JP2017057427A - 三次元造形物の製造方法及び三次元造形物の製造装置 - Google Patents

三次元造形物の製造方法及び三次元造形物の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】三次元造形物を製造する際に使用する材料の特性を活かすことを可能にする。【解決手段】層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、粒子、前記粒子の仮固定剤及び溶媒を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程S130と、エネルギーが加えられることで硬化する硬化樹脂を前記層に選択的に供給することにより、前記粒子、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を含む結合部を形成する結合部形成工程S140と、エネルギーを加えて前記結合部を硬化する硬化工程S150と、前記結合部以外の少なくとも一部を除去する除去工程と、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を分解する分解工程と、前記粒子を焼結する焼結工程と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、三次元造形物の製造方法及び三次元造形物の製造装置に関する。
従来から、金属などの粒子を用いて三次元造形物を製造する製造方法が実施されている。このような三次元造形物の製造方法として、例えば、特許文献1には、粒子層を設けてバインダーを添加する工程と、このように形成された成形体を硬化する工程と、を有する三次元造形物の製造方法が開示されている。
特表2014−522331号公報
上記のような従来の粒子を用いて三次元造形物を製造する製造方法においては、成形体を硬化することにより三次元造形物の製造を完成させるか、硬化した成形体の表面や、内部に補強材を付与や含侵させるなど補強加工が行われることで三次元造形物の製造を完成させていた。しかしながら、例えば、該粒子が金属粒子などである場合であって、三次元造形物を該金属粒子の特性を活かして製造したい場合に、従来の製造方法においては、該金属粒子(使用する材料)の特性を活かすことができていなかった。
そこで、本発明の目的は、三次元造形物を製造する際に使用する材料の特性を活かすことを可能にすることである。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、粒子、前記粒子の仮固定剤及び溶媒を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、エネルギーが加えられることで硬化する硬化樹脂を前記層に選択的に供給することにより、前記粒子、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を含む結合部を形成する結合部形成工程と、エネルギーを加えて前記結合部を硬化する硬化工程と、前記結合部以外の少なくとも一部を除去する除去工程と、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を分解する分解工程と、前記粒子を焼結する焼結工程と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を分解する分解工程と、前記粒子を焼結する焼結工程と、を有する。このため、前記分解工程で前記粒子の純度を高め、前記焼結工程で前記粒子を焼結させ、三次元造形物を製造できる。したがって、三次元造形物を製造する際に使用する材料の特性を活かすことが可能になる。
ここで、「分解」とは、化学的構造を変えることのほか固体及び液体を気化させることを含む意味である。また、「分解工程」は、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂の全てを分解することを意味しておらず、前記結合部の形状(成形体の形状)が維持される程度に前記硬化樹脂を残しつつ前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を分解することを意味する。
なお、「仮固定剤」とは、粒子同士を少なくとも一時的に固定することが可能な物質であり、粒子同士を少なくとも一時的に固定することができればその固定強度は特に問わない。
本発明の第2の態様の三次元造形物の製造方法は、前記第1の態様において、前記粒子は、酸化可能な粒子であり、前記除去工程は、前記結合部以外の少なくとも一部を、前記粒子を酸化させることなく、溶剤によって除去することを特徴とする。
本態様によれば、前記除去工程において、前記結合部以外の少なくとも一部を、前記粒子を酸化させることなく、前記溶媒によって除去する。このため、例えば、前記粒子として金属粒子など酸化可能な粒子を使用した場合であっても、前記溶媒が該粒子を酸化させることが無いため、該粒子を再利用することができる。すなわち、三次元造形物を製造する際に使用する材料の再利用を可能にする。
本発明の第3の態様の三次元造形物の製造方法は、前記第2の態様において、前記溶媒は、前記溶剤を含むことを特徴とする。
本態様によれば、前記溶媒は、前記溶剤を含む。すなわち、除去工程で使用する溶剤を層形成用組成物に含まれる溶媒とすることで、再利用が特に容易になる。
本発明の第4の態様の三次元造形物の製造方法は、前記第3の態様において、前記仮固定剤は前記溶剤に可溶であり、前記硬化樹脂は前記溶剤に不溶であることを特徴とする。
本態様によれば、前記仮固定剤は前記溶剤に可溶であり、前記硬化樹脂は前記溶剤に不溶である。このため、前記除去工程において、前記溶剤によって前記硬化樹脂を残した状態で前記粒子と共に前記仮固定剤を除去することができる。したがって、簡単に高い精度で成形体を粒子層から取り出すことができる。
本発明の第5の態様の三次元造形物の製造方法は、前記第2から第4のいずれか1つの態様において、前記溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールは、洗浄効果が高いうえ前記粒子を酸化させづらい。このため、本態様によれば、前記除去工程において、前記粒子の酸化を抑制しつつ、前記結合部以外の少なくとも一部を、前記溶剤によって除去することが可能になる。
本発明の第6の態様の三次元造形物の製造方法は、前記第1から第5のいずれか1つの態様において、前記粒子は、マグネシウム、鉄、銅、コバルト、チタン、クロム、ニッケル、マルエージング鋼、ステンレス、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金、セラミックスの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
本態様によれば、剛性の高い三次元造形物を製造することができる。
本発明の第7の態様の三次元造形物の製造方法は、前記第1から第5のいずれか1つの態様において、前記仮固定剤は、ポリビニルピロリドンを含むことを特徴とする。
本態様によれば、前記仮固定剤は、酢酸、アルコール、クロロホルム、アミン類など多くの極性溶媒にとけるので、前記溶媒の選択肢を増やすことができる。
本発明の第8の態様の三次元造形物の製造方法は、前記第1から第7のいずれか1つの態様において、前記エネルギーは、電磁波であり、前記結合部形成工程は、前記結合部に前記硬化樹脂と共に光重合開始剤を供給し、前記硬化樹脂は、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
本態様によれば、電磁波を用いて簡単に前記硬化樹脂を硬化することができる。また、硬化樹脂として用いる上記のような直鎖状の単官能モノマーは、一般的に硬くて脆く耐熱性が低いという傾向から、前記分解工程で分解しやすいという利点がある。
本発明の第9の態様の三次元造形物の製造方法は、前記第8の態様において、前記層の厚みが30μm以下であり、前記硬化樹脂は透明であることを特徴とする。
本態様によれば、前記層の厚みが30μm以下であり、前記硬化樹脂は透明であるため、前記層全体に電磁波が到達しやすくなるため、前記硬化工程を簡単に実行できる。
本発明の第10の態様の三次元造形物の製造方法は、前記第1から第9のいずれか1つの態様において、前記粒子の粒径は、30μm以下であることを特徴とする。
本態様によれば、前記粒子の粒径を30μm以下とすることで比表面積を大きくすることができ、粒子同士の固定強度を高めることができる。
本発明の第11の態様の三次元造形物の製造装置は、層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造装置であって、粒子、前記粒子の仮固定剤及び溶媒を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成部と、エネルギーが加えられることで硬化する硬化樹脂を前記層に選択的に供給することにより、前記粒子、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を含む結合部を形成する結合部形成部と、エネルギーを加えて前記結合部を硬化する硬化部と、前記結合部以外の少なくとも一部を、前記溶媒によって除去する除去部と、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を分解する分解部と、前記粒子を焼結する焼結部と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、三次元造形物を製造する際に使用する材料の特性を活かすことを可能にする。
本発明の一実施例に係る三次元造形物の製造装置を表す概略図。 本発明の一実施例に係る三次元造形物の製造過程を表す概略図。 本発明の一実施例に係る三次元造形物の製造方法のフローチャート。
以下に、本発明の液体吐出装置としての一実施例に係る三次元造形物の製造装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る三次元造形物の製造装置100を表す概略側面図である。
図1で表されるように、本実施例の三次元造形装置100は、造形部10と、ペースト供給部20と、平坦化機構30と、ペースト回収部40と、ヘッド部50と、硬化エネルギー付与部60と、制御部70と、を備えている。制御部70には、コンピューター200が接続されている。三次元造形装置100とコンピューター200とをあわせて広義の三次元造形装置として捉えることもできる。図1には、互いに直行するX方向とY方向とZ方向とを示している。Z方向は、鉛直方向に沿った方向であり、X方向は、水平方向に沿った方向である。Y方向は、Z方向およびX方向に垂直な方向である。以下では、図1における+Z方向側を「上」といい、−Z方向側を「下」という。
造形部10は、内部に三次元物体(三次元造形物)が造形される槽状の構造体である。造形部10は、XY方向に沿った平坦な造形ステージ11と、造形ステージ11の周囲を囲みZ方向に立設された枠体12と、造形ステージ11をZ方向に沿って移動させるアクチュエーター13とを備える。造形ステージ11は、制御部70がアクチュエーター13の動作を制御することにより、枠体12内においてZ方向に移動する。
ペースト供給部20は、造形部10内にペースト(金属粒子などの粒子と、該粒子の仮固定剤と、溶媒と、を含む流動体)を供給する装置である。ペースト供給部20は、例えば、ホッパーやディスペンサーにより構成される。
なお、「仮固定剤」とは、粒子同士を少なくとも一時的に固定することが可能な物質であり、粒子同士を少なくとも一時的に固定することができればその固定強度は特に問わない。
平坦化機構30は、造形部10の上面を水平方向(XY方向)に移動することによって、造形部10内または、枠体12上に供給されたペースト(層形成用組成物)を平坦化し、造形ステージ11上に層(ペースト層)を形成するための機構である。平坦化機構30は、例えば、スキージやローラーによって構成される。平坦化機構30によって造形部10から押し出されたペーストは、造形部10に隣接して設けられたペースト回収部40内に排出される。
本実施例における三次元造形装置100は、製造に用いる材料として、硬化性を有する液体(以下、「硬化液」という)と、上述したペーストとを用いる。硬化液は、モノマーと、モノマーが結合したオリゴマーとを主成分とする液体の樹脂材料(硬化樹脂)と、紫外光が照射されると励起状態となってモノマーあるいはオリゴマーに働きかけて重合を開始させる重合開始剤とを含んでいる。また、硬化液をヘッド部50から液滴として吐出可能な粘度となるように、硬化液中のモノマーは比較的低分子量のモノマーが選択されており、更に1つのオリゴマーに含まれるモノマーの数も数分子程度に調整されている。この硬化液は、紫外光を浴びて重合開始剤が励起状態になると、速やかに硬化して固体となる性質を有している。
また、ペーストに重合開始剤を含んでもよい。重合開始剤は、硬化液と接触するとモノマーあるいはオリゴマーに働きかけて重合を開始させる性質を有している。そのため、造形部10内のペーストに硬化液を供給すると、硬化液が重合開始剤に接触して硬化し、その結果、硬化液が吐出された部分では、粒子同士が硬化した硬化液によって結合された状態となる。なお、ペーストに重合開始剤が含まれる場合には、重合開始剤を含まない硬化液を用いることも可能である。また、粒子として、その表面に重合開始剤が付着された粒子を用いることも可能である。
なお、本実施例の三次元造形装置100は、上記のように、エネルギーが加えられることで硬化する硬化樹脂として、紫外光(電磁波)が照射されることに伴って硬化する紫外線硬化樹脂を用いているが、このような硬化樹脂に限定されない。例えば、硬化樹脂として、熱を加えられることにより硬化する熱硬化樹脂を用いていてもよい。
ヘッド部50は、ヘッド部50に接続されたタンク51から上述した硬化液の供給を受け、その硬化液を造形部10中のペースト層に吐出する装置である。本実施例では、ヘッド部50は、硬化液として、無彩色インクと、複数種類の有彩色インクとを吐出可能である。本実施例では、ヘッド部50は、透明(CL)インクを吐出する。また、無彩色インクとしてホワイト(W)インクや有彩色インクとして、シアン(C)インクと、マゼンタ(M)インクと、イエロー(Y)インク等も吐出することができる。なお、ヘッド部50が吐出するインクの色は、これらに限られない。ヘッド部50は、造形部10中に造形される三次元物体に対して、X方向およびY方向に移動可能である。また、ヘッド部50は、造形部10内の造形ステージ11がZ方向に移動することによって、三次元物体に対して相対的にZ方向に移動可能である。
本実施例のヘッド部50は、いわゆるピエゾ駆動方式の液滴吐出ヘッドである。ピエゾ駆動方式の液滴吐出ヘッドは、微細なノズル穴が設けられた圧力室を硬化液で満たしておき、ピエゾ素子を用いて圧力室の側壁を撓ませることによって、圧力室の容積減少分に相当する体積の硬化液を液滴として吐出することが可能である。後述する制御部70は、ピエゾ素子に印加する電圧波形を制御することによって、ヘッド部50から吐出する一滴あたりの硬化液の量を調整することが可能である。ただし、ヘッド部50の構成に特に限定はなく、例えば、ピエゾ素子の代わりにヒーターを用いた所謂サーマル駆動方式の液滴吐出ヘッドを用いることもできる。
硬化エネルギー付与部60は、ヘッド部50から吐出された硬化液を硬化させるためのエネルギーを付与するための装置である。本実施例では、硬化エネルギー付与部60は、ヘッド部50をX方向に挟むように配置された本硬化用発光装置61と仮硬化用発光装置62とによって構成されている。仮硬化用発光装置62は、ヘッド部50から吐出された硬化液が、ペースト層中で横方向に濡れ広がることを抑制するための仮硬化(ピニング)を行うために用いられる。本硬化用発光装置61は、仮硬化後に、硬化液を完全に硬化させる本硬化(キュアリング)を行うために用いられる。本実施例では、本硬化用発光装置61および仮硬化用発光装置62は、硬化液を硬化させるための硬化エネルギーとして、紫外線を照射する。硬化エネルギー付与部60は、硬化液の種類によっては、硬化エネルギーとして他の種類のエネルギーを付与するものであってもよい。以下では、仮硬化のために仮硬化用発光装置62から付与されるエネルギーを「仮硬化エネルギー」といい、本硬化のために本硬化用発光装置61から付与されるエネルギーを「本硬化エネルギー」という。本実施例において、仮硬化とは、硬化液が、ペースト層中で横方向に濡れ広がることを抑制することができる程度の粘度を有するように硬化された状態、あるいは、そのように硬化させることをいう。
仮硬化用発光装置62と本硬化用発光装置61とは、ヘッド部50の移動に伴って移動しながら仮硬化エネルギーあるいは本硬化エネルギーを付与する。より具体的には、例えば、ヘッド部50が、+X方向に移動しながら硬化液を吐出すると、吐出された硬化液の上方を仮硬化用発光装置62が通過しながら仮硬化エネルギーを付与する。ヘッド部50が+X方向の端部へ移動すると、ヘッド部50は−X方向へ戻る。このとき、本硬化用発光装置61は、仮硬化された硬化液の上方を−X方向に移動しながら本硬化エネルギーを付与する。仮硬化エネルギーや本硬化エネルギーを付与するタイミングは、ヘッド部50から本硬化用発光装置61あるいは仮硬化用発光装置62までの距離を調整したり、ヘッド部50の移動速度を調整したりすることによって決定することができる。なお、本硬化用発光装置61と仮硬化用発光装置62とは、それぞれヘッド部50から独立して設けられていてもよい。
制御部70は、CPUとメモリーとを備えている。CPUは、メモリーあるいは記録媒体に記憶されたコンピュータープログラムをメモリーにロードして実行することによって、アクチュエーター13と、ペースト供給部20と、平坦化機構30と、ヘッド部50と、硬化エネルギー付与部60と、を制御して三次元物体を造形する機能を有する。なお、制御部70が有する機能は、電子回路によって実現してもよい。
三次元造形装置100が三次元物体を造形(製造)する手法を簡単に説明する。まず、コンピューター200が、三次元物体の形状を表すポリゴンデータを、Z方向の造形解像度(積層ピッチ)に従ってスライスし、XY方向に沿った複数の断面データを生成する。この断面データは、X方向およびY方向について所定の造形解像度を有しており、各要素に対して階調値が格納された二次元のビットマップデータによって表される。各要素に格納された階調値は、その要素に対応するXY座標に吐出する硬化液の量を表す。つまり、本実施形態では、ビットマップデータによって、三次元造形装置100の制御部70に対して、硬化液を吐出させる座標と、吐出させる硬化液の量とが指定される。
三次元造形装置100の制御部70は、コンピューター200から断面データを取得すると、ペースト供給部20および平坦化機構30を制御して造形部10内にペースト層を形成する。そして、断面データに従ってヘッド部50を駆動して硬化液をペースト層に吐出し、その後、吐出された硬化液に向かって硬化エネルギー付与部60を制御して紫外光を照射し、仮硬化および本硬化を行う。すると、紫外光によって硬化液が硬化してペースト中の粒子同士が結合し、造形部10内には、1層分の断面データに対応する断面体が形成される。こうして1層分の断面体を形成すると、制御部70は、アクチュエーター13を駆動して造形ステージ11を、Z方向の造形解像度に応じた積層ピッチ分、Z方向に沿って降下させる。造形ステージ11を降下させると、制御部70は、造形ステージ11上に既に形成された断面体の上に新たなペースト層を形成する。新たなペースト層を形成すると、制御部70は、コンピューター200から次の断面データを受け取って、新たなペースト層に硬化液を吐出して紫外光を照射することにより、新たな断面体を形成する。このように制御部70は、コンピューター200から各層の断面データを受け取ると、アクチュエーター13やペースト供給部20、平坦化機構30、ヘッド部50、硬化エネルギー付与部60を制御することにより、1層ずつ断面体を形成し、それを積層していくことにより、三次元物体を造形する。
また、本実施例の三次元造形装置100は、上記のようにして造形された三次元物体(成形体)を収容して加熱可能な加熱機構90を備えている。加熱機構90は、不図示の気体導入部及び気体導出部を備えており、アルゴンや窒素など比較的不活性な気体を導入させることができる。そして、上記のようにして造形された三次元物体に対して、例えば、200℃以上250℃以下の環境にすることで、該三次元物体の現像工程としての脱脂工程(ペーストに含まれる仮固定剤や溶媒、硬化液に含まれる硬化樹脂や重合開始剤などの熱分解をする工程)をここで実行することが可能である。また、現像工程が実行された三次元物体に対して、例えば、200℃以上500℃以下の環境にすることで、該三次元物体の脱脂工程(三次元物体の形状を維持可能な程度で硬化樹脂を熱分解する工程)をここで実行することが可能である。さらに、脱脂工程が実行された三次元物体に対して、例えば、粒子として金属粒子を使用した場合に1300℃の環境にすることで、或いは、粒子としてセラミックス粒子を使用した場合に1800℃の環境にすることで、該三次元物体の焼結工程をここで実行することが可能である。なお、本実施例の加熱機構90は、該三次元物体の焼結工程の際、加圧処理やHIP(Hot Isostatic Pressing)処理を実行することもできる。また、共通のコンピューター200には使用されるペースト組成の情報が入力されており、該情報に基づいて、制御部70を介して加熱機構90を制御することで、最適な脱脂工程及び焼結工程とすることができる。
なお、本実施例の三次元造形装置100は、造形部10で造形された三次元物体を該造形部10からユーザーが取り出し、加熱機構90に該三次元物体をユーザーが収容する構成になっている。しかしながら、このような構成に限定されず、造形部10と加熱機構90とが一体になっている構成であってもよい。
また、本実施例の三次元造形装置100は、加熱機構90において上記のように現像工程としての脱脂工程で現像することのほか、造形部10において、ペーストの溶媒と同じ溶媒を洗浄剤として用いて、硬化エネルギー付与部60により硬化エネルギーが付与されて造形された三次元物体を現像することも可能な構成になっている。
次に、本実施例の三次元造形装置100を用いて行う三次元造形物の製造方法の一実施例について説明する。
ここで、図2は、本実施例の三次元造形物の製造方法における三次元造形物の製造過程を表す概略図である。そして、図3は、本実施例に係る三次元造形物の製造方法のフローチャートである。なお、図2では、図2(B)から図2(G)において、三次元造形物(三次元物体M)を、淡灰色(図2(B)及び(F))、濃灰色(図2(C)、(D)及び(E))、黒(図2(G))で表しているが、淡灰色、濃灰色、黒と、色が濃くなるにしたがって強度が高くなる状態を表している。
図3で表されるように、本実施例の三次元造形物の製造方法においては、最初にステップS110で、ポリコンデータを取得する。詳細には、コンピューター200が、記録媒体やネットワーク上に保管された三次元物体データ、コンピューター200において実行されているアプリケーションプログラム等から、三次元物体の形状を表すポリゴンデータを取得する。
次に、ステップS120で、ペースト層(図2(D)のPS1からPS5参照)毎の吐出データを作成する。詳細には、コンピューター200は、ポリゴンデータによって表される各ポリゴンの表面の画像を、Z方向の造形解像度に従ってスライスし、断面毎にビットマップデータ(断面データ)を生成する。
次に、ステップS130で、ペースト層を形成する。ここで、図2(A)は、造形ステージ11上に、1層目のペースト層PS1を形成した状態を表している。
次に、ステップS140で、ステップS120において生成されたペースト層PS1に対応するビットマップデータに基づいて、硬化液がヘッド部50から吐出されることにより結合部が形成される。ここで、「結合部」とは、1層分の三次元造形物(三次元物体M:図2参照)に対応する部分の少なくとも一部に対応し、隣接するペースト層の三次元造形物部分と結合する部分である。図2(B)は、ペースト層PS1において結合部が形成された状態を表しており、ペースト層PS1における三次元造形物となる領域に硬化液がヘッド部50から吐出された状態を表している。ただし、結合部が、ペースト層PS1における三次元造形物となる領域の一部に設けられるよう構成してもよい。
次に、ステップS150で、ペースト層にエネルギーを加えて、1層分のペースト層における結合部を硬化させる。図2(C)は、ペースト層PS1において結合部が硬化した状態を表している。ここで、本実施例の硬化液は紫外線硬化樹脂を含むものであるため、エネルギーとして電磁波である紫外線を照射する。ただし、このような方法に限定されず、例えば、熱硬化樹脂を含む硬化液を用いて、エネルギーとして熱を加える方法としてもよい。
そして、ステップS160により、ステップS120において生成された各ペースト層に対応するビットマップデータに基づく三次元物体Mの造形が終了するまで、ステップS130からステップS160までが繰り返される。図2(D)は、ペースト層PS1からペースト層PS5まで、ステップS130からステップS160までが繰り返され、三次元物体Mの造形が終了した状態を表している。
ステップS130からステップS160までが繰り返され、三次元物体Mの造形が終了すると、ステップS170で、三次元物体Mの取り出し(現像)を行う。三次元物体Mの現像方法に特に限定はないが、例えば、ユーザーがペーストに含まれる溶媒を用いて、造形部10などにおいて、図2(D)における三次元造形物部分以外のペーストを洗い流すことによって除去する方法を採用することができる。或いは、ペーストが付いた状態の三次元物体Mを加熱機構90に収容し、ペーストの仮固定剤を熱分解することで三次元造形物部分以外のペースト層を除去する方法を採用することができる。なお、エアブローなどによって、又は、エアブローを上記方法と共に行うことで三次元造形物部分以外のペースト層を除去させてもよい。図2(E)は、三次元物体Mが現像された状態を表している。
そして、ステップS170の後、ステップS180で、三次元物体Mの脱脂を行う。三次元物体Mの脱脂は、例えば、窒素充填した加熱機構90に、現像された状態の三次元物体Mを収容させ、ペーストの仮固定剤や硬化液の硬化樹脂を熱分解することによって行うことができる。なお、本ステップの三次元物体Mの脱脂の意味は、現像された状態の三次元物体Mを完全に脱脂する(例えば金属粒子などの粒子だけが残る状態とする)ことを意味するのではなく、三次元物体Mの形状が維持される程度に脱脂を行う意味である。図2(F)は、三次元物体Mが脱脂された状態を表している。
そして、ステップS180の後、ステップS190で、三次元物体Mの焼結を行い、本三次元造形物の製造方法を終了する。三次元物体Mの焼結は、例えば、加熱機構90における三次元物体Mの収容部を1300℃に維持しつつ、加熱機構90に窒素が充填された状態から真空状態とし、さらにアルゴン充填状態と変化させながら行うことができる。図2(G)は、三次元物体Mが焼結された状態を表している。なお、脱脂工程(ステップS180)及び焼結工程(ステップS190)は、真空状態や、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)充填状態で行うことが好ましい。
上記のように、本実施例の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法である。そして、ステップS130に対応する、粒子、粒子の仮固定剤及び溶媒を含む層形成用組成物であるペーストを用いて層を形成する層形成工程を有している。また、ステップS140に対応する、エネルギーが加えられることで硬化する硬化樹脂を層に選択的に(ビットマップデータに基づいて)供給することにより、粒子、仮固定剤及び硬化樹脂を含む結合部を形成する結合部形成工程を有している。また、ステップS150に対応する、エネルギー(紫外線)を加えて結合部を硬化する硬化工程を有している。また、ステップS170に対応する、結合部以外の少なくとも一部を除去する除去工程を有している。また、ステップS180に対応する、仮固定剤及び硬化樹脂を分解する分解工程を有している。また、ステップS190に対応する、粒子を焼結する焼結工程を有している。
なお、層形成工程によって構成されたペースト層は、その後、必要に応じて溶媒を蒸発させて乾燥させてもよい。
このように、本実施例の三次元造形物の製造方法は、仮固定剤及び硬化樹脂を分解する分解工程と粒子を焼結する焼結工程とを有しているため、分解工程で粒子の純度を高め、焼結工程で粒子を焼結させ、三次元造形物を製造できる。したがって、材料の特性を活かした三次元造形物を製造することが可能になる。別の表現をすると、三次元造形物を製造する際に使用する材料の特性を活かすことが可能になる。
ここで、「分解」とは、化学的構造を変えることのほか固体及び液体を気化させることを含む意味である。また、「分解工程」は、仮固定剤及び硬化樹脂の全てを分解することを意味しておらず、結合部の形状(成形体の形状)が維持される程度に硬化樹脂を残しつつ仮固定剤及び硬化樹脂を分解することを意味する。
また、別の観点から説明すると、本実施例の三次元造形物の製造装置100は、層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造装置である。そして、粒子、粒子の仮固定剤及び溶媒を含む層形成用組成物を用いて層を形成する層形成部(造形部10内にペースト層を形成するペースト供給部20および平坦化機構30)を有する。また、エネルギーが加えられることで硬化する硬化樹脂を層に選択的に供給することにより、粒子、仮固定剤及び硬化樹脂を含む結合部を形成する結合部形成部(ヘッド部50)を有する。また、エネルギーを加えて結合部を硬化する硬化部(硬化エネルギー付与部60)を有する。結合部以外の少なくとも一部を除去する除去部(加熱機構90)を有する。仮固定剤及び硬化樹脂を分解する分解部(加熱機構90)を有する。粒子を焼結する焼結部(加熱機構90)を有する。そしてこのような構成により、三次元造形物を製造する際に使用する材料の特性を活かすことを可能にしている。
また、本実施例の三次元造形物の製造方法は、粒子として金属粒子などの酸化可能な粒子を使用した場合、除去工程(ステップS170)では、結合部以外の少なくとも一部を、粒子を酸化させることなく、溶剤によって除去することができる。
具体的には、例えば、ペーストに含まれる粒子を金属粒子として溶剤をエタノールとし、除去部としての造形部10内において、金属粒子を酸化させることなくエタノールによって結合部以外の少なくとも一部を除去することができる。このような三次元造形物の製造方法の実施及び三次元造形物の製造装置を使用することで、三次元造形物を製造するための粒子として金属粒子など酸化可能な粒子を使用した場合であっても、溶剤が該粒子を酸化させることが無いため、三次元造形物部分以外の該粒子を再利用することができる。すなわち、三次元造形物を製造する際に使用する材料を再利用できる。
なお、三次元造形物を製造する際に使用する材料を再利用するという課題を達成させる観点からは、分解工程及び焼結工程を実行しなくてもよい(分解部及び焼結部を有さなくてもよい)。さらには、酸化可能な粒子を用いて層を形成する層形成工程と、該層の三次元造形物に対応する領域の少なくとも一部である結合部を硬化する硬化工程と、結合部以外の少なくとも一部の粒子を酸化させることなく溶剤によって除去する除去工程と、を有すれば、ペースト層を形成する方法以外の三次元造形物の製造方法にも適用できる。
また、除去工程で使用する溶剤をペースト(層形成用組成物)に含まれる溶媒とすること、すなわち、ペーストに含まれる溶媒が除去工程で使用する溶剤を含むことで、再利用が特に容易になる。
ここで、酸化可能な粒子とは、例えば、金属粒子のように、水分の影響や温度の影響で酸化されることがある粒子であり、「酸化しやすい粒子」、「酸化物を形成する粒子」、というような表現も可能な粒子である。
また、仮固定剤がペーストに含まれる溶媒と除去工程で使用する溶剤に含有される共通成分に可溶であり硬化樹脂が該成分に不溶であるものを用いて除去工程(ステップS170)を実行することで、溶媒(溶剤)によって硬化樹脂を残した状態で三次元造形物部分以外の粒子と共に仮固定剤を除去することができる。したがって、簡単に高い精度で成形体を粒子層(ペースト層)から取り出す(現像する)ことができる。
また、粒子を、マグネシウム、鉄、銅、コバルト、チタン、クロム、ニッケル、マルエージング鋼、ステンレス、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金、セラミックスの少なくとも1つを含むこととすることで、剛性の高い三次元造形物を製造することができる。
また、仮固定剤を、ポリビニルピロリドンとすることで、酢酸などのほか、アルコール、クロロホルム、アミン類など多くの極性溶媒にとけるので、溶媒の選択肢を増やすことができる。
また、溶剤を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールの少なくとも1つを含むことで、除去工程(ステップS170)において、粒子の酸化を抑制しつつ結合部以外の少なくとも一部を溶剤によって除去することが可能になる。メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールは、洗浄効果が高いうえ粒子を酸化させづらいためである。
また、結合部を硬化するエネルギーを電磁波とし、結合部形成工程(ステップS140)において結合部に硬化樹脂と共に光重合開始剤を供給する。そして、硬化樹脂を、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むこととする。このような三次元造形物の製造方法とすることで、電磁波を用いて簡単に前記硬化樹脂を硬化することができる。また、硬化樹脂として用いる上記のような直鎖状の単官能モノマーは一耐熱性が低いという傾向から、分解工程(ステップS180)で硬化樹脂を分解しやすくすることができる。
また、ペースト層の厚みを30μm以下とし、硬化樹脂を透明なものとすることで、層全体に電磁波が到達しやすくなるため、硬化工程(ステップS150)を簡単に実行できる。なお、層全体に電磁波がより到達しやすくするため、硬化樹脂は、無色透明であることが好ましいが、有色透明であってもよい。
ここで、上記のような三次元造形物の製造方法を用いて製造された三次元造形物は、粒子の材料の特性が活かされたものになる。そして、粒子として金属粒子などの酸化可能な粒子を使用した場合においても、粒子を酸化させることなく溶媒によって除去する方法(粒子を酸化させない溶媒を使用する方法)により該三次元造形物を製造することで、該三次元造形物を製造する際に使用する材料を再利用することが可能になる。
次に、上記の三次元造形物の製造方法を実施するために使用する硬化液及びペーストについてさらに詳細に説明する。
[硬化液]
<硬化樹脂>
本実施例の硬化液は、少なくとも硬化樹脂(硬化成分)を含む。硬化樹脂(硬化成分)としては、例えば、熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、製造中の三次元物体の機械的強度や三次元物体の生産性、硬化液の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。
単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族のアミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物が特に好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
硬化液は、前述した硬化成分の中でも、特に、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ポリエーテル系脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、および、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、より適切な硬化速度で硬化液を硬化させることができるとともに、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造中の三次元物体の強度、耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、これらの硬化成分を含むことにより、硬化液の硬化物の各種溶媒(例えば、エタノール)に対する溶解性、膨潤性を特に低いものとすることができる。その結果、三次元物体の現像をする工程(結合部以外の少なくとも一部を除去する除去工程)において、より確実に、高い選択性で結合部以外のペースト層を除去することができ、三次元物体に欠陥が生じたりすること等による不本意な変形を防止することができる。その結果、より確実に、三次元物体の寸法精度をより高いものとすることができる。
また、硬化液の硬化物の膨潤性(溶媒の吸収性)を低いものとすることができるため、例えば、結合部以外のペースト層を除去する工程後の後処理としての乾燥処理を省略または簡略化することができる。特に、硬化液が(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含むものであると、酸素阻害を受けにくく低エネルギーでの硬化が可能であり、また、他モノマーを含めた共重合を促進し、製造中の造形物の強度を高めるという効果が得られる。
また、硬化液がポリエーテル系脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むものであると、製造中の造形物の高強度化と高靱性化を両立させるという効果が得られる。また、硬化液が2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートを含むものであると、柔軟性を持ち破断伸び率を向上させる効果が得られる。また、硬化液が4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを含むものであると、金属粒子等への密着性を向上することにより、製造中の造形物の強度を高めるという効果が得られる。
硬化液が前述した特定の硬化成分((メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ポリエーテル系脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、および、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上)を含むものである場合、硬化液を構成する全硬化成分に対する当該特定の硬化成分の割合は、80質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましく、100質量%であるのがさらに好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
硬化液中における硬化成分の含有率は、80質量%以上97質量%以下であるのが好ましく、85質量%以上95質量%以下であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。
<重合開始剤>
硬化液は、重合開始剤を含むことが好ましい。これにより、三次元物体の製造時における硬化液の硬化速度を速めることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。
重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤(芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等)や光カチオン重合開始剤等を用いることができ、具体的には、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、硬化液を構成する重合開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを含むものであるのが好ましい。
このような重合開始剤を含むことにより、より適切な硬化速度で硬化液を硬化させることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。
硬化液中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、3.0質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以上15質量%以下であるのがより好ましい。これにより、より適切な硬化速度で硬化液を硬化させることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。
<その他の成分>
硬化液は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;増感剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。
硬化液が界面活性剤を含むものであると、三次元物体の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。
硬化液は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、硬化液の粘度調整を好適に行うことでき、硬化液が高粘度の成分を含むものであっても、硬化液のインクジェット方式による吐出安定性を特に優れたものとすることができる。溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、硬化液の粘度は、10mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による硬化液の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
[ペースト]
<粒子>
ペーストは、複数個の粒子を含んでいる。粒子としては、具体的には、マグネシウム、鉄、銅、コバルト、チタン、クロム、ニッケル、マルエージング鋼、ステンレス、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金、セラミックを用いることができる。金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等が挙げられる。これらは、密実粒子、多孔質粒子であってもよい。
また、上記したように、粒子がマグネシウム、鉄、銅、コバルト、チタン、クロム、ニッケル、マルエージング鋼、ステンレス、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金の少なくとも1つを含むこととすることで、剛性の高い三次元造形物を製造することができる。なお、金属粒子は現像の際などにおいて酸化されやすくなるが、現像の際に使用する洗浄剤を水ではなくエタノールなどの金属粒子を酸化させにくい溶剤を使用することで、酸化を抑制し、三次元造形物の成形体の周りのペースト層に含まれる金属粒子の再利用が可能になる。
ペーストに含まれる粒子の平均粒径は、特に限定されないが、30μm以下とすることで比表面積を大きくすることができ、粒子同士の固定強度を高めることができるため好ましい。さらには、0.5μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上10μm以下であるのがより好ましい。これにより、製造中の三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元物体における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ペーストの流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
ペーストを構成する粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、ペーストの流動性を特に優れたものとし、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元物体における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
ペーストにおける粒子の含有率は、10質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上58質量%以下であるのがより好ましい。これにより、ペーストの流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元物体の機械的強度や寸法精度を特に優れたものとすることができる。
<粒子の仮固定剤>
ペーストは、複数個の粒子とともに、粒子の仮固定剤として、例えば、樹脂を含む。樹脂を含むことにより、粒子同士を結合(仮固定)し、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、製造される三次元物体の寸法精度の向上を図ることができる。本発明において、樹脂とは、少なくともその一部が溶媒に可溶なものであればよいが、例えば、25℃における溶媒に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
仮固定剤としての樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド等の合成ポリマー、コーンスターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、粒子として金属粒子などの参加可能な粒子を使用し、ペーストの溶媒として及び三次元物体の製造における硬化液が付与されなかった領域の洗浄剤として該粒子を酸化させないエタノールなどの溶剤を使用する場合、水溶性樹脂(仮固定剤)としてポリビニルピロリドンを好適に使用することができる。これらは、アルコール、クロロホルム、アミン類など多くの極性溶媒にとけるので、ペーストの溶媒(及び洗浄剤)の選択肢を増やすことができるためである。
また、樹脂がポリビニルピロリドン(PVP)である場合、以下のような効果が得られる。すなわち、ポリビニルピロリドンは、ガラス、金属、プラスチック等の各種材料に対する接着性に優れているため、層のうち硬化液が付与されない部分の強度・形状の安定性を特に優れたものとし、最終的に得られる三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種有機溶媒に対して、高い溶解性を示すため、ペーストが有機溶剤を含む場合において、ペーストの流動性を特に優れたものとすることができ、不本意な厚さのばらつきがより効果的に防止された粉体層を好適に形成することができ、最終的に得られる三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、層形成工程において、ペーストがポリビニルピロリドンを含むものであると、ペーストに泡が巻き込まれてしまうことを効果的に防止することができ、層形成工程において、泡の巻き込みによる欠陥が発生するのを効果的により防止することができる。ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
ペーストにおける樹脂の含有率は、ペーストの体積に対して、15体積%以下であるのが好ましく、2体積%以上5体積%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような樹脂の機能を十分に発揮させつつ、硬化液が侵入する空間をより広く確保することができ、製造中の三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
<溶媒>
ペーストは、前述したような粒子、樹脂などの仮固定剤に加えて、溶媒を含む。これにより、ペーストの流動性を特に優れたものとし、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。溶媒は、樹脂を溶解するものであるのが好ましい。これにより、ペーストの流動性を良好なものとすることができ、ペーストを用いて形成されるペースト層の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、溶媒が除去された状態のペースト層を形成した際に、ペースト層全体にわたって、より高い均一性で、樹脂を粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる三次元物体の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、三次元物体の信頼性をより高いものとすることができる。
ペーストを構成する溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、不飽和アルコール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルアセテート系;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヒドロキシシルアミン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、三次元物体の現像をする工程(結合部以外の少なくとも一部を除去する除去工程)において使用可能な溶剤としては、上記の溶媒と同様、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、不飽和アルコール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルアセテート系;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヒドロキシルアミン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、溶媒と現像時に使用する溶剤は同一のものを使用しても、異なっても良い。
一方、溶剤として水を用いる場合は、粒子として金属粒子などの酸化可能な粒子(水により酸化してしまう金属粒子)を用いた場合にこれらの少なくとも金属粒子表面を酸化させてしまう場合がある。粒子を酸化させてしまうと該粒子を再利用できなくなる場合がある。このため、溶剤として、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールの少なくとも1つを好ましく用いることができる。これらの溶剤を使用すれば、粒子の酸化を抑制できる。
なお、ペースト中における溶媒の含有率は、5質量%以上75質量%以下であるのが好ましく、35質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元物体の製造過程において溶剤を短時間で容易に除去することができるため、三次元物体の生産性向上の観点から有利である。
<その他の成分>
ペーストは、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。なかでもペーストに酸化防止剤として、ヒドロキシルアミンや不飽和アルコールを用いると、ペースト乾燥や、現像時における酸化をより確実に抑制することができる。
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…造形部(除去部)、11…造形ステージ、12…枠体、13…アクチュエーター、
20…粉体供給部(層形成部)、30…平坦化機構(層形成部)、40…粉体回収部、
50…ヘッド部(結合部形成部)、51…タンク、
60…硬化エネルギー付与部(硬化部)、61…本硬化用発光装置、
62…仮硬化用発光装置、70…制御部、
90…加熱機構(除去部、分解部、焼結部)、
100…三次元造形装置(三次元造形物の製造装置)、
200…コンピューター、M…三次元物体(三次元造形物)、
PS1、PS2、PS3、PS4、PS5…ペースト層

Claims (11)

  1. 層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    粒子、前記粒子の仮固定剤及び溶媒を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
    エネルギーが加えられることで硬化する硬化樹脂を前記層に選択的に供給することにより、前記粒子、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を含む結合部を形成する結合部形成工程と、
    エネルギーを加えて前記結合部を硬化する硬化工程と、
    前記結合部以外の少なくとも一部を除去する除去工程と、
    前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を分解する分解工程と、
    前記粒子を焼結する焼結工程と、
    を有することを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  2. 請求項1に記載の三次元造形物の製造方法において、
    前記粒子は、酸化可能な粒子であり、
    前記除去工程は、前記結合部以外の少なくとも一部を、前記粒子を酸化させることなく、溶剤によって除去することを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  3. 請求項2に記載の三次元造形物の製造方法において、
    前記溶媒は、前記溶剤を含むことを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  4. 請求項3に記載の三次元造形物の製造方法において、
    前記仮固定剤は前記溶剤に可溶であり、前記硬化樹脂は前記溶剤に不溶であることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  5. 請求項2から4のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法において、
    前記溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールの少なくとも1つを含むことを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法において、
    前記粒子は、マグネシウム、鉄、銅、コバルト、チタン、クロム、ニッケル、マルエージング鋼、ステンレス、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金、セラミックスの少なくとも1つを含むことを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法において、
    前記仮固定剤は、ポリビニルピロリドンを含むことを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法において、
    前記エネルギーは、電磁波であり、
    前記結合部形成工程は、前記結合部に前記硬化樹脂と共に光重合開始剤を供給し、
    前記硬化樹脂は、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを含むことを特徴とする三次元造形物の製造方法。
    製造方法。
  9. 請求項8に記載の三次元造形物の製造方法において、
    前記層の厚みが30μm以下であり、前記硬化樹脂は透明であることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法において、
    前記粒子の粒径は、30μm以下であることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  11. 層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造装置であって、
    粒子、前記粒子の仮固定剤及び溶媒を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成部と、
    エネルギーが加えられることで硬化する硬化樹脂を前記層に選択的に供給することにより、前記粒子、前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を含む結合部を形成する結合部形成部と、
    エネルギーを加えて前記結合部を硬化する硬化部と、
    前記結合部以外の少なくとも一部を、前記溶媒によって除去する除去部と、
    前記仮固定剤及び前記硬化樹脂を分解する分解部と、
    前記粒子を焼結する焼結部と、
    を有することを特徴とする三次元造形物の製造装置。
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