以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係るマイクロバブルシャワー装置100の斜視図である。マイクロバブルシャワー装置100は、ホース等を介して上水道に接続される。水は、ヘッド部104から外部に吐出される。
マイクロバブルシャワー装置100は、把持部102とヘッド部104とを有する。本実施形態のマイクロバブルシャワー装置100は、浴室用(浴室シャワー装置)である。なお、本願のマイクロバブルシャワー装置は、キッチン用(キッチン水栓シャワー)であってもよく、洗面台用(手洗い水栓シャワー)であってもよい。本願のマイクロバブルシャワー装置は、屋外用の散水ノズルであってもよい。この散水ノズルは、例えば、庭などの水まき、車の洗車等に用いられる。
図2は、ヘッド部104の分解斜視図である。図3は、別の角度から見たヘッド部104の分解斜視図である。図4は、ヘッド部104の断面図である。ヘッド部104は、外カバー106、マイクロバブル発生部108、Oリング110、吐水スクリーン112、押さえ部材114及び水供給流路116を有する。
図示されないが、把持部102は水供給路を有する。この水供給路は、ヘッド部104の水供給路116とつながっている。把持部102の水供給路からヘッド部104に水が供給される。この水は、吐水スクリーン112から外部に排出される。
図4が示すように、押さえ部材114は、外カバー106にネジ止めされている。押さえ部材114は、外カバー106にネジ止めされつつ、吐水スクリーン112を押さえている。更に、押さえ部材114は、吐水スクリーン112を介して、マイクロバブル発生部108を押さえている。押さえ部材114と外カバー106とのネジ結合を解除するだけで、吐水スクリーン112及びマイクロバブル発生部108を外カバー106から取り外すことができる。ヘッド部104の分解及び組立は容易である。
図5は、マイクロバブル発生部108の斜視図である。図6は、マイクロバブル発生部108の分解斜視図である。但し、図6は、押さえ部材114等も含んでいる。図7は、別の角度から見たマイクロバブル発生部108の分解斜視図である。
マイクロバブル発生部108は、ノズルプレート120、旋回室カバー122、Oリング124、塞ぎ栓126を有する。旋回室カバー122は、ノズルプレート120の後方に取り付けられている。旋回室カバー122は、ネジ結合で、ノズルプレート120に取り付けられている。塞ぎ栓126は、旋回室カバー122の後方の中央部に取り付けられている。
図4及び図6が示すように、マイクロバブル発生部108において、旋回室カバー122は、ノズルプレート120にネジ止めされている。旋回室カバー122とノズルプレート120とのネジ結合を解除するだけで、マイクロバブル発生部108を分解することができる。マイクロバブル発生部108の分解及び組立は容易である。
図7において矢印y1で示されるのは、旋回室カバー122とノズルプレート120との間のネジ結合を締め付けるときの、旋回室カバー122の回転方向である。図7において矢印y2で示されるのは、旋回室カバー122の内部(後述の第2室R2及び第3室R3)で生じる旋回流の回転方向である。締め付け時の回転方向y1と旋回流の回転方向y2とが同じとされている。よって、旋回流が旋回室カバー122に付与する回転力の方向が締め付け時の回転方向と一致する。つまり、旋回流は、上記ネジ結合を締め付ける方向の回転力を旋回室カバー122に付与する。このため、長期間使用してもネジ結合が緩みにくい。
本願では、軸方向、径方向及び周方向が定義される。軸方向とは、旋回室カバー122の中心軸線Z(図4参照)の方向である。この中心軸線Zは、マイクロバブル発生部108の中心線でもある。径方向とは、この中心軸線Zに対して垂直な方向である。周方向とは、この中心軸線Zに対して垂直な平面上に描かれる円の方向である。この円の中心は、中心軸線Z上の一点である。
更に、前後方向が定義される。上記中心軸線Zの方向が前後方向とされる。また、この前後方向に基づき、前方及び後方が定義される。吐出方向が、前方である。よって、図4において、吐水スクリーン112が、塞ぎ栓126に対して前方に位置し、塞ぎ栓126が吐水スクリーン112に対して後方に位置する。なお、本願の図面において、「前方」が図面上は「上方」である場合があるが、本願ではこの場合も、「前方」とする。
図8(a)は、ノズルプレート120を斜め前方から見た斜視図である。図8(b)は、ノズルプレート120を斜め後方から見た斜視図である。図8(c)は、ノズルプレート120の側面図である。図8(d)は、ノズルプレート120の平面図である。
ノズルプレート120は、全体として円盤状の部材である。ノズルプレート120は、前方縁130と、側壁部132と、プレート主部134とを有する。前方縁130は、円に沿った縁部を形成している。側壁部132は、円筒状である。側壁部132は、後方に向かって突出する壁面を形成している。図8(b)が示すように、プレート主部134の後面と側壁部132との間に隙間が形成されている。即ち、側壁部132の内周面とプレート主部134との間に隙間が形成されている。この側壁部132の内周面には、ネジ部136が形成されている。このネジ部136は、雌ネジを形成している。
プレート主部134は、全体として略皿状である。プレート主部134は、開口138を有する。開口138は、プレート主部134の中央に位置する。開口138は、ノズルプレート120の中央に位置する。この開口138は、貫通孔である。図8(c)が示すように、この開口138は、側壁部132よりも後方に位置する。開口138は、プレート主部134において最も後方に位置する。
プレート主部134は、軸方向流路部140を有する。この軸方向流路部140は、プレート主部134の中央部に位置する。この軸方向流路部140は、ノズルプレート120の中央部に位置する。軸方向流路部140の中央に、開口138が位置する。開口138は、軸方向流路部140の後端に位置する。軸方向流路部140は、円錐部を有している。軸方向流路部140の径方向内側面142の少なくとも一部は、円錐凹面を形成している。この円錐凹面の中心軸線は、上記中心軸線Zである。軸方向流路部140の径方向外側面144の少なくとも一部は、円錐凸面を形成している。この円錐凸面の中心軸線は、上記中心軸線Zである。軸方向流路部140は、前方にいくにつれて径方向外側となるように傾斜している。図8(c)が示すように、軸方向流路部140の後端部は、側壁部132よりも後方に突出している。
プレート主部134は、平坦部150を有する。平坦部150は、円環状である。この平坦部150の中心軸線は、上記中心軸線Zである。平坦部150は、軸方向流路部140の径方向外側に位置する。平坦部150は、軸方向流路部140の外縁から径方向外側に向かって延在している。平坦部150の前面152は、円環状の平面であり、この平面は、径方向に対して平行である。平坦部150の後面154は、円環状の平面であり、この平面は、径方向に対して平行である。
プレート主部134は、円周壁面160を有する。円周壁面160は、平坦部150の径方向外側に位置する。円周壁面160は、平坦部150の外縁から前方に向かって延在している。円周壁面160は、上記中心軸線Zを中心軸とする内周面を形成している。
プレート主部134は、第2平坦面162と、第2円周壁面164とを有する。第2平坦面162は、円周壁面160の径方向外側に位置する。第2円周壁面164は、第2平坦面162の径方向外側に位置する。
図9(a)は、旋回室カバー122を斜め前方から見た斜視図である。図9(b)は、旋回室カバー122を斜め後方から見た斜視図である。図9(c)は、旋回室カバー122の側面図である。図9(d)は、旋回室カバー122の平面図である。
旋回室カバー122は、前方に開放されたカバー主部200と、このカバー主部200の中央部から後方に向かって延びる塞ぎ栓配置部202とを有する。カバー主部200は、全体として略皿状である。塞ぎ栓配置部202は、円筒状である。塞ぎ栓配置部202は、後方に開放された凹部を形成している。
カバー主部200は、外周部204と、開口206と、壁部208とを有する。外周部204は、旋回室カバー122の外周部を形成している。外周部204は、円筒状である。外周部204は、前方に延びている。外周部204の外周面には、ネジ部210が形成されている。ネジ部210は、雄ネジである。ネジ部210は、前述したノズルプレート120のネジ部136とネジ結合している。このネジ結合により、旋回室カバー122がノズルプレート120に取り付けられている。
開口206は、カバー主部200の底部に設けられている。開口206は、貫通孔である。開口206は、カバー主部200の底部を貫通している。本実施形態では、開口206の数は複数である。複数の開口206は、周方向において均等に配置されている。複数の開口206は、周方向において一定の間隔おきに配置されている。
壁部208は、カバー主部200の底面212から前方に向かって延びている。壁部208の端面214は、ノズルプレート120(の後面)に当接している(図4参照)。本実施形態では、壁部208の数は複数である。複数の壁部208は、周方向において均等に配置されている。複数の壁部208は、周方向において等間隔で配置されている。全ての壁部208は、同じ径方向位置に配置されている。
図4及び図6が示すように、塞ぎ栓配置部202には、前述の塞ぎ栓126が配置されている。塞ぎ栓配置部202は、この塞ぎ栓126を収容している。
図9(d)及び図4が示すように、旋回室カバー122は、空気導入部220を有する。空気導入部220は、空気孔である。空気導入部220は、旋回室カバー122の中心に設けられている。空気導入部220は、カバー主部200の底部の中心に位置する。空気導入部220は、第3室R3の中心に位置する。空気導入部220は、旋回流発生室Rxの中心に位置する。中心軸線Zは、空気導入部220の内側を通過している。
このようなノズルプレート120と旋回室カバー122とが組み合わされたマイクロバブル発生部108は、旋回流発生室Rx(図4参照)を有する。旋回室カバー122とノズルプレート120との間の空間が、旋回流発生室Rxである。旋回流発生室Rxは、前方部材と後方部材との間に形成されている。本実施形態では、ノズルプレート120が旋回流発生室Rxの後方に位置する前方部材であり、旋回室カバー122が旋回流発生室Rxの後方に位置する後方部材である。
旋回流発生室Rxで発生した旋回流は、負圧を生じさせる。この負圧により、空気導入部220から空気が吸入される。この空気が水に混入して気泡となる。更にこの気泡が旋回流によってせん断され、微細化されて、マイクロバブルとなる。マイクロバブルとは、直径が50μm以下の気泡であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下である。
[第1〜第4室、第1〜第3開口]
図10は、ヘッド部104の拡大断面図である。図10では、水の流れが矢印で示されている。
ヘッド部104は、第1室R1、第2室R2、第3室R3及び第4室R4を有する。第1室R1は、水供給流路の上流側に位置する。第2室R2は、第1室R1の上流側に位置する。第3室R3は、第2室R2の上流側に位置する。第4室R4は、第3室R3の上流側に位置する。
前述の旋回流発生室Rxは、第2室R2と第3室R3とによって構成されている。
ヘッド部104は、第1開口K1、第2開口K2及び第3開口K3を有する。第1開口K1は、第1室R1と第2室R2との境界に位置する。第1開口K1は、孔である。第1開口K1は第1室R1と第2室R2とを繋いでいる。第2開口K2は、第2室R2と第3室R3との境界に位置する。第2開口K2は、孔である。第2開口K2は第2室R2と第3室R3とを繋いでいる。第3開口K3は、第3室R3と第4室R4との境界に位置する。第3開口K3は、孔である。第3開口K3は第3室R3と第4室R4とを繋いでいる。
本実施形態では、第1開口K1は、上述の開口206である。本実施形態では、第2開口K2は、壁部208同士の隙間である。本実施形態では、第3開口K3は、開口138である。
第1室R1は、外カバー106とマイクロバブル発生部108との間の空間である。第1室R1の少なくとも一部は、マイクロバブル発生部108の径方向外側に位置する。第1室R1は、マイクロバブル発生部108の周囲の全体に亘って配置されている。第1室R1は、全ての第1開口K1に繋がっている。
第1室R1は、マイクロバブル発生部108の径方向外側に位置する。第1室R1は、マイクロバブル発生部108の周囲の全体に亘って設けられている。第1室R1は、全ての第1開口K1に繋がっている。
第2室R2及び第3室R3は、上述した旋回流発生室Rxを構成している。旋回流発生室Rxにおける径方向外側の部分が、第2室R2である。旋回流発生室Rxにおける径方向内側の部分が、第3室R3である。第2室R2の径方向内側に第3室R3が配置されている。なお、第2室R2の径方向内側に、第3室R3の少なくとも一部が存在していればよい。好ましくは、第2室R2の径方向内側に、第3室R3の全体が存在している。
第2室R2と第3室R3とは、複数の壁部208によって区画されている。ただし、上述の通り、壁部208同士の間には隙間が設けられており、この隙間が第2開口K2である。
全ての壁部208において最も径方向外側に位置する点がPxとされ、全ての壁部208において最も径方向内側に位置する点がPyとされる。少なくとも、径方向位置がPxよりも外側の領域は第2室R2である。少なくとも、径方向位置がPyよりも内側の領域は第3室R3である。
第3開口K3は、第3室R3の中央に位置する。軸方向流路部140は、第3室R3の中央に位置する。
第4室R4は、マイクロバブル発生部108と吐水スクリーン112との間の空間である。吐水スクリーン112は、第4室R4に面している。第4室R4の上流側は、吐水スクリーン112によって画定されている。軸方向流路部140の内側部分は、第4室R4の一部である。軸方向流路部140の内側部分(第4室R4の一部)は、第2室R2の径方向内側に位置する。軸方向流路部140の内側部分(第4室R4の一部)は、第3室R3の径方向内側に位置する。この配置は、ヘッド部104の軸方向長さを小さくするのに寄与する。
このように、第4室R4の少なくとも一部は、第3室R3の径方向内側に位置する。また、第4室R4の少なくとも一部は、第2室R2の径方向内側に位置する。この配置は、ヘッド部104の軸方向長さを小さくするのに寄与する。
図10の矢印が示すように、水は、第1室R1から第1開口K1を通過して第2室R2に流れる。水は、第2室R2から第2開口K2を通過して第3室R3に流れる。水は、第3室R3から第3開口K3を通過して第4室R4に流れる。水は、第4室R4から吐水スクリーン112を通過して外部に吐出される。
図11は、旋回流発生室Rxの平面図である。図11では、水の流れが矢印で示されている。第1開口K1(開口206)は、第2室R2に一次旋回流f1を生じさせるように配向している。全ての第1開口K1は、周方向に対して同じ向きに配向している。複数の第1開口K1が周方向において均等に配置されている。更に、第1開口K1は、周方向において等間隔おきに配置されている。複数の第1開口K1は、径方向において同じ位置に配置されている。
図11のように前方から見た場合、一次旋回流f1の旋回方向は、反時計回りである。もちろん、一次旋回流f1の旋回方向は、逆に時計回りであってもよい。第1開口K1(開口206)は、第2室R2に反時計回り又は時計回りの一次旋回流f1を生じさせるように配向している。本願における旋回方向とは、反時計回り又は時計回りのいずれかである。この旋回方向は、例えば、前方から見たときの方向である。
図11が示すように、第2室R2における一次旋回流f1は、壁部208(第2開口K2)によって、第3室R3に取り込まれる。この結果、第3室R3には、一次旋回流f1と同じ旋回方向(反時計回り)の二次旋回流f2が形成される。第2開口K2は、一次旋回流f1を第3室R3に取り込んで第3室R3に一次旋回流f1と同じ旋回方向の二次旋回流f2を形成するように構成されている。
図12は、旋回流発生室Rxの内部の拡大平面図である。本実施形態では、複数(6個)の壁部208が設けられている。図12が示すように、第1の壁部208aと、この第1の壁部208aの隣りの第2の壁部208bとが設けられている。第2の壁部208bは、第1の壁部208aの下流側に位置している。
第1の壁部208aと、この第1の壁部208aの隣りに配置された第2の壁部208bとの間の隙間が、第2開口K2である。本実施形態では、第2開口K2が5箇所に設けられている。複数の第2開口K2は、周方向において均等に配置されている。複数の第2開口K2は、周方向において等間隔に配置されている。全ての第2開口K2は、同じ径方向位置に配置されている。第2開口K2は、一次旋回流f1が流入するように構成されている。第2開口K2は、一次旋回流f1を取り込むように構成されている。
壁部208のぞれぞれは、上流側の端t1と、下流側の端t2とを有する。全ての壁部208において、上流側の端t1の径方向位置は同一である。全ての壁部208において、下流側の端t2の径方向位置は同一である。上流側の端t1の径方向位置は、下流側の端t2の径方向位置よりも径方向外側である。したがって、第2の壁部208bの端t1は、第1の壁部208aの端t2よりも径方向外側に位置する。よって、一次旋回流f1は、第2開口K2に容易に取り込まれる。一次旋回流f1は自然に第2開口K2に流れ込む(図11の矢印f12参照)。
第2開口K2の開口面積は狭い。このため、第2開口K2を通過した水の流速は高まる。すなわち、二次旋回流f2の流速(旋回方向速度)が高まる。第1開口K1の開口面積がS1とされ、この開口面積S1の総和がS1Sとされる。第2開口K2の開口面積がS2とされ、この開口面積S2の総和がS2Sとされる。このとき、S2S/S1Sが1未満である。つまり、第1開口K1の開口面積の総和S1Sよりも、第2開口K2の開口面積の総和S2Sのほうが小さい。この結果、第2室R2では、流入する開口の面積よりも流出する開口の面積が小さくなり、流出する開口(第2開口K2)での流速(旋回方向速度)が向上する。
第1の壁部208aの下流側の端t2は、第2の壁部208bの上流側の端t1よりも下流側に位置する。換言すれば、第1の壁部208aの下流側の端部と第2の壁部208bの上流側の端部との間において、周方向位置が同一である重複部TFが存在する。なお、ここでの上流側及び下流側は、周方向位置に基づいて判断される。このような第1の壁部208aと第2の壁部208bとの関係は、全ての隣り合う壁体208同士において成立している。このような重複部TFは、一次旋回流f1の流れ込みを容易とする。更に、重複部TFは、流速の向上に寄与する。狭い重複部TFは、流速を高める。なお、重複部TFは無くても良いが、一次旋回流f1の流れ込み促進及び流速向上の為に、隣り合う壁部の間の少なくとも1箇所以上に重複部TFを設けるのが好ましく、隣り合う壁部の間のうち50%以上の箇所に重複部TFを設けるのがより好ましく、隣り合う壁部の間の全ての箇所に重複部TFを設けるのが特に好ましい。
あらゆる周方向位置に少なくとも1つの壁体208が存在している。重複部TFが存在する周方向位置では2つの壁体208が存在し、それ以外の周方向位置では1つの壁体208が存在している。この構成は、旋回流を整流するのに寄与している。
二次旋回流f2の回転速度(単位時間当たりの回転数)は、一次旋回流f1の回転速度よりも大きい。径方向の内側に位置する第3室R3に流れ込むことで、回転半径が減少し、回転速度が向上する。更に、二次旋回流f2においても、径方向内側の流れほど、回転速度が高い。このため、第3室R3の中心部における回転速度は更に高まる。この高い回転速度は、強い負圧を発生させる。
加えて、二次旋回流f2の流速(旋回方向速度)は、一次旋回流f1の流速(旋回方向速度)よりも大きい。上述の通り、第2開口K2の通過により流速が高まる。回転半径の減少によって回転速度が上昇するのに加えて、この流速増加の効果が付加される。このため、第3室R3の中心部において、二次旋回流f2の回転速度及び流速(旋回方向速度)は一層高い。したがって、より強い負圧が生じる。
図13は、壁部208の拡大図を示す。図13では、壁部208の周囲での詳細な水の流れが矢印で記載されている。
図13が示す壁部208は平面視であるが、この平面視の形状は、中心軸線Zに対して垂直な平面に沿った壁部208の断面形状と同じである。この断面において、壁部208の輪郭線は、その全体が滑らかに連続している。この断面において、壁部208の輪郭線は、凹みを有さない。
下流側の端t2は、上流側の端t1よりも径方向内側に位置する。内側面m2の径方向位置は、下流側にいくにつれて徐々に径方向内側に移動している。この内側面m2は、一次旋回流f1を効率良く捕捉する。内側面m2により、一次旋回流f1が効率よく第3室R3に取り込まれる。
一次旋回流f1を効率良く捕捉する観点から、内側面m2の断面線の少なくとも一部は、鋭角配向部とされるのが好ましい。鋭角配向部とは、径方向との成す角度θ1(図13)が90°よりも小さい部分である。内側面m2が曲線である場合、角度θ1は、上記断面線の接線と径方向との成す角度である(図13)。この鋭角配向部の角度θ1は、85°以下がより好ましく、80°以下がより好ましい。一次旋回流f1のエネルギーを効率よく二次旋回流f2に変換する観点から、角度θ1は、60°以上が好ましく、70°以上がより好ましい。鋭角配向部の長さは、内側面m2の断面線の全長に対して50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。これらの規定は、あらゆる軸方向位置で成立しているのが好ましい。なお、角度θ1は、径方向に沿った断面において決定される。
一次旋回流f1の旋回エネルギーの損失を抑制する観点から、壁部208の内側面m2は、上記角度θ1が90°を超える部分を有さないのが好ましい。この規定は、あらゆる軸方向位置で成立しているのが好ましい。
上流側の端t1は、アール(丸み)を有している。よって、第2開口K2に流入する際のエネルギー損失(圧力損失)が抑制される。下流側の端t2は、アール(丸み)を有している。よって、下流側の端t2における乱流が抑制される。
壁部208は、上流側の端t1と下流側の端t2と、径方向外側に位置する外側面m1と、径方向内側に位置する内側面m2とを有する。
外側面m1は、径方向外側に向かって凸の曲線である。内側面m2は、径方向外側に向かって凸の曲線である。これらの凸の曲線は、滑らかに連続している。これらの凸の曲線は、一次旋回流f1を乱すことなく水流を第3室R3に導くのに寄与している。外側面m1の少なくとも一部は、平面であってもよい。外側面m1の全体が平面であってもよい。内側面m2の少なくとも一部は、平面であってもよい。内側面m2の全体が平面であってもよい。
壁部208は、旋回方向の上流側から下流側に向かって厚みW1が徐々に減少する部分を有する。この部分を翼状部と称する。なお、壁部208の厚みW1は、壁部208の延在方向に対して垂直な方向に沿って測定される。壁部208の延在方向は、次のように決定される。図13の平面視において、径方向直線L1は、壁部208を外側面m1から内側面m2まで横断する線分を含む。この横断する線分の中点P1が決定される。この中点P1の集合が、壁部208の延在方向と定義される。本実施形態において、中点P1の集合は、曲線である。
翼状部は、整流に寄与する。翼状部は、壁部208の下流部分における流れの剥離を抑制し、乱流を抑制する。翼状部は、流動抵抗を抑制し、乱流によるエネルギー損失を抑制する。翼状部により、二次旋回流f2の回転速度及び流速(旋回方向速度)が向上しうる。
壁部208は、最大厚さ部Wmax有する。壁部208の厚みW1は、上流側から下流側にいくにしたがって徐々に増加し、最大厚さ部Wmaxで最大となる。厚みW1は、この最大厚さ部Wmaxから下流側にいくにしたがって徐々に減少している。厚みW1は、最大厚さ部Wmaxから下流側の端t2に近づくにつれて徐々に減少している。厚みW1は、最大厚さ部Wmaxから下流側の端t2に至るまで徐々に減少している。
最大厚さ部Wmaxと上流側の端t1との間の延在方向長さがNとされ、壁部208の延在方向長さがLとされる。エネルギー損失を抑制する観点から、L/Nは、0.5未満が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がより好ましい。L/Nは、0.1以上とされてもよい。L/Nは、ゼロであってもよい。
なお、第2開口K2は、本形態に限定されない。例えば第2開口K2は、傾斜した孔であってもよい。
図14は、図10と同じ断面図である。図14を参照して、軸方向流路部140の詳細な形状が説明される。
前述の通り、軸方向流路部140は、径方向外側面144を有する。この径方向外側面144は、円錐凸面を有している。この円錐凸面の中心は、中心軸線Zである。この径方向外側面144は、第3室R3の前面を形成している。この径方向外側面144により、第3室R3の前後方向幅が、中心軸線Zに近づくにつれて徐々に減少している。換言すれば、第3室R3は、中心軸線Zに近づくにつれてその前後方向幅が減少するように配置された円錐面(円錐凸面)を有する。前後方向幅(軸方向幅)が減少するにつれて、軸方向で運動エネルギーが集約され、単位体積当たりの旋回力が高められる。第3室R3における二次旋回流f2の回転速度は、中心軸線Zに近づくにつれて増幅される。
このように、二次旋回流f2は、径方向外側面144(円錐凸面)に沿ってスムーズに第3開口K3の手前に導かれる。更に、径方向外側面144により、径方向に加えて軸方向にも運動エネルギーが集約されるため、第3開口K3の手前における旋回流の回転速度が高まる。この強い旋回流により、強い負圧が生じ、空気導入部220からの吸気が促進される。この強い旋回流は、吸引された空気をせん断及び微細化しつつ、第3開口K3に流れ込む。強い旋回流により、より微細化されたマイクロバブルを高密度で含むマイクロバブル含有水が生成され、このマイクロバブル含有水が第3開口K3に流入する。
第3室R3における回転速度の増幅は、第3室R3の径方向内側に配置された円錐凸面144によって達成されている。この増幅は、回転半径の減少と、軸方向幅の減少とによって達成されている。この増幅には、軸方向における流れが用いられていない。この増幅は、軸方向距離を要しない。本実施形態では、軸方向の大型化を抑制しつつ、旋回流の回転速度を増幅することができる。
図14が示すように、軸方向流路部140の径方向内側面142は、第3開口K3と、この第3開口K3から始まり下流側に向かうにつれて断面積が減少する円錐減少部300と、この円錐減少部300の上流側に位置する最小断面積部302と、この最小断面積部302から始まり下流側に向かうにつれて断面積が増加する円錐増加部304と、この円錐増加部304の前端に位置し、円錐増加部304の前端に比較して断面積が一挙に(非連続的に)増加している断面積拡大部306とを有する。断面積拡大部306は、前述の円周壁面160である。
軸方向流路部140の径方向内側面142は、第4室R4の一部を構成している。したがって、第4室R4は、第3開口K3から始まり下流側に向かうにつれて断面積が減少する円錐減少部300と、この円錐減少部300の上流側に位置する最小断面積部302と、この最小断面積部302から始まり下流側に向かうにつれて断面積が増加する円錐増加部304と、この円錐増加部304の前端に位置し、円錐増加部304の前端よりも断面積が一挙に(非連続的に)増加している断面積拡大部306とを有する。
円錐減少部300は、第3開口K3の縁部(角部)における抵抗を抑制するとともに、第3開口K3への旋回流の円滑な流入に寄与する。また、円錐減少部300から最小断面積部302に至る過程で、旋回流の回転速度が向上しうる。
図15は、 図14と同じ断面図である。この図15では、第3開口K3からの水が旋回しつつ拡がる様子が矢印で模式的に示されている。
円錐増加部304により、マイクロバブル含有水が広角で放出される。このため、マイクロバブル含有水が広範囲に拡張される。しかも、円錐増加部304は、旋回流を阻害することなく拡張させうる。この旋回流によってマイクロバブル含有水は均質な状態で拡がる。結果として、気泡含有率の偏りが少ないマイクロバブル含有水が吐水スクリーン112から吐出される。吐水スクリーン112からの吐水では、径方向位置によるマイクロバブルの密度及び大きさのバラツキが少ない。円錐増加部304は、ヘッド部104の軸方向長さを抑制しつつ、均質なマイクロバブル含有水を吐水スクリーン112から放出するのに寄与している。加えて、断面積拡大部306も、ヘッド部104の軸方向長さを抑制しつつ、マイクロバブル含有水を広範囲に拡張させるのに寄与している。
円錐増加部304は、上流側に向かって断面積が増加する拡張部の一例である。拡張部の形状は、円錐でなくてもよい。拡張部では、上流に向かって断面積が段階的に増加していてもよいし、上流に向かって断面積が徐々に増加していてもよい。拡張部の形状は、例えば三角錐や四角錐などの角錐であってもよい。旋回流をスムーズに広角に展開する観点から、拡張部の形状は円錐が好ましい。即ち、円錐増加部304が好ましい。
図14において両矢印θ2で示されているのは、 円錐増加部304の拡張角度である。この角度θ2は、気泡の均一性及び気泡密度に影響しうる。この点を、第2実施形態を参照しつつ説明する。
図16は、第2実施形態に係るヘッド部400の断面図である。このヘッド部400は、円錐増加部402を有する。円錐増加部402の形状を除き、ヘッド部400は、ヘッド部104と同じである。
図16では、第3開口K3からの水が旋回しつつ拡がる様子が矢印で模式的に示されている。このヘッド部400では、上記拡張角度θ2が小さい。このため、第3開口K3からの流れが直角に近い角度で直接的に吐水スクリーン112に衝突しやすくなる。この衝突は、吐水スクリーン112の内側に複数の渦を有する複雑な流れを生じさせうる。この複数の渦は、縦渦sw1(中心軸線Zに対して垂直な方向を中心とする渦)を生じさせる。この縦渦sw1により、吐水スクリーン112近傍の気泡密度が低下する。また、この複雑な渦により、気泡密度に不均一が生じやすい。
吐水スクリーン112からの気泡の吐出量を多くするためには、吐水スクリーン112の内側に単一の旋回流を形成させるのが好ましい。この旋回流の中心は、中心軸線Zである。この旋回流は、横渦sw2である(図15参照)。この単一の旋回流により、気泡が吐水スクリーン112に沿って径方向外側に展開され、気泡密度が径方向で均一なマイクロバブル含有水が吐出される。
複雑な流れの発生を抑制し、吐水スクリーン112の内側における単一の旋回流を形成する観点から、角度θ2は、10°以上が好ましく、50°以上がより好ましく、70°以上がより好ましい。一方、角度θ2が大きいと、円錐増加部の傾斜面からの流れの剥離が生じやすい。この場合、圧力損失が生じ、流量が低下しうる。この観点から、角度θ2は、120°以下が好ましく、110°以下がより好ましく、100°以下がより好ましい。
吐水スクリーン112は、均一な厚みを有する。吐水スクリーン112は、その全体が外側(前方)に向かって凸に湾曲した板状部材である。吐水スクリーン112の内面(後面)は、その全体が外側(前方)に向かって凸の曲面である。吐水スクリーン112の外面(前面)は、その全体が外側(前方)に向かって凸の曲面である。このような構成により、吐水スクリーン112の内側における乱流が抑制され、旋回流が径方向外側に円滑に展開する。このため、均一かつ微細な気泡が実現しやすく、径方向に拡がりのある範囲で均一な気泡とすることができる。また、吐水スクリーン112の内側に肉盛り部がないため、シャワー孔h1の配置の設計自由度が高い。具体的には、例えば、吐水スクリーン112の中央部にもシャワー孔h1を設けることが出来る(図3参照)。吐水スクリーン112の中央部は、例えば、中心軸線Zからの距離が10mm以内の部分(中心軸線Zを中心とする直径20mmの円内)である。
図17は、空気導入部220付近の拡大断面図である。空気導入部220は、入口500と、出口502とを有している。空気導入部220は、貫通孔である。空気導入部220は、第3室R3の底部に形成された貫通孔である。空気導入部220は、第3室R3の底部に設けられている。空気導入部220は、第3室R3の中央部に設けられている。中心軸線Zは空気導入部220の内部を通過している。好ましくは、中心軸線Zは空気導入部220の中心線である。
入口500は、第3室R3を画定する壁部(底部)の外面に設けられている。本実施形態において、第3室R3を画定する壁部(底部)は、旋回室カバー122によって構成されている。本実施形態では、入口500が塞ぎ栓126で覆われている。これと異なり、入口500は、外部に開放されていてもよい。例えば、入口500は、外カバー106の外面に形成されていてもよい。
本実施形態では、入口500は、第3室R3を画定する壁部(底部)の外面に設けられている。よって、空気導入部220の軸方向長さを小さくすることができる。よって例えば、空気導入部220として空気導入管を用いることを回避できる。この構成は、ヘッド部104の軸方向長さを抑制するのに寄与する。
出口502は、第3室R3に設けられている。本実施形態では、出口502は、第3室R3の底面b3に設けられている。出口502は、第3室R3の中央に設けられている。中心軸線Zは、出口502の内側を通過している。
本実施形態とは異なり、空気導入部220が、例えば空気導入管であってもよい。この管の一端が入口500となり、この管の他端が出口502となる。この管の長さは限定されない。出口502の位置は、第3室R3であってもよいし、第4室R4であってもよい。出口502の位置は、第3開口K3の後方であってもよいし、第3開口K3の前方であってもよい。出口502の位置は、例えば円錐増加部304の径方向内側であってもよい。
空気の吸引量を高める観点から、出口502は、強い負圧が生じている領域に配置されるのが好ましい。また、微細かつ均一な気泡を得るには、放出された空気が旋回流でせん断、微細化及び均等分散される必要があり、そのためには、出口502は吐水スクリーン112から遠い位置であるのがよい。これらの観点から、出口502は、第3室R3に設けられるのが好ましい。出口502は、第3開口K3の後方に設けられるのが好ましい。
空気導入管が採用された場合などでは、第3室R3の底面b3よりも出口502が前方に位置しうる。即ち、この場合、第3室R3の底面b3と出口502との間の軸方向距離D2が生じる。なお、本実施形態では、距離D2はゼロである。図17において両矢印D1で示されるのは、第3室R3の底面b3と第3開口K3との間の軸方向距離である。なお、第3室R3の底面b3は、第3室R3を形成する面のうち最も後方に位置する面である。
出口502は、強い負圧が生じている領域に配置されるのが好ましい。また、微細かつ均一な気泡を得るには、放出された空気が旋回流でせん断、微細化及び均等分散される必要があり、そのためには、出口502から吐水スクリーン112までの距離が確保されているのが好ましい。これらの観点から、D2/D1は、0.8以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.25以下が更に好ましく、0が特に好ましい。上述の通り、本実施形態では、D2/D1はゼロである。
ヘッド部104は、空気取り入れ口510を有する。空気取り入れ口510は、外部に面している。空気取り入れ口510は、外部に開放されている。外カバー106に、空気取り入れ口510が設けられている。外部の空気は、この空気取り入れ口510から取り入れられる。
前述の通り、塞ぎ栓126は、塞ぎ栓配置部202に配置されている。塞ぎ栓126の外周面には雄ネジが形成され、塞ぎ栓配置部202の内周面には雌ネジが形成されている。塞ぎ栓126は、ネジ結合よって、塞ぎ栓配置部202に取り付けられている。このネジ結合には隙間gp1がある(図17参照)。隙間gp1は、狭い空気通路を構成している。隙間gp1は、細流路とも称される。
上述の通り、旋回流によって生じた負圧により、空気導入部220の入口500から空気が吸引される。この空気は、空気取り入れ口510から取り入れられ、細流路gp1を経由して、入口500に至る。
図17が示すように、塞ぎ栓126の端面は旋回室カバー122の底部に当接している。この当接部分に、わずかな隙間gp2が存在する。この隙間gp2は、流路隙間とも称される。空気は、空気取り入れ口510から取り入れられ、細流路gp1及び流路隙間gp2を経由して、入口500に至る。流路隙間gp2は、入口500の周囲の全体に存在している。流路隙間gp2は、全体として環状である。
ヘッド部104は、逆流水格納空間512を有する。この逆流水格納空間512は、空気取り入れ口510に隣接した位置に設けられている。逆流水格納空間512は、外カバー106と塞ぎ栓126との間の空間である。空気取り入れ口510から取り入れられた空気は、逆流水格納空間512を経由して、細流路gpに至る。細流路gpは、雄ネジと雌ネジとが噛み合ったネジ結合部の隙間である。細流路gpは、蛇行する複雑な流路であり、水を通しにくい。流路隙間gp2は非常に狭い隙間であり、水を通しにくい。
ヘッド部104は、逆流水捕捉空間514を有する。逆流水捕捉空間514は、入口500に面して設けられている。逆流水捕捉空間514は、塞ぎ栓126の凹部によって形成されている。逆流水捕捉空間514は、入口500の全周囲に亘って拡がっている。流路隙間gp2は、逆流水捕捉空間514の第3室R3側に位置する。流路隙間gp2は、逆流水捕捉空間514の周囲の全体に存在している。
外気吸引方式のマイクロバブルシャワー装置100では、内部に十分な負圧が形成される前に、空気孔からの水漏れが生じうる。例えば、吐水が開始された直後には、十分な負圧が形成されない状況が一時的に生じるため、水漏れが生じうる。
塞ぎ栓126は、空気導入部220からの水漏れを抑制しうる。塞ぎ栓126は、逆流水捕捉空間514を形成している。空気導入部220の入口500に隣接して、逆流水捕捉空間514が設けられている。空気導入部220から漏れた水は、逆流水捕捉空間514に捕捉される。
図17の二点鎖線は、逆流水捕捉空間514に水が溜まった場合における水面WSを例示的に示している。図17では、吐水スクリーン112が傾斜した状態であり、シャワー装置100の姿勢は典型的な使用状態にある。逆流水捕捉空間514に貯留される水が多くなれば、水面WSは入口500を超える。しかし、第3室R3に十分な負圧が形成されれば、この貯留された水は、空気導入部220から第3室R3に吸い込まれうる。逆流水捕捉空間514に一時的に水を貯留することで、その水を再び吸い込む機会が得られる。よって、水漏れが抑制される。
図17のように、吐水スクリーン112が地面に対して水平にならないように傾斜状態とされた場合、逆流水捕捉空間514の鉛直方向下方に水が溜まり、逆流水捕捉空間514の鉛直方向上方に空気が溜まる。この場合、抵抗の小さい空気の方が先に流路隙間gp2を通過して外部に流れる。よって、水漏れが抑制される。一方、吐水スクリーン112が鉛直方向上方を向くように水平とされた場合、逆流水捕捉空間514の底側に水が溜まっていき、逆流水捕捉空間514の上方から流路隙間gp2を通じて空気が先に排出される。よってこの場合も、水漏れが抑制される。
このように、空気取り入れ口510から空気導入部220までの空気径路に逆流水捕捉空間514が設けられているため、水漏れが抑制される。
更に、空気取り入れ口510から空気導入部220までの空気径路に細流路gp1が設けられている。よって水漏れが更に抑制される。
更に、空気取り入れ口510から空気導入部220までの空気径路に逆流水格納空間512が設けられている。水が逆流水捕捉空間514及び細流路gp1を通過したとしても、その水は逆流水格納空間512に貯留されうる。よって水漏れが更に抑制される。また、第3室R3に十分な負圧が形成されれば、逆流水格納空間512に貯留された水は、空気導入部220から第3室R3に吸い込まれうる。逆流水格納空間512に一時的に水を貯留することで、その水を再び吸い込む機会が得られる。よって、水漏れが抑制される。
図17が示すように、空気取り入れ口510は、逆流水格納空間512に対して、シャワー先端側に位置する。
ここで、シャワー装置100の基準姿勢が定義される。ヘッド部104を把持部102(図1)に対して上側とし、把持部102の中心軸線を鉛直方向に平行とした姿勢が、基準姿勢と定義される。この基準姿勢は、通常の使用状態に近い。
この基準姿勢のシャワー装置100において、逆流水格納空間512に貯留された水の水面が、空気取り入れ口510の最下点p1に達したときの逆流水格納空間512の貯留量V1が考慮される。逆流水格納空間512の体積がV2とされるとき、V1/V2は0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上がより好ましい。また、上記基準姿勢において、最下点p1は、逆流水格納空間512の体積重心よりも上方に位置するのが好ましい。体積重心とは、逆流水格納空間512を密度が一定の物質で充填した場合の、当該充填物の重心である。空気取り入れ口510をこのように配置することで、逆流水格納空間512に水が溜まった場合でも、水面と空気取り入れ口510との間に空気層A1が形成されやすい。よって、空気取り入れ口510からの水漏れが抑制される。
図18は、吐水スクリーン112の断面図である。吐水スクリーン112は、外側に向かって凸に湾曲した板状部材である。吐水スクリーン112の内面の全体は、外側に向かって凸の曲面である。吐水スクリーン112の外面の全体は、外側に向かって凸の曲面である。吐水スクリーン112の材質は、ステンレス鋼である。
この図18は、一つのシャワー孔h1の中心軸を含む断面図である。シャワー孔h1は、内開口h11と、外開口h12とを有する。内開口h11が水の入口であり、外開口h12が水の出口である。内開口h11の直径は、外開口h12の直径より大きい。シャワー孔h1の内面は、上流側から下流側に向かって内径が徐々に小さくなる内径変化部h13を有する。内径変化部h13は、凹曲面である。
内径変化部h13には、水流が衝突しうる。この衝突により、気泡が破壊されうる。内径変化部h13は、気泡の微細化に寄与する。
上述の通り、ヘッド部104では、旋回流により空気をせん断及び破壊して、細かい気泡を生成させている。ただし、一般家庭用の水道などでは、一定の流量を確保しつつ多量のマイクロバブルを生成するための旋回エネルギーが得られにくい場合もある。
旋回流による効果に加えて、シャワー孔h1による空気のせん断・破壊を利用することで、流量を確保しつつ、気泡の微細化が達成される。シャワー孔h1の孔径が小さいほど、吐水中における小径気泡の割合が増加する傾向があることが判明した。
図18において両矢印Tで示されているのは、吐水スクリーン112の厚みである。吐水スクリーン112の剛性を確保し、内部圧力による変形を抑制する観点から、厚みTは、0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上がより好ましい。更に好ましい。エッチング又はプレスによる孔形成を容易とする観点から、厚みTは、2.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.5mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、厚みTは0.4mmである。
上述の通り、シャワー孔h1(外開口h12)の断面積Pが小さい方が小径気泡の割合が多くなる傾向にある。また、断面積Pが大きいと、噴流が太く、かつ吐水の勢いが弱くなる。この場合、シャワーの浴び心地が悪化しうる。これらの観点から、断面積Pは、1.0mm2以下が好ましく、0.5mm2以下がより好ましく、0.15mm2以下が更に好ましい。孔形成のコストの観点から、断面積Pは、 0.03mm2以上が好ましく、0.07mm2以上がより好ましく、0.09mm2以上が更に好ましい。上記実施形態では、断面積Pは0.096mm2である。
シャワー孔h1の数nが小さいと、吐水される噴流の単位面積当たりの本数が減少し、シャワーの浴び心地が悪化しうる。この観点から、数nは、100以上が好ましく、150以上がより好ましく、200以上が更に好ましい。シャワー孔h1の開口面積の総和が大きいと、吐水の勢いが弱くなり、シャワーの浴び心地が悪化しうる。この観点から、数nは、500以下が好ましく、350以下がより好ましく、250以下が更に好ましい。上記実施形態では、数nは231である。
ヘッド部104の分解及び組立は容易である(図3及び図6参照)。押さえ部材114と外カバー106とは、互いの相対回転によりネジ結合されている。ノズルプレート120と旋回室カバー122とは、互いの相対回転によりネジ結合されている。旋回室カバー122と塞ぎ栓126とは、互いの相対回転によりネジ結合されている。これらのネジ結合を解除するだけで、ヘッド部104は分解されうる。よって、空気径路等の清掃を容易に行うことが出来る。
吐水スクリーン112、押さえ部材114、ノズルプレート120、旋回室カバー122、Oリング110及びOリング124は、軸対称形状である。これらの部材は、周方向において均等である。これらの部材は、周方向において任意に組み立てることができる。周方向の位置合わせは不要である。よって、組立及び分解が容易である。
吐水スクリーン112、押さえ部材114、ノズルプレート120及び旋回室カバー122の組立及び分解では、工具は不要である。素手であっても、組立及び分解が可能である。
塞ぎ栓126の取り付け及び取り外しに、特別な工具は不要である。塞ぎ栓126には、直線の溝gv1が設けられており(図6)、この溝gv1を利用して塞ぎ栓126を回転させることで、塞ぎ栓126の取り付け及び取り外しが可能である。よって、工具等の持ち合わせがない場合であっても、例えば硬貨等で、取り付け及び取り外しが可能である。よって、空気導入部220、細流路gp1、流路隙間gp2、空気取り入れ口510等に付着した水アカ及びカビなどを容易に除去することができる。
上述の通り、第1室R1は、周方向の全体に亘って繋がっている。ただし、第1室R1は、周方向の全体に亘って繋がっていなくても良い。第1室R1は、周方向において途切れていても良い。例えば、第1開口K1が周方向における一部の領域に設けられている場合などは、当該領域のみに第1室R1が設けられてもよい。本実施形態のように、第1開口K1(開口206)が周方向に均等に配置されている場合、第1室R1はこれらの全てに繋がっているほうが好ましい。この構成は、一次旋回流f1の流速(旋回方向速度)を高める。流動損失の低減の観点から、上流側の端t1は、周方向の全体に亘って繋がっているのが好ましい。
第1開口K1の数は限定されず、1個以上であればよい。乱れの少ないきれいな一次旋回流f1により、結果として第2開口K2での流動損失が低下し、第3室R3での流量が増加する。この観点から、第1開口K1の数は、2以上が好ましく、4以上がより好ましく、6以上が更に好ましい。第1開口K1の数が過大である場合、第1開口K1での流動損失が大きくなる。この観点から、第1開口K1の数は、12以下が好ましく、10以下がより好ましい。上記実施形態では、第1開口K1の数は10である。
乱れの少ないきれいな一次旋回流f1を実現する観点から、以下が好ましい。
(1)周方向に均等に4分割する場合において、周方向のどの位置で4分割しても、4つの分割範囲のそれぞれに、少なくとも1つの第1開口K1の少なくとも一部が含まれている。
(2)周方向に均等に6分割する場合において、周方向のどの位置で6分割しても、6つの分割範囲のそれぞれに、少なくとも1つの第1開口K1の少なくとも一部が含まれている。
(3)周方向に均等に8分割する場合において、周方向のどの位置で8分割しても、8つの分割範囲のそれぞれに、少なくとも1つの第1開口K1の少なくとも一部が含まれている。
(4)第1開口K1は、周方向に均等に配置される。
なお、上述の実施形態では、第1開口K1同士が互いに連結されていない孔であるが、隣り合う第1開口K1同士が(細い)連結開口で繋がれた形態も可能である。但し、一次旋回流f1の流速を高め、流速損失を低減する観点から、上記連結開口を設けないのが好ましい。即ち、第1開口K1は、隣り合う第1開口K1と開口が独立した孔であるのが好ましい。
上記実施形態では、第1開口K1の数が10とされ、これらの第1開口K1が周方向に均等に配置されている。
上述の通り、上記実施形態では、壁部208によって第2開口K2が形成されている。壁部208及び第2開口K2は、周方向に均等に分散されている。
壁部208の数が少ない場合、きれいな旋回流が生じにくく、結果として吐水における気泡の細かさ及び気泡の均一性が得られにくい。また、壁部208間の間隔が過大であると、第2開口K2を通過した水の流速(旋回方向速度)が上がりにくく、第3室R3の中心部における強い負圧が得られにくい。この観点から、壁部208の数は、2以上が好ましく、4以上がより好ましく、6以上がより好ましい。壁部208の数が過大である場合、第2開口K2での流動損失が大きい場合がある。この観点から、壁部208の数は、10以下が好ましく、8以下がより好ましい。上記実施形態では、壁部208の数は6である。
乱れの少ないきれいな二次旋回流f2を実現する観点から、以下が好ましい。
(1)周方向に均等に4分割する場合において、周方向のどの位置で4分割しても、4つの分割範囲のそれぞれに、少なくとも1つの壁部208の少なくとも一部が含まれている。
(2)周方向に均等に6分割する場合において、周方向のどの位置で6分割しても、6つの分割範囲のそれぞれに、少なくとも1つの壁部208の少なくとも一部が含まれている。
(3)周方向に均等に8分割する場合において、周方向のどの位置で8分割しても、8つの分割範囲のそれぞれに、少なくとも1つの壁部208の少なくとも一部が含まれている。
(4)壁部208は、周方向に均等に配置される。
乱れの少ないきれいな二次旋回流f2を実現する観点から、以下が好ましい。
(5)周方向に均等に4分割する場合において、周方向のどの位置で4分割しても、4つの分割範囲のそれぞれに、少なくとも1つの第2開口K2の少なくとも一部が含まれている。
(6)周方向に均等に6分割する場合において、周方向のどの位置で6分割しても、6つの分割範囲のそれぞれに、少なくとも1つの第2開口K2の少なくとも一部が含まれている。
(7)周方向に均等に8分割する場合において、周方向のどの位置で8分割しても、8つの分割範囲のそれぞれに、少なくとも1つの第2開口K2の少なくとも一部が含まれている。
(8)第2開口K2は、周方向に均等に配置される。
上述の通り、壁部208の端面214は、ノズルプレート120(の後面)に当接している(図4参照)。この当接により、壁部208は、前方部材(ノズルプレート120)と後方部材とを繋いだ状態となる。つまり、壁部208は、旋回流発生室Rxを軸方向に仕切った状態となる。よって、第2室R2と第3室R3とを繋ぐ第2開口K2は、壁部208同士の隙間のみとなる。この場合、第2開口K2から流入した流れの全てが旋回方向速度を有しており、二次旋回流f2の旋回方向速度が大きくなる。
一方、壁部208は、旋回流発生室Rxを軸方向に仕切っていなくても良い。例えば、上記実施形態において、壁部208の端面214がノズルプレート120に当接していなくてもよい。この場合、第2開口K2は、孔ではない。この場合、端面214とノズルプレート120との間の隙間も、第2開口K2となる。この隙間から流入した水は、乱流となりうる。二次旋回流f2の旋回方向速度を高める観点から、好ましくは、第2開口K2は壁部208同士の隙間のみとされる。
旋回室カバー122が後方部材とも称され、ノズルプレート120が前方部材とも称される。ヘッド部104は、前方部材120と、後方部材122とを有する。前方部材120は、旋回流発生室Rxの前方を構成している。後方部材122は、旋回流発生室Rxの後方を構成している。前方部材120は、第2室R2の前方を構成している。後方部材122は、第2室R2の後方を構成している。前方部材120は、第3室R3の前方を構成している。後方部材122は、第3室R3の後方を構成している。
図4が示すように、上記実施形態では、壁部208は、旋回室カバー122(後方部材)の前面から前方に延びている。これとは異なり、壁部208が、ノズルプレート120(前方部材)の後面から後方に延びていても良い。したがって、以下の(a)又は(b)の構成が可能である。上記実施形態は、下記(a)における好ましい形態に該当する。
(a)壁部208の後側は後方部材に繋がっている。好ましくは、壁部208の前端は前方部材に隙間無く当接している。
(b)壁部208の前側は前方部材に繋がっている。好ましくは、壁部208の後端は後方部材に隙間無く当接している。
このように、壁部208は、前方部材と一体であってもよいし、後方部材と一体であってもよい。また、壁部208は、前方部材及び後方部材とは別の部材に設けられていても良い。例えば、前方部材及び後方部材とは別に、傾斜孔を有する円環部材が用いられても良い。この場合、当該円環部材の傾斜孔が第2開口K2であり、当該傾斜孔を形成している孔形成部分が壁部208である。この円環部材は、例えば、前方部材と後方部材との間に配置される。
上述の通り、安定した旋回流の観点から、壁部208の端面214はノズルプレート120に当接しているのが好ましい。この当接を確実とすべく、ネジ結合を利用した突き当てが採用されている。壁部208が設けられている後方部材(旋回室カバー122)とその前方の前方部材(ノズルプレート120)とは、互いの相対回転でネジ結合されるように構成されている。図4が示すように、後方部材と前方部材とは、互いの相対回転によりでネジ結合の締結及び解除がなされるように構成されている。更に、このネジ結合を締結する方向の相対回転により、後方部材における壁部208の端面214が前方部材に近づくように構成されている。この相対回転により、後方部材と前方部材との前後方向距離が近づくように構成されている。更に、このネジ結合による後方部材と前方部材との軸方向における相対移動範囲は、後方部材における壁部208の端面214が前方部材に当接する状態を含む。よって、壁部208の端面214を前方部材に確実に当接させることができる。
Oリング等のシール部材を用いずに、2つの部材の相対的な位置関係のみで仕切りを形成するのは難しい。なぜなら、各部材の寸法のバラツキにより、隙間が生じうるからである。上述のネジ結合を利用した突き当て構造は、2つの部材の寸法のバラツキによらず、隙間のない当接を達成しうる。
上述の通り、旋回室カバー122(後方部材)の内部で生じる旋回流の回転方向と、締め付け時の旋回室カバー122(後方部材)の回転方向とが一致している。よって、長期間使用してもネジ結合が緩みにくく、壁部208の端面214の前方部材への当接が維持されやすい。
本願では、第1開口K1の開口面積S1(mm2)が定義される。更に、この開口面積S1の総和S1S(mm2)が定義される。また、本願では、第2開口K2の開口面積S2(mm2)が定義される。更に、この開口面積S2の総和S2S(mm2)が定義される。
開口面積S1は、個々の第1開口K1の開口面積である。単一の第1開口K1において、この第1開口K1をあらゆる平面でカットし、断面積が最小となる断面を特定したとき、この断面における最小の断面積が開口面積S1である。あらゆる平面とは、三次元的に任意なあらゆる平面である。
総和S1Sは、各第1開口K1において決定される面積S1の総和である。なお、第1開口K1が1個である場合は、総和S1Sは面積S1に等しい。
開口面積S2は、個々の第2開口K2の開口面積である。単一の第2開口K2において、この第2開口K2をあらゆる平面でカットし、断面積が最小となる断面を特定したとき、この断面における最小の断面積が開口面積S2である。
総和S2Sは、各第2開口K2において決定される面積S2の総和である。なお、第2開口K2が1個である場合は、総和S2Sは面積S2に等しい。
第3室R3において充分な量の空気を水流に引き込むには、旋回流の中心付記の回転速度が大きく、かつ、安定した旋回流を生成するのが好ましい。このためには、旋回方向に流れを誘導し、かつ、流入部(第2室R2)の開口面積を小さくするのがよい。しかし開口面積を一気に狭めた場合、流体のエネルギー損失が増大し、流量が低下しやすい。本実施形態では、第1開口K1及び第2開口K2という二段階の開口により、開口方向及び開口面積を段階的に変化させている。この構造により、流れのエネルギー損失が低減し、流量の低下が抑制される。なお、本実施形態では二段階であるが、三段階であってもよく、四段階以上であってもよい。例えば、第2室R2及び/又は第3室R3が壁部208と同様な構造の壁部で区分けされていてもよい。
第2室R2への流入速度よりも第3室R3への流出速度を大きくすることで、第2室R2で生成した旋回エネルギーが第3室R3に効果的に移行され、二次旋回流f2の回転速度が高まる。この観点から、S2S/S1Sは1未満であるのが好ましい。即ち、S2S/S1S<1が好ましい。
第2開口K2での流動抵抗を低減し、製品性能としての流量を増大させる観点から、S2S/S1Sは、0.10(mm2)以上が好ましく、0.15(mm2)以上がより好ましく、0.20(mm2)以上が更に好ましい。第2開口K2での流速を高める観点から、S2S/S1Sは、0.55(mm2)以下が好ましく、0.45(mm2)以下がより好ましく、0.35(mm2)以下が更に好ましい。上記実施例では、S2S/S1Sは0.25(mm2)である。
第1開口K1での流動抵抗を減らし、流量を増大させる観点から、総和S1Sは、200(mm2)以上が好ましく、300(mm2)以上がより好ましく、350(mm2)以上がより好ましい。一次旋回流f1の流速を高める観点から、総和S1Sは、700(mm2)以下が好ましく、550(mm2)以下がより好ましく、450(mm2)以下がより好ましい。上記実施形態では、総和S1Sは398(mm2)である。また、上記実施形態では、開口面積S1は全て同じである。
第2開口K2での流動抵抗を減らし、流量を増大させる観点から、総和S2Sは、50(mm2)以上が好ましく、70(mm2)以上がより好ましく、90(mm2)以上がより好ましい。二次旋回流f2の流速を高める観点から、総和S2Sは、150(mm2)以下が好ましく、130(mm2)以下がより好ましく、110(mm2)以下がより好ましい。上記実施形態では、総和S2Sは101(mm2)である。また、上記実施形態では、開口面積S2は全て同じである。
図15等が示すように、第1室R1の軸方向存在範囲の少なくとも一部は、第2室R2の軸方向存在範囲に重複している。第2室R2の軸方向存在範囲の少なくとも一部は、第3室R3の軸方向存在範囲に重複している。第3室R3の軸方向存在範囲の少なくとも一部は、第4室R4の軸方向存在範囲に重複している。第1開口K1の軸方向存在範囲は、第3室R3の軸方向存在範囲に重複している。第2開口K2の軸方向存在範囲は、第3室R3の軸方向存在範囲に重複している。第3開口K3の軸方向存在範囲は、第3室R3の軸方向存在範囲に重複している。このヘッド部104では、軸方向幅を小さくすることができる。
[従来技術の問題点]
以下において、特開2008−136931号公報に記載の発明の問題点を示す。なお、この問題点は、本発明の好ましい一形態である上記実施形態との対比における問題点であって、本発明を限定するものではない。
特開2008−136931号公報(図3)に記載の発明では、渦流形成路24A(第3室)が液流収容部21B(第2室)の軸方向前方に配置されているため、シャワーヘッドが軸方向に大きくなりやすい。
特開2008−136931号公報(図3)に記載の発明では、渦流形成路24Aの出口から放出された水を液流飛散面28aに衝突させている。この衝突により、シャワー板の内側では縦渦を含む複雑な流れが生じ、吐水における気泡密度及び気泡の均一性が低下する。
特開2008−136931号公報(図3)に記載の発明では、渦流形成路24Aの出口部分がストレート形状であるため、渦流形成路24Aから放出された水が液流飛散面28aに強く衝突する。このため、シャワー板の内側の複雑な流れが増幅され、吐水における気泡密度及び気泡の均一性が更に低下する。この構成では、水流を液流飛散面28aに積極的に衝突させているため、図16で示されるよりも更に複雑な水流となり、気泡密度及び気泡の均一性が低下しやすい。
特開2008−136931号公報(図3)に記載の発明では、液流飛散面28aを設けているため、吐水スクリーンの設計自由度が低下する。例えば、吐水スクリーンの中央部からシャワー吐水をすることができない。
特開2008−136931号公報(図3)に記載の発明では、軸方向のみの流れから旋回方向の流れ成分を生成するため、液流旋回部材31の螺旋溝31aを軸方向に長くする必要がある。このため、シャワーヘッドが軸方向に大きくなりやすい。
特開2008−136931号公報(図3)に記載の発明では、液流収容部21B(第2室)への流入箇所が1箇所と少ない。よって、液流収容部21Bにおける旋回流は不安定となりやすい。また、少ない流入箇所で流速を高めようとすると、開口面積を絞る必要があるため、圧力損失が増大しうる。
特開2008−136931号公報(図3)に記載の発明では、液流収容部21B(第2室)への流入箇所が1箇所と少ない。このため、よって、液流収容部21B(第2室)における旋回流は不安定となりやすい。この不安定な旋回流が、液流旋回部材31の複数の開口に供給されるため、各開口への水供給量や流速に相違が出るなどして、渦流形成路24A(第3室)での旋回流も乱れやすい。このため、吸気量が少なくなり、生成する気泡量も少なくなる。
特開2008−136931号公報(図3)に記載の発明では、軸方向のみの流れから旋回方向の流れ成分を生成するため、流れの方向の急変による流動抵抗の増大が生じ、液量低下が生ずる。
特開2008−136931号公報(図3)に記載の発明では、渦流形成路24Aが軸方向前方であるため、長い空気導入管が必要となる。長い空気導入管は、ヘッド部の組立の複雑化、部品製造の困難性及びヘッドの大型化を招く。
上述した構成から明らかなように、上記実施形態は、これらの問題点を解決しうる。
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。