以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置を表す斜視図である。
図2は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置を表す縦断面図である。
図1及び図2に表したように、手乾燥装置10は、本体部12を備える。本体部12は、使用者の手を挿入可能にした凹状の手挿入部14を有する。図2は、手乾燥装置10(本体部12)の横方向の中央付近の縦断面を表している。また、図2では、風(気体)の流れを矢印で示している。
手乾燥装置10は、例えば、トイレ室の壁面などに取り付けて使用される。手乾燥装置10は、手挿入部14に挿入された手を検出し、手挿入部14内の手に風を吹き付ける。これにより、手乾燥装置10は、例えば、トイレ使用後の手洗いなどで濡れた手を乾燥させる。
手挿入部14は、例えば、上方に開口する。本体部12は、例えば、上方に開口した開口箱状である。従って、使用者は、上方から下方に向かって手挿入部14に手を挿入する。手挿入部14の開口する向きは、上方に限ることなく、例えば、前方や前方側斜め上方などでもよい。手挿入部14の開口する向きは、使用者が手を挿入し易い任意の方向でよい。
また、手挿入部14の開口形状は、横長である。手挿入部14の開口部の横方向の長さは、手挿入部14の開口部の前後方向の長さよりも長い。これにより、手乾燥装置10では、左右の手を横方向に並べた状態で、上方から手挿入部14に挿入することができる。すなわち、使用者は、両手を下方に垂らして手挿入部14に挿入すればよく、自然な姿勢で手の乾燥を行うことができる。
本体部12は、前面部12aと、背面部12bと、一対の側面部12c、12dと、を有する。この例において、本体部12は、略矩形の箱状である。手挿入部14は、例えば、前面部12a、背面部12b、及び各側面部12c、12dによって、前方、後方、及び両側方を囲まれた略矩形の凹部である。
手挿入部14は、前面部12aによって形成される前面側の内側面14aと、背面部12bによって形成される背面側の内側面14bと、各内側面14a、14bの下端に連続する底面14cと、を有する。また、内側面14a、14b及び底面14cのそれぞれの両側端は、各側面部12c、12dによって塞がれる。手挿入部14は、濡れた手から吹き飛ばされた水滴を各面で受ける。
手挿入部14の開口部の横方向の幅は、例えば、30cm(25cm以上50cm以下)である。手挿入部14の開口部の前後方向の幅は、例えば、15cm(8cm以上20cm以下)である。これにより、例えば、どのような体格の使用者であっても、手挿入部14に両手を挿入して手を乾燥させることができる。
本体部12及び手挿入部14の形状は、上記に限ることなく、手を挿入可能な任意の形状でよい。例えば、各側面部12c、12dは、省略してもよい。すなわち、手挿入部14は、上方及び両側方が開放された溝状の形状でもよい。このように、手挿入部14の形状は、手を挿入する開口部以外の一部が開放された形状でもよい。
本体部12は、手挿入部14内に風を吹き出すための複数の吹き出し口15、16を有する。吹き出し口15は、内側面14aに設けられる。吹き出し口16は、内側面14bに設けられる。各吹き出し口15、16は、例えば、略円形の開口である。また、各吹き出し口15、16のそれぞれは、本体部12に複数設けられる。複数の吹き出し口15は、横方向(水平方向)に略一直線状に並べて内側面14aに設けられる。複数の吹き出し口16は、横方向に略一直線状に並べて内側面14bに設けられる。
各吹き出し口15、16は、例えば、内側面14a、14bの上端(開口端)付近に設けられ、斜め下方に向けて風を吹き出す。すなわち、各吹き出し口15、16は、底面14c側に向けて水滴を吹き飛ばす。これにより、吹き飛ばされた水滴が、使用者にかかってしまうことを抑制することができる。
吹き出し口15、16の形状は、任意の形状でよい。吹き出し口15、16の数は、任意の数でよい。例えば、横方向に延びるスリット状の1つの吹き出し口を本体部12に設けてもよい。吹き出し口は、手挿入部14に挿入された手に対して適切に風を吹き付けることができる任意の形状及び数でよい。
本体部12は、例えば、各側面部12c、12dに設けられた一対の通気口18を有する。各通気口18は、各吹き出し口15、16から吹き出された風を手挿入部14の外部に抜けさせる。これにより、例えば、水滴を含んだ風が手挿入部14内で折り返され、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。換言すれば、吹き飛ばされた水滴が、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。また、各通気口18には、複数のルーバー18aが設けられている。各ルーバー18aは、例えば、水滴が各通気口18を介して外部に漏れ出てしまうことを抑制する。
手乾燥装置10は、水受けトレー20と、機能部21と、をさらに備える。機能部21は、本体部12内に設けられる。機能部21は、手の乾燥に関わる各種の機能を本体部12に提供する。機能部21は、例えば、ファンモータユニット22と、送風ダクト23、24と、フィンヒータ26と、フィルタ28と、吸気ダクト30と、吸音材32と、照明部34と、手検出部40と、を有する。
水受けトレー20は、例えば、本体部12の底部に着脱可能に取り付けられる。本体部12は、図示を省略した排水溝を有し、手挿入部14の各面で受けた水滴を排水溝を介して水受けトレー20に送る。これにより、水受けトレー20は、手挿入部14内で吹き飛ばされた水滴を回収する。
ファンモータユニット22は、各吹き出し口15、16のそれぞれに気体を供給し、各吹き出し口15、16から風を吹き出させる気体供給部である。ファンモータユニット22は、回転駆動軸22aを有する。ファンモータユニット22の回転駆動軸22aは、本体部12の前面部12a及び背面部12bに対して垂直な方向に延びるように配置されている。
また、ファンモータユニット22のケーシングの上流端には、吸込口22bが設けられている。ファンモータユニット22の下流端には、吹き出し口22cが設けられている。吹き出し口22cは、上方に開口するように形成されている。各吹き出し口15、16への気体の供給は、ファンモータユニット22に限ることなく、気体の供給が可能な任意のファンやポンプなどを用いればよい。
送風ダクト23は、本体部12の前面側に設けられ、ファンモータユニット22から供給された気体を前面側の各吹き出し口15に送る。送風ダクト24は、本体部12の背面側に設けられ、ファンモータユニット22から供給された気体を背面側の各吹き出し口16に送る。すなわち、送風ダクト23は、吹き出し口22cと各吹き出し口15との間を接続し、送風ダクト24は、吹き出し口22cと各吹き出し口16との間を接続する。これにより、ファンモータユニット22から供給された気体が各吹き出し口15、16に送られ、各吹き出し口15、16から吹き出す。
各送風ダクト23、24は、例えば、手乾燥装置10の使用時において、前面側(掌側)に供給する風量が背面側(甲側)に供給する風量よりも大きくなるように、流路断面積が設定されている。流路断面積とは、送風ダクト23、24において、気体が通過する開口部分の断面積である。例えば、送風ダクト23の最小の流路断面積は、送風ダクト24の最小の流路断面積よりも大きい。これにより、送風ダクト23側に流れる気体の流量が、送風ダクト24側に流れる気体の流量よりも多くなり、前面側の風量が背面側の風量よりも大きくなる。
フィンヒータ26は、ファンモータユニット22の吹き出し口22cに設けられている。フィンヒータ26は、吹き出し口22cから吹き出される気体(空気)を温める。すなわち、フィンヒータ26は、ファンモータユニット22から供給される気体を加熱する加熱部である。手乾燥装置10では、フィンヒータ26によって温められた温風を各吹き出し口15、16から吹き出すことができる。これにより、例えば、使用者の手の乾燥性能を向上させることができる。例えば、非加熱の風を吹き出す場合に比べて、より短時間で使用者の手を乾燥させることができる。フィンヒータ26は、必要に応じて設けられ、省略可能である。手乾燥装置10は、ファンモータユニット22から供給される非加熱の風を各吹き出し口15、16から吹き出してもよい。ファンモータユニット22から供給される気体を温める加熱部は、フィンヒータ26に限ることなく、気体を加熱可能な任意のヒータなどでよい。
本体部12の底部には、前述のように、水受けトレー20が着脱可能に取り付けられる。また、本体部12の底部には、外部から気体を取り込むための吸気口12eが設けられている。吸気口12eは、本体部12の底部において、水受けトレー20の背面側に設けられている。フィルタ28は、吸気口12e内に設けられている。フィルタ28は、本体部12内への塵埃などの侵入を抑制する。
吸気ダクト30は、吸気口12eに接続されている。吸気ダクト30の上流端30aは、吸気口12eのフィルタ28の上に配置されている。吸気ダクト30は、上流端30aと吸気口12eとを連通させ、上流端30aから本体部12の背面部12bに沿って上方にほぼ真っ直ぐ延びている。
吸音材32は、吸気ダクト30内の上部において、ファンモータユニット22の吸込口22bに隣接して設けられている。吸音材32は、ファンモータユニット22の作動中に吸込口22bから漏出した音を吸収する。
手乾燥装置10は、ファンモータユニット22を動作させることにより、本体部12の外部の空気を吸気口12eから取り込み、フィルタ28を介して吸気ダクト30に吸い込む。そして、吸い込んだ空気をファンモータユニット22から各送風ダクト23、24を介して各吹き出し口15、16に供給する。これにより、各吹き出し口15、16から風が吹き出される。
照明部34は、手挿入部14内を照明する。照明部34は、例えば、手挿入部14内に手が挿入された際に、手挿入部14内に向けて光を照射し、手挿入部14内を照明する。また、照明部34は、例えば、所定のパターンで点滅することにより、手乾燥装置10の動作状態を表示する表示部として機能させることもできる。このように、照明部34に表示部としての機能も持たせる。これにより、例えば、手乾燥装置10の部品点数を削減することができるとともに、表示部の追加にともなう手乾燥装置10のデザイン性の低下なども抑制することができる。
この例では、本体部12の背面部12bに2つの照明部34が設けられている(図1参照)。2つの照明部34は、横方向に並べて背面部12bに配置されている。照明部34の数及び配置は、これに限ることなく、手挿入部14内を適切に照明可能な任意の数及び配置でよい。
手検出部40は、手挿入部14に挿入された手を検出する。手検出部40は、例えば、発光部41と、受光部42と、を有する。発光部41は、前面部12aに設けられている。受光部42は、背面部12bに設けられている。例えば、発光部41は、各吹き出し口15の下方に配置され、受光部42は、各吹き出し口16の下方に配置される。発光部41及び受光部42は、手挿入部14を挟んで互いに対向する位置に配置される。発光部41及び受光部42の配置は、これに限ることなく、手を検出可能な任意の配置でよい。例えば、上記とは反対に、前面部12aに受光部42を設け、背面部12bに発光部41を設けてもよい。
発光部41は、例えば、受光部42に向けて赤外光を検出光として照射する。受光部42は、発光部41から照射された赤外光を受光し、赤外光の受光量(輝度)に応じた電圧を出力する。発光部41には、例えば、発光ダイオードやレーザダイオードなどが用いられる。受光部42には、例えば、フォトダイオードが用いられる。発光部41の照射する検出光は、赤外光に限ることなく、可視光などでもよい。
手検出部40は、受光部42の受光レベル(出力電圧)により、使用者の手を検出する。手検出部40においては、例えば、受光部42の受光レベルが閾値以上の時に、手が挿入されていないと検出することができる。そして、手挿入部14に挿入された手によって発光部41から照射された光が遮られ、受光部42の受光レベルが閾値未満になった時に、手が挿入されたと検出することができる。
この例において、手検出部40は、いわゆる透過型の光センサ(フォトインタラプタ)である。手検出部40は、これに限ることなく、手挿入部14に挿入された手を検出可能な任意のセンサでよい。手検出部40は、例えば、反射型の光センサ、測距センサ、焦電センサ、静電容量センサ、超音波センサ、又はマイクロ波センサなどでもよい。
本体部12には、電源線36が接続されている。電源線36は、いわゆる電源コードである。電源線36は、例えば、コネクタなどを介して本体部12に着脱可能に接続される。電源線36は、本体部12に保持されていてもよい。電源線36は、接続部38を有する。接続部38は、電源線36の本体部12と反対側の端部に設けられている。接続部38は、電力供給源2の被接続部4に着脱可能に接続される。これにより、手乾燥装置10は、電源線36を介して電力供給源2に接続される。手乾燥装置10の各部は、電力供給源2から供給される電力によって動作する。
接続部38は、一対の端子38a、38bを有する。各端子38a、38bは、平行平板状である。被接続部4は、接続部38の各端子38a、38bに対応した一対の差し込み口4a、4bを有する。接続部38は、各端子38a、38bを被接続部4の各差し込み口4a、4bに差し込むことによって、被接続部4に接続される。電源線36は、接続部38を被接続部4に接続することにより、被接続部4に機械的に保持されるとともに、電力供給源2と電気的に接続される。
接続部38は、例えばコンセントプラグであり、被接続部4は、例えばコンセントである。被接続部4は、例えば、トイレ室の壁面などに設けられる。電力供給源2は、例えば、商用電源である。電力供給源2から供給される電力は、例えば、交流電力である。
接続部38及び被接続部4の形状は、互いに機械的・電気的な接続が可能な任意の形状でよい。電力供給源2は、商用電源に限ることなく、例えば自家発電機など、手乾燥装置10の動作に必要な電力を供給可能な任意の電源でよい。電力供給源2の供給する電力は、交流電力に限ることなく、直流電力でもよい。
この例では、電源線36をコンセントに接続する例を示している。これに限ることなく、電源線36は、例えば、配電盤などに直接接続してもよい。この場合には、例えば、配電盤の端子を被接続部とし、電源線36の端部(被覆を剥がして導線を露呈させた部分)を接続部とすればよい。
図3は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置を表す平面図である。
図3に表したように、この例において、手検出部40は、第1発光部41a〜第3発光部41cの3つの発光部41を有している。各発光部41a〜41cは、横方向に並ぶ。第1発光部41aは、前面部12aの横方向の中央付近に配置されている。第2発光部41bは、前面部12aの横方向の一端付近に配置されている。第3発光部41cは、前面部12aの横方向の他端付近に配置されている。第2発光部41bは、使用者側から見て前面部12aの左端付近に配置され、第3発光部41cは、前面部12aの右端付近に配置されている。
各発光部41a〜41cは、受光部42と対向する。各発光部41a〜41cは、検出光を受光部42に入射させる。受光部42は、各発光部41a〜41cのそれぞれの検出光を受光する。手検出部40では、3つの各発光部41a〜41cのいずれかの検出光が遮られた際に、手挿入部14に手が挿入されたと検知する。
このように、手検出部40に3つの発光部41a〜41cを設ける。これにより、横長の開口形状を有する手挿入部14への手の挿入を、より適切に検出することができる。この例では、前面部12aの左端付近に配置された第2発光部41b及び前面部12aの右端付近に配置された第3発光部41cが、背面部12bの中央付近に配置された受光部42に向けて斜めに検出光を照射する。これにより、手検出部40では、手挿入部14の略全体に亘って手の検出を行うことができる。手挿入部14のどの位置に手を挿入された場合でも、適切に使用者の手を検出することができる。また、手検出部40では、3つの各発光部41a〜41cに対して1つの受光部42を共通に用いる。これにより、挿入された手の検出性能を高めつつ、部品点数の増加を抑制することができる。
手検出部40は、複数の発光部41によって、複数の検出位置における手の検出を行う。この例では、各発光部41a〜41cの3つの発光部41により、3箇所の検出位置において手の検出を行う。この例において、検出位置とは、発光部41と受光部42との間の経路上の位置である。手検出部40は、換言すれば、手挿入部14内の複数の検出エリアで手の検出を行う。検出エリアは、例えば、線状である。この例では、センサ部として発光部41を示している。センサ部は、これに限ることなく、手の検出が可能な任意のセンサなどでよい。また、センサ部及び検出位置の数は、3つに限ることなく、2つでもよいし、4つ以上でもよい。センサ部及び検出位置の数は、任意でよい。
図4は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置の電気的構成を表すブロック図である。
図4に表したように、手乾燥装置10は、制御部44と、電源回路46と、ゼロクロス検知部48(電源監視部)と、をさらに備える。
電源回路46は、電源線36に接続されている。電源回路46は、電源線36及び接続部38の各端子38a、38bなどを介して電力供給源2に接続される。電源回路46は、電力供給源2から供給される電力を制御部44に対応した電力に変換し、変換後の電力を制御部44に供給する。電源回路46は、例えば、電力供給源2から供給される交流電力を制御部44に対応した電圧値の直流電力に変換し、変換後の直流電力を制御部44に供給する。
電源回路46は、電荷蓄積素子50と、整流部52と、電力変換部54と、を有する。電荷蓄積素子50は、各端子38a、38bの間に接続されている。電荷蓄積素子50は、例えば、ノイズカットフィルタとして機能し、交流電源2から供給された交流電力に含まれるノイズを抑制する。電荷蓄積素子50は、例えば、コンデンサである。電荷蓄積素子50の容量は、例えば、0.1μF以上1μF以下である。
整流部52は、電力供給源2から供給された交流電力を整流する。整流部52は、例えば、電力供給源2の交流電力を脈流電力に変換する。電力変換部54は、整流部52によって整流された電力を制御部44などに対応した直流電力に変換し、変換後の直流電力を制御部44などに供給する。整流部52及び電力変換部54は、例えば、AC100V(実効値)の交流電力を5V〜15V程度の直流電力に変換する。制御部44は、電源回路46からの電力供給によって駆動される。
制御部44には、EEPROM60と、ヒータ入切スイッチ61と、風量切替スイッチ62と、電源スイッチ63と、が接続されている。各スイッチ61〜63は、例えば、使用者が操作可能な操作部を有し、操作部を本体部12の外部に露呈させた状態で、本体部12に設けられる。
EEPROM60は、手乾燥装置10の制御に必要な各種のプログラムやデータなどを記憶する記憶部である。制御部44は、例えば、EEPROM60から各種のプログラムを読み出し、逐次処理を行うことによって、手乾燥装置10の各部を統括的に制御する。
ヒータ入切スイッチ61は、フィンヒータ26の使用の有無を示す信号を制御部44に入力する。制御部44は、フィンヒータ26の使用を示す信号がヒータ入切スイッチ61から入力された場合には、ファンモータユニット22を駆動する際に、フィンヒータ26を駆動し、各吹き出し口15、16から温風を吹き出す。一方、制御部44は、フィンヒータ26の非使用を示す信号がヒータ入切スイッチ61から入力された場合には、ファンモータユニット22を駆動する際にも、フィンヒータ26を駆動せず、各吹き出し口15、16から非加熱の風を吹き出す。
風量切替スイッチ62は、各吹き出し口15、16から吹き出す風の風量の設定を示す信号を制御部44に入力する。制御部44は、例えば、風量切替スイッチ62の設定に応じて、ファンモータユニット22の駆動条件を変化させることにより、各吹き出し口15、16から吹き出す風の風量を段階的又は連続的に変化させる。
電源スイッチ63は、手乾燥装置10への電源のオン・オフを切り替える。例えば、電源スイッチ63をオンに切り替えると、電源回路46が動作を介して制御部44に電力を供給し、制御部44が動作を開始する。すなわち、手乾燥装置10が使用可能な状態になる。なお、電源スイッチ63は、各入力端子38a、38bと電荷集積端子50の間に設けて交流電源2からの電力を直接オン、オフさせてもよい。
ゼロクロス検知部48は、切替スイッチ70を介して各端子38a、38bの間に接続されている。換言すれば、ゼロクロス検知部48は、電源回路46の入力側に並列に接続されている。これにより、切替スイッチ70をオン状態にすることにより、電力供給源2から供給された交流電力がゼロクロス検知部48に入力される。
ゼロクロス検知部48は、電力供給源2から供給される電力の状態を監視し、監視結果を制御部44に入力する。具体的には、ゼロクロス検知部48は、電力供給源2から供給された交流電力のゼロクロスを検知し、ゼロクロスの検知結果を監視結果として制御部44に入力する。
ファンモータユニット22は、切替スイッチ71を介して各端子38a、38bの間に接続されている。これにより、切替スイッチ71をオン状態にすることにより、電力供給源2から供給された交流電力がファンモータユニット22に入力され、ファンモータユニット22が駆動される。すなわち、切替スイッチ71をオン状態にすることにより、各吹き出し口15、16から風が吹き出す。
フィンヒータ26は、切替スイッチ72を介して各端子38a、38bの間に接続されている。これにより、切替スイッチ72をオン状態にすることにより、電力供給源2から供給された交流電力がフィンヒータ26に入力され、フィンヒータ26が駆動される。
照明部34は、切替スイッチ73を介して電力変換部54の出力に接続されている。これにより、切替スイッチ73をオン状態にすることにより、電力変換部54から出力された直流電力が照明部34に供給され、照明部34が点灯する。
手検出部40は、切替スイッチ74を介して電力変換部54の出力に接続されている。これにより、切替スイッチ74をオン状態にすることにより、電力変換部54から出力された直流電力が手検出部40に供給され、手検出部40が駆動される。すなわち、切替スイッチ74をオン状態にすることにより、手検出部40が手挿入部14に挿入された手を検出可能な状態になる。また、手検出部40は、制御部44に接続されており、手挿入部14に挿入された手の検出結果(手検出信号)を制御部44に入力する。
例えば、切替スイッチ74をオン状態にすることにより、各発光部41a〜41cに直流電力が供給され、各発光部41a〜41cから検出光が照射される。切替スイッチ74は、例えば、各発光部41a〜41c毎にオン・オフを切替可能なスイッチを有し、各発光部41a〜41cへの電力の供給を個別に切り替える。また、受光部42のフォトダイオードに逆バイアス電圧が印加される場合には、切替スイッチ74をオン状態にすることにより、受光部42に逆バイアス電圧が印加される。これにより、検出光の受光量に応じた電圧が、手検出信号として受光部42から制御部44に出力される。
各切替スイッチ70〜74は、制御部44に接続されている。各切替スイッチ70〜74のオン・オフは、制御部44によって切り替えられる。制御部44は、切替スイッチ74の各スイッチのオン・オフを切り替えることにより、各発光部41a〜41cの点灯及び消灯を個別に制御する。
制御部44は、手検出部40による手の検出に応じて、切替スイッチ71をオン状態にする。これにより、制御部44は、手検出部40による手の検出に応じてファンモータユニット22を駆動し、各吹き出し口15、16から風を吹き出す。また、制御部44は、切替スイッチ73をオン状態にして照明部34を点灯させることにより、手挿入部14内を照明する。さらに、制御部44は、ヒータ入切スイッチ61でフィンヒータ26がオンに設定されている場合には、切替スイッチ72をオン状態にしてフィンヒータ26を駆動し、各吹き出し口15、16から温風を吹き出す。そして、制御部44は、手検出部40による手の検出の解除に応じて、ファンモータユニット22、フィンヒータ26、照明部34の各部の動作を停止させる。
図5は、第1の実施形態にかかるゼロクロス検知部の一例を表すブロック図である。
図5に表したように、ゼロクロス検知部48は、フォトカプラ80を有する。フォトカプラ80は、逆並列に接続された一対の発光ダイオード81、82と、各発光ダイオード81、82と光学的に結合したフォトトランジスタ84と、を有する。
各発光ダイオード81、82のアノード及びカソードは、切替スイッチ70及び各端子38a、38bなどを介して電力供給源2に接続されている。従って、各発光ダイオード81、82のアノード及びカソードには、電力供給源2から供給される交流電圧が印加される。
フォトトランジスタ84のコレクタは、抵抗86を介して電圧源に接続されている。これにより、フォトトランジスタ84のコレクタには、所定の直流電圧Vccが印加される。電圧源は、例えば、電力変換部54である。フォトトランジスタ84のエミッタは、共通電位に設定される。フォトトランジスタ84のエミッタは、例えば、グランド電位に設定される。そして、このゼロクロス検知部48では、フォトトランジスタ84のコレクタが制御部44に接続され、フォトトランジスタ84のコレクタの電圧が、ゼロクロスの検知結果(ゼロクロス検知信号)として制御部44に入力される。
図6(a)及び図6(b)は、第1の実施形態にかかるゼロクロス検知部の動作の一例を表すグラフ図である。
図6(a)は、電力供給源2から供給される交流電力の電圧(電源電圧)の一例を表す。図6(b)は、ゼロクロス検知部48から制御部44に出力されるゼロクロス検知信号の一例を表す。
図6(a)及び図6(b)に表したように、ゼロクロス検知信号は、電源電圧の絶対値が所定値以上である場合にオフ状態(例えば0V)になり、電源電圧の絶対値が所定値未満である場合にオン状態(例えば+5V)になる。
電源電圧の絶対値が所定値以上である場合には、各発光ダイオード81、82のいずれか一方が点灯し、フォトトランジスタ84がオンとなる。従って、ゼロクロス検知信号は、フォトトランジスタ84のエミッタの電位に応じた共通電位(オフ状態)となる。
一方、電源電圧の絶対値が所定値未満である場合、すなわちゼロクロス付近においては、各発光ダイオード81、82の双方が消灯し、フォトトランジスタ84がオフとなる。従って、フォトトランジスタ84のコレクタには、直流電圧Vccが現れ、ゼロクロス検知信号は、直流電圧Vccに応じたオン状態となる。
このように、ゼロクロス検知部48は、ゼロクロスの非検知状態をオフ状態、ゼロクロスの検知状態をオン状態としたパルス状の信号をゼロクロス検知信号として制御部44に入力する。例えば、50Hzの交流電力が電力供給源2から手乾燥装置10に供給されている場合、ゼロクロス検知部48は、半周期の10ms(ミリ秒)毎にパルス状の信号を制御部44に入力する。
図7は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置の動作の一例を表すフローチャートである。
図8(a)及び図8(b)は、第1の実施形態にかかる手乾燥装置の動作の一例を表すタイミングチャート図である。
図8(a)は、ゼロクロス検知信号の一例を表している。
図8(b)は、機能部21の動作の一例を表している。
図7、図8(a)及び図8(b)に表したように、制御部44は、動作を開始すると、ゼロクロス検知部48から入力されたゼロクロス検知信号を基に、ゼロクロスが検知されているか否かを判定する(図7のステップS101)。制御部44は、ゼロクロス検知信号がオン状態である場合に、ゼロクロスが検知されていると判定し、ゼロクロス検知信号がオフ状態である場合に、ゼロクロスが検知されていないと判定する。
制御部44は、ゼロクロスが検知されていないと判定した場合、ゼロクロスの非検知の時間が第1時間t1以上経過したか否かを判定する(図7のステップS102)。第1時間t1は、例えば、50ms〜100ms程度である。前述のように、ゼロクロス検知信号は、電源周波数に応じてオン・オフを繰り返す。従って、ゼロクロス検知信号が、電源周波数の半周期(例えば10ms)以上オン状態にならなかった場合には、ゼロクロス検知信号が、電力供給源2からの電力供給の停止を表す停止状態になったと判断することができる。ゼロクロス検知信号のオフ状態が第1時間t1以上継続されている場合には、例えば、電力供給源2に異常が生じた状態か、電源線36の接続部38と被接続部4との接続状態が解消された状態であると判断することができる。
制御部44は、ゼロクロスの非検知の時間が第1時間t1未満であると判定した場合、ステップS101の動作に戻り、ゼロクロスの検知の有無を判定する。なお、図8(a)では、便宜的に、電力供給源2から適切に電力が供給されている時のゼロクロス検知信号をオン状態で一定としているが、実際には、図6に表したように、電力供給源2の交流電力の電源周波数に応じてオン・オフを繰り返す。
制御部44は、ゼロクロス検知信号が適切な周期でオン・オフを繰り返している場合、機能部21の各部を通常の動作モードで動作させる。換言すれば、制御部44は、電力供給源2から適切に電力が供給されていると判断した場合、機能部21の各部を通常の動作モードで動作させる。
この場合、制御部44は、前述のように、手検出部40による手の検出に応じて、ファンモータユニット22、フィンヒータ26、照明部34の各部を動作させ、手検出部40による手の検出の解除に応じて、ファンモータユニット22、フィンヒータ26、照明部34の各部の動作を停止させる。これにより、手乾燥装置10では、使用者の手挿入部14への手の挿入に応じて、各吹き出し口15、16から風が吹き出され、使用者の手の乾燥が行われる。
一方、制御部44は、ゼロクロスの非検知の時間が第1時間t1以上であると判定した場合、機能部21の各部の少なくともいずれかを負荷として動作させる(図7のステップS103)。すなわち、制御部44は、ゼロクロス検知信号が停止状態になったと判断した場合に、機能部21の各部の少なくともいずれかを動作させる。この例において、制御部44は、ファンモータユニット22、フィンヒータ26、照明部34、及び手検出部40の少なくともいずれかを動作させる。
この際、動作させる負荷は、ファンモータユニット22、フィンヒータ26、照明部34、及び手検出部40のうちのいずれか1つでもよいし、ファンモータユニット22、フィンヒータ26、照明部34、及び手検出部40のそれぞれを動作させてもよい。動作させる負荷は、予め決めておけばよい。動作させる負荷は、操作部などで設定することにより、変更できるようにしてもよい。なお、動作させる機能部21の負荷は、上記に限ることなく、手乾燥装置10内に設けられる任意の負荷でよい。
手乾燥装置10の電源回路46には、電荷蓄積素子50や電力変換部54が設けられている。このため、手乾燥装置10においては、例えば、接続部38と被接続部4との接続状態を解除した後に、電源回路46の電荷蓄積素子50や電力変換部54などに蓄積された残留電荷が、接続部38の各端子38a、38bに現れる場合がある。この際、使用者が接続部38を掴んでしまうと、感電事故の要因となる可能性がある。
このため、制御部44は、ゼロクロス検知信号が電力供給源2からの電力供給の停止を表す停止状態となった場合に、機能部21の各部の少なくともいずれかを動作させ、電源回路46に蓄積された残留電荷を機能部21に放電する。
制御部44は、接続部38の各端子38a、38bの電圧が所定時間以内に所定電圧以下となるように放電を行う。制御部44は、例えば、接続部38の各端子38a、38bの電圧が1秒以内に45V以下となるように放電を行う。この際、制御部44は、電源回路46の残留電荷などにより、電力供給源2からの電力供給が断たれた後においても、数秒間程度は動作することができる。すなわち、制御部44は、電源の監視を行い、電源に異常が生じたと判断した場合には、自身の動作可能な範囲内において機能部21の動作を制御し、電源回路46に蓄積された残留電荷を安定的に放電させる。
これにより、手乾燥装置10の動作中に不意に接続部38と非接続部4との接続状態が解除された場合などにおいても、感電事故の発生などを抑制することができる。手乾燥装置10の安全性を高めることができる。また、手乾燥装置10では、電源回路46に蓄積された残留電荷を機能部21に放電する。従って、放電用の抵抗などを別途設ける必要が無く、残留電荷を簡単な構成で放電することができる。例えば、手乾燥装置10の製造コストの増加を招くことなく、安全性を高めることができる。例えば、手検出部40を利用して放電する場合は、静かに放電を行うことができる。一方、ファンモータユニット22を利用して放電する場合は、インピーダンスが低いので、瞬時に放電を行うことができる。さらに、フィンヒータ26を利用して放電する場合は、静かにかつ瞬時に放電を行うことができる。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態にかかる手乾燥装置の動作の一例を表すフローチャートである。
図10(a)〜図10(d)は、第2の実施形態にかかる手乾燥装置の動作の一例を表すタイミングチャート図である。
なお、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。
図9、及び図10(a)〜図10(d)に表したように、この例では、制御部44が、ゼロクロスの非検知の時間が第1時間t1以上であると判定した場合に、機能部21の動作を停止させる。なお、図9のステップS201、202は、図7に関して説明したステップS101、102と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
制御部44は、例えば、フィンヒータ26の動作を停止させ(図9のステップS203)、ファンモータユニット22の動作を停止させ(図9のステップS204)。また、制御部44は、例えば、ゼロクロスの非検知の時間が第1時間t1以上である場合に、照明部34や手検出部40の動作を停止させる。従って、図10(d)に表したように、機能部21が動作している状態で、第1時間t1以上と判定された場合には、機能部21の動作が停止する。
制御部44は、機能部21の動作を停止させた後、ゼロクロスの非検知の時間が第2時間t2以上経過したか否かを判定する(図9のステップS205)。第2時間t2は、第1時間t1よりも長い。第2時間t2は、例えば、100ms以上300ms以下程度である。
制御部44は、ゼロクロスの非検知の時間が第2時間t2未満であると判定した場合、ステップS201の動作に戻り、ゼロクロスの検知の有無を判定する。一方、制御部44は、ゼロクロスの非検知の時間が第2時間t2以上であると判定した場合、機能部21の各部の少なくともいずれかを負荷として動作させる(図9のステップS206)。
このように、この例において、制御部44は、ゼロクロスの非検知の時間が第1時間t1以上であると判定した後、ゼロクロスの非検知の時間が第2時間t2以上であるか否かを判定し、第2時間t2以上である場合に、機能部21への残留電荷の放電を行う。すなわち、制御部44は、ゼロクロス検知信号が停止状態になったと判断した後、停止状態が所定時間継続された場合に、機能部21への残留電荷の放電を行う。換言すれば、制御部44は、ゼロクロス検知信号が停止状態になったと判断した時点から、停止状態が所定時間継続された場合に、ゼロクロス検知信号の停止状態を確定させる。
このように、ゼロクロス検知信号の停止状態が所定時間継続された場合に、機能部21への残留電荷の放電を行う。これにより、例えば、電力供給源2の瞬時停電などによる一時的な電圧喪失によって放電が行われてしまうことを抑制することができる。例えば、無駄な放電による手乾燥装置10の消費電力の増加などを抑制することができる。
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態にかかる手乾燥装置の電気的構成を表すブロック図である。 図11に表したように、手乾燥装置100は、入力部64をさらに有する。入力部64は、制御部44に接続されている。入力部64は、例えば、使用者などの操作に応じた種々の指示を制御部44に入力する。入力部64は、例えば、ボタンやレバーなどの操作部材である。入力部64は、例えば、外部の機器から入力された指示(信号)を制御部44に入力するインタフェース回路などでもよい。
入力部64は、例えば、電源回路46の残留電荷を放電する機能部21の負荷を制御部44に指示することができる。制御部44は、ゼロクロス検知信号が停止状態となった場合に、入力部64で指示された負荷に電源回路46の残留電荷を放電する。
図12(a)〜図12(f)は、第3の実施形態にかかる手乾燥装置の動作の一例を表すタイミングチャート図である。
図12(a)〜図12(f)に表したように、手乾燥装置100の制御部44は、ゼロクロス検知信号の停止状態の判断から残留電荷の放電を開始するまでの時間を、残留電荷を放電する機能部21の負荷に応じて変更する。制御部44は、例えば、ゼロクロス検知信号の停止状態の判断から残留電荷の放電を開始するまでの時間を、入力部64からの指示に応じて変更する。以下では、ゼロクロス検知信号の停止状態の判断から残留電荷の放電を開始するまでの時間を「遅延時間」と称す。
制御部44は、例えば、フィンヒータ26が放電の負荷に設定されている場合、遅延時間を第2時間t2に設定する。制御部44は、例えば、ファンモータユニット22が放電の負荷に設定されている場合、遅延時間を第3時間t3に設定する。制御部44は、例えば、手検出部40が放電の負荷に設定されている場合、遅延時間を第4時間t4に設定する。
第3時間t3は、第2時間t2よりも短い。第4時間t4は、第3時間t3よりもさらに短い。遅延時間は、例えば、残留電荷の放電に必要となる時間(以下、「放電時間」と称す)に応じて設定される。例えば、フィンヒータ26を負荷とした時に残留電荷の放電に必要となる時間は、ファンモータユニット22を負荷とした時に残留電荷の放電に必要となる時間よりも短い。従って、第3時間t3は、第2時間t2よりも短くする。例えば、ファンモータユニット22を負荷とした時に残留電荷の放電に必要となる時間は、手検出部40を負荷とした時に残留電荷の放電に必要となる時間よりも短い。従って、第4時間t4は、第3時間t3よりも短くする。
遅延時間は、例えば、遅延時間と放電時間との和が所定時間内に納まるように設定される。例えば、遅延時間と放電時間との和が、0.8秒以上0.95秒以下となるように遅延時間を設定する。
このように、遅延時間は、放電時間の短い負荷ほど長くすることができる。例えば、フィンヒータ26の放電時間は、手検出部40の放電時間に比べて短い場合が多い。従って、フィンヒータ26を負荷として設定した場合には、手検出部40を負荷に設定した場合などに比べて遅延時間を長くすることができる。例えば、瞬時停電などによる無駄な放電をより抑制することができる。また、ファンモータユニット22を負荷に設定した場合には、放電時に風が吹き出して使用者に違和感を与えてしまうことが懸念される。フィンヒータ26を負荷に設定した場合には、例えば、使用者に違和感を与えることなく、遅延時間を長くし、瞬時停電などによる無駄な放電を抑制することができる。
このように、ゼロクロス検知結果が停止状態となった時点から実際に放電が行われるまでの時間を負荷に応じて変更することにより、例えば、無駄な放電を抑制しつつ、特定の時間内に適切に放電を完了させることができる。
(第4の実施形態)
図13は、第4の実施形態にかかる手乾燥装置の動作の一例を表すフローチャートである。
図13に表したように、この例において、制御部44は、ゼロクロスの非検知の時間が第1時間t1以上であると判定した場合に、機能部21の動作状態を記憶する(図13のステップS303)。制御部44は、例えば、EEPROM60などの記憶部に、機能部21の動作状態を記憶させる。なお、図13のステップS301、302は、図7に関して説明したステップS101、102と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
制御部44は、機能部21の動作状態を記憶した後、機能部21の動作を停止させる(図13のステップS304、S305)。制御部44は、機能部21の動作を停止させた後、ゼロクロスの非検知の時間が第2時間t2以上経過したか否かを判定する(図13のステップS306)。
制御部44は、ゼロクロスの非検知の時間が第2時間t2以上であると判定した場合、機能部21の各部の少なくともいずれかを負荷として動作させる(図13のステップS307)。
制御部44は、ゼロクロスの非検知の時間が第2時間t2未満であると判定した場合、ステップS301の動作に戻り、ゼロクロスの検知の有無を判定する。この際、制御部44は、停止状態確定後の処理であるか否かを判定する(図13のステップS308)。なお、停止状態確定は、ステップS302とステップS303の間で確定する。
制御部44は、停止状態確定後の処理であると判定した場合、EEPROM60などに記憶した機能部21の動作状態の情報を基に、停止状態の確定前に、機能部21が動作していたか否かを判定する(図13のステップS309)。
そして、制御部44は、機能部21が動作していたと判定した場合には、記憶していた動作で機能部21を動作させる(図13のステップS310)。
このように、制御部44は、機能部21が動作している状態でゼロクロス検知信号が停止状態となった場合に、機能部21の動作を停止させるとともに、機能部21の動作の状態を記憶し、所定の遅延時間内に停止状態が解消された場合には、記憶した機能部21の動作を再開させる。
このように、機能部21が動作している状態で停止状態が確定された場合に、機能部21の動作を停止させることで、例えば、電源の喪失にともなう不測の動作停止を抑制し、手乾燥装置の安全性を高めることができる。
また、停止状態となった場合に、機能部21の動作の状態を記憶し、遅延時間内に停止状態が解消された場合には、記憶した機能部21の動作を再開させる。これにより、例えば、瞬時停電などにともなって一時的に動作が停止した場合にも、動作が再開されるまでの使用者の待ち時間を短縮し、手乾燥装置の使い勝手の低下を抑制することができる。
(第5の実施形態)
図14は、第5の実施形態にかかる手乾燥装置の電気的構成を表すブロック図である。 図14に表したように、手乾燥装置110では、回数履歴情報65が、EEPROM60に記憶されている。EEPROM60は、ゼロクロス検知信号が停止状態となった回数を回数履歴情報65として記憶する。回数履歴情報65は、例えば、停止状態となった回数の情報と、日時の情報とを関連付けて記憶する。なお、回数履歴情報65を記憶する記憶部は、EEOROM60に限ることなく、例えば、フラッシュメモリなど、情報の書き込みと読み出しとを行うことができる任意の不揮発型のメモリなどでよい。
制御部44は、ゼロクロス検知信号が停止状態となった場合に、EEPROM60に記憶された回数履歴情報65の回数を加算する。そして、制御部44は、例えば、入力部64などから入力された所定の操作に応じて、EEPROM60の回数履歴情報65に記憶された回数を、照明部34を用いて表示する。
照明部34は、例えば、回数履歴情報65の回数に応じた所定のパターンで発光又は点滅することにより、回数履歴情報65の回数を表示する。照明部34は、例えば、発光又は点滅による光通信によって、回数履歴情報65の回数を表示する。
この例では、回数を表示する表示部として照明部34を用いてる。表示部は、これに限ることなく、文字や図柄などで回数を表示する周知のディスプレイなどでもよいし、音声によって回数を表示するスピーカなどでもよい。表示部は、回数を表示可能な任意の部材でよい。但し、照明部34を表示部に用いることにより、例えば、手乾燥装置110の部品点数を削減することができる。また、手乾燥装置110のデザイン性の低下を抑制することもできる。
このように、手乾燥装置110では、ゼロクロス検知信号が停止状態となった場合に、EEPROM60に記憶された回数履歴情報65の回数を加算し、所定の操作に応じて記憶された回数を表示する。これにより、例えば、電力供給源2の異常などを把握することができる。例えば、手乾燥装置110の動作の状況を診断することができる。電力供給源2の異常などに対して、対策を講じやすくすることができる。また、記憶する情報は、停止状態をとなった回数だけでなく、停止状態確定回数または機能部動作回数の何れかまたはすべてでもよい。
(第6の実施形態)
図15は、第6の実施形態にかかる手乾燥装置の動作の一例を表すフローチャートである。
図15に表したように、この例において、制御部44は、放電モードと、非放電モードと、を有する。放電モードは、ゼロクロス検知信号が停止状態となった場合に、電源回路46の残留電荷の放電を行うモードである。非放電モードは、ゼロクロス検知信号が停止状態となった場合にも、電源回路46の残留電荷の放電を行わないモードである。
制御部44は、放電モードと非放電モードとを選択的に切り替える。制御部44は、例えば、入力部64を介して入力されるモード切替信号に応じて放電モードと非放電モードとを選択的に切り替える。また、制御部44は、例えば、放電モードと非放電モードとの設定をEEPROM60などの記憶部に記憶させる。また、制御部44は、例えば、入力部64からの所定の操作に応じて、放電モードと非放電モードとの設定を照明部34などの表示部に表示する。
図15に表したように、制御部44は、例えば、電源投入後の動作開始時などにおいて、EEPROM60に記憶された各モードの設定の情報を参照し、放電モードに設定されているか否かを判定する(図15のステップS401)。
制御部44は、放電モードに設定されていると判定した場合、以降、放電モードの動作を実行する(図15のステップS402)。制御部44は、放電モードにおいては、例えば、上記各実施形態のいずれかの動作を実行する。
一方、制御部44は、非放電モードに設定されていると判定した場合、以降、非放電モードの動作を実行する(図15のステップS403)。制御部44は、非放電モードにおいては、ゼロクロス検知信号が停止状態となった場合にも、電源回路46の残留電荷の放電を行わない。
例えば、電源線36を配電盤などに直接接続する場合など、放電を行う必要が無い場合に、制御部44を非放電モードに設定する。これにより、例えば、瞬時停電などにともなう無駄な放電を抑制することができる。例えば、無駄な放電による消費電力の増加をより抑制することができる。手乾燥装置の使い勝手をより向上させることができる。
また、所定の操作に応じて放電モードと非放電モードとの設定を照明部34などに表示させることにより、例えば、放電モード及び非放電モードの設定を使用者に把握させ、適切なモードを設定させることができる。放電モード及び非放電モードの誤った設定を抑制することができる。
上記各実施形態では、電力供給源2から供給される電力の状態を監視し、監視結果を制御部44に入力する電源監視部として、ゼロクロス検知部48を示している。電源監視部は、ゼロクロス検知部48に限ることなく、例えば、電力供給源2の電圧を監視する電圧検出器や、電力供給源2の電流を監視する電流検出器などでもよい。
例えば、電圧検出器を電源監視部として用いた場合には、検出した電圧値を監視結果として制御部44に入力する。この場合、制御部44は、例えば、電圧値の実効値(絶対値)又は最大値が所定値以下となった場合に、監視結果が電力供給の停止を表す停止状態になったと判断し、電源回路46に蓄積された残留電荷を機能部21に放電する。
例えば、電流検出器を電源監視部として用いた場合には、検出した電流値を監視結果として制御部44に入力する。この場合、制御部44は、例えば、電流値の実効値(絶対値)又は最大値が所定値以下となった場合に、監視結果が電力供給の停止を表す停止状態になったと判断し、電源回路46に蓄積された残留電荷を機能部21に放電する。
このように、電源監視部は、ゼロクロス検知部48に限ることなく、電力供給源2から供給される電力の状態を監視し、監視結果を制御部44に入力することができる任意の部材でよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、手乾燥装置10、100、110などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。