JP2017058451A - 光走査装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏向手段から同期検出のセンサまでの光路上において、主走査方向において光束を規制する光学部材を設けずに、良好な走査性能を達成しつつ、低コスト化及び小型化を実現できる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置を提供する【解決手段】光束を主走査方向において規制する第1の遮光部材と、該第1の遮光部材を介した光束を偏向して被走査面を主走査方向に光走査する偏向手段と、前記偏向手段により偏向された光束を受光して信号を出力する受光素子と、を備える光走査装置であって、前記偏向手段から前記受光素子に至る光路は、光束が主走査方向において規制されない光路であり、副走査方向において、前記受光素子の受光面の幅よりも、該受光面に入射する光束の幅の方が大きく、前記第1の遮光部材の光束が通過する側の主走査方向における端部は、副走査方向に沿った直線部を含む。【選択図】図5

Description

本発明は光走査装置及びそれを用いた画像形成装置に関し、例えば、レーザビームプリンタ(LBP)やデジタル複写機、マルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等に好適なものである。
従来、光走査装置の走査開始タイミングを決定する同期検出手段の構成として、偏向手段から同期検出用センサ(BDセンサ)までの光路上において、主走査方向において光束を規制する光学部材を設けている。具体的には、同期検出用レンズ(BDレンズ)、同期検出用スリット(BDスリット)を設けている。しかし、近年、光走査装置及びそれを用いた画像形成装置においては、装置の低コスト化及び小型化が求められており、光走査装置の印字開始タイミングを決定する同期検出手段の構成についても低コスト化、小型化の提案が種々されている。
特許文献1では、偏向手段からBDセンサまでの光路上において、BDレンズを設けずにBDスリットのみを設けて同期タイミングを取得する構成が提案されている。また、特許文献2では、偏向手段からBDセンサまでの光路上において、BDレンズおよびBDスリットを設けない構成が提案されている。
また、特許文献3では、偏向手段からBDセンサまでの光路上において、BDスリットを設けずにBDレンズのみを設けて同期タイミングを取得する構成が提案されている。特許文献3では、マルチビームレーザとBDセンサが一体の基板上に配置されているときに、基板をマルチビームレーザの各発光点の中間点を原点として面法線周りで回転(いわゆるプロペラ回転)させてマルチビームの被走査面上での照射位置間隔を調整する。この際に、BDセンサの位置が移動することで同期検出が困難になるという課題に対して、BDスリットを排しつつBDセンサ上での光ビームの光束径を広げることで対応している。
特開2013−238702号公報 特開2012−008373号公報 特開2003−075750号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光走査装置においては、BDスリットを介してBDセンサに光ビームが到達する。そのため、BDセンサの取付公差を考慮した場合にも、BDスリットを通過した光束を受光できるように、BDセンサの受光面を十分に大きくする必要がある。これにより、BDセンサの小型化、低コスト化が困難になるという問題が生じる。
また、特許文献2に記載の光走査装置においては、BDスリットを排した構成であるため、BDセンサ自体で同期タイミングを決定することとなる。そして、BDレンズも排した構成であるため、偏向手段の偏向面とBDセンサ上を略共役関係にすることができない。そのため、BDセンサが受光面の面法線周りで回転(いわゆるプロペラ回転)した場合などに、偏向手段の偏向面の面倒れに依存して同期タイミングが変わることによって被走査面上でジッターが発生し、良好な印字品質を実現できないという問題が生じる。
また、特許文献3に記載の光走査装置も特許文献2と同様に、BDスリットを排した構成であるため、BDセンサの配置誤差起因(上記プロペラ回転)で発生するジッターが問題となる。
本発明の目的は、偏向手段から同期検出のセンサまでの光路上において、主走査方向において光束を規制する光学部材を設けずに、良好な走査性能を達成しつつ、低コスト化及び小型化を実現できる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る光走査装置は、光束を主走査方向において規制する第1の遮光部材と、該第1の遮光部材を介した光束を偏向して被走査面を主走査方向に光走査する偏向手段と、前記偏向手段により偏向された光束を受光して信号を出力する受光素子と、を備える光走査装置であって、前記偏向手段から前記受光素子に至る光路は、光束が主走査方向において規制されない光路であり、副走査方向において、前記受光素子の受光面の幅よりも、該受光面に入射する光束の幅の方が大きく、前記第1の遮光部材の光束が通過する側の主走査方向における端部は、副走査方向に沿った直線部を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る別の光走査装置は、光束を主走査方向において規制する第1の遮光部材と、該第1の遮光部材を介した光束を偏向して被走査面を主走査方向に光走査する偏向手段と、前記偏向手段により偏向された光束を受光して信号を出力する受光素子と、を備える光走査装置であって、前記偏向手段から前記受光素子に至る光路は、光束が主走査方向において規制されない光路であり、前記偏向手段から前記受光素子に向かう光束を副走査方向において規制する第2の遮光部材を有しており、副走査方向において、前記第2の遮光部材により規制された光束の幅よりも、前記受光素子の受光面の幅の方が大きく、前記第1の遮光部材の光束が通過する側の主走査方向における端部は、副走査方向に沿った直線部を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成装置は、上記光走査装置を有することを特徴とする。
本発明によれば、偏向手段から同期検出用センサまでの光路上において、主走査方向において光束を規制する光学部材を設けずに、良好な走査性能を達成しつつ、低コスト化及び小型化を実現できる。
(a)は本発明の第1の実施形態に係る光走査装置の要部断面図、(b)は同期検出手段の光路図、(c)は開口絞りの形状説明図である。 第1の実施形態における同期検出手段の詳細図である。 第1の実施形態における光量プロファイルの模式図である。 第1の実施形態における面倒れの影響の説明図である。 第1の実施形態におけるBD光束形状と受光面の説明図である。 対策(i)のみを実施した場合と第1の実施形態との光量プロファイルの比較図である。 対策(i)のみを実施した場合と第1の実施形態とのBDジッター量の比較図である。 (a)は第2の実施形態に係る光走査装置の要部断面図、(b)は同期検出手段の光路図である。 第2の実施形態の開口絞りの形状説明図である。 (a)は第3の実施形態に係る光走査装置の要部断面図、(b)は同期検出手段の光路図である。 第3の実施形態における副走査スリットとBD光束及び受光面の説明図である。 第1の実施形態における結像レンズの子線定義の説明図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置を搭載した画像形成装置の説明図である。 (a)は比較例の要部断面図、(b)は同期検出手段の光路図である。 比較例のBD光束とBDスリット及びBDセンサの説明図である。 比較例の光量プロファイルの模式図である。
以下に、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。
なお、以下の説明において、主走査方向Yとは、偏向器の回転軸方向Zおよび結像光学系の光軸方向X(もしくは入射光学系の光軸方向Xもしくは入射光学系の光軸が偏向器で偏向されて同期検出系の受光素子の中心に至る軸方向X’)に垂直な方向である。副走査方向とは、偏向器の回転軸に平行な方向である。また、主走査断面とは、主走査方向と結像光学系の光軸方向とを含む断面(副走査方向に垂直な断面)であり、副走査断面とは、主走査方向に垂直な断面である。
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図13は、本発明の実施形態に係る光走査装置(光走査ユニット)100を搭載した画像形成装置104の要部概略図(副走査断面図)である。図13に示すように、画像形成装置104には、パーソナルコンピュータ等の外部機器117からコードデータDcが入力される。このコードデータDcは、装置内のプリンタコントローラ111によって、画像信号(ドットデータ)Diに変換される。この画像信号Diは、光走査ユニット100に入力される。
そして、光走査ユニット100からは、画像信号Diに応じて変調された光束103が出射され、この光束103によって感光ドラム101の感光面(被走査面)が主走査方向に走査される。なお、プリンタコントローラ111は、前述したデータの変換だけでなく、後述するモータ115などの画像形成装置内の各部の制御を行う。
静電潜像担持体(感光体)としての感光ドラム101は、モータ115によって時計廻りに回転させられる。そして、この回転に伴って、感光ドラム101の感光面が光束103に対して副走査方向に移動する。感光ドラム101の上方には、感光面を一様に帯電せしめる帯電ローラ102が感光面に当接するように設けられている。そして、帯電ローラ102によって帯電された感光面上に、光走査ユニット100からの光束103が照射されるように構成されている。
光束103は、画像信号Diに基づいて変調されており、この光束103を照射することによって感光面上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、光束103の照射位置よりもさらに感光ドラム101の回転方向の下流側で感光面に当接するように配設された現像器107によって、トナー像として現像される。
現像器107によって現像されたトナー像は、感光ドラム101の下方で、感光ドラム101に対向するように配設された転写ローラ(転写器)108によって、被転写材(記録材)としての用紙112上に転写される。用紙112は感光ドラム101の前方(図13において右側)の用紙カセット109内に収納されているが、手差しでも給紙が可能である。用紙カセット109端部には、給紙ローラ110が配設されており、これにより用紙カセット109内の用紙112が搬送路へ送り込まれる。
以上のようにして、未定着トナー像が転写された用紙112は、さらに感光ドラム101後方(図13において左側)の定着器へと搬送される。定着器は、内部に定着ヒータ(図示せず)を有する定着ローラ113と、この定着ローラ113に圧接するように配設された加圧ローラ114とで構成されている。この定着器は、転写ローラ108から搬送されてきた用紙112を定着ローラ113と加圧ローラ114との圧接部にて加圧しながら加熱することにより、用紙112上の未定着トナー像を定着させる。さらに、定着ローラ113の後方には排紙ローラ116が配設されており、トナー像が定着された用紙112は画像形成装置104の外に排出される。
(光走査装置)
以下、本発明の第1の実施形態に係る光走査装置について詳細に説明する。図1(a)は、本実施形態に係る光走査装置の要部断面としての主走査断面、図1(b)は後述の偏向面4aから受光面8までの印字開始タイミングを決定する同期検出に係る基準軸x’方向の光路に沿った副走査断面をそれぞれ示している。
図1(a)に示す本実施形態は、光源1からの光束を偏向手段としての偏向器4に導光する入射光学系を有する。入射光学系は、光源1からの光束に対して集光作用を有する入射光学素子としてのアナモフィックレンズ2と、光源1からの光束の形状を整形する第1の遮光部材としての開口絞り3と、を備える。ここで、図1(c)に示すように、第1の遮光部材としての開口絞り3の光束が通過する側の(光束が通過する領域に面した)主走査方向における端部は副走査方向に沿った直線部3a、3bを含む。なお、光源1としては、例えば半導体レーザーを用いることができ、その発光部は1個でも複数個でもよい。
アナモフィックレンズ2は、主走査断面内において正の屈折力を有しており、入射する光束を主走査断面内においては収束光に変換し、また副走査断面内においても正の屈折力を有し、偏向器4の偏向面4aの近傍に光束を集光する。これにより、偏向器4の偏向面4aの近傍に主走査方向に長い線像を形成している。
なお、本実施形態においては、入射光学系の光学素子をアナモフィックレンズ2のみで構成しているが、主走査方向及び副走査方向のそれぞれの光学的機能を独立させた複数の光学素子により入射光学系を構成してもよい。また、本実施形態において、アナモフィックレンズ2を通過後の光束を主走査断面内において収束光としているが、平行光もしくは発散光としても良い。
アナモフィックレンズ2を通過した光は、開口絞り3によって矩形形状に整形され、偏向器4の偏向面4aにて反射偏向される。ここで、偏向器5は、不図示の駆動部により矢印A方向に一定速度で回転される。なお、本実施形態では、偏向器4として4つの偏向面を有する回転多面鏡(ポリゴンミラー)を採用しているが、偏向面の数を4つ以上にしてもよい。
偏向器4で主走査方向に偏向された光束は、静電潜像が形成される被走査面(感光面)6に集光する結像光学系における結像光学素子としての結像レンズ5に入射する。そして、結像レンズ5を通過した光束は、被走査面(感光面)6上に導光される。この時、結像レンズ5は、主走査断面内及び副走査断面内の両方において、被走査面6の近傍にスポット状の像を形成している。
結像レンズ5は、入射面(第1面)5a及び出射面(第2面)5bの2つの光学面(レンズ面)を有しており、主走査断面内において偏向面4aにて偏向された光束が被走査面6上を偏向器4の角速度に依存して等速走査するように構成されている。また、結像レンズ5は、副走査断面内においては、偏向面4aの近傍と被走査面6の近傍とを共役の関係にすることで、面倒れ補償(偏向面4aが倒れた際の被走査面6上での副走査方向の走査位置ずれを低減すること)を行っている。
また、図1(a)の紙面内で、結像レンズ5は、入射面5aの非球面形状の原点を通り、偏向器4の回転軸と平行な回転軸の周りに、時計回りで5分回転させて配置されている。なお、本実施形態においては、結像光学系の結像光学素子を結像レンズ5のみで構成しているが、複数の結像レンズで構成しても良い。
また、本実施形態に係る結像レンズ5は、射出成形によって形成されたプラスチックモールドレンズであるが、結像レンズ5としてガラスモールドレンズを採用してもよい。モールドレンズは、非球面形状の成形が容易であり、かつ大量生産に適しているため、結像レンズ5としてモールドレンズを採用することで、その生産性及び光学性能の向上を図ることができる。
ここで、本実施形態においては、偏向手段4の偏向面4aで反射偏向された光束は、後に詳述する印字開始タイミングを決定する同期検出に係る同期検出素子(BDセンサ)7に入射する。以降、BDセンサ7に入射する光束をBD光束と呼称する。BDセンサ7は、BDセンサ7上の受光面8に到達したBD光束を用いて画像書き込みのための同期開始タイミングを出力する。
本実施形態に係る光走査装置の構成を、表1に示す。
本実施形態に係るアナモフィックレンズ2の第1面には回折格子構造が設けられており、回折格子の位相関数は
と表現される。ここでkは、回折次数を表し、ここではk=1としている。またλは、波長でありλ=790nmとしている。
本実施形態に係る結像レンズ5のレンズ面の形状xは、レンズ面と光軸との交点を原点とし、結像レンズ5の光軸方向の軸をX軸、主走査面内において光軸と直交する軸をY軸、副走査断面内において光軸と直交する軸をZ軸とする時、以下の式によって定義される。
x=X+Scosθ
y=Y - Ssinθ ・・・(1)
なお、式(1)のθは、図12に示すように位置Xにおける母線形状の法線方向と結像レンズ5の光軸方向との間の角度である。式(2)は、主走査断面(XY断面)内での結像レンズ5のレンズ面の形状(母線形状)を示し、式(3)は、任意のレンズ面座標Yにおける主走査断面内における母線の垂線を含み主走査面と直交する断面内でのレンズ面の形状(子線形状)を示している。
この時、式(4)に示したように、結像レンズ5のレンズ面の子線形状の曲率半径r’はYの値に応じて変化している。式(2)及び式(4)においては、Y≧0の場合をupper、Y≦0の場合をlower、として各々の非球面係数を設定しており、upperがi=u、lowerがi=l、として各非球面係数を表1に示している。
(同期検出手段)
次に、被走査面を光束が走査する走査タイミングを決定するために偏向手段で偏向された光束を受光するセンサ(BDセンサ)を備えた同期検出手段に関し、本実施形態を比較例(従来から用いられている同期検出手段)と比較して説明する。
1)比較例
先ず、従来から用いられている同期検出手段を比較例として、図14および図15を用いて説明する。図14(a)は比較例の主走査断面図であり、図14(b)は比較例の偏向面4aから受光面32までの光路に沿った副走査断面で切った要部断面図である。図15は、比較例のBDスリット31上の光束を示した模式図である。
後述する本実施形態と異なり、比較例では、同期検出手段がBDレンズ30、BDスリット31、及びBDセンサ33で構成される。比較例のBDレンズ30は、偏向面4aによって反射偏向されたBD光束をBDスリット31近傍で結像させている。そして、BDスリット31後方には、主走査方向においてBDスリットの幅より大きな受光面32を有するBDセンサ33が配置されている。
BDスリット31近傍に集光されたBD光束は、BDスリット31を横切りBDセンサ33の受光面32に入射することで、同期開始タイミングが決定される。図16は、BDセンサ33の受光面32で受光されたBD光束の光量Iを、横軸を時間tとして示したものである。
BDスリット31を通過するタイミングTinから受光面32でBD光束が検知されて、急速に光量が立ち上がり、所望の光量に達した時間を同期開始タイミングTBDとして用いる。比較例においては、BDスリット31上で主走査方向に集光しているために、受光面32にBD光束が入射した際の光量プロファイルの立ち上がりを急峻にすることができており、安定して同期開始タイミングを取得することが可能となっている。
また、副走査方向においてもBDスリット31上で集光状態、つまり偏向面4aと略共役関係となっているために、偏向器4の各偏向面間に相対的な面倒れが発生していたとしてもBDスリット31上での副走査方向の照射位置の変化はほぼ発生しない。その結果、BDスリット31がその面法線周りで回転(いわゆるプロペラ回転)したとしても、BDスリット31上の副走査方向の照射位置変化に起因した、偏向器4の各面ごとの同期開始タイミングのずれ(BDジッター)は画質に影響がないまでに低減される。
2)本実施形態
以下、本実施形態に係る同期検出手段の配置、構成及び同期検出方法について、図1乃至図7を用いて詳細に説明する。ここで、受光素子(受光センサ)としてのBDセンサ7の模式図である図2で、x’方向は偏向器4の偏向面4aからBDセンサ7の中心に向かう基準軸の方向、y方向は偏向面4aの回転で光束が走査される主走査方向、z方向は副走査方向である。
本実施形態の同期検出手段は、偏向面4aからBDセンサ7までの光路上において、主走査方向において光束を規制する光学部材を備えない。即ち、本実施形態では、図1(b)に示すようにBDセンサ7のみで構成される(ここで、受光面8の形状は矩形形状であり、受光面8はBDスリットの役割を兼ねている)。本実施形態では、比較例で設けられていたBDレンズやBDスリットを排することで、部品点数の削減、及びBDセンサ7の小型化を達成している。
そして、偏向器4の偏向面4aで偏向反射された光束は、主走査断面内においてはアナモフィックレンズ2による収束光、副走査断面内においては偏向面4a近傍で一旦集光後、発散光となった状態でBDセンサ7に到達する。BDセンサ7に到達するBD光束は、図2に示す受光面保護部材としての樹脂製の保護部材(クリアモールド)11を透過して、受光面8で受光される。
図2で、BDセンサ7には、yz面内の受光面8、受光面8周辺の配線用のPAD9、配線10、それらを保護するための樹脂製の保護部材(クリアモールド)11、及びセンサ基板12が具備されている。クリアモールド11の面11aは略平面となっており、クリアモールド11に到達した光束に対して、屈折力を有しない。
図3は、受光面8で受光された光量Iの本実施形態および比較例のプロファイルを、横軸を時間tとして示したものである。図3から分かるように、本実施形態の光量プロファイルの立ち上がりは、比較例に比べて鈍っている。この原因は、以下の簡単な考察から理解できる。BDセンサ7に到達したBD光束の光量分布をi(y,z)として、BDセンサ7の受光面8の受光領域をA(y,z)とする。ただし、y,zはそれぞれ、受光面8の面法線とポリゴンミラー4の回転軸に直交する方向(主走査方向)、及びポリゴンミラー4の回転軸に平行な方向(副走査方向)とする。
このとき、受光領域Aは、その中心位置を原点位置として、以下の式で記述できる。ただし、y0、z0は受光面8の主走査及び副走査の受光領域の長さである。また、符号1は受光領域Aの内部、符号0は受光領域Aの外部を表す。
よって、受光面8によって受光される光量分布I(y,z)は、i(y,z)の副走査方向−z/2≦z≦z/2の領域を−y/2≦y≦y/2だけ畳みこんだものとなり、以下の式で表わされる。
これを図3に対応する光量プロファイルに直すには、ポリゴン回転数R、BD像高偏向点4aからクリアモールド面11aまでの距離距離d、クリアモールド面11aから受光面8までの距離d、クリアモールド屈折率n8、換算時間tとして変換する。即ち、以下の式に変換する。
式(7)の導出過程を示せば、以下の通りである。ポリゴン回転数をR[rpm]、BD像高偏向点4aからクリアモールド面11aまでの距離d7、クリアモールド面11aから受光面8までの距離d8、クリアモールドの屈折率n8、換算時間tとすると、ポリゴンの角速度ωは、以下のようにに表わされる。
ω=2π/(60/R)
走査角度は、ポリゴン回転角度の倍であることから、BDセンサ上の速度vは、以下の式として表わされる。
と表わされる。
よって、以下のように数式(7)が導かれる。
そして、最後に、I(t,z)をzについて積分すれば受光面8で検出される時間当たりの光量プロファイルJ(t)が算出できる。J(t)は上記式を用いて、以下のように表わされる。
以上より、時間当たりの光量プロファイルJ(t)には、BDセンサ7に到達したBD光束の光量分布i(y,z)の主走査方向の広がり度合いが大きく影響することが分かる。本実施形態のように光量の立ち上がりが鈍るのは、主走査方向に広がったBD光束が受光面8で受光されるためである。
本実施形態のように光量プロファイルの立ち上がりが鈍る構成において、図3の同期タイミング決定閾光量JBDだけを用いて同期開始タイミングTBD0を決定すると、レーザー光量が低下した場合などに同期開始タイミングTBD0は、ずれる。即ち、レーザー光量が低下した場合の光量プロファイルをJ’として、以下の式で表わされる量だけずれることになる。
ΔTBD0は、光量プロファイルの立ち上がりが鈍いほど大きくなるので、本実施形態の構成で比較例のように同期開始タイミングTBD0を決定すると、ジッターが発生する恐れがある。そこで、本実施形態では、光量プロファイルJ(t)の立ち上がりと立下りで同期タイミング決定閾値JBDを用いて同期タイミングTBD0とTBD1を算出し、その平均値を用いて同期開始タイミングとしている。つまりTBDは、以下の式で表わされる。
多くの場合、受光面8上の光量低下の原因となるのは、偏向面4aの面倒れによって受光面8上のBD光束照射位置がずれることである。その場合、同期タイミングTBD0とTBD1のずれ量は略対称にずれることになる。本実施形態のように平均値を用いて同期開始タイミングTBDを決定する場合、TBD0とTBD1で発生するタイミングずれ量は、略キャンセル関係となる。このため、比較例の同期検出方式に比べて、本実施形態では受光面8上の光量変動起因で発生するジッターを低減できる。
また、本実施形態では、BDレンズを具備していない。そのため、偏向面4aで面倒れが発生した場合は、直接的に受光面8上の照射位置に影響する。図4(a)は、偏向面4aに面倒れεが発生した場合の受光面8上のBD光束の主光線照射位置の副走査方向変化dzを示す副走査断面図である。また、図4(b)は、主光線の受光面8への入射タイミングの変化を示した図で、取り付け時の公差でBDセンサ7が角度Yだけプロペラ回転している場合、dx=Ydzとなる。
図4(a)、(c)より、照射位置ずれ量dzは、以下の式として表わされる。ここで、発生した面倒れ量をε[rad]、BD像高偏向点4aからクリアモールド面11aまでの距離距離をd、クリアモールド面11aから受光面8までの距離をd、クリアモールド屈折率をnとする。
BDセンサ7が設計称呼の状態ならば、面倒れが発生して受光面8上の光量プロファイルが変化したとしても、先述の同期開始タイミング決定方法を用いればBDジッターは低減できる。しかしながら、図4(b)のように取り付け時の公差でBDセンサ7がその面法線の周りにプロペラ回転している場合などには、主光線の受光面入射タイミングのずれが発生する。即ち、プロペラ回転の量Yをγ、ポリゴン回転数をRとして、主光線の受光面入射タイミングのずれ量Δtγは、式(7)、式(11)を用いて、以下のようになる。これは、発生するBDジッターに相当する。
仮に、主光線の受光面入射タイミングのずれ量Δtγがそのまま被走査面6上のジッターとなるならば、被走査面6上のジッター量ΔYBDは、結像レンズ5のfθ係数f、式(7)を用いて、以下のように表わされる。
γ=3*π/180=0.052[rad]、ε=3/60*π/180=8.73×10−4[rad]とすると、表1の結像レンズ5のfθ係数fを用いて、ΔYBD=11.6[μm]となる。また、実際には光量プロファイルJの変化の影響もあるため、上記のΔYBD以上のジッターが発生する可能性がある。通常、モノクロ機種だと30μm程度のジッター量が発生すると、目視できる程度のジッターとなる。ΔYBD=11.6[μm]は、許容限界のジッター量に対して約40%を占めるため、ΔYBDをなるべく低減する必要がある。
そこで、本実施形態では、以下の2つの対策を行っている。
(i)受光面8の副走査方向の幅D8sに対して、受光面に到達するBD光束の副走査方向の幅HBDを広くする。
(ii)開口絞り形状を矩形とする。
以下、上記(i)、(ii)の効果について、図5を用いて説明をする。図5はBDセンサ7において、受光面8に到達する直前のBD光束の状態を示したものである。図5(a)が上記(i)を実施しつつ開口絞り形状が楕円絞りのもの、図5(b)が上記(i)及び(ii)を実施した本実施形態の構成である。なお、簡単にするため、図5(a)、(b)共にBD光束内の光量分布は均一としている。
図5(a)において、BD光束の形状は開口絞り形状を反映して、楕円形状となっていることが分かる。受光面8にBD光束が入射する位置は、受光面8の副走査方向の直線部8aがBD光束の楕円形状の接線となる部分である。そのため、偏向面4aに面倒れが発生してBDセンサ7上の光束が副走査方向に上下(図5の紙面内で上下)すると、BD光束が受光面8に入射するときの主走査方向の位置が変化し、結果として被走査面6上でジッターとなる。
一方、図5(b)では、開口絞り形状を矩形としているため、BDセンサ7上のBD光束形状も矩形形状となっている。その結果、BD光束の受光面8に対する入射位置は受光面のエッジ部8となる。図5(b)では、受光面のエッジ部8という点で入射位置が決まるため、たとえ面倒れが発生してBDセンサ7上のBD光束の副走査方向の照射位置がずれたとしても、入射位置が変化することはなく、被走査面6上でのジッターとはならない。
対策(i)を実施するためには、図4(c)から理解されるように、以下の式を満たすべきである。
ここで、開口絞り3の副走査方向の幅の最小値をD、開口絞り3から軸上偏向面までの距離をd、偏向面から受光面保護部材であるクリアモールド11までの距離をd、クリアモールド11から受光面までの距離をdとする。また、クリアモールド11の屈折率をn、受光面における副走査方向の幅をDとする。
本実施形態においては、D=2.4[mm]、D/d×(d+d/d)=2.69[mm]となっており、式(14)の条件を満たしている。
また、より好ましくは、図4(d)から理解されるように、偏向面4aで発生しうる面倒れ量をεとして、以下の式を満たすべきである。
通常の光走査装置の偏向面は3分程度の面倒れ精度で作られているので、ε=3/60*π/180[rad]を見込めば良い。この条件式を満たすならば、受光面8をBD光束が通過する際に、受光面8上の副走査方向全域をBD光束が照射することとなり、被走査面6上でのジッター低減に効果的である。本実施形態においては、ε=3/60×π/180=8.73×10−4[rad]として、式(15)は以下のようになる。即ち、D=2.4[mm]、(D/d−4ε)×(d+d/d)=2.43[mm]となり、式(15)の条件を満たしている。
図5を用いた説明では、BD光束内の光量分布を均一と仮定したが、実際には、BD光束内に光量分布が存在するため、対策(i)、(ii)を行ったとしても、有限のジッターは発生する。そのため、より好ましくは、光源1から射出されるレーザー光の主走査断面内における放射角度分布の半値全角をθy0、副走査方向の放射角度分布の半値全角をθz0としたときに、
とするべきである。式(17)を満たすことで、光束内の強度分布に起因するジッターを低減できる。本実施形態においては、θy0=9[deg]、θy0=30[deg]となっており、式(17)を満足している。
また、入射光学系の副走査方向の横倍率βと副走査入射FナンバーFno_sin、副走査出射FナンバーをFno_soutとの間には、以下の関係がある。
このとき、式(14)、式(15)において、dをβ×dに置き換えた式(14a)、
実効的なεの数値化を用いた式(15a)とすることができる。
ここで、開口絞り3の副走査方向の幅の最小値をDs、入射光学系の記副走査方向の横倍率をβs、開口絞り3から軸上偏向面までの距離をd、偏向面から受光面保護部材であるクリアモールド11までの距離をdBD1とする。また、クリアモールド11から受光面までの距離をdBD2、クリアモールド11の屈折率をnBD、受光面における副走査方向の幅DBDとする。
また、受光面8の副走査幅D8sを開口絞り3上に投影した時の大きさD8s’は、図4(c)より理解されるように、以下の式で表わされる。
また、副走査入射FナンバーFno_sinは、光線の射出角度をθとして、以下の式で近似できる。
式(18)、(19)、(20)を用いて、受光面8の副走査端部に入射する光線の光源からの副走査方向への射出角度θinは、以下の式で表わされる。
光源の放射強度分布は一般的にガウス分布をしていると考えられる。そこで、光源の放射強度分布iobj(θ,θ)は、主走査断面内における放射角度分布の半値全角θy0、副走査断面内の放射角度分布の半値全角θz0を用いて、以下のように表わされる。
受光面8上の副走査方向の強度分布は光源の副走査方向への強度分布に略比例する。そのため、受光面8上の副走査方向端部における強度と受光面8上の主光線の強度の比率は80%以上となっていることが望ましい。ただし放射角度に対するcosの補正は放射角度が小さいので無視している。そこで、式(21)、式(22)を用いて、副走査方向の放射角度分布の半値全角θz0は、以下のようになることが望ましい。
本実施形態においては、副走査方向の放射角度分布の半値全角θz0はθy0=30[deg]、式(23)の右辺は10.89[deg]となっているため、式(23)の条件を満足している。
また、より好ましくは、以下の式を満たしているべきである。
本実施形態においては、副走査方向の放射角度分布の半値全角θz0はθy0=30[deg]、式(24)の右辺は15.62[deg]となっているため、式(24)の条件を満足している。
式(23)もしくは式(24)を満たしているならば、受光面8に入射するBD光束の副走査強度分布は略均一とみなせる。その結果、BDセンサ7の配置誤差起因で発生するジッターを低下でき、画像品質を向上させられる。
図6(a)、(b)には、図5(a)、(b)それぞれの構成での受光面8上での光量プロファイルを、横軸を時間として示している。ただし、図6(a)、(b)の光量プロファイルは、面倒れ前の最大光量を1と規格化して、面倒れ前後の光量プロファイルを示している。また、BDセンサには組み立て公差としてプロペラ回転3[deg]を与え、偏向面4aの倒れ量は3[min]を与えている。
図7に、対策(i)のみの場合と、本実施形態の構成である対策(i)および(ii)を施した場合とに関し、縦軸に被走査面6上のジッター(ジッター量ΔYBD)、横軸にスライスレベル(同期タイミング決定閾光量JBD)を示す。被走査面6上のジッター量ΔYBDは、本実施形態の印字開始タイミング決定法を用いて決定された印字開始タイミングTBDの面倒れ前後の差分値ΔTBDから算出した。ただし、同期タイミング決定閾光量JBDについても、図6の光量プロファイル同様に、面倒れ前の最大光量を1と規格化している。
図6(a)、図6(b)の光量プロファイルの立ち上がり部dJ/dtinA、dJ/dtinBを比べると、dJ/dtinAは非線形な立ち上がりを示しており、dJ/dtinBは略線形な立ち上がりを示している。図7において、対策(i)のみを施した場合では最大11μmのジッターが発生しており、式(13)から予想される値とよく対応している。このことから、偏向面4aの面倒れによる受光面8上でのBD光束の副走査方向の照射位置フレの影響が、ジッターとしてそのまま出ていることが分かる。
一方、本実施形態ではジッターは1μm以下に抑えられており、対策(i)及び(ii)を施すことで、偏向面4aの面倒れの影響を低減している。以上のように、本実施形態では、偏向面4aに面倒れが発生するなどして受光面8に到達する光量が変化することで、受光面の最大光量に対する同期タイミング決定閾光量JBDの比率が変化したとしても、常に安定して同期開始タイミングTBDを取得できる。このように、本実施形態に係る光走査装置によれば、良好な印字性能を確保しつつ、低コスト化及び小型化を達成することができる。
《第2の実施形態》
以下、本発明の第2の実施形態に係る光走査装置について詳細に説明する。図8(a)は、本実施形態に係る光走査装置の要部断面としての主走査断面、図8(b)は偏向面4aから受光面8までの基準軸x’の光路に沿った副走査断面をそれぞれ示している。また、図9は本実施形態の開口絞り13の模式図である。
本実施形態に係る光走査装置の構成を、以下の表2に示す。
本実施形態に係る光走査装置の構成は、第1の実施形態に係る光走査装置で具備されていた開口絞りを光源1とアナモフィックレンズ2との間に開口絞り13として設ける。また、開口絞り13の形状を副走査方向に直線部13a、13bを有する六角形形状としている。また、BDセンサ7の副走査方向の幅を短くしている。本実施形態は、以上の3点で、第1の実施形態と異なる。
開口絞り13の形状を副走査方向に直線部を有する六角形形状としている理由としては、矩形絞り(第1の実施形態)に比べて、結像レンズ5の配置公差や、偏向器4の軸倒れに対する波面収差敏感度が低いためである。
以降、第1の実施形態と同様に、同期検出素子であるBDセンサ7の配置公差と偏向面4aの面倒れに起因するジッターを低減するための各条件を説明する。
本実施形態では、開口絞り13の中心部の副走査方向幅に対して、開口絞り13の主走査方向端部における副走査方向の直線部13a、13bの幅D13sの方が短い。そのため、受光面8の副走査方向長さDと、主走査方向端部の副走査方向直線部の幅D13sの関係が重要になる。第1の実施形態における式(14)に相当するものは、本実施形態では、以下の式で表わされる。ここで、入射光学系の横倍率β、開口絞り13の副走査方向の直線部の長さD13s、光源から開口絞り13までの距離d13を、式(14)、式(18)と共に用いている。
本実施形態では、D=2.2mm、D13s/βd13×(d+d/d)=2.52となっており、式(25)の条件式を満足しているため、BDセンサ7の配置公差と偏向面4aの面倒れに起因するジッターを低減できる。
また、好ましくは、偏向面4aの面倒れε[rad]の影響も考慮して、以下の式を満足すべきである。
通常の光走査装置の偏向面は3分程度の面倒れ精度で作られているので、第1の実施形態と同様に、ε=3/60*π/180[rad]を見込めば良い。本実施形態は、
ε=3/60*π/180=8.73*10−4[rad]として、以下のようになる。
そのため、D=2.2mmとして、以下の式のようになる。
このため、同期検出素子7の配置公差と偏向面4aの面倒れに起因するジッターを低減できる。このようにして、本実施形態に係る光走査装置によれば、同期検出素子であるBDセンサ7に配置公差(プロペラ回転)が存在したとしても、偏向面4aの面倒れに起因するジッターを低減することができる。その結果として、良好な印字性能を確保しつつ、低コスト化及び小型化を達成することができる。
《第3の実施形態》
以下、本発明の第3の実施形態に係る光走査装置について詳細に説明する。本実施形態に係る光走査装置の構成は、第1の実施形態に係る光走査装置に新たに副走査方向の光束規制をする規制部材を設ける、及びBDセンサ7の受光面8の副走査方向の幅を長くする、の2点で第1の実施形態と異なる。この規制部材に関して、本実施形態では、偏向手段4の偏向面4aからBDセンサ7までの光路上において、主走査方向において光束を規制することなく、副走査方向における光束の幅を規制する副走査スリット14を備える。
図10(a)は、本実施形態に係る光走査装置の要部断面としての主走査断面、図10(b)は偏向面4aから受光面8までの基準軸x’の光路に沿った副走査断面をそれぞれ示している。また、図11は本実施形態の副走査スリット14、BD光束、および受光面8の関係を示すための模式図となっている。
本実施形態に係る光走査装置の構成を、表3に示す。
本実施形態では、副走査方向のBD光束整形用の副走査スリット14は、偏向面4aから受光面8に至る光路上、クリアモールド11の面11aに対して偏向面4a側に2mmの位置に設けられている。
以下、副走査スリット14を設ける理由を、図11を用いて説明する。本実施形態の受光面8の副走査幅は3mmある。そのため、仮に、副走査スリット14がない場合には、受光面8に到達するBD光束の副走査方向の幅は、HBD=D3s(d+d/n)/d=2.69mmとなり、受光面の副走査幅よりも小さくなる。そのため、BDセンサ7がその面法線方向にプロペラ回転すると、偏向面4aの面倒れによってBDセンサ7上の照射位置が変化し、結果として被走査面上でジッターとなる。
そこで、本実施形態では、副走査スリット14を設けることで、受光面上での照射位置変化を低減させている。副走査スリット14は、光走査装置の光学箱と一体的に構成されていても良いし、別体としても良い。
図11において、BD光束は、BDedgeから受光面8の点8cに入射する。偏向面4aの面倒れで発生するBDegdeの受光面8への副走査方向の入射位置変化dzは、以下の式で表わされる。ここで、偏向面4aの面倒れ量をε[rad]、副走査スリット14からクリアモールドまでの距離をd15、クリアモールドから受光面8までの距離をd、クリアモールドの屈折率をnとする。
ε=3/60*π/180=8.73*10−4[rad]とすると、dz=3.83*10−3[mm]となる。このdzを第1の実施形態の式(12)に代入すると、以下のようになる。但し、1>>d/(n15)、1>>d/(n7)として近似している。
式(29)を第1の実施形態の式(13)に代入すると、以下のようになる。
γ=3*π/180=0.052[rad]、ε=3/60*π/180=8.73×10−4[rad]とすると、表3の結像レンズ5のfθ係数fを用いて、ΔYBD =0.3[μm]となり、ほぼ画像に影響しないまでにジッターは低減される。
仮に、本実施形態の開口絞りの形状を矩形とせず、楕円絞りとした場合には、以下のようにジッターが発生する。即ち、副走査スリット14を設けたとしても、BD光束の受光面8への入射タイミングは、受光面8の副走査方向の直線部8aがBD光束の楕円形状の接線となる部分で決まるため、画質に影響しうる量のジッターが発生する。
ここで、副走査スリット14からクリアモールド11(図2)までの距離d15は、以下のようにするべきである。通常の光走査装置の偏向器の偏向面の面倒れ量εはε=3/60*π/180=8.73×10−4[rad]、BDセンサのプロペラ回転量γはγ=3*π/180=0.052[rad]とする。
このとき、偏向手段の偏向面からクリアモールド11までの距離をdBD、結像光学系(結像レンズ)のfθ係数をf、副走査スリット14からクリアモールド11までの距離dslitとして、以下の式を満足するべきである。
本実施形態では、d15=2、式(31)の右辺=6.7となるので、式(31)の条件を満足している。
また、光源1の副走査方向の放射角度分布の半値全角θz0は、入射光学系の副走査方向の横倍率β、副走査スリット14の副走査方向の幅D15s、偏向面4aから副走査スリット14までの距離d14を用いて、以下のようにするべきである。
また、望ましくは、以下のようにするべきである。
本実施形態では、θz0=30に対して、式(32)、式(33)の右辺はそれぞれ、11.2、及び16.3となるため、式(32)、式(33)の条件を満たしており、被走査面上でのジッターを低減できる。
以上、本実施形態に係る光走査装置によれば、BDセンサ7に配置公差(プロペラ回転)が存在したとしても、偏向面4aの面倒れに起因するジッターを低減することができる。その結果として、良好な印字性能を確保しつつ、低コスト化及び小型化を達成することができる。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(変形例1)
上述した各実施形態に係る光走査装置において、結像レンズ6と被走査面7との間の光路上に反射部材(反射ミラー)を配置することで、結像レンズ6を通過した光束を折り曲げて被走査面上に導光するように構成しても良い。また、副走査断面内において、光源1からの光束を偏向面5aに対して斜め方向から入射させるように、入射光学系を構成しても良い。
(変形例2)
上述した実施形態における開口絞り3については、光束を主走査方向において規制する第1の絞りと、光束を副走査方向において規制する第2の絞りとに分かれて構成されるものであっても良い。
また、第3の実施形態では、開口絞り3の開口形状を第1の実施形態と同じ矩形形状としたが、第2の実施形態における開口絞り13の六角形の開口形状としても良い。
2・・アナモフィックレンズ、3・・開口絞り、4・・偏向器、4a・・偏向面、5・・結像光学系(結像光学素子)、7・・同期検出素子(BDセンサ)、31・・副走査スリット(規制部材)

Claims (18)

  1. 光束を主走査方向において規制する第1の遮光部材と、該第1の遮光部材を介した光束を偏向して被走査面を主走査方向に光走査する偏向手段と、前記偏向手段により偏向された光束を受光して信号を出力する受光素子と、を備える光走査装置であって、
    前記偏向手段から前記受光素子に至る光路は、光束が主走査方向において規制されない光路であり、
    副走査方向において、前記受光素子の受光面の幅よりも、該受光面に入射する光束の幅の方が大きく、
    前記第1の遮光部材の光束が通過する側の主走査方向における端部は、副走査方向に沿った直線部を含むことを特徴とする光走査装置。
  2. 光束を主走査方向において規制する第1の遮光部材と、該第1の遮光部材を介した光束を偏向して被走査面を主走査方向に光走査する偏向手段と、前記偏向手段により偏向された光束を受光して信号を出力する受光素子と、を備える光走査装置であって、
    前記偏向手段から前記受光素子に至る光路は、光束が主走査方向において規制されない光路であり、
    前記偏向手段から前記受光素子に向かう光束を副走査方向において規制する第2の遮光部材を有しており、
    副走査方向において、前記第2の遮光部材により規制された光束の幅よりも、前記受光素子の受光面の幅の方が大きく、
    前記第1の遮光部材の光束が通過する側の主走査方向における端部は、副走査方向に沿った直線部を含むことを特徴とする光走査装置。
  3. 前記受光面の主走査方向における端部は、前記第2の遮光部材により規制された光束の副走査方向における幅よりも長い、副走査方向に沿った直線部を含むことを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記受光面は、矩形形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置。
  5. 前記第1の遮光部材における開口形状は、矩形形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光走査装置。
  6. 前記第1の遮光部材における開口形状は、六角形形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光走査装置。
  7. 前記受光素子は、前記被走査面における走査タイミングを決定するための信号を出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光走査装置。
  8. 光源から射出される光束の前記主走査方向の放射強度分布の半値全角をθy0、前記副走査方向の放射強度分布の半値全角をθz0としたときに、
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光走査装置。
  9. 光源と前記偏向手段の間に入射光学素子を有し、前記第1の遮光部材は、前記入射光学素子と前記偏向手段の間に備わることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光走査装置。
  10. 光源と前記偏向手段の間に入射光学素子を有し、前記第1の遮光部材は、前記光源と前記入射光学素子の間に備わることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光走査装置。
  11. 前記偏向手段の偏向面から前記受光素子までの光路上に受光面保護部材を有し、
    前記第1の遮光部材の前記副走査方向の幅の最小値をDs、前記第1の遮光部材から前記偏向面までの距離をd、前記偏向面から前記受光面保護部材までの距離をdBD1、前記受光面保護部材から前記受光面までの距離をdBD2、前記受光面保護部材の屈折率をnBDとしたとき、前記受光面における前記副走査方向の幅DBDが、
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光走査装置。
  12. 前記偏向手段の偏向面から前記受光素子までの光路上に受光面保護部材を有し、
    前記第1の遮光部材の前記副走査方向の幅の最小値をDs、前記第1の遮光部材から前記偏向面までの距離をd、前記偏向面から前記受光面保護部材までの距離をdBD1、前記受光面保護部材から前記受光面までの距離をdBD2、前記受光面保護部材の屈折率をnBDとしたとき、前記受光面における前記副走査方向の幅DBDが、
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光走査装置。
  13. 光源からの光を前記偏向手段の偏向面に入射させる入射光学系と、
    前記偏向手段の偏向面から前記受光素子までの光路上に受光面保護部材と、を有し、
    前記第1の遮光部材の前記副走査方向の幅の最小値をDs、前記第1の遮光部材から前記偏向面までの距離をd、前記偏向面から前記受光面保護部材までの距離をdBD1、前記受光面保護部材から前記受光面までの距離をdBD2、前記受光面保護部材の屈折率をnBD、前記入射光学系の前記副走査方向の横倍率をβとしたとき、前記受光面における前記副走査方向の幅DBDが、
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光走査装置。
  14. 光源からの光を前記偏向手段の偏向面に入射させる入射光学系と、
    前記偏向手段の偏向面から前記受光素子までの光路上に受光面保護部材と、を有し、
    前記第1の遮光部材の前記副走査方向の幅の最小値をDs、前記第1の遮光部材から前記偏向面までの距離をd、前記偏向面から前記受光面保護部材までの距離をdBD1、前記受光面保護部材から前記受光面までの距離をdBD2、前記受光面保護部材の屈折率をnBD、前記入射光学系の前記副走査方向の横倍率をβとしたとき、前記受光面における前記副走査方向の幅DBDが、
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光走査装置。
  15. 光源からの光を前記偏向手段の偏向面に入射させる入射光学系と、
    前記偏向面で偏向された前記光源からの光を被走査面に導く結像光学系と、を有し、
    前記偏向手段の偏向面から受光面保護部材までの距離をdBD、前記結像光学系のfθ係数をfとしたときに前記第2の遮光部材から前記受光面保護部材までの距離dslitは、
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
  16. 前記受光面に対して、前記光束が入射する際、及び前記光束が出射する際に同期タイミングTBD0、TBD1を取得し、2つの前記同期タイミングの平均値を用いて走査タイミングを決定することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の光走査装置。
  17. 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光走査装置と、
    前記光走査装置により前記被走査面に配置された感光体の感光面上に形成される静電潜像を、トナー像として現像する現像器と、
    現像された前記トナー像を被転写材に転写する転写器と、
    転写された前記トナー像を前記被転写材に定着させる定着器と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  18. 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光走査装置と、外部機器から入力されたコードデータを画像信号に変換して前記光走査装置に入力するプリンタコントローラを有することを特徴とする画像形成装置。
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