以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められたサッシユニット(枠ユニット)の横枠(上枠、無目、巾木部等)の長手方向(即ち、ガラスや障子の面内方向)を意味し、「見込方向」とは、屋内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
図1は、本実施形態に係るサッシユニット1を屋内側から見た姿図である。図1に示すように、サッシユニット1は、店舗等の建築物に用いられるものであり、建築物に形成された開口に取り付けられる枠体2を備える枠ユニットである。
枠体2は、上枠21と、下枠としての巾木部22と、左右両側の縦枠(図示省略)と、方立23と、無目24と、を備える。枠体2は、全体としては矩形に枠組みされている。枠体2の内側の空間は、方立23によって見付方向に複数の開口部に区画されるとともに、無目24によって複数の開口部のそれぞれが上下方向に区画される。
サッシユニット1の屋内側から見て左側には、無目24を境にして上段に排煙窓51が納められ、排煙窓51の下側にあたる下段にはFIX窓52が納められる排煙窓ユニット5が3ユニット連続して配設される。なお、排煙窓ユニット5は、複数連続で設ける構成や単体で設ける構成等、事情に応じて適宜変更できる。
排煙窓51は、縦方向にスライド自在である。見付方向に並んだ3つの排煙窓51は、見付方向に延びるワイヤ7により重みが支えられている。ワイヤ7は、左側の縦枠に設けられるオペレータ(図示省略)に接続されている。3つの排煙窓51は連動しており、オペレータによって一括して開放・閉鎖を行うことが可能である。
サッシユニット1の屋内側から見て右側には、無目24を境にして上段にFIX窓61が納められ、下段にはFIX窓62が納められるFIX窓ユニット6が配設される。
図2は、排煙窓ユニット5の縦断面図であって、図1のA−A線断面図である。なお、図2において、紙面左側が屋外側であり、右側が屋内側である。図3は、本実施形態のサッシユニット1が備える方立23の拡大横断面図であり、図2のB−B線断面図である。図3において、紙面上側が屋外側であり、下側が屋内側である。
図2に示すように、上枠21は、屋内側に配置される上方に開放された断面略U字状である上枠本体部211と、上枠本体部211の屋外側に配置される上枠中間部215と、上枠中間部215から更に屋外側に延設される上枠延設部216と、を備える。
上枠本体部211は、内側に形成されかつ上枠21の長手方向に延びる溝部211a,211bを備える。溝部211a,211bは、上枠本体部211の内側の下部に配置される。溝部211a,211bは、いずれも見付方向の方立23側から方立23を連結するためのビス83が差し込まれるネジ受けとなる。
上枠中間部215は、中空部を備えるホロー構造である。上枠中間部215は、その下面が上枠本体部211の下面と略面一になっている。
上枠延設部216は、内側に下方に開放された溝216aが形成されており、この溝216aに閉鎖位置にあるときの排煙窓51の上部が収容される。
上枠本体部211の下面には、係止機構53が固定される。係止機構53は排煙窓51を閉鎖位置で固定するためのものである。図1に示すように、係止機構53は、上枠21の見付方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。本実施形態では、1つの排煙窓ユニット5に対して2つの係止機構53が設けられている。
排煙窓51は、排煙ガラス51aの上端を保持する排煙上枠510と、排煙ガラス51aの下端を保持する排煙下枠520と、排煙ガラス51aの左右の端部を保持する排煙縦框(図示省略)と、係止機構53に係止される係止部530と、を備える。
排煙上枠510は、中空部を備えるホロー構造である排煙上枠本体部511と、排煙上枠本体部511から上側に延設される上側延設部512と、排煙上枠本体部511の屋内側の下端から下側に延設される排煙ガラス保持部513と、排煙上枠本体部511の屋外側の下端に係止されるガラス保持部材514と、を備える。排煙窓51が閉鎖位置にあるときは、上側延設部512が上述の上枠延設部216の溝216aに収容される状態となる。また、排煙ガラス保持部513及びガラス保持部材514によって、排煙ガラス51aの上端部を保持する溝514aが形成される。
排煙下枠520は、中空部を備えるホロー構造である排煙下枠本体部521と、排煙下枠本体部521の下部から延設される下側延設部522と、排煙下枠本体部521の屋内側の上端から上側に延設される排煙ガラス保持部523と、排煙下枠本体部521の屋外側の上端に係止されるガラス保持部材524と、を備える。排煙窓51が閉鎖位置にあるときは、排煙下枠本体部521及び下側延設部522の屋内側の面が無目24の屋外側の面に対面する状態となる。また、排煙ガラス保持部523及びガラス保持部材524によって、排煙ガラス51aの下端部を保持する溝524aが形成される。
排煙ガラス51aの保持について説明する。排煙ガラス51aは、溝524aの内部に配置される支持部材51bによって下から支持される。排煙ガラス51aの下端部は、溝524a内において、屋外側に配置されるバックアップ材51cと屋内側に配置されるバックアップ材51dによって挟まれる。本実施形態では、バックアップ材51dの方が、バックアップ材51cよりも上下方向のサイズが長くなっている。更にバックアップ材51cの上方には、シール材51eが塗工される。排煙ガラス51aの上端部は、溝514a内において、屋外側に配置されるバックアップ材51fと屋内側に配置されるバックアップ材51gによって挟まれる。本実施形態では、バックアップ材51gの方が、バックアップ材51fよりも上下方向のサイズが長くなっている。更にバックアップ材51fの下方には、シール材51hが塗工される。なお、バックアップ材51d及びバックアップ材51gにもシール材を塗工してもよい。例えば、バックアップ材51dの上方やバックアップ材51gの下方にシール材を塗工する構成とすることもできる。
左右の排煙縦框(図示省略)は、排煙ガラス51aを保持した状態で方立23の屋外側の面に形成される後述の排煙ガイド500によって見付方向の両側で挟み込まれる。
係止部530は、排煙上枠510の屋内側の面に固定され、上枠21に固定される係止機構53に係止される。係止部530を係止機構53に係止するための機構としては例えばラッチ機構を用いることができる。
本実施形態の係止部530は、排煙上枠本体部511と排煙ガラス保持部513に跨って連結されている。図1に示すように、係止部530は係止機構53の数に応じて配置される。排煙窓51は、係止部530を介してワイヤ7に支持されており、係止部530が係止機構53に係止されることにより排煙窓51が閉鎖位置で固定される。排煙窓51を閉鎖位置から下側に移動させるときは、上述のオペレータ(図示省略)によって排煙窓51をいったん上に動かして係止部530と係止機構53の係止を解除する。
無目24は、屋内側に配置されかつ中空部を備えるホロー構造である無目本体部241と、無目本体部241の屋外側に形成される無目ガラス保持部242と、を備える。
無目本体部241は、内側に形成されかつ無目24の長手方向に延びる溝部241a,241b,241cを備える。溝部241aは、無目本体部241の内側の上部に配置され、溝部241bは内側の下部に配置される。溝部241cは、内側上部の屋内側の角に配置される。溝部241a,241b,241cは、いずれも見付方向の方立23側から方立23を連結するためのビス83が差し込まれるネジ受けとなる。
無目ガラス保持部242は、無目本体部241の屋外側の下端から下側に延設する。この無目ガラス保持部242と無目本体部241によってFIX窓52を構成するガラス52aの上端部を保持する溝242aが形成される。
巾木部22は、中空部を備えるホロー構造である巾木本体部221と、巾木本体部221に係止されるガラス保持部材222と、を備える。
巾木本体部221の屋内側には、上から下に進むにつれて屋内側に近づくように傾斜する傾斜部221aと、傾斜部221aの下端から直下方向に延びるビス取付部221bと、が形成される。
巾木本体部221の屋外側の下端には、後述する補助枠25に嵌合する嵌合部221cが形成される。巾木本体部221の屋外側の上端には、ガラス保持部材222を嵌合する嵌合部221dが形成される。
巾木本体部221の内側には、巾木部22の長手方向に延びる溝部221e,221f,221gが形成される。溝部221eは、内側であって屋内側の上端に配置され、溝部221fは、内側であって屋内側の溝部221eとビス取付部221bの間に配置される。溝部221gは、内側の下部に配置される。溝部221e,221f,221gは、いずれも見付方向の方立23側から方立23を連結するためのビス83が差し込まれるネジ受けとなる。
ガラス保持部材222は、嵌合部221dに嵌合される。巾木本体部221及びガラス保持部材222によって、ガラス52aの下端部を保持する溝222aが形成される。
ガラス52aは単板ガラスであり、無目24と巾木部22の間で保持される。ガラス52aの保持について説明する。ガラス52aは、溝222aの内部に配置される支持部材62fによって下から支持される。ガラス52aの下端部は、溝222a内において、バックアップ材62g,62gによって挟まれる。更にバックアップ材62g,62gの上方には、シール材62h,62hが塗工される。ガラス52aの上端部は、溝242a内において、バックアップ材62j,62jによって挟まれる。更にバックアップ材62j,62jの下方には、シール材62i,62iが塗工される。
以上説明した上枠21、無目24及び巾木部22は、例えば、アルミニウムを押し出し成型することによって形成することができる。
次に、方立23について説明する。図3に示すように、方立23は、屋内側から見て、右側に配置される第1方立部材231と、左側に配置される第2方立部材232と、を備える。
第1方立部材231は、第1方立本体部311と、第1方立本体部311の屋外側に設けられかつガラス52aの屋内側から見て左側の側端部が挿入されて保持される溝312dが形成される第1保持部312と、排煙ガイド500と、を備える。
第1保持部312は、第1方立本体部311から見込方向(屋外側)に延出される第1方立見込部312aと、第1方立見込部312aの先端から見付方向(屋内側から見て右側)に延設される第1方立見付部312bと、第1方立見込部312aの先端から第1方立見付部312bの延びる方向とは反対側(屋内側から見て左側)に突出する突出部312cと、を備える。
第1方立見込部312aは、後述するビス82の螺合される孔の周囲において第2方立部材232側に突出して形成される凸部312eを備える。
排煙ガイド500は、方立23の屋外側から突出する。本実施形態では、第1保持部312の突出部312cの先端の近傍から屋外側に延出している。排煙ガイド500は、断面形状が略T字状に形成されており、見付方向の両側(左右両側)に溝500aが形成される。
図2に示すように、排煙ガイド500は、方立23の長手方向に沿って該方立23の上端から下端までの略全域に形成されている。排煙ガイド500は、排煙窓51の見付方向の両側の方立23にそれぞれ形成されており、左右の排煙縦框(図示省略)の見付方向の端部が溝500aに収容されることにより、上下方向でスライド自在となっている。なお、図3では、排煙窓51は図示されていない。
第2方立部材232は、第2方立本体部321と、第2方立本体部321の屋外側に設けられかつガラス52aの屋内側から見て右側の側端部が挿入されて保持される溝322cが形成される第2保持部322と、を備える。
第2保持部322は、第2方立本体部321から見込方向(屋外側)に延出される第2方立見込部322aと、第2方立見込部322aの先端から見付方向(屋内側から見て左側)に延設される第2方立見付部322bと、を備える。
第2方立見込部322aは、第1方立部材231側に形成される凹部322dと、後述するビス82の螺合される孔の周囲において第1方立部材231側に突出して形成される凸部322eと、を備える。凹部322dには、気密材315が収容される。凸部322eは、凸部312eに対向する位置関係にある。
隣り合う一対のガラス52a,52aは、それぞれ溝312d,322cに対向する側端部が挿入されて保持される。溝312dと溝322cとでは、溝322cの方が深い溝に形成される。
ガラス52aの屋内側から見て左側の端部は、溝312d内において、バックアップ材52b,52bによって挟まれる。更にバックアップ材52b,52bの右側には、コーキング材52c,52cが塗工される。ガラス52aの屋内側から見て右側の端部は、溝322c内において、バックアップ材52d,52dによって挟まれる。更にバックアップ材52d,52dの左にもコーキング材52c,52cが塗工される。
締結部材としてのビス82によって第1方立見込部312aと第2方立見込部322aが連結されている。本実施形態では、ビス82は、方立23の長手方向に所定の間隔をあけて複数締結されている。本実施形態の第1方立本体部311及び第2方立本体部321は、組み合わされた状態で断面略長方形の筒状に形成される。
以上のように構成される方立23に横枠としての上枠21、巾木部22及び無目24がビス83によってそれぞれ連結される。
次に、巾木部22が固定される補助枠25について説明する。図4は、本実施形態のサッシユニット1の巾木部22が補助枠25を介して設置面に固定されている様子を示す縦断面図である。図4では、屋外側の設置面であるフロアラインを示す設置ラインL1及び屋内側の設置面であるフロアラインを示す設置ラインL2が、それぞれ鎖線で示されている。図5は、巾木部22と補助枠25の嵌合部分及びパッキン部材252近傍を拡大した拡大縦断面図であり、図4の鎖線で示す範囲Rを拡大したものである。
補助枠25は、アンカー26に取り付けられる下方に開放された断面略U字状である補助枠本体部251と、巾木本体部221と補助枠本体部251の間に配置されるパッキン部材252と、を備える。
補助枠本体部251は、その下部の開放端のそれぞれに内側に折れ曲がる爪部251aが形成されており、これらの爪部251aがアンカー26に差し込まれる。
補助枠本体部251は、その上面がアンカー26に固定された状態で設置ラインL1及び設置ラインL2よりも高い位置となるように高さhが設定されている。
補助枠本体部251の屋外面251bは、下端から直上に延出し、屋外側の設置ラインL1に差し掛かったところで屋内側に傾斜し、再び直上に延出するように形成される。
補助枠本体部251の屋外面251bの上部には、屋外側に延出する差込部251cが形成される。差込部251cは、巾木本体部221の嵌合部221cに嵌合する部位となる。本実施形態の差込部251cは、屋外側に水平方向に延出してからいったん上側に傾斜し、再び水平方向に延出するように形成されている。そして、差込部251cの上面と巾木本体部221の下面との間には、隙間251dが形成されている。この隙間251dは、差込部251cと嵌合部221cに連通している。
図5に示すように、本実施形態の巾木本体部221の嵌合部221cには、突出部221hが形成されている。突出部221hは下方に延出しており、その先端が差込部251cよりも下方に位置している。なお、突出部221hを省略する等、嵌合部221cの形状は事情に応じて適宜変更できる。
補助枠本体部251の屋内面251eは、下端から上端まで直上に延出するように形成される。また、屋内面251eの上部には、屋内側に延出した後、上方に屈曲する立ち上がり部251fが形成される。立ち上がり部251fは、巾木部22が補助枠25に取り付けられた状態で、ビス取付部221bに対面するように形成される。立ち上がり部251fには、ビス253を取り付ける取付孔(図示省略)が形成されている。
また、補助枠本体部251は、内側に形成されかつ補助枠本体部251の長手方向に延びる溝部251gが形成される。
パッキン部材252は、補助枠25と巾木部22の隙間251dに配置される。パッキン部材252は、いわゆる乾式パッキンである。パッキン部材252は、その形状が扁平かつ細長に形成されており、その長手方向が見付方向を向いた状態で補助枠25に固定されている。パッキン部材252の詳細な構成については後述する。
図4に示すように、屋外側タイル610が設置ラインL1に応じて施設されており、屋内側には屋内側タイル620が設置ラインL2に応じて施設されている。本実施形態では、屋外側の設置ラインL1及び屋内側の設置ラインL2は、そのいずれもが巾木部22の下面よりも下に位置する。そして、屋内側の設置ラインL2は設置ラインL1よりも高くなっている。
ここで、巾木部22と補助枠25の関係について説明する。巾木部22は、補助枠25に接する下部の見込方向の長さが補助枠25の見込み方向の長さよりも長く設定されている。即ち、巾木本体部221の底部の幅wが、補助枠本体部251における設置ラインL1上の幅及び設置ラインL2上の幅よりも大きく、かつ見込方向の両側で補助枠本体部251よりも巾木本体部221が突出するように設定されている。
サッシユニット1を補助枠25に固定する作業について説明する。図5に示すように、嵌合部221cは巾木本体部221から若干下に延出した後、屋外側から屋内側に略水平方向に折り返すように延びている。これにより、嵌合部221cと巾木本体部221の間に見込方向の屋内側を向く凹状の隙間が形成され、この隙間に補助枠25の差込部251cが差し込まれることで補助枠25と巾木部22が屋外側で連結される。
巾木部22の巾木本体部221の下面と嵌合部221cの上面によって差込部251cが挟まれる状態となり、この部分では巾木部22と補助枠25が互い違いとなるラビリンス構造となっている。このラビリンス構造によって屋内側への更なる水の侵入が効果的に防止されている。また、差込部251cが嵌合部221cに見込方向で嵌合することにより、嵌合部221cと差込部251cの嵌合部分が、補助枠25の差込部251cがサッシユニット1の上下方向に対する傾きを防ぐ、倒れ防止部としても機能している。
補助枠25と巾木部22の屋外側の連結について説明する。図4に示すように、嵌合部221cに差込部251cが差し込まれた状態では、巾木部22のビス取付部221bと立ち上がり部251fが見込方向で対面した状態となる。この状態で補助枠25の立ち上がり部251fから巾木部22のビス取付部221bにビス253を螺入することで巾木部22と補助枠25が屋内側でも連結される。即ち、補助枠25と巾木部22の連結に他の板状の連結部材等を別途用意する必要もなく、締結作業を屋内側のみで完了することができる。
補助枠25に巾木部22が連結されている状態では、補助枠25の屋外面251bが巾木本体部221より屋内側に奥まった位置になり、屋内面251eも巾木本体部221より屋外側に奥まった位置となる。図2に示すように、巾木部22の下部が補助枠25よりも見込方向の屋外側にせり出すことによって巾木本体部221の下方であって補助枠25の屋外面251bよりも屋外側のスペースS1が形成される。また、巾木部22の下部が補助枠25よりも見込方向の屋内側にせり出すことによって巾木本体部221の下方であって補助枠25の屋内面251eよりも屋内側にスペースS2が形成される。
図4に示すように、屋外側のスペースS1には、パッカー630が取り付けられるとともにシール材640が塗工される。シール材640は湿式のものである。嵌合部221cの下面及び突出部221hの屋内側の面がシール材640に接触するようにスペースS1にシール材640が塗工される。
これにより、サッシユニット1の上端が屋外側に傾くような力を受けた場合でも突出部221h及びシール材640によってその動きが規制され、上端が屋内側に傾くような力を受けた場合でも嵌合部221c及びシール材640によってその動きが規制される。即ち、サッシユニット1を上下方向に対して傾けるような力、例えば風圧(負圧や正圧)が作用した場合でも、その力によってサッシユニット1が傾く事態が効果的に防止されている。
また、巾木部22は、その下面の位置が方立23の下面と一致しており、略面一となっている。そして、方立23の排煙ガイド500の下面についても略同じ位置となっている。従って、巾木部22、方立23及び排煙ガイド500の下方に位置する屋外側のスペースS1に屋外側タイル610を別途加工することなく配置することができる。このように、スペースS1が床材の端部のみこみ代として機能することにより、床材の施工性が向上している。また、屋外側タイル610の屋内側の端面はスペースS1に位置し、外側から死角になるとともにシール材640に覆われた状態となり、切断面又は処理されていない端部が外部から視認できない状態となる。
本実施形態では、屋内側にもスペースS2が形成されており、屋内側タイル620についてもスペースS2を利用して施工される。当該スペースS2を利用することで、屋内側タイル620の屋外側の端面を外部から見えない死角に位置させることができる。また、屋内側タイル620のサイズが大きい場合であったとしてもスペースS2をのみこみ代として利用することもできる。
次に、パッキン部材252によって形成される止水ラインについて説明する。図6は、見付方向に隣接する補助枠25の間におけるパッキン部材252の様子を模式的に示した横断面図である。なお、図6において紙面上側が屋外側であり下側が屋内側となっており、方立23については鎖線で示される。
図6に示すように、2つの補助枠25が見付方向に隙間dをあけて隣接しており、方立23が2つの補助枠25を跨るように配置される。補助枠25はアンカー26に固定されており、上部が設置ラインL1,L2よりも上方にある状態でモルタルに埋設されている。
パッキン部材252は、補助枠25と巾木部22の間の上下方向の隙間251dに配置されており(図5参照)、補助枠本体部251の上面にその長手方向が見付方向に沿うように固定されている。このパッキン部材252によってサッシユニット1における補助枠25と巾木部22の間で見付方向に延びる止水ラインが形成される。
本実施形態のパッキン部材252は、その長さが補助枠25見付方向の端部からはみ出すように設定されており、隙間dにおいて左側のパッキン部材252と右側のパッキン部材252が接触している。そして、補助枠25と補助枠25の隙間dについても止水ラインが形成されるようにパッキン部材252の長さが設定される。
パッキン部材252のはみ出し長さは補助枠25と補助枠25の隙間dの長さに応じて設定することができる。例えば、図6の左側のパッキン部材252のはみ出し長さと右側のパッキン部材252のはみ出し長さの合計が隙間dの長さ以上になるように設定される。
本実施形態では、左右のパッキン部材252の接触位置260が隙間dに位置するように設定される。そして、左右両側のパッキン部材252は、弾性変形可能に構成されており、それぞれの先端を下側又は上側に折り曲げて面接触させている。これにより、接触位置260においても良好な防水性能が発揮される。なお、左右両側のパッキン部材252の当接状態は先端面が対向するように接触させてもよく、接触位置260も事情に応じて適宜変更できる。
また、図5に示すように、パッキン部材252は、その屋外側の端面が、補助枠25の屋外面251bの上部を延長した仮想直線L3よりも外側に位置するようになっている。これにより、補助枠25を迂回して隙間dから屋内側に進入する水についてもその侵入を効果的に防止できる。
パッキン部材252によって巾木部22と補助枠25の間で見付方向に隙間なく止水ラインが形成されることによって屋外側からの水の侵入が確実に防止されている。パッキン部材252は乾式であり、シール塗工の必要もなく、サッシユニット1を取り付ける構造を複雑化することなく防水性能の向上を実現している。
本実施形態では、巾木部22と補助枠25の屋外側の隙間となる嵌合部221cと差込部251cは、シール材640が塗工されるスペースS1の上方に位置し外部から閉鎖されていることに加えてラビリンス構造になっている。そして、ラビリンス構造の屋内側の先にはパッキン部材252によって止水ラインが形成されている。このように、本実施形態のサッシユニット1では、湿式のシール材640、嵌合部221c及び差込部251cのラビリング構造、乾式のパッキン部材252により、それぞれ特性の異なる防水機能が複合的に備えられており、高い防水機能が実現されている。
次に、サッシユニット1のリユースについて説明する。上述の通り、巾木部22と補助枠25は、屋外側が嵌合部221cにより嵌合されるともに屋内側がビス253によって連結される構造である。従って、サッシユニット1を補助枠25から取り外す際も、屋内側のビス253取り外して嵌合部221cの嵌合を解除するだけで巾木部22と補助枠25の連結を容易に解除することができる。補助枠25から取り外した巾木部22を含む枠体2は、別の場所で使用することができ、リユース性の高いサッシユニット1となっている。特に本実施形態では、補助枠25と巾木部22の隙間における屋内側の止水構造が乾式のパッキン部材252によって実現されているので、シール材が補助枠25と巾木部22の隙間に塗工されておりシール材を除去しなければならない場合に比べ、補助枠25から巾木部22を取り外す際作業が容易となっている。
更に、補助枠25をリユースすることもできる。上述のように補助枠25にはパッキン部材252が固定されており、補助枠25を設置面から取り外して別の場所で使用する場合にもパッキン部材252による上述の防水性能を発揮できる。例えば、補助枠25が残った状態で枠体2の部分が破損した場合や新たな枠体を配置する必要がある場合でも補助枠25に枠体2の巾木部22を簡単に固定でき、補助枠25のリユースという観点でも本実施形態の構成は有利である。特に本実施形態では、乾式のパッキン部材252なので、湿式のシール材を塗工する作業を行うことなく防止性能を有するサッシユニットを新たに取り付ける作業も迅速かつ容易に行うことができる。
以上説明してきたように、本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
即ち、本実施形態のサッシユニット1の補助枠25は、設置面に固定される補助枠本体部251と、補助枠本体部251の屋外側の上部に配置され、見込方向の屋外側を向く凸状に形成される差込部251cと、補助枠本体部251の屋内側の上部に配置される立ち上がり部251fと、を有し、巾木部22は、補助枠25の上面に載置される巾木本体部221と、巾木本体部221の屋外側の下部に配置され、差込部251cに嵌合する凹状の嵌合部221cと、巾木本体部221の屋内側の下部に配置され、立ち上がり部251fとともにビス253によって締結されるビス取付部221bと、を有する。
これにより、サッシユニット1の屋外側を嵌合部221cと差込部251cで連結することができ、屋内側でのみビス253を締結することにより、補助枠25に対して巾木部22を固定することができる。従って、補助枠25から巾木部22を取り外す作業も屋内側のビス253を取り外せば嵌合部221cと差込部251cの嵌合を解除するだけでよくなり、リユース時の作業性を向上させることができる。
また、嵌合部221cと差込部251cが嵌合する嵌合部分では巾木部22と補助枠25が互い違いとなるラビリンス構造となるので、屋外から屋内への水の侵入を防ぐことができ、防水性能も向上させることができる。
また、サッシユニット1が上下方向に対して傾く力を受けた場合であっても、見込方向で嵌合部221cに嵌合する差込部251cによって巾木部22が傾く動きが規制され、嵌合部分が倒れ防止となる。
本実施形態のサッシユニット1は、補助枠25と巾木部22の間の隙間251dであって差込部251cと嵌合部221cの嵌合部分に屋内側で連通する位置に固定され、該隙間251dの中で見付方向に沿って延びるパッキン部材252を更に備える。
これにより、嵌合部221cと差込部251cが嵌合する嵌合部分を越えて補助枠25と巾木部22の隙間251dに屋外から水が進入してきたとしても、該嵌合部分よりも屋内側に設けられるパッキン部材252によってそれ以上の屋内側への水の侵入を確実に防止できる。
補助枠25は、見付方向で隙間dをあけて複数並列配置されており、隣接する一側の補助枠25に固定される一方のパッキン部材252の先端部が、他側の補助枠25に固定される他方のパッキン部材252の先端部に接触するように、パッキン部材252が補助枠25の見付方向の端部から突出する長さに形成される。
これにより、補助枠25が隙間dをあけて複数配置されている場合であっても、パッキン部材252によって見付方向に途切れることなく止水ラインを形成することができ、補助枠25の隙間dからの水の進入を効果的に防止できる。
以上、本発明のサッシユニットの好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
上記実施形態では、見込方向において巾木部22の両側が補助枠25よりもせり出すように構成されているが、屋外側又は屋内側の一側のみが補助枠25からせり出す構成とすることもできる。また、シール材は屋外側タイル610の上面に跨って塗工されているが、目地の部分にシール材を塗工することもできる。
上記実施形態で説明した方立23の構成は適宜変更することができる。例えば、方立23を、屋内側から見て、図3とは左右対称の構造にしてもよい。つまり、第1方立部材231と第2方立部材232は左右逆に配置してもよい。
上記実施形態では、方立23を含む枠体にガラス61a,62aが納められるものとしたがこれに限定されず、例えば引違い戸やすべり出し窓等の障子を開口部に納める構成としてもよい。
上記実施形態では、排煙窓51を備えるサッシユニット1を枠ユニットの例として説明したが、排煙窓51を備えない構成にも本発明を適用することができる。
上記実施形態では、隣接する補助枠25のパッキン部材252の両方が補助枠25の端部からはみ出すように構成されているが、一方のパッキン部材252のみが補助枠25の端部からはみ出して他方の補助枠25のパッキン部材252に接触するように構成することもできる。
上記実施形態では、巾木部22の見込方向の幅wが補助枠25の幅よりも大きく形成されているが、横枠としての巾木部と補助枠の幅が略同一となる構成に変更することもできる。