JP2017061122A - ポリエチレン系多層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】表面の静摩擦係数が低く、滑り性に優れる、耐ブロッキング性を有し、高い機械的強度と成形性のバランスを有するポリエチレン系多層フィルムを提供。【解決手段】多層フィルムの、少なくとも一方の表面に存する表面層に、(1)〜(5)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含有してなるポリエチレン系多層フィルム。(1)MFRが0.1g/10分を超え、10g/10分以下、(2)密度が0.895〜0.940g/cm3、(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが3.0〜5.5、(4)分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値(gc)が0.40〜0.85、(5)クロス分別クロマトグラフィー(CFC)により測定される(W2+W3)が、40重量%を超え、80重量%未満【選択図】図3

Description

本発明は、ポリエチレン系多層フィルムに関し、さらに詳しくは、表面の静摩擦係数が低く、滑り性に優れるために、耐ブロッキング性を有し、かつフィルム向けに高い機械的強度と成形性のバランスを有するポリエチレン系多層フィルムに関する。
一般に、ポリエチレン系多層フィルムは、インフレーション成形法等により製造され、包装材料等に汎用されるが、多くの場合、いわゆる線状の低密度ポリエチレン(LLDPE又はメタロセンPE)を樹脂主成分とし、成形性付与を目的として枝分かれ分岐鎖を多数有する高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)が添加された樹脂組成物からなる層で構成されている。しかしながら高圧法低密度ポリエチレンを添加すると、フィルムの透明性は向上するが、ダートドロップインパクト(DDI)等のフィルムの機械的強度は低下し、更に一方でフィルム表面が平滑されるために、得られたチューブ状フィルムはブロッキングが発生しやすく、自動充填時にチューブの口が開かずに問題となることが多かった。
一方、近年、上記線状低密度ポリエチレンの改質を目的として、長鎖分岐構造をエチレン系重合体中に形成可能なメタロセン触媒による重合設計技術を活用することによって、成形加工性と樹脂強度を同時に改良するためのポリオレフィン系樹脂改質用エチレン系重合体の開発が報告されている(特許文献1〜3参照)。例えば、特定の伸長粘度挙動を発現する長鎖分岐を含むエチレン系重合体をポリオレフィン系樹脂向け改質材として対象とするポリオレフィン系樹脂にブレンドして使用する例(特許文献1参照)や、特定のポリマー分子構造指標と極限粘度比で規定される長鎖分岐構造を有する低密度エチレン・プロピレン共重合体を改質材とする樹脂組成物の例(特許文献2参照)や、高い流動活性化エネルギーを示す広分子量分布の長鎖分岐ポリエチレンを改質材とする例(特許文献3参照)等が知られている。しかし、これらの方法によれば、従来のHPLDによる改質で起こるようなポリオレフィン系樹脂の衝撃強度の大幅な低下は無いものの、長鎖分岐含有エチレン系重合体の設計が不十分なため、やはり強度や透明性の低下が避けられず、その改良レベルは未だ不十分であった。そこで、それらの特性を有するエチレン系重合体の開発に有用な長鎖分岐構造制御が可能なメタロセン重合触媒の研究が継続されている(特許文献4参照)。
こうした状況下、従来のポリエチレン多層フィルムのもつ問題点を解消し、成形加工性と衝撃強度に優れ、更にフィルム表面の滑り性をよくして耐ブロッキング性を向上したポリエチレン系多層フィルムの開発が望まれていた。
特開2012−214781号公報 特開平09−031260号公報 特開2007−119716号公報 特開2013−227271号公報
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点に鑑み、成形加工性と耐衝撃性に優れるとともに、更にフィルム表面の滑り性をよくして耐ブロッキング性を向上したポリエチレン系多層フィルムを提供すること、更には、該フィルムの用途を提供することにある。
かかる課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の長鎖分岐構造、すなわち特定の分岐指数と比較的狭い逆コモノマー組成分分布指数を有し、かつ特定のMFR、密度、分子量分布を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を 多層フィルムの少なくとも一方の表面層に含有することを必須とすることで、成形加工性と耐衝撃性に優れるだけでなく、意外にも、特にフィルム表面の滑り性が格段に改善され、耐ブロッキング性の面で優れた効果を有することを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。本願発明の要旨は下記のとおりである。
すなわち第1の発明は、多層フィルムの、少なくとも一方の表面に存する表面層に、下記の条件(1)〜(5)を満足することを特徴とするエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含有してなることを特徴とする、ポリエチレン系多層フィルムに存する。
(1)MFRが0.1g/10分を超え、10g/10分以下である
(2)密度が0.895〜0.940g/cmである
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが3.0〜5.5である
(4)示差屈折計、粘度検出器および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値(gc)が0.40〜0.85である
(5)クロス分別クロマトグラフィー(CFC)により測定される積分溶出曲線から求められた溶出量が50wt%となる温度以下で溶出する成分のうち分子量が重量平均分子量以上の成分の割合(W)及び前記積分溶出曲線から求められた溶出量が50wt%となる温度より高い温度で溶出する成分のうち分子量が重量平均分子量未満の成分の割合(W)の和(W+W)が、40重量%を超え、80重量%未満である
第2の発明は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が更に下記の条件(6)を満足することを特徴とする第1の発明に記載のポリエチレン系多層フィルムに存する。
(6)前記W及びCFCにより測定される積分溶出曲線から求められた溶出量が50wt%となる温度より高温で溶出する成分のうち分子量が重量平均分子量以上の成分の割合(W)の和(W+W)が、25重量%を超え、50重量%未満である
第3の発明は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が更に下記の条件(7)を満足することを特徴とする第1又は第2の発明に記載のポリエチレン系多層フィルムに存する。
(7)前記W及びCFCにより測定される積分溶出曲線から求められた溶出量が50wt%となる温度より高温で溶出する成分のうち分子量が重量平均分子量以上の成分の割合(W)の差(W−W)が、0重量%を超え、20重量%未満である
第4の発明は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が更に下記の条件(8)を満足することを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に記載のポリエチレン系多層フィルムに存する。
(8)昇温溶出分別(TREF)により85℃以上で溶出する成分の割合(X)が2〜15重量%である
第5の発明は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のα−オレフィンは、炭素数が3〜10であることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載のポリエチレン系多層フィルムに存する。
第6の発明は、該樹脂組成物中の前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の含有量が1〜59重量%であることを特徴とする第1〜5のいずれかの発明に記載のポリエチレン系多層フィルムに存する。
第7の発明は、前記多層フィルムの表面層以外の中間層は、下記条件(B−1)および(B−2)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を51重量%〜100重量%含有する樹脂組成物からなることを特徴とする第1〜6のいずれかの発明に記載のポリエチレン系多層フィルムに存する。
(B−1)MFRが0.01〜20g/10分である
(B−2)密度が0.880〜0.970g/cmである
第8の発明は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、更に下記条件(B−2’)を満足することを特徴とする第1〜7のいずれかの発明に記載のポリエチレン系多層フィルムに存する。
(B−2’)密度が0.890〜0.940g/cmである
第9の発明は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、更に、下記条件(B−3)を満足することを特徴とする第1〜8のいずれかの発明に記載のポリエチレン系がそうフィルムに存する。
(B−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが2.0〜5.0である
第10の発明は、前記多層フィルムの両方の表面層が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含有する層であることを特徴とする第1〜9のいずれかの発明に記載のポリエチレン系多層フィルムに存する。
第11の発明は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、MFRが0.1〜5.0未満のチーグラー系線状低密度ポリエチレン、又はMFRが0.1〜10以下のメタロセン系ポリエチレンであることを特徴とする第1〜10のいずれかの発明に記載のポリエチレン系多層フィルムに存する。
本発明のポリエチレン系多層フィルムは、成形加工特性に優れ、同時に、耐衝撃性に優れるとともに、更にフィルム表面の滑り性をよくして耐ブロッキング性に優れる効果を有し、また、該ポリエチレン系多層フィルムを用いた用途製品は、成形加工性に優れ、耐衝撃性に優れ、かつ耐ブロッキング性に優れているので、薄肉化された成形製品を経済的に有利に提供することが可能である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で用いられるクロマトグラムのベースラインと区間を示すグラフである。 GPC−VIS測定(分岐構造解析)から算出する分岐指数(g’)と分子量(M)との関係を示すグラフである。 昇温溶出分別(TREF)による溶出温度分布を示すグラフである。 〜Wについての概略図である。当該において横軸が分子量の対数(logM)であり、縦軸は溶出温度(Temp.)である。
本発明は、特定の長鎖分岐指数と逆コモノマー組成分布指数を有し、かつ、特定のMFR,密度、分子量分布を有するオレフィン系樹脂改質剤として良好なエチレン・α−オレフィン共重合体を、少なくともその一方の表面層に含むポリオレフィン系多層フィルムに係るものである。以下、本発明を項目毎に、詳細に説明する。
1.本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、下記に説明する条件(1)〜(5)、好ましくは更に条件(6)又は/更に(7)、(8)を満たす。
1−1.条件(1)MFR
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分を超え、10g/10分以下、好ましくは0.1g/10分を超え、5.0g/10分以下、より好ましくは0.1g/10分を超え、2.0g/10分以下である。
MFRがこの範囲にあると、ポリオレフィン系樹脂にブレンドした場合の成形加工性の改良効果や、衝撃強度と剛性のバランスの改良効果が優れる。一方、MFRが0.1g/10分以下では成形加工性等の点で好ましくない場合があり、MFRが10g/10分より大きいと、衝撃強度や剛性の改良効果が十分発現し難いので好ましくない。なお、本発明で、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定したときの値をいう。
1−2.条件(2)密度
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.895〜0.940g/cmであり、好ましく0.898g/cm以上、0.934g/cm未満、より好ましくは0.900〜0.930g/cm、更に好ましくは0.905〜0.930g/cm、特に好ましくは0.910〜0.925g/cmである。
密度がこの範囲にあると、改質対象となるポリオレフィン系樹脂にブレンドした場合の衝撃強度と剛性のバランスの改良効果が優れる。一方、密度が0.895g/cm未満では剛性の点で好ましくない場合があり、また、密度が0.940g/cmより大きいと衝撃強度等の改良効果が十分ではなく好ましくない。
なお、本発明で、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、以下の方法で測定したときの値をいう。
ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件で、16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃で、JIS K7112の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠して、測定した。
1−3.条件(3)分子量分布
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、3.0〜5.5、好ましくは3.0〜5.3、より好ましくは3.3以上5.3未満、更に好ましくは3.5以上、5.3未満である。Mw/Mnが3.0未満では、ポリオレフィン系樹脂にブレンドした場合の成形加工性、特に溶融流動性が劣ったり、他の重合体成分と混ざり難かったりするので避けるべきである。Mw/Mnが5.5より大きいと該ポリオレフィン系樹脂やその成形体の剛性や衝撃強度の改良の効果が不十分となったり、透明性が悪化したり、ベトツキしやすくなるので好ましくない。
Mw/Mnは、共重合体中の分子量分布を示す指標の一つであり、触媒上の重合反応が比較的均一なサイトで行われると数値が小さく、比較的マルチなサイトで行われていると数値が大きくなる。重合に用いる触媒種と触媒の調整条件を選定することにより、適宜制御できる。
なお、本発明で、エチレン・α−オレフィン共重合体のMwやMnは、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
なお、GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1に例示されるように行う。
1−4.条件(4)gc
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、上記条件(1)〜(3)に加えて更に、示差屈折計、粘度検出器および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値(gc)が、0.40〜0.85、好ましくは0.45〜0.85又は0.50〜0.85、更に好ましくは0.50〜0.77、特に好ましくは0.51〜0.75である。g値が0.85より大きいとポリオレフィン系樹脂にブレンドした場合の成形加工性の改良効果が十分に発現しないので好ましくない。g値が0.40より小さいと、該ポリオレフィン樹脂の成形加工性は向上するが、衝撃強度が低下したり、透明性が悪化したりするので好ましくない。
なお、本発明で、エチレン・α−オレフィン共重合体のg値は、共重合体に導入された長鎖分岐の発達度を指標とする物性値であり、g値が大きいと、長鎖分岐が少なく、g値が小さいと長鎖分岐の導入量が多いことを示す。なお、gの値は、重合に用いる触媒の選定により概略制御することができる。エチレン・α−オレフィン共重合体のg値は、下記のGPC−VIS測定から算出する分子量分布曲線や分岐指数(g’)を用いた長鎖分岐量の評価手法である。
[GPC−VISによる分岐構造解析]
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。
カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
参考文献:
1.Developments in polymer characterization,vol.4.Essex:Applied Science;1984.Chapter1.
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
[分岐指数(g)等の算出]
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。したがって分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。特に本発明では、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量10万から100万における上記g’の最低値を、gとして算出する。図2に上記GPC−VISによる解析結果の一例を示した。図2の左は、MALLSから得られる分子量(M)とRIから得られる濃度を元に測定された分子量分布曲線を、図2の右は、分子量(M)における分岐指数(g’)を表す。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
1−5.条件(5)W+W
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、上記条件(1)〜(4)に加えて更に、クロス分別クロマトグラフィー(CFC)により測定される積分溶出曲線から求められた溶出量が50wt%となる温度以下で溶出する成分のうち分子量が重量平均分子量以上の成分の割合(W)及び積分溶出曲線から求められた溶出量が50wt%となる温度より高い温度で溶出する成分のうち分子量が重量平均分子量未満の成分の割合(W)の和(W+W)が、40重量%を超え、80重量%未満であることが挙げられる。更に好ましくは40重量%を超え、56重量%未満である。好ましくは41重量%を超え、56重量%未満、更に好ましくは43重量%を超え、56重量%未満、特に好ましくは45重量%を超え、56重量%未満である。
クロス分別クロマトグラフィー(CFC)により測定される積分溶出曲線から得られる上記のW1等の数値は、共重合体全体中に含まれる個々のポリマーの、コモノマー量と分子量の分布を総合して指標する“コモノマー組成分布”を示すために用いられる手法である。すなわち、コモノマーの量が多く分子量が小さいポリマー(W)、コモノマーの量が多く分子量が大きいポリマー(W)、コモノマーの量が少なく分子量が小さいポリマー(W)、コモノマーの量が少なく分子量が大きいポリマー(W)が、共重合体全体中に占める割合を示している。図4にW〜Wについての概略図を示す。
+W値が小さすぎると、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれるポリオレフィン系樹脂の衝撃強度向上に効果的に作用する低密度高分子量成分の割合が減少したり、該ポリオレフィン系樹脂の剛性向上に効果的に作用する高密度低密度成分が減少したりして、物性改良効果を発現させるためにより多量のエチレン・α−オレフィン共重合体のブレンドが必要となって経済的でないので好ましくない。一方、W+W値が大きすぎると、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる該高密度低分子量成分と該低密度高分子量成分の含有量のバランスが崩れ、ポリオレフィン系樹脂の物性改質効果が期待通り発現しなかったり、該高密度低分子量成分と該低密度高分子量成分の分散性が悪くなって、透明性の悪化やゲルが発生したりするので好ましくない。なお、特に、(A−5’)W+Wが40重量%を超え、56重量%未満である範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体は、剛性と衝撃強度の改良効果において顕著な効果を示すため好ましい。
[CFCの測定条件]
クロス分別クロマトグラフィー(CFC)は、結晶性分別を行う昇温溶出分別(TREF)部と分子量分別を行うゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)部とから成る。
このCFCを用いた分析は、次のようにして行われる。
まず、ポリマーサンプルを0.5mg/mLのBHTを含むオルトジクロロベンゼン(ODCB)に140℃で完全に溶解した後、この溶液を装置のサンプルループを経て140℃に保持されたTREFカラム(不活性ガラスビーズ担体が充填されたカラム)に注入し、所定の第1溶出温度まで徐々に冷却しポリマーサンプルを結晶化させる。所定の温度で30分保持した後、ODCBをTREFカラムに通液することにより、溶出成分がGPC部に注入されて分子量分別が行われ、赤外検出器(FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器、測定波長3.42μm)によりクロマトグラムが得られる。その間、TREF部では次の溶出温度に昇温され、第1溶出温度のクロマトグラムが得られた後、第2溶出温度での溶出成分がGPC部に注入される。以下、同様の操作を繰り返すことにより、各溶出温度での溶出成分のクロマトグラムが得られる。
なお、CFCの測定条件は、以下の通りである。
装置:ダイヤインスツルメンツ社製CFC−T102L
GPCカラム:昭和電工社製AD−806MS(3本を直列に接続)
溶媒:ODCB
サンプル濃度:3mg/mL
注入量:0.4mL
結晶化速度:1℃/分
溶媒流速:1mL/分
GPC測定時間:34分
GPC測定後安定時間:5分
溶出温度:0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140
[データ解析]
測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムから、総和が100%となるように規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。
さらに、溶出温度に対する積分溶出曲線が計算される。この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が求められる。
また、各クロマトグラムから、次の手順により分子量分布が求められる。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
なお、第1溶出温度でのクロマトグラムでは、溶媒に添加したBHTによるピークと溶出成分の低分子量側とが重なる場合があるが、その際は、図1のようにベースラインを引き分子量分布を求める区間を定める。
さらに、下記の表1のように、各溶出温度における溶出割合(表中のwt%)と重量平均分子量(表中のMw)からwhole(全体)の重量平均分子量を求める。
Figure 2017061122
また、各溶出温度における分子量分布及び溶出量から、文献(S.Nakano,Y.Goto,”Development of automatic Cross Fractionation:Combination of Crystallizability Fractionation and Molecular Weight Fractionation”,J.Appl.Polym.Sci.,vol.26,pp.4217−4231(1981))の方法に従って、溶出温度と分子量に関する溶出量を等高線として示すグラフ(等高線図)を得る。
上記の等高線図を用いて、以下の成分量を求める。
:積分溶出曲線から求められる溶出量が50wt%となる温度以下で溶出する成分のうち分子量が当該エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量未満の成分の割合。
:積分溶出曲線から求められる溶出量が50wt%となる温度以下で溶出する成分のうち分子量が当該エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量以上の成分の割合。
:積分溶出曲線から求められる溶出量が50wt%となる温度より高い温度で溶出する成分のうち分子量が当該エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量未満の成分の割合。
:積分溶出曲線から求められる溶出量が50wt%となる温度より高い温度で溶出する成分のうち分子量が当該エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量以上の成分の割合。
なお、W+W+W+W=100である。
+Wの値は、主に、重合触媒及び重合条件を選択することにより、所定の範囲とすることができ、好ましくは、特定のメタロセン触媒を使用することにより、所定の範囲とすることができる。
1−6.条件(6)W+W
本発明におけるエチレン系・α−オレフィン共重合体は、(1−5)で前記したW及びWの和(W+W)が、25重量%を超え、50重量%未満、好ましくは29重量%を超え、50重量%未満、より好ましくは29重量%を超え、45重量%未満、更に好ましくは30〜43重量%、特に好ましくは30〜42重量%である。W+Wが25重量%以下であると、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれるポリオレフィン系樹脂の衝撃強度向上に効果的に作用する高分子量成分が減少するので好ましくなかったり、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれるポリオレフィン系樹脂の成型加工性向上に特に効果的に作用する高分子量の長鎖分岐成分が減少するので好ましくなかったり、それら高分子量成分や長鎖分岐成分の割合が減少するのでポリオレフィン系樹脂の改質により多量のブレンドが必要となるので経済性を悪化させる。一方、W+W値が50重量%以上であると、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分子量成分や高分子量の長鎖分岐成分の割合が多いためポリオレフィン系樹脂への分散性が悪くなって、透明性の悪化やゲルが発生したりするので好ましくない。
1−7.条件(7)W−W
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、(1−6)で前記したWとWの差(W−W)が、0重量%を超え、20重量%未満、好ましくは0重量%を超え、15重量%未満、より好ましくは1重量%を超え、15重量%未満、更に好ましくは2重量%を超え、14重量%未満、特に好ましくは2重量%を超え、13重量%未満である。W−Wが0重量%以下であると、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれるポリオレフィン系樹脂の衝撃強度向上に特に効果的に作用する低密度高分子量成分が減少するので好ましくない。一方、W−W値が20重量%以上であると、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる高密度高分子量成分と低密度高分子量成分の含有量のバランスが崩れ、ポリオレフィン系樹脂の物性改質効果が期待通り発現しなかったり、該ポリオレフィン系樹脂への分散性が悪くなって、透明性の悪化やゲルが発生したりするので好ましくない。
1−8.条件(8)X
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体は、昇温溶出分別(TREF)により85℃以上で溶出する成分の割合(X値)が2〜15重量%であり、好ましくは3〜14重量%である。更に好ましくは4〜14重量%である。X値が15重量%より大きいと、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれるポリオレフィン系樹脂の衝撃強度向上に効果的に作用する低密度成分の割合が減少し、衝撃強度向上にはより多量のエチレン・α−オレフィン共重合体のブレンドが必要となって経済的でないので好ましくない。X値が2重量%より小さいと、ポリオレフィン系樹脂へのブレンド時の相容性が悪くなったり、ポリオレフィン系樹脂の剛性が悪化したりする場合があるので好ましくない場合がある。X値の量は、共重合体に含まれる比較的高分子量の成分の割合を指標する数値であり、触媒の調整方法と重合条件の制御により調整可能である。
[TREFの測定条件]
試料を140℃でオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し、溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却し、更に続いて1℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、20分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。この時、85℃から140℃までの間に溶出する成分量をX(単位wt%)とする。
使用装置は、下記のとおりである。
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000
(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ、4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル、光路長1.5mm、窓形状2φ×4mm長丸、合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
測定条件
溶媒:オルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
1−9.本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の組成
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体である。ここで用いられる共重合成分であるα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1等が挙げられる。また、これらα−オレフィンは1種のみでもよく、また2種以上が併用されていてもよい。これらのうち、より好ましいα−オレフィンは炭素数3〜8のものであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等が挙げられる。更に好ましいα−オレフィンは炭素数4又は炭素数6のものであり、具体的にはブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1が挙げられる。特に好ましいα−オレフィンは、ヘキセン−1である。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体中におけるエチレンとα−オレフィンの割合は、エチレン約75〜99.8重量%、α−オレフィン約0.2〜25重量%であり、好ましくはエチレン約80〜99.6重量%、α−オレフィン約0.4〜20重量%であり、より好ましくはエチレン約82〜99.2重量%、α−オレフィン約0.8〜18重量%であり、更に好ましくはエチレン約85〜99重量%、α−オレフィン約1〜15重量%であり、特に好ましくはエチレン約88〜98重量%、α−オレフィン約2〜12重量%である。エチレン含量がこの範囲内であれば、ポリエチレン系樹脂への改質効果が高い。
共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであっても差し支えない。もちろん、エチレンやα−オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能であり、この場合、スチレン、4−メチルスチレン、4−ジメチルアミノスチレン等のスチレン類、1,4−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等のジエン類、ノルボルネン、シクロペンテン等の環状化合物、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチル等の含酸素化合物類、等の重合性二重結合を有する化合物を挙げることができる。ただしジエン類を使用する場合は長鎖分岐構造や分子量分布が上記の条件を満たす範囲内において使用しなくてはいけないことは言うまでもない。
2.本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の製法
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、上記の条件を全て満たすように製造して使用される。その製造は、オレフィン重合用触媒を用いてエチレンと上述のα−オレフィンとを共重合する方法によって実施される。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体が有する特定の長鎖分岐構造、組成分布構造、MFR、密度を同時に実現するための好適な製造方法例として、以下に説明する特定の触媒成分(X)、(Y)及び(Z)を含むオレフィン重合用触媒を用いる方法を挙げることができる。
触媒成分(X):遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物。
触媒成分(Y):成分(X)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物。
触媒成分(Z):無機化合物担体。
2−1.触媒成分(X)
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造するのに好ましい触媒成分(X)は、遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物であり、より好ましくは下記の一般式[1]で表されるメタロセン化合物であり、更に好ましくは下記の一般式[2]で表されるメタロセン化合物である。
Figure 2017061122
[但し、式[1]中、MはTi、Zr又はHfのいずれかの遷移金属を示す。Aはシクロペンタジエニル環(共役五員環)構造を有する配位子を、Aはインデニル環構造を有する配位子を、QはAとAを任意の位置で架橋する結合性基を示す。X及びYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。]
Figure 2017061122
[但し、式[2]中、MはTi、Zr又はHfのいずれかの遷移金属を示す。Qはシクロペンタジエニル環とインデニル環を架橋する結合性基を示す。X及びYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。10個のRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示す。]
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造するのに特に好ましい触媒成分(X)は、特開2013−227271号公報に記載された一般式(1c)で表されるメタロセン化合物である。
Figure 2017061122
[但し、式(1c)中、略号の説明は全て特開2013−227271号公報の記載に従う。すなわち、M1cは、Ti、Zr又はHfのいずれかの遷移金属を示す。X1c及びX2cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1cとQ2cは、各々独立して、炭素原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子を示す。R1cは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、4つのR1cのうち少なくとも2つが結合してQ1c及びQ2cと一緒に環を形成していてもよい。mは、0又は1であり、mが0の場合、Q1cは、R2cを含む共役5員環と直接結合している。R2c及びR4cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示す。R3cは、下記一般式(1−ac)で示される置換アリール基を示す。]
Figure 2017061122
[但し、式(1−ac)中、Y1cは、周期表14族、15族又は16族の原子を示す。R5c、R6c、R7c、R8c及びR9cは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、又は炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示し、R5c、R6c、R7c、R8c及びR9cは隣接する基同士で結合して、それらに結合している原子と一緒に環を形成していてもよい。nは、0又は1であり、nが0の場合、Y1cに置換基R5cが存在しない。pは、0又は1であり、pが0の場合、R7cが結合する炭素原子とR9cが結合する炭素原子は直接結合している。Y1cが炭素原子の場合、R5c、R6c、R7c、R8c、R9cのうち少なくとも1つは水素原子ではない。]
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造するのに最も好ましい触媒成分(X)は、特開2013−227271号公報に記載された一般式(2c)で表されるメタロセン化合物である。
Figure 2017061122
上記の一般式(2c)で示されるメタロセン化合物において、M1c、X1c、X2c、Q1c、R1c、R2c及びR4cは、前述の一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の説明で示した原子及び基と同様な構造を選択することができる。また、R10cは前述の一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の説明で示したR5c、R6c、R7c、R8c、R9cの原子及び基と同様な構造を選択することができる。
上記メタロセン化合物の具体例として、特開2013−227271号公報の表1cの一般式(4c)と表1c−1〜5、および一般式(5c)、(6c)と表1c−6〜9で記載された化合物を挙げることができるが、これらに限定するものではない。
上記具体例の化合物はジルコニウム化合物又はハフニウム化合物であることが好ましく、ジルコニウム化合物であることが更に好ましい。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造するのに好ましい触媒成分(X)として、上述の架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物を2種以上用いることもできる。
2−2.触媒成分(Y)
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造するのに好ましい触媒成分(Y)は、成分(X)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物であり、より好ましくは特開2013−227271号公報[0064]〜[0083]に記載された成分(B)であり、更に好ましくは同[0065]〜[0069]に記載された有機アルミニウムオキシ化合物である。
2−3.触媒成分(Z)
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造するのに好ましい触媒成分(Z)は、無機化合物担体であり、より好ましくは特開2013−227271号公報[0084]〜[0088]に記載された無機化合物である。この時、無機化合物として好ましいのは該公報[0085]に記載された金属酸化物である。
2−4.オレフィン重合用触媒の製法
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、上記触媒成分(X)〜(Z)を含むオレフィン重合用触媒を用いてエチレンと上述のα−オレフィンとを共重合する方法によって好適に製造される。本発明の上記触媒成分(X)〜(Z)からオレフィン重合用触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下に示す(I)〜(III)の方法が任意に採用可能である。
(I)上記遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物である触媒成分(X)と、上記触媒成分(X)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物である触媒成分(Y)とを接触させた後、無機化合物担体である触媒成分(Z)を接触させる。
(II)触媒成分(X)と触媒成分(Z)とを接触させた後、触媒成分(Y)を接触させる。
(III)触媒成分(Y)と触媒成分(Z)とを接触させた後、触媒成分(X)を接触させる。
これらの接触方法の中で(I)と(III)が好ましく、さらに(I)が最も好ましい。いずれの接触方法においても、通常は窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6〜12)、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素(通常炭素数5〜12)等の液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下又は非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。この接触は、通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜100℃、さらに好ましくは0℃〜50℃の温度にて、5分〜50時間、好ましくは30分〜24時間、さらに好ましくは30分〜12時間で行うことが望ましい。
また、触媒成分(X)、触媒成分(Y)及び触媒成分(Z)の接触に際しては、上記した通り、ある種の成分が可溶ないしは難溶な芳香族炭化水素溶媒と、ある種の成分が不溶ないしは難溶な脂肪族又は脂環族炭化水素溶媒とがいずれも使用可能である。
各成分同士の接触反応を段階的に行う場合にあっては、前段で用いた溶媒などを除去することなく、これをそのまま後段の接触反応の溶媒に用いてもよい。また、可溶性溶媒を使用した前段の接触反応後、ある種の成分が不溶もしくは難溶な液状不活性炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素あるいは芳香族炭化水素)を添加して、所望生成物を固形物として回収した後に、あるいは一旦可溶性溶媒の一部又は全部を、乾燥等の手段により除去して所望生成物を固形物として取り出した後に、この所望生成物の後段の接触反応を、上記した不活性炭化水素溶媒のいずれかを使用して実施することもできる。本発明では、各成分の接触反応を複数回行うことを妨げない。
本発明において、触媒成分(X)、触媒成分(Y)及び触媒成分(Z)の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。
触媒成分(Y)として、有機アルミニウムオキシ化合物を用いる場合、触媒成分(X)中の遷移金属(M)に対する有機アルミニウムオキシ化合物のアルミニウムの原子比(Al/M)は、通常、1〜100,000、好ましくは100〜1000、さらに好ましくは210〜800、特に好ましくは250〜500の範囲が望ましく、また、ボラン化合物やボレート化合物を用いる場合、触媒成分(X)中の遷移金属(M)に対する、ホウ素の原子比(B/M)は、通常、0.01〜100、好ましくは0.1〜50、さらに好ましくは0.2〜10の範囲で選択することが望ましい。さらに、触媒成分(Y)として、有機アルミニウムオキシ化合物と、ボラン化合物、ボレート化合物との混合物を用いる場合にあっては、混合物における各化合物について、遷移金属(M)に対して上記と同様な使用割合で選択することが望ましい。
触媒成分(Z)の使用量は、触媒成分(X)中の遷移金属0.0001〜5ミリモル当たり、好ましくは0.001〜0.2ミリモル当たり、さらに好ましくは0.005〜0.1ミリモル当たり、特に好ましくは0.01〜0.04ミリモル当たり1gである。
また、本発明において、触媒成分(Z)1gに対する触媒成分(Y)の金属のモル数の割合は、好ましくは、0.005を超え0.020(モル/g)以下、より好ましくは、0.006を超え〜0.015(モル/g)以下、更に好ましくは、0.006を超え0.012(モル/g)以下、特に好ましくは、0.007〜0.010(モル/g)である。
触媒成分(X)、触媒成分(Y)及び触媒成分(Z)を、前記した接触方法(I)〜(III)を適宜選択して相互に接触させ、しかる後、溶媒を除去することで、オレフィン重合用触媒を固体触媒として得ることができる。溶媒の除去は、常圧下又は減圧下、0〜200℃、好ましくは20〜150℃、更に好ましくは20〜100℃で1分〜100時間、好ましくは10分〜50時間、更に好ましくは30分〜20時間で行うことが望ましい。
なお、オレフィン重合用触媒は、以下に示す(IV)、(V)の方法によっても得ることができる。
(IV)触媒成分(X)と触媒成分(Z)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物又はこれらの混合物と接触させる。
(V)触媒成分(Y)である有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物又はこれらの混合物と触媒成分(Z)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で触媒成分(X)と接触させる。
上記(IV)、(V)の接触方法の場合も、成分比、接触条件及び溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
また、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を得るのに好適なオレフィン重合用触媒として、触媒成分(X)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる触媒成分(Y)と触媒成分(Z)とを兼ねる成分として、特開平05−301917号公報、同08−127613号公報等に記載されてよく知られている層状珪酸塩を用いることもできる。層状珪酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物である。大部分の層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、層状珪酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
触媒成分(X)と層状珪酸塩担体の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。触媒成分(X)の担持量は、層状珪酸塩担体1gあたり、0.0001〜5ミリモル、好ましくは0.001〜0.5ミリモル、さらに好ましくは0.01〜0.1ミリモルである。
こうして得られるオレフィン重合用触媒は、必要に応じてモノマーの予備重合を行った後に使用しても差し支えない。
2−5.エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の重合方法
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、好適には上記2−4に記載された製法により準備されたオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンと上述のα−オレフィンとを共重合して製造される。
コモノマーであるα−オレフィンとしては、上述したように、炭素数3〜10のα−オレフィンが使用可能であり、2種類以上のα−オレフィンをエチレンと共重合させることも可能であり、該α−オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能である。
本発明において、上記共重合反応は、好ましくは気相法又はスラリー法にて、行うことができる。気相重合の場合、実質的に酸素、水等を断った状態で、エチレンやコモノマーのガス流を導入、流通、又は循環した反応器内においてエチレン等を重合させる。また、スラリー重合の場合、イソブタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下又は不存在下で、エチレン等を重合させる。また、液状エチレンや液状プロピレン等の液体モノマーも溶媒として使用できることは言うまでもない。本発明において、更に好ましい重合は、気相重合である。重合条件は、温度が0〜250℃、好ましくは20〜110℃、更に好ましくは60〜100℃であり、圧力が常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜4MPa、更に好ましくは0.5〜2MPaの範囲にあり、重合時間としては5分〜20時間、好ましくは30分〜10時間が採用されるのが普通である。
本願発明の特徴の一つである、適切な範囲の長鎖分岐及び適切な比率で低密度高分子量成分を有する比較的狭い逆コモノマー組成分布の共重合体を得るためには、用いる触媒成分(X)と触媒成分(Y)の種類の選定のほか、更に触媒(X)と(Y)のモル比や、(X)と(Z)のモル比、(Y)と(Z)のモル比、重合温度、エチレン分圧、H2/C2比、コモノマー/エチレン比等の重合条件を変えることによって、適宜調節することができる。
具体的には、例えば、本願実施例1記載の錯体を用いた場合、触媒の調整方法としては、錯体/シリカ=10〜40μmol/g、有機アルミニウムオキシ化合物/シリカ=7〜10mmol/g、調整剤の使用は任意であり、重合条件60〜90℃、エチレン分圧0.3〜2.0MPa、H2/C2%=0.2〜2.0%、C6/C2=0.1〜0.8%の範囲で適宜設定する。
また、重合系中に、水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えても何ら支障なく実施することができる。
なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、前記有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物などが使用される。これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、エチルブチルマグネシウムが好ましく、トリエチルアルミニウムが特に好ましい。
生成共重合体の長鎖分岐構造(すなわちg)やコモノマー共重合組成分布(すなわちW〜W等)は、触媒成分(X)や触媒成分(Y)の種類、触媒のモル比、重合温度や圧力、時間等の重合条件や重合プロセスを変えることによって調節可能である。長鎖分岐構造を形成しやすい触媒成分種を選択しても、例えば重合温度を下げたりエチレン圧力を上げたりして長鎖分岐構造の少ない共重合体を製造することも可能である。また、分子量分布や共重合組成分布の広い触媒成分種を選択しても、例えば触媒成分モル比、重合条件や重合プロセスを変えることによって分子量分布や共重合組成分布の狭い共重合体を製造することも可能である。
水素濃度、モノマー量、重合圧力、重合温度等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合方式においても、重合条件を適切に設定するならば、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を製造することが可能であり得るだろうが、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、一段階重合反応により製造される場合、複雑な重合運転条件を設定することなく、より経済的に製造できるので好ましい。
3.他の樹脂
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)(以下、「エチレン・α−オレフィン共重合体(A)」と称する)は、(A)以外の他のポリエチレン系樹脂、例えば、(A)以外のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)、又は高圧法低密度ポリエチレンと共に含有して、ポリエチレン系多層フィルムを構成する樹脂組成物に用いることができる。
また、本発明のポリエチレン系多層フィルムを構成する他の層においては、(A)以外のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)又は高圧法低密度ポリエチレン(C)、その混合物を用いた樹脂組成物により構成される。以下、説明する。
3−1.他のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)
他のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)としては、長鎖分岐構造を実質的には有さず、分子構造が線状であり、たとえばチーグラー系触媒により得られる、分子構造が線状であり分子量分布が比較的広い、いわゆる線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはメタロセン系触媒により得られる、分子構造が線状であり分子量分布が更に狭いメタロセン系ポリエチレンが挙げられる。このように、長鎖分岐構造を実質的には有さず、が分子構造が線状である、線状低密度ポリエチレンは、通常、本願発明で定義するgcの値が0.85を超えた値を示すので、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)とは異なる。
特に好ましくは、下記物性(B−1)および(B−2)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体を用いると、共重合体(A)による改質効果が発揮され、好ましい。
(B−1)MFR=0.01〜20g/10分
(B−2)密度=0.880〜0.970g/cm
更に、他のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)として下記物性(B−3)を満たすメタロセン系ポリエチレンを用いると、共重合体(A)による改質効果がより効果的であるため、好ましい。
(B−3)Mw/Mn=2.0〜5.0
なお、MFR、密度、Mw/Mnの定義は上述の共重合体(A)の定義と同様である。
3−2−1.条件(B−1)MFR
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレイト(MFR)は0.01〜20.0g/10分であり、0.1〜5.0g/10分が好ましい。さらに(B)として、チーグラー系触媒で得られる比較的分子量分布の広い(後述するQ値でいうと3.0超〜の値を示すことが多い)チーグラー系線状低密度ポリエチレン共重合体を用いる場合には、0.3〜3.0g/10分の範囲が、より好ましく、一方(B)として、メタロセン系触媒で得られる比較的分子量分布の狭い(後述するQ値でいうと2.0以上〜3.0以下の値を示すことが多い)共重合体を用いる場合には、0.3〜4.0g/10分の範囲が、より好ましい。MFRが低過ぎると、成形加工性が劣り、一方、MFRが高過ぎると、耐衝撃性、機械的強度等が低下する恐れがある。
3−2−2.条件(B−2)密度
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、0.880〜0.970g/cmであり、0.880〜0.950g/cmが好ましく、0.890〜0.940g/cmがより好ましい。密度がこの範囲内にあると、耐衝撃性と剛性のバランスが優れる。また、密度が低過ぎると、剛性が低下し、自動製袋適性を損なう恐れがある。一方、密度が高過ぎると、耐衝撃性を損なう恐れがある。
3−2−3.条件(B−3)分子量分布
さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比[Mw/Mn](以下、Q値ともいう。)は2.0〜10.0である。Q値が2.0未満の場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)と他の重合体成分が混ざり難い可能性がある。Q値が10.0を超えると、耐衝撃性の改良効果が充分でなく、耐衝撃性と剛性のバランスが損なわれる。耐衝撃性と剛性のバランス上、Q値の上限は、好ましくは7.5以下、より好ましくは5.0以下である。Q値の下限は、好ましくは2.3以上、より好ましくは2.5以上である。
なお、(B)として、チーグラー系触媒で得られる共重合体を用いる場合には、Q値が3.0超〜5.0g/10分、メタロセン系触媒で得られる共重合体を用いる場合には、2.0〜4.0g/10分のQ値を有することが好ましい。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比[Mw/Mn]は、以下の条件(以下、「分子量分布の測定方法」と言うこともある)で測定した時の値をいう。Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。
3−2−4.エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の組成
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)成分は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。ここで用いられる共重合成分であるα−オレフィンとしては、前述のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)で用いたものと同様である。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)におけるエチレンとα−オレフィンの割合は、エチレン約80〜100重量%、α−オレフィン約0〜20重量%であり、好ましくはエチレン約85〜99.9重量%、α−オレフィン約0.1〜15重量%であり、より好ましくはエチレン約90〜99.5重量%、α−オレフィン約0.5〜10重量%であり、更に好ましくはエチレン約90〜99重量%、α−オレフィン約1〜10重量%である。エチレン含量がこの範囲内であれば、ポリエチレン系樹脂組成物や該成形体の剛性と衝撃強度のバランスがよい。
3−2−5.エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製法
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、オレフィン重合用触媒を用いてエチレンを単独重合または上述のα−オレフィンと共重合する方法によって実施される。
オレフィン重合用触媒としては、今日様々な種類のものが知られており、該触媒成分の構成および重合条件や後処理条件の工夫の範囲内において上記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が準備可能であれば何ら制限されるものではないが、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造に好適な、工業レベルにおける経済性を満足する技術例として、以下の(i)〜(ii)で説明する遷移金属を含む具体的なオレフィン重合用触媒の例を挙げることができる。
(i)チーグラー触媒
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造に好適なオレフィン重合用触媒の例として、遷移金属化合物と典型金属のアルキル化合物等の組み合わせからなるオレフィン配位重合触媒としてのチーグラー・ナッタ触媒が挙げられる。とりわけマグネシウム化合物にチタニウム化合物を担持させた固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を組み合わせたいわゆるMg−Ti系チーグラー触媒(例えば、「触媒活用大辞典;2004年工業調査会発行」、「出願系統図−オレフィン重合触媒の変遷−;1995年発明協会発行」等を参照)は安価で高活性かつ重合プロセス適性に優れることから好適である。
(ii)メタロセン触媒
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造に好適な重合触媒の例として、メタロセン系遷移金属化合物と助触媒成分からなるオレフィン重合触媒であるメタロセン触媒(例えば、「メタロセン触媒による次世代ポリマー工業化技術(上・下巻);1994年インターリサーチ(株)発行」等を参照)は、比較的安価で高活性かつ重合プロセス適性に優れ、更には分子量分布および共重合組成分布が狭いエチレン系重合体が得られることから使用される。
3−3.高圧法低密度ポリエチレン(C)
高圧法低密度ポリエチレン(HPLDという)は、主に任意成分として含有することができる。HPLDは高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンとも呼称され、成形加工性の改良に多く用いられる。
高圧法低密度ポリエチレン(C)の物性としては特に規定されないが、MFRは、0.2〜80g/10分が好ましく、0.5〜50g/10分がより好ましい。また、密度は、0.900〜0.935g/cm3が好ましく、0.91〜0.93g/cm3がより好ましい。
ここで、高圧法低密度ポリエチレン(C)のMFR及び密度は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と同様、JIS K 7210及びJIS K 7112に準拠して測定したときの値をいう。
高圧法低密度ポリエチレン(C)は、市販品から適宜選択して使用することもできる。
市販品としては、例えば、日本ポリエチレン社製の「ノバテックLD」(商標名)などを例示することができる。
4.ポリエチレン系多層フィルム
本発明のポリエチレン系多層フィルムは、少なくとも一方の表面に存する表面層に、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含有することを必須とするが、更に好ましくは下記の層構成とすることが挙げられる。
4−1.層構成
すなわち多層フィルムとしては、外層と内層を有する二層、外層と中間層と内層を有する三層、又は更に他の層を追加した四層以上の多層を有するフィルムが挙げられるが、耐衝撃性と共に、特にフィルムの滑り性を必要とする側の表面層(外層又は内層)を、上記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含有する層で構成し、他の層については、より安価に入手可能な、(A)以外のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)及び/又は高圧法低密度ポリエチレン(C)を含有する樹脂組成物からなる層で構成する例が挙げられる。
特に好ましくは、多層フィルムの両方の表面層(すなわち外層及び内層)が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含有する層であるとよい。両方に含有することにより、例えば袋用の多層フィルムであれば、外側のフィルム同士の耐ブロッキング性向上と、内側の口開き特性の改良を同時に行うことができ、更に、フィルム成形加工性や物性バランス上においても好ましい。
4−2.表面層におけるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の含有量
前記表面層における前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の含有量は、その目的とする用途に求められる適性とその他の要因(価格等)を考慮して適宜決定しうるが、例えば前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を15〜100重量%含む樹脂組成物からなる層であることが挙げられる。更に好ましくは、含有量は30重量%〜100重量%、特に好ましくは51〜100重量%、70〜100重量%として挙げられる。特に上記共重合体(A)を、樹脂単独成分又は51重量%以上の樹脂主成分として用いることで、上記共重合体(A)の特性を十分に発揮することができる。表面層を構成する他の樹脂としては、上記エチレン・α−オレフィン共重合体又は高圧法低密度ポリエチレン(C)が挙げられる。
4−3.他の層
一方、前記多層フィルムの表面層以外の層(例えば中間層)は、上記条件(B−1)および(B−2)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を51重量%〜100重量%含有する樹脂組成物で構成することができる。たとえば、合計量を100重量%とした場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)70〜100重量%及び任意成分として高圧法低密度ポリエチレン(C)0〜30重量%を含有する層を表面層以外の層とすることができる。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の含有量が上記範囲である場合、更なるインフレーション成形におけるバブル安定性が向上する。
また、成形加工性の改善という観点から、好ましくはエチレン・α−オレフィン共重合体(B)80〜99重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(C)1〜20重量%、さらに好ましくはエチレン・α−オレフィン共重合体(B)85〜95重量%及び高圧法低密度ポリエチレン(C)5〜15重量%を含有する。
5.多層フィルムの製造方法
本発明のポリエチレン系多層フィルムは、インフレーション成形によりフィルム加工することにより製造される。
成形条件は、特に限定はされず、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、押出機の口径は、直径10〜600mm、好ましくは20〜300mm、さらに好ましくは25〜200mmであり、口径Dとホッパー下からシリンダー先端までの長さLの比L/Dが8〜45、好ましくは12〜36である。
ダイは、インフレーション成形に一般に用いられている形状のものであり、例えば、スパイダー型、スパイラル型、スタッキング型等の流路形状を持ち、口径は1〜5000mm、好ましくは5〜3000mm、さらに好ましくは10〜1800mmである。
バブルの冷却は、一般に用いられるエアーリングを使用し、その冷却気体は公知のものを用いることが出来、さらに、その温度をチラー等により冷却したり、ヒーター等で加熱したりすることが出来る。また、バブルの冷却は、外部のエアーリングから冷却風を当てたり、内部に冷却気体を循環させたりする公知の方法を用いることが出来る。エアーリングもその形状や数に限定されず、シングルスリットやデュアルスリット、チャンバーのついたもの等公知のものを1つまたは複数設けることが出来る。
成形条件としては、ダイから押し出された樹脂は、温度が140〜250℃、好ましくは160〜200℃の範囲にあり、吐出量とダイ形状により決定される平均吐出速度は、5mm/min〜80m/min、好ましくは10mm/min〜60m/min、さらに好ましくは15mm/min〜40m/minである。ダイを出たバブルは、内部の気体により膨張させられ、そのバブルの直径とダイ口径の比であらわされるブロー比が1.5〜4.5、好ましくは2.0〜3.5の範囲にあり、引き取り速度とダイから押し出された時の平均流速の比で表されるTURが2.0〜200、好ましくは10〜100の範囲にあるような成形条件により成形することができる。このバブルは、冷却固化され、ダイの出口からバブルが固化するまでのフロストライン高さは、製膜速度やフィルム厚みにより変化するが、5〜1800、好ましくは10〜1200mm、さらに好ましくは20〜800mmの範囲にある。
本発明のポリエチレン系多層フィルムの厚さは特に限定されないが、通常は、10〜200μm、好ましくは20〜150μmである。また、本発明の多層フィルムの各層の厚さの比は、特に限定はされないが、生産性や物性バランスの観点から外層:芯層:内層=1〜3:1〜8:1〜3の範囲が好ましい。
また、本発明のポリエチレン系多層フィルムにおいては、外層と中間層または内層と中間層の間に他の層を介在させてもよい。他の層としては、例えば、水蒸気およびガスバリア性向上のために、バリア層を用いることができる。
なお、本発明のポリエチレン系多層フィルムの各層においては、本発明の特徴を損なわない範囲において、必要に応じ、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、核剤、滑剤、防曇剤、有機あるいは無機顔料、紫外線防止剤、分散剤などの公知の添加剤を、添加することが出来る。
6.用途
本発明の多層フィルムは、成形加工に必要な溶融張力を満たし、耐衝撃性と剛性とのバランスに優れ、さらに表面の滑り性にも優れるため、特に耐ブロッキング性を必要とする包装用の多層フィルム、又は耐汚防止を目的とした屋外に用いるフィルムとして好適に使用される。
例えば、具体的に例を記すと、紙袋の内袋やゴミ袋など寸法規格の定まった規格袋、重袋、ラップフィルム、砂糖袋、米袋、油物包装袋、漬物などの水物包装袋における食品包装用フィルム、自動充填性が求められる包材、輸液バッグ、農業用フィルム等、ナイロン、ポリエステル、金属箔、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などの各種基材との積層体、スタンディングパウチ、発泡体やその成形体としての使用、バッグインボックス、洗剤用容器、食用油容器、レトルト容器、医療容器、薬品用容器、溶剤用容器、農薬用容器、輸液バッグ、クリーンフィルム等が挙げられる。クリーンフィルムの具体的な用途例を示すと、サプリメントなどの食品・飲料、注射器や輸液バックなどの医療品・医薬品、または液晶部材、電子・電気部品、精密部品の包装袋等が挙げられる。
以下においては、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明し、本発明の卓越性と本発明の構成における優位性を実証するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において使用した測定方法は、以下の通りである。また、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で行い、かつ、使用した溶媒は、モレキュラーシーブ4Aで脱水精製したものを用いた。
[物性の測定方法]
(1)MFR
JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定した。
(2)密度
JIS K7112(1999年版):A法(水中置換法)により測定した。
(3)GPCにより測定される分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1に例示されるように行った。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いた。その際使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
(4)示差屈折計、粘度検出器及び光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数(g’)の分子量10万から100万の間での最低値(gc)
示差屈折計(RI)及び粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部及び各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)及びViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、上述した文献を参考にして計算を行った。
[分岐指数(gC)等の算出]
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出した。
MALLSから得られる絶対分子量として、分子量10万から100万における上記g’の最低値を、gCとして算出した。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
(5)昇温溶出分別(TREF)により85℃以上で溶出する成分の割合(X)
試料を140℃でオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し、溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却し、更に続いて1℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、20分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。この時、85℃から140℃までの間に溶出する成分量をX(単位wt%)とする。
使用装置は、下記のとおりである。
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000
(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ、4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル、光路長1.5mm、窓形状2φ×4mm長丸、合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
測定条件
溶媒:オルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
(6)W+W,W+W,W‐W
結晶性分別を行う昇温溶出分別(TREF)部と分子量分別を行うゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)部とから成る、クロス分別クロマトグラフィー(CFC)により行った。
即ち、ポリマーサンプルを0.5mg/mLのBHTを含むオルトジクロロベンゼン(ODCB)に140℃で完全に溶解した後、この溶液を装置のサンプルループを経て140℃に保持されたTREFカラム(不活性ガラスビーズ担体が充填されたカラム)に注入し、所定の第1溶出温度まで徐々に冷却しポリマーサンプルを結晶化させた。
所定の温度で30分保持した後、ODCBをTREFカラムに通液することにより、溶出成分がGPC部に注入されて分子量分別が行われ、赤外検出器(FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器、測定波長3.42μm)によりクロマトグラムが得た。その間、TREF部では次の溶出温度に昇温され、第1溶出温度のクロマトグラムが得られた後、第2溶出温度での溶出成分がGPC部に注入された。以下、同様の操作を繰り返すことにより、各溶出温度での溶出成分のクロマトグラムが得られた。
なお、CFCの測定条件は、以下の通りである。
装置:ダイヤインスツルメンツ社製CFC−T102L
GPCカラム:昭和電工社製AD−806MS(3本を直列に接続)
溶媒:ODCB
サンプル濃度:3mg/mL
注入量:0.4mL
結晶化速度:1℃/分
溶媒流速:1mL/分
GPC測定時間:34分
GPC測定後安定時間:5分
溶出温度:0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140
データ解析
測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムから、総和が100%となるように規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)を求めた。
また、各クロマトグラムから、上述のGPCと同じ手順により分子量分布を求めた。
各溶出温度における分子量分布及び溶出量から、文献(S.Nakano,Y.Goto,”Development of automatic Cross Fractionation:Combination of Crystallizability Fractionation and Molecular Weight Fractionation”,J.Appl.Polym.Sci.,vol.26,pp.4217−4231(1981))の方法に従って、溶出温度と分子量に関する溶出量を等高線として示すグラフ(等高線図)を得た。
上記の等高線図を用いて、以下の成分量を求めた。
:積分溶出曲線から求められる溶出量が50wt%となる温度以下で溶出する成分のうち分子量が当該エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量未満の成分の割合。
:積分溶出曲線から求められる溶出量が50wt%となる温度以下で溶出する成分のうち分子量が当該エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量以上の成分の割合。
:積分溶出曲線から求められる溶出量が50wt%となる温度より高い温度で溶出する成分のうち分子量が当該エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量未満の成分の割合。
:積分溶出曲線から求められる溶出量が50wt%となる温度より高い温度で溶出する成分のうち分子量が当該エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量以上の成分の割合。
なお、W+W+W+W=100である。
(7)メルトテンション(MT)
メルトテンション(MT)を、下記条件にて評価した。
試験機として東洋精機社製キャピログラフ1Bを使用し、オリフィス:L/D=8.0/2.095、流入角フラット、設定温度:190℃、ピストンスピード:10mm/分、引取り速度4.0m/分にてメルトテンション(MT)を測定した。
[インフレーションフィルムの成形条件]
以下の押出機を有する多層インフレーションフィルム製膜機(成形装置)を用いて、下記の成形条件で、多層インフレーションフィルムを成形し、評価した。
装置:多層インフレーション成形装置
押出機スクリュー径
外層:50mmφ、中間層:55mmφ、内層:50mmφ
ダイ径:200mmφ
押出量:各層20kg/hr
ダイリップギャップ:3.0mm
引取速度:30.0m/分
ブローアップ比:2.0
成形樹脂温度:190℃
フィルム厚み:30μm
[フィルムの評価方法]
(1)ダート落下衝撃強度(DDI)
JIS K 7124 1 A法に準拠して測定した。
(2)静摩擦係数
ASTM D1894 に準拠して測定した。
[総合評価]
静摩擦係数が0.8以上であるか、DDIが100以下であるものを不良「×」とし、それ以外は良好「○」とした。
[実施例1]
<エチレン・α−オレフィン系重合体(A)の重合例1>
以下の実施例では下記合成法により合成した重合体(mLCB)を用いた。
(1)架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物の合成
ジメチルシリレン(4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを、特開2013−227271号公報記載の方法に従い合成した。
(2)オレフィン重合用触媒の合成
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに400℃で5時間焼成したシリカ30グラムを入れ、次いで脱水トルエン195mlを追加してスラリーとした。別途用意した200ml二口フラスコに窒素雰囲気下で、上記(1)で合成したジメチルシリレン(4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド412ミリグラムを入れ、脱水トルエン80.7mlで溶解した後、更に室温でアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液78.9mlを加え30分間撹拌した。シリカのトルエンスラリー液の入った500ml三口フラスコを40℃のオイルバスで加熱及び撹拌しながら、上記ジルコノセン錯体とメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したまま15分静沈して上澄み221mlを除去し、脱水ヘキサンを加えて撹拌、静沈、上澄み除去を行うことにより溶媒中のトルエン含有量が3%以下になるまで置換した後、減圧留去して粉状触媒を得た。
(3)オレフィン重合用触媒の処理
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、上記(2)で得た粉状触媒のうち32gを入れ、脱水ヘキサン195mlと脱水流動パラフィン(MORESCO社製;商品名モレスコホワイトP−120)180gの混合液を室温で加えて10分撹拌した後、室温で溶媒中のヘキサン含有量が5%以下になるまで減圧留去してスラリー触媒を得た。
(4)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記(3)で得たスラリー触媒を使用してエチレン・1−ヘキセン気相連続共重合を行った。すなわち、温度85℃、ヘキセン/エチレンモル比0.43%、水素/エチレンモル比0.52%、エチレン圧を1.5MPaに準備された気相連続重合装置に該粉状触媒を0.027g/時間の速さで間欠的に供給しながらガス組成と温度を一定にして重合を行った。また、系内の清浄性を保つためトリエチルアルミニウム(TEA)を0.04mmol/hrでガス循環ラインに供給した。その結果、生成ポリエチレンの平均生成速度は180g/時間(平均滞留時間10時間)となった。累積5kg以上のポリエチレンを生成した後に得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体のMFRと密度は各々0.36g/10分、0.921g/cmであった。得られた重合体(以下「mLCB」と称する)の物性を表2に示した。
<多層フィルムの製造>
上記で得られた重合体(mLCB)に酸化防止剤(住友化学社製スミライザーGP)を1000ppm添加し、単軸押出機(ユニオン・プラスチックス社製USV型30φ押出機)を用いて押出温度180℃で押し出すことで評価用にペレタイズした。
多層インフレーションフィルム成形の際には、中間層に、チーグラー系触媒で製造された線状低密度ポリエチレンであるエチレン・α−オレフィン系重合体(「UF320」;日本ポリエチレン社製;密度が0.922g/cm、MFRが0.9g/10分)を用い、両表面層である内層及び外層は上記重合体(mLCB)のペレタイズ品を用いた。上記の材料を用いて上記フィルム成形条件によって多層フィルムを形成した。結果を表3に示す。
〔比較例1〕
外層及び内層に、チーグラー系触媒で製造された線状低密度ポリエチレンであるエチレン・α−オレフィン系重合体(UF320)を用いた。実施例1と同様にして材料物性を測定して表2に示した。
多層インフレーション成形の際には、内層及び外層にUF320を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示した。
〔比較例2〕
高圧法で製造された低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製LF240;密度が0.924g/cm、MFRが0.7g/10分)を用いた。実施例1と同様にして材料物性を測定して表2に示した。
多層インフレーション成形の際には、内層及び外層にLF240を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示した。
Figure 2017061122
Figure 2017061122
[評価]
実施例1で用いた多層フィルムは、のエチレン・α−オレフィン共重合体は、本発明の要件を満足し、静摩擦係数が0.8以下であり、しかもDDI等の機械的強度に優れている。
これに対して、比較例1は、分岐指数(g’)の分子量10万から100万の間での最低値(gc)、昇温溶出分別(TREF)により85℃以上で溶出する成分の割合(X)、及びCFCより得られるW−Wが本発明の要件を外れており、静摩擦係数が1以上でありDDIが100未満であった。
比較例2は、分岐指数(g’)の分子量10万から100万の間での最低値(gc)、昇温溶出分別(TREF)により85℃以上で溶出する成分の割合(X)、及びCFCより得られるW+W3,−Wが本発明の要件を外れており、DDI等の機械的強度が低下していた。
以上から明らかなように、本発明のフィルム用エチレン・α−オレフィン共重合体は、表層に用いることで静摩擦係数(滑り性)に優れ、同時に、エチレン・α−オレフィン共重合体を用いたフィルムはDDI等の機械的強度にも優れ、フィルムを経済的に有利に提供することが可能である。
したがって、このような望ましい特性を有するフィルムを経済的に有利に提供することのできる本発明のフィルム用エチレン・α−オレフィン共重合体及びフィルムの工業的価値は極めて大きい。

Claims (11)

  1. 多層フィルムの、少なくとも一方の表面に存する表面層に、下記の条件(1)〜(5)を満足することを特徴とするエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含有してなることを特徴とする、ポリエチレン系多層フィルム。
    (1)MFRが0.1g/10分を超え、10g/10分以下である
    (2)密度が0.895〜0.940g/cmである
    (3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが3.0〜5.5である
    (4)示差屈折計、粘度検出器および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値(gc)が0.40〜0.85である
    (5)クロス分別クロマトグラフィー(CFC)により測定される積分溶出曲線から求められた溶出量が50wt%となる温度以下で溶出する成分のうち分子量が重量平均分子量以上の成分の割合(W)及び前記積分溶出曲線から求められた溶出量が50wt%となる温度より高い温度で溶出する成分のうち分子量が重量平均分子量未満の成分の割合(W)の和(W+W)が、40重量%を超え、80重量%未満である
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が更に下記の条件(6)を満足することを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン系多層フィルム。
    (6)前記W及びCFCにより測定される積分溶出曲線から求められた溶出量が50wt%となる温度より高温で溶出する成分のうち分子量が重量平均分子量以上の成分の割合(W)の和(W+W)が、25重量%を超え、50重量%未満である
  3. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が更に下記の条件(7)を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン系多層フィルム。
    (7)前記W及びWの差(W−W)が、0重量%を超え、20重量%未満である
  4. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が更に下記の条件(8)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエチレン系多層フィルム。
    (8)昇温溶出分別(TREF)により85℃以上で溶出する成分の割合(X)が2〜15重量%である
  5. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のα−オレフィンは、炭素数が3〜10であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエチレン系多層フィルム。
  6. 前記表面層が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を51重量%〜100重量%以上含有する樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリエチレン系多層フィルム。
  7. 前記多層フィルムの表面層以外の中間層は、下記条件(B−1)および(B−2)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を51重量%〜100重量%含有する樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリエチレン系多層フィルム。
    (B−1)MFRが0.01〜20g/10分である
    (B−2)密度が0.880〜0.970g/cmである
  8. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、更に下記条件(B−2’)を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリエチレン系多層フィルム。
    (B−2’)密度が0.890〜0.940g/cmである
  9. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、更に、下記条件(B−3)を満足することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリエチレン系多層フィルム。
    (B−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが2.0〜5.0である
  10. 前記多層フィルムの両方の表面層が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含有する層であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリエチレン系多層フィルム。
  11. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、MFRが0.1〜5.0未満のチーグラー系線状低密度ポリエチレン、又はMFRが0.1〜10以下のメタロセン系ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリエチレン系多層フィルム。
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