JP2017065137A - 加飾成型体の製造方法 - Google Patents

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貴之 嶋田
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慶祐 小山
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仁彦 田村
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【課題】加飾成型体における加飾層の位置ズレを抑制することのできる加飾成型体の製造方法を提供する。【解決手段】転写フィルム10を、一対の金型間に供給して一方の金型表面側に吸引する工程と、少なくとも一方の金型の曲率Rが20mm以下の曲部a、および、長さが20mm以下の一の平面と他の平面とで形成される角部のみを加熱する工程と、一対の金型間にキャビティ空間が形成された状態で射出樹脂を供給するインモールド転写工程と、転写フィルム10から基材層11を剥離する工程とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、主に三次元曲面などの表面に加飾する目的で製造される、加飾層を含む加飾成型体の製造方法に関する。
三次元曲面などの複雑な表面形状を有する樹脂成型体の表面加飾には、射出成型同時加飾方法が用いられる。射出成型同時加飾方法とは、射出成型の際に金型内に挿入された加飾シートをキャビティ内に射出注入された溶融した射出樹脂と一体化させて、樹脂成型体表面に加飾を施す方法であって、樹脂成型体と一体化される転写フィルムの構成の違いによって、一般に射出成型同時ラミネート加飾法と射出成型同時転写加飾法に大別される。
射出成型同時転写加飾法においては、転写フィルムを金型内面に密着させて型締した後、キャビティ内に溶融した射出樹脂を射出して該転写フィルムと射出樹脂とを一体化し、次いで加飾成型体を冷却して金型から取り出した後、基材層を剥離することにより加飾層を転写した加飾成型体を得ることができる。
このようにして得られる加飾成型体は、従来用いられている家庭用電化製品、自動車内装品などの分野に加えて、例えば近年パソコン市場の拡大に伴う、日常携帯できるモバイルパソコンを含めたノート型のパソコンの分野での使用や、自動車外装、携帯電話分野での使用も注目されている。これらの分野においては、加飾シートに対して、加飾成型体に優れた高硬度性などの表面特性を付与しうると同時に、より形状が複雑な成型体を得られる成型性が求められる。
例えば、下記の特許文献1には、インモールド成型による加飾成型体の成型方法として、一対の金型間に転写フィルムを供給して金型側に真空吸引する際に、転写フィルムと金型との距離を測定し、この距離が許容範囲から外れる場合に、金型を局所ヒーターで加熱して金型温度を調節し、転写フィルムの伸びを制御することで加飾層の位置ズレを低減することが開示されている。
特開2014−226866号公報
特許文献1に記載の成型方法では、局所ヒーターを金型のコーナー部の近傍に配置し、コーナー部を局所加熱して転写フィルムの伸びを調整している。そして、転写フィルムと金型との距離を測定し、この距離が許容範囲から外れる場合が局所加熱を行う前提となっている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、吸引によって転写フィルムが金型に追従して密着している場合であっても、その後に転写フィルム全体を加熱すると、転写フィルム全体の熱変形によって曲部における加飾層の位置ズレが生じることが判明した。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、加飾成型体における加飾層の位置ズレを抑制することのできる加飾成型体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、転写フィルムのうち、曲率が20mm以下の曲部、および、長さが20mm以下の一の平面と他の平面とで形成される角部のみを加熱する加飾成型体の製造方法であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 以下の工程aから工程eを備える加飾成型体の製造方法。
工程a:一対の金型間に、少なくとも基材層及び加飾層を有する転写フィルムを供給する、転写フィルム供給工程
工程b:前記転写フィルムを、一方の金型表面側に吸引する、転写フィルム吸引工程
工程c:前記金型のうち、少なくとも一方の金型の曲率半径が20mm以下の曲部、または/および、長さが20mm以下の一の平面と他の平面とで形成される角部のみを加熱する転写フィルム加熱工程
工程d:一対の前記金型間にキャビティ空間が形成された状態で射出樹脂を供給するインモールド転写工程
工程e:前記転写フィルムから前記基材層を剥離する基材層剥離工程
(2) 前記工程cにおいて、転写フィルムの加飾層側の面から転写フィルムを加熱する、(1)に記載の加飾成型体の製造方法。
(3) 前記工程cにおいて、加熱前の転写フィルムの厚みに対する加熱後の転写フィルムの厚みの変動率が10%未満になるように転写フィルムを加熱する、(1)又は(2)に記載の加飾成型体の製造方法。
(4)前記工程aにおける前記転写フィルムは、電離放射線硬化性樹脂を含むハードコート層形成層を備えており、電離放射線の照射によって前記ハードコート層形成層を硬化してハードコート層を得る電離放射線照射工程を含む、(1)から(3)のいずれかに記載の加飾成型体の製造方法。
本発明の加飾成型体の製造方法によれば、転写フィルムのうち三次元構造の部分のみを加熱するため、加飾成型体における加飾層の位置ズレを抑制することができる。
本発明の加飾成型体の製造方法を模式的に図示した図である。 本発明の一実施形態に関する転写フィルムの断面図である。 本発明の一実施形態に関する加飾成型体の断面図である。 本発明の加飾成型体の製造方法に用いられる金型の曲部を拡大した模式図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<加飾成型体の製造方法>
本実施形態の加飾成型体の製造方法は、以下の工程aから工程eを備える加飾成型体の製造方法である(図1参照)。図2に示す転写フィルム10の転写層20が後述する成型体21に転写され、図3に示す加飾成型体30が形成される。すなわち、工程aから工程eとは、以下の工程である。
工程a:一対の金型間に、少なくとも基材層及び加飾層を有する転写フィルムを供給する、転写フィルム供給工程
工程b:前記転写フィルムを、一方の金型表面側に吸引する、転写フィルム吸引工程
工程c:前記金型のうち、少なくとも一方の金型の曲率半径が20mm以下の曲部、または/および、長さが20mm以下の一の平面と他の平面とで形成される角部のみを加熱する転写フィルム加熱工程
工程d:一対の前記金型間にキャビティ空間が形成された状態で射出樹脂を供給するインモールド転写工程
工程e:前記転写フィルムから前記基材層を剥離する基材層剥離工程
以下、工程aから工程eについてそれぞれ説明する。
[工程a]
図1(a)に示すように、工程aは、一対の金型の間に、転写フィルム10を供給する、転写フィルム供給工程である。なお、図1においては、一対の金型のうちの一方の金型3のみ図示しており、他方の金型は図示省略している。また、転写フィルム10は、転写フィルム固定機構2によって固定されている。転写フィルム固定機構2としては、例えば、クランプ等が挙げられる。
ここで、転写フィルム10とは、少なくとも基材層11及び加飾層14を有する積層体である。本発明における「少なくとも基材層及び加飾層を有する」とは、基材層と加飾層のみが積層されている構成に限定されない意味である。転写フィルム10は、図2の転写フィルム10のように、基材層11と、ハードコート層形成層12と、アンカー層13と、加飾層14と、接着層15が順に積層された積層体を例示することができる。この実施形態においては、ハードコート層形成層12、アンカー層13、加飾層14、接着層15が転写層20を構成している。なお、本発明に関する転写フィルムは、図2の転写フィルム10に限定されず、例えば、基材層11とハードコート層形成層12との間に更に離型層や剥離層等を有していてもよいし、加飾層14と接着層15の間にプライマー層を有していてもよい。転写フィルム10に剥離層を設ける場合、剥離層から接着層15までの層が転写層20となる。例えば、転写フィルム10を、基材層11と、離型層と、剥離層と、ハードコート層形成層12と、アンカー層13と、加飾層14と、接着層15が順に積層された積層体とした場合、剥離層から接着層15までの層が転写層である。
一対の金型とは、主に射出樹脂を成型するために金属内部に空間を有する一対の金型を意味する。例えば、可動型金型と固定型金型とからなり、固定型金型に可動型金型を型閉めして可動型金型と固定型金型との間に射出樹脂を供給し、成型体を成型するインモールド装置等を例示することができる。図1において、符号3と付された金型が可動型金型である。なお、両方の金型を可動型金型としてもよい。
本実施形態における工程aは、一対の金型間に、転写フィルムを供給する工程である。この実施形態においては、転写フィルムを金型に供給する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ロール状に巻き取られた転写フィルムを巻き出し、転写フィルムを金型に供給する方法を例示することができる。また、転写フィルムから基材層を剥離した後、基材層をロールで巻き取るようにしてもよい。
一対の金型間に、転写フィルムを供給する方法として、可動型金型と固定型金型との間に転写フィルムを介在させるように供給することを例示することができる。金型間に、転写フィルムを供給し、転写フィルムによって、成型体に加飾層を転写し、加飾成型体を製造することができる。次に本実施形態に関する転写フィルムについて説明する。
[転写フィルム]
本実施形態に関する転写フィルム10は、基材層11と、ハードコート層12と、アンカー層13と、加飾層14と、接着層15とが順に積層された積層体である(図2参照)。本実施形態に関する転写フィルム10は、後述するように、成型体21に加飾層14を含む転写層20を転写する機能を有するフィルムである。次に、本実施形態に関する転写フィルム10の各層について説明する。
(基材層)
本実施形態に関する基材層11は、後述する転写フィルム吸引工程(工程b)において、金型の表面の一部に追従可能である程度の可撓性を有し、且つ、転写フィルム加熱工程(工程e)において、転写フィルムが好ましく軟化し、金型の表面に追従された状態で変形可能な樹脂であればその種類は限定されない。本実施形態に関する基材層11としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系などのエラストマー系樹脂などによるものが利用される。これらのうち、成型性及び剥離性が良好である点から、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)が好ましい。基材層11の厚さとしては、成型性や形状追従性、取り扱いが容易であるとの観点から、25μm以上150μm以下の範囲が好ましく、25μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。また、基材層11は延伸されていることが好ましい。
(ハードコート層形成層)
本実施形態に関するハードコート層形成層12は、インキ組成物等を用いて形成される層であり、硬化することにより加飾成型体30におけるハードコート層121を形成する層である。ハードコート層121は、主に加飾成型体30の最外層に配置される層であり、摩耗や薬品などから成型体21や加飾層14を保護するための層である。よって、ハードコート層形成層12は、硬化することで、優れた高硬度性と耐スクラッチ性はもちろんのこと、耐薬品性や耐汚染性などの表面物性に優れるという性能を有する層であることを要する。
本実施形態に関するハードコート層形成層12は、例えばインキ組成物をグラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、ダイコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などにより塗工することで、形成することができる。ハードコート層121の厚さは、0.5μm以上30μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは3μm以上15μm以下である。厚さが上記範囲内であると、優れた高硬度性と耐スクラッチ性はもちろんのこと、耐薬品性や耐汚染性などの表面物性が得られると同時に、優れた成型性や形状追従性を得ることができる。また、材料費の点でも有利である。
本実施形態に関するハードコート層121を形成することのできるインキ組成物は、上記の効果を得ることのできるインキ組成物であれば特に限定されるものではないが、電離放射線硬化性樹脂が含有されたインキ組成物であることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線を照射することにより硬化する硬化性樹脂であり、電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるほか、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も用いられる。ハードコート層12に使用できる電離放射線硬化性樹脂としては、従来から電離放射線硬化性を有する樹脂として慣用されている重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびポリエーテル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、特にウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。本実施形態においては、これらのポリマーを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合は、光重合開始剤を含むことが好ましい。
ハードコート層形成層12は、転写層20を成型体21に転写する前に硬化させてもよいし、後述の工程hで説明するように、転写層20を成型体21に転写した後に硬化させてもよい。
(アンカー層)
本実施形態に関するアンカー層13は、ハードコート層12と加飾層14との密着性を向上させるために、所望により設けられる層である。アンカー層13は、当該効果を得ることのできる層であれば特に限定されるものではないが、例えば、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用し、ハードコート層12の上に、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などにより塗工して形成することができる。アンカー層13の厚さは、通常0.1μm以上5μm以下程度であり、好ましくは1μm以上5μm以下程度である。
(加飾層)
本実施形態に関する加飾層14は、加飾成型体に所望の意匠性を付与するための層であり、所望により設けられる層である。加飾層14の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字、数字などからなる絵柄を挙げることができる。加飾層14は、転写フィルム10の全面に設けられていてもよいし、転写フィルム10の一部に設けられていても良い。
本実施形態に関する加飾層14は、アンカー層13の上に、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂をバインダーとし、適当な色の顔料又は染料を着色剤として含有する印刷インキによる印刷を行うことで形成する。印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷法が挙げられる。加飾層14の厚みは、意匠性の観点から1μm以上40μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。
(接着層)
本実施形態に関する接着層15は、成型体21との密着性を向上させるための層である。接着層15には、成型体21の素材に適した感熱性又は感圧性の樹脂を適宜使用する。例えば、樹脂成型体の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、樹脂成型体の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、樹脂成型体の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着層15の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。なお、加飾層14が成型体に対して充分な接着性を有する場合には、接着層15を設けなくてもよい。接着層15の厚さは、0.1μm以上5μm以下程度が好ましい。
尚、本工程によって供給された転写フィルムを一方の金型のキャビティ外の周縁部において、転写フィルム固定機構2によって転写フィルム10を固定することが好ましい。転写フィルムが金型のキャビティ外の周縁部において固定されることで、後の工程bにおける転写フィルム吸引工程において、一方の金型表面と加飾層14との位置ズレが発生する可能性を減らすことができる。
[工程b]
工程bは、転写フィルム10を一方の金型表面側に吸引する、転写フィルム吸引工程である。具体的には、未加熱の転写フィルム10と金型3との間の空気を吸引装置等により吸引することで、転写フィルム10を、一方の金型3の表面に追従させる工程である(図1の(b)参照)。未加熱の転写フィルム10と金型3との間の空気を吸引する方法は、特に限定されないが、例えば、一方の金型表面に吸引口を設け、吸引口から従来公知の真空ポンプ等の吸引装置により転写フィルム10と金型との間の空気を吸引することで実現することができる。
[工程c]
工程cは、吸引工程(工程b)後の金型のうち、少なくとも一方の金型の三次元構造の部分、つまり、曲率半径Rが20mm以下の曲部または/および長さが20mm以下の一の平面と他の平面とで形成される角部のみを加熱し、二次元構造の部分、つまり、平面部分は加熱しない転写フィルム加熱工程である。ここで曲部とは、面の一部が平面ではなく曲面状になっている金型の一部分であり、図4において符号aが付された部分である(図4参照)。また、角部(図示しない)とは、面の一部が平面ではなく角を有するように尖った形状となった転写フィルムの一部分を意味する。
図4に示すように、曲部aの曲率半径Rは、20mm以下であり、15mm以下とすることが好ましく、10mm以下とすることがより好ましい。角部は一の平面と他の平面とで構成され、一の平面および他の平面の長さが20mm以下であり、15mm以下とすることが好ましく、10mm以下とすることがより好ましい。
転写フィルム加熱工程において、図1(c)に示すように、金型3に吸引された状態における転写フィルム10の加飾層14側から、つまり、最表面である接着層15側の面から、金型の曲率半径が20mm以下の曲部のみへヒーター4からの熱風を当てて、転写フィルム10を加熱することにより、転写フィルム全体を加熱する場合に比べ、加熱前の転写フィルムの厚みに対する加熱後の転写フィルムの厚みの変動率を小さくすることができる。あるいは、図示しないが、転写フィルムの加飾層14側から、つまり、接着層15側の面から、一の平面および他の平面の長さが20mm以下で形成される角部のみへヒーター4からの熱風を当てて、転写フィルム10を加熱することにより、転写フィルム全体を加熱する場合に比べ、加熱前の転写フィルムの厚みに対する加熱後の転写フィルムの厚みの変動率を小さくすることができる。このように、金型のうち、曲率半径が20mm以下の曲部または/および長さが20mm以下の一の平面と他の平面とで形成される角部のみを加熱する、つまり、金型のうち、三次元構造の部分のみを加熱することにより、転写フィルムが変形する領域を少なくすることができ、転写フィルム10と金型との位置ズレを抑制することができるため、加飾成型体30おける加飾層14の位置ズレを抑制することができる。位置ズレ量の許容範囲は、例えば、0.3mm以内である。
なお、上記における転写フィルムの厚みの変動率は10%未満が好ましく、より好ましくは5%未満である。なお、本発明のおける厚みの変動率とは、曲部または/および角部において、加熱前の転写フィルムの厚みから加熱追従後の転写フィルムの厚みへ変動した値を、加熱前の転写フィルムの厚みで割った値であり、10点測定した値の平均値とする。また、転写フィルムの厚みは、例えば、ミツトヨ製ABSデジマチックインジケータID−CXを用いて測定することができる。
金型の曲率半径が20mm以下の曲部のみまたは/および一の平面および他の平面の長さが20mm以下で形成される角部のみを加熱する方法は特に限定されるものではないが、例えば転写フィルム10の加飾層側から、実施形態においては接着層15側の面から熱風供給装置の内部ヒーターによって加熱された空気を金型の曲率半径が20mm以下の曲部のみまたは/および一の平面および他の平面の長さが20mm以下で形成される角部のみに吹き出すことによって、実現することができる。
また、加熱温度は、転写フィルム10を金型の表面の全面に亘って追従することが可能な温度であれば、特に制限はされない。工程cにおいて、転写フィルムが、転写フィルムの温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度以下の温度になるように加熱することが好ましい。温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度は、転写フィルムの軟化点(ガラス転移点)を意味する。このため、転写フィルムの加熱温度を温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度以下、より好ましくはtanδピーク温度より20℃低い温度以上の温度で且つtanδピーク温度以下の温度とすることにより、転写フィルムが塑性変形し、金型の表面の全面に追従された状態で転写フィルム10を成型することができ、かつ、転写フィルムの破断を防止できる。なお、本願における転写フィルムの加熱温度とは、雰囲気温度や温風の温度ではなく、転写フィルム自体の表面温度を意味する。また、転写フィルムは、温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度における、JIS K7244−1に準拠し測定された貯蔵弾性率が1000MPa以下であることが好ましく、750MPa以上950MPa以下であることがより好ましい。転写フィルムの温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度における貯蔵弾性率が1000MPa以下であれば、転写フィルム10の加熱温度において転写フィルム10の外部の応力に対するひずみが小さくなり、転写フィルム10がより好ましく軟化するようになる。よって、金型の表面の全面に追従された状態で成型することができる。尚、温度−tanδ曲線及び貯蔵弾性率は、従来公知のDMA(動的粘弾性測定装置)にて測定でき、例えば、ユービーエム社製の粘弾性試験機「Rheogel−E4000」を用いて、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法にて測定することができる。
なお、本発明における上記のDMA測定は、転写フィルム10の状態で測定されたものであるが、通常、転写フィルム10のtanδや貯蔵弾性率は、基材層11に大きく依存するので、基材層11の温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度における貯蔵弾性率が1000MPa以下であってもよい。
また、金型への追従性という観点であれば、温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度が115℃以下である基材層11を用いることが好ましく、80℃以上110℃以下である基材層11を用いることがより好ましい。基材層11の温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度が115℃以下であれば、転写フィルム10を金型の表面に追従しやすくすることができる。
ここで、転写フィルムの厚みの変動率を小さくするには、加熱引張時の弾性限界点応力(弾性変形領域から塑性変形領域になる弾性限界点の応力)を大きくする、つまり、加熱された転写フィルムが伸びにくくすることが好ましい。一方、転写フィルムが伸びにくいことは、転写フィルムが金型に追従しにくいことを意味している。転写フィルムの厚みの変動率を小さくするには。加熱引張時の転写フィルムの弾性限界点応力を2MPa以上にすることが好ましく、5MPa以上とすることがより好ましい。また、転写フィルムの金型への追従性を良好にするには、20Mpa以下とすることが好ましい。なお、加熱引張時の弾性限界点応力は、例えば、エーアンドデイ社製テンシロン(RTG−1310)を用いて、JISK7127に準拠し、試験速度を200mm/min、試験片長さを100mm、雰囲気温度を100℃として引張試験を実施することにより測定することができる。
なお、本発明における上記の弾性限界点応力測定は、転写フィルム10の状態で測定されたものであるが、通常、転写フィルム10の弾性限界点応力は、基材層11に大きく依存するので、基材層11の弾性限界点応力を転写フィルムの弾性限界点応力を見なすことができる。
なお、本実施形態において、工程cを工程bの後に行う例を例示しているが、工程cは、工程bの前に行ってもよいし、工程bと同時に行ってもよい。
[工程d]
工程dは、キャビティ内に射出樹脂を供給するインモールド転写工程である。射出樹脂とは、射出されることによりキャビティ内に供給される溶融状態の樹脂を指す。工程bまたは/および工程cの後、一対の金型を近づけて所定のキャビティ空間を形成する。次いで、キャビティ内に射出樹脂を供給した後、樹脂が固化することによって、転写フィルム10の接着層15の面側に成型体21を形成することができる(図3参照)。なお、本工程の際に、転写フィルムが追従された一方の金型をあらかじめ加熱しておくことが好ましい。
キャビティ内に樹脂を射出する方法は、特に限定されず、従来公知の射出成型法が用いられる。例えば加熱されたシリンダにて樹脂を溶解させ、射出樹脂を射出することによって実現することができる。
[工程e]
工程eは、転写フィルム10から基材層11を剥離する基材層剥離工程である。一対の金型を離間させた後、転写フィルム10から基材層11を剥離することで、ハードコート層形成層12、アンカー層13、加飾層14、接着層15が順に積層された転写層20が成型体21に転写される。
転写フィルム10から基材層11を剥離する方法は、特に限定されない。例えば、ロールツウロール方式により、転写フィルム10から剥離された基材層11を巻き取ることにより回収することができる。
[工程f]
工程fは、転写フィルム10がハードコート層形成層12を備える場合に行われる工程であり、ハードコート層形成層12を硬化させる工程である。本実施形態においては、転写層20が成型体21に転写された後、つまり、ハードコート層形成層12をハードコート層121に硬化させる(工程dの後、好ましくは工程eの後で工程fを行う)ことにより、転写層20は硬化後転写層201となり、最終的に、ハードコート層121、アンカー層13、加飾層14、接着層15、成型体21が順に積層された加飾成型体30を製造することができる(図3参照)。なお、上述のように、転写層20を成型体21に転写する前、つまり、転写フィルム10の状態でハードコート層121を形成してもよい。この場合、工程aの前に工程fが行われる。
以下、実施例、比較例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<転写フィルムAの製造>
基材層であるPETフィルム(帝人デュポン製テフレックスFTC、厚さ50μm)上に、アクリルウレタン系樹脂を主成分とする塗工液(アクリルポリオール(綜研化学(株)製、商品名:サーモラックSU−100)100質量部、イソシアネート(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N)75質量部、を塗工量1g/mでグラビア印刷して離型層を形成した後、下記に示されるインキ組成物を塗工量5g/mでグラビア印刷してハードコート層形成層を形成した。次いで、アクリル系樹脂を主成分とする塗料(アクリルポリオール(大成ファインケミカル(株)製、商品名:アクリット6RH084T):100質量部、ヘキサンメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネート2203)10質量部)を塗工量3g/mでグラビア印刷してアンカー層を形成し、次いで、アクリル系樹脂を主成分とする塗料を塗工量4g/mでグラビア印刷してアンカー層を形成し、次いでアクリル系印刷インキを塗工量8g/mで、木目模様をグラビア印刷して一部に加飾層を形成し、塩化ビニル酢酸ビニル共重合系塗工液(塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(DNPファインケミカル(株)製、商品名:ST−P Aワニス)100質量部)を厚さ2μmで塗布して接着層を形成し、基材層、離型層、ハードコート層形成層、アンカー層、加飾層、接着層が順に積層された転写フィルムAを製造した。
(合成例1(プレポリマー1の合成))
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2L四つ口フラスコに、メチルイソブチルケトン(MIBK)120g、メチルエチルケトン(MEK)210gを仕込み、該四つ口フラスコに、グリシジルメタクリレート(GMA)80g、メチルメタクリレート(MMA)20g及びアゾ系の開始剤(アゾビスイソブチロニトリル,AIBN−1)0.75gからなる混合液を滴下ロートで2時間かけて滴下させながら、100〜110℃の温度下で4時間反応させた後、アゾ系の開始剤(アゾビスイソブチロニトリル,AIBN−2)0.6gをさらに加えて、3時間保温後、室温まで冷却した。これに、アクリル酸(AA)40.6g、トリフェニルホスフィン2g、及びメトキノン0.5gからなる混合液を加えて、付加反応を行った。水酸化カリウム溶液の中和滴定で、反応性生物の酸価の消失を確認し、反応を終了させた。得られた反応生成物(プレポリマー1)の重量平均分子量は80000であり、二重結合当量は250g/mol(計算値)であり、固形分は30%であった。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値であり、標準サンプルにポリスチレンを用いた条件で測定された値である。
(インキ組成物)
プレポリマー1:20.0質量部(固形分6質量部),アクリルアクリレート系プレポリマー(合成例1で合成したプレポリマー1,分子量:80000,二重結合当量:250g/mol)
反応性異形シリカ粒子:10質量部(固形分4質量部),(「ELCOM V−8803(品番)」,日揮触媒化成株式会社製,反応性異形シリカ粒子,平均連結数:規則的に2〜10個,異形無機粒子の平均粒子径;25nm)
反応性多官能イソシアネート:1質量部(固形分1質量部),(「Laromer LR9000(品番)」,BASF社製)
光重合開始剤:0.4質量部(「IRGACURE 184(品番)」,チバ・ジャパン株式会社製,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
溶媒:6.7質量部,メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの混合溶剤(配合比70:30)
また、温度−tanδ曲線は、ユービーエム社製の粘弾性試験機「Rheogel−E4000」を用いて、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法(アタッチメントモード:圧縮モード,周波数:10Hz,温度:−30〜200度、昇温速度:5度/分)にて測定したところ、転写フィルムAの温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度は105℃であり、tanδピーク温度時の貯蔵弾性率764MPaであった。
転写フィルムAを、三次元曲面を有する可動型金型(曲部の曲率半径4mm)と三次元曲面を有する固定型金型からなる金型間に供給して、可動型金型と固定型金型の間に転写フィルムAを介在させた。次いで、可動型金型表面の吸引口から吸引装置により転写フィルムAを、可動型金型の表面に吸引させた。次いで、転写フィルムAの接着層側の面から温風発生装置にて可動型金型の曲部のみを加熱するとともに、転写フィルムAの加熱温度が90〜95℃となるよう加熱し、転写フィルムAを可動型金型の表面の全面に追従させた。このときの転写フィルムAの曲部の厚み変動率を測定したところ、2%であった。次いで、可動型金型と固定型金型を近づけて所定のキャビティ空間を形成した後、キャビティ内に射出樹脂としてアクリル系樹脂を供給した後、射出樹脂を固化させた。次いで、一対の金型を離間させた後、転写フィルムAの基材層を剥離した。次いで、紫外線を照射させることによりハードコート層形成層を硬化させてハードコート層を形成し、ハードコート層、アンカー層、加飾層、接着層、成型体が順に積層された加飾成型体を得た。加飾成型体における加飾層の位置ズレ量を確認したところ、ズレ量は0.1mmであり、加飾層の位置ズレは許容範囲内であった。
<転写フィルムBの製造>
転写フィルムAの製造において、基材層を三菱樹脂製G942H、厚さ75μmとした以外は転写フィルムAの製造と同様に製造し、その転写フィルムを転写フィルムBとした。転写フィルムBの温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度は86℃であり、tanδピーク温度時の貯蔵弾性率790MPaであった。
転写フィルムBを、[0057]に記載の金型間に供給して、可動型金型と固定型金型の間に転写フィルムBを介在させた。次いで、可動型金型表面の吸引口から吸引装置により転写フィルムBを、可動型金型の表面に吸引させた。次いで、転写フィルムBの接着層側の面から温風発生装置にて可動型金型の曲部のみを加熱するとともに、転写フィルムBの加熱温度が75〜80℃となるよう加熱し、転写フィルムBを可動型金型の表面の全面に追従させた。このときの転写フィルムの曲部の厚み変動率を測定したところ、8%であった。次いで、可動型金型と固定型金型を近づけて所定のキャビティ空間を形成した後、キャビティ内に射出樹脂としてアクリル系樹脂を供給した後、射出樹脂を固化させた。次いで、一対の金型を離間させた後、転写フィルムBの基材層を剥離した。次いで、紫外線を照射させることによりハードコート層形成層を硬化させてハードコート層を形成し、ハードコート層、アンカー層、加飾層、接着層、成型体が順に積層された加飾成型体を得た。加飾成型体における加飾層の位置ズレ量を確認したところ、ズレ量は0.1mmであり、加飾層の位置ズレは許容範囲内であった。
[比較例1]
転写フィルムBを、[0057]に記載の金型間に供給して、可動型金型と固定型金型の間に転写フィルムBを介在させた。次いで、可動型金型表面の吸引口から吸引装置により転写フィルムBを、可動型金型の表面に吸引させた。次いで、転写フィルムBの接着層側の面から温風発生装置にて可動型金型の全面を加熱するとともに、転写フィルムBの加熱温度が75〜80℃となるよう加熱し、転写フィルムBを可動型金型の表面の全面に追従させた。このときの転写フィルムBの曲部の厚み変動率を測定したところ、28%であった。次いで、可動型金型と固定型金型を近づけて所定のキャビティ空間を形成した後、キャビティ内に射出樹脂としてアクリル系樹脂を供給した後、射出樹脂を固化させた。次いで、一対の金型を離間させた後、転写フィルムBの基材層を剥離した。次いで、紫外線を照射させることによりハードコート層形成層を硬化させてハードコート層を形成し、ハードコート層、アンカー層、加飾層、接着層、成型体が順に積層された加飾成型体を得た。加飾成型体における加飾層の位置ズレ量を確認したところ、ズレ量は0.5mmであり、加飾層の位置ズレは許容範囲外であった。
[試験例]
<転写フィルムCの製造>
転写フィルムAの製造において、基材層を東レ製ルミラーS10、厚さ50μmとした以外は転写フィルムAの製造と同様に製造し、その転写フィルムを転写フィルムCとした。転写フィルムCの温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度は117℃であり、tanδピーク温度時の貯蔵弾性率1520MPaであった。
[金型形状追従性試験]
転写フィルムAからCについて、工程cにおける転写フィルムの加熱温度を表1の温度とした以外は、上記の転写フィルムAを用いた加飾成型体と同様に製造を行い、その際の転写フィルムの可動型金型表面への追従性を評価した。追従性は、温風発生装置を用いて転写フィルムを加熱した後の状態を目視で確認し、追従性良好なものを○、追従性不良のものを×として評価した。評価結果を表1に示す。
また、転写フィルムAからCについて、基材層の温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度(表1中、「tanδピーク温度」と表記)、基材層のtanδピーク温度時の貯蔵弾性率(表1中、「貯蔵弾性率1」と表記)及び転写フィルムのtanδピーク温度時の貯蔵弾性率(表1中、「貯蔵弾性率2」と表記)、基材層の弾性限界点応力を測定した結果を表1に示す。なお、温度−tanδ曲線は、ユービーエム社製の粘弾性試験機「Rheogel−E4000」を用いて、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法(アタッチメントモード:圧縮モード,周波数:10Hz,温度:−30〜200度、昇温速度:5度/分)にて測定した。また、弾性限界点応力は、エーアンドデイ社製テンシロン(RTG−1310)を用いて、JISK7127に準拠し、試験速度を200mm/min、試験片長さを100mm、雰囲気温度を100℃として引張試験を実施することにより測定した。
Figure 2017065137
表1より、温度−tanδ曲線におけるtanδピーク温度時の貯蔵弾性率が1000MPa以下である転写フィルムA(試験例1)および転写フィルムB(試験例2)は、転写フィルムC(試験例3)に比べて、優れた金型形状追従性を有することが確認できた。また、弾性限界点応力が10Mpa以下である転写フィルムA(試験例1)および転写フィルムB(試験例2)は、転写フィルムC(試験例3)に比べて、優れた金型形状追従性を有することが確認できた。これにより、射出樹脂による圧力で転写フィルムが破れたりすることを効果的に防止することができる。
10 転写フィルム
11 基材層
12 ハードコート層
13 プライマー層
14 加飾層
15 接着層
21 成型体
2 転写フィルム固定機構
3 金型
4 ヒーター
a 曲部
R 曲率半径

Claims (4)

  1. 以下の工程aから工程eを備える加飾成型体の製造方法。
    工程a:一対の金型間に、少なくとも基材層及び加飾層を有する転写フィルムを供給する、転写フィルム供給工程
    工程b:前記転写フィルムを、一方の金型表面側に吸引する、転写フィルム吸引工程
    工程c:前記金型のうち、少なくとも一方の金型の曲率半径が20mm以下の曲部、または/および、長さが20mm以下の一の平面と他の平面とで形成される角部のみを加熱する転写フィルム加熱工程
    工程d:一対の前記金型間にキャビティ空間が形成された状態で射出樹脂を供給するインモールド転写工程
    工程e:前記転写フィルムから前記基材層を剥離する基材層剥離工程
  2. 前記工程cにおいて、転写フィルムの加飾層側の面から転写フィルムを加熱する、請求項1に記載の加飾成型体の製造方法。
  3. 前記工程cにおいて、加熱前の転写フィルムの厚みに対する加熱後の転写フィルムの厚みの変動率が10%未満になるように転写フィルムを加熱する、請求項1又は2に記載の加飾成型体の製造方法。
  4. 前記工程aにおける前記転写フィルムは、電離放射線硬化性樹脂を含むハードコート層形成層を備えており、
    電離放射線の照射によって前記ハードコート層形成層を硬化してハードコート層を得る電離放射線照射工程を含む、請求項1から3のいずれかに記載の加飾成型体の製造方法。
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