JP2017064768A - リング圧延材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 リング状素材を径方向で圧下して圧延するための回転駆動主ロールおよびマンドレルロールと、前記リング状素材を軸方向で圧下して圧延するための一対の回転駆動アキシャルロールとを備えたリングローリングミルを用いたリング圧延材の製造方法であって、前記一対の回転駆動アキシャルロールによる軸方向での圧下と、前記回転駆動主ロールおよびマンドレルロールによる径方向での圧下とを、互いに異なるタイミングで実行するとともに、最終圧下が径方向での圧下であるリング圧延材の製造方法。。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、アキシャルロールで圧下して仕上げると圧延中に形状不良が発生する恐れがあるため、さらに安定かつ高精度のリング圧延の方法が望まれていた。
さらに、前記一対の回転駆動アキシャルロールによる軸方向での圧下と、前記回転駆動主ロールおよびマンドレルロールによる径方向での圧下とを、互いに異なるタイミングで実行するとともに、最終圧下が径方向での圧下である。
一方、主ロールおよびマンドレルロールによる径方向での圧下を実行している最中に一対のアキシャルロールによる軸方向での圧下を実行すると、かかる軸方向での圧下が径方向での圧下の抵抗となり、リング圧延中に形状不良を招来する恐れがある。そこで、一対の回転駆動アキシャルロールによる軸方向での圧下と、回転駆動主ロールおよびマンドレルロールによる径方向での圧下とが、互いに異なるタイミングで実行されるようにする。この際、一対のアキシャルロールによる軸方向の圧下よりも、主ロールおよびマンドレルロールによる径方向の圧下の方が、より安定した圧下が可能であるため、リング圧延の仕上圧下(最終圧下)は、径方向の圧下で終えるようにする。これによって、安定かつ高精度のリング圧延も確保される。
図1は本発明に係るリング圧延材の製造方法に用いるリングローリングミルの一例の概略配置を示す斜視図、図2はその断面模式図である。図1に示すリングローリングミル100は、機械的要素として、リング状素材1を径方向(x方向)から圧下して圧延するための回転駆動主ロール2およびマンドレルロール3と、リング状素材1を軸方向(上下方向(z方向))から圧下して圧延するための一対の回転駆動アキシャルロール4とを備える。回転駆動主ロール2およびアキシャルロール4はモータで駆動され、マンドレルロール3は従動回転(自由回転)する。上記機械的要素の基本構成は従来のリングローリングミルと同様である。また、図示は省略するが、圧延中のリング状素材1の直径を計測するための定寸ロール、リング素材1の滑らかな回転と真円度を保つためのガイドロールが適宜配置される。
円錐状の一対の回転駆動アキシャルロール4は、リング状素材1を挟んで対称的に、かつ頂点がリング状素材の内側になるように配置される。リング状素材1とアキシャルロール4とが接する領域での周速を一致させるようにアキシャルロール4の回転数(回転速度)が制御される。定寸ロールがリング状素材1の外周面に接してリング状素材の外周面位置を検出することで、水平方向には不動の回転駆動主ロールとの位置関係から、リング状素材1の直径(外径)が計測される。なお、リング状素材1の軸方向の厚さは一対の回転駆動アキシャルロール4の位置を検出し、その間隔から計測することができる。
マンドレルロール3による圧下速度、アキシャルロール4の回転数(回転速度)等の圧延条件は、リング状素材1の直径(外径)、軸方向の厚さ等の、圧延中のリング状素材の寸法情報を基にして制御部(図示せず)によって制御される。
上述のリングローリングミルを用いたリング圧延材の製造方法を図1〜3を参照しつつ、以下に説明する。使用するリングローリングミル100の構成は上述のとおりであるので説明を省略する。
加熱されたリング状素材をリングローリングミル100にセットし、あらかじめ設定された圧延スケジュールに基づき、熱間リング圧延を行う。リング状素材の内周側に位置するマンドレルロール3が回転駆動主ロール側に向かって変位し、リング状素材1は径方向に圧下され、拡径される。また、リング状素材1の軸方向は、回転駆動する一対のアキシャルロールによって圧下される。
第1圧下工程では、これら(a)一対の回転駆動アキシャルロールによる軸方向での圧下と、(b)回転駆動主ロールおよびマンドレルロールによる径方向での圧下とが、互いに異なるタイミングで実行される(図3)。
(a)軸方向での圧下
マンドレルロール3の変位を実質的に止めた状態で、回転駆動する一対のアキシャルロールによる圧下が実行される。例えば、図1および2の上側のアキシャルロールを下側に変位させ、所定の形状(寸法)になるまで軸方向の圧下が実行される。この場合、マンドレルロール3と回転駆動主ロール2はリング状素材1を回転させるだけで、実質的な径方向の圧下は実行されないが、例えば0.5mm/sec以下程度の微小で変位する場合は許容できる。これは、実作業として、完全に径方向を圧下させないようとするには、例えば、主ロールとマンドレルローとをリング状素材から離間させる方法があるが、非現実的である。実際の作業では回転駆動する主ロールとマンドレルロールとでリング状素材を回転させているため、不可避的に0.5mm/sec以下程度で変異する場合があるためである。
(b)径方向での圧下
一対の回転駆動アキシャルロールを変位させない状態で、マンドレルロール3が回転駆動主ロール側に向かって変位し、主ロールによって回転するリング状素材1が所定の形状(寸法)になるまで径方向の圧下が実行される。かかる径方向の圧下の際に、一対のアキシャルロールはリング状素材1の軸方向への変形を抑制するが、アキシャルロール自体は軸方向に変位しないため、アキシャルロールによる軸方向の実質的な圧下は実行されないとみなされる。
軸方向での圧下と径方向での圧下とは、一回ずつ行うこともできるし、それぞれ交互に複数回行うこともできる。アキシャルロールによる軸方向の圧下率(圧下量)は、リング圧延材の仕様に応じて決めればよい。圧下率が小さすぎると結晶粒の微細化の効果が小さくなり、大きすぎるとアキシャルロールへの負荷が大きくなるため、例えば5〜7%にすることが好ましい。
第1圧下工程においてアキシャルロールが変位する場合には、例えば、上側のアキシャルロールが、位置が固定された下側のアキシャルロールに向かって変位する。すなわち、一対のアキシャルロール4は軸方向(上下方向(z方向))に互いに接近するように変位する。これに対して、第2圧下工程では、上側のアキシャルロールが、下側のアキシャルロールから軸方向(上下方向)に離れるように変位する。
主ロール2およびマンドレルロール3による径方向での圧下を行う場合、リング状素材は拡径されながら軸方向の寸法も増加しようとする。ここで、一対のアキシャルロール4の軸方向の位置を変えずに、主ロール2およびマンドレルロール3による径方向での圧下を行うと、一対のアキシャルロール4同士を接近させる場合ほどではないにせよ、圧下に対する抵抗が生じ、高寸法精度のリング状素材を得る上では不利になる。そこで、一対のアキシャルロールを互いに遠ざけながら(かかる動作を「離間モード」ともいう)、すなわち、軸方向ではリング状素材寸法が大きくなるようにしながら、回転駆動主ロール2およびマンドレルロール3による径方向での圧下を実行する(c)。かかる方法によって、リング状素材の軸方向への変形に倣って、それに接する一対のアキシャルロールの位置を変えることができる。一対のアキシャルロールによる軸方向(上下方向)の拘束(挟持力)を低減することによって、径方向の圧下に対する抵抗の抑制と、リング状素材を軸方向に拘束することによる高寸法精度とを両立することが可能になる。
テーパリングを用いたリング圧延では、図5および図6に示すように、リング状素材1がアキシャルロール8の一方(上側のアキシャルロール)と接する領域の外周側末端e1-1が、リング状素材1がアキシャルロール8の他方(下側のアキシャルロール)と接する領域の外周側末端e2-1よりも中心側にあり、リング状素材1がアキシャルロール8の一方と接する領域の内周側末端e1-2が、リング状素材1がアキシャルロール8の他方と接する領域の内周側末端e2-2よりも中心側にある。回転駆動主ロール2とそれに対置された非駆動・従動のマンドレルロール3も、テーパリングの形状に応じた、軸方向から傾斜した圧下面を有する。
また、リング状素材の材質もこれを特に限定するものではないが、例えば、Ni基超耐熱合金を用いることができる。
圧延に供したリング状素材は、Ni基超耐熱合金(718合金)であり、その寸法は上側アキシャルロールに接する側の外径が520mm、内径が450mmで、下側アキシャルロールに接する側の外径が765mm、内径が550mm、軸方向の厚さ215mmであった。
上記のリング状素材を990℃に加熱を行って、リングローリングミルにセットしリング圧延を行った。リング圧延時のアキシャルロールとリング圧延素材の関係は、図5、6に示すように、リング状素材1が上側のアキシャルロール4と接する領域の外周側末端が、下側のアキシャルロール4と接する領域の外周側末端よりも中心側にあり、リング状素材1が上側のアキシャルロール4の一方と接する領域の内周側末端が、下側のアキシャルロール4と接する領域の内周側末端よりも中心側にあった。また、一対の回転駆動アキシャルロール4による軸方向での圧下と、回転駆動主ロール2およびマンドレルロール3による径方向での圧下とを、互いに異なるタイミングで実行した。
なお、第1圧下工程においては、アキシャルロールが変位するときには、上側のアキシャルロールが、位置が固定された下側のアキシャルロールに向かって変位させるように軸方向の圧下を行った。この第1圧下工程において、軸方向の圧下と径方向の圧下を1回行ったた。径方向の圧下のうち、最終圧下の前の、離間モードを伴わない第1圧下工程の径方向の圧下(中間圧下)の圧下率は22%であった。
リング圧延後の寸法は、上側アキシャルロールに接した側の外径が1105mm、内径が1035mmで、下側アキシャルロールに接した側の外径が1260mm、内径が1130mm、軸方向の厚さ205mmであった。また、軸方向圧下なしでリング圧延を行った比較例の最終寸法は、上側アキシャルロールに接した側の外径が1160mm、内径が1070mmで、下側アキシャルロールに接した側の外径が1260mm、内径が1180mm、軸方向の厚さ215mmであった。なお、本発明例のリング圧延材に形状不良は確認されなかった。
4:アキシャルロール 100:リングローリングミル
200:リングローリングミル
Claims (5)
- リング状素材を径方向で圧下して圧延するための回転駆動主ロールおよびマンドレルロールと、前記リング状素材を軸方向で圧下して圧延するための一対の回転駆動アキシャルロールとを備えたリングローリングミルを用いたリング圧延材の製造方法であって、
前記一対の回転駆動アキシャルロールによる軸方向での圧下と、前記回転駆動主ロールおよびマンドレルロールによる径方向での圧下とを、互いに異なるタイミングで実行するとともに、最終圧下が径方向での圧下であることを特徴とするリング圧延材の製造方法。 - 前記最終圧下は、
前記一対の回転駆動アキシャルロールが前記リング状素材に接した状態で、前記一対の回転駆動アキシャルロールを互いに遠ざけながら実行されることを特徴とする請求項1に記載のリング圧延材の製造方法。 - 前記最終圧下は、
前記一対の回転駆動アキシャルロールが前記リング状素材に接した状態で実行されるとともに、径方向ではリング状素材寸法が大きくなることを特徴とする請求項1に記載のリング圧延材の製造方法。 - 径方向の圧下として、前記最終圧下の前に中間圧下を有し、
前記中間圧下の圧下率よりも、前記最終圧下の圧下率の方が大きいことを特徴とする請求項2また3に記載のリング圧延材の製造方法。 - 前記リング状素材が前記アキシャルロールの一方と接する領域の外周側末端が、前記リング状素材が前記アキシャルロールの他方と接する領域の外周側末端よりも中心側にあり、
前記リング状素材が前記アキシャルロールの一方と接する領域の内周側末端が、前記リング状素材が前記アキシャルロールの他方と接する領域の内周側末端よりも中心側にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリング圧延材の製造方法。
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