以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した標的システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図1において、標的システム11は、標的装置12、パーソナルコンピュータ13、およびモニタ14を備えて構成されている。標的システム11では、標的装置12およびパーソナルコンピュータ13は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルやLAN(Local Area Network)ケーブルなどの通信ケーブル15を介して接続される。または、標的装置12およびパーソナルコンピュータ13は、無線通信により接続するように構成してもよい。また、パーソナルコンピュータ13およびモニタ14は、モニタケーブル16を介して接続される。
標的装置12は、ユーザが射的を行う際の目標となり、図2および図3を参照して後述するように、標的に命中したBB弾を回収する機構を備えている。また、標的装置12は、的紙21、標的板22、衝撃センサ23−1乃至23−4、および信号処理部24を備えて構成される。
的紙21には、例えば、直径の異なる複数の輪が同心円となるように配置された標的が描かれており、的紙21は、標的装置12に対して交換可能となるように取り付けられる。
標的板22は、的紙21の前面側、即ち、的紙21に対して射的を行うユーザ側に配置される透明な板であり、その上側が前方に傾斜するように標的装置12に固定される。標的板22としては、例えば、ポリカーボネートなどの透明な素材が使用される。ユーザは、透明な標的板22を介して的紙21の標的を視認する。
衝撃センサ23−1乃至23−4は、標的板22の四隅の近傍にそれぞれ装着され、ユーザが射的を行うことにより標的板22にBB弾が着弾することで発生する衝撃波(加速度の変化)を検出し、その衝撃波を表す信号である衝撃波信号を信号処理部24に出力する。なお、本願において、衝撃波とは、標的板22にBB弾が着弾して跳ね返ることによって、瞬間的な力が標的板22に加わることにより発生し、物体および空気を伝わる振動のことを指すものとする。
信号処理部24は、衝撃センサ23−1乃至23−4から出力される衝撃波信号それぞれに対する信号処理を行い、その結果得られる各種のデータを、通信ケーブル15を介してパーソナルコンピュータ13に供給する。
パーソナルコンピュータ13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などを備えて構成されており、CPUがROMまたはHDDに記憶されているプログラムをRAMにロードして実行する。例えば、パーソナルコンピュータ13が、射的用のアプリケーションソフトウェア(プログラム)を実行すると、モニタ14には、標的装置12の的紙21に対応する標的が描画された標的画像25が表示される。そして、ユーザが射的を行って標的板22にBB弾が着弾すると、パーソナルコンピュータ13は、信号処理部24から供給されるデータに基づいて着弾位置を算出し、標的画像25における着弾位置に対応する箇所に、着弾マークPを表示させる。
モニタ14は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの表示部を備えて構成されており、パーソナルコンピュータ13からモニタケーブル16を介して供給される表示データに従った画面を表示する。
図2および図3は、標的装置12の構成例を示す図である。図2には、標的装置12の正面図が示されており、図3には、標的装置12の側面図が示されている。
標的装置12は、図1を参照して説明した的紙21、標的板22、衝撃センサ23−1乃至23−4、および信号処理部24の他、筐体31、背面板32、上蓋33、4枚の反射板34乃至37、引き出し38、通信端子39、およびLED(Light Emitting Diode)40を備えて構成される。
筐体31は、直方体の形状をした箱であり、所定の位置に開口部が設けられている。筐体31の正面側(図2の紙面と垂直な上方向、図3の左側)の壁部の上側部分には、開口部31Aが設けられており、この開口部31Aを介して、ソフトエアガン(図示せず)により発射されたBB弾が筐体31の内部に導入される。また、筐体31の背面側(図2の紙面と垂直な下方向、図3の右側)の壁部には、正面側と同様の開口部31Bが設けられており、この開口部31Bを塞ぐように背面板32が装着される。
また、筐体31の上側の壁部の正面側には、標的板22を挿入するための開口部31Cが設けられており、開口部31Aよりも若干幅広な形状の標的板22は、筐体31の正面側の開口部31Aの全面に亘るように配置される。また、筐体31の右側面の壁部の下側には、引き出し38を挿入するための開口部31Dが設けられている。
背面板32は、的紙21の標的が標的装置12の正面側を向くように、筐体31との間で的紙21を挟み込むようにして、筐体31の背面側の開口部31Bに装着される。背面板32は透明な板で、着脱可能とされており、射的競技に応じて的紙21を容易に交換することができる他、後述するようなサブモニタ71(図14)を使用することが可能となる。また、背面板32は、上部を延長して、延長した部分に穴を開け、フックに掛けられるようにすることで、標的装置12を壁掛け可能としたり、背面板32を上下左右に拡張して、標的装置12の周囲も一定範囲まで保護できるようにしたものをオプションとして用意してもよい。
上蓋33は、標的板22を挿入するための開口部31Cを閉鎖するとともに、筐体31の内部に収納された標的板22を上方から押える機能を備える。図3には、上蓋33が筐体31の上側の開口部31Cを閉鎖した状態が示されており、上蓋33を取り外して開口部31Cから標的板22を挿入した後、上蓋33の下方の面が標的板22の上端に当接するように上蓋33を取り付けてネジ33aにより固定することで、上蓋33が標的板22を上方から押えつけて固定する。また、上蓋33の前方の縁部は、筐体31の内側に向かって、例えば、幅3.5mmかつ傾斜角度45°で折り曲げられた折り曲げ部45aが形成されている。また、折り曲げ部45aと同様に、筐体31の開口部31Aにおける両側の前方の縁部にも、筐体31の内側に向かって折り曲げられた折り曲げ部45bおよび45cが形成されている。
反射板34,35、および37は、例えば、厚さ2mmのポリカーボネート製の板状の部材である。反射板36は、例えば、厚さ0.8mmの鉄製の板状の部材である。反射板34乃至37は、所定の傾斜角度となるように筐体31の内部に固定される。それらの傾斜角度については、図6を参照して後述する。
なお、標的板22と反射板34とは、正面側から背面側の下方に向かって間隔が狭まるような傾斜角度で筐体31の内部に固定されている。また、標的板22と反射板34との間隔が最も狭くなる箇所に形成される空間である入口101の間隔Dは、例えば、10mmに設定される。また、図3において一点鎖線で示されているBB弾の軌道に沿う方向の、入口101よりも先の領域が収容領域102である。
引き出し38は、透明な樹脂で形成され、上面が開口した細長い箱であり、筐体31の右側面の開口部31Dから抜き差しされる。引き出し38には、標的板22および反射板34乃至37で反射したBB弾が収容される。また、筐体31の正面側の壁部の下側には、横に細長い窓部41が形成されており、窓部41を介して、引き出し38に収容されたBB弾の量が確認可能とされている。
通信端子39は、図1の通信ケーブル15を標的装置12に接続するための端子であり、信号処理部24と電気的に接続されている。例えば、通信ケーブル15がUSBケーブルである場合、通信端子39はUSBコネクタである。また、図3に示すように、信号処理部24は、プリント基板によって標的装置12に実装される。
LED40は、通信端子39に通信ケーブル15が接続され、通信ケーブル15を介して、パーソナルコンピュータ13において実行されるプログラムによる指令に従って点灯する。
また、例えば、後述の図13および図14に示すように、標的装置12を三脚72に固定することができるように、筐体31の下側の壁部の中央に貫通穴が形成されており、その貫通穴に合わせてナット42が固定されている。
このように標的装置12においては、図2および図3に示すように、標的板22と反射板34は、正面側から背面側の下方に向かって間隔が狭まるような傾斜角度で筐体31の内部に固定されている。従って、標的装置12では、標的板22に当たったBB弾は、一点鎖線で示される軌道のように、標的板22と反射板34との間で跳ね返りを繰り返しながら収容領域102の入口101に向かって誘導される。
また、標的装置12では、収容領域102の入口101を通過したBB弾は収容領域102の内側において跳ね返りを繰り返すことになり、BB弾の運動エネルギーが減衰するので、収容領域102からBB弾が飛び出すことが防止される。これにより、標的装置12は、BB弾を引き出し38に確実に収容することができる。
このようにBB弾を確実に回収するための標的板22および反射板34の傾斜角度は、標的板22の角度を変えながらBB弾の跳ね返り角度を測定する試験を行うことにより求められた。
図4を参照して、標的板22の角度と跳ね返り角度との関係について説明する。
図4には、所定の角度で固定された標的板22の正面図(図4A)および側面図(図4B)が示されており、標的板22と水平面との角度が的板角度θとされ、標的板22に当たったBB弾が跳ね返る角度が跳ね返り角度γとされる。また、標的板22に向かってBB弾が入射してくる軌道の標的板22の垂線に対する角度が入射角αとされ、標的板22でBB弾が跳ね返った後の軌道の標的板22の垂線に対する角度が反射角βとされる。即ち、次の式が成立する。
γ=α+β ・・・(1)
ここで、標的板22として、厚さが2mmであるポリカーボネート製の板を用いたときにおける跳ね返り角度γ、入射角α、反射角βの測定結果について説明する。図5Aには、エネルギーが0.4Jであるソフトエアガン(18才以上用)を使用し、重さ0.2gのBB弾を発射して計測を行った結果が示されている。また、図5Bには、エネルギーが0.09Jであるソフトエアガン(10才以上用)を使用し、重さ0.12gのBB弾を発射して計測を行った結果が示されている。
図5Aおよび図5Bを比較して明らかなように、的板角度θを同一とした場合、より大きいエネルギーのエアガンでより重いBB弾を発射した場合(図5Aの場合)の方が、より小さいエネルギーのエアガンでより軽いBB弾を発射した場合(図5Bの場合)より、跳ね返り角度γが大きくなる。しかし、ある程度以上になると変化が少なくなり、エネルギーが0.8Jであるソフトエアガンを使用した場合や、重さ0.25gまたは0.3gのBB弾を使用した場合でも図5Aの結果と比べて反射角の増加は僅かであった。なお、BB弾の重量や、標的板22の剛性または摩擦係数なども、反射角に影響を与えるものと想定される。
このように、的板角度θを変えながら跳ね返り角度γを測定する実験を繰り返し行うことで、図3の標的板22と反射板34との間でBB弾が跳ね返りを繰り返しながら収容領域102の入口101に向かって確実に誘導される傾斜角度が求められる。
なお、図5に示すように、入射角αよりも反射角βの方が大きくなることが確認された。これは、光の反射と異なり、固体同士が衝突した際の跳ね返り角度が、固体の形状、材質、表面形状などにより変化することに基づく。そして、共に摩擦係数が小さいと考えられる標的板22とBB弾とが角度をつけて当たった場合、標的板22の表面でのBB弾の転がりと滑り、および標的板22の局所的な撓りにより、反射角βが確実に増加することになると考えられる。実際に、標的装置12に回収された直後のBB弾が激しく自転していることが確認された。
また、標的板22の厚みが、BB弾の反射角βに与える影響を確認するために、厚さ2mm、3mm、5mm、および10mmのポリカーボネート製の板に対して、跳ね返り角度γが約90°になる的板角度θを測定した。例えば、エネルギーが0.5Jであるソフトエアガンで、重さ0.2gかつ直径6mmのBB弾を使用した場合において、厚さ2mmのポリカーボネート製の板では的板角度θは72°となり、厚さ3mmのポリカーボネート製の板では的板角度θは63°となり、厚さ5mmのポリカーボネート製の板では的板角度θは53°となり、厚さ10mmのポリカーボネート製の板では的板角度θは49°となることが測定された。
そして、厚さ10mmのポリカーボネート製の板では撓りは全く発生しないものと考えられるところ、標的板22の表面でのBB弾の転がりと滑りが発生しない場合における跳ね返り角度γが45°であるとすると、BB弾の転がりと滑りが反射角βに与える影響、即ち、反射角βの増加分は、4°(=49°−45°)であると考えられる。従って、厚さ2mmのポリカーボネート製の標的板22において反射角βが増加する原因の大部分は、標的板22の局所的な撓りによるものであると想定される。
さらに、異なる厚さのポリカーボネート製の板で、BB弾の重量およびエネルギーの変化が反射角βに与える影響を調べてみると、板の厚さを10mmにした場合にはBB弾の重量およびエネルギーの変化が反射角βに与える影響は殆んどなかったが、板の厚さを2mmにした場合には、BB弾の重量の変化のみが大きく影響した。
例えば、上述したように、厚さ2mmのポリカーボネート製の板に対し、エネルギーが0.5Jであるソフトエアガンで、重さ0.2gかつ直径6mmのBB弾を使用した場合には、跳ね返り角度γが約90°になる的板角度θは72°であった。また、同じ条件で、エネルギーが0.09Jであるソフトエアガンを使用した場合には、跳ね返り角度γが約90°になる的板角度θは71°であった。従って、エネルギーが0.5Jであるソフトエアガンと、エネルギーが0.09Jであるソフトエアガンとでは、跳ね返り角度γが約90°になる的板角度θの差は1°であり、ソフトエアガンのエネルギーの差が、跳ね返り角度γが約90°になる的板角度θに与える影響は比較的に僅かなものである。
一方、図5Bに示すように、エネルギーが0.09Jであるソフトエアガンを使用して、重さ0.12gかつ直径6mmのBB弾を発射した場合には、跳ね返り角度γが約90°になる的板角度θは67°であった。このように、重さ0.2gのBB弾と、重さ0.12gのBB弾とでは、跳ね返り角度γが約90°になる的板角度θの差は5°もあり、BB弾の重さの差が、跳ね返り角度γが約90°になる的板角度θに与える影響は比較的に大きいものである。これらのことより、標的板22が厚さ2mmのポリカーボネート製の板であるならば、BB弾の跳ね返り角度γは、BB弾の重量でほぼ決定され、ソフトエアガンのエネルギーの影響は比較的に僅かであると言うことができる。
そして、一般に、重さ0.2g以上のBB弾が18才以上用のソフトエアガン用とされており、重さ0.12gのBB弾が10才以上用および7才以上用のソフトエアガン用とされている。このことより、図5Aのデータに基づいて18才以上用の標的装置12を設計し、図5Bのデータに基づいて10才以上用および7才以上用の標的装置12を設計することで、どちらのソフトエアガンを使用しても、BB弾を確実に回収することができる。なお、標的装置12の奥行きが増加しても問題無いのなら、図5Bのデータに基づいて7才以上の全ての年齢向けの標的装置12を設計することができる。
なお、BB弾は跳ね返る度にエネルギーが減衰することより、エネルギーにより反射角が変化すると仮定した場合、図6に示す経路の各々の反射点での反射角を推定するためには、各反射点でのエネルギーのエアガンで図5Aの様なデータを測定する必要がある。しかしながら、標的板22が厚さ2mmのポリカーボネート製の板であり、的板角度θが同じなら、BB弾の跳ね返り角度はBB弾の重量でほぼ決定されることより、図5Aのデータに基づいて、図6に示す全ての反射経路をほぼ正確に推定することができる。
次に、図6を参照して、標的板22および反射板34の傾斜角度と、標的装置12の内部でのBB弾の経路について説明する。図6には、標的装置12の概略的な構成が示されており、図6において、左側が標的装置12の正面側とされ、右側が標的装置12の背面側とされる。
標的板22は、標的装置12の上側から下側に向かうに従い正面側から背面側に向かうように、筐体31の上面の壁部に対して68°の傾斜角度(θ=68°)で固定されている。また、標的板22は、上側の端部が筐体31の上側の壁部の正面側端部の近傍に当接し、下側の端部が筐体31の背面側の壁部の下側端部の近傍に当接するように固定される。
反射板34は、標的装置12の上側から下側に向かうに従い正面側から背面側に向かうように、筐体31の正面側の壁部に対して68°の傾斜角度で固定されている。また、反射板34は、筐体31の正面側の開口部31Aよりも下方に配置され、正面側の端部が筐体31の正面側の壁部に当接し、背面側の端部が、標的板22との間で所定の間隔(図3に示した間隔D)となるように固定される。
従って、図6の構成例において、標的装置12は、標的板22と反射板34との角度が46°(=68°−(90°−68°))となるように、正面側から背面側の下方に向かって標的板22と反射板34との間隔が狭まるように構成されている。
反射板35は、標的装置12の上側から下側に向かうに従い背面側から正面側に向かうように、水平面に対して55°の傾斜角度で固定されている。反射板35の傾斜角度は、収容領域102の入口101を通過したBB弾を収容領域102に反射するような角度に設定される。また、反射板35は、上側の端部が、標的板22の下側の端部に当接するように固定されている。なお、反射板35は、例えば、両面に粘着性を備えたクッション材43を介して反射板36を構成する薄板の一部に貼着されている。
反射板36は、標的装置12の上側から下側に向かうに従い背面側から正面側に向かうように、即ち、BB弾が引き出し38内に転がり込むように、水平面に対して5°の傾斜角度で固定されている。なお、反射板36は、図6に示すように、側面方向から見て、少なくとも2箇所36Aおよび36Bで折り曲げられた薄板の一部(中央部分の面)により構成されている。
反射板37は、筐体31の正面側の壁部に対して平行になるように固定されている。また、反射板37は、例えば、両面に粘着性を備えたクッション材44を介して筐体31の手前側の壁部の内側に貼着されている。
このように、標的板22および反射板34乃至37は筐体31の内部に固定されており、標的装置12に向かって発射されたBB弾は、複数回の跳ね返りを繰り返して、収容領域102内の引き出し38(図3)に収容される。
図6では、標的板22の中央に向かって水平に発射されたBB弾の経路が一点鎖線で示されている。水平に発射されたBB弾は、標的板22に対して入射角22°で衝突して、反射角76°で跳ね返った後、反射板34に対して入射角30°で衝突して、反射角80°で跳ね返る。その後、BB弾は、標的板22に対して入射角33°で衝突して、反射角81°で跳ね返って、収容領域102の入口101を通過する。
すなわち、標的板22に水平に入射したBB弾の跳ね返り角度γが90°より大きくなるように、つまり、BB弾の反射方向が正面側ではなく、背面側となるように、標的板22の傾斜角度が設定されている。また反射板34の傾斜角度は、標的板22により反射されたBB弾が垂線より正面側から入射し、垂線より背面側の方向に反射するように設定されている。さらに標的板22の傾斜角度は、反射板34により反射されたBB弾が、垂線より正面側から入射し、垂線より背面側の方向に反射するように設定されている。BB弾は、標的板22により2回反射され、反射板34により1回だけ反射されて、入口101に入る。これにより、反射されたBB弾が正面側に向かい、回収困難になることが防止される。
さらに、BB弾は、反射板35に対して入射角42°で衝突して、反射角83°で跳ね返った後、反射板36に対して入射角45°で衝突して、反射角67°で跳ね返る。ここで、反射板36は、上述したように、鉄板により構成されているので、ポリカーボネート板により構成される反射板34,35、および37とは反射角が異なっている。なお、反射板36の反射角も、実験を行うことで求められたものである。また、反射板35を、クッション材43を介さずに反射板36に直接的に貼着した構成では、反射板35における反射角度は、略鉄板の反射角となる。
その後、BB弾は、収容領域102内で反射板34や反射板37などに対して跳ね返りを繰り返して、筐体31(収容領域102)内の引き出し38(図3)に収容される。
このように、標的装置12では、ユーザは、透明な標的板22を介して的紙21の標的を視認するので、的紙21には着弾しない。従って、的紙21を頻繁に交換する必要がなく、連続して使用することができる。また、標的板22および反射板34乃至37が適切な傾斜角度で配置されていることにより、標的板22の中央に向かって水平に発射されたBB弾が、筐体31内の引き出し38に確実に収容される。即ち、BB弾のエネルギーは、標的板22および反射板34乃至37により跳ね返る度に減衰するため、標的装置12の構成では、引き出し38に収まるまでに少なくとも7回は跳ね返ることになり、引き出し38に入る際にはBB弾のエネルギーは大きく減衰している。その結果、狭い空間でもBB弾を確実に収容することができ、BB弾を確実に収容可能な標的装置12を小型化することができる。
また、標的装置12は、標的板22の中央に向かって水平にBB弾が発射された以外の場合であっても、標的板22と反射板34との間で跳ね返りながら収容領域102の入口101にBB弾を誘導し、収容領域102にBB弾を確実に収容することができる。
例えば、図7には、標的板22の中央に加えて、標的板22の上端近傍および下端近傍に向かって水平に発射されたBB弾の経路が示されている。また、図8には、標的板22の中央に向かって斜め上20°(=68°−(90°−42°))から発射されたBB弾の経路が示されている。図7および図8に示すように、標的板22と反射板34との間でBB弾が跳ね返る度に経路が収斂しており、3回跳ね返った後は、図6で説明した経路と同様の経路となって収容領域102に収容される。
このように、標的装置12は、BB弾が標的板22の何処の場所に当たっても、さらに、水平以外のある程度の角度で当たったとしても、収容領域102の入口101に達したところで、BB弾の軌道はほぼ完全に揃えられるので、イレギュラーなどは発生せず、BB弾を確実に回収することができる。このように、全てのBB弾を回収することができるので、標的装置12を使用することで、煩わしいBB弾の回収を不要にすることができる。
さらに、標的装置12は、机やテーブルの上に置いて使用されることが多く、斜め上から狙って(入射角αが22°より大きくなるように)射的されることが多いと考えられるところ、標的装置12の構造上、斜め上に跳ね返ることはないので、斜め上からであれば、どのような角度で発射されたBB弾でも確実に回収することができる。また、標的装置12は、水平に対して下方に10°(入射角α=12°=22°−10°)までの角度で発射されたBB弾であれば回収することができる。
なお、標的装置12は、重さ0.2g以上かつ直径6mmのBB弾を使用する使用条件を前提に設計されており、この使用条件においてBB弾を確実に回収することができる。一方、重さ0.12gのBB弾を使用する使用条件では、反射角が異なってしまい、BB弾を確実に回収するためには傾斜角度を変更する必要がある。例えば、この使用条件では、水平面に対する標的板22の傾斜角度(的板角度θ)を63°に変更し、水平面に対する反射板34の傾斜角度を27°に変更することで、BB弾を確実に回収することができる。なお、標的装置12では、入口101の間隔Dが10mmに設定されているため、直径8mmのBB弾を使用した場合においても、BB弾を確実に回収することができる。
このように、標的板22の傾斜角度(的板角度θ)は、図6乃至図8に示した68°に限定されるものではない。例えば、標的板22の剛性により反射角βが多少変化する。このため、標的板22が筐体31に固定された状態では、標的板22の周辺部において反射角βが少し小さくなることが想定される。反射角βが小さくなると、BB弾の反射方向が筐体31の背面方向ではなく、正面方向により近くなる。このことより、BB弾を確実に回収するためには、標的板22の傾斜角度(的板角度θ)は70°程度が限界であると考えられる。
なお、図11を参照して後述するように、標的装置12の背面側にモニタ14を配置して使用する場合には、標的板22とモニタ14との間隔が離れないようにするために、標的装置12を薄く設計した方が望ましい。また、的板角度θを小さくすれば、回収は容易であるが、筐体31の奥行き方向の長さが長くなり、大型化する。そこで、標的板22が厚さ2mmのポリカーボネート製の板である場合、その傾斜角度は、60°〜70°の範囲とするのが好適である。なお、上述したように、BB弾の反射角βは標的板22の厚みにより変化するものであり、例えば、標的板22が厚さ3mmのポリカーボネート製の板である場合には、標的板22の的板角度θは62°以下にする必要がある。
次に、図9を参照して、標的板22および反射板34乃至37の固定方法の例について説明する。
標的板22は、筐体31の側面の内側に固定される押さえ板51および52により両側から挟み込むようにして固定される。なお、図9においては、筐体31の左側面に配置される2枚の押さえ板51および52が示されているが、筐体31の右側面にも同様に2枚の押さえ板が配置される。
押さえ板51および52は、標的板22の傾斜角度に沿って筐体31の側面の内側に固定される。また、押さえ板51および52には、それぞれ2箇所にネジ穴51Aおよび52Aが形成されており、押さえ板51および52は、筐体31の側面に形成されている貫通穴を介して、筐体31の側面の外側から挿入されるネジにより固定される。なお、押さえ板51を固定するネジ用の貫通穴は長穴とされており、そのネジを緩めることにより、長穴の長手方向に沿って押さえ板51がスライド可能とされている。
上述したように、標的板22は、筐体31の上側の開口部31Cを介して抜き差し可能とされている。例えば、標的板22を装着するときには、押さえ板51を固定するネジを緩めて正面側に押さえ板51をスライドさせた状態で、標的板22を差し込んだ後、押さえ板51を背面側にスライドさせて、押さえ板51および52により標的板22を挟み込ませる。そして、押さえ板51を固定するネジを締めることで、標的板22が固定される。また、押さえ板51を固定するネジ用の貫通穴は斜め長穴となっているので、押さえ板51を固定するネジを緩めて筐体31を正面側に寝かせる状態とすることで、押さえ板51は標的板22を開放する側にスライドする。そして、標的板22を交換した後に筐体31を立てた状態とすることで、押さえ板51は標的板22を押さえる側にスライドする。
なお、標的板22は、例えば、18才以上用のソフトエアガンで直径6mmのBB弾を使用する条件において、十分に高い耐久性と安全性を備えている。例えば、この条件において、ソフトエアガンで数万発のBB弾で標的板22を射的した場合でも、標的板22が破損しないことが確認された。ところで、この場合でも、標的板22が完全に使用できなくなることはないが、標的板22の表面は、次第に傷んだり歪んだりして背後の標的を視認する上での鮮明度は損なわれるため、標的装置12では、標的板22を交換可能とし、射的環境を良好な状態に常に維持することができる。なお、標的板22の汚れは、水で濡らしたティッシュ、より好適にはIPA(イソプロピルアルコール)やエタノールで濡らしたティッシュで拭くことにより除去することができる。
反射板34は、筐体31の側面の内側に固定される押さえ板53および54により固定される。なお、図9においては、筐体31の左側面に配置される2枚の押さえ板53および54が示されているが、筐体31の右側面にも同様に2枚の押さえ板が配置される。
また、押さえ板54は、反射板35および37を押える機能も備えている。つまり、反射板35をクッション材43により反射板36を構成する薄板に貼着し、反射板37をクッション材44により筐体31の正面側の壁部に貼着した後、押さえ板54を固定する。これにより、押さえ板54の端面が、反射板35を薄板に押し付けるとともに、反射板37を筐体31の正面側の壁部に押し付ける。このように押さえ板54を固定した後、左右の押さえ板54の上に反射板34をセットして、押さえ板54および53で挟み込むように反射板34を固定する。
また、反射板36は、反射板36を構成する薄板の一部を折り曲げた箇所に形成されるネジ穴36Cおよび36Dを利用して、筐体31の両側面の内側に固定される。
反射板35および37をクッション材43および44を利用してそれぞれ固定することにより、反射板35および37に対して跳ね返るBB弾のエネルギーを効率よく減衰させることができる。また、反射板37は、正面から見て左右の両端近傍だけをクッション材44により貼着することで(図2参照)、BB弾の衝撃をさらに吸収させることができ、図5に示した跳ね返り角度でBB弾を反射させることができる。
押さえ板52は、その上端近傍および下端近傍の一部が、標的板22に固定した状態で標的板22と平行になるように折り曲げられており、その折り曲げられた部分が、標的板22に取り付けられる衝撃センサ23を固定するための固定台55となる。
図10を参照して、衝撃センサ23を固定する固定構造について説明する。
図10に示すように、衝撃センサ23は、センサ部23aおよびプリント基板部23bから構成されており、クッション材56および57に挟み込まれて、標的板22と固定台55との間に固定される。
例えば、クッション材56は、強力な粘着性を両面に備えており、衝撃センサ23のプリント基板部23bと固定台55とを強力に貼着する。また、センサ部23aと標的板22との間に配置されるクッション材57は、片面のみに粘着性を備えており、標的板22に貼着される。そして、クッション材57は、標的板22を固定することによってセンサ部23aを押圧する状態となり、BB弾が標的板22に着弾する際の振動をセンサ部23aに伝達する。また、クッション材57は、センサ部23aには貼着しない構成となるため、上述したように標的板22を交換可能とすることができる。
このように、衝撃センサ23は、背面側から固定台55により標的板22に押さえつけられるようにして固定される。このような固定構造によって、BB弾が標的板22に着弾する衝撃力により衝撃センサ23が脱落することが防止される。例えば、強力な粘着性を両面に備えるクッション材により衝撃センサ23を標的板22に貼着しただけでは、BB弾が標的板22に着弾する衝撃力により衝撃センサ23が脱落することがあった。これに対し、固定台55が背面側から衝撃センサ23を標的板22に押さえつける固定構造では、数万発の射的を行っても衝撃センサ23が標的板22から脱落しないことが確認された。
また、衝撃センサ23の両面にクッション材56および57を配置することで、BB弾が標的板22に着弾する衝撃力がクッション材56および57により吸収され、着弾の衝撃力が衝撃センサ23の最大定格を超えることが回避される。
ここで、標的装置12の素材について説明する。
上述したように、標的板22、反射板34,35、および37には、厚さ2mmのポリカーボネート板が使用されている。ポリカーボネートの衝撃強度は同じ厚みのガラスの約200倍であり、同じ厚みのアクリルの40倍である。通常、エネルギーが0.09Jであるソフトエアガンにより直径6mmのBB弾を使用して厚さ2mmのアクリル板を撃つと、そのアクリル板が割れることもあれば、割れないこともある。このことより、厚さ2mmのアクリル板の直径6mmのBB弾に対する対弾性能は、0.09Jが限界であると想定される。
従って、標的装置12で使用される厚さ2mmのポリカーボネート板の衝撃強度は、同じ厚みのアクリル板の40倍であることより、厚さ2mmのポリカーボネート板の限界は直径6mmのBB弾の場合で3.6Jのエネルギーということになる。一方、日本の法律で許されたソフトエアガンのエネルギーは、直径6mmのBB弾の場合には0.989Jまでであることより、標的装置12の標的板22は、十分な強度を備えていることになる。
さらに、ポリカーボネートは、アクリルの1/3乃至1/4程度の硬さであり、ポリカーボネートには柔軟性があるので、着弾のエネルギーを良好に吸収することができる。なお、標的板22に使用するポリカーボネート板の厚さについて、18才以上用のソフトエアガンで射的した場合、厚さが3mmを超えるポリカーボネート板ではBB弾の多くが割れてしまい、厚さが1mmのポリカーボネート板では、ポリカーボネート板に痕が残り、透明度が損なわれてしまうことが確認された。従って、ポリカーボネート板を使用した標的板22の厚さは2mm乃至3mmが最適である。
次に、標的装置12の使用方法について説明する。
図1に示したように、標的装置12は、背面側に的紙21を配置し、標的装置12から離れた箇所にモニタ14を配置した状態で使用される。以下、このような使用方法を第1の使用方法と称する。
そして、標的装置12には、第1の使用方法以外にも、次に説明する第2および第3の使用方法が提案される。
図11には、第2の使用方法による標的システム11’が示されている。
第2の使用方法では、的紙21(図3)が筐体31から取り外された状態の標的装置12が使用され、モニタ14の前側に標的装置12が配置される。これにより、ユーザは、透明な標的板22および背面板32を介して視認される、モニタ14に表示される標的画像25を標的として射的を行うことができる。
例えば、ユーザは、パーソナルコンピュータ13により実行される射的用のアプリケーションソフトウェアを操作して、モニタ14の仕様と解像度を設定することで、モニタ14に表示される標的画像25を標的装置12の標的面の大きさ(例えば、図1の的紙21に描かれた標的の大きさ)と一致させる。そして、ユーザは、標的画像25の表示位置を調整することで、標的装置12の標的面の内枠に標的画像25の外枠を一致させる。
このようにモニタ14に標的画像25を表示させることで、図1の的紙21を標的としていた場合と同様に、ユーザは標的画像25を標的として射的を行うことができる。
また、標的システム11’では、パーソナルコンピュータ13が、射的用のアプリケーションソフトウェアを実行することにより、衝撃センサ23−1乃至23−4により検出された衝撃に基づいて、標的板22にBB弾が着弾した着弾位置を検出することができ、モニタ14に表示される標的画像25の着弾位置に対応する箇所に着弾マークを表示することができる。このように、標的板22にBB弾が着弾した着弾位置に対応して、標的画像25に着弾マークを表示することで、ユーザは、よりリアルで臨場感のある射的を体験することができる。また、モニタ14の標的画像25に着弾マークを表示することで、ユーザは、モニタ14から目を離すことなく、次の射的の照準修正を自然に行うことができる。
なお、パーソナルコンピュータ13に標的画像25の表示位置を記憶させることで、射的用のアプリケーションソフトウェアを実行するたびに、同一の位置に標的画像25を表示させることができる。これにより、モニタ14に対する標的装置12の位置を変更しなければ、射的用のアプリケーションソフトウェアを実行したときに、標的画像25の表示位置を調整することなく射的を開始することができる。
また、第2の使用方法で標的装置12を使用する場合には、上述のようにモニタ14を保護できるサイズとなるように背面板32を拡張するか、または、モニタ14を覆うように前面に透明な保護板61が装着される。透明な保護板61としては、モニタ14に容易に装着することができるようにポリカーボネート板を加工したものが使用される。
例えば、透明な保護板61は、図12に示すように、上辺に折り曲げ部62が形成されており、折り曲げ部62の内側にゴム板63が張り付けられて構成される。透明な保護板61は、モニタ14の上面に折り曲げ部62を掛けるようにしてモニタ14に装着され、ゴム板63が滑り止めとして機能する。また、透明な保護板61の左右の端部近傍には、ネジ穴64乃至67が形成されており、ネジ穴64乃至67を利用して透明な保護板61の左右に拡張板(図示せず)を装着することで、ワイド画面のモニタにも対応することができる。
なお、モニタ14に保護板61を装着したり、背面板32を拡張するなどして保護するのに替えて、モニタ14の全面を標的装置12が覆うような大きさとなるように、標的装置12のサイズを設計してもよい。例えば、最近の大画面のテレビジョン受像機はパーソナルコンピュータ用のモニタとしても使用することができる。そこで、標的装置12を、大画面のテレビジョン受像機に対応するサイズに設計して大画面のテレビジョン受像機の前方に設置することにより、保護板61を使用することなく、よりリアルで臨場感があり、ゲーム性の高い射的を体験させることができる。なお、例えば、標的装置12を、横長なワイド画面に適用する場合には、画面の4隅に加えて、画面中央の上下に衝撃センサ23を2つ追加して6個の衝撃センサ23を使用し、それらの衝撃センサ23のうちの着弾位置に近い3個または4個の衝撃センサ23により検出された衝撃波信号を用いて着弾位置を算出することで、着弾位置の測定精度を向上させることができる。
なお、標的板22の材質やサイズによっては、衝撃波を検出する検出手段として、衝撃センサ23に替えて、衝撃波により発生する音響を検知する音響センサを用いることができる。また、音響センサを用いる場合には、例えば、図10におけるセンサ部23aを、音響を検知する機能を備えるセンサ部に替えるとともに、クッション57を省くことにより、標的板22から僅かに離れた位置に音響センサを保持することができる。このように、標的装置12では、標的板22に対して直接的に衝撃センサ23が固定される他、標的板22の近傍に音響センサを固定した構成とすることができる。
次に、図13および図14には、第3の使用方法による標的システム11’’が示されている。
第3の使用方法では、的紙21および背面板32(図3)が筐体31から取り外された状態の標的装置12が使用され、標的装置12の背面にサブモニタ71が装着される。そして、サブモニタ71は、モニタケーブル16aを介してパーソナルコンピュータ13に接続され、モニタ14に表示される標的画像25に連動した標的画像25’を表示する。これにより、ユーザは、透明な標的板22を介して視認される、サブモニタ71に表示される標的画像25’を標的として射的を行うことができる。
また、図13および図14に示すように、標的装置12を三脚72に固定して使用することができる。三脚72を使用するときには、標的装置12の内側に固定されたナット42(図3)を利用して、標的装置12が三脚72に装着される。
サブモニタ71は、標的装置12の背面側に固定される取付板73を利用して標的装置12に装着される。
取付板73は、透明なポリカーボネート板を用いて、図15に示すように、上辺の中央部分に折り曲げ部74が形成され、下辺の中央部分に折り曲げ部75が形成されており、折り曲げ部75の内側には、取付板73にBB弾が当たってもサブモニタ71が損傷しないように、クッション材76が張り付けられている。また、取付板73の左辺近傍には、固定式のストッパー77が配置され、取付板73の右辺近傍には、着脱式のストッパー78が配置されている。
例えば、着脱式のストッパー78を取り外した状態で、折り曲げ部74および75の間にサブモニタ71を挿入させて固定式のストッパー77に当接させ、着脱式のストッパー78を取り付けることにより、取付板73にサブモニタ71が装着される。このように、固定式のストッパー77を用いることで、取付板73にサブモニタ71を装着する際の左右方向の位置を規定することができる。また、着脱式のストッパー78のサブモニタ71に当接する面にはクッション材79が張り付けられている。なお、サブモニタ71を標的装置12に装着する構成としては、図15に示したような取付板73を用いる構成に限定されるものではなく、様々な構成を採用することができる。
このようにサブモニタ71を標的装置12に装着して、ユーザが、パーソナルコンピュータ13により実行される射的用のアプリケーションソフトウェアに対し、サブモニタ71に標的画像25’を表示させるように操作すると、サブモニタ71に標的画像25’が表示される。さらに、ユーザが、標的画像25’をフルスクリーンで表示するように操作すると、サブモニタ71に標的画像25’がフルスクリーンで表示される。
このようにサブモニタ71に標的画像25’を表示させることで、図1の的紙21を標的としていたときと同様に、ユーザは標的画像25’を標的として射的を行うことができる。また、標的システム11’’でも、図11で説明した標的システム11’と同様に、標的板22にBB弾が着弾した着弾位置に対応して、標的画像25’に着弾マークを表示することで、ユーザは、よりリアルで臨場感のある射的を体験することができる。
また、第3の使用方法では、サブモニタ71に標的画像25’が表示されるだけでなく、モニタ14にも標的画像25が表示されるとともに、モニタ14には各種の設定画面(後述の図16参照)が表示される。従って、ユーザは、標的装置12が遠くに配置されていても、モニタ14を近くに配置することで、着弾の確認や各種の設定などを容易に行うことができる。
なお、サブモニタ71に標的画像25’をフルスクリーンで表示させるという設定をパーソナルコンピュータ13に記憶させることにより、射的用のアプリケーションソフトウェアを実行するだけで、サブモニタ71に標的画像25’をフルスクリーンで表示させることができる。
さらに、第3の使用方法では、サブモニタ71に替えて、ディスプレイを備えたタブレット型のコンピュータを使用することができる。なお、タブレット型のコンピュータを使用する場合には、タブレット型のコンピュータを標的装置12に接続する必要がある。また、パーソナルコンピュータ13に接続する必要がなくなるが、タブレット型のコンピュータに対するタッチ操作を行うことができなくなる。そのため、例えば、無線LANなどのインタフェースを介して、タブレット型のコンピュータで実行される射的用のアプリケーションソフトウェアを操作するための操作手段(例えば、他のパーソナルコンピュータや、タブレット型のコンピュータ、スマートフォンなど)を利用して操作を行う必要がある。
次に、図16には、パーソナルコンピュータ13が射的用のアプリケーションソフトウェアを実行したときにモニタ14に表示されるメイン画面が示されている。
例えば、標的装置12をパーソナルコンピュータ13に通信ケーブル15を介して接続し、パーソナルコンピュータ13が射的用のアプリケーションソフトウェアを実行すると、モニタ14にメイン画面81が表示される。なお、標的装置12は、通信ケーブル15を介してパーソナルコンピュータ13から供給される電力により動作するが、通信ケーブル15を延長する場合など、他の電源から標的装置12に電力が供給されるようにしてもよい。
メイン画面81には、標的画像25の他、競技設定入力部82、スタートボタン83、リセットボタン84、表示設定入力部85、カウントダウンタイマー86、競技結果表示部87、データ表示部88が表示される。なお、メイン画面81には、これらの各部を全て表示する必要はなく、一部だけが表示されるように設定することができる。
競技設定入力部82には、射的モード、競技弾数、持ち時間、得点判定などの射的の競技を行うのに必要な各種の設定を入力するためのインタフェース(例えば、ドロップダウンリストなど)が表示される。図16の表示例では、射的モードとして「本射」が設定され、競技弾数として「5発」が設定され、持ち時間として「全部で2分30秒」が設定され、得点判定として「弾の外周」が設定されている。
競技設定入力部82の射的モードでは、「試射」または「本射」の選択が行われ、射的モードで「本射」が選択されると、スタートボタン83、リセットボタン84、カウントダウンタイマー86、競技結果表示部87が表示される。一方、射的モードで「試射」が選択されると、スタートボタン83、リセットボタン84、カウントダウンタイマー86、競技結果表示部87は非表示となる。
競技設定入力部82の競技弾数では、射的競技(ゲーム)が終了となるBB弾の弾数が設定される。
競技設定入力部82の持ち時間では、「全部で」または「1発毎に」の選択が行われ、持ち時間で「全部で」が選択されると、競技弾数で設定した弾数全てに対する持ち時間が設定される。また、持ち時間で「1発毎に」が選択されると、BB弾の1発ごとの持ち時間が設定される。なお、持ち時間で「1発毎に」が選択された場合、分の設定を行うことはできずに秒(最大99秒)の設定のみが行われるようになり、カウントダウンタイマー86には秒のみが表示される。
競技設定入力部82の得点判定では、「弾の中心」または「弾の外周」の選択が行われ、得点判定で「弾の中心」が選択されると、BB弾の着弾時に、BB弾の中心で得点が判定される。また、得点判定で「弾の外周」が選択されると、BB弾の着弾時に、BB弾の外周が標的の内側の輪に少しでも触れていれば内側の輪の得点となるように判定される。なお、パーソナルコンピュータ13では、BB弾の中心が着弾位置として求められるが、そのBB弾の中心から半径分だけ着弾位置を標的の内側にずらす計算を行うことで、BB弾の外周で得点を判定することができる。
スタートボタン83は、競技設定入力部82の射的モードで「本射」が選択されたときに表示され、スタートボタン83に対する操作を行うことで射的競技が開始される。また、初弾の着弾を検出したときに、射的競技が開始されるように設定することができる。
リセットボタン84は、競技設定入力部82の射的モードで「本射」が選択されたときに表示され、リセットボタン84に対する操作を行うことで、競技結果がクリアされて初期状態に戻る。また、競技中なら射的競技が中断されて初期状態に戻る。
表示設定入力部85には、標的画像25に表示される着弾マークに関する設定を入力するためのインタフェース(例えば、チェックボックスやボタンなど)が表示される。図16の表示例では、古い弾痕を残すか否かを設定するチェックボックス、弾痕を点滅させるか否かを設定するチェックボックス、および弾痕を消去する際に操作されるボタンが表示される。
表示設定入力部85の古い弾痕を残すか否かを設定するチェックボックスにより、古い弾痕を残すと設定される(チェックを入れる)と、最新の着弾マーク以外の古い着弾マークの色が変更(例えば、グレー表示に変更)されて着弾マークが表示されたままとなる。一方、古い弾痕を残さないと設定される(チェックが外される)と、最新の着弾マークだけが表示されるようになる。さらに、着弾マークに対して、射的を行った順番を示す番号が表示されるようにすることができる。
表示設定入力部85の弾痕を点滅させるか否かを設定するチェックボックスにより、弾痕を点滅させると設定される(チェックを入れる)と、最新の着弾マークが点滅表示される。一方、弾痕を点滅させないと設定される(チェックが外される)と、着弾マークの点滅表示は行われない。着弾マークを点滅させることにより、中距離または長距離からの着弾マークの視認性を向上させることができ、最新の着弾マークと古い着弾マークとを容易に判別することができる。特に、数メートル離れた位置から射的を行う場合、より効果的に着弾マークを判別することができる。
カウントダウンタイマー86は、射的競技がスタートすると、競技設定入力部82の持ち時間で設定された時間からのカウントダウンを行い、残り時間を表示する。競技設定入力部82の持ち時間において「全部で」が選択された場合、カウントダウンタイマー86は「分:秒」の形式で残り時間を表示し、タイムアップした時点で射的競技が終了となる。また、競技設定入力部82の持ち時間において「1発毎に」が選択された場合、カウントダウンタイマー86は「秒」だけを表示し、着弾が無いままタイムアップすると、そのショットのスコアが0点とされて次のショットに進む。
競技結果表示部87は、競技設定入力部82の射的モードで「本射」が選択されたときに表示され、競技結果表示部87の行数は、競技設定入力部82の競技弾数で設定された弾数に応じたものとなる。図16の表示例では、競技設定入力部82の競技弾数が5発と設定されているので、ショット(Shot)として1乃至5の行が用意され、それぞれの行に、各ショットでのスコア(Score)とタイム(Time)が表示され、最後の行にトータル(Total)のスコアとタイムが表示される。
また、競技結果表示部87のタイムには、競技設定入力部82の持ち時間において「全部で」が選択された場合、着弾ごとに射的競技が開始されてからの時間が表示される。また、競技結果表示部87のタイムには、競技設定入力部82の持ち時間において「1発毎に」が選択された場合、着弾ごとに時間のカウントが開始され、そのカウントが開始されてから着弾までの時間が表示される。また、競技結果表示部87のトータルのスコアには、着弾ごとにスコアが再計算されて表示される。
データ表示部88には、射的に使用されるBB弾の弾径および弾重、着弾により発生したエネルギー(J)、弾速(m/秒)、1秒あたりの弾数であるサイクル数(発/秒)が表示される。図16の表示例では、弾径・弾重に「6mm・0.2g」が表示され、エネルギーに「0.437」が表示され、弾速に「66.10」が表示され、サイクル数は空欄となっている。
データ表示部88の弾径および弾重には、射的で使用するBB弾の直径および重量の設定値が入力され表示される。パーソナルコンピュータ13が実行する射的用のアプリケーションソフトウェアでは、データ表示部88で設定された設定値を使用し、着弾時の衝撃力に基づいて、エネルギーおよび弾速を演算する。なお、データ表示部88の弾径および弾重に入力された設定値は、パーソナルコンピュータ13に記録され、射的用のアプリケーションソフトウェアが実行されると、記録された設定値が読み出されて表示される。
データ表示部88のエネルギーには、着弾時のエネルギーが表示され、弾速には、着弾時の弾速が表示される。データ表示部88のサイクル数には、1秒間に何発の着弾があったかが表示され、実際には、0.5秒間に2発の着弾があった場合に計測を開始し、0.5秒間着弾が途切れた時点で、開始から途切れた時点までの最高のサイクル数が表示される。
このようなメイン画面81がモニタ14に表示されて射的競技が行われる。
図17には、サブモニタ71に表示される標的画像25’が示されている。
サブモニタ71の標的画像25’には、モニタ14の標的画像25と同様の標的が表示される。図17の表示例では、標的として10個の輪が表示されており、それぞれの輪の間に得点(外側から順に1,2,3・・・8)が表示される。また、標的画像25’には、図16のデータ表示部88と同期して、左上隅にショットの値、左下に最新のスコアの値、右下にトータルのスコアの値が表示される。また、標的画像25’には、カウントダウンタイマー86と同期して、右上にカウントダウンの値が表示される。さらに、標的画像25’には、標的板22にBB弾が着弾すると、その着弾位置に対応した着弾マークが表示される。
このように、サブモニタ71では、ショット、スコア、タイムなどの情報が表示されるとともに、標的画像25’に着弾位置が表示されるため、ユーザは、サブモニタ71から目を離すことなく、それらの情報と着弾位置とを確認することができ、次の射的の照準修正を自然に行うことができる。
図18は、標的装置の変形例を示す図である。
図18に示されている標的装置12’は、図2および図3の標的装置12が備えている標的板22および反射板34乃至37に替えて、標的反射板91を備えて構成される。なお、標的装置12’では、信号処理部24、通信端子39、およびLED40の配置も、図2および図3の標的装置12と異なっている。
標的装置12’の標的反射板91は、ポリカーボネートの1枚の平板に対して複数個所で熱曲げ加工を施すことにより制作され、標的板22および反射板34乃至37にそれぞれ対応する平面部92乃至96を備えている。
即ち、標的反射板91は、平面部92が、標的板22と同様に、筐体31の上面の壁部に対して68°の傾斜角度となり、平面部93が、反射板34と同様に、筐体31の正面側の壁部に対して68°の傾斜角度となるように形成される。従って、標的反射板91では、平面部92および平面部93が、標的板22および反射板34と同様に、標的装置12’の正面側から背面側の下方に向かって間隔が狭まるように形成される。これにより、標的装置12’では、平面部92と平面部93との間でBB弾が跳ね返りながら収容領域の入口に誘導され、BB弾を確実に収容することができる。
また、標的反射板91は、平面部94および96が、反射板35および37とそれぞれ同様の反射角度でBB弾が跳ね返るように、それぞれの傾斜角度などが適宜調整されて形成される。ただし、反射板95は、反射板36のような鉄板ではないので、反射板36とは反射角が異なり、ここでは若干下方に反射するような角度に形成されている。
このように、標的装置12’では、1枚の標的反射板91が、標的板22および反射板34乃至37と同等の機能を備えているので、図2および図3の標的装置12よりも、構造を簡易化することができる。
さらに、量産してコストを下げる為には、標的装置12’を安価で成型し易い材料で製作できることが重要である。従って、図18において矢印により指示されているA部、B部、およびC部において標的反射板91を分割するように設計してもよい。このような設計で、平面部92に対応する標的板を標的装置12’の上面から抜き差し可能とし、平面部93に対応する反射板を標的装置12’の前方から抜き差し可能とし、BB弾が垂直に衝突する可能性の高い平面部96に対応する反射板を開閉可能とすることができる。
これにより、平面部92に対応する標的板を交換可能とすることができ、平面部93に対応する反射板を取り外して信号処理部24のメンテナンスを容易に行い、標的装置12’の前面からBB弾を取り出すことで引き出し38(図3)が不要となる。さらに、BB弾のエネルギーは反射する度に1/3程度に減衰することより、平面部92、93および96に対応する部品を除いた部分の強度は1/27で足りるため、安価で加工し易い材料を使用することができる。これにより、平面部92、93および96に対応する部品だけをポリカーボネート等の強度の高い材料とすれば、それ以外の反射板を含む筐体31全体は、一般的な材料で射出成型などにより安価に量産することが可能となり、大幅な低コスト化を図ることができる。
さらに、標的装置12'は、平面部92を、図18において矢印により指示されているD部において分割するように設計し、分割された上側の部分に衝撃センサ23−1乃至23−4を取り付けるようにしてもよい。同様に、標的装置12においても、標的板22を、図18において矢印により指示されているD部に対応する箇所(反射板34の正面側の端部より若干低い位置)で分割するように設計することができる。つまり、標的板22は、1枚の板により構成されるのに限定されるのではなく、複数の板が連続して配置されるように構成することができる。
このような構成とすることで、衝撃センサ23−1乃至23−4が取り付けられる部分の周囲の構造(例えば、角部からの間隔)を、それぞれ同様の構造となるようにすることができ、衝撃センサ23−1乃至23−4の検出値への構造による影響が均一化され、着弾位置を安定的に検出することができる。また、標的板22が傷んだ際に、部分的に標的板22を交換することができ、交換する部分を小面積化することができる。
なお、図3の説明において、収容領域102の入口101の間隔Dは10mmとしたが、間隔Dは、10mmに限定されるものではなく、使用されるBB弾の直径によって適宜変更してもよい。例えば、間隔Dを10mmに設定して、直径6mmまたは8mmのBB弾を使用した場合、BB弾を良好に回収することができた。なお、例えば、間隔Dを7mmに設定して、直径8mmのBB弾を使用した場合にも、BB弾が標的板22または反射板34を押し広げて収容領域102に入ることが確認された。
また、従来の標的装置では、的紙に穴が開くため的紙を消費していたのに対し、標的装置12は、的紙を消費することがないので、省資源であり、かつ、経済的である。
また、標的装置12は、パーソナルコンピュータ13により実行されるアプリケーションソフトウェアを変更することにより、多数の遊び方に適用することができる。例えば、大画面のテレビジョン受像機に対応するように標的装置12を設計し、大画面のテレビジョン受像機に表示されるゲーム画面において動く標的を射的して得点を競うようなアプリケーションソフトウェアにも、標的装置12を対応させることができる。
さらに、標的システム11では、着弾位置を正確に計測することができ、標的板22の中央部(標的板22の最外部を除いた部分)で1mm以内の分解能で着弾位置を計測することができた。また、標的システム11では、着弾による衝撃力の計測に基づいて、弾の弾速を計測することができる。一方、一般的な弾速計は計測が済めば使われなくなってしまう。従って、標的システム11は、日常的に使われる一つの装置で、弾を回収する機能と標的装置としての機能、そして弾速を計測する機能とを備えることができ、従来の標的装置に比較して非常に有利である。また、一般的に、多くの弾速計は、パイプ中の2点間における弾の通過時間を計測しているため、銃口をパイプに極めて近接させて射的しなければならないのに加えて、弾の初速しか計測することができなかった。これに対し、標的システム11では、標的装置12の標的板22に弾が当たりさすれば弾速を計測することができるので、標的システム11は、距離に対する弾速の減衰なども計測することができ、大きな汎用性を備えている。
なお、標的システム11では、モニタ14またはサブモニタ71において標的画像25の全体に標的を表示する以外にも、例えば、所定のサイズで大きさを変更することができる小型標的を標的画像25に表示することができる。また、標的システム11では、モニタ14またはサブモニタ71に複数の小型標的を同時に表示して、それらの小型標的を規定時間内に射的させる使用方法や、複数の小型標的が射的されるのに応じてランダムに順次表示して射的させる使用方法、標的画像25の端で跳ね返りながら動き回るように小型標的を表示して射的させる使用方法、ランダムな位置に設定した時間だけ移動する小型標的を表示して射的させる使用方法などを用いることができる。
また、標的システム11では、標的板22の表面に、標的板22よりも柔らかい材質の板を張り付けることで、静音性を高めることができる。上述したように、標的板22としてポリカーボネートを使用した場合、例えば、標的板22の表面に厚さが2mmの軟質塩化ビニル板を張り付けた構成とすることで、音のエネルギーを1/4程度に減少させることができる。このとき、BB弾の反射角度はポリカーボネートのみの構成と略同等であり、BB弾の回収についても十分な能力を発揮することができる。なお、標的板22の表面に塩化ビニル板を張り付けた構成としたとき、衝撃センサ23−1乃至23−4の検出値は1/4以下となることより、衝撃センサ23−1乃至23−4の出力の増幅度を適切に補正する必要がある。
さらに、18才以上用のエアガンから発射されたBB弾の直撃は、0.8mmの鉄板を凹ませるほどの威力があり、標的板22の裏に配置された衝撃センサ23が破壊される恐れがあるため、衝撃センサ23が破壊されないようにする対策が必要となる。この対策として、例えば、ポリカーボネート製の保護板を、スペーサーやクッションで少し浮かせて取り付ける対策方法が有効である。さらに、このような対策方法では、BB弾が射手へ跳ね返ってしまった場合でも、BB弾のエネルギーを減衰させるという安全面の効果がある。
また、標的装置12では、正面側の開口部31Aの下方の筐体垂直部、並びに、衝撃センサ23−3および23−4の取り付け箇所にBB弾が直撃することを回避するための保護板を筐体31の前面に取り付けたり、衝撃センサ23−1および23−2の取り付け箇所に対応する標的板22の表面側に、両面に粘着性を備えたクッション材を介して保護板を貼着したりしてもよい。また、標的装置12は、図2および図3に示したように、開口部31Aの縁部をコ字状に囲うように折り曲げ部45a乃至45cが形成されており、開口部31Aの縁部の強度が向上されるとともに、開口部31Aの縁部に当たったBB弾が筐体31の内側に跳ね返り易く構成されている。このような対策を施すことにより、標的装置12の正面からなら何処を撃っても絶対に標的装置12が損傷することは無く、かつ、弾が射手に強く跳ね返ることも無いようになることで、標的装置12を使用する際の安全性を更に高めることができる。
また、標的システム11で実行される射的用アプリケーションソフトウェアはネットワークを介してのコントロールが可能である。このことより、例えば、スマートフォンからコントロールする場合、標的システム11では、射的用のアプリケーションソフトウェアを実行する際に、例えば、「スタート」や、「セーブ」、「リセット」などの操作を音声認識により行うようにすることができる。ここで、「セーブ」とは「射撃結果の保存」のことである。
なお、本実施の形態においては、標的板22として、的紙21を視認可能とするためにポリカーボネートなどの透明な素材を使用する構成について説明したが、例えば、標的板22自身に標的を描画する場合など、標的システム11は、不透明な素材を使用した標的板22を採用することができる。即ち、標的システム11において、上述したような傾斜角度の標的板22および反射板34の間でBB弾が反射を繰り返した後にBB弾を収容可能な構成であれば、透明な標的板22に限定されるものではない。
さらに、標的システム11は、筐体31内の標的板22の背後の位置に、標的画像25を表示可能な表示手段を内蔵した構成とすることができ、これにより、パーソナルコンピュータ13に接続することなく標的装置12単独で使用することができる。
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。