JP2017067221A - 自動変速機 - Google Patents

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裕介 中野
Yusuke Nakano
裕介 中野
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Abstract

【課題】締結のための油圧を抜いても締結状態を維持できると共に、油圧を供給することなく解放状態にできる自動変速機を提供する。【解決手段】油圧室(62)内の油圧が第1設定値以上のときに摩擦要素(5)を締結状態にする第1ピストン(61)と、油圧室(62)内の油圧を給排する油圧経路(51e、51f)と、油圧源(8)から供給される開閉圧に応じて油圧経路を開閉する開閉機構(OC)と、を備え、開閉機構(OC)は、開閉圧が第1設定値よりも低い圧力に設定された第2設定値未満の場合は、油圧経路(51e、51f)を開放し、開閉圧が第2設定値以上の場合は、油圧経路(51e、51f)を閉鎖して、油圧室(62)を含む密閉室を画成する。【選択図】図2

Description

本発明は、油圧により摩擦締結要素の締結、解放が制御される自動変速機に関する。
自動変速機のクラッチ、ブレーキとして、同軸に配置される2つの部材(クラッチの場合は双方が回転要素、ブレーキの場合は一方が回転要素で他方が非回転要素)を連結するために、油圧によって動作する摩擦要素が用いられている。
このような摩擦要素において、締結状態を維持するには、リターンスプリングの付勢力に打ち勝って油圧ピストンに締結油圧を常時作用させる必要があった。このため油圧ポンプ等により摩擦要素を締結させるためのエネルギーを多く消費し、自動変速機を搭載した車両のエネルギー効率が低下するという問題があった。
このような問題に対して、本出願人は、ボールロック機構にON圧を作用させることでフォワードクラッチに対し付勢締結力により締結状態となる位置で油圧ピストンが解放方向に移動するのを規制し、ON圧を抜いても油圧ピストンの解放方向への移動規制を保持できる自動変速機を開示している(特許文献1参照)。
特開2013−249871号公報
前述の特許文献1のような構成により、ON圧を抜いてもフォワードクラッチの締結状態を維持することができるので、油圧を供給するために必要なエネルギーを低減することができる。
一方で、特許文献1では、締結状態が維持される状態から解放状態とするときに、OFF圧を供給する必要がある。このような構成では、例えば締結状態でエンジン等の駆動力源が停止した場合は、オイルポンプ等の油圧発生源が停止してしまい、OFF圧を供給するために十分な油圧を発生することができなくなる。このために、締結状態のまま駆動力源が再始動した場合に、意図しない車両挙動(意図しない変速段がセレクトされることによる加速不足やインターロックの発生等)が発生し、運転者に違和感を与えるという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、締結のための油圧を抜いても締結状態を維持できると共に、油圧を供給することなく解放状態にできる自動変速機を提供することを目的とする。
本発明の一の実施態様によると、駆動源からの動力を断接可能な摩擦要素を有する自動変速機であって、油圧室と、油圧室内の油圧が第1設定値以上のときに摩擦要素を締結状態にする第1ピストンと、油圧室内の油圧を給排する油圧経路と、油圧源から供給される開閉圧に応じて油圧経路を開閉する開閉機構と、を備え、開閉機構は、開閉圧が第1設定値よりも低い圧力に設定された第2設定値未満の場合は油圧経路を開放し、開閉圧が第2設定値以上の場合は、油圧経路を閉鎖して、油圧室を含む密閉室を画成することを特徴とする。
本発明によると、開閉圧が第2設定値未満の場合は油圧経路を開放し、開閉圧が第2設定値以上の場合は油圧経路を閉鎖して密閉室を画成するので、摩擦要素を締結状態として密閉室を画成することで、油圧室に供給する油圧を抜くことによっても締結状態を維持し、開閉圧を第2設定値未満とすることで摩擦要素を解放させることができる。これにより、摩擦要素が締結状態のときに油圧源の油圧が低下した場合には、開閉圧が第2所定値未満となったときに油圧経路が解放されて油圧室の油圧を低減できるので、例えばエンジン停止等により油圧源の油圧が低下した場合には摩擦要素を解放させ、駆動力の伝達による意図しない車両挙動の発生を防止することができる。また、摩擦要素の締結状態を維持するために第1設定値以上の油圧を供給し続ける必要がないので、エネルギー効率を向上することができる。
本発明の第1実施形態の自動変速機を備えた車両の概略構成図である。 本発明の第1実施形態のフォワードクラッチの構成を示す説明図である。 本発明の第1実施形態のフォワードクラッチの動作を示す説明図である。 本発明の第1実施形態のフォワードクラッチの動作を示す説明図である。 本発明の第1実施形態のフォワードクラッチの動作を示す説明図である。 本発明の第2実施形態のフォワードクラッチの構成を示す説明図である。 本発明の第2実施形態のフォワードクラッチの動作を示す説明図である。 本発明の第2実施形態のフォワードクラッチの動作を示す説明図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動変速機を備えた車両の概略構成を示す。車両は、エンジン1、トルクコンバータ2、変速機3を備える。エンジン1の出力回転は、トルクコンバータ2、変速機3、図示しないデファレンシャルギヤユニットを介して図示しない駆動輪へと伝達される。
変速機3は、有段又は無段の自動変速機である。変速機3は、リバースブレーキ4とフォワードクラッチ5とを備える。変速機3は、リバースブレーキ4が締結されている状態ではエンジン1の回転を反転して出力し、フォワードクラッチ5が締結されている状態ではエンジン1の回転を回転方向を維持したまま出力する。
リバースブレーキ4は、締結圧を供給することで締結し、締結状態を維持するには締結圧を供給し続ける必要のある従来の摩擦要素である。リバースブレーキ4を解放するには締結圧の供給を停止すればよい。
フォワードクラッチ5は、後述するように、開閉機構OCを備えた摩擦要素である。フォワードクラッチ5に供給される油圧が第1所定値(セレクト圧)以上である場合に、フォワードクラッチ5が締結状態となる。フォワードクラッチ5が締結状態のときに開閉機構OCを密閉状態とすることで、フォワードクラッチ5の油圧を抜いてもフォワードクラッチ5は締結状態を維持することができる。開閉機構OCを連通状態とするとフォワードクラッチ5は解放状態とすることがきる。フォワードクラッチ5及び開閉機構OCの構成は後に詳しく説明する。
リバースブレーキ4及びフォワードクラッチ5は、両者が同時に締結されると変速機3は出力軸が回転不能ないわゆるインターロック状態になるので、これらの締結は択一的に行われる。
油圧制御回路7は、油圧ポンプ8、各種バルブ及び油路を備え、エンジン1によって駆動される油圧ポンプ8が吐出する油を適切な油圧に調圧して、フォワードクラッチ5を含む摩擦要素、及び、変速機3が無段変速機の場合は加えて無段変速機構の構成要素に供給する。
油圧制御回路7が備えるバルブは、変速機コントローラ9からの制御信号に基づき制御される。変速機コントローラ9は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等で構成され、各種センサ及びエンジンコントローラ等から入力される各種信号に基づき車両の走行状態を判断し、走行状態に適した変速段又変速比が実現されるよう、油圧制御回路7に指令を出力する。
変速機コントローラ9には、エンジン1の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ101、トルクコンバータ2のタービン回転速度Nt(変速機3の入力回転速度)を検出する入力回転速度センサ102、変速機3の油温TMPを検出する油温センサ103、セレクトレバー11の位置を検出するインヒビタスイッチ104、アクセルペダルの操作量APOを検出するアクセル開度センサ105、ブレーキのON/OFFを検出するブレーキスイッチ106等からの信号等が入力される。
セレクトレバー11は、パーキングレンジ(以下、「Pレンジ」という。)、リバースレンジ(以下、「Rレンジ」という。)、ニュートラルレンジ(以下、「Nレンジ」という。)及びドライブレンジ(以下、「Dレンジ」という。)の間を接続するゲートに配置され、各ゲート間を移動可能に構成される。
変速機コントローラ9は、セレクトレバー11の位置に応じて、フォワードクラッチ5及びリバースブレーキ4をそれぞれ締結または解放する。具体的には、Dレンジでは、フォワードクラッチ5が締結され、リバースブレーキ4が解放される。Rレンジでは、フォワードクラッチ5が解放され、リバースブレーキ4が締結される。Pレンジ及びNレンジでは、フォワードクラッチ5及びリバースブレーキ4が解放される。
次に、フォワードクラッチ5の詳細な構成について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態のフォワードクラッチ5の説明図であり、フォワードクラッチ5の断面を示す。
フォワードクラッチ5は、クラッチドラム51と、クラッチハブ52と、ドリブンプレート53と、ドライブプレート54と、リテーナプレート55とを備える。
クラッチドラム51及びクラッチハブ52は同軸に配置される。クラッチドラム51には、図示しない回転要素(軸、ギヤ等)が連結される。クラッチハブ52には、図示しない別の回転要素(軸、ギヤ等)が連結される。
クラッチドラム51には、スプライン結合によって軸方向に摺動自在にドリブンプレート53が取り付けられる。クラッチハブ52には、スプライン結合によって軸方向に摺動自在にドライブプレート54が取り付けられる。ドリブンプレート53とドライブプレート54とは交互に配置される。ドライブプレート54の両側の摩擦面には、クラッチフェーシングが備えられる。
クラッチドラム51は、ドリブンプレート53及びドライブプレート54を介して、クラッチドラム51に連結された回転要素から入力される回転をクラッチハブ52に伝達する。
リテーナプレート55は、油圧ピストン61とは反対側の端部に配置されるドライブプレート54と、クラッチドラム51内周の溝に固定されたスナップリング64との間に介装される。リテーナプレート55は片面が摩擦面である。リテーナプレート55は、軸方向の厚みがドリブンプレート53より厚く、ドリブンプレート53及びドライブプレート54の倒れを防止する。
クラッチ動作機構6は、油圧ピストン61と、セレクト圧ピストン室62と、キャンセラ室63と、スナップリング64と、ダイヤフラムスプリング65と、仕切りプレート66と、開閉機構OCとを備える。
油圧ピストン61は、フォワードクラッチ5に対して軸方向に変位可能に配置される。
セレクト圧ピストン室62は、クラッチドラム51と油圧ピストン61との間に画成され、供給された油圧により油圧ピストン61を可動する。
キャンセラ室63は、仕切りプレート66と油圧ピストン61との間に画成され、セレクト圧ピストン室62の油圧が遠心力で変動することを防止するために油が満たされる。
スナップリング64は、フォワードクラッチ5を挟んで油圧ピストン61の反対側の位置に配置され、フォワードクラッチ5を軸方向に支持する。
ダイヤフラムスプリング65は、油圧ピストン61のクラッチ側端面61cとフォワードクラッチ5のピストン側端面5aとの間に介装される。ダイヤフラムスプリング65は、油圧ピストン61をスナップリング64に向かう締結方向に移動されるとフォワードクラッチ5に締結力を作用させる。
開閉機構OCは、クラッチドラム51に内蔵されており、油圧ピストン61と、サブピストン67と、保持具68とで構成される。
油圧ピストン61は、保持具68の外周に摺動可能に接する。
保持具68は、クラッチドラム51に内装され、クラッチドラム51に形成されるセレクト圧供給路51fと連通するセレクト圧連通路51eを備える。セレクト圧がセレクト圧供給路51fから供給されると、セレクト圧連通路51eを通過してセレクト圧ピストン室62へと送られる。
サブピストン67は、セレクト圧連通路51eとセレクト圧供給路51fとの間で油の流通を断って、セレクト圧を抜いてもセレクト圧ピストン室62の油圧を保持する機能を備える。
保持具68は、クラッチドラム51の内周にスナップリング88fにより固定される。保持具68は、クラッチドラム51との間で保持圧ピストン室80と保持圧バランスピストン室81とが形成される。
サブピストン67は、保持具68の内周に摺動可能に備えられると共に、保持圧ピストン室80に軸方向に変位可能に配置され、リターンスプリング69によりスナップリング88fとは逆側に付勢される。サブピストン67と保持具68との間にはシール88b、88cが備えられ、セレクト圧ピストン室62と保持圧ピストン室80との間を隔離する。
保持圧供給路51dを介して油圧(開閉圧)が保持圧ピストン室80に供給されると、サブピストン67は、リターンスプリング69の付勢力に抗してスナップリング88f側に移動する。油が保持圧供給路51dを介して保持圧ピストン室80から排出されると、サブピストン67はリターンスプリング69の付勢力によりスナップリング88fとは逆側に移動する。
保持具68とサブピストン67との間には、シール88dにより保持圧ピストン室80に対して隔離された保持圧バランスピストン室81が画成される。保持圧バランスピストン室81は、連通路83dを介してキャンセラ室63に連通しており、サブピストン67の変位に応じて保持圧バランスピストン室81の油がキャンセラ室63へと給排出される。
保持圧ピストン室80に開閉圧が供給されると、サブピストン67の受圧面67bに開閉圧が作用してスナップリング88f側に移動する。開閉圧が保持圧以上になった場合は、サブピストン67の接触端部67aが保持具68に備えられるシール88aと接触する。
サブピストン67の接触端部67aがシール88aに接触した状態(以降は「密閉状態」と呼ぶ)では、セレクト圧ピストン室62、セレクト圧連通路51e及びサブピストン67と保持具68とに挟まれた空間を含む密閉室が、シール88a、88bにより画成され、セレクト圧供給路51fとセレクト圧連通路51eとの間の油の流通が閉鎖される。これにより、セレクト圧供給路51fからのセレクト圧を抜いても、密閉室となったセレクト圧ピストン室62に供給されたセレクト圧が排出されることはなく、フォワードクラッチ5の締結状態が維持される。
次に、このように構成された本実施形態の開閉機構OCの動作を説明する。
サブピストン67が連通状態のとき、変速機コントローラ9の指示により油圧がセレクト圧供給路51fからセレクト圧連通路51eを通過してセレクト圧ピストン室62に供給されると、供給された油圧に従って油圧ピストン61が移動する。供給された油圧がセレクト圧以上となった場合に、フォワードクラッチ5は締結状態となる(図3参照)。
フォワードクラッチ5が締結状態のとき、保持圧ピストン室80に開閉圧が供給されると、サブピストン67が移動する。開閉圧が保持圧以上になった場合は、サブピストン67の接触端部67aが保持具68に備えられるシール88aと接触し、サブピストン67が密閉状態となる(図4参照)。密閉状態では、セレクト圧供給路51fに供給される油圧を抜いても、密閉室となったセレクト圧ピストン室62セレクト圧が排出されることはなく、フォワードクラッチ5の締結状態が維持される。
フォワードクラッチ5が締結状態のとき、保持圧ピストン室80の油が保持圧供給路51dから排出されると、サブピストン67がスナップリング88fとは逆側に後退する。これにより、セレクト圧連通路51eとセレクト圧供給路51fとが連通し、セレクト圧ピストン室62の油を給排出可能な状態となる(以降、「連通状態」と呼ぶ)。連通状態では、セレクト圧ピストン室62のセレクト圧を排出することで、フォワードクラッチ5を解放状態にすることができる(図5参照)。
このように、本実施形態では、セレクト圧ピストン室62にセレクト圧を供給してフォワードクラッチ5を締結状態としたときに、保持圧ピストン室80に保持圧を供給してサブピストン67を密閉状態にすることにより、セレクト圧を抜いてもフォワードクラッチ5の締結状態が維持される。
特に、本実施形態では、サブピストン67の受圧面67bは、セレクト圧ピストン室62に供給されるセレクト圧の力が油の流れ方向と異なる(交差している)。このため、セレクト圧供給路51fとセレクト圧連通路51eとの間を閉鎖するために必要な油圧(保持圧)はセレクト圧に対向するほど大きくする必要がない。従って、フォワードクラッチ5が締結状態のときに、サブピストン67を密閉状態とさせる保持圧は小さな油圧で済むので、密閉状態とさせるためのエネルギーのロスを最低限とすることができる。
サブピストン67が密閉状態のとき、保持圧ピストン室80から保持圧を抜くことにより、サブピストン67が連通状態となり、セレクト圧連通路51eとセレクト圧供給路51fとが連通する。これにより、セレクト圧ピストン室62の油圧を排出してフォワードクラッチ5を解放状態とすることができる。
特に、本実施形態では、フォワードクラッチ5が締結状態のときエンジン1が停止して油圧ポンプ8が油圧を発生できない状態となったときには、保持圧及びセレクト圧がいずれも低下するので、変速機コントローラ9による制御を行なうことなく、サブピストン67が連通状態となり、セレクト圧ピストン室62の油圧が排出されてフォワードクラッチ5を解放状態とすることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態の自動変速機を説明する。
図7は、本発明の第2実施形態のフォワードクラッチ5の説明図であり、フォワードクラッチ5の断面を示す。なお、前述した第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前述した第1実施形態では、開閉機構OCにおいて、サブピストン67を密閉状態及び連通状態とすることで、フォワードクラッチ5の締結状態の維持及び解放状態とするように構成した。
第2実施形態では、開閉機構OCが、封入ピストン72を保持圧により軸方向に移動させることで、封入ピストン72を密閉状態及び連通状態とするように構成した。
開閉機構OCは、クラッチドラム51の内周側に軸方向に延設された保持具71と油圧ピストン61と封入ピストン72とから構成される。
保持具71は、クラッチドラム51と、油圧ピストン61とで画成されたセレクト圧ピストン室62を形成する一方、油圧ピストン61と保持具71とが接する面と逆側において、保持具71とクラッチドラム51との間で、保持圧ピストン室90を形成する。
保持圧ピストン室90には、封入ピストン72が軸方向に変位可能に収装される。封入ピストン72は、仕切りプレート66との間でリターンスプリング74を介して備えられている。リターンスプリング74は、軸方向の仕切りプレート66とは逆側に封入ピストン72を付勢する。
クラッチドラム51及び保持具68と封入ピストン72とはシール75a、75b、75c、75dにより隔離される。
封入ピストン72には連通路73が形成されており、リターンスプリング74の付勢力により、封入ピストン72が仕切りプレート66から離間している。この状態では、セレクト圧供給路51fとセレクト圧連通路51bとの間に連通路73が位置し、セレクト圧供給路51fとセレクト圧連通路51bとの間で油の流通が可能となる。
この状態で、変速機コントローラ9の指示により油圧がセレクト圧供給路51fから連通路73を介してセレクト圧連通路51eを通過してセレクト圧ピストン室62に供給されると、供給された油圧に従って油圧ピストン61が移動し、供給された油圧がセレクト圧以上となった場合に、フォワードクラッチ5は締結状態となる(図7参照)。
保持圧ピストン室90に保持圧が供給され、封入ピストン72の受圧面72bに保持圧が作用すると、封入ピストン72がリターンスプリング74の付勢力に抗して最も仕切りプレート66側に移動した場合は、封入ピストン72の連通路73がセレクト圧供給路51fとセレクト圧連通路51bとの間から外れた位置となる。このとき、シール75c、75eによって、セレクト圧連通路51bが閉鎖される。
シール75c、75eによって、セレクト圧連通路51bが閉鎖された状態(密閉状態)では、セレクト圧ピストン室62、セレクト圧連通路51e及びサブピストン67の空間を含む密閉室が、シール75b、75cにより画成され、セレクト圧供給路51fとセレクト圧連通路51eとの間の油の流通が閉鎖される。これにより、セレクト圧ピストン室62に供給されたセレクト圧の供給を停止してもセレクト圧が排出されることはなく、フォワードクラッチ5の締結状態が維持される(図8参照)。
また、保持圧ピストン室80の油が保持圧供給路51dを介して排出されると、封入ピストン72がリターンスプリング74の付勢力により仕切りプレート66とは逆側に後退する。これにより、セレクト圧連通路51bとセレクト圧供給路51fとが封入ピストン72の連通路73により連通し、セレクト圧ピストン室62の油を給排出可能な状態となる(連通状態)。連通状態では、セレクト圧ピストン室62のセレクト圧を排出することで、フォワードクラッチ5を解放状態とすることができる。
このように、第2実施形態においても、保持圧ピストン室80に保持圧を供給して封入ピストン72を密閉状態にすることにより、セレクト圧を抜いてもフォワードクラッチ5の締結状態が維持される。
第2実施形態においても、封入ピストン72の受圧面72bは、セレクト圧ピストン室62に供給されるセレクト圧の力が加わる方向と異なる(交差している)。このため、セレクト圧供給路51fとセレクト圧連通路51eとの間を閉鎖するために必要な油圧(保持圧)はセレクト圧に対向させるほど大きくする必要がない。従って、フォワードクラッチ5が締結状態のときに、封入ピストン72を密閉状態とさせる保持圧は小さな油圧で済むので、密閉状態とさせるためのエネルギーのロスを最低限とすることができる。
そして、保持圧ピストン室80から保持圧を抜くことにより、リターンスプリング74の付勢力により封入ピストン72が後退して連通状態となり、セレクト圧ピストン室62の油圧を排出してフォワードクラッチ5を解放状態とすることができる。
そして、第1実施形態と同様に、エンジン1が停止して油圧ポンプ8が油圧を発生できない状態となったときには、保持圧及びセレクト圧がいずれも低下するので、変速機コントローラ9による制御を行なうことなく、封入ピストン72が連通状態となり、セレクト圧ピストン室62の油圧が排出されてフォワードクラッチ5が解放される。
以上説明したように、本発明の実施形態では、エンジン1からなる駆動源からの動力を断接可能な摩擦要素(フォワードクラッチ5)を有する自動変速機3であって、エンジン1によって駆動される油圧ポンプ8により構成される油圧源からの油圧が供給される油圧室としてのセレクト圧ピストン室62と、油圧室内の油圧が第1設定値(セレクト圧)以上のときにフォワードクラッチ5を締結状態にする油圧ピストン61と、油圧室内の油圧を給排する油圧経路(セレクト圧供給路51f及びセレクト圧連通路51e)と、開閉圧に応じて油圧経路を開閉する開閉機構OCと、を備える。
開閉機構OCは、開閉圧がセレクト圧よりも低い圧力に設定された第2設定値(保持圧)未満の場合はセレクト圧供給路51fとセレクト圧連通路51eとの間を開放し、開閉圧が保持圧以上の場合は、セレクト圧供給路51fとセレクト圧連通路51eとの間を閉鎖して、セレクト圧ピストン室62を含む密閉室が画成される。
このような構成により、フォワードクラッチ5が締結状態のときに油圧源の油圧が低下した場合には、開閉圧が第2所定値未満となると油圧経路が解放されてセレクト圧ピストン室62の油圧を低減させてフォワードクラッチ5を解放状態とすることができる。
これにより、例えばエンジン停止等により油圧源の油圧が低下した場合には、油圧の低下に伴いフォワードクラッチ5が解放されるので、駆動力の伝達による意図しない車両挙動の発生を防止することができる。また、フォワードクラッチ5を締結状態としてから開閉機構OCを密閉状態とすることで締結状態を維持することができ、フォワードクラッチ5を締結させるセレクト圧を供給し続ける必要がないので、エネルギー効率を向上することができる。この効果は請求項1に対応する。
また、本発明の実施形態では、開閉圧を受圧する受圧面を有し、開閉圧に応じて油圧経路を閉鎖する第2ピストン(サブピストン67、封入ピストン72)を有し、開閉機構OCは、少なくとも密閉室が画成されるとき、密閉室と第2ピストンの受圧面(67b、72b)の裏面とを隔離するシール(シール88c、シール75d、75e)を有するので、フォワードクラッチ5を締結させる密閉室の油圧が受圧面の裏面に作用することがない。これにより、油圧経路を閉鎖する第2ピストンを可動させるための油圧(保持圧)を低くすることができ、エネルギー効率を向上できる。この効果は請求項2に対応する。
また、本発明の実施形態では、第2ピストン(サブピストン67、封入ピストン72)は、油圧経路(セレクト圧供給路51f及びセレクト圧連通路51e)においてセレクト圧ピストン室62の油流と交差する方向に移動可能であるので、油圧経路を閉鎖するために必要な油圧(保持圧)はセレクト圧に対抗させるほど大きくする必要がない。従って、フォワードクラッチ5が締結状態のときに、油圧経路を閉鎖する第2ピストンを可動させるための油圧(保持圧)を低くすることができ、エネルギー効率を向上できる。この効果は請求項3に対応する。
また、本発明の実施形態では、第2ピストン(サブピストン67、封入ピストン72)は、油圧ピストン61よりも内周側に配置されているので、第2ピストンの受圧面(67b、72b)が小さくなり、油圧経路を閉鎖する第2ピストンを可動させるための油圧(保持圧)を低くすることができ、エネルギー効率を向上できる。この効果は請求項4に対応する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
本発明の実施形態では、駆動力源として内燃機関としてのエンジン1を備えた例を説明したがこれに限られず、電動機を駆動力源とする電動車両やエンジン及び電動機の双方を駆動力源として備えるハイブリッド車両においても同様に適用することができる。
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 自動変速機
4 リバースブレーキ
5 フォワードクラッチ
6 クラッチ動作機構
7 油圧制御回路
8 油圧ポンプ
9 変速機コントローラ
51b セレクト圧連通路
51d 保持圧供給路
51e セレクト圧連通路
51f セレクト圧供給路
61 油圧ピストン
62 セレクト圧ピストン室
63 キャンセラ室
67 サブピストン
67a 接触端部
67b 受圧面
68 保持具
69 リターンスプリング
71 保持具
72 封入ピストン
72b 受圧面
73 連通路
74 リターンスプリング
75a、75b、75c、75d シール
80 保持圧ピストン室
83d 連通路
88a、88b、88c、88d シール
90 保持圧ピストン室

Claims (4)

  1. 駆動源からの動力を断接可能な摩擦要素を有する自動変速機であって、
    油圧室と、
    前記油圧室内の油圧が第1設定値以上のときに前記摩擦要素を締結状態にする第1ピストンと、
    前記油圧室内の油圧を給排する油圧経路と、
    前記油圧源から供給される開閉圧に応じて前記油圧経路を開閉する開閉機構と、
    を備え、
    前記開閉機構は、
    前記開閉圧が前記第1設定値よりも低い圧力に設定された第2設定値未満の場合は、前記油圧経路を開放し、
    前記開閉圧が前記第2設定値以上の場合は、前記油圧経路を閉鎖して、前記油圧室を含む密閉室を画成することを特徴とする自動変速機。
  2. 請求項1に記載の自動変速機であって、
    前記開閉圧を受圧する受圧面を有し、前記開閉圧に応じて前記油圧経路を閉鎖する第2ピストンを有し、
    前記開閉機構は、少なくとも前記密閉室が画成されるとき、前記密閉室と前記第2ピストンの前記受圧面の裏面とを隔離するシールを有することを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項2に記載の自動変速機であって、
    前記第2ピストンは、前記油圧経路において前記油圧室の油流と交差する方向に移動可能であることを特徴とする自動変速機。
  4. 請求項2又は3に記載の自動変速機であって、
    前記第2ピストンは、前記第1ピストンよりも内周側に配置されていることを特徴とする自動変速機。
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