JP2017066339A - ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、その製造方法および光硬化性組成物 - Google Patents

ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、その製造方法および光硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性が良好であり引張強度および破断伸びが優れる硬化物が得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオール(A)、ポリイソシアネート化合物(B)および(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物(C)に基づく構成単位を含み、ポリオール(A)が開始剤(a)に基づく構成単位、ジカルボン酸無水物(b)に基づく構成単位およびアルキレンオキシド(c)に基づく構成単位を有するポリオール(A1)を含むことを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、該ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法、該ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを光重合開始剤で硬化した硬化物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとその製造方法および光硬化性組成物とその製造方法に関する。
近年、あらゆる技術分野で省エネルギー化、省資源化、環境対応化が重要な課題となっており、種々の技術開発がなされている。その一つとして開発されている光硬化性樹脂組成物は、塗料、接着剤、コーティング剤、印刷インキ用ビヒクル、レジストインキ、凸版材、光ファイバー被覆材、光造形材などの用途に用いられている。
このような光硬化性樹脂組成物は光硬化性オリゴマー、光重合性モノマー、光重合開始剤、増感剤、着色剤およびその他の添加剤からなっており、実質的に揮発性溶剤を含有しないことから、環境への負荷が低い。
また、これらの光硬化性樹脂組成物は、特定波長の光線照射によって硬化反応を起こし、可撓性および接着性に優れた硬化物が得られる。ここで用いられる光硬化性オリゴマーは、分子構造中に光硬化性官能基として(メタ)アクリロイル基を1〜数個有するものが一般的である。光硬化性オリゴマーのうち、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、その硬化物が強靭性、硬度、耐薬品性、柔軟性、密着性、耐光性、低温特性などに優れた性能を発揮することから幅広い分野で使用されている。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、使用目的に応じて、その粘度を調整したり、硬化物に必要な性能や物性を達成するために、原料を種々変更して分子を設計することができる。なかでもポリオールは、使用する種類を変更することで、容易にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの粘度や、硬化物の物性や性能を変えることができる。例えば、分子量が数百程度の低分子量のポリオールを用いた場合、硬くて脆い硬化物が得られ、分子量が千から数千までの高分子量のポリオールを用いた場合、柔軟で強靭な硬化物が得られる。高分子量のポリオールとしてはポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが使用されている。一方、低粘度のポリオールとしてはポリオキシアルキレンポリオールが使われている(特許文献1)。
特開2000−351827号公報
低粘度のポリオールとして使用されるポリオキシアルキレンポリオールを使用したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーでは、その硬化物において、破断伸びは優れるものの引張強度が劣るという問題があった。
結晶性のポリエステルポリオールを使用したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは透明性に劣るため、希釈剤や低分子量(メタ)アクリルモノマー等を含有させない限り光硬化性が劣るという問題があった。
ポリオキシアルキレンポリオールを使用したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物における引張強度を改良するため、結晶性ポリエステルポリオールをブレンドする方法もあるが、結晶性のポリエステルポリオールとポリオキシアルキレンポリオールは相溶性が悪く透明性に劣るため光硬化性が悪くなりやすい。
すなわち、既存のポリオキシアルキレンポリオールやポリエステルポリオールを用いたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーでは、良好な光硬化性を得るために十分な透明性を備え、その硬化物における破断伸びと引張強度を十分に満足することが難しかった。
本発明は、十分な透明性を備えたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、該ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む硬化性組成物、および、該ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを光重合開始剤で硬化した、透明であり、破断伸びと引張強度を備えた硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために本発明を完成するに至った。
本発明は以下の[1]〜[20]である。
[1]ポリオールに基づく構成単位とポリイソシアネート化合物に基づく構成単位と(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物に基づく構成単位とを含有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであって、
ポリオールが、1分子あたり2個以上の活性水素基を有する開始剤に基づく構成単位と、ジカルボン酸無水物に基づく構成単位と、アルキレンオキシドに基づく構成単位を有するポリオール(A1)を含むことを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[2]前記開始剤が、ポリエーテルポリオール類、多価アルコール類、ポリオキシテトラメチレングリコール類、ポリエステルポリオール類、またはポリカーボネートポリオール類である[1]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[3]前記ジカルボン酸無水物が、無水フタル酸、またはヘキサヒドロ無水フタル酸である[1]または[2]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[4]前記アルキレンオキシドが、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドである[1]〜[3]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[5]前記ポリオール(A1)100質量%中に、前記ジカルボン酸無水物に基づく構成単位が10〜50質量%含まれる、[1]〜[4]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[6]前記ポリオール(A1)中において、前記開始剤に基づく構成単位が1〜60質量%であり、前記ジカルボン酸無水物に基づく構成単位が10〜50質量%であり、かつ、前記アルキレンオキシドと前記ジカルボン酸無水物とのモル比が、アルキレンオキシド:ジカルボン酸無水物=50:50〜95:5である、[1]〜[5]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[7]前記ポリオール(A1)の水酸基価が10〜250mgKOH/gである、[1]〜[6]のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[8]前記ポリオール(A1)の共重合鎖あたりの平均分子量が50〜3000である、[1]〜[7]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[9]前記ポリイソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジメチルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上である、[1]〜[8]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[10]1分子あたり2個以上の活性水素基を有する開始剤にジカルボン酸無水物とアルキレンオキシドとの混合物を開環重合させてポリオール(A1)を得る工程と、
ポリオール(A1)を含むポリオールと、ポリイソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得る工程と、前記イソシアネート基末端プレポリマーと(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物を反応させてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得る工程を有することを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[11]前記開始剤が、ポリエーテルポリオール類、多価アルコール類、ポリオキシテトラメチレングリコール類、ポリエステルポリオール類、またはポリカーボネートポリオール類である[10]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[12]前記ジカルボン酸無水物が、無水フタル酸、またはヘキサヒドロ無水フタル酸である[10]または[11]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[13]前記アルキレンオキシドが、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドである[10]〜[12]のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[14]前記ポリオール(A1)中に、前記ジカルボン酸無水物に基づく構成単位が10〜50質量%含まれる、[10]〜[13]のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[15]前記ポリオール(A1)中において、前記開始剤に基づく構成単位が1〜60質量%であり、前記ジカルボン酸無水物に基づく構成単位が10〜50質量%であり、かつ、前記アルキレンオキシドと前記ジカルボン酸無水物とのモル比が、アルキレンオキシド:ジカルボン酸無水物=50:50〜95:5である[10]〜[14]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[16]前記ポリオール(A1)の水酸基価が10〜250mgKOH/gである、[10]〜[15]のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[17]前記ポリオール(A1)の共重合鎖あたりの平均分子量が50〜3000である、[10]〜[16]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[18]前記ポリイソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジメチルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上である、[10]〜[17]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[19][1]〜[9]のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと光重合開始剤とを含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
[20][19]の光硬化性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする硬化物。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、透明性が良好であり光硬化性が良好であり、その硬化物は透明性が良好であり、破断伸びと引張強度が優れる。本発明の製造方法によれば、透明性が良好であり硬化性が良好なウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得ることができる。本発明によれば、本発明のウレタン(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含有する光硬化性組成物を製造することができる。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、1分子あたり2個以上の活性水素基を有する開始剤(a)にジカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)を開環重合させてポリオール(A1)を得る工程と、ポリオール(A1)を含むポリオール(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)を反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得る工程と、前記イソシアネート基末端プレポリマーと(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物(C)(以下、水酸基含有(メタ)アクリレート(C)ともいう。)を反応させてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得る工程を経て得られる。
本発明における数平均分子量および質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によりポリスチレン換算で測定した値である。水酸基価換算分子量は、56,100を水酸基価で除した値と官能基数の積である。水酸基価はJIS K 1557−1に準拠した方法で測定した値である。本発明において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」の総称として使用する。
ポリオール(A)に基づく構成単位とは、ポリオール(A)から活性水素基を除いた残基のことであり、ポリイソシアネート化合物(B)に基づく構成単位とは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基およびイソシアネート基が活性水素基と反応して生成した連結基のことであり、(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物(C)に基づく構成単位とは化合物(C)から活性水素基を除いた残基のことである。活性水素基とは、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基及び1級若しくは2級のアミノ基などの活性水素を有する基をいい、通常は水酸基である。
[ポリオール(A)]
ポリオール(A)は、その一部または全部として、特定のポリオール(A1)を含む。本発明におけるポリオール(A1)は、開始剤(a)に、ジカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)との混合物を開環重合させて得られるもので、開始剤(a)に基づく構成単位と、ジカルボン酸無水物(b)に基づく構成単位と、アルキレンオキシド(c)に基づく構成単位を有する。かかるポリオール(A1)を用いると、透明性が良好であり、光硬化性が良好なウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとなり、その硬化物は、透明で、引張強度、破断伸びが優れたものになる。なお、開始剤(a)に基づく構成単位とは、開始剤(a)から活性水素基を除いた残基のことであり、ジカルボン酸無水物(b)に基づく構成単位とはジカルボン酸無水物(b)が開環した2価の基をいい、アルキレンオキシド(c)に基づく構成単位とはアルキレンオキシド(c)が開環した2価の基をいう。
[開始剤(a)]
開始剤(a)は、1分子あたり2個以上の活性水素基を有する化合物であり、例えばポリエーテルポリオール類、多価アルコール類、ポリオキシテトラメチレングリコール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類等が挙げられる。開始剤(a)の1分子あたりの活性水素基の数は2個〜4個が好ましく、2個または3個がより好ましい。
開始剤(a)としては、多価アルコール類をそのまま用いてもよく、さらに多価アルコール類にアルキレンオキシドを付加させて得られるポリエーテルポリオールとして用いてもよい。開始剤(a)における活性水素基としては水酸基が特に好ましい。
ポリエーテルポリオールは、多価アルコール類にアルキレンオキシドを付加することにより得られる、水酸基価換算分子量が300〜4000である化合物が好ましい。後述するポリオール(A1)の製造の際に、触媒として複合金属シアン化物錯体触媒を用いる場合は、開始剤(a)としてポリエーテルポリオールを用いることが好ましく、ポリエーテルジオールを用いることがより好ましい。多価アルコール類としては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが好ましく、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド等が挙げられる。アルキレンオキシドは1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、またはプロピレンオキシドを用いるのが好ましく、プロピレンオキシドのみを用いるのがより好ましい。
ポリオキシテトラメチレングリコール類としては、テトラヒドロフラン、3−メチル−テトラヒドロフラン等をカチオン重合して得られる化合物が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、2価アルコール類と二塩基酸類とを脱水縮合して得られるポリエステルポリオール類;環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類が挙げられる。前記2価アルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1、2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール等が挙げられる。前記二塩基酸類としては、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、琥珀酸等が挙げられる。前記環状エステル化合物としてはε−カプロラクトン等が挙げられる。
開始剤(a)の水酸基価換算分子量は62〜4000であるのが好ましく、400〜2000であるのがより好ましい。前記分子量が62以上であれば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしたときに透明性が良好であり、その硬化物は透明で、引張強度、破断伸びが優れる。前記分子量が4000以下であれば、引張強度、破断伸びが優れる硬化物が得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが得られやすい。
ポリオール(A1)中の開始剤(a)の含有量は、ポリオール(A1)を100質量%とした時に開始剤(a)に基づく構成単位は1〜60質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。開始剤(a)に基づく構成単位の含有量が1質量%以上であれば、目的のポリオール(A1)が得られやすい。また、開始剤(a)に基づく構成単位の含有量が60質量%以下であれば、ポリオール(A1)中のジカルボン酸無水物(b)の含有量を多くできるため、引張強度が優れる硬化物が得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得ることができる。
[ジカルボン酸無水物(b)]
ジカルボン酸無水物(b)としては、たとえば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ハイミック酸等が挙げられる。この中で芳香族環を含有する無水フタル酸、脂環式酸無水物であるヘキサヒドロ無水フタル酸が特に好ましい。
ポリオール(A1)中のジカルボン酸無水物(b)の含有量は、ポリオール(A1)を100質量%とした場合、ジカルボン酸無水物(b)に基づく構成単位は10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。ジカルボン酸無水物(b)に基づく構成単位の含有量が10質量%以上であれば、引張強度に優れる。また、ジカルボン酸無水物(b)に基づく構成単位の含有量が50質量%以下であれば、得られる硬化物の破断伸びが優れる。
[アルキレンオキシド(c)]
アルキレンオキシド(c)は、上記開始剤(a)としてのポリエーテルポリオールの合成に用いられるアルキレンオキシドが挙げられ、中でもエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを用いるのがより好ましい。
ポリオール(A1)は、開始剤(a)に、アルキレンオキシド(c)とジカルボン酸無水物(b)との混合物を反応させて得られる。ポリオール(A1)の合成に用いられるアルキレンオキシド(c)とジカルボン酸無水物(b)のモル比は、アルキレンオキシド(c):ジカルボン酸無水物(b)=50:50〜95:5が好ましく、55:45〜90:10がより好ましい。該アルキレンオキシド(c)とジカルボン酸無水物(b)とのモル比が前記下限値以上であれば、ポリオール(A1)中の未反応のジカルボン酸無水物(b)の量が抑えられ、ポリオール(A1)の酸価を低くでき、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの耐加水分解性を向上させやすい。また、アルキレンオキシド(c)とジカルボン酸無水物(b)とのモル比が前記上限値以下であれば、引張強度が優れる。
アルキレンオキシド(c)をジカルボン酸無水物(b)に対して等モルより過剰に使用し、末端にアルキレンオキシド(c)をブロックで付加反応させることにより、得られるポリオール(A1)の酸価は低減され、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの耐加水分解性は向上する。ポリオール(A1)中のジカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)とが共重合している部分(共重合鎖)では、ジカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)とが交互に付加反応していたり、アルキレンオキシド(c)がブロック付加反応していたりする。しかし、ジカルボン酸無水物(b)とアルキレンオキシド(c)ではジカルボン酸無水物(b)の方が反応性に優れ、かつジカルボン酸無水物(b)同士は連続して付加反応しないため、該共重合鎖においてブロック付加反応しているアルキレンオキシド(c)の数は数個程度と少ない。そのため、開始剤(a)の分子量およびアルキレンオキシド(c)とジカルボン酸無水物(b)のモル比によって末端部分のアルキレンオキシド(c)の付加量を調整することにより、ポリオール(A1)の構造は設計できる。
また、特に開始剤(a)として多価アルコール類を用いる場合には、ポリオール(A1)を製造する際に、ジカルボン酸無水物(b)よりも過剰モルのアルキレンオキシド(c)を用いることが、ジカルボン酸無水物の未反応物の残存量を減らすことができ好ましい。
ポリオール(A1)の製造には、重合反応の速度が速い点から、触媒を用いることが好ましい。
該触媒としては、開環付加重合触媒が好適に用いられ、たとえば、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ触媒;複合金属シアン化物錯体触媒;ホスファゼン触媒が挙げられる。なかでも、分子量分布がより小さいポリオール(A1)が得られることから、複合金属シアン化物錯体触媒がより好ましい。
複合金属シアン化物錯体触媒としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体に有機配位子が配位したものが好ましい。有機配位子としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類や、tert−ブチルアルコールのようなアルコール類が好ましい。
ポリオール(A1)の水酸基価は10〜250mgKOH/gが好ましく、15〜200mgKOH/gがより好ましく、20〜150mgKOH/gがさらに好ましい。
該水酸基価が10mgKOH/g以上であると、得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの凝集力が向上するほか、引張強度が強くなり、接着性が向上するので好ましい。
また、該水酸基価が250mgKOH/g以下であると、得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの破断伸びが向上しやすい。
また、ポリオール(A1)の水酸基1個あたりの水酸基価換算分子量は224〜5610が好ましく、280〜3740がより好ましく、374〜2810がさらに好ましい。該水酸基価換算分子量が224以上であれば、得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物の伸びが向上しやすい。また該水酸基1個あたりの水酸基価換算分子量が5610以下であれば、得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの凝集力が向上するほか、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを溶剤に溶解した樹脂溶液の粘度が低くなりやすい。
ポリオール(A1)の水酸基価および水酸基価換算分子量は、開始剤(a)に共重合させるジカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)のモル数を適宜調整することによって容易に調整できる。
前記ポリオール(A1)の共重合鎖あたりの平均分子量(M)は、ジカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)の共重合によって形成される共重合鎖1本あたりの平均分子量を意味し、下式(3)で算出される。
共重合鎖あたりの平均分子量(M)=(ポリオール(A1)の水酸基換算分子量−開始剤(a)の水酸基価換算分子量)/開始剤(a)の活性水素基の数・・・式(3)
ポリオール(A1)の共重合鎖あたりの平均分子量(M)は50〜3000であることが好ましく100〜1800であることがより好ましい。
共重合鎖あたりの平均分子量(M)が50以上であれば、得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物の伸びが向上しやすい。また、該共重合鎖あたりの平均分子量(M)が3000以下であれば、ポリオール(A1)の粘度が高くなり過ぎない。共重合鎖あたりの平均分子量(M)は、水酸基価換算分子量と同様に、開始剤(a)に対して共重合させるジカルボン酸無水物(b)およびアルキレンオキシド(c)のモル数を適宜調整することによって容易に調整できる。
ポリオール(A1)の酸価は2mgKOH/g以下が好ましく、1mgKOH/g以下がより好ましく、ゼロであってもよい。ポリオール(A1)の酸価が2mgKOH/g以下であれば、ポリイソシアネート化合物との反応性が良くなり、また得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの耐加水分解性が向上する。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの引張強度を高くし、かつ各種フィルムに対する接着性の低下を防止するうえで、ポリオール(A)中、ポリオール(A)を100質量%とした場合にポリオール(A1)が占める割合は10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、ポリオール(A)の全部がポリオール(A1)であることがさらに好ましい。ポリオール(A1)は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオール(A)の一部がポリオール(A1)である場合には、ポリオール(A)の残部として、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、およびポリカーボネートポリオールからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
[ポリイソシアネート化合物(B)]
ポリイソシアネート化合物(B)としては、たとえば、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のアルキル置換芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族ポリイソシアネート;ならびに、前記ポリイソシアネートから得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、カルボジイミド変性体、およびイソシアヌレート変性体等が挙げられる。
これらのうちで、ポリイソシアネート化合物(B)としてはイソシアネート基を2個有するものが好ましく、特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートが好ましい。ポリイソシアネート化合物(B)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを、白色または淡色インキバインダーに用いる場合は、ポリイソシアネート化合物(B)として無黄変性のポリイソシアネートを用いることが好ましい。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族ポリイソシアネート;キシリレンジイソシアネート等のアルキル置換芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
[イソシアネート基末端プレポリマー]
本発明では、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)とをイソシアネート基過剰の割合で反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを形成する(以下、この反応をプレポリマー形成反応という。)。
プレポリマー形成反応の具体例としては、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)とを乾燥窒素気流下、60〜100℃、好ましくは70〜95℃で、1〜20時間反応させる方法が挙げられる。
プレポリマー形成反応の際には、ウレタン化反応触媒を用いることができる。ウレタン化反応触媒としては、たとえば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、2−エチルヘキサン酸錫などの有機錫化合物;鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄などの鉄化合物;ならびに、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンなどの三級アミン系触媒等が挙げられる。ウレタン化反応触媒のうちでは、有機錫化合物が好ましい。
また、プレポリマー形成反応の際には溶剤で希釈してもよい。溶剤としては、たとえば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの溶剤のうちで酢酸エチルがより好ましい。
プレポリマー形成反応におけるポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)との割合は、イソシアネート基と水酸基のモル比としてイソシアネート基/水酸基=1.1〜8が好ましく、1.2〜5がより好ましい。イソシアネート基/水酸基(モル比)が1.1以上であれば、ゲル化しにくく、高粘度にならずポリウレタンの製造に用いるプレポリマーとして適した分子量を得やすい。一方、前記モル比が8以下であれば、得られるイソシアネート基末端プレポリマー中のジイソシアネートモノマーが多くなりすぎず、粘度も低くなりすぎず、取扱い易くなる。
プレポリマー形成反応により得たイソシアネート基末端プレポリマーは、イソシアネート基含有量が1.5〜10.0質量%であることが好ましく、1.8〜6.0質量%であることがより好ましい。
またイソシアネート基末端プレポリマーの質量平均分子量は2,500〜30,000が好ましく、3,000〜25,000がより好ましく、5,000〜20,000がさらに好ましい。該質量平均分子量が2,500以上であると、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物の破断伸びが優れ、30,000以下であるとウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物の引張強度が優れる。
[ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー]
本発明では、イソシアネート基末端プレポリマーに水酸基含有(メタ)アクリレート(C)を反応させてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得る。
本発明における水酸基含有(メタ)アクリレート(C)としては、アルキル基部分の炭素数が1〜10であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基部分の炭素数が1〜5であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、アルキル基部分の炭素数が1〜5であるヒドロキシアルキルアクリレートがさらに好ましい。
具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートがより好ましい。これらの不飽和ヒドロキシ化合物は、単独で使用することもでき、2種以上の組み合わせでも使用できる。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと水酸基含有(メタ)アクリレート(C)との反応は、末端イソシアネート基と水酸基のモル比が1:1〜1:1.5となるような割合で行うのが好ましい。反応の温度は30〜90℃が好ましい。反応の際、(メタ)アクリロイル基の熱重合反応を制御するため、重合禁止剤を添加できる。好ましい重合禁止剤としてはヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、o−ニトロトルエンなどが挙げられる。これらの重合禁止剤は水酸基含有(メタ)アクリレート(C)に対して50〜5000ppmの範囲で使用できる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、光重合開始剤を含有させて、光硬化性組成物とすることができる。光重合開始剤としては従来公知の光硬化性組成物に使用できるものであれば特に限定されず、例えばベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、アントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの総重量100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で使用でき、1〜5重量部の範囲で好ましく使用できる。
本発明の組成物には、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの他に、得られる硬化物の物性調整の目的で、本発明における特定のポリオール成分以外のポリオールから得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有できる。そのようなポリオールとしてはポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオールなどが挙げられる。
さらに本発明の組成物には、粘度を低下させる目的で次のようなエチレン性不飽和基含有化合物を希釈剤として使用できる。そのようなエチレン性不飽和基含有化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の上記水酸基含有(メタ)アクリレート(C)の他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートのような水酸基不含の(メタ)アクリレート化合物、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテルモノマーが挙げられる。本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、それ自体が低粘度であるため、該希釈剤を必要としない場合が多い。該希釈剤は使用しないことが好ましい。
本発明の光硬化性組成物は、透明性が良好であり、光重合開始剤による光硬化においても硬化性が良好である。
本発明の光硬化性組成物は塗料、接着剤、コーティング材、印刷インキ用ビヒクル、レジストインキ、凸版材、光ファイバーコーティング材、光造形材などの用途に用いられ、光硬化することにより、透明性が良好であり、破断伸びおよび引張強度に優れた硬化物が得られる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。例1および2は実施例であり、例3および4は比較例である。
[製造例1:ポリオール(A1―1)の調製]
本例では、触媒(x)として亜鉛ヘキサシアノコバルテート−tert−ブチルアルコール錯体(以下、DMC−TBA錯体という。)、開始剤(a)としてポリオキシプロピレンジオール、ポリカルボン酸無水物(b)として無水フタル酸(以下、PAという。)、アルキレンオキシド(c)としてプロピレンオキシド(以下、POという。)を用いてポリオール(A1−1)を製造した。
すなわち、撹拌機および窒素導入管を備えた耐圧反応器内に、ポリオキシプロピレンジオール2000gを投入した。次いで、PAの800gを上記反応容器内に投入して撹拌した。次いで、DMC−TBA錯体の0.4gを加え、さらにPOの1200gをゆっくり加えながら、窒素雰囲気下、130℃で7時間反応させた。その後、反応容器内圧の低下が止まったことを確認した後、反応容器から生成物を抜き出し、ポリオキシプロピレンジオールの末端にPAおよびPOが重合したポリオール(A1−1)を得た。H−NMRの測定結果から、このポリオール(A1−1)がPAおよびPOの重合鎖を有することが確認された。
得られたポリオール(A1−1)の物性を表1に示す。Mは、[(水酸基価換算分子量−開始剤の水酸基価換算分子量)/開始剤の官能基数]として算出される値である。粘度の値は、JIS K1557(1970年版)に準処する方法により、E型粘度計を用いて25℃の条件で測定して得られた値(単位:mPa・s)である。
[製造例2:ポリオール(A1―2)の調製]
各成分の配合量を表1の通りに変更した以外は、製造例1と同様にしてポリオール(A1―2)を得た。得られたポリオール(A1―2)における各物性値等を表1に示す。
[製造例3:比較ポリオール1]
開始剤としてポリプロピレングリコールを用い、触媒としてDMC−TBA錯体の存在下でPOを付加重合して得た水酸基価換算分子量2000のポリオキシプロピレンジオールを得た。
Figure 2017066339
[例1]
本例では、以下の方法で、ポリオール(A1)とポリイソシアネート化合物(B)とを反応させて(プレポリマー形成反応)、イソシアネート基末端プレポリマーを製造した。続いて、前記イソシアネート基末端プレポリマーと水酸基含有(メタ)アクリレート(C)を反応させて(アクリレート化反応)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを製造した。
すなわち、1Lのガラス製の撹拌翼付き反応槽に、製造例1で製造したポリオール(A1−1)の193質量部を投入した。また該反応槽にポリイソシアネート化合物(B)としてイソホロンジイソシアネート(デグサ社製、商品名:VESTANAT IPDI、イソシアネート基含有量37.8質量%;以下、IPDIという。)の44.4質量部を投入し、10分攪拌後、触媒としてジブチル錫ジラウレートを全量に対し80ppmになるよう投入した。
反応槽内を窒素で置換した後、内容物を毎分100回転で撹拌しながら反応槽を80℃に昇温し、2時間80℃を保った。反応後の内容物の一部を取り出してイソシアネート基含有量を測定し、理論的に計算された含有量以下であることを確認して反応を終了して、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。
引き続き得られたイソシアネート基末端プレポリマーに2−ヒドロキシエチルアクリレートをイソシアネート基と等量の水酸基量になるように添加した。次いで、70℃で3時間保持し反応を行い、赤外吸収スペクトルで2270cm−1のNCO基の吸収が消失したことを確認し反応を終了して、ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
[例2]
例1において、ポリオール(A1−1)に代えて、製造例2で製造したポリオール(A1−2)を用い、配合量を表2に示す通りとした以外は、例1と同様にしてウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
[例3]
例1において、ポリオール(A1−1)に代えて、上記比較ポリオール1を用い、配合量を表2に示す通りとした以外は、例1と同様にしてウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
[例4]
例1において、ポリオール(A1−1)に代えて、比較ポリオール2として、市販のポリオールであるニッポラン−4010(東ソー社製:ポリブチレンアジペート、分子量2000)を用い、配合量を表2に示す通りとした以外は、例1と同様にしてウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
Figure 2017066339
[ウレタンアクリレートオリゴマーの性状]
(硬化物の機械物性)
例1〜3のウレタンアクリレートオリゴマーの100部に対して、光重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの3重量部を添加し、10分間混合し、光硬化性組成物を調製した。光硬化性組成物の外観を目視観察し透明性を評価した。評価結果を表3に示す。
得られた光硬化性組成物を8ミルのアプリケーターによりガラス板上に張り付けたOPPフィルム(オリエンテッドポリプロピレンフィルム)上に塗布し、出力80W/cmの高圧水銀ランプを15cmの高さから5秒間照射し、硬化フィルムを得た。硬化フィルムの外観を目視観察し透明性を評価した。評価結果を表3に示す。
硬化フィルムの機械物性、すなわち引張強度(単位:MPa)および破断伸び(単位:%)をJIS K6301に準拠して測定した。結果を表3に示す。
本発明のポリオールを使用した例1および例2のウレタンアクリレートオリゴマーは、他のポリオールを使用した例3に比べ引張強度および破断伸びが優れた。
Figure 2017066339
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、接着剤、コーティング材、印刷インキ用ビヒクル、レジストインキ、凸版材、光ファイバーコーティング剤、光造形材などに用いられる光硬化性組成物の原料として有用である。また本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いた光硬化性組成物は、透明性に優れ硬化性に優れており、透明性が高く、引張強度および破断伸びに優れた硬化物を得る方法としても有用である。

Claims (20)

  1. ポリオールに基づく構成単位とポリイソシアネート化合物に基づく構成単位と(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物に基づく構成単位とを含有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであって、
    ポリオールが、1分子あたり2個以上の活性水素基を有する開始剤に基づく構成単位と、ジカルボン酸無水物に基づく構成単位と、アルキレンオキシドに基づく構成単位を有するポリオール(A1)を含むことを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  2. 前記開始剤が、ポリエーテルポリオール類、多価アルコール類、ポリオキシテトラメチレングリコール類、ポリエステルポリオール類、またはポリカーボネートポリオール類である請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  3. 前記ジカルボン酸無水物が、無水フタル酸、またはヘキサヒドロ無水フタル酸である請求項1または2に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  4. 前記アルキレンオキシドが、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドである請求項1〜3のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  5. 前記ポリオール(A1)100質量%中に、前記ジカルボン酸無水物に基づく構成単位が10〜50質量%含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  6. 前記ポリオール(A1)中において、前記開始剤に基づく構成単位が1〜60質量%であり、前記ジカルボン酸無水物に基づく構成単位が10〜50質量%であり、かつ、前記アルキレンオキシドと前記ジカルボン酸無水物とのモル比が、アルキレンオキシド:ジカルボン酸無水物=50:50〜95:5である、請求項1〜5のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  7. 前記ポリオール(A1)の水酸基価が10〜250mgKOH/gである、請求項1〜6のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  8. 前記ポリオール(A1)の共重合鎖あたりの平均分子量が50〜3000である、請求項1〜7のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  9. 前記ポリイソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジメチルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  10. 1分子あたり2個以上の活性水素基を有する開始剤にジカルボン酸無水物とアルキレンオキシドとの混合物を開環重合させてポリオール(A1)を得る工程と、
    ポリオール(A1)を含むポリオールと、ポリイソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得る工程と、前記イソシアネート基末端プレポリマーと(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物を反応させてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを得る工程を有することを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  11. 前記開始剤が、ポリエーテルポリオール類、多価アルコール類、ポリオキシテトラメチレングリコール類、ポリエステルポリオール類、またはポリカーボネートポリオール類である請求項10に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  12. 前記ジカルボン酸無水物が、無水フタル酸、またはヘキサヒドロ無水フタル酸である請求項10または11に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  13. 前記アルキレンオキシドが、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドである請求項10〜12のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  14. 前記ポリオール(A1)中に、前記ジカルボン酸無水物に基づく構成単位が10〜50質量%含まれる、請求項10〜13のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  15. 前記ポリオール(A1)中において、前記開始剤に基づく構成単位が1〜60質量%であり、前記ジカルボン酸無水物に基づく構成単位が10〜50質量%であり、かつ、前記アルキレンオキシドと前記ジカルボン酸無水物とのモル比が、アルキレンオキシド:ジカルボン酸無水物=50:50〜95:5である、請求項10〜14のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  16. 前記ポリオール(A1)の水酸基価が10〜250mgKOH/gである、請求項10〜15のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  17. 前記ポリオール(A1)の共重合鎖あたりの平均分子量が50〜3000である、請求項10〜16のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  18. 前記ポリイソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジメチルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、および2,6−トリレンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上である、請求項10〜17のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  19. 請求項1〜9に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと光重合開始剤とを含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
  20. 請求項19に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする硬化物。
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