって決まるため、エッチング装置201の長さやガラス基板10の搬送速度等を細かく調整する必要はなく、エッチングペーストの塗布後に所定時間経過させれば良い。本実施形態では、エッチングペースト塗布手段261から洗浄部281までのガラス基板10の搬送時間が5分になるように搬送部221の搬送速度の調節を行った。また、エッチングペーストの塗布量も厳密にコントロールする必要はなく、凹部14内にエッチングペーストが確実に浸入するように塗布すれば良い。
洗浄部281は、ガラス基板10上に塗布されたエッチングペーストを除去するように構成される。本実施形態における洗浄部281は、搬送手段241上に配置された複数のシャワーノズルから噴射される水を用いてエッチングペーストを除去するような構成だが、エッチングペーストの粘度によっては、必要に応じて不織布等による拭き取り処理を組み合わせることも可能である。なお、上述のようにエッチングペーストの塗布後は所定時間経過させることでエッチング処理は完成するため、エッチングペースト塗布手段261や洗浄部281の配置位置は適宜設計することができる。エッチングペーストが除去されたガラス基板10は、エアナイフやスポンジローラ等を用いて主表面の水分を除去した後に、搬出部301から取り出される。
また、本実施形態では、エッチング装置201を用いたエッチングについて説明したが、本発明はこれに限定されず、既存スリットコーターやロールコーター等の装置を利用してエッチングペーストを塗布することも可能である。これらの装置を利用して塗布されたガラス基板は、枚葉式の洗浄機等を利用して洗浄することでエッチングペーストを除去することができる。もちろん、装置を用いることなく作業者が刷毛等を用いてエッチングペーストを塗布する場合であっても本発明が好適に実施できることは言うまでもなく、その際に凹部14に空気が入り込まないようにエッチングペーストを塗布する必要がある。
さらに、ここから本発明のもう1つの実施形態について説明する。本発明の第3の実施形態は、ガラス基板の主面上に保護膜を形成する工程と、保護膜に対してレーザを照射することで保護膜上に開口部を形成する工程と、ガラス基板にエッチング液を接触させる工程と、所定時間エッチング液を接触させた後に保護膜を除去する工程とを含む。
図5は、本実施形態におけるマイクロレンズアレイの製造方法の各工程を示す図である。まず図5(A)に示すように、ガラス基板10の少なくとも一方の主面上に保護膜40を形成する。保護膜40は、エッチング工程において被エッチング部以外のガラス基板10の主面にエッチング液が接触しないように構成される。本実施形態において使用する保護膜40は、特に制限はなく、耐酸性フィルムや耐酸性レジスト材を適宜利用することが可能である。
保護膜40は、図5(B)に示すようにレーザが照射されることによって所定の間隔に配置された所定のサイズの開口部42が複数形成される。開口部42は、所望するマイクロレンズアレイに適合する間隔やサイズで形成されるが、開口部42の間隔は20〜500μmであることが好ましく、開口部42の直径は10〜150μmであることが好ましい。また、このときに保護膜40だけでなくガラス基板10にもレーザを照射して、ガラス基板10を改質させてもよい。開口部42を形成する際に使用するレーザ装置としては、上述のようなレーザ装置を使用することが可能である。
保護膜40に対して開口部42が形成されたガラス基板10は、上述のようなエッチング処理によって複数の凹部14が形成される。(図5(C)参照。)。本実施形態におけるマイクロレンズアレイの製造方法は、エッチング量によって凹部14のサイズが変化してくるため、エッチング量のコントロールが容易なエッチングペーストを用いたエッチングが好ましい。エッチングペーストを用いることにより、所望の特性を有するマイクロレンズアレイを製造することが可能になる。
エッチング処理により所望の形状の凹部14が形成されると、ガラス基板10から保護膜40を除去する。(図5(D)参照。)。保護膜40を除去する手段は、保護膜40によって適宜選択することができる。耐酸性フィルムであれば、端面に力を加えて剥離したり、粘着テープや粘着シートを用いて除去したりすることが可能である。耐酸性レジストを使用する場合は、剥離性のある薬品にガラス基板10を浸漬することで除去することが可能である。
保護膜40をガラス基板10上に形成することにより、レーザ照射時の加工飛散物がガラス基板10に付着したり、凹部14の内部に堆積したりするのを防止することができ、マイクロレンズアレイの品質が向上する。また、本実施形態におけるエッチング処理では、凹部14の深さ方向に対してエッチングが進行し、周辺部はエッチングが進行することがないので、深さのある凹部を形成する際は保護膜を形成することが好ましい。レーザ加工のみで凹部を深さ方向に加工することも可能であるが、レーザ加工のみ加工時間が掛かるおそれがあり、生鮮効率が低下する。エッチング処理はレーザ加工ほど時間を掛けずに凹部の深さ方向に対して加工を行うことが可能になる。
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10‐ガラス基板
12‐レーザ装置
14‐凹部
20‐エッチング装置
22‐搬入部
24‐搬送手段
26‐エッチング手段
28‐洗浄部
30‐搬出部
32‐エッチング液供給パイプ
34‐噴射ノズル
36‐前洗浄部
261‐エッチングペースト塗布手段
40‐保護膜
42‐開口部

Claims (3)

  1. ガラス基板の主面にレーザを照射することで所定の間隔で配列された所定サイズの凹部を複数形成するステップと、
    前記凹部が複数形成された主面にエッチング液を接触させて前記複数の凹部を拡大させるステップと、
    を含むマイクロレンズアレイの製造方法。
  2. 前記エッチング液の粘度が5000〜10000cpsであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
  3. ガラス基板の主面上に保護膜を形成する工程と、
    前記保護膜に対してレーザを照射することで前記保護膜上に所定の間隔で配置された所定サイズの開口部を複数形成する工程と、
    前記ガラス基板とエッチング液を接触させる工程と、
    前記ガラス基板と前記エッチング液を所定時間接触させた後に前記保護膜を前記ガラス基板上から除去する工程と、
    を含むマイクロレンズアレイの製造方法。
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