JP2017058006A - 駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転志向を反映した適切な変速段で車両を再加速走行させることができる駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】走行データの相関線(加速履歴線)を算出し、車両が緩減速走行または定常走行した場合に前記加速履歴線より小さい暫定線を設定し、加速履歴線または暫定線に基づいて期待車速Vexpを設定し、その期待車速Vexpに基づいて再加速走行時の制御指標(再加速時加速度Gexp)を求め、再加速走行前に、再加速時加速度Gexpを実現可能な変速比を設定すると共に、最新の走行データが加速履歴線に近い所定範囲に含まれる値である場合、または、加速履歴線よりも大きい場合は、加速履歴線に基づいて期待車速Vexpを設定し(ステップS106)、最新の走行データが加速履歴線よりも小さく、かつ、所定範囲に含まれない値である場合は、暫定線に基づいて期待車速Vexpを設定する(ステップS107)。
【選択図】図11

Description

この発明は、駆動力源の出力および自動変速機の変速比を変化させることにより車両の駆動力を制御する駆動力制御装置に関するものである。
特許文献1には、運転者のアクセル操作に依存せずに制御することが可能なエンジンおよび自動変速機を備えた車両の制御装置が記載されている。この特許文献1に記載された制御装置では、発進または加速のためのアクセル踏み込み操作時に、車両の加速度が立ち上がった後における目標加速度が設定され、その目標加速度に実際の加速度が追従するようにエンジンの出力が制御される。目標加速度は、実際の加速度の立ち上がり時における加速度データの履歴および運転者の走行に対する意図(運転志向)に基づいて求められる。
なお、特許文献2には、減速意図に応じてギヤ比を適切に設定し、再加速時のドライバビリティ(例えば、再加速意図に応じた加速性能)を向上させることを目的とした車両の制御装置が記載されている。この特許文献2に記載された制御装置では、減速走行中の減速度に基づいて自動変速機のギヤ比が決定される。具体的には、減速走行中の減速度に基づいて再加速時の駆動要求量が求められ、その駆動要求量を実現することができる自動変速機のギヤ比が求められる。そして、ギヤ比を求める制御の開始条件が成立してから減速走行中の減速度のピーク値が求められるまでの減速度の時間積分値に基づいて、再加速時の駆動要求量が補正される。
また、特許文献3には、車両の走行環境や運転志向を的確に反映した挙動特性とすることにより、ドライバビリティを向上させることを目的とした車両の制御装置が記載されている。この特許文献3に記載された制御装置では、車両の走行状態に基づく指標が求められ、その指標に応じて車両の走行特性が変化させられる。そして、指標を変化させる場合、その指標は、車両の走行の機敏さが増大する方向へは速く変化させられ、車両の走行の機敏さが低下する方向へは遅く変化させられる。
特開2009−262838号公報 特開2013−185696号公報 特開2011−207463号公報
上記の特許文献1に記載された制御装置は、加速度のピーク値を過ぎた加速走行後半における車両の加速感の向上を目的としている。そのため、特許文献1に記載された制御装置では、加速度の立ち上がり時における加速度データの履歴を用いて目標加速度が設定される。また、目標加速度は、運転者の運転志向に応じて変化させられる。運転志向は、スイッチの切り替え操作や運転者のアクセル操作に基づいて、ノーマルモード(通常走行志向)とパワーモード(スポーツ走行志向)とに切り替えられる。パワーモードでは、ノーマルモードと比較して、より大きな目標加速度がより長い期間に亘って設定される。したがって、特許文献1に記載された制御装置によれば、運転者の運転志向がノーマルモードからパワーモードに変化した場合であっても、その運転志向の変化を反映した適切な目標加速度が設定され、パワーモードにおいて適切な車両の加速性能を得ることができる。
しかしながら、上記の特許文献1に記載された制御装置では、運転者の運転志向が、通常よりも燃費や効率を重視する走行志向(燃費走行志向)へ変化するケースが考慮されていない。すなわち、特許文献1に記載された制御装置では、運転志向が通常走行志向とスポーツ走行志向との間で変化するケースには対応しているものの、運転志向が通常走行志向から、スポーツ走行志向とは反対の燃費走行志向へ変化するケースについては検討されていない。そのため、運転志向が通常走行志向から燃費走行志向へ変化した場合には、運転者が意図するもしくは予測した加速度よりも大きな加速度で走行することになってしまい、その結果、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、自動変速機を搭載した車両を対象にして、車両が減速走行した後に再加速走行する場面において、運転者の意図や運転志向を反映した適切な駆動力で車両を再加速走行させることができる駆動力制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、エンジンと、駆動輪と、前記エンジンと駆動輪との間でトルクを伝達する自動変速機とを備えた車両の駆動力を、車速およびアクセル開度に基づいて制御する駆動力制御装置において、前記駆動力を制御するコントローラを備え、前記コントローラは、前記車両が減速走行する以前の加速走行時における前記車両の車速および加速度を記憶した走行データの相関関係を用いて加速履歴線を算出すると共に、前記加速走行が行われる度に前記加速履歴線を更新し、前記車両が負の加速度側の所定減速度よりも0に近い減速度範囲内の減速度で減速走行した場合、または、前記車両が正の加速度および負の加速度を含む所定の加速度範囲内の加速度で定速走行した場合に、前記加速履歴線よりも前記車速および前記加速度がいずれも小さくなる暫定線を設定し、前記車両が前記減速走行した後に再加速走行をする際の目標車速として、前記加速履歴線または前記暫定線に基づいて、前記車両が前記再加速走行する際に運転者が所望すると推定される期待車速を設定し、現在の前記車速および前記期待車速に基づいて、前記車両が前記再加速走行する際の制御指標とする再加速時加速度を求め、前記車両が前記再加速走行を開始する前に、前記再加速時加速度に基づき前記再加速時加速度を実現可能な前記自動変速機の変速比を設定するように構成されており、前記期待車速は、最新の前記走行データにおける前記車速および前記加速度が、最新の前記加速履歴線よりも大きい場合、または、最新の前記加速履歴線に近い所定範囲に含まれる値である場合に、前記加速履歴線に基づいて設定され、最新の前記走行データにおける前記車速および前記加速度が、最新の前記加速履歴線よりも小さく、かつ、前記所定範囲に含まれない値である場合に、前記暫定線に基づいて設定されることを特徴とするものである。
また、この発明は、前記コントローラが、前記加速履歴線に基づいて前記期待車速を設定する際に、前記暫定線をクリアすることを特徴としている。
また、この発明は、前記コントローラが、前記加速履歴線よりも前記車速および前記加速度がいずれも小さくなる方向へ前記加速履歴線を所定距離だけ低下させることにより前記暫定線を設定することを特徴としている。
また、この発明は、前記コントローラが、最新の前記加速走行から所定の回数遡った期間の直近期間内の少なくとも2回の前記走行データを含む直線として前記暫定線を設定することを特徴としている。
また、この発明は、前記コントローラが、最新の前記加速走行から所定の回数遡った期間の直近期間内の1回の前記走行データを含み、前記加速履歴線と傾きが等しい直線として前記暫定線を設定することを特徴としている。
そして、この発明は、前記コントローラが、前記暫定線を最新の前記走行データに近付けることにより、前記暫定線と最新の前記走行データとの乖離が減少するように前記暫定線を修正することを特徴としている。
この発明の駆動力制御装置では、減速走行後の再加速走行時に、その再加速走行が開始されるまでに、上記のような再加速時加速度で車両を加速させることが可能な自動変速機の変速段(もしくは変速比)が設定される。再加速時加速度は、減速走行後の再加速走行時に運転者が期待する加速度であって、再加速走行時の駆動力制御における制御指標となるものである。この再加速時加速度は、再加速走行時に運転者が所望する車速として推定される期待車速に基づいて求められる。期待車速は、以前の加速走行時における走行データに基づいて、再加速時加速度と車速との相関線もしくは近似線を算出することによって求められる。したがって、期待車速は、運転者の意図や運転志向を反映した推定値として算出される。
再加速時加速度が上記のような期待車速に基づいて求められることにより、その再加速時加速度を、運転者の意図や運転志向等を反映した変速制御の制御指標とすることができる。そのため、減速走行後の再加速走行の開始時点では、既に、再加速のために必要な駆動力を得ることが可能な変速比を自動変速機で設定しておくことができる。また、その際に設定される変速比は、運転者が意図する加速度、あるいは運転者が要求する加速度で車両を加速させることが可能であると推定される変速比となっている。
したがって、この発明の駆動力制御装置によれば、例えば、減速走行時のダウンシフトが不十分なために、その減速走行後の再加速走行時に駆動力の不足を補うために更にダウンシフトが行われてしまうようなことを回避して、適切に車両を加速走行させることができる。そのため、運転者に違和感やショックを与えてしまうようなことを抑制し、車両の加速性能および加速フィーリングを向上させることができる。
上記のように、この発明の駆動力制御装置では、以前の加速走行時に取得した走行データに基づいて、運転者の運転志向を反映させた期待車速が求められる。具体的には、走行データに基づいて加速履歴線が算出され、その加速履歴線に基づいて期待車速が求められる。車両が加速走行する場合には、運転者の運転志向は、車両の燃費やエネルギ効率を優先する燃費走行志向よりも、車両の動力性能を優先するスポーツ走行志向の方が強くなる傾向がある。一方、例えば、車両の負側の加速度すなわち減速度が所定値よりも小さい緩減速走行時や、ほとんど加速度が生じない定常走行時には、運転志向はスポーツ走行志向よりも燃費走行志向の方が強くなる傾向がある。それに対して、この発明の駆動力制御装置では、車両が上記のような緩減速走行や定常走行する場合に、加速履歴線を低下させた暫定線が設定される。そして、その暫定線に基づいて期待車速が求められる。そのため、車両が緩減速走行あるいは定常走行して、運転志向が燃費走行志向側へ変化することが予測される場合であっても、その運転志向の変化を適切に制御へ反映させることができる。
さらに、この発明の駆動力制御装置では、上記のように暫定線が設定された場合に、その暫定線の推定精度を検証するために、上記の加速履歴線と最新の走行データとが比較される。最新の走行データが加速履歴線よりも大きい場合、あるいは、最新の走行データが加速履歴線近傍の所定範囲内、すなわち、所定範囲に含まれる値である場合は、暫定線の推定精度は良くないと判断され、加速履歴線を用いて期待車速が求められる。最新の走行データが加速履歴線近傍の所定範囲外、すなわち、所定範囲に含まれない値であり、なおかつ、加速履歴線よりも小さい場合には、暫定線の推定精度は良いと判断され、その暫定線を用いて期待車速が求められる。したがって、この発明の駆動力制御装置によれば、暫定線の推定精度に応じて、適切に期待車速を設定することができる。そのため、運転者の意図や運転志向を適切に反映させて、車両の駆動力を制御することができる。
また、この発明の駆動力制御装置によれば、上記のように暫定線の推定精度を検証した結果、暫定線を採用せずに加速履歴線を用いて期待車速を設定した場合に、暫定線がクリアされる。そのため、データを記憶するためのメモリの負荷や、演算処理の際の負荷を軽減することができる。
また、この発明の駆動力制御装置によれば、例えば、加速履歴線を示したグラフ上で、加速履歴線を予め定めた所定距離だけ平行移動させることにより、上記のような暫定線が設定される。したがって、実験やシミュレーション等によって適切な所定距離を求めておくことにより、暫定線を精度良くかつ容易に設定することができる。
また、この発明の駆動力制御装置によれば、直近期間内の少なくとも2回の走行データを用いて、上記のような暫定線が設定される。そのため、可及的に少なくかつ新しいデータに基づいて、暫定線を精度良く設定することができる。
また、この発明の駆動力制御装置によれば、期待車速を求めるために算出されている加速履歴線の傾きを利用することにより、最新の、もしくは直近期間内の1回の走行データを用いて、上記のような暫定線が設定される。そのため、最新かつ最少の1回のデータに基づいて、暫定線を容易に設定することができる。
そして、この発明の駆動力制御装置によれば、上記のように、暫定線が設定された場合にその暫定線の推定精度が検証される。そして、暫定線の推定精度は良いと判断された場合には、最新の走行データに基づいて暫定線が修正され、それにより更に精度が高められた修正された暫定線を用いて期待車速が設定される。そのため、運転者の意図や運転志向をより精度良く制御に反映させることができる。
この発明で制御の対象とする車両の構成および制御系統の一例を示す図である。 この発明の駆動力制御装置による基本的な駆動力制御の一例を説明するためのフローチャートである。 この発明の駆動力制御において「期待車速」および「再加速時加速度」を算出するために求められる「再加速時加速度」と車速との相関関係を説明するための図である。 図3で示す相関関係における相関線(近似線)を説明するための図である。 この発明の駆動力制御において「再加速時加速度」を求めるための制御マップの一例を説明するための図である。 この発明の駆動力制御において「出力可能加速度」およびその出力可能加速度を出力可能な変速段(変速比)を求める制御を説明するための図である。 この発明の駆動力制御を実行するコントローラの構成を説明するためのブロック図である。 無段変速機を搭載した車両を対象にしてこの発明の駆動力制御を実行した場合の車両の挙動(車速、加速度、エンジン回転数等)を説明するための図である。 「期待車速」および「再加速時加速度」を求めるための走行データに対して重み付けを行う制御に関して、走行データの近似線の算出方法を説明するための図である。 上記の走行データに対する重み付けの効果について説明するための図である。 この発明の駆動力制御において、「加速履歴線」および「暫定線」を用いて「期待車速」および「再加速時加速度」を推定する制御であって、この発明の特徴的な制御の一例を説明するためのフローチャートである。 図11のフローチャートで示す制御を実行する際に、「暫定線」の推定精度を検証する制御の一例を説明するための図である。 図11のフローチャートで示す制御を実行する際に、「暫定線」の推定精度を検証する制御の他の例を説明するための図である。 この発明の駆動力制御において、「加速履歴線」および「暫定線」を用いて「期待車速」および「再加速時加速度」を推定する制御であって、この発明の特徴的な制御の他の例を説明するためのフローチャートである。 図14のフローチャートで示す制御を実行する際に、「暫定線」を修正して推定精度を向上させる制御の一例を説明するための図である。 図14のフローチャートで示す制御を実行する際に、「暫定線」を推定して推定精度を向上させる制御の他の例を説明するための図である。
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。この発明を適用することのできる車両は、エンジンが出力する動力を変速して駆動輪に伝達することが可能な自動変速機を搭載した車両である。この発明における自動変速機は、例えばベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機のように、変速比を連続的に変化させることが可能な無段変速機であってもよい。また、エンジンおよびモータが出力する動力を合成・分割する動力分割機構を備えたハイブリッド車両にもこの発明を適用することができる。すなわち、そのようなハイブリッド車両における動力分割機構は、いわゆる電気式無段変速機構として機能するため、そのような電気式無段変速機構もこの発明における自動変速機に含めることができる。
この発明を適用することのできる車両の一例として、エンジンの出力側に自動変速機を搭載した車両の構成および制御系統を図1に示してある。この図1に示す車両Veは、前輪1および後輪2を有している。この図1に示す例では、車両Veは、エンジン(ENG)3が出力する動力を自動変速機(AT)4およびデファレンシャルギヤ5を介して後輪2に伝達して駆動力を発生させる後輪駆動車として構成されている。なお、この発明を適用することのできる車両Veは、エンジン3が出力する動力を前輪2に伝達して駆動力を発生させる前輪駆動車であってもよい。あるいは、エンジン3が出力する動力を前輪1および後輪2にそれぞれ伝達して駆動力を発生させる四輪駆動車であってもよい。
エンジン3には、例えば電子制御式のスロットルバルブあるいは電子制御式の燃料噴射装置、および、吸入空気の流量を検出するエアフローセンサが備えられている。この図1に示す例では、電子スロットルバルブ6およびエアフローセンサ7が備えられている。したがって、例えば後述のアクセルセンサ9の検出データを基に電子スロットルバルブ6の動作を電気的に制御することにより、エンジン3の出力を自動制御することができる。
エンジン3の出力側に、エンジン3の出力トルクを変速して駆動輪側へ伝達する自動変速機4が設けられている。自動変速機4は、例えば、遊星歯車機構およびクラッチ・ブレーキ機構から構成される従来一般的な有段式の自動変速機であり、クラッチ機構やブレーキ機構の動作を制御することにより、自動変速機4で設定する変速段(もしくは変速比)を自動制御することができるように構成されている。
エンジン3の出力および自動変速機4の変速動作を制御するためのコントローラ(ECU)8が備えられている。コントローラ8は、例えばマイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置である。このコントローラ8に、制御のための通信が可能なように、エンジン1が接続されている。また、このコントローラ8に、制御のための通信が可能なように、油圧制御装置(図示せず)を介して自動変速機4が接続されている。なお、図1では1つのコントローラ8が設けられた例を示しているが、コントローラ8は、例えば制御する装置や機器毎に、あるいは制御内容毎に、複数設けられていてもよい。
上記のコントローラ8には、車両Ve各部の各種センサ類からの検出信号や各種車載装置からの情報信号などが入力されるように構成されている。例えば、前述のエアフローセンサ7、アクセル開度を検出するアクセルセンサ9、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキセンサ(もしくはブレーキスイッチ)10、エンジン3の出力軸3aの回転数を検出するエンジン回転数センサ11、自動変速機4の出力軸4aの回転数を検出するアウトプット回転数センサ12、および、各車輪1,2の回転速度をそれぞれ検出して車速を求める車速センサ13などからの検出信号がコントローラ8に入力されるように構成されている。そして、それら入力されたデータおよび予め記憶させられているデータ等を使用して演算を行い、その演算結果を基に制御指令信号を出力するように構成されている。
上記のよう構成された車両Veでは、前述したように、車両Veが減速走行した後に再加速走行する際に、運転者がアクセルペダルを踏み込むことによってダウンシフトが行われる場合がある。減速走行時に実施されるダウンシフトが適切でないと、再加速走行時に駆動力が不足し、再加速走行を開始する際に更に変速段を下げる(変速比を大きくする)ダウンシフトが行われることになる。その結果、運転者が違和感を覚えたり、加速フィーリングがよくないと感じてしまったりする場合がある。また、運転者の意図や運転志向は、運転者の個人差や走行環境などによっても変化する。それに対して上記のような減速走行時のダウンシフトが一律に実行されると、再加速走行を開始する際に、運転者が意図する駆動力や加速度を得られない可能性がある。
そこで、コントローラ8は、運転者の意図や運転志向を制御に反映させて車両Veの駆動力制御を実行することにより、適切に車両Veを再加速走行させることができるように構成されている。具体的には、コントローラ8は、車両Veが減速走行した後に再加速走行する際の制御指標とする「再加速時加速度」を求め、再加速走行を開始する前に、求めた「再加速時加速度」を実現可能な自動変速機4の変速比を設定するように構成されている。「再加速時加速度」は、減速走行後の再加速走行時に制御指標となるものであって、再加速走行時に運転者が所望する加速度、あるいは運転者が期待する加速度を推定したものである。この「再加速時加速度」は、加速特性、および、車両Veの走行データに基づいて求められる。加速特性は、「再加速時加速度」と車速との関係性を定めたものであって、例えば演算式やマップなどの形で予め記憶されている。車両Veの走行データは、例えば、車速、加速度、自動変速機4の変速比、あるいはエンジン回転数など、車両Veの走行状態を表す物理量であって、現在の減速走行以前の走行履歴から抽出される。現在の減速走行以前の走行履歴とは、例えば、コントローラ8が、イグニションスイッチ(もしくは、メインスイッチ)がOFFにされる際に走行データをクリアする構成であれば、現在の走行のために最後に車両VeのイグニションスイッチがONにされ、以下の図2に説明する制御が最初に開始された時点から、現在に至るまでに取得された走行データの履歴である。
コントローラ8によって実行されるより具体的な制御内容を以下に示してある。図2は、基本となる制御の一例を説明するためのフローチャートである。先ず、車両Veの加速走行が終了したか否かが判断される(ステップS1)。例えば、車速センサ13あるいは前後加速度センサ(図示せず)の検出値を基に、加速走行が終了したか否かを判断することができる。なお、このステップS1で「車両Veの加速走行が終了した」と判断されるのは、一旦、車両Veが加速走行していると判定された後に、車両Veの加速度が0になった場合、もしくは、車両Veの加速度が0以下となる減速走行へ以降した場合である。あるいは、ブレーキスイッチ10がONになった場合などである。したがって、それら以外の場合は、全て、このステップS1で否定的に判断される。例えば、この制御の開始以降に未だ車両Veの加速走行が行われていない場合、車両Veが減速走行中である場合、車両Veが加速走行中である場合、あるいは、車両Veが定常走行中である場合には、このステップS1で否定的に判断される。
車両Veの加速走行が終了したことにより、このステップS1で肯定的に判断された場合は、ステップS2へ進む。ステップS2では、期待車速Vexpおよび勾配係数Kが算出されて更新される。具体的には、ステップS1で終了が判定された加速走行中に記憶された車両Veの走行データ(例えば、加速開始時の車速、加速走行中の最大加速度等)が読み込まれ、その走行データに基づいて、期待車速Vexpおよび勾配係数Kが更新される。運転者が車両Veを運転操作する際には、運転者は常に所定の車速を狙いながら運転していると仮定できる。このコントローラ8による制御では、上記のような運転者が目標とする車速、あるいは運転者が所望すると推定される車速を「期待車速」と定義している。一般に、同一の走行環境の下では、運転者の運転志向が、通常よりも動力性能や運動性能を重視する走行志向(スポーツ走行志向)になれば、「期待車速」は高くなる。反対に、運転者の運転志向が、通常よりも燃費や効率を重視する走行志向(燃費走行志向)になれば、「期待車速」は低くなる。この期待車速Vexpは、例えば、車速、前後加速度、横加速度、操舵角、路面勾配、車両姿勢などのデータを記録した車両Veの走行履歴を基に求めることができる。勾配係数Kは、後述するように、「期待車速」を求める際に用いる相関線の傾きを表している。これら期待車速Vexpおよび勾配係数Kの詳細については後述する。
一方、上記のステップS1で否定的に判断された場合には、ステップS3へ進む。ステップS3では、期待車速Vexpおよび勾配係数Kの各前回値が保持される。すなわち、前回の加速走行が終了した際に算出されて記憶されている期待車速Vexpおよび勾配係数Kが、それぞれ、今回の加速走行が終了するまで保持される。なお、この制御の開始以降に未だ加速走行が行われていない場合は、例えば、イグニションスイッチがONにされ、今回の制御が最初に開始された時点に記憶されている期待車速Vexpおよび勾配係数Kが、引き続き保持される。イグニションスイッチがOFFにされる際に期待車速Vexpおよび勾配係数Kがクリアされる構成では、予め設定されたそれぞれの初期値がイグニションスイッチがONにされる際に読み込まれ、期待車速Vexpおよび勾配係数Kとして記憶される。したがって、上記のようにこの制御の開始以降に未だ加速走行が行われていない場合は、期待車速Vexpおよび勾配係数Kのそれぞれの初期値が保持される。また、イグニションスイッチがOFFにされる際にその時点の期待車速Vexpおよび勾配係数Kが記憶される構成では、上記のようにこの制御の開始以降に未だ加速走行が行われていない場合は、最後にイグニションスイッチがOFFにされた際に記憶された期待車速Vexpおよび勾配係数Kが読み込まれ、引き続き保持される。
上記のステップS2で期待車速Vexpおよび勾配係数Kが更新されると、もしくは、上記のステップS3で期待車速Vexpおよび勾配係数Kの各前回値が保持されると、ステップS4へ進む。ステップS4では、再加速時加速度Gexpが求められる。車両Veが停止することなく減速走行する場合は、その減速走行を終えた後に再加速走行する状態に移行する。例えば、車両Veがコーナーを旋回走行する場合、一般に、車両Veは、コーナー手前から減速走行しながらコーナーに進入する。コーナー内では減速しながら、あるいは一定速度で、旋回走行する。そして、コーナーを脱出する際に再加速走行する。このように車両Veが減速走行後に再加速走行する場合、運転者は、期待車速Vexpに向けて車両Veを加速させると仮定できる。したがって、期待車速Vexpと現在車速Vcurとの車速差ΔV(ΔV=Vexp−Vcur)が大きければ、運転者は、その車速差ΔVを縮めるために大きな加速度を要求して車両Veを再加速走行させるものと推測できる。
上記のような仮定により、このステップS4では、期待車速Vexpと現在車速Vcurとの車速差ΔVから、再加速走行時に運転者が期待する加速度として、再加速時加速度Gexpが求められる。例えば、図3,図4に示すように、走行実験やシミュレーション等の結果から、上記のような「再加速時加速度」と車速との間には負の相関があることが分かっている。再加速走行を開始する時点の車速をx軸にし、その際の加速度(最大対地加速度)をy軸にすると、図4において「y=a・x+b」で示すような一次関数の相関線(近似線)を求めることができる。この相関線は、図3に破線f,f,fで示すように、運転者の運転志向毎に求めておくこともできる。
上述したように、「期待車速」は、加速走行時に運転者が目標とする車速として定義されたものである。そのため、車速がこの「期待車速」に到達した場合は、それ以上車両Veを加速させる必要がなくなり、その結果、加速度は0になると推測できる。したがって、図4に示すような一次関数の相関線において、y軸の加速度が0になるx切片(−a/b)を算出することにより、「期待車速」を求めることができる。
なお、上記の対地加速度は、例えばアウトプット回転数センサ12あるいは車速センサ13の検出データの微分値として求めることのできる加速度である。車両Veに搭載した加速度センサによって加速度を求めることもできるが、その場合は、車両Veの姿勢や路面勾配の影響を受けて加速度の検出データにノイズが入る可能性がある。そのため、この制御では、上記のような回転数センサから求めた対地加速度を用いている。
上記のような「再加速時加速度」と車速との間の相関関係を用いて、予め「再加速時加速度」と車速との関係性を車両Veの加速特性として定め、コントローラ8に記憶しておくことができる。そのような加速特性を車速の関数として定めておくことにより、上記のような「期待車速」および「現在車速」に対応する「再加速時加速度」を算出することができる。
また、「期待車速」および「現在車速」に対応する「再加速時加速度」は、例えば図5に示すような制御マップから求めることができる。すなわち、以前の加速走行時の走行履歴あるいは走行情報から求めた上記のような「再加速時加速度」と車速との間の相関関係を用いて、予め「再加速時加速度」と車速との関係性を車両Veの加速特性として定め、それを図5に示すような制御マップとしてコントローラ8に記憶しておくことができる。
図5で、直線fは、上述の相関線「y=a・x+b」に相当していて、「再加速時加速度」と車速との関係性を定めた加速特性を示している。この直線fの傾きが、勾配係数Kを示している。直線fにおいて、対地加速度が0になる車速、すなわち直線fのx切片が「期待車速」である。したがって、図5において、前述のステップS2で求めた期待車速Vexpを通る直線fに対して、その直線fおよび勾配係数Kで示される関係式に現在車速Vcurを当てはめることにより、再加速時加速度Gexpを求めることができる。
また、直線fは、例えば図5において直線fsおよび直線fmで示すように、上記のような「期待車速」毎に、あるいは、運転志向に応じて、複数設定しておくこともできる。その場合、以前の加速走行時における走行履歴から、その相関線として、複数設定された中から所定の直線fが決定される。それと共に、その直線fのx切片として「期待車速」が求められる。このようにして以前の加速走行時の履歴に基づいて求められる「期待車速」は、以前の加速走行時に現れていた運転志向が反映されたものとなっている。そして、上記のようにして求められた「期待車速」、および、例えば車速センサ13の検出値として求められた「現在車速」に基づいて、「再加速時加速度」が求められる。図5に示すように、「期待車速」と「現在車速」との差が大きいほど、「再加速時加速度」は大きくなる。また、運転志向としてスポーツ走行志向が強いほど、「期待車速」が大きい直線fsが選択され、それによって求められる「再加速時加速度」も大きくなる。反対に、運転志向として燃費走行志向が強いほど、「期待車速」が小さい直線fmが選択され、それによって求められる「再加速時加速度」も小さくなる。
上記のようにして、ステップS4で再加速時加速度Gexpが求められると、その再加速時加速度Gexpを実現可能な自動変速機4の変速段が求められる(ステップS5)。すなわち、車両Veが再加速時加速度Gexpで加速走行するために自動変速機4で設定する最適な変速段が求められる。そのような変速段を求める手法の一例を図6に示してある。先ず、出力可能加速度Gablが設定される。出力可能加速度Gablは、エンジン3の出力トルクの最大値をTemax、走行抵抗をR、車両重量をW、ギヤ比をgとすると、
Gabl=(Temax・g−R)/W
の計算式から算出することができる。図6に示すように、出力可能加速度Gablは、自動変速機4の各変速段毎に算出されている。
図6には、自動変速機4が前進8速の有段変速機である例を示してある。この図6に示す例では、「期待車速」および「現在車速」から求められた「再加速時加速度」に対して、その「再加速時加速度」を達成することが可能な変速段(この図6の例では、第2速、第3速、第4速、第5速)の内の最も高速段(この図6の例では、第5速)が選択される。すなわち、図6において、期待車速Vexpを通る相関線と現在車速Vcurを示す直線との交点として、再加速時加速度Gexpが表されている。この再加速時加速度Gexpを示す点は、第5速の出力可能加速度Gablと第6速の出力可能加速度Gablとの間に位置している。これは、エンジン3で最大トルクを出力した場合に、自動変速機4で第6速以上の変速段(第6速,第7速,第8速)が設定されていると、再加速時加速度Gexpを達成できないことを表している。したがって、この図6に示す例では、再加速時加速度Gexpを達成可能な自動変速機4の第5速以下の変速段(第5速から第1速)の中の最高速段である第5速が選択される。
ステップS5で再加速時加速度Gexpを実現可能な自動変速機4の変速段(変速比)が算出されると、車両Veが減速走行中であるか否かが判断される(ステップS6)。例えば、車速センサ13あるいは前後加速度センサ(図示せず)の検出値や、ブレーキスイッチ10の動作信号などを基に、車両Veが減速走行中である否かを判断することができる。車両Veが減速走行中でないことにより、このステップS6で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
それに対して、車両Veが減速走行中であることにより、ステップS6で肯定的に判断された場合には、ステップS7へ進む。ステップS7では、現在、自動変速機4で設定されている変速段が、上記のステップS5で算出された変速段よりも高速段であるか否か、すなわち、現在の変速段の変速比が算出された変速段の変速比よりも小さいか否かが判断される。現在の変速段が算出された変速段よりも低速段であることにより、このステップS7で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
それに対して、現在の変速段が算出された変速段よりも高速段であることにより、ステップS7で肯定的に判断された場合には、ステップS8へ進み、算出された変速段に向けて自動変速機4でダウンシフトが実施される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。
上記のような減速走行時の制御を実行するコントローラ8の具体的な構成を、図7のブロック図に示してある。このコントローラ8は、一例として、加速度算出部B1、期待車速算出部B2、再加速時加速度算出部B3、出力可能加速度算出部B4、目標変速段算出部B5、および、変速出力判断部B6から構成されている。
加速度算出部B1は、アウトプット回転数センサ12の検出データを基に車両Veの加速度を算出する。車速センサ13の検出データから車両Veの加速度を算出することもできる。期待車速算出部B2は、上記の加速度算出部B1で算出された加速度データおよび車速センサ13の検出データを基に期待車速Vexpを算出する。再加速時加速度算出部B3は、上記の期待車速算出部B2で算出された期待車速Vexpと車速センサ13の検出データから求まる現在車速Vcurとの車速差ΔVを基に再加速時加速度Gexpを算出する。一方、出力可能加速度算出部B4は、エアフローセンサ7の検出データを基に自動変速機4の各変速段(もしくは、変速比)毎の出力可能加速度Gablを算出する。目標変速段算出部B5は、上記の再加速時加速度算出部B3で算出された再加速時加速度Gexpおよび出力可能加速度算出部B4で算出された出力可能加速度Gablを基に自動変速機4に対する目標変速段(もしくは、目標変速比)を算出する。そして、変速出力判断部B6は、上記の目標変速段算出部B5で算出された目標変速段ならびにアクセルセンサ9の検出データおよびブレーキスイッチ10の検出データを基に自動変速機4に対する変速指令に関する判断を行う。具体的には、自動変速機4に対するダウンシフトの実行の要否を判断する。
前述の図6では、自動変速機4が前進8速の有段変速機である例を示しているが、この発明の自動変速機4は、ベルト式やトロイダル式の無段変速機、あるいはハイブリッド車両における電気式の無段変速機構を対象にすることもできる。自動変速機4が上記のような無段変速機あるいはハイブリッド車両の電気式無段変速機構である場合には、「再加速時加速度」を実現可能な自動変速機4の変速比が算出され、その算出された変速比に基づいて自動変速機4が制御される。例えば、図8の(a)に示すように、「現在車速」および「期待車速」から「再加速時加速度」を実現可能な変速比γが求められ、その変速比γに基づいて自動変速機4が制御される。その場合のエンジン回転数の挙動を図8の(b)に示してある。
上述した実施例では、例えば図4に示すような相関線、あるいは図5に示すような制御マップから「期待車速」が求められる。それら図4に示す相関線や図5に示す制御マップは、過去の加速走行時の走行データを基に設定される。その場合に使用する過去の走行データを単純に蓄積していくと、データ量が膨大になってしまう。また、過去の走行データを過度に重視すると、走行環境や運転志向が変化した場合であっても、その変化以前の走行データが適用されてしまい、その結果、「期待車速」や「再加速時加速度」の推定精度が低下してしまう場合がある。そこで、このコントローラ8による駆動力制御では、「期待車速」を求めるために使用される走行データに対して重み付けが行われる。
上記のような走行データの重み付けは、過去の走行データに対して所定の重み係数を乗じることにより実施される。あるいは、全ての走行データの履歴の中から所定の走行データを選択して「期待車速」の算出に用いることにより実施される。例えば、図4に示す相関線や図5に示す制御マップを設定するために用いられる過去の走行データに対して重み係数w(w<1)を乗じることにより、走行データの重み付けを行うことができる。あるいは、最新から所定の回数分遡った直近の走行データのみを用いて、図4に示す相関線を設定することにより、走行データの重み付けを行うことができる。
例えば、図9のグラフに示すように、所定の走行データをグラフ上にプロットしたデータを点(x,y)とし、走行データの履歴から得られる近似線を「y=a・x+b」とすると、点(x,y)の誤差dは、
d=(y−a・x−b)
となる。これに重み付けのための重み係数wを考慮した二乗誤差(w)・dは、
(w)・d=(w)・(y−a・x−b)
となる。したがって、この二乗誤差(w)・dが最小となる係数aおよび係数bを算出することにより、近似線「y=a・x+b」を求めることができる。そのような二乗誤差(w)・dが最小となる係数aおよび係数bは、それぞれ、次の(1)式および(2)式で示す漸化式によって算出される。
Figure 2017058006
Figure 2017058006
上記の(1)式および(2)式において、xの総和の項をAとすると、An−1およびAは、それぞれ、次の(3)式および(4)式のような漸化式で表される。
Figure 2017058006
Figure 2017058006
上記の(1)式および(2)式の漸化式におけるxの総和の項に関して、総和の前回値(An−1)にxの今回値(x )を加え、その和に重み係数wを乗じることにより、総和の今回値(A)を求めることができる。このことは、上記の(1)式および(2)式の漸化式における他の総和の項についても同様に当てはまる。そのため、上記の(1)式および(2)式で表される係数aおよび係数bについては、総和の前回値が分かっていれば、今回値も求めることができる。したがって、過去の走行データの履歴が全て記憶されていなくとも、総和の前回値が記憶されていれば、その総和の前回値と今回値とから、重み係数wによって重み付けされた近似線「y=a・x+b」を求めることができる。
上記のような重み係数wを、例えば「w=0.7」として走行データの重み付けを行った場合、図10に示すように、直近の4回分のデータだけで全体の約75%の情報量を占めることになる。このように、上記のような重み付けを行うことにより、直近のデータに対する重要度を高めることができ、例えば、重要度が低くなった過去のデータをクリアすることもできる。また、重み係数wを一定値とすることにより、上記のような漸化式における1回毎の変化が一定となり、その結果、上記のような漸化式の計算によって近似線「y=a・x+b」を容易に求めることができる。したがって、上記のように走行データに対して重み付けを行うことにより、「期待車速」や「再加速時加速度」の一定の推定精度を確保しつつ、データを記憶するメモリの負荷および演算処理の際の負荷を軽減することができる。
このように、コントローラ8による駆動力制御では、減速走行後の再加速走行時に、その再加速走行が開始される以前に、「再加速時加速度」で加速走行することが可能な変速比を設定する自動変速機4の変速制御を完了させておくことができる。また、上記のような「期待車速」に基づいて「再加速時加速度」を求めることにより、その「再加速時加速度」を、運転者の意図や運転志向等を反映した変速制御の制御指標とすることができる。そのため、減速走行後の再加速走行の開始時点では、事前に、再加速のために必要な駆動力を得ることが可能な変速比を自動変速機4で設定しておくことができる。また、その際に設定されている変速比は、運転者が意図する加速度、あるいは運転者が要求する加速度で車両を加速させることが可能であると推定される変速比となっている。
例えば、車両Veがコーナーを旋回走行する場合には、コーナーへの進入段階からコーナー内での旋回走行段階における車両Veの減速走行中に、予め、コーナーからの脱出段階における車両Veの再加速走行時に適した変速比、すなわち「再加速時加速度」を実現可能な変速比へ、自動変速機4をダウンシフトさせておくことができる。したがって、車両Veがコーナーに進入して旋回走行する場合に、大きな駆動力を得ることが可能な状態を維持しつつ、車両Veを適切に減速させて安定した旋回走行を行うことができる。そして、車両Veがコーナーから脱出して再加速走行を開始する際には、上記のように、既に、十分な駆動力を得ることが可能な状態にまでダウンシフトが完了されている。
したがって、コントローラ8による駆動力制御によれば、減速走行時のダウンシフトが不十分なために、その減速走行後の再加速走行時に駆動力の不足を補うために更にダウンシフトが行われるようなことを回避して、適切に車両を加速走行させることができる。そのため、運転者に違和感やショックを与えてしまうようなことを抑制し、車両Veの加速性能および加速フィーリングを向上させることができる。
また、コントローラ8による駆動力制御において、「期待車速」は、加速走行が行われる度に更新される。そのように「期待車速」が更新されることにより、運転者の最新の運転志向を制御に反映させることができる。例えば、運転者の運転志向が燃費走行志向からスポーツ走行志向へ変化した場合には、「期待車速」が増大する側に更新され、その結果、自動変速機4では、より低速段側の大きな変速比が設定され易い状態になる。そのため、その後の再加速走行の際には、より大きな駆動力を発生させて力強い加速走行が可能になり、上記のようなスポーツ走行志向への運転志向の変化を反映させて、車両Veを適切に加速走行させることができる。
ところで、「期待車速」は、上記のような加速走行時だけにしか更新されないとすると、大抵の場合は増大する側(すなわち、スポーツ走行志向側)に更新され、低下する側(すなわち、燃費走行志向側)に更新されることはほとんどなくなってしまう。そのため、例えば、運転者の運転志向が、スポーツ走行志向から通常走行志向に低下した場合、あるいは、通常走行志向から燃費走行志向に低下した場合には、その後の再加速走行の際に運転者が意図するよりも低速段側の大きな変速比が設定されてしまう可能性がある。
そこで、コントローラ8は、運転志向が燃費走行志向側へ低下するような場合であっても、適切な「期待車速」を設定し、運転者の意図や運転志向を精度よく反映した適切な駆動力制御を実行することができるように構成されている。
上記のように運転志向が低下する場合に対応するための制御の一例を、図11に示してある。図11のフローチャートに示す制御においては、先ず、運転者の運転志向が減少状態であるか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、現在設定されている期待車速Vexpを低下させる状態であるか否かが判断される。例えば、車両Veが緩減速走行している場合に、期待車速Vexpを低下させる状態であると判断される。あるいは、車両Veが定常走行している場合に、期待車速Vexpを低下させる状態であると判断される。
緩減速走行とは、例えば車両Veが惰行時に緩やかに減速する走行状態である。この制御では、所定の減速度よりも低い減速度範囲(判定領域)内の減速度で車両Veが減速走行する状態、あるいは、車両が負の加速度側の所定減速度よりも0に近い判定領域内の減速度で減速走行する走行状態を、緩減速走行と定義している。この緩減速走行は、運転者の明確な意図に基づいた制動操作によって車両Veが減速走行する状態と区別するために定義されている。例えば、上記のように所定の減速度よりも低い減速度範囲(判定領域)内の減速度で車両Veが減速走行する状態が所定時間以上継続している場合、あるいは、上記のように車両が負の加速度側の所定減速度よりも0に近い判定領域内の減速度で減速走行する状態が所定時間以上継続している場合に、車両Veの走行状態が緩減速走行であると判定される。なお、この制御において、減速度とは、負の加速度のことである。したがって、減速度は、前述した加速度と同様に、例えばアウトプット回転数センサ12あるいは車速センサ13の検出データの微分値として、あるいは、前後加速度センサの検出値として求めることができる。
また、定常走行とは、ほとんど加速度が生じない走行状態である。この制御では、車両Veが0を含む所定の加速度範囲内でほぼ定速走行する状態、あるいは、車両Veが0よりも大きい加速度および0よりも小さい加速度を含む所定の加速度範囲内の加速度で定速もしくはほぼ定速で走行する走行状態を、定常走行と定義している。例えば、上記のように車両Veが0を含む所定の加速度範囲内でほぼ定速走行する状態が所定時間以上継続している場合、あるいは、上記のように車両Veが0よりも大きい加速度および0よりも小さい加速度を含む所定の加速度範囲内の加速度で定速もしくはほぼ定速で走行する状態が所定時間以上継続している場合に、車両Veの走行状態が定常走行であると判定される。
したがって、例えば、車両Veの走行状態が、上記のような緩減速走行および定常走行のいずれでもない場合は、期待車速Vexpを低下させる状態ではないと判断される。一方、車両Veの走行状態が、上記のような緩減速走行もしくは定常走行のいずれかである場合には、期待車速Vexpを低下させる状態であると判断される。
期待車速Vexpを低下させる状態であると判断されたことにより、このステップS101で肯定的に判断された場合には、ステップS102へ進む。ステップS102では、期待車速Vexpを低下させるための暫定線が設定される。具体的には、従前から走行データの履歴を用いて算出されている加速履歴線(すなわち、前述の相関線)に対し、その加速履歴線よりも加速度および車速がいずれも低下する側に、暫定線が設定される。
例えば、暫定線は、加速履歴線と傾き(すなわち、前述の勾配係数K)が等しく、加速履歴線から下方の領域に所定距離Dだけ離れた直線として設定することができる。加速履歴線よりも下方の領域とは、例えば、図12に示すようなグラフ上で、加速履歴線よりも加速度および車速がいずれも小さい領域である。所定距離Dは、例えば、運転志向がスポーツ走行志向から通常走行志向へ低下する場合と、運転志向が通常走行志向から燃費走行志向へ低下する場合とに分けて、それぞれ、予め設定されている。
また、暫定線は、最新から所定の回数遡った期間である直近期間内の少なくとも2回の走行データを含む直線として設定することもできる。例えば、図12あるいは図13のグラフ上で、直近期間内の2回の加速走行時における走行データをプロットし、それらプロットされた2点を通る直線として暫定線を求めることができる。
また、暫定線は、直近期間内の1回の走行データを含み、加速履歴線と傾きが等しい直線として設定することもできる。例えば、図12あるいは図13のグラフ上で、直近期間内の2回の加速走行時における走行データをプロットし、そのプロットされた点を通り、かつ、傾きが加速履歴線と等しい直線として暫定線を求めることができる。
このステップS102では、上記のように暫定線が設定されると共に、従来の加速履歴線が保持される。すなわち、従来の加速履歴線は、未だクリアされることなく継続して記憶される。
ステップS102で暫定線が設定されると、ステップS103へ進む。また、期待車速Vexpを低下させる状態ではないと判断されたことにより、上記のステップS101で否定的に判断された場合には、ステップS102を飛ばして、このステップS103へ進む。ステップS103では、車両Veの加速走行が終了したか否かが判断される。これは、前述の図2のフローチャートにおけるステップS1と同様の制御内容である。
車両Veの加速走行が終了したことにより、このステップS103で肯定的に判断された場合は、ステップS104へ進む。ステップS104では、加速履歴線が更新される。具体的には、最新の加速走行時に取得された走行データも反映させて、最新の加速履歴線が算出される。そして、上記のステップS102で保持されている加速履歴線が、ここで求められた最新の加速履歴線に更新される。
一方、車両Veの加速走行が未だ終了していないこと、この制御の開始以降に未だ加速走行が行われていないこと、車両Veが加速走行中であること、あるいは、車両Veが定常走行中であることにより、ステップS103で否定的に判断された場合には、ステップS105へ進む。ステップS105では、加速履歴線が維持される。すなわち、このステップS105では、ステップS104のように加速履歴線が更新されることなく、上記のステップS102で保持されている加速履歴線が引き続き維持される。
ステップS104で加速履歴線が更新されると、もしくは、ステップS105で従前の加速履歴線が維持されると、ステップS106へ進む。ステップS106では、暫定線を使用するか否かが判断される。具体的には、上記のようにして設定された暫定線の推定精度について検証され、その検証結果に基づいて、再加速時加速度Gexpを算出するために上記の暫定線を用いるべきか否かが判断される。
このステップS106では、例えば、図12に示すグラフ上で、最新の走行データをプロットした点が、最後に更新された加速履歴線よりも上方の領域に位置している場合は、暫定線を用いるべきではないと判断される。加速履歴線よりも上方の領域とは、図12に示すグラフ上で、加速履歴線よりも加速度および車速がいずれも大きい領域である。このように、最新の走行データが加速履歴線よりも大きい場合には、加速履歴線よりも加速度および車速がいずれも小さくなる方向に低下させた暫定線は、運転者の運転志向を適切に反映していないと推定できる。すなわち、この場合は、ステップS102で暫定線を加速履歴線よりも低下させたものの、実際の運転志向は低下していなかったと考えられる。したがって、上記のように最新の走行データが加速履歴線よりも大きい場合は、暫定線を用いるべきではないと判断される。
また、このステップS106では、例えば、図13に示すようなグラフ上で、最新の走行データをプロットした点が、最後に更新された加速履歴線よりも下方の領域に位置していたとしても、その点が加速履歴線に十分に近い場合には、暫定線を用いるべきではないと判断される。最新の走行データが加速履歴線に十分に近い場合とは、例えば、加速履歴線と、その加速履歴線よりも下方へ距離dだけ離れた直線との間の所定範囲内に、最新の走行データをプロットした点が位置する場合である。このように、最新の走行データが加速履歴線に十分に近い場合は、暫定線よりも加速履歴線の方が運転者の運転志向を適切に反映していると推定できる。したがって、上記のように最新の走行データが加速履歴線に十分に近い場合は、暫定線を用いるべきではないと判断される。
暫定線を使用すべきでないと判断されたことにより、ステップS106で否定的に判断された場合は、ステップS107へ進む。ステップS107では、上記のステップS104で更新された最新の加速履歴線、もしくは、上記のステップS105で維持された従前の加速履歴線を用いて、再加速時加速度Gexpが算出される。なお、この場合に再加速時加速度Gexpの算出に寄与しなくなった暫定線をクリアしてもよい。そうすることにより、暫定線およびそれに関連するデータを記憶するためのメモリの負荷や、演算処理の際の負荷を軽減することができる。
一方、暫定線を使用すべきであると判断されたことにより、ステップS106で肯定的に判断された場合には、ステップS108へ進む。ステップS108では、上記のステップS102で設定された暫定線を用いて、再加速時加速度Gexpが算出される。上記のステップS107およびステップS108における再加速時加速度Gexpは、前述の図2のフローチャートにおけるステップS4と同様の手法で求められる。
上記のようにして、ステップS107もしくはステップS108で再加速時加速度Gexpが求められると、その再加速時加速度Gexpを実現可能な自動変速機4の変速段が求められる(ステップS109)。すなわち、車両Veが再加速時加速度Gexpで加速走行するために自動変速機4で設定する最適な変速段が求められる。これは、前述の図2のフローチャートにおけるステップS5と同様の制御内容である。
ステップS109で再加速時加速度Gexpを実現可能な自動変速機4の変速段(変速比8)が算出されると、車両Veが減速走行中であるか否かが判断される(ステップS110)。車両Veが減速走行中でないことにより、このステップS110で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
それに対して、車両Veが減速走行中であることにより、ステップS110で肯定的に判断された場合には、ステップS111へ進む。ステップS111では、現在、自動変速機4で設定されている変速段が、上記のステップS109で算出された変速段よりも高速段であるか否か、すなわち、現在の変速段の変速比が算出された変速段の変速比よりも小さいか否かが判断される。現在の変速段が算出された変速段よりも低速段であることにより、このステップS111で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
一方、現在の変速段が算出された変速段よりも高速段であることにより、ステップS111で肯定的に判断された場合には、ステップS112へ進み、算出された変速段に向けて自動変速機4でダウンシフトが実施される。上記のステップS110、ステップS111、および、ステップS112は、それぞれ、前述の図2のフローチャートにおけるステップS6、ステップS7、および、ステップS8と同様の制御内容である。ステップS112でダウンシフトが実施されると、その後、このルーチンを一旦終了する。
このように、図11のフローチャートで示す制御では、例えば車両Veが緩減速走行や定常走行したことにより、運転者の運転志向が燃費走行志向側へ低下したと推定された場合には、加速履歴線と最新の走行データとが比較される。すなわち、暫定線の推定精度について検証される。最新の走行データにおける車速および加速度が、いずれも、加速履歴線よりも大きい場合、あるいは、最新の走行データにおける車速および加速度が、いずれも、加速履歴線近傍の所定範囲に含まれる値である場合は、暫定線の推定精度は良くないと判断される。したがって、暫定線は用いずに、加速履歴線を用いて期待車速が求められる。一方、最新の走行データにおける車速および加速度が、いずれも、加速履歴線近傍の所定範囲に含まれない値であり、なおかつ、加速履歴線よりも小さい値である場合には、暫定線の推定精度は良いと判断される。したがって、その暫定線を用いて期待車速Vexpが求められる。
そのため、この図11のフローチャートで示す制御によれば、運転者の運転志向が燃費走行志向側へ変化する場合に、その運転志向の変化に対応して期待車速Vexpを設定することができる。それと共に、運転志向の変化の推定精度、すなわち、暫定線の推定精度に応じて、適切な期待車速Vexpを設定することができる。その結果、運転者の意図や運転志向を適切に反映させて、車両Veの駆動力を制御することができる。
上記の図11のフローチャートで示した制御例では、暫定線の推定精度が検証され、
その検証結果に基づいて、暫定線を用いるか否かが判断される。それに対して、このコントローラ8による駆動力制御では、図14のフローチャートに示すように、暫定線の推定精度の検証結果に基づいて、暫定線を修正して用いるように制御することもできる。図14のフローチャートで示す制御例において、ステップS201からステップS207は、それぞれ、上記の図11のフローチャートにおけるステップS101からステップS107と同様の制御内容である。
すなわち、図11のフローチャートにおけるステップS106と同様に、この図14のフローチャートにおけるステップS206では、暫定線を使用するか否かが判断される。具体的には、上記のようにして設定された暫定線の推定精度について検証され、その検証結果に基づいて、再加速時加速度Gexpを算出するために上記の暫定線を用いるべきか否かが判断される。
暫定線を使用すべきでないと判断されたことにより、ステップS206で否定的に判断された場合は、ステップS207へ進む。ステップS207では、加速履歴線を用いて再加速時加速度Gexpが算出される。なお、この場合も再加速時加速度Gexpの算出に寄与しなくなった暫定線をクリアしてもよい。そうすることにより、暫定線およびそれに関連するデータを記憶するためのメモリの負荷や、演算処理の際の負荷を軽減することができる。
一方、暫定線を使用すべきであると判断されたことにより、ステップS206で肯定的に判断された場合には、ステップS208へ進む。ステップS208では、最新の走行データに基づいて、暫定線が修正される。具体的には、ステップS202で設定された暫定線を最新の走行データに近付けることにより、暫定線と最新の走行データとの乖離が減少するように、暫定線が修正される。
例えば、図16に示すように、図16のグラフ上で最新の走行データをプロットした点が、ステップS202で設定された暫定線よりも上方の領域に位置している場合は、暫定線が最新の走行データに近付く方向へ上昇させられる。例えばステップS202で設定された暫定線が、最新の走行データに近付く方向へ所定の距離だけ平行移動させられ、修正後の暫定線が設定される。この場合の所定の距離は、取得された走行データの車速および加速度に応じて、予め設定されている。あるいは、ステップS202で設定された暫定線が、最新の走行データを含む直線まで平行移動させられて、修正後の暫定線が設定される。
また、図16に示すように、図16のグラフ上で最新の走行データをプロットした点が、ステップS202で設定された暫定線よりも下方の領域に位置している場合は、暫定線が最新の走行データに近付く方向へ低下させられる。例えばステップS202で設定された暫定線が、最新の走行データに近付く方向へ所定の距離だけ平行移動させられて、修正後の暫定線が設定される。この場合の所定の距離も、取得された走行データの車速および加速度に応じて、予め設定されている。あるいは、ステップS202で設定された暫定線が、最新の走行データを含む直線まで平行移動させられ、修正後の暫定線が設定される。
ステップS208で暫定線が修正されると、その修正された暫定線を用いて再加速時加速度Gexpが算出される(ステップS209)。これは、前述の図2のフローチャートにおけるステップS4、および、図11のフローチャートにおけるステップS108と同様の制御内容である。
上記のようにして、ステップS207もしくはステップS209で再加速時加速度Gexpが求められると、その再加速時加速度Gexpを実現可能な自動変速機4の変速段が求められる(ステップS210)。すなわち、車両Veが再加速時加速度Gexpで加速走行するために自動変速機4で設定する最適な変速段が求められる。このステップS210以降の、ステップS210からステップS213は、それぞれ、前述の図11のフローチャートにおけるステップS109からステップS112と同様の制御内容である。
このように、図14のフローチャートで示す制御では、最新の走行データにおける車速および加速度が、いずれも、加速履歴線近傍の所定範囲に含まれない値であり、なおかつ、加速履歴線よりも小さい値であることにより、暫定線の推定精度は良いと判断された場合には、修正された暫定線を用いて期待車速Vexpが求められる。すなわち、暫定線の推定精度は良く、暫定線を用いて期待車速Vexpを設定すべきと判断された場合に、最新の走行データに基づいて暫定線が修正されることにより、その修正によって更に精度が高められた暫定線を用いて期待車速Vexpが求められる。そのため、運転者の意図や運転志向をより精度良く制御に反映させることができる。
なお、上述した具体例では、「加速履歴線」および「暫定線」が、いずれも、直線である場合を示しているが、それら「加速履歴線」および「暫定線」は、曲線であってもよい。例えば、「加速履歴線」は、過去の走行データの近似曲線として求めることもできる。そして、例えば、「暫定線」は、上記のように曲線として求められた「加速履歴線」と同じ線形で、「加速履歴線」を所定の距離だけ平行移動させた曲線として求めることもできる。
さらに、上述した具体例では、「加速履歴線」および「暫定線」が、いずれも、グラフ上に示された線図として説明しているが、これら「加速履歴線」および「暫定線」、ならびに、車速と加速度との相関線(直線f)等は、線図を表す関数、方程式、あるいは、相関式などの形で用いることもできる。
1…前輪、 2…後輪(駆動輪)、 3…エンジン、 4…自動変速機、 6…電子スロットルバルブ、 7…エアフローセンサ、 8…コントローラ(ECU)、 9…アクセルセンサ、 10…ブレーキセンサ(ブレーキスイッチ)、 11…エンジン回転数センサ、 12…アウトプット回転数センサ、 13…車速センサ、 Ve…車両。

Claims (6)

  1. エンジンと、駆動輪と、前記エンジンと駆動輪との間でトルクを伝達する自動変速機とを備えた車両の駆動力を、車速およびアクセル開度に基づいて制御する駆動力制御装置において、
    前記駆動力を制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、
    前記車両が減速走行する以前の加速走行時における前記車両の車速および加速度を記憶した走行データの相関関係を用いて加速履歴線を算出すると共に、前記加速走行が行われる度に前記加速履歴線を更新し、
    前記車両が負の加速度側の所定減速度よりも0に近い減速度範囲内の減速度で減速走行した場合、または、前記車両が正の加速度および負の加速度を含む所定の加速度範囲内の加速度で定速走行した場合に、前記加速履歴線よりも前記車速および前記加速度がいずれも小さくなる暫定線を設定し、
    前記車両が前記減速走行した後に再加速走行をする際の目標車速として、前記加速履歴線または前記暫定線に基づいて、前記車両が前記再加速走行する際に運転者が所望すると推定される期待車速を設定し、
    現在の前記車速および前記期待車速に基づいて、前記車両が前記再加速走行する際の制御指標とする再加速時加速度を求め、
    前記車両が前記再加速走行を開始する前に、前記再加速時加速度に基づき前記再加速時加速度を実現可能な前記自動変速機の変速比を設定するように構成されており、
    前記期待車速は、
    最新の前記走行データにおける前記車速および前記加速度が、最新の前記加速履歴線よりも大きい場合、または、最新の前記加速履歴線に近い所定範囲に含まれる値である場合に、前記加速履歴線に基づいて設定され、
    最新の前記走行データにおける前記車速および前記加速度が、最新の前記加速履歴線よりも小さく、かつ、前記所定範囲に含まれない値である場合に、前記暫定線に基づいて設定される
    ことを特徴とする駆動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の駆動力制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記加速履歴線に基づいて前記期待車速を設定する際に、前記暫定線をクリアする
    ことを特徴とする駆動力制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の駆動力制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記加速履歴線よりも前記車速および前記加速度がいずれも小さくなる方向へ前記加速履歴線を所定距離だけ低下させることにより前記暫定線を設定する
    ことを特徴とする駆動力制御装置。
  4. 請求項1または2に記載の駆動力制御装置において、
    前記コントローラは、
    最新の前記加速走行から所定の回数遡った期間の直近期間内の少なくとも2回の前記走行データを含む直線として前記暫定線を設定する
    ことを特徴とする駆動力制御装置。
  5. 請求項1または2に記載の駆動力制御装置において、
    前記コントローラは、
    最新の前記加速走行から所定の回数遡った期間の直近期間内の1回の前記走行データを含み、前記加速履歴線と傾きが等しい直線として前記暫定線を設定する
    ことを特徴とする駆動力制御装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動力制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記暫定線を最新の前記走行データに近付けることにより、前記暫定線と最新の前記走行データとの乖離が減少するように前記暫定線を修正する
    ことを特徴とする駆動力制御装置。
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