JP2017057444A - 真空処理装置 - Google Patents

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克尚 加茂
Katsunao Kamo
克尚 加茂
憲明 小林
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憲明 小林
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Abstract

【課題】 真空容器の容積を省スペースにしつつ、真空容器内を大気解放することなく、マスク交換できるスパッタリング装置を提供すること。
【解決手段】
真空容器2内で処理対象物7を真空処理室15とロードロック室との間で搬送する搬送機構5は、真空処理室15で処理対象物7に真空処理を行うときには、処理対象物7を処理対象物保持部8に保持した状態で搬送する。一方、真空処理室15における真空処理時に真空処理源50と処理対象物7との間に設けられるマスク30をマスク固定部40に対して着脱するときには、搬送機構5は、マスク搬送部材90を介して処理対象物保持部8にマスク30を保持した状態で搬送し、マスク着脱手段80によってマスク固定部40に対してマスク30の着脱を行なう。
【選択図】 図3

Description

本発明の実施の形態は真空処理装置に関する。
従来、プラスチック成型品や基板などの処理対象物に薄膜を被覆する真空処理装置としては、成膜費用の安価なバッチ式の真空蒸着装置またはスパッタリング装置が多く使用されている。
上記の真空処理装置には、薄膜を処理対象物に成膜することができる真空容器の隣に、ロードロック室を持つものがある。ロードロック室は、真空容器との間に密閉可能な扉が設けられており、真空容器とは独立して内部の気圧を制御できる部屋である。ロードロック室を用いると、真空容器内部を減圧したまま処理対象物を出し入れすることができる。
ところで、このような真空処理装置では、薄膜を処理対象物上の希望する面に被膜させるため、開口部を有する遮蔽板、いわゆる、マスクを真空処理源と基板との間に配置したものがある。上記のマスクは、処理対象物の形状や、薄膜を被覆したい面が変更となる場合に交換する必要がある。しかし、作業者が現在使用しているマスクを取り出し、別のマスクを取り付けるには、真空容器を大気解放して、真空容器の外から作業しなければならない。つまり、マスク交換作業のために真空容器を大気解放する必要がある。
また、真空容器を大気解放後、成膜可能な真空度になるまで真空容器を再び減圧することは、時間がかかるという不具合が生じる。
このような不具合を解消する技術として、真空容器内に、複数種類のマスクを収納する遮蔽板保管庫を設け、マスクを自動交換可能に構成しているものが知られている。(特許文献1参照)
特開2004−43880号公報
しかし、真空容器内に遮蔽板の保管庫を設けるためには、真空容器を大きくする必要があり、装置が大型化してしまう。
本発明が解決しようとする課題は、真空容器の容積を省スペースにしつつ、真空容器内を大気解放することなく、マスクの交換をすることができる真空処理装置を提供することである。
本発明にかかる実施の形態の真空処理装置は、
処理対象物に真空処理が行なわれる真空処理室を有し、大気圧よりも減圧された雰囲気に減圧可能な真空容器と、
前記真空容器に接続され、前記真空容器とは独立して減圧可能なロードロック室と、
前記処理対象物を前記真空処理室と前記ロードロック室との間で搬送する搬送機構と、
前記真空処理室に配置され、前記処理対象物に対して真空処理を施す真空処理源と、
前記真空処理源と前記真空処理室に対して位置付けられた前記処理対象物との間でマスクを支持する支持部を備えたマスク固定部と、
を備える真空処理装置において、
前記処理対象物は、前記処理対象物を保持する処理対象物保持部に保持された状態で、前記搬送機構によって搬送され、
前記搬送機構は、前記マスクを、前記マスクを支持する支持部材を備えたマスク搬送部材を介して前記処理対象物保持部に保持した状態で搬送可能とし、
前記マスク搬送部材が前記真空処理室に対して位置付けられた状態で、前記マスク固定部との間で前記マスクを着脱するマスク着脱手段
を有することを特徴とする真空処理装置である。
第1の実施の形態における真空処理装置の概略図である。 第1の実施の形態における成膜対象物の搬送時の装置状態を示す模式図である。 第1の実施の形態におけるマスクの取外し時の装置状態を示す模式図である。 第1の実施の形態におけるマスク搬送部材を概念的に表す模式図である。 第1の実施の形態におけるマスクを取り外す前の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第1の実施の形態におけるマスクを取り外し後の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第1の実施の形態におけるマスク固定部の動作を表す斜視図である。 第1の実施の形態におけるマスクを取り付け前の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第1の実施の形態におけるマスクを取り付け後の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第2の実施の形態におけるマスクを取り付け前の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第2の実施の形態におけるマスクを取り付け後の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第2の実施の形態におけるマスクを取り外し前の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第2の実施の形態におけるマスクを取り外し後の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第3の実施の形態におけるマスクを取り付け前の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第3の実施の形態におけるマスクを取り付け途中の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第3の実施の形態におけるマスクを取り付け後の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第3の実施の形態におけるマスクを取り外し途中の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第3の実施の形態におけるマスクを取り外し後の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第4の実施の形態におけるマスクを取り付け前の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第4の実施の形態におけるマスクを取り付け後の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第4の実施の形態におけるマスクを取り外し前の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。 第4の実施の形態におけるマスクを取り外し後の真空処理用開口部の状態を表す模式図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明にかかる第1の実施の形態の真空処理装置について図1、2、5を用いて説明する。なお、本実施の形態において、真空処理装置は、具体的には、枚葉式マグネトロンスパッタ装置である。
本実施の形態の真空処理装置1は、図1に示すように、真空容器としての略円形のメインチャンバ2を有する。メインチャンバ2は、本体2aと上蓋2bとで構成される。メインチャンバ2の内部空間Sは図示しない真空排気系により真空排気される。
そして、メインチャンバ2の内部の中央には、メインチャンバ2の底壁を貫通して垂直に延在する回転軸3が設けられる。この回転軸3の下端は、メインチャンバ2の下面に固定されたモータ4と連結され、回転軸3の上端は、円板状の回転テーブル5の中心と連結される。回転テーブル5には、複数の円形開口が形成されている。この複数の円形開口は、回転軸3を中心とした同心円上に配置される。
本実施の形態では、円形開口は、2つである。それぞれの円形開口は、回転テーブル5の回転中心に対して点対称の位置に配置される。
各円形開口上には、底を有する円筒状のワークチャンバ6がそれぞれ支持される。ワークチャンバ6には、上部開口6aと下部開口6bとがそれぞれ設けられている。
なお、図1では図示を省略しているが、処理対象物としての成膜対象物7は、図2に示すような、底を有する円筒状のホルダ(処理対象物保持部)8に収容された状態で供給される。したがって、図1でワークチャンバ6に保持される成膜対象物7は、ホルダ8に収容された状態でワークチャンバ6に保持されている。ここで、回転テーブル5は、搬送機構として機能する。
メインチャンバ2の下面には、回転軸3を挟んでアクチュエータ9、10が設けられる。各アクチュエータ9、10は、メインチャンバ2の底壁を貫通し、内部空間S中で上下に往復運動するロッド9a、10aを備えている。各ロッド9a、10aの先端には、回転テーブル5の円形開口を通過し、ワークチャンバ6を支持した状態で昇降するプッシャ9b、10bが設けられる。
図1は、ロッド9a、10aがそれぞれ下がった状態を示す。
一方、メインチャンバ2の上蓋2bには、真空処理用開口部2cとロードロック用開口部2dとが設けられている。真空処理用開口部2cとロードロック用開口部2dとは、回転テーブル5の円形開口が配置された同心円上であり、回転テーブル5の回転中心に対して点対称の位置に形成されている。これにより、回転テーブル5の一方の円形開口が真空処理用開口部2cと対向する位置に回転移動すると、もう一方の円形開口がロードロック用開口部2dと対向する位置となる。
上述したアクチュエータ9、10のうち、アクチュエータ9は、真空処理用開口部2cの下方に位置し、アクチュエータ10は、ロードロック用開口部2dの下方に位置している。
また、上蓋2bの真空処理用開口部2c上には、真空処理室15が設けられる。すなわち、チャンバ2は、真空処理室を有する。
ワークチャンバ6がアクチュエータ9より上方に持ち上げられた状態において、真空処理用開口部2cとワークチャンバ6および真空処理室15とで形成される空間は、成膜対象物7の真空処理スペース11として作用する。また、ワークチャンバ6がアクチュエータ10により上方に持ち上げられた状態において、ロードロック用開口部2dとワークチャンバ6とで形成されるワークチャンバ6の内部空間は、ロードロックスペース12として作用する。
ロードロック用開口部2dの上方に、メインチャンバ2の外部に設置された外部搬送機構20の水平アーム21の一端が位置される。水平アーム21の両端には、真空蓋23a、23bが設けられている。ロードロック用開口部2dは、真空蓋23a、23bのうち、開口部2d上に位置付けられた真空蓋によって、気密に閉塞される。つまり、ロードロック用開口部2d、ワークチャンバ6、真空蓋23a、23bによって、ロードロック室が形成される。
また、真空蓋23a、23bは、図2に示すように、ホルダ8を保持する機能を有し、ホルダ8を内部空間S中のワークチャンバ6へと供給する。
なお、真空蓋23a、23bによってロードロック用開口部2dが閉じられたときには、ロードロックスペース12は、前述の真空排気系とは別の図示しない排気ポンプにより真空排気され、真空蓋23a、23bによってロードロック用開口部2dが開放されるときには、図示しない真空破壊弁によりロードロックスペース12は大気解放される。
ところで、真空処理用開口部2cの側壁には、メインチャンバ2の内壁およびワークチャンバ6の内壁へスパッタ粒子が付着するのを防ぐための概略円環形状のリフレクタ(防着板)13が配置される。リフレクタ13には、図5に示すように、マスク30を保持固定する複数のマスク固定部40が設けられている。本実施の形態では、3つのマスク固定部40が120°間隔で同心円状に配置される。
真空処理室15の上の上部には、真空処理源としての成膜用スパッタ源50が接続される。成膜用スパッタ源50は、ターゲット51、磁石装置52、ガス導入口53を備えている。
ターゲット51は、成膜物質からなるディスク状の形状をしており、成膜用スパッタ源50の上壁内面に図示しないバッキングプレート等を介して固定される。
磁石装置52は、成膜用スパッタ源50の上面に設けられ、モータ54により、ターゲット51の中心軸まわりに回転される。この磁石装置52の回転によって、ターゲット51のスパッタされる面に回転磁界が与えられ、スパッタによるターゲット51の侵食が面内で均一にされる。
ガス導入口53は、成膜用スパッタ源50の壁部に形成され、ガス導入口53に接続されたガス導入管61を介して、例えばアルゴン(Ar)ガス等の放電ガスがメインチャンバ2に導入される。このメインチャンバ2への放電ガスの導入量は、ガス導入管61の途中に設けられたバルブ62を介してマスフローコントローラ63で制御することにより調整される。
メインチャンバ2の外部に電源64と制御装置65が設けられる。電源64は、例えば直流電源であり、電力供給線66を介してターゲット51に電力を供給する。制御装置65は、例えばマイクロプロセッサを含む回路装置であり、モータ4やアクチュエータ9、10、マスフローコントローラ63、電源64の動作を制御する。
次に、上記真空処理装置1を用いた成膜処理について図1と図2を用いて説明する。
図2に示すように、成膜対象物7は、外部搬送機構20によりメインチャンバ2内に搬入される。具体的には、水平アーム21の真空蓋23aが、その下面にホルダ8(成膜対象物7が載置されている。)を保持した状態でロードロック用開口部2dの上に移動する。そして、ロードロック用開口部2dは、真空蓋23aにより気密に閉塞される。
ロードロック用開口部2dが気密に閉塞されると、メインチャンバ2内部において、アクチュエータ10のロッド10aが上昇する。そして、ロッド10aの先端部に取り付けられたプッシャ10bにより、ワークチャンバ6(成膜対象物7を載置していない)が持ち上げられてロードロック用開口部2dの下側縁部に密着される。これにより、ワークチャンバ6の上部開口6aは気密に閉塞される。一方、下部開口6bは、プッシャ10bによって気密に閉塞される。
この状態で、ロードロックスペース12は、図示しない排気ポンプによって減圧される。このとき、真空蓋23aに保持されていたホルダ8は、ワークチャンバ6内へ載置される。
ロードロックスペース12が十分減圧、好ましくは、メインチャンバ内の圧力まで減圧された後、ロッド10aは下降して、ホルダ8を載置したワークチャンバ6は、回転テーブル5により支持される。
なお、内部空間Sは、常に図示しない真空排気系により減圧下にある。
モータ4により回転軸3が回転され、これにより回転テーブル5が水平面内で回転される。ロードロック用開口部2dに対向する位置にある、ホルダ8を支持したワークチャンバ6は、回転テーブル5の上に支持された状態で回転テーブル5の回転に伴い、円形の軌跡を移動し、真空処理用開口部2cに対向する位置に移動される。
ここで、アクチュエータ9のロッド9aが上昇され、プッシャ9bによってワークチャンバ6(ホルダ8を載置している)は、持ち上げられる。プッシャ9bによって最高上昇位置まで持ち上げられたワークチャンバ6の上部開口6aと真空処理用開口部2cの下側縁部との間には、数mmの間隔が設けられる。この数mmの間隔を設けることで、真空処理スペース11は、図示しない真空排気系により常に減圧される。なお、真空処理用開口部2cの下側縁部との間隔を介して減圧する代わりに、真空処理スペース11に真空排気系を付設して排気可能としてもよい。例えば、アクチュエータ9のプッシャ9bに真空排気機能を付設し、排気可能としてもよい。
真空処理スペース11には、放電ガスとして、例えば、アルゴンガスがガス導入管61およびガス導入口53を介して導入される。ガス流量は、例えば20〜40[sccm]である。ワークチャンバ6がプッシャ9bによって最高上昇位置まで持ち上げられた後、真空処理スペース11内の圧力が所望の圧力(例えば、0.5〜1[Pa])に安定したところで、電源64をオンさせ、ターゲット51に電力を供給する。この電力の供給により、ターゲット51をカソード、真空処理スペース11の壁部をアノードとする放電が生じ、アルゴンガスが電離して真空処理スペース11内にプラズマが生起され、加速されたアルゴンイオンによってターゲット51がスパッタされる。ターゲット51の材質は、例えばAg、Alなどである。
スパッタされたターゲット51の構成原子は、マスク30を介して、成膜対象物7の成膜面に付着堆積され、成膜対象物7にターゲット材料の膜が形成される。
成膜処理が終了すると、ロッド9aが下降され、ワークチャンバ6は回転テーブル5上に戻される。次いで、回転テーブル5が回転され、処理を終えた成膜対象物7を保持したホルダ8は、ロードロック用開口部2dに対向する位置にワークチャンバ6ごと回転移動される。そして、ホルダ8を載置したワークチャンバ6は、ロッド10aの上昇に伴い、プッシャ10bにより持ち上げられ、ロードロック用開口部2dの下側縁部に密着する。この後、ロードロックスペース12は、大気開放される。
大気解放後、ホルダ8は、水平アーム21の真空蓋23aの下面に保持される。水平アーム21は、真空蓋23aの下面に処理済みの成膜対象物7を保持したホルダ8を保持し、真空蓋23bの下面に処理前の成膜対象物7を保持したホルダ8を保持する。この状態で、水平アーム21は、水平面内で回転され、これにより、処理済みの成膜対象物7がメインチャンバ2の外部に搬出されると共に、処理前の成膜対象物7がロードロック用開口部2dに臨む位置に移動される。ロードロック用開口部2dに臨む位置に移動された処理前の成膜対象物7に対しては、上述と同様の動作および処理が行われる。以上のことが繰り返され、成膜対象物7は1枚ずつ次々と成膜処理される。
ところで、このような真空処理装置1においては、成膜対象物7の形状や、薄膜を被覆したい領域が変更となる場合等がある。このとき、マスク30は、これらの変更に対応した開口部を持つマスク30へと交換される必要がある。
そこで、本実施の形態の真空処理装置1は、真空槽内を大気解放すること無く、かつ、真空槽内に遮蔽板保管庫を設ける必要が無い、マスク30を着脱するためのマスク着脱手段を備える。
以下、マスク30を着脱するためのマスク着脱手段について図3〜図7を用いて説明する。
本実施の形態におけるマスク着脱手段は、マスク30を支持する支持部材70を備えたマスク搬送部材90(以下、単に「搬送部材90」という。)と、真空処理用開口部2cの側壁に設けられたマスク固定部40に作用し、マスク30を着脱する着脱部材80と、マスク30をメインチャンバ2の外部とメインチャンバ2の内部の真空処理用開口部2cとの間で搬送するための手段とによって構成される。
図3に示すように、支持部材70と、着脱部材80とは、搬送部材90に設けられ、搬送部材90は、マスク30の着脱の際に、成膜対象物7に代えてホルダ8に載置される。
マスク30をメインチャンバ2の外部とメインチャンバ2の内部の真空処理用開口部2cとの間で搬送するための手段は、外部搬送機構20と回転テーブル5、およびアクチュエータ9、10が兼ねる。搬送部材90が載置されたホルダ8が、外部搬送機構20と回転テーブル5、およびアクチュエータ9、10により、メインチャンバの外部とメインチャンバの内部の真空処理用開口部との間を成膜処理の場合と同様に搬送される。
次に搬送部材90の構成について詳細に説明する。
図4に示すように、搬送部材90は、円板状の本体91を持つ。この本体91の外形は、ホルダ8の内壁の平面形状と相似形であり、ホルダ8内に丁度入る大きさである。
ホルダ8の内壁と本体91とには、ホルダ8内にて搬送部材90の回転方向の位置を規制する不図示の位置決め部材が設けられる。なお、ホルダ8内部の底に凹部を設け、この凹部と後述する支持部材70a〜70cが嵌め合うことで位置を決めても良い。
本体91の一方の面には、支持部材70a〜70cと、取外し部材81a〜81cとがそれぞれ3つずつ設けられ、もう一方の面には、支持部材70a〜70cと、取付け部材82a〜82cとがそれぞれ3つずつ設けられる。本実施の形態では、一方の面の支持部材70a〜70cと他方の面の支持部材70a〜70cとは、同一形状であるから同じ符号を付している。また、取外し部材81a〜81cと取付け部材82a〜82cとは、着脱部材80を構成する。
支持部材70a〜70cは、円柱形状の部材であり、本体91の中央を円の中心とした同心円上に等間隔(ここでは、120°間隔)で配置され、一方の面と他方の面とでそれぞれ同じ位置に配置される。
支持部材70a〜70cは、マスク30を支持する機能の他に、搬送部材90の脚としての機能も持つ。ホルダ8内部の底と向かい合う本体91の面に設けられた支持部材70a〜70cをホルダ8の底に当接させて搬送部材90をホルダ8に載置する。
この状態で、上側に位置する支持部材70a〜70c上にマスク30を支持させると、マスク30の下面がホルダ8の上側縁に対してほぼ同じ高さとなる。
一方、取外し部材81a〜81cと取付け部材82a〜82cとは、円柱形状であり、本体91と接続していない方の端部、つまり、自由端部に、傾斜面が形成されている。
取外し部材81a〜81cと取付け部材82a〜82cの高さは、ワークチャンバ6が、プッシャ9bによって最高上昇位置まで持ち上げられた状態において、取外し部材81a〜81c、取付け部材82a〜82cがリフレクタ13と接触しない高さに決定される。そして、傾斜面の傾斜角度は、ワークチャンバ6が回転テーブル5に載置されている状態から、プッシャ9bによって最高上昇位置まで持ち上げられるまでの間に、後述するマスク固定部40a〜40cの解除動作が完了するように、傾斜面の傾斜角と長さが決定される。
取外し部材81a〜81cは、本体91の中央を円の中心とした同心円上であり、マスク固定部40a〜40cの取り付け位置に合わせて等間隔、つまり、120°間隔で配置される。
なお、ホルダ8の内壁と搬送部材90の本体91とには、ホルダ8内にて搬送部材90の回転方向に対する位置を規制する不図示の位置決め部材が設けられる。これによって、搬送部材90は、ホルダ8内で予め設定された向きで保持される。また、外部搬送機構20の真空蓋23a、23bとホルダ8とには、真空蓋23a、23bに対してホルダ8を予め設定した向きで保持させるための不図示の位置決め部材が設けられている。これによって、ホルダ8は、真空蓋23a、23bに予め設定された向きで保持される。
これらによって、ホルダ8内に保持されて、真空処理用開口部2cに対向する位置に搬送された搬送部材90は、その取外し部材81a〜81cがマスク固定部40a〜40cに当接する位置に位置付けられることとなる。
なお、取外し部材81aは、支持部材70aと70bとの中間の位置に配置される。これは、マスク固定部40a〜40cと支持部材70a〜70cとが接触するのを防ぐためである。取外し部材81b、81cも同様である。
また、取外し部材81a〜81cは、自由端部の傾斜面を本体91の外周方向へ向けて配置される。
取付け部材82a〜82cも、取外し部材81a〜81cと同様に、本体91の中央を円の中心とした同心円上に等間隔、つまり、120°間隔で配置されるが、同心円の半径は、取外し部材81a〜81cよりも大きい。さらに、取付け部材82a〜82cの自由端部の傾斜面は、本体91の中央方向へ向けて配置される。そして、取付け部材82aと取外し部材81aとは、本体91の半径方向において同一直線上に配置される。取付け部材82bと取外し部材81b、取付け部材82cと取外し部材81cも同様に本体91の半径方向において同一直線上に配置される。この取付け部材82a〜82cについても、取外し部材81a〜81cと同様に、ホルダ8の内壁と搬送部材90の本体91との間の位置決め部材、および、真空蓋23a、23bとホルダ8との間の位置決め部材によって、マスク固定部40a〜40cに当接する位置に位置付けられることとなる。
ここで、搬送部材90にマスク30を支持させる構成について説明する。
マスク30は、搬送部材90に、支持部材70a〜70cの上端に載せられた状態で支持される。このとき、マスク30を搬送部材90に対して、本体91の面に沿う方向と回転方向に位置決めするために、搬送部材90には、不図示のガイド部材が設けられる。ガイド部材は、マスク30に設けられた、ガイド部材の係合部(不図示)に係合することで、マスク30を位置決めする。マスク30は、この位置決めされた状態で、その外周に等間隔(本実施の形態では120°間隔)で設けられた切欠き部31a〜31cが、取付け部材82a〜82cや取外し部材81a〜81cの真上に位置付けられるようになっている。
ガイド部材は、例えばピン部材であり、マスク30の外形に沿った位置に配置される。
また、ガイド部材として、マスク30に、支持部材70a〜70cが嵌り込む凹部や筒状の凸部を設けてもよい。
なお、上述したように、真空蓋23a、23bに対してホルダ8が位置決めされ、ホルダ8に対して搬送部材90が位置決めされ、搬送部材90に対してマスク30が位置決めされることで、ホルダ8が真空処理用開口部2cに対向する位置に搬送されたときに、マスク30の外周がマスク固定部40a〜40cに対して、図5に示すような、予定された位置関係で配置される。
ホルダ8の内壁と搬送部材90の本体91とには、ホルダ8内にて搬送部材90の回転方向の位置を規制する不図示の位置決め部材が設けられる。これによって、搬送部材90は、ホルダ8内で予め設定された向きで保持される。
次に、マスク30を着脱する動作について説明する。
図3に示すように、取外し部材81a〜81cを上にした状態の搬送部材90を保持したホルダ8が、成膜対象物7と同様に外部搬送機構20によりメインチャンバ2内に搬入され、ワークチャンバ6に載置される。
図示しない排気ポンプによって、ロードロックスペース12内が十分減圧された後、ロッド10aが下降して、ホルダ8を載置したワークチャンバ6は、回転テーブ5により支持される。
モータ4により回転軸3が回転され、回転テーブル5も水平面内で回転する。回転テーブル5に支持されたワークチャンバ6およびこれに支持されたホルダ8は、ロードロック用開口部2dに対向する位置から、図5に示すように、真空処理用開口部2cに対向する位置へ移動する。
図6に示すように、アクチュエータ9のロッド9aが上昇し、プッシャ9bにより、ワークチャンバ6(搬送部材43)が持ち上げられる。
搬送部材90の取外し部材81a〜81cの上昇に伴い、リフレクタ13に取り付けられたマスク固定部40a〜40cは、反時計回り方向に回転移動する。
具体的には、マスク固定部40aとそれに対応する取外し部材81aに着目して説明すると、図7に示すように、マスク固定部40aは、本体41、回転軸42、凸部43(受動部)で構成される。
本体41は、L字の形状をしており、L字の面でマスク30を保持固定する。
本体41の一端に回転軸42が設けられている。この回転軸42は、リフレクタ13と本体41とを回転可能に接続する。
本体41の他端側面には、取外し部材81a(マスク30を取り付ける場合は、取付け部材82a)と当接する円柱状の凸部43が設けられている。
搬送部材90に設けられた取外し部材81aは、プッシャ9bによるワークチャンバ6の上昇に伴って上昇する。この上昇過程で、取外し部材81aの傾斜面がマスク固定部40aの凸部43に当接する。マスク固定部40aの凸部43が、取外し部81aの傾斜面に当接後、マスク固定部40aは、取外し部材81aの上昇に伴い、取外し部材81aの傾斜面に沿って反時計回り方向に回転移動される。つまり、マスク固定部40aは、回転軸42を基準にマスク30の固定を解除する方向に回転される(解除動作)。
固定を解除されたマスク30は、図6に示すように、搬送部材の支持部材70a〜70cによって支持される。
マスク30の取外しが終了すると、ロッド9aが下降され、ワークチャンバ6は回転テーブル5上に戻される。次いで、回転テーブル5が回転され、ホルダ8(マスク30を支持している)は、ロードロック用開口部2dに対向する位置にワークチャンバ6ごと回転移動される。そして、ロッド10aが上昇され、プッシャ10bによりワークチャンバ6は、ホルダ8を載置した状態で持ち上げられてロードロック用開口部2dの下側縁部に密着され、ホルダ8は水平アーム21の真空蓋23a、23bに移される。水平アーム21は、真空蓋23a、23bにホルダ8を保持した状態で回転され、マスク30が搬出される。
一方、マスク30を取外し後に、新たなマスク30を取付ける場合は、搬送部材90を取り外し時とは上下反対にしてホルダ8に載置する。ここで、上下反対とは、搬送部材90の取付け部材82a〜82cが上になる位置のことである。
搬送部材90の支持部材70a〜70cには、新たなマスク30が支持される。このとき、マスク30は、ガイド部材(不図示)によって、位置決めされる。
マスク30の取外し時と同様に、ホルダ8は、外部搬送機構20および回転テーブル5によって搬送され、図8に示すように、真空処理用開口部2cに対向する位置に移動される。
図9に示すように、アクチュエータ9のロッド9aが上昇し、プッシャ9bにより、ワークチャンバ6が持ち上げられる。
このワークチャンバ6、つまり、搬送部材90の上昇過程で、リフレクタ13に取り付けられたマスク固定部40a〜40cは、搬送部材90の取付け部材82a〜82cによって取外し時とは反対方向(時計回り方向)に回転される。そして、マスク固定部40a〜40cは、マスク30を固定する位置に移動される。
マスク固定部40aとそれに対応する取付け部材82aに着目して説明すると、搬搬送部材90の上昇過程で、取付け部82aの傾斜面がマスク固定部40aの凸部43に当接する。凸部43が取付け部82aの傾斜面に当接後、搬送部材90の上昇に伴い、マスク固定部40aが取付け部82aの傾斜面に沿って時計回り方向に回転移動される。これにより、マスク固定部40aは、回転軸42を基準にマスク30を固定する位置に回転される。(固定動作)
マスク固定部40a〜40cが固定動作を開始するとき、マスク30は、搬送部材90の支持部材70a〜70cに支持された状態で、マスク固定部40a〜40cよりも上の位置に配置されている。
マスク固定部40a〜40cの固定動作が終了すると、ロッド9aが下降され、ワークチャンバ6は、回転テーブル5上に戻される。この下降過程で、マスク30は、マスク固定部40a〜40c上に支持される。
この後、回転テーブル5が回転され、ホルダ8(マスク30を支持していない)は、ロードロック用開口部2dを介して外部搬送機構20の真空蓋23a、23bに移され、メインチャンバ2の外部に搬出される。これにより、マスク30のメインチャンバ2の内部への搬入が完了する。
本実施の形態における真空処理装置1では、搬送部材90、着脱部材80、外部搬送機構20と回転テーブル5、およびアクチュエータ9、10が、マスク着脱手段として機能する。
このため、メインチャンバ2内の真空を保持しつつマスク30の着脱を行うために、大型の着脱機構、例えばロボットアームを新たに装置内に設ける必要がなく、交換用のマスク30をメインチャンバ2内に保管する必要もない。つまり、メインチャンバ2の容積を省スペースにしつつ、真空容器内を大気解放することなく、マスク30の交換をすることができる。
また、1度マスク30の脱ガスを行えば、以後、次のマスク交換を行うまで、マスク30の脱ガスを行う必要が無く、生産に必要なマスク30は、少なくとも、使用するマスク30と、交換するマスク30の2個あればよく、省資源である。
また、本実施の形態の搬送部材90を用いると、1つの搬送部材90でマスク30の着脱が可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について図10〜図13を用いて説明する。なお、上記第1の実施の形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第2の実施の形態は、マスク30と搬送部材90の構成が、第1の実施の形態と相違する。また、第1の実施の形態では、マスク固定部40a〜40cに受動部としての凸部43を設けていたが、第2の実施の形態では、マスク30に受動部を設け、マスク固定部40a〜40cを固定配置した点で相違する。
マスク30は、第1の実施の形態と同様に、円板状の形状に形成されているが、本実施の形態においては、その外周部に、3つの凸部32a〜32cが等間隔、つまり、120°間隔で設けられ、3つの凹部33a〜33cが120°間隔で設けられる。なお、凸部32a〜32cと凹部33a〜33cとは、60°ずれて設けられている。ここで、凸部32a〜32cと凹部33a〜33cは、それぞれ受動部として機能する。また、凸部32a〜32cは、円柱状で、その軸線方向がマスク30の半径方向と平行になるように設けられている。
搬送部材90は、本体91の一方の面に、3つの取外し部材81a〜81cを、マスク30の凹部33a〜33cと同一直径の配置となるように有している。
この取外し部材81a〜81cは、径の異なる大小二つの円柱状部材が同軸で接合された形状に形成されている。大径の円柱状部材が本体91に接合され、小径の円柱状部材の先端(自由端)は傾斜面となっている。そして、取外し部81a〜81cは、傾斜面が反時計回り方向を向くように設けられる。また、小径の円柱状部材の直径は、マスク30の凹部33a〜33cに丁度嵌り込むことができる程度の大きさに形成される。大径の円柱状部材の直径は、小径の円柱状部材との間の段差83によってマスク30を支持可能で、搬送部材90の外周よりも外側にはみ出さない程度の大きさとなっている。
搬送部材90は、第1の実施の形態と同様に、本体91の両面にそれぞれ3つの支持部材70a〜70c、71a〜71cを備える。ただし、取外し部材81a〜81cが設けられていない側の面に設けられた支持部材71a〜71cは、本体91に対して着脱可能に設けられる。具体的には、支持部材71a〜71cにおける本体91に取り付けられる側の端部には、雄ねじ部が形成され、本体91における支持部材71a〜71cの取り付け部には雌ねじ部が設けられており、支持部材71a〜71cは、ねじ込み式で着脱自在とされている。
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態よりも支持部材70a〜70c、71a〜71cの長さが長く形成されている。
また、搬送部材90が、位置決め部材によってホルダ8に対して位置決めされるようになっている点、マスク30が、ガイド部材によって搬送部材90に対して位置決めされるようになっている点については、第1の実施の形態と同様である。
また、本実施の形態では、搬送部材90に取付け部材を設けない代わりに、図10(b)に示すように、リフレクタ13の、平面形状が正六角形に形成されている内壁のうち、マスク固定部40a〜40cが設けられている面に、取付け部材82a〜82cをそれぞれ設けている。これらの取付け部材82a〜82cは、四角柱状の形状であり、その下面が傾斜面となっている。また、各取付け部材82a〜82cは、マスク固定部40a〜40cの上側で、傾斜面のほぼ中央がマスク固定部40a〜40cの上面(マスク30の支持部)と対向する位置関係で固定されている。上下方向においては、取付け部材82a〜82cの下端(傾斜面の先端)が、マスク固定部40a〜40cの上端と同じ高さとなるように配置される。
ここで、マスク固定部40a〜40cは、高さより幅が大きく、直交する側面同士の面積が異なる直方体である。このマスク固定部40a〜40cは、側面のうち、面積が大きい側面の一方でリフレクタ13の内壁に固定されている。マスク固定部40a〜40cの上面は、マスク30の凸部32a〜32cの支持部となっており、長手方向の両端部から中央に向かって低くなる傾斜面となっている。
次に、マスク30を着脱する動作について説明する。なお、マスク30の搬送について詳細な説明は省略する。
まず、マスク30を取り付ける動作について説明する。
図10に示すように、支持部材70a〜70c上にマスク30を支持した状態の搬送部材90を保持したホルダ8が、成膜対象物7と同様にして、外部搬送機構20によりメインチャンバ2内に搬入され、ワークチャンバ6内に載置される。
このとき、マスク30は、図示しないガイド部材によって搬送部材90に対して位置決めされている。また、第1の実施の形態と同様に、搬送部材90は、不図示の位置決め部材によってホルダ8に対して位置決めされ、ホルダ8も、不図示の位置決め部材によって、外部搬送機構20の真空蓋23a、23bに対して位置決めされている。このことによって、ワークチャンバ6内に、搬送部材90、つまり、マスク30を予定された向きで載置することができるようになっている。
ワークチャンバ6内に搬送部材90が載置されたら、回転テーブル5が回転し、搬送部材90が載置されたワークチャンバ6は、真空処理用開口部2cに対向する位置に移動される。この状態で、マスク30は、前述の予定された向きにあることにより、凸部32a〜32cが取付け部材82a〜82cの直下に位置されている。
ここで、アクチュエータ9のロッド9aが上昇され、プッシャ9bによってワークチャンバ6が持ち上げられる。この上昇過程で、マスク30の凸部32a〜32cが、取付け部材82a〜82cの傾斜面に当接し、その後は、傾斜面に沿って反時計周り方向に移動しつつ上昇する。ワークチャンバ6の上昇が終了した時、図11に示すように、マスク30の凸部32a〜32cは、マスク固定部40a〜40c上に位置する。この後、ロッド9aが下降され、ワークチャンバ6は、回転テーブル5上に戻される。この途中で、マスク30の凸部32a〜32cがマスク固定部40a〜40cに支持される。このように、マスク30の凸部32a〜32cが受動部となり、マスク30が回転する。
この後、回転テーブル5および外部搬送機構20によって、搬送部材90は、メインチャンバ2の外部へと搬出される。
次に、マスク30を取り外す動作について説明する。
マスク30を取り外す場合、図12(b)に示すように、搬送部材90は、取外し部材81a〜81cが配置された面を上にしてホルダ8に載置される。また、支持部材71a〜71は、取り外しておく。この状態のホルダ8を外部搬送機構20によってメインチャンバ2内に搬入し、ワークチャンバ6内に載置する。
この状態から回転テーブル5が回転されて、ホルダ8を載置したワークチャンバ6は、真空処理用開口部2cに対向する位置へ移動する。
ワークチャンバ6が真空処理用開口部2cに対向する位置に位置付けられた状態で、搬送部材90の取外し部材81a〜81cは、マスク固定部40a〜40cに支持されたマスク30の凹部33a〜33cにおける、反時計回り方向側の縁部に、傾斜面の上端付近が対向するようになっている。これは、搬送部材90とマスク30との間のガイド部材(不図示)、ホルダ8と搬送部材90との間の位置決め部材(不図示)、真空蓋23a、23bとホルダ8との間の位置決め部材(不図示)の作用によるものである。
次に、アクチュエータ9のロッド9aが上昇され、プッシャ9bによってワークチャンバ6は持ち上げられる。
図12および図13に示すように、このワークチャンバ6の上昇過程で、取外し部材81a〜81cの傾斜面が、マスク30の凹部33a〜33cの縁(反時計回り方向側の縁)に当接する。その後、マスク30は、取外し部材81a〜81cの上昇と共に持ち上げられるが、凹部33a〜33cの縁は、傾斜面に支持されているから、傾斜面に沿って、反時計回り方向に回転しながら滑り落ちる。つまり、マスク30は、傾斜面に沿って滑りながら反時計回り方向へ回転する。マスク30の凹部33a〜33cの縁が取外し部材81a〜81cの傾斜面の下端に到達したときには、マスク30の凸部32a〜32cは、図13(a)に示すように、マスク固定部40a〜40cの上から外れた位置に移動している。そのため、マスク30は、取外し部材81a〜81cの小径の円柱状部に沿って下降して、大径の円柱状部との間の段差83によって支持される。
この後、回転テーブル5および外部搬送機構20によって、取り外したマスク30を支持した搬送部材90は、メインチャンバ2の外部へと搬出される。
本実施の形態では、搬送部材90、リフレクタ13の取付け部材82a〜82c、搬送部材90の取外し部材81a〜81c、外部搬送機構20と回転テーブル5、およびアクチュエータ9、10が、マスク着脱手段として機能する。
本実施の形態における真空処理装置1によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について図14〜図18を用いて説明する。なお、上記第1および第2の実施の形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第3の実施の形態は、マスク30に受動部としての凸部34a〜34cを設け、マスク固定部40a〜40cを固定配置した点では第2の実施の形態と共通するが、マスク30の凸部34a〜34cとマスク固定部40a〜40cの形状、および搬送部材90の構成が、第2の実施の形態と相違する。
マスク30は、第2の実施の形態と同様に、円板状に形成されており、その外周部に、3つの凸部34a〜34cが等間隔、つまり、120°間隔で設けられているが、本実施の形態においては、凹部は設けていない。ここで、凸部34a〜34cは、受動部として機能する。
凸部34a〜34cは、四角柱であり、側面視において上下面が傾斜し、幅より高さが大きく形成されている四角形を成している。なお、凸部34a〜34cにおける上面35の傾斜は下面36の傾斜よりも大きく設定されている。
凸部34a〜34cの上面35は、マスク30の円周方向において、時計回り方向に低くなる傾斜面となっている。この傾斜面の傾斜角は45°に設定している。また、凸部34a〜34cの下面36も、マスク30の円周方向において、時計回り方向に低くなる傾斜面となっており、その傾斜角は30°に設定している。
本実施の形態において、凸部34a〜34cの円周方向における幅は、マスク30の円周の長さの1/36倍程度の大きさとなっている。
次に搬送部材90の構成について詳細に説明する。
搬送部材90には、取付け部材および取外し部材としての3つの着脱部材80a〜80cが、120°間隔の同心円状の配置で取付けられる。
着脱部材80a〜80cは、内径部と外径部とを有する、平面視で円弧状の四角柱である。着脱部材80a〜80cの円周方向における幅は、マスク30の凸部34a〜34cの6倍程度に設定されている。
また、内径部と外径部の円弧の半径は、本体91の中心からの距離と等しい。さらに、着脱部材80a〜80cは、その内径部で囲われる円の大きさが、マスク30の外径よりも若干大きくなるように、配置されている。
着脱部材80a〜80cの半径方向の幅は、マスク30とリフレクタ13とを同軸上に配置した状態において、マスク30の外周からリフレクタ13の内壁までの距離の半分よりも若干小さな長さとなっている。
着脱部材80a〜80cの上面には、時計回りの順に、取付け部84、取外し部85、凸部86が形成されている。
取付け部84は、時計回り方向へ向かって低くなる傾斜面を持ち、この傾斜面は、マスク30の凸部34a〜34cの下面36と平行な傾斜面となっている。取付け部84の円周方向の幅は、マスク30の凸部34a〜34cの円周方向の幅の2倍程度の幅となっている。
取外し部85も取付け部84の傾斜面に平行な傾斜面を持つ。取外し部85の上端(傾斜面の先端)は、取付け部84の上端(傾斜面の先端)より高い位置にあり、取付け部84の下端(傾斜面の最も低い位置)と垂直な側面を介して接続される。取外し部85の円周方向の幅は、マスク30の凸部34a〜34cの円周方向の幅の3倍程度の幅となっている。
この取外し部85の側面と取付け部84の傾斜面とで、マスク30の凸部34a〜34cの支持部を形成する。
凸部86は、取外し部85の上端(傾斜面の先端)と同じ程度の高さで、取外し部85の下端(傾斜面の最も低い位置)と垂直な側面を介して接続される。凸部86の円周方向の幅は、マスク30の凸部34a〜34cの円周方向の幅と同じ程度の幅となっている。
凸部86の側面と取外し部85の傾斜面とで、マスク30の凸部34a〜34cの支持部を形成する。
本実施の形態では、着脱部材80a〜80cの取付け部84が、第2の実施の形態における、取付け部材82a〜82cとして機能し、取外し部85が、取外し部材81a〜81cとして機能する。
搬送部材90は、本体91の着脱部材80a〜80cが配置された面とは異なる面に、第2の実施の形態と同様に、支持部材70a〜70cが配置されている。本実施の形態では、着脱部材80a〜80cが取付け部84または取外し部85でマスク30を支持するため、着脱どちらの場合においても、支持部材70a〜70cが搬送部材90の脚として機能する。このため、支持部材71a〜71cは使用しない。
また、搬送部材90が、位置決め部材(不図示)によってホルダ8に対して位置決めされるようになっている点は、第2の実施の形態と同様である。
リフレクタ13は、円形の内壁を備えており、この内壁には、マスク固定部40a〜40cが等間隔、つまり、120°間隔で配置されている。
マスク固定部40a〜40cは、内径部と外形部とを有する、平面視で円弧状の四角柱に形成されている。マスク固定部40a〜40cの周方向の長さは、マスク30の凸部34a〜34cの円周方向の幅の3倍程度の幅である。そして、マスク固定部40a〜40cの半径方向の幅は、着脱部材80a〜80cと同じ幅となっている。
このため、リフレクタ13の内壁に対して搬送部材90を同軸上に配置させた状態では、マスク固定部40a〜40cの内径部よりも、着脱部材80a〜80cの外径部が内側に位置することになり、両者が干渉することなく、着脱部材80a〜80cがリフレクタ内に侵入することが可能となる。
また、リフレクタ13の内壁に対してマスク30を同軸上に配置させた状態では、マスク30の凸部34a〜34cの半径方向の幅は、マスク30の外周からマスク固定部40a〜40cの内周部までの距離より大きく、リフレクタ13の内壁までの距離より小さい幅である。
マスク固定部40a〜40cの上面は、時計回り順に支持部44、凸部45を持つ。
支持部44は、時計回り方向に低くなる傾斜面を持ち、この傾斜面は、マスク30の凸部34a〜34cの下面36と平行な傾斜面となっている。そして、支持部44の円周方向の幅は、マスク30の凸部34a〜34cの円周方向の幅の2倍程度に形成されている。
凸部45も支持部44に平行な傾斜面を持つ。凸部45の上端(傾斜面の先端)は、支持部44の上端(傾斜面の先端)と同じ程度の高さの位置にあり、支持部44の下端(傾斜面の最も低い位置)と垂直な側面を介して接続される。そして、凸部45の円周方向の幅は、マスク30の凸部34a〜34cの円周方向の幅と同じ程度の幅に形成される。
また、マスク固定部40a〜40cにおける支持部44の下側の面は、マスク30の凸部34a〜34cの上面35と平行な傾斜面46を持つ。
ここで、着脱部材80a〜80cの円周方向における幅がマスク30の凸部34a〜34cの幅の6倍程度の幅となることについて説明する。
マスク30を着脱する動作の詳細な説明は後述するが、マスク30を取り付ける場合に、マスク30の凸部34a〜34cが、着脱部材80a〜80cに支持される位置からマスク固定部40a〜40cの側面に沿う位置へ移動し、再度着脱部材80a〜80cに支持される位置へ戻る。その後、マスク固定部40a〜40cの支持部44上の所定の位置へと移動する。
また、マスク30を取り外す場合には、マスク30の凸部34a〜34cは、マスク固定部40a〜40cの支持部44に支持されている位置から凸部45を通り過ぎ、着脱部材80a〜80cの取外し部85と凸部86とで形成される支持部へと移動する。
この着脱動作のために、着脱部材80a〜80cの円周方向における幅は、マスク30の凸部34a〜34cの幅の6倍程度の幅が必要となる。
次に、マスク30を着脱する動作について説明する。なお、マスク30の搬送について詳細な説明は省略する。
まず、マスク30を取り付ける動作について説明する。
図14に示すように、着脱部材80a〜80cの取付け部84の傾斜面上でマスク30の凸部33a〜33cを支持した状態の搬送部材90を保持したホルダ8が、成膜対象物7と同様にして、外部搬送機構20によりメインチャンバ2内に搬入され、ワークチャンバ6内に載置される。ここで、図14(b)は、マスク固定部40aと着脱部材80aとの位置関係を拡大して模式的に示した側面図であり、リフレクタ13は二点鎖線で示しており、マスク固定部40aにおけるリフレクタ13との接合面には斜線を付している。
このとき、マスク30は、着脱部材80a〜80cの取付け部84の傾斜面上、具体的には、取外し部85の側面と取付け部84の傾斜面とで形成される支持部に支持されることによって、搬送部材90に対して位置決めされている。また、第2の実施の形態と同様に、搬送部材90は、位置決め部材(不図示)によってホルダ8に対して位置決めされ、ホルダ8も、位置決め部材(不図示)によって、外部搬送機構20の真空蓋23a、23bに対して位置決めされる。このことによって、ワークチャンバ6内に、搬送部材90、つまり、マスク30を予定された向きで載置することができるようになっている。
ワークチャンバ6内に搬送部材90が載置されたら、回転テーブル5が回転し、搬送部材90が載置されたワークチャンバ6は、真空処理用開口部2cに対向する位置に移動される。この状態で、マスク30は、前述の予定された向きにあることにより、マスク30の凸部34a〜34cが、マスク固定部40a〜40cの下面にある傾斜面46の直下に位置されている。
ここで、アクチュエータ9のロッド9aが上昇され、プッシャ9bによってワークチャンバ6が持ち上げられる。この上昇過程で、マスク30の凸部34a〜34cの上面35が、マスク固定部40a〜40cの傾斜面46に当接する。その後、マスク30の凸部34a〜34cは、着脱部材80a〜80cの取付け部84の傾斜面に支持されているから、マスク30は、傾斜面に沿って反時計回り方向に移動しながら上昇する。マスク30の凸部34a〜34cは、マスク固定部40a〜40cの端に達すると、図15に示すように、マスク固定部40a〜40cの側面に沿って上昇する。
ワークチャンバ6の上昇が終了した時、図16に示すように、着脱部材80a〜80cの取付け部84の傾斜面は、マスク固定部40a〜40cの支持部44よりも上の位置となる。
マスク30の凸部34a〜34cは、マスク30の自重によって着脱部材80a〜80cの取付け部84の傾斜面に沿って時計回り方向に下降し、取外し部85の側面に当接する。これによって、マスク30は、搬送部材90に再び支持される。
この後、ロッド9aが下降され、ワークチャンバ6は、回転テーブル5上に戻される。この途中で、マスク30の凸部34a〜34cが、搬送部材90上からマスク固定部40a〜40cの支持部44上へ移動する。マスク30の凸部34a〜34cは、支持部44の傾斜面に沿って時計回り方向に移動しつつ、マスク固定部40a〜40cの凸部45の側面に当接する。これによって、マスク30は、マスク固定部40a〜40cに位置決めされて支持される。
このように、マスク30の凸部34a〜34cが受動部となり、マスク30が回転する。
この後、回転テーブル5および外部搬送機構20によって、搬送部材90は、メインチャンバ2の外部へと搬出される。
次に、マスク30を取り外す動作について説明する。
マスク30を取り外す場合、搬送部材90は、マスク30を取り付けた場合と同様にホルダ8に載置される。ただし、マスク30は、支持されていない。この状態のホルダ8を外部搬送機構20によって、メインチャンバ2内に搬入し、ワークチャンバ6内に載置する。
この状態から回転テーブル5が回転されて、ホルダ8を載置したワークチャンバ6は、真空処理用開口部2cに対向する位置へ移動する。
ワークチャンバ6が、真空処理用開口部2cに対向する位置に位置付けられた状態で、搬送部材90は、マスク30を取り付けた場合と同じ位置関係でマスク固定部40a〜40cに対して配置される。
次に、アクチュエータ9のロッド9aが上昇され、プッシャ9bによってワークチャンバ6は持ち上げられる。
図17に示すように、このワークチャンバ6の上昇過程で、着脱部材80a〜80cの取外し部85の傾斜面が、マスク30の凸部34a〜34cの下面36に当接する。その後、マスク30は、着脱部材80a〜80cの上昇と共に持ち上げられ、取外し部85の傾斜面に沿って滑りながら時計回り方向へ回転する。
ワークチャンバ6の上昇が終了した時、着脱部材80a〜80cの取外し部85の傾斜面は、マスク固定部40a〜40cより上の位置にある。そして、マスク30の凸部34a〜34cが着脱部材80a〜80cの凸部86の側面と当接し、搬送部材90に支持される。ここで、マスク30の凸部34a〜34cが支持される位置は、マスク固定部40a〜40cの上から外れた位置である。
次いで、アクチュエータ9によってワークチャンバ6が下降される。このとき、マスク30の凸部34a〜34cは、マスク固定部40a〜40cから外れた位置にあるので、図18に示すように、マスク30は、搬送部材90と一緒に下降する。
この後、回転テーブル5および外部搬送機構20によって、取り外したマスク30を支持した搬送部材90は、メインチャンバ2の外部へと搬出される。
本実施の形態では、搬送部材90、着脱部材80a〜80cの取付け部84、取外し部85、マスク30の凸部34a〜34c、リフレクタ13のマスク固定部40a〜40c、外部搬送機構20と回転テーブル5、およびアクチュエータ9、10が、マスク着脱手段として機能する。
本実施の形態における真空処理装置1によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。また、マスク30の取外し部材および取付け部材の機能を単一の着脱部材80a〜80cが兼ね備えているから、マスク30の着脱時に、搬送部材90の同じ面を使用できる。そのため、搬送部材90の表裏間違いによる不具合を低減させることができる。また、着脱部材80a〜80cの取付け部84の傾斜面と取外し部85の側面とで、搬送部材90に対してマスク30を位置決めするようにしたので、着脱部材80a〜80cとマスク30との間のガイド部材を用いる手間を省ける。
なお、本実施の形態では、3つの着脱部材80a〜80cを用いたが、着脱部材は、3つより少なくてもよいし、4つ以上の複数個であってもよい。
また、着脱部材80a〜80cを搬送部材90に設けたものとしたが、これに限られるものではなく、着脱部材80a〜80cを個別にホルダ8に取付けおよび取外し可能に構成するようにしても良い。
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について図19〜図22を用いて説明する。なお、上記第1〜第3の実施の形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第4の実施の形態は、第1の実施の形態と、マスク30の構成とマスク固定部40a〜40cの構成、取外し部材81a〜81cおよび取付け部材82a〜82cに代えて、ワークチャンバ6を真空処理用開口部2cの直下で自転させる回転機構100を真空処理装置1に設ける点で相違する。
マスク30は、本実施の形態においては、正六角形に形成され、その6つの辺のうち、隣り合わない3辺それぞれの中央に、凸部37a〜37cが形成されている。
凸部37a〜37cは、四角柱に形成されており、その高さは、マスク30の高さと同じである。マスク30は、この凸部37a〜37cでマスク固定部40a〜40cに支持される。
また、以下の説明においては、説明の便宜上、凸部37a〜37cの両側面の周辺の空間、具体的には、平面視において、マスク30の凸部37a〜37cを有する辺の頂点と、凸部37a〜37cの側面の一端、凸部37a〜37cの側面の他端とを結んだ空間を、反時計回り順に凹部38a〜38c、凹部39a〜39cとして説明する。
つまり、マスク30の隣り合わない3辺には、反時計回り順に凹部38a〜38c、凸部37a〜37c、凹部39a〜39cが形成されている。
搬送部材90は、第1の実施形態と同様に、本体91の両面に、それぞれ3つの支持部材70a〜70cを備える。
なお、搬送部材90が、位置決め部材によってホルダ8に対して位置決めされるようになっている点、マスク30が、ガイド部材によって搬送部材90に対して位置決めされるようになっている点については、第1の実施の形態と同様である。
また、本実施の形態では、搬送部材90に取外し部材81a〜81cおよび取付け部材82a〜82cを設けない代わりに、真空処理用開口部2c直下で、ワークチャンバ6を回転させる回転機構100を設けている。
回転機構100は、モータ101、回転軸102、プッシャ103で構成されている。
モータ101は、メインチャンバ2の下側に設けられ、その上面に、メインチャンバ2の底壁を貫通して垂直に延在する回転軸3が配置される。回転軸102の自由端には、プッシャ9bと同じ形状のプッシャ103が設けられ、プッシャ103は、ワークチャンバ6を保持できる。モータ101により回転軸102は、時計回り方向に回転される。回転軸102の回転に伴い、プッシャ103も回転する。このことにより、プッシャ103に保持されたワークチャンバ6が、真空処理用開口部2cに対向した位置で自転可能となる。
回転機構100は、プッシャ9bにより保持されている。回転機構100は、プッシャ9bと接続したロッド9aを介してアクチュエータ9によって昇降される。このことにより、ワークチャンバ6は、第1乃至第3の実施の形態と同様に、真空処理用開口部2cに対向した位置で昇降可能となる。
リフレクタ13には、マスク固定部40a〜40cが同心円上に等間隔、つまり、120°間隔で配置されている。
マスク固定部40a〜40cは、本体47とピン48とで構成される。
本体47は、水平方向に長尺な四角柱である。
ピン48は、円柱状の形状であり、その一端が本体47の一端と接続し、他端がリフレクタ13と接続している。なお、本体47は、リフレクタ13の長手方向が真空処理用開口部2cの中心を向くように設けられる。
ここで、マスク30の中心と凸部37a〜37cの自由端の頂点とを結ぶ直線の距離は、マスク30とリフレクタ13とを同軸上に配置した状態で、マスク30の中心からリフレクタ13までの距離よりも若干小さくなるよう設計されている。
次に、マスク30を着脱する動作について説明する。なお、マスク30の搬送についての詳細な説明は省略する。
まず、マスク30を取り付ける動作について説明する。
図19に示すように、支持部材70a〜70c上にマスク30を支持した状態の搬送部材90を保持したホルダ8が、外部搬送機構20によりメインチャンバ2内に搬入され、ワークチャンバ6内に載置される。
このとき、マスク30は、図示しないガイド部材によって搬送部材90に対して位置決めされる。また、第1の実施の形態と同様に、搬送部材90は、不図示の位置決め部材によってホルダ8に対して位置決めされ、ホルダ8も、不図示の位置決め部材によって、外部搬送機構20の真空蓋23a、23bに対して位置決めされる。このことによって、ワークチャンバ6内に、搬送部材90、つまり、マスク30を予定された向きで載置することができるようになっている。
なお、搬送部材90は、支持部材70a〜70cが設けられた両面のどちらを上に向けてホルダ8に保持されてもよい。
ワークチャンバ6内に搬送部材90が載置されたら、回転テーブル5が回転し、搬送部材90が載置されたワークチャンバ6は、真空処理用開口部2cに対向する位置に移動される。この状態で、マスク30は、前述の予定された向きにあることにより、凹部38a〜38cがマスク固定部40a〜40cに対応した位置にある。
ここで、アクチュエータ9のロッド9aが上昇され、プッシャ9bによってワークチャンバ6が持ち上げられる。マスク30は、凹部38a〜38cがマスク固定部40a〜40cに対応した位置にあるから、マスク固定部40a〜40cと接触すること無く通過する。
ワークチャンバ6の上昇が終了した時、図19に示すように、マスク30は、固定部40a〜40cよりも高い位置に位置する。その後、図20に示すように、回転機構100のモータ101により回転軸102が時計回り方向に回転され、ワークチャンバ6は、マスク30の凸部37a〜37cがマスク固定部40a〜40cの直上に位置するまで自転される。
この後、ロッド9aが下降され、ワークチャンバ6は、回転テーブル5上に戻される。この途中で、マスク30の凸部37a〜37cがマスク固定部40a〜40cに支持される。
この後、回転テーブル5および外部搬送機構20によって、搬送部材90は、メインチャンバ2の外部へと搬出される。
次に、マスク30を取り外す動作について説明する。
マスクを取り外す場合、搬送部材90は、マスク30を取り付けた場合と同様にホルダ8に載置される。ただし、マスク30は、支持されていない。この状態のホルダ8を外部搬送機構20によってメインチャンバ2内に搬入し、ワークチャンバ6内に載置する。
この状態から回転テーブル5が回転されて、ホルダ8を載置したワークチャンバ6は、真空処理用開口部2cに対向する位置へ移動する。
ワークチャンバ6が真空処理用開口部2cに対向する位置に位置付けられた状態で、搬送部材90は、マスク30を取り付けた場合と同じ位置関係でマスク固定部40a〜40cに対して配置される。
次に、アクチュエータ9のロッド9aが上昇され、プッシャ9bによってワークチャンバ6は、持ち上げられる。
図21に示すように、このワークチャンバ6の上昇過程で、支持部材70a〜70cがマスク30を支持する。
ワークチャンバ6の上昇が終了した時、マスク30は、固定部40a〜40cの上に位置する。その後、図22に示すように、回転機構100のモータ101により回転軸102が時計回り方向に回転され、ワークチャンバ6は、マスク30の凹部39a〜39cがマスク固定部40a〜40cの直上に移動するまで自転される。この状態でプッシャ9bによりワークチャンバ6が下降されることで、マスク30は、マスク固定部40a〜40cと接触することなく、マスク固定部40a〜40cから取り外される。
この後、回転テーブル5および外部搬送機構20によって、取り外したマスク30を支持した搬送部材90は、メインチャンバ2の外部へと搬出される。
本実施の形態では、回転機構100が着脱手段となっている。
本実施の形態における真空処理装置1によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。また、着脱部材80と当接して着脱動作を行う受動部を設ける必要がない。したがって、着脱部材80と受動部とが当接することで破損する不具合を低減させることができる。
以上説明した、いずれの実施の形態の真空処理装置でも、メインチャンバ2内の真空を保持しつつマスク30の着脱を行うために、大型の着脱機構、例えばロボットアームを新たに装置内に設ける必要がなく、交換用のマスク30をメインチャンバ2内に保管する必要もない。つまり、メインチャンバ2の容積を省スペースにしつつ、真空容器内を大気解放することなく、マスク30の交換をすることができる。
また、1度マスク30の脱ガスを行えば、以後、次のマスク交換を行うまで、マスク30の脱ガスを行う必要が無く、生産に必要なマスク30は、少なくとも、使用するマスク30と、交換するマスク30の2個あればよく、省資源である。
また、本実施の形態の搬送部材90を用いると、1つの搬送部材90でマスク30の着脱が可能となる。
なお、本実施の形態では、真空処理としての枚葉式マグネトロンスパッタ装置の成膜処理について述べた。しかし、真空処理としては、他にも、エッチング、表面加工、表面改質などがあり、成膜処理に限定されない。
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 真空処理装置
2 メインチャンバ
2a 本体
2b 上蓋
3 回転軸
4 モータ
5 回転テーブル
6 ワークチャンバ
6a 上部開口
6b 下部開口
7 成膜対象物
8 ホルダ
9 アクチュエータ
9a ロッド
9b プッシャ
10 アクチュエータ
10a ロッド
10b プッシャ
11 真空処理スペース
12 ロードロックスペース
13 リフレクタ
15 真空処理室
20 外部搬送機構
21 水平アーム
23 真空蓋
30 マスク
31 切欠き部
32 凸部
33 凹部
34 凸部
35 上面
36 下面
37 凸部
38 凹部
39 凹部
40 マスク固定部
41 本体
42 回転軸
43 凸部
44 支持部
45 凸部
46 傾斜面
47 本体
48 ピン
50 スパッタ源
51 ターゲット
52 磁石装置
53 ガス導入口
54 モータ
61 ガス導入管
62 バルブ
63 マスフローコントローラ
64 電源
65 制御装置
66 供給線
70 支持部材
71 支持部材
80 着脱部材
81 取外し部材
82 取付け部材
83 段差
84 取付け部
85 取外し部
86 凸部
90 搬送部材
91 本体
92 搬送部材
100 回転機構
101 モータ
102 回転軸
103 プッシャ
S メインチャンバ内部空間

Claims (6)

  1. 処理対象物に真空処理が行なわれる真空処理室を有し、大気圧よりも減圧された雰囲気に減圧可能な真空容器と、
    前記真空容器に接続され、前記真空容器とは独立して減圧可能なロードロック室と、
    前記処理対象物を前記真空処理室と前記ロードロック室との間で搬送する搬送機構と、
    前記真空処理室に配置され、前記処理対象物に対して真空処理を施す真空処理源と、
    前記真空処理源と前記真空処理室に対して位置付けられた前記処理対象物との間でマスクを支持する支持部を備えたマスク固定部と、
    を備える真空処理装置において、
    前記処理対象物は、前記処理対象物を保持する処理対象物保持部に保持された状態で、前記搬送機構によって搬送され、
    前記搬送機構は、前記マスクを、前記マスクを支持する支持部材を備えたマスク搬送部材を介して前記処理対象物保持部に保持した状態で搬送可能とし、
    前記マスク搬送部材が前記真空処理室に対して位置付けられた状態で、前記マスク固定部との間で前記マスクを着脱するマスク着脱手段
    を有することを特徴とする真空処理装置。
  2. 前記マスク着脱手段は、マスクをマスク固定部に支持させるべく、マスクとマスク固定部とを相対的に移動させる取付け部材と、
    マスクをマスク固定部から取り外すべく、マスクとマスク固定部とを相対的に移動させる取外し部材と、
    を有することを特徴とする請求項1記載の真空処理装置。
  3. 前記マスク着脱手段は、前記マスク搬送部材の一方の面に設けられた取付け部材と、
    前記マスク搬送部材の他方の面に設けられた取外し部材とを備え、前記マスク固定部材は、回動自在に設けられ、前記取付け部材および前記取外し部材に当接可能な受動部を備え、
    前記マスク固定部は、前記取付け部と前記受動部との当接によって前記マスクを支持する位置に位置付けられ、前記取外し部と前記受動部との当接によって前記マスクの支持を解除する位置に位置付けられること、
    を特徴とする請求項1または2記載の真空処理装置。
  4. 前記マスク着脱手段は、前記マスク固定部における前記マスクの支持部と対向する位置に設けられた取付け部材と、前記マスク搬送部材の一方の面に設けられた取外し部材とを備えて構成され、
    前記マスクは、その外周部に受動部を備え、
    前記マスクは、前記取付け部と前記受動部との当接によって前記マスク固定部に支持される向きに回動され、前記取外し部と前記受動部との当接によって前記マスク固定部の支持を解除される向きに回動されること、
    を特徴とする請求項1または2記載の真空処理装置。
  5. 前記マスク着脱手段は、前記マスク搬送部材の周方向に沿う一方向に傾斜した傾斜面を備えた取付け部と、この取付け部の傾斜面と同方向に傾斜した傾斜面を備え前記取付け部の傾斜面の下端側で前記取付け部に隣接して配置された取外し部とを備え、前記マスク搬送部材の一方の面に設けられた着脱部材を備えて成り、
    前記マスク固定部は、前記取付け部の傾斜面と平行な傾斜面を備えた前記マスクの支持部と、この支持部の傾斜面の下端側で前記支持部に隣接して配置された凸部と、前記支持面とは反対側に位置し、前記取付け部の傾斜面よりも大きな傾斜の傾斜面とを有し、
    前記マスクは、前記取付け部によって支持される側の端部に形成された、前記取付け部の傾斜面と平行な傾斜面と、前記端部とは反対側の端部に形成された、前記取付け部の傾斜面よりも大きな傾斜の傾斜面とを備えた凸部を外周部に有すること、
    を特徴とする請求項1または2記載の真空処理装置。
  6. 前記マスク着脱手段は、前記処真空理室に対して位置付けられた状態で、前記処理対象物保持部を回転させる回転機構を備え、
    前記マスク搬送部材を介して前記マスクを回動させることで、前記マスク固定部に対して前記マスクを着脱すること、
    を特徴とする請求項1記載の真空処理装置。
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