JP2017221919A - 微細気泡発生装置、シャワーヘッドおよび混相流体処理装置 - Google Patents

微細気泡発生装置、シャワーヘッドおよび混相流体処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液体の流路の断面の全体にわたって微細気泡を容易に発生させることができ、しかも複数の平板を積層または一体化した簡単な構造を有するため低コストで製造可能でかつ薄型化が可能な微細気泡発生装置を提供する。【解決手段】微細気泡発生装置10は、積層または一体化された第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300を有する。第1平板部100は、m重回転対称(mは2以上の偶数)の位置のm個の点に関してn重回転対称(nは2以上の整数)の位置のn個の流入孔111〜122を有する。第2平板部200は、m個の点に対応する位置にそれぞれ設けられた円形部およびn個の流入孔に対応する位置からそれぞれこの円形部の接線方向に延在する直線部からなるm個の旋回流発生用流路を有する。第3平板部300は、m個の旋回流発生用流路の円形部に対応する位置にそれぞれ設けられたm個の渦崩壊ノズル310などを有する。【選択図】図1

Description

この発明は、微細気泡発生装置、シャワーヘッドおよび混相流体処理装置に関し、例えば、微細気泡を含む水などの混相流体の生成、使用および処理に適用して好適なものである。
従来、液体が流される管路内で微細気泡を発生させる際に、管路内に旋回流型微細気泡発生ノズルを複数並列に配置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、特許文献1には、液体が流される管路の途中にこの管路を閉塞するように設けられた閉塞部材の複数箇所にこの閉塞部材を貫通して複数の旋回流型微細気泡発生ノズルを設け、これらの旋回流型微細気泡発生ノズルにより、下流の液体中に微細気泡を発生させることが記載されている。この旋回流型微細気泡発生ノズルは、旋回流発生用翼体(ベーン)を管の内部に収容した旋回流発生用翼型ノズルと、この旋回流発生用翼型ノズルと同軸に結合された、縮流部と渦崩壊部とを有する渦崩壊ノズルとを有し、上記の縮流部に中心に気体が導入された液体の旋回流を供給することにより上記の渦崩壊部から微細気泡を発生させるものである。
特許第5594680号明細書 特許第4019154号明細書 特許第5170409号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の旋回流型微細気泡発生ノズルは、旋回流発生用翼体の構造が複雑であるため、この旋回流発生用翼体を複数配置するためには製作費用が掛かるとともに、小型化に限界がある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、液体の流路の断面の全体にわたって微細気泡を容易に発生させることができ、しかも複数の平板を積層または一体化した簡単な構造を有するため低コストで製造可能でかつ薄型化が可能な微細気泡発生装置を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記の微細気泡発生装置を用いたシャワーヘッドを提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、上記の微細気泡発生装置を用いた混相流体処理装置を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は、
所定の中心に関してm重回転対称(mは2以上の偶数)の位置にあるm個の点に関してn重回転対称(nは2以上の整数)の位置に設けられたn個の流入孔を有する第1平板部と、
上記第1平板部と積層または一体に形成され、上記m個の点に対応する位置にそれぞれ設けられた円形部および上記n個の流入孔に対応する位置からそれぞれこの円形部の接線方向に延在する直線部からなるm個の旋回流発生用流路を有し、円周方向に互いに隣接する二つの上記旋回流発生用流路はそれぞれの上記円形部の中心間を結ぶ直線の垂直二等分線に関して対称な形状を有する第2平板部と、
上記第2平板部と積層または一体に形成され、上記m個の旋回流発生用流路の上記円形部に対応する位置にそれぞれ設けられた、円筒部を含む渦崩壊部を有するm個の渦崩壊ノズルを有する第3平板部と、
を有する微細気泡発生装置である。
この微細気泡発生装置においては、第1平板部の流入孔から液体が流入し、第2平板部の旋回流発生用流路の直線部および円形部ならびに第3平板部の渦崩壊ノズルを通って液体が流出するときのスワールパラメータをSw と表したとき、Sw ≧1である。この条件は、渦崩壊ノズルにおいて渦崩壊が発生する条件である。旋回流発生用流路の円形部の半径をR、旋回流発生用流路の直線部の幅をt、渦崩壊部の最小半径をre と表したとき、t<R−re である。この条件は、nが2以上の整数であることとともに、第2平板部の旋回流発生用流路の円形部で旋回流が発生する条件である。第3平板部の厚さをd3 としたとき、d3 >re 、好適にはd3 ≧4re である。この条件は、旋回流に給気を行うための給気部の圧力の低減に必要な条件である。渦崩壊ノズルは、典型的には、渦崩壊部の上流側に縮流部を有し、縮流部は渦崩壊部に向かって断面積が徐々に減少しており、渦崩壊部との境界部において渦崩壊部と同一の断面形状を有する。典型的には、渦崩壊部は円筒部の下流側に出口に向かって広がった形状の終端部を有し、円筒部の内周面と終端部の端面とが滑らかに繋がっており、円筒部の内周面と終端部の端面とがなす角度をθ0 としたとき、90度<θ0 <180度である。好適には、mは4以上の偶数である。同様に、好適には、nは4以上の整数である。第1平板部、第2平板部および第3平板部は一体に形成されてもよいが、好適には、第1平板部、第2平板部および第3平板部が別々に形成され、互いに積層されて一体化され、あるいは、第2平板部および第3平板部が互いに一体に形成され、これが第1平板部と積層されて一体化される。第1平板部の流入孔は、典型的には、第1平板部に垂直に設けられ、円形の断面形状を有するが、これに限定されるものではない。典型的には、第1平板部は、流入孔に加えて、第2平板部の旋回流発生用流路の円形部に対応する位置にこの円形部と連通して給気孔を有する。必要に応じて、第3平板部の渦崩壊ノズルの前方を閉塞するが、その他の部分は開口した邪魔板を設置し、この渦崩壊ノズルの出口から流出する液体が邪魔板に当たり、邪魔板に沿う方向に流れるようにし、邪魔板の開口から微細気泡を含む液体が放出されるようにしてもよい。具体的には、例えば、邪魔板のうちの、第3平板部の渦崩壊ノズルの円筒部の中心軸の延長線とこの邪魔板との交点を中心とする、少なくとも渦崩壊ノズルの円筒部の半径に等しい半径以内の部分には開口が設けられていない。また、第3平板部と邪魔板との間の距離をhとしたとき、h≦re /2であり、好適にはre /6≦h≦re /2である。こうすることで、渦崩壊ノズルの出口の付近で微細気泡が合体するのを効果的に抑制することができ、微細気泡の濃度を高くすることができ、さらに吸い出し効果によって液体の流れに対する抵抗(液体が水の場合は流水抵抗)を低減することができる。
また、この発明は、
ヘッド部の内部の、シャワー孔を有する先端部の内側に微細気泡発生装置が設けられ、
上記微細気泡発生装置は、
所定の中心に関してm重回転対称(mは2以上の偶数)の位置にあるm個の点に関してn重回転対称(nは2以上の整数)の位置に設けられたn個の流入孔を有する第1平板部と、
上記第1平板部と積層または一体に形成され、上記m個の点に対応する位置にそれぞれ設けられた円形部および上記n個の流入孔に対応する位置からそれぞれこの円形部の接線方向に延在する直線部からなるm個の旋回流発生用流路を有し、円周方向に互いに隣接する二つの上記旋回流発生用流路はそれぞれの上記円形部の中心間を結ぶ直線の垂直二等分線に関して対称な形状を有する第2平板部と、
上記第2平板部と積層または一体に形成され、上記m個の旋回流発生用流路の上記円形部に対応する位置にそれぞれ設けられた、円筒部を含む渦崩壊部を有するm個の渦崩壊ノズルを有する第3平板部と、
を有し、
上記第3平板部が上記ヘッド部の上記先端部の内面に面しているシャワーヘッドである。
このシャワーヘッドにおいては、ヘッド部の先端部のうちの、第3平板部の渦崩壊ノズルの円筒部の中心軸の延長線と先端部との交点を中心とする、少なくとも渦崩壊ノズルの円筒部の半径以内の部分にはシャワー孔が設けられていない。また、第3平板部と先端部との間の距離をhとしたとき、h≦re /2であり、好適にはre /6≦h≦re /2である。こうすることで、このシャワーヘッドの使用時に渦崩壊ノズルの出口付近で微細気泡が合体するのを効果的に抑制することができ、渦崩壊ノズル中心部に生成される気柱の圧力が低下するため、微細気泡を高濃度に含む水をシャワー孔から放出することができる。
また、この発明は、
混相流体の流路の途中に上記混相流体を攪拌混合するための微細気泡発生装置が設けられ、
上記微細気泡発生装置は、
所定の中心に関してm重回転対称(mは2以上の偶数)の位置にあるm個の点に関してn重回転対称(nは2以上の整数)の位置に設けられたn個の流入孔を有する第1平板部と、
上記第1平板部と積層または一体に形成され、上記m個の点に対応する位置にそれぞれ設けられた円形部および上記n個の流入孔に対応する位置からそれぞれこの円形部の接線方向に延在する直線部からなるm個の旋回流発生用流路を有し、円周方向に互いに隣接する二つの上記旋回流発生用流路はそれぞれの上記円形部の中心間を結ぶ直線の垂直二等分線に関して対称な形状を有する第2平板部と、
上記第2平板部と積層または一体に形成され、上記m個の旋回流発生用流路の上記円形部に対応する位置にそれぞれ設けられた、円筒部を含む渦崩壊部を有するm個の渦崩壊ノズルを有する第3平板部と、
を有し、
上記第1平板部が上記流路の上流側に面している混相流体処理装置である。
この混相流体処理装置は、混相流体の攪拌混合に用いられるが、処理する混相流体は特に限定されず、必要に応じて選ばれる。混相流体は、典型的には、空気などの気体と水や液体燃料などの液体との混相流体である。この混相流体処理装置は、例えば、燃焼器やスタティックミキサーなどに適用して好適なものである。
上記のシャワーヘッドおよび混相流体処理装置の各発明においては、その性質に反しない限り、上記の微細気泡発生装置の発明に関連して説明したことが成立する。
この発明によれば、微細気泡発生装置は、流入孔を有する第1平板部、旋回流発生用流路を有する第2平板部および渦崩壊ノズルを有する第3平板部により構成されるため、構造が簡単である。このため、この微細気泡発生装置は、低コストで製造することができ、しかも薄型化が可能である。また、第1平板部の流入孔、第2平板部の旋回流発生用流路および第3平板部の渦崩壊ノズルの数、間隔および配置の選択により、この微細気泡発生装置が設置される流路の断面の全体に微細気泡を発生させることができる。また、シャワーヘッドは、ヘッド部の内部の先端部の内側に微細気泡発生装置が設けられていることにより、微細気泡を高濃度に含む水をシャワー孔から放出することができる。さらに、混相流体処理装置は、流路の途中に微細気泡発生装置を有するため、攪拌混合された、微細気泡を高濃度に含む混相流体を得ることができる。
この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置を示す正面図、側面図、断面図および一部拡大断面図である。 この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置の第1平板部の正面図である。 この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置の第2平板部の正面図である。 この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置の第3平板部の正面図である。 この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置の動作を説明するための断面図である。 この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置の第2平板部の旋回流発生用流路を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置の第3平板部の厚さd3 に対する水流のパワーと給気部圧力との関係を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置の第3平板部の厚さd3 に対する水流の圧力と流量との関係を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置の種々の設計パラメータに対する水流の水圧と流量との関係を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による微細気泡発生装置において水流の抵抗を高めたときの水圧と流量との関係を示す略線図である。 この発明の第2の実施の形態による微細気泡発生装置を示す断面図である。 この発明の第2の実施の形態による微細気泡発生装置における邪魔板の効果を説明するための断面図である。 この発明の第2の実施の形態による微細気泡発生装置における邪魔板の効果を検証するために行った実験の結果を示す略線図である。 この発明の第2の実施の形態による微細気泡発生装置における邪魔板の効果を検証するために行った実験の結果を示す略線図である。 この発明の第2の実施の形態による微細気泡発生装置における邪魔板の効果を検証するために行った実験で用いた試験用微細気泡発生装置を示す図面代用写真である。 この発明の第2の実施の形態による微細気泡発生装置における邪魔板の効果を検証するために行った実験の結果を示す図面代用写真である。 この発明の第3の実施の形態による微細気泡発生装置を示す断面図である。 この発明の第3の実施の形態による微細気泡発生装置の効果を検証するために行った実験の結果を示す略線図である。 この発明の第4の実施の形態による微細気泡発生装置を示す略線図である。 この発明の第5の実施の形態によるシャワーヘッドを示す正面図および背面図である。 この発明の第5の実施の形態によるシャワーヘッドを示す断面図である。 この発明の第5の実施の形態によるシャワーヘッドの微細気泡発生装置の第1平板部を示す正面図である。 この発明の第5の実施の形態によるシャワーヘッドの微細気泡発生装置の第2平板部および第3平板部を示す正面図および断面図である。
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という。)について図面を参照しながら説明する。
〈第1の実施の形態〉
[微細気泡発生装置]
図1A〜Dは第1の実施の形態による微細気泡発生装置を示す。ここで、図1Aは正面図、図1Bは側面図、図1Cは図1AのC−C線に沿っての断面図、図1Dは渦崩壊ノズル付近の拡大断面図である。また、図2、図3および図4はそれぞれこの微細気泡発生装置の第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300を示す正面図である。ここでは、一例として、m=n=4である場合について説明するが、これに限定されないことは言うまでもない。
図1A〜Dに示すように、微細気泡発生装置10は、互いに積層された、それぞれ円形の第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300からなり、全体として偏平な円柱状の形状を有する。第1平板部100と第2平板部200との間および第2平板部200と第3平板部300との間は接着などにより密着しており、それらの間の隙間から水などの液体が漏れないようになっている。
図2に示すように、第1平板部100は、この第1平板部100の中心Cに関して4重回転対称の位置にある4個の点P1 、P2 、P3 、P4 に関して4重回転対称の位置に設けられた合計で12個の流入孔111〜122を有する。ここで、点P1 に関して4重回転対称の位置に流入孔111〜114が設けられ、点P2 に関して4重回転対称の位置に流入孔112、115〜〜117が設けられ、点P3 に関して4重回転対称の位置に流入孔117〜120が設けられ、点P4 に関して4重回転対称の位置に流入孔113、120〜122が設けられている。このうち流入孔112はP1 の周りの4個の流入孔とP2 の周りの4個の流入孔との間で共通、流入孔113はP1 の周りの4個の流入孔とP4 の周りの4個の流入孔との間で共通、流入孔117はP2 の周りの4個の流入孔とP3 の周りの4個の流入孔との間で共通、流入孔120はP3 の周りの4個の流入孔とP4 の周りの4個の流入孔との間で共通である。これらの流入孔111〜122は、第1平板部100を垂直に貫通して設けられており、それらの中心軸の方向に同一半径の円形の断面形状を有する。図示は省略するが、第1平板部100には、必要に応じて、後述の第2平板部200の旋回流発生用流路210、220、230、240の円形部211、221、231、241にそれぞれ連通する給気孔が設けられ、これらの給気孔から給気が行われるが、給気の方法はこれに限定されるものではない。第1平板部100の半径、厚さおよび材質ならびに流入孔111〜122の直径は、特に限定されず、この微細気泡発生装置10の用途、使用部位、流量などに応じて適宜選択される。
図3に示すように、第2平板部200は旋回流発生用流路210、220、230、240を有する。旋回流発生用流路210は、第1平板部100の点P1 に対応する位置を中心として設けられた円形部211および点P1 に関する4重回転対称の位置からそれぞれこの円形部211の接線方向に延在する直線部212〜215からなる。直線部212〜215のそれぞれの一端部は第1平板部100の流入孔111〜114とそれぞれ連通している。旋回流発生用流路220は、第1平板部100の点P2 に対応する位置を中心として設けられた円形部221および点P2 に関する4重回転対称の位置からそれぞれこの円形部221の接線方向に延在する直線部222〜225からなる。直線部222〜225のそれぞれの一端部は第1平板部100の流入孔112、115〜117とそれぞれ連通している。旋回流発生用流路230は、第1平板部100の点P3 に対応する位置を中心として設けられた円形部231および点P3 に関する4重回転対称の位置からそれぞれこの円形部231の接線方向に延在する直線部232〜235からなる。直線部232〜235のそれぞれの一端部は第1平板部100の流入孔117〜120とそれぞれ連通している。旋回流発生用流路240は、第1平板部100の点P4 に対応する位置を中心として設けられた円形部241および点P4 に関する4重回転対称の位置からそれぞれこの円形部241の接線方向に延在する直線部242〜245からなる。直線部242〜245のそれぞれの一端部は第1平板部100の流入孔113、120〜122とそれぞれ連通している。これらの旋回流発生用流路210、220、230、240は、第2平板部200を垂直に貫通して設けられており、円形部211、221、231、241および直線部212〜215、222〜225、232〜235、242〜245とも矩形の断面形状を有する。ここで、これらの旋回流発生用流路210、220、230、240のうち互いに隣接する二つの旋回流発生用流路は、それらの円形部の中心間を結ぶ直線の垂直二等分線に関して対称な形状を有する。第2平板部200の半径および材質は、特に限定されず、この微細気泡発生装置10の用途、使用部位、流量などに応じて適宜選択される。
図4に示すように、第3平板部300は、第2平板部200の旋回流発生用流路210、220、230、240の円形部211、221、231、241に対応する位置に設けられた断面形状が円形の貫通孔からなる4個の渦崩壊ノズル310、320、330、340を有する。これらの渦崩壊ノズル310、320、330、340の中心軸は第3平板部300に対して垂直である。これらの渦崩壊ノズル310、320、330、340は、それぞれ第2平板部200の旋回流発生用流路210、220、230、240の円形部211、221、231、241と連通している。図1Dに示すように、これらの渦崩壊ノズル310、320、330、340は、それぞれ、上流側から下流側に向かって縮流部CFおよび渦崩壊部VBを有する。縮流部CFは、渦崩壊部VBに向かって断面積が徐々に減少し、渦崩壊部VBとの境界部において渦崩壊部VBと同一の断面形状を有する円錐台状の形状を有する。渦崩壊部VBは、上流側から下流側に向かって円筒部および終端部を有する。終端部は、円筒部の下流側に出口に向かって広がった形状を有し、円筒部の内周面と終端部の端面とが滑らかに繋がっており、円筒部の内周面と終端部の端面とがなす角度をθ0 としたとき、90度<θ0 <180度である。
[微細気泡発生装置10の動作]
図1A〜Dおよび図5に示すように、この微細気泡発生装置10においては、第1平板部100の上流から流れてくる液体(水など)が第1平板部100の流入孔111〜122に流入し、第2平板部200の旋回流発生用流路210、220、230、240の直線部212〜215、222〜225、232〜235、242〜245の一端に入る。続いて液体は、直線部212〜215を通って円形部211に流入し、直線部222〜225を通って円形部221に流入し、直線部232〜235を通って円形部231に流入し、直線部242〜245を通って円形部241に流入する。一例として、旋回流発生用流路210について説明する。図5に示すように、円形部211には、それぞれの接線方向に設けられた4個の直線部212〜215から液体が流入する結果、旋回流が発生する。この旋回流の中心部には、例えば第1平板部100に設けられた給気孔から空気が吸い込まれて旋回流の内部に気泡が発生し、続いて第3平板部300の渦崩壊ノズル310の縮流部CFで縮流されるため、渦度の集中により渦糸を発生させる。この渦糸は、渦崩壊部VBで渦核が不安定となり、渦崩壊を発現する。この渦崩壊により大きな気泡が細かく潰され、微細気泡となって渦崩壊ノズル310の出口から放出される。すなわち、渦崩壊ノズル310の出口から微細気泡を含む液体が放出される。渦崩壊ノズル320、330、340についても同様である。
この場合、旋回流発生用流路210、220、230、240のうち互いに隣接する二つの旋回流発生用流路は、それらの円形部の中心間を結ぶ直線の垂直二等分線に関して対称な形状を有することにより、互いに隣接する二つの旋回流発生用流路の円形部に発生する旋回流の向きは互いに逆になっている。具体的には、旋回流発生用流路210の円形部211に発生する旋回流は時計周り、旋回流発生用流路220の円形部221に発生する旋回流は反時計周り、旋回流発生用流路230の円形部231に発生する旋回流は時計周り、旋回流発生用流路240の円形部241に発生する旋回流は反時計周りである。このため、この微細気泡発生装置10を管路に設置し、液体を流した場合には、この管路の内部の外周に沿う循環が0となり、この微細気泡発生装置10の下流において、微細気泡の合体を抑制することができ、微細気泡の径を小さくすることができる。
[微細気泡発生装置10の各部の設計条件]
この微細気泡発生装置10の各部の寸法は以下の条件を満たすように選ばれている。
1.渦崩壊発生条件
渦崩壊ノズル310、320、330、340で渦崩壊が発生する条件について説明する。図5に示すように、第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300の厚さをそれぞれd1 、d2 、d3 とする。また、図5および図6に示すように、旋回流発生用流路210、220、230、240の円形部211、221、231、241の半径をR、直線部212〜215、222〜225、232〜235、242〜245の幅および長さをそれぞれtおよびLとする。ただし、L>tである。また、第3平板部300の渦崩壊ノズル310、320、330、340の渦崩壊部VBの円筒部の半径をre とする。ただし、d3 >re である。
第2平板部200の旋回流発生用流路210、220、230、240の直線部212〜215、222〜225、232〜235、242〜245を通過する液体の速さおよび流量をそれぞれVθ(θは添字)、qとすると、
である。
第2平板部200の旋回流発生用流路210、220、230、240および第3平板部300の渦崩壊ノズル310、320、330、340を流れる液体に関する角運動量保存の法則より、
が成立する。また、流量保存の法則より、
が成立する。ただし、nは直線部の数であり、この例ではn=4である。
スワールパラメータをSw とすると、
が成立する。
すなわち、渦崩壊が発生する条件はSw ≧1である。d2 、n、t、R、re はこの条件を満足するように選択されている。
2.d3 の最適条件
渦崩壊ノズル310、320、330、340が形成された第3平板部300の厚さ(渦崩壊ノズル310、320、330、340の長さ)d3 の最適条件について説明する。この最適条件を見出すために実験を行った。図1A〜Dに示す微細気泡発生装置10をR=25mm、re =3mm、t=6mm、L=25mm、d1 =2mm、d2 =5mmに設定して試作した。d3 を5mm、15mmに変えて実験を行った。実験は次のように行った。微細気泡発生装置10の第1平板部100の前に密閉された前室を作製し、微細気泡発生装置10の全体を水槽に沈めた。前室の上部にチューブを接続し、このチューブからポンプを使って内部に水を流入させ、一方、第1平板部100のうち、渦崩壊ノズル310、320、330、340に対応する部分に形成された4個の給気孔に前室を通してそれぞれ給気チューブを接続し、これらの給気チューブの一端を水中から出して給気を行った。
図7はポンプから微細気泡発生装置10に水を送出する時のパワー(水量×水圧)と給気部圧力(給気孔の圧力、従って給気チューブの一端の空気の圧力)との関係をd3 =5mm、d3 =15mmの場合についてプロットした図である。また、図8はポンプの圧力と流量との関係をd3 =5mm、d3 =15mmの場合についてプロットした図である。図7および図8より、d3 が大きくなると、微細気泡発生装置10を流れる水の抵抗が大きくなり流量は減少する一方、給気部圧力は大きく低下することが分かる。図7および図8の結果から、d3 /(2re )=2〜3倍以上が必要であると考えることができる。結論として、給気部圧力の低下を図るための最適条件はd3 ≧4re である。
3.d2 およびre の最適条件
以下においては、旋回流発生用流路210、220、230、240が形成された第2平板部200をプレート型スワーラーと称する。
旋回流発生用流路210、220、230、240の円形部211、221、231、241に形成される旋回流の中心の圧力をpe とすると、
と表される。ここで、Ωe は第3平板部300に形成された渦崩壊ノズルの渦崩壊部の内部の液体の角速度を示す。旋回流発生用流路から渦崩壊ノズルを通る液体に関する角運動量の保存の法則から
が成立する。ただし、Ωは円形部211、221、231、241に発生する旋回流の角速度を示す。また、旋回流の接線方向流速は(1)式に示す通りである。
以上より、
となる。
微細気泡発生装置10をシャワーヘッドに使用するときのように、微細気泡を含む水が大気中に放出される場合には、渦崩壊ノズルの出口では大気圧のため、pe が微細気泡発生装置10に流量Q=qnの水を流すために必要な水圧に相当すると考えられる。
図9は、微細気泡発生装置10において旋回流発生用流路を一つとし、渦崩壊ノズルもこの旋回流発生用流路に対応するもの一つとしたものを作製し、R、d2 、t、re を変えて水を流す実験を行い、水圧と流量との関係を測定した結果を示す。プレート型スワーラーの抵抗は、旋回流中心の圧力pe と直接関係するため、その予測は微細気泡発生装置10の設計上、非常に重要である。例えば、一定流量の下で、給気部圧力を低下させるには、図9から分かるように、Rを大きくtを小さくすればよい。
図9において、R=5mm、d2 =2mm、t=1.5mm、re =4.5mmの場合の水圧−流量曲線に着目すると、プレート型スワーラーの圧力抵抗が小さいため、給気部圧力が下がらない。図10に、プレート型スワーラーの圧力抵抗を4倍にしたときの水圧−流量曲線を示す。図10には、直径が19mmで翼数が4の旋回流発生用翼体を管部に収容した旋回流発生用翼型ノズルの後段に、旋回流発生用翼体の直ぐ後ろに直線テーパー状の縮流部を有する渦崩壊ノズルが設けられた翼型微細気泡発生ノズル(例えば、特許文献2参照。)を用いて水を流す実験を行い、水圧と流量との関係を測定した結果も示す。図10から分かるように、プレート型スワーラーの圧力抵抗を4倍にすれば、その水圧−流量曲線は翼型微細気泡発生ノズルの水圧−流量曲線と同じになるため、(7)式より、R/(re 2 t)の値が2倍になるように設計すれば、翼型微細気泡発生ノズルと同様に十分に低い給気圧を実現することができる。このように、旋回流発生用流路のうち円形部の半径Rが小さい場合でも、直線部の幅tを小さくすれば、給気圧を低くすることができることが分かる。旋回流発生用流路の直線部の断面形状は矩形であり、従って旋回流発生用流路は製作が容易であるため、プレート型スワーラーの小型化が容易である。
今、給気圧パラメータpa を次式で定義する。
となる。プレート型スワーラーを通過する液体の流量をQ=nqとすると、(8)式および(4)式より、re については
となり、d2 については
となる。
以上より、設計条件として、給気圧パラメータpa 、流量QおよびスワールパラメータSw を与えると、re およびd2 が決定される。ここで、(10)式のR/tは、旋回流が発生するように、例えばt/R<1/4となるように選ぶ必要がある。
以上のように、この第1の実施の形態によれば、流入孔111〜122を有する第1平板部100、旋回流発生用流路210、220、230、240を有する第2平板部200および渦崩壊ノズル310、320、330、340を有する第3平板部300を積層した極めて簡単な構成により薄型の微細気泡発生装置10を実現することができる。そして、この微細気泡発生装置10を液体の流路の途中に設置することにより、この微細気泡発生装置10の下流の液体に微細気泡を含ませることができる。また、この微細気泡発生装置10は四つの渦崩壊ノズル310、320、330、340を有するため、流路の断面の全体にわたって微細気泡を発生させることができる。また、第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300は円板に貫通孔を形成するだけで極めて簡単に製作することができ、これらの第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300を積層するだけで微細気泡発生装置10を製造することができるので、低コストでしかも容易に微細気泡発生装置10を製造することができる。また、この微細気泡発生装置10を設置する管路の断面積に応じて第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300の直径を自在に変更することができるので、この微細気泡発生装置10は様々な断面積の管路に対応することができる。
〈第2の実施の形態〉
[微細気泡発生装置]
第2の実施の形態による微細気泡発生装置10においては、給気部圧力の低下および流れの抵抗低減を図るために、第3平板部300の下流側に邪魔板が設けられていることが、第1の実施の形態による微細気泡発生装置10と異なる。この邪魔板は、特許文献3に開示された圧力遮断用ノズルと同様なものを用いることができる(例えば、同文献の図47に示すもの。)。すなわち、この微細気泡発生装置10においては、図11に示すように、第3平板部300の下流側にこの第3平板部300に平行に邪魔板400が設けられている。この邪魔板400は、渦崩壊ノズル310、320、330、340の出口を閉塞するように設けられている。この邪魔板400の閉塞部以外の部分は開口している。より詳細には、この邪魔板400のうちの、第3平板部300の渦崩壊ノズル310、320、330、340の渦崩壊部VBの円筒部の中心軸の延長線とこの邪魔板400との交点を中心とする、少なくとも渦崩壊ノズルノズル310、320、330、340の円筒部の半径re に等しい半径以内の部分には開口が設けられていない。すなわち、この邪魔板400の閉塞部の大きさは、少なくとも、渦崩壊ノズル310、320、330、340の渦崩壊部VBの内径2re より大きい直径の円以上の大きさに選ばれる。
邪魔板400と第3平板部300との間の間隔hは、別途行った実験の結果から、給気部圧力の低下を図るためにre /6〜re /2とする。図12に示すように、邪魔板400を設けることによる流路の閉塞を防止するためには、渦崩壊ノズル310から流出し、第3平板部300と邪魔板400との間の流路を通って流れる液体に関し、流れの断面積が減少しないための条件はπre 2 ≦2πre hであるからh≧re /2が導かれる。しかし、この式は流れが邪魔板400と第3平板部300との間を通過する際の抵抗が支配的にならないための十分条件であるので、上記の実験の結果から、h=re /6〜re /2とする。
邪魔板400の効果を検証するために実験を行った。図13は、パワー(水量×水圧)と給気部圧力との関係をhを0.4mm、1.0mm、2.0mmと変えて測定した結果を示す。また、図14はポンプの圧力と流量との関係を同様にhを0.4mm、1.0mm、2.0mmと変えて測定した結果を示す。図13より、h=1.0mmのときに給気部圧力が最小であった。また、図14に示すように、h=1.0mmのときは、流量も邪魔板400を用いない場合に比べて10%以上増加した。
図15はこの邪魔板400付き微細気泡発生装置10の試作品を示す。図15に示すように、第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300をそれぞれアクリル板により形成し、第1平板部100にアクリル板により形成した前室を設置し、第3平板部300の前面にアクリル板により形成した邪魔板400を設置した。ただし、d1 =2mm、d2 =3mm、d3 =5mm、t=3mm、R=10mm、re =4.5mmである。こうして試作した邪魔板400付き微細気泡発生装置10をアクリル板により形成された水槽に沈め、前室の上部に接続したチューブから流量9L/minおよび圧力57kPaで水を流すとともに、第1平板部100の給気孔に接続された給気チューブの一端を水槽から出し、給気を行った。図16Bは、このときの様子を水槽の外側から撮影した写真である。比較のために、邪魔板400を設けていないことだけが異なる試作品を用いて同様な実験を行って撮影した写真を図16Aに示す。ただし、チューブから流す水の圧力は67kPaである。図16Aに示すように、邪魔板400を設けていない場合には、微細気泡が合体してしまって微細気泡がほとんど観察されないのに対し、図16Bに示すように、邪魔板400を設けた場合には、微細気泡が高濃度に発生していることが観察される。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、給気部圧力の低下を図ることができるとともに、渦崩壊ノズルの出口付近で微細気泡が合体して気泡の径が大きくなるのを防止することができるという利点を得ることができる。
〈第3の実施の形態〉
[微細気泡発生装置]
第3の実施の形態による微細気泡発生装置10について説明する。
この微細気泡発生装置10は、基本的には第1の実施の形態による微細気泡発生装置10と同様な構成を有するが、第3平板部300の下流側に第2の実施の形態と同様な邪魔板400が設けられていることに加えて、第2平板部200の旋回流発生用流路210、220、230、240の円形部211、221、231、241の直後にスペースが設けられていることが第1の実施の形態と異なる。すなわち、図17は、一つの渦崩壊ノズル310およびこの渦崩壊ノズル310に対応する旋回流発生用流路210の円形部211および直線部212の部分を示す。図17に示すように、この微細気泡発生装置10においては、第3平板部300の下流側に第2の実施の形態と同様な邪魔板400が設けられていることに加えて、第2平板部200の旋回流発生用流路210の円形部211の深さが直線部212よりdだけ大きくなっている。ここで、円形部211の深さは第2平板部200の厚さd2 と等しく、直線部212の深さはd2 −dとなっている。第1の実施の形態と比較すると、第3の実施の形態においては、円形部211の下流側に深さdのスペースSPが設けられていると言うことができる。
図18は、d2 −dを固定し、スペースSPの深さdを変えて給気部圧力を測定した結果を示す。図18に示すように、円形部211の下流側にスペースSPを設けることにより、給気部圧力は低下する。これは、プレート型スワーラーでは、直線部から円形部の接線方向に液体が流入するため、プレート型スワーラー単独では後流は形成されないが、円形部211の下流側に深さdのスペースSPが設けられていることにより、後流を発達させることができるためである。
この第3の実施の形態によれば、第1および第2の実施の形態と同様な利点に加えて、給気部圧力のより一層の低下を図ることができるという利点を得ることができる。
〈第4の実施の形態〉
[微細気泡発生装置]
第4の実施の形態による微細気泡発生装置10について説明する。
この微細気泡発生装置10は、基本的には第1の実施の形態による微細気泡発生装置10と同様な構成を有するが、第3平板部300の下流側に第2の実施の形態と同様な邪魔板400が設けられていることに加えて、実質的に、第3の実施の形態による微細気泡発生装置10と同様な効果が得られるように構成されている。すなわち、図19は、一つの渦崩壊ノズル310およびこの渦崩壊ノズル310に対応する旋回流発生用流路210の円形部211および直線部212の部分を示す。図19に示すように、この微細気泡発生装置10においては、第3平板部300の下流側に第2の実施の形態と同様な邪魔板400が設けられていることに加えて、第2平板部200の厚さd2 が、第1の実施の形態に比べて大きくなっていることが第1の実施の形態と異なる。具体的には、第2平板部200の厚さd2 は、第1の実施の形態に比べて、第3の実施の形態のスペースSPの深さdと同程度大きく選ばれている。
この微細気泡発生装置10においては、第1平板部100の流入孔111〜122から入り、旋回流発生用流路210、220、230、240の直線部212〜215、222〜225、232〜235、242〜245を通って円形部211、221、231、241に入る液体の流入流速は第2平板部200の厚さd2 が大きいことにより低下するため、給気部圧力は低下する。これは、旋回流の後流を発達させることができるためである。
この第4の実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第5の実施の形態〉
[シャワーヘッド]
図20AおよびBは第5の実施の形態によるシャワーヘッドを示し、図20Aは正面図、図20Bは背面図である。また、図21Aは図20AのX−X線に沿っての拡大断面図、図21Bは図20AのY−Y線に沿っての拡大断面図である。図20AおよびBならびに図21AおよびBに示すように、このシャワーヘッド500は半球状のヘッド部510および細長いほぼ円筒状の柄部520からなる。柄部520の中空部はヘッド部510の内部の空間と連通している。これらのヘッド部510および柄部520はここでは一体に形成されているが、別体に形成されてもよい。柄部520の上流側の端部の外周部には雄ねじ521が形成されており、シャワーヘッド500の使用時には、水道の蛇口に接続されたホースの一端の取付具の内周面に形成された雌ねじにこの雄ねじ521がねじ込まれることにより柄部520とホースとが相互に接続される。
ヘッド部510の半球状の本体511の前部には円筒部511aが設けられている。この円筒部511aの内部に、第1の実施の形態と同様な構成の微細気泡発生装置10が同軸に設置されている。この微細気泡発生装置10においては、前方に向かって順番に第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300が設けられている。この場合、第2平板部200および第3平板部300は互いに一体に形成され、第1平板部100と積層されている点が第1の実施の形態と異なる。第1平板部100と第2平板部200との間は防水両面テープなどにより封止されている。図22に第1平板部100を示す。図22に示すように、第1平板部100には、第3平板部300の渦崩壊ノズル310、320、330、340と同軸に、断面形状が円形の給気孔131〜134が設けられている。これらの給気孔131〜134は、第2平板部200の旋回流発生用流路210、220、230、240の円形部211、221、231、241にそれぞれ連通している。また、図23AおよびBに、一体に形成された第2平板部200および第3平板部300を示す。図23AおよびBに示すように、この場合、第3平板部300の直径は第2平板部200の直径よりも小さく、従って第2平板部200および第3平板部300の外周面には段差が形成されている。
本体511の内面の、この本体511の中心軸上に円筒状の支持棒512が設けられている。この支持棒512の先端は第1平板部100に接触している。第1平板部100、第2平板部200および第3平板部300の中心軸上には貫通孔THが設けられている。この貫通孔THを通してねじ513が取り付けられている。このねじ513の雄ねじは支持棒512の先端部の内周面に形成された雌ねじにねじ込まれている。このねじ513の頭部は貫通孔THの前方に設けられた直径が大きい部分に収容されている。こうして、ねじ513が支持棒512の先端部にねじ込まれて締め付けられることにより、本体511に対して微細気泡発生装置10が固定されている。
図21Aに示すように、本体511の内面の、第1平板部100の給気孔131〜134に対応する位置に、この本体511の中心軸に平行な円筒状の給気管514〜517が設けられている。これらの給気管514〜517の先端部にはゴム製のプラグPGがそれぞれ取り付けられている。このプラグはPGは円筒部とこの円筒部の一端に設けられた鍔部とからなり、この円筒部が給気管514〜517の先端部に鍔部がこれらの給気管514〜517の先端と接触するまで挿入されている。給気管514〜517に挿入される前のプラグPGの円筒部の外径は給気管514〜517の内径より少し大きくなっており、このプラグPGがゴム製で弾性を有するため、このプラグPGが給気管514〜517に挿入された状態ではこのプラグPGの外周面と給気管514〜517の先端部の内周面とは密着しており、封止されている。また、プラグPGがゴム製で弾性を有するため、プラグPGの鍔部と第1平板部100とは互いに密着しており、封止されている。このプラグPGの中心軸上には貫通孔が設けられており、第1平板部100に設けられた給気孔131〜134と連通している。一方、本体511の給気管514〜517のそれぞれの根元の部分には、内周面に雌ねじが形成された円筒状の金属スリーブMSが埋設されている。そして、この金属スリーブMSの内周面の雌ねじに空気弁ねじ518a、518b、518c、518dの雄ねじがねじ込まれている。この金属スリーブMSの雌ねじと空気弁ねじ518a、518b、518c、518dの雄ねじとの間には隙間があり、この隙間を介してシャワーヘッド500の外部と給気管514〜517の内部、従って最終的に微細気泡発生装置10の第1平板部100の給気孔131〜134とが連通している。
微細気泡発生装置10の第3平板部300の前方には、多数のシャワー孔522aが設けられた、ヘッド部510の中心軸を中心とする円形のシャワープレート522が設けられている。シャワー孔522aは前方に向かって断面積が徐々に減少する円錐台状の縦断面形状を有する。シャワー孔522aは、シャワープレート522の中心の周りの互いに半径が異なる6個の同心円上にそれぞれ等間隔に設けられている。このシャワープレート522は、前方に向かって極偏平な円錐状に湾曲した形状を有する。このシャワープレート522と第3平板部300との間の間隔は0.4mm以上2mm以下、好適には例えば1mm程度に選ばれている。このシャワープレート522は、水を噴出するためのシャワー孔522aを設けるとともに、邪魔板として用いられる。従って、シャワープレート522のうち、第3平板部300の渦崩壊ノズル310、320、330、340の出口の前方を含む部分にはシャワー孔522aは設けられていない。シャワープレート522は、外周部に断面形状がL字型に屈曲した屈曲部522bを有する。この屈曲部522bは、第3平板部300の外周に取り付けられたリング状のゴム製パッキン523を介して、本体511の円筒部511aおよび第2平板部200の外周部と接触している。本体511の円筒部511aには、シャワープレート522を本体511に対して固定するためのグリップ524が取り付けられている。すなわち、円筒部511aの外周面には雄ねじが形成されており、この雄ねじにグリップ524の内周面に形成された雌ねじがねじ込まれることにより、円筒部511aにグリップ524が取り付けられている。グリップ524の先端部には中心に向かって折れ曲がった円環部524aが設けられている。そして、シャワープレート522とグリップ524とは、グリップ524の円環部524aがシャワープレート522の屈曲部522bに係合している。このため、本体511の円筒部511aの雄ねじにグリップ524の雌ねじがねじ込まれると、この係合部でグリップ524の円環部524aによりシャワープレート522の屈曲部522bが押される結果、ゴム製パッキン523を介してシャワープレート522が本体511に対して固定されている。この状態では、ゴム製パッキン523は圧縮されていることにより、ゴム製パッキン523とシャワープレート522、本体511の円筒部511a、第2平板部200および第3平板部300との間は密着しており、封止されている。
[シャワーヘッド500の動作]
このシャワーヘッド500の動作について説明する。このシャワーヘッド500の柄部520を水道の蛇口に接続されたホースの先端の取付具に取り付ける。水道の蛇口を開いて水(湯水も含む)をホースに流す。この水はホースを通って柄部520の中空部に入り、さらにシャワーヘッド500のヘッド部510の内部に入る。ヘッド部510の内部に入った水は、微細気泡発生装置10の第1平板部100の流入孔111〜122から、第2平板部200の旋回流発生用流路210、220、230、240の直線部212〜215、222〜225、232〜235、242〜245を介してそれぞれ円形部211、221、231、241に流入し、これらの円形部211、221、231、241の内部で旋回流が発生し、第1の実施の形態による微細気泡発生装置10の動作原理に従って、第3平板部300の渦崩壊ノズル310、320、330、340の出口から微細気泡を含む水が流出する。円形部211、221、231、241の内部の旋回流への空気の導入は、金属スリーブMSの雌ねじと空気弁ねじ518a、518b、518c、518dの雄ねじとの間の隙間、給気管514〜517、プラグPGおよび第1平板部100の給気孔131〜134を通して行われる。この微細気泡を含む水は、第3平板部300の前方に設けられたシャワープレート522に当たってこのシャワープレート522に沿う方向に流れ、最終的に、シャワー孔522aから微細気泡を含む水が噴出される。
この第5の実施の形態によるシャワーヘッド500によれば、ヘッド部510の先端部のシャワープレート522の内側に微細気泡発生装置10が設けられ、シャワープレート522が邪魔板として働くことにより、第1および第2の実施の形態と同様な利点を得ることができ、水道水圧でも容易に微細気泡を発生させることができ、微細気泡を含む水をシャワープレート522のシャワー孔522aから噴出させることができる。
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、形状、構造、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、形状、構造、配置などを用いてもよい。
10…微細気泡発生装置、100…第1平板部、111〜122…流入孔、131〜134…給気孔、200…第2平板部、210、220、230、240…旋回流発生用流路、211、221、231、241…円形部、212〜215、222〜225、232〜235、242〜245…直線部、300…第3平板部、310、320、330、340…渦崩壊ノズル、400…邪魔板、500…シャワーヘッド、510…ヘッド部、520…柄部、522…シャワープレート、522a…シャワー孔

Claims (16)

  1. 所定の中心に関してm重回転対称(mは2以上の偶数)の位置にあるm個の点に関してn重回転対称(nは2以上の整数)の位置に設けられたn個の流入孔を有する第1平板部と、
    上記第1平板部と積層または一体に形成され、上記m個の点に対応する位置にそれぞれ設けられた円形部および上記n個の流入孔に対応する位置からそれぞれこの円形部の接線方向に延在する直線部からなるm個の旋回流発生用流路を有し、円周方向に互いに隣接する二つの上記旋回流発生用流路はそれぞれの上記円形部の中心間を結ぶ直線の垂直二等分線に関して対称な形状を有する第2平板部と、
    上記第2平板部と積層または一体に形成され、上記m個の旋回流発生用流路の上記円形部に対応する位置にそれぞれ設けられた、円筒部を含む渦崩壊部を有するm個の渦崩壊ノズルを有する第3平板部と、
    を有する微細気泡発生装置。
  2. 上記第1平板部の上記流入孔から液体が流入し、上記第2平板部の上記旋回流発生用流路の上記直線部および上記円形部ならびに上記第3平板部の上記渦崩壊ノズルを通って液体が流出するときのスワールパラメータをSw と表したとき、Sw ≧1である請求項1記載の微細気泡発生装置。
  3. 上記旋回流発生用流路の上記円形部の半径をR、上記旋回流発生用流路の上記直線部の幅をt、上記渦崩壊部の上記円筒部の半径をre と表したとき、t<R−re である請求項1または2記載の微細気泡発生装置。
  4. 上記第3平板部の厚さをd3 としたとき、d3 >re である請求項3記載の微細気泡発生装置。
  5. 3 ≧4re である請求項4記載の微細気泡発生装置。
  6. 上記渦崩壊ノズルは上記渦崩壊部の上流側に縮流部を有し、上記縮流部は上記渦崩壊部に向かって断面積が徐々に減少しており、上記渦崩壊部との境界部において上記渦崩壊部と同一の断面形状を有する請求項1〜5のいずれか一項記載の微細気泡発生装置。
  7. 上記渦崩壊部は上記円筒部の下流側に出口に向かって広がった形状の終端部を有し、上記円筒部の内周面と上記終端部の端面とが滑らかに繋がっており、上記円筒部の内周面と上記終端部の端面とがなす角度をθ0 としたとき、90度<θ0 <180度である請求項1〜6のいずれか一項記載の微細気泡発生装置。
  8. mは4以上の偶数である請求項1〜7のいずれか一項記載の微細気泡発生装置。
  9. 上記第1平板部、上記第2平板部および上記第3平板部は別々に形成され、互いに積層されている請求項1〜8のいずれか一項記載の微細気泡発生装置。
  10. 上記第2平板部および上記第3平板部は互いに一体に形成され、上記第1平板部と積層されている請求項1〜8のいずれか一項記載の微細気泡発生装置。
  11. 上記流入孔は円形の断面形状を有する請求項1〜10のいずれか一項記載の微細気泡発生装置。
  12. 上記第1平板部は上記n個の旋回流発生用流路の上記円形部に対応する位置にそれぞれ設けられた給気孔を有する請求項1〜11のいずれか一項記載の微細気泡発生装置。
  13. ヘッド部の内部の、シャワー孔を有する先端部の内側に微細気泡発生装置が設けられ、
    上記微細気泡発生装置は、
    所定の中心に関してm重回転対称(mは2以上の偶数)の位置にあるm個の点に関してn重回転対称(nは2以上の整数)の位置に設けられたn個の流入孔を有する第1平板部と、
    上記第1平板部と積層または一体に形成され、上記m個の点に対応する位置にそれぞれ設けられた円形部および上記n個の流入孔に対応する位置からそれぞれこの円形部の接線方向に延在する直線部からなるm個の旋回流発生用流路を有し、円周方向に互いに隣接する二つの上記旋回流発生用流路はそれぞれの上記円形部の中心間を結ぶ直線の垂直二等分線に関して対称な形状を有する第2平板部と、
    上記第2平板部と積層または一体に形成され、上記m個の旋回流発生用流路の上記円形部に対応する位置にそれぞれ設けられた、円筒部を含む渦崩壊部を有するm個の渦崩壊ノズルを有する第3平板部と、
    を有し、
    上記第3平板部が上記ヘッド部の上記先端部の内面に面しているシャワーヘッド。
  14. 上記ヘッド部の上記先端部のうちの、上記第3平板部の上記渦崩壊ノズルの上記円筒部の中心軸の延長線と上記先端部との交点を中心とする半径re 以内の部分には上記シャワー孔が設けられておらず、上記第3平板部と上記先端部との間の距離をhとしたとき、h≦re /2である請求項13記載のシャワーヘッド。
  15. e /6≦h≦re /2である請求項14記載のシャワーヘッド。
  16. 混相流体の流路の途中に上記混相流体を攪拌混合するための微細気泡発生装置が設けられ、
    上記微細気泡発生装置は、
    所定の中心に関してm重回転対称(mは2以上の偶数)の位置にあるm個の点に関してn重回転対称(nは2以上の整数)の位置に設けられたn個の流入孔を有する第1平板部と、
    上記第1平板部と積層または一体に形成され、上記m個の点に対応する位置にそれぞれ設けられた円形部および上記n個の流入孔に対応する位置からそれぞれこの円形部の接線方向に延在する直線部からなるm個の旋回流発生用流路を有し、円周方向に互いに隣接する二つの上記旋回流発生用流路はそれぞれの上記円形部の中心間を結ぶ直線の垂直二等分線に関して対称な形状を有する第2平板部と、
    上記第2平板部と積層または一体に形成され、上記m個の旋回流発生用流路の上記円形部に対応する位置にそれぞれ設けられた、円筒部を含む渦崩壊部を有するm個の渦崩壊ノズルを有する第3平板部と、
    を有し、
    上記第1平板部が上記流路の上流側に面している混相流体処理装置。
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JP2022130351A (ja) * 2021-02-25 2022-09-06 厦門松霖科技股▲ふん▼有限公司 洗顔器

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