以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる固体撮像装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかる固体撮像装置について説明する。固体撮像装置は、例えば、図1に示す撮像システムに適用される。図1は、撮像システムの概略構成を示す図である。
撮像システム81は、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどであってもよいし、カメラモジュールが電子機器に適用されたもの(例えばカメラ付き携帯端末等)でもよい。撮像システム81は、撮像部82及び後段処理部83を有する。撮像部82は、例えば、カメラモジュールである。撮像部82は、撮像光学系84及び固体撮像装置100を有する。後段処理部83は、ISP(Image Signal Processor)86、記憶部87、及び表示部88を有する。
固体撮像装置100は、図2に示すように、イメージセンサ90、及び信号処理回路91を有する。図2は、固体撮像装置100の回路構成を示す図である。イメージセンサ90は、画素配列PA、ローデコーダ94、タイミング制御部95、CDS+ADC97及びラインメモリ98を有する。
画素配列PAでは、複数の画素P(1,1)〜P(m,n)が例えば行方向及び列方向に配列されている。図2では、画素配列PAにおいてn行×m列の画素Pが配列される場合が例示されている。ローデコーダ94は、タイミング制御部95からの制御信号に応じて、ドライバ93を介して、画素配列PAを例えば行単位で制御する。例えば、ドライバ93は、ローデコーダ94からの制御信号を行単位で画素へ転送する。
図3は、第1実施形態に係るドライバ及び画素Pの構成を示す図である。
各画素Pは、図3に示すように、例えば、転送トランジスタTd、リセットトランジスタTc、及び増幅トランジスタTbを有する。
転送トランジスタTdは、光電変換領域PD及び浮遊拡散領域FDを含む。転送トランジスタTdは、光電変換領域PDをソース又はドレインの一方として含み、浮遊拡散領域FDをソース及びドレインの他方として含む。光電変換領域PDは、光電変換を行い、受けた光に応じた電荷を発生させて蓄積する。光電変換領域PDは、例えば、フォトダイオードである。
転送トランジスタTdのゲートにアクティブレベルの制御信号φREADが入力された場合に、転送トランジスタTdはオンとなり、光電変換領域PDの電荷が浮遊拡散領域FDへ転送される。転送トランジスタTdのゲートにノンアクティブレベルの制御信号φREADが入力された場合に、転送トランジスタTdがオフとなり、光電変換領域PDの電荷が浮遊拡散領域FDへ転送されない。
浮遊拡散領域FDは、例えば、フローティングディフュージョンであり、基板のウェル領域(図示せず)との間に寄生容量Cfdを有する。浮遊拡散領域FDは、その寄生容量Cfdを用いて、転送された電荷を電圧に変換する。
光電変換領域PDは、転送トランジスタTdによる電荷の転送が完了してから電荷の蓄積を開始し、転送トランジスタTdにより電荷が次に浮遊拡散領域FDへ転送されるまで電荷の蓄積を行う。すなわち、光電変換領域PDは、転送トランジスタTdによる転送動作の完了タイミングから転送トランジスタTdによる次の転送動作の開始タイミングまでの電荷蓄積期間において、電荷蓄積動作を行う。
リセットトランジスタTcは、浮遊拡散領域FD及び不純物領域を含む。リセットトランジスタTcは、浮遊拡散領域FDをソース又はドレインの一方として含み、電源ライン(電源線)PLに電気的に接続されたソース又はドレイン(不純物領域)を他方として含む。またリセットトランジスタTcは、制御ラインCLに接続されたゲートを有する。リセットトランジスタTcのゲートにアクティブレベルの制御信号φRSTが入力された場合にオンとなり、浮遊拡散領域FDの電位が所定の電位に設定される。
増幅トランジスタTbは、浮遊拡散領域FDに電気的に接続されたゲートを有し、電源電圧VDDに電気的に接続されたドレインと、信号線SLに電気的に接続されたソースとを含む。
増幅トランジスタTbは、画素Pが選択状態になった際に、信号線SLを介して接続された負荷電流源CSとともにソースフォロワ動作を行うことにより、浮遊拡散領域FDの電圧に応じた信号を信号線SLへ出力する。
第1実施形態に係る画素Pは、画素Pを選択状態/非選択状態にするための選択トランジスタが省略された構成になっている。そのため、浮遊拡散領域FDの電位の設定によって、画素Pの選択状態/非選択状態が制御される。リセットトランジスタTcは、画素Pを選択状態/非選択状態にするために、浮遊拡散領域FDの電位を設定する動作を行う。
図2に戻って、各画素Pで生成された画像信号は、タイミング制御部95及びローデコーダ94によりCDS+ADC97側へ読み出され、CDS+ADC97を経て画像データへ変換され、ラインメモリ98経由で信号処理回路91に出力される。信号処理回路91では、信号処理が行われる。これらの信号処理された画像データは、ISP86に出力される。
図3に示すように、ドライバ93は、例えば、第1レベルシフタ(第1電圧出力回路)931、第2レベルシフタ(第2電圧出力回路)932及び、及び電位生成部933を有する。
第1レベルシフタ931の入力端子は、ローデコーダ94に電気的に接続され、制御信号φRST’を受ける。第1レベルシフタ931の出力端子は、制御ラインCL経由で画素PのリセットトランジスタTcのゲートに電気的に接続されている。第1レベルシフタ931の電源側端子は、電源電圧VDDrstに接続されている。第1レベルシフタ931の接地側端子は、電位生成部933に接続され、中間電圧VMを受ける。中間電圧VMは、グランド電圧GNDと電源電圧VDDrstとの中間の電位である。第1レベルシフタ931は、HレベルとLレベルとの間で遷移する制御信号φRST’をローデコーダ94から受ける。第1レベルシフタ931は、制御信号φRST’のHレベルを電源電圧VDDrstに応じたHレベルとし、制御信号φRST’のLレベルを中間電圧VMに応じたMLレベルとすることで制御信号φRSTのレベルを調整する。すなわち、第1レベルシフタ931は、制御信号φRSTのレベルをHレベル(第1電圧)と、MLレベル(第2電圧)との間で遷移させてリセットトランジスタTcのゲートに供給する。Hレベルは、アナログ回路用の電源電圧AVDDに応じたレベルである。例えば、Hレベルは、アナログ回路用の電源電圧AVDDを用いて電源回路99で画素Pのリセット動作用に調整された電源電圧VDDrstである。電源回路99は、イメージセンサ90内に配され得る。
第2レベルシフタ932の入力端子は、ローデコーダ94に電気的に接続され、リセット電源電圧VDRN’を受ける。第2レベルシフタ932の出力端子は、電源ラインPL経由で画素PのリセットトランジスタTcのドレインに電気的に接続されている。第2レベルシフタ932の電源側端子は、電源電圧VDDrstに接続されている。第2レベルシフタ932の接地側端子は、グランド電圧GNDに接続されている。第2レベルシフタ932は、HレベルとLレベルとの間で遷移するリセット電源電圧VDRN’をローデコーダ94から受ける。第2レベルシフタ932は、リセット電源電圧VDRN’のHレベルを電源電圧VDDrstに応じたHレベルとし、リセット電源電圧VDRN’のLレベルをグランド電圧GNDに応じたLレベルとすることでリセット電源電圧VDRNのレベルを調整する。すなわち、第2レベルシフタ932は、リセット電源電圧VDRNのレベルをHレベルとLレベルとの間で遷移させる。Hレベルは、アナログ回路用の電源電圧AVDDに応じたレベルであり、例えば、アナログ回路用の電源電圧AVDDを用いて電源回路99で画素Pのリセット動作用に調整された電源電圧VDDrstであり、浮遊拡散領域FDに設定された場合に増幅トランジスタTbがオンする電位である。リセット電源電圧VDRNのHレベル(第3電圧)は、制御信号φRSTのHレベル(第1電圧)と均等なレベルであってもよいし異なったレベルであってもよい。Lレベルは、例えば、浮遊拡散領域FDに設定された場合に増幅トランジスタTbがオフするレベルである。
なお、アナログ回路用の電源電圧AVDD及びリセット動作用の電源電圧VDDrstは、同じ電位を有していてもよいし異なった電位を有していてもよい。また、第1レベルシフタ931の電源側端子に供給される電源電圧VDDrstと第2レベルシフタ932の電源側端子の電源側端子に供給される電源電圧VDDrstとは、同じ電位を有していてもよいし異なった電位を有していてもよい。
例えば、電位生成部933は、図4に示すようにバイアス回路934を含む。図4は、ドライバ93における電位生成部933の構成を示す回路図である。バイアス回路934は、アナログ回路用の電源電圧AVDD及びグランド電圧GNDをそれぞれ受ける。バイアス回路934は、電源電圧AVDD及びグランド電圧GNDに基づいて、中間電圧VMを生成して第1レベルシフタ931へ供給する。バイアス回路934は、電源電圧AVDDを抵抗分圧することで中間電圧VMを生成することができる。中間電圧VMは、例えば、グランド電圧GNDと電源電圧VDDrstとの中点の電位(GND+VDDrst)/2よりグランド電圧GNDに近い電位を有する。中間電圧VMは、例えば、0.6V〜1.2Vである。
中間電圧VMは、例えば、タイミング制御部95が画素Pにおける電荷蓄積時間の長さに応じてバイアス回路934を制御することにより変更可能であってもよい。
例えば、バイアス回路934は、図5に示す構成を有する。図5は、第1実施形態に係るバイアス回路934の構成を示す回路図である。バイアス回路934は、電流源CS1、抵抗素子R1〜R4、スイッチSW11〜SW13、及びアンプAMPを有する。抵抗素子R1〜R4は、電源ノードNavdd及びグランドノードNgndの間に直列に接続されている。電源ノードNavddには、電源電圧(アナログ用の電源電圧)AVDDが供給される。グランドノードNgndには、グランド電圧GNDが供給される。電流源CS1は、電源ノードNavdd及び抵抗素子R4の間に電気的に接続されている。抵抗素子R1〜R4の抵抗値は、例えば、互いに均等であってもよい。
スイッチSW11は、一端が抵抗素子R1,R2間のノードN12に接続され、他端がアンプAMPの非反転入力端子に接続されている。スイッチSW12は、一端が抵抗素子R2,R3間のノードN23に接続され、他端がアンプAMPの非反転入力端子に接続されている。スイッチSW13は、一端が抵抗素子R3,R4間のノードN34に接続され、他端がアンプAMPの非反転入力端子に接続されている。
アンプAMPは、出力端子が反転入力端子に接続され、ボルテージフォロワとして動作する。ボルテージフォロワとは、入力電圧に追従して(入力電圧に等しくなるように)出力電圧が変化する回路のことである。ボルテージフォロワは入力インピーダンスに比べて出力インピーダンスが低いため、アンプAMPをボルテージフォロワとして動作させることで、バイアス回路934から低インピーダンスで(すなわち、高速に)中間電圧VMとなるべき電圧を出力できる。アンプAMPは、スイッチSW11〜SW13のオン・オフ状態によって非反転入力端子に伝達された電圧を中間電圧VMとして第1レベルシフタ931へ供給する。
中間電圧VMのレベルは、リセットトランジスタTcがハーフオン状態(図6(c’)に示す状態)にある場合に、浮遊拡散領域FD(リセットトランジスタTcのソース側)と電源ラインPL(リセットトランジスタTcのドレイン側)との間の電位障壁に対応する。画素Pにおける電荷蓄積時間が長い場合は、画素Pにおける電荷蓄積時間が短い場合に比べて、浮遊拡散領域FDに発生する暗電流成分の電荷がより多くなると考えられる。そのため、画素Pにおける電荷蓄積時間が短い場合の電位障壁を第1の電位障壁とし、画素Pにおける電荷蓄積時間が長い場合の電位障壁を電荷に対して第1の電位障壁より低い第2の電位障壁とすることが有効である。例えば、電荷蓄積時間に、電位障壁を第1の電位障壁から第2の電位障壁へ切り替える為の閾値を設けて、タイミング制御部95で判定させる。閾値は、電荷蓄積時間と暗電流成分の発生量との関係を実験的に取得し、暗電流成分が急激に増加する臨界的な電荷蓄積時間より若干短い時間に設定することができる。
例えば、タイミング制御部95は、画素Pにおける電荷蓄積時間の長さが閾値以下であれば、スイッチSW11を選択的にオンさせる制御信号を生成してバイアス回路934へ供給する。これにより、電源ノードNavdd及びグランドノードNgnd間に流れる電流をIcs1とすると、Ics1×R1が中間電圧VMとして第1レベルシフタ931へ供給される。
タイミング制御部95は、画素Pにおける電荷蓄積時間の長さが閾値をこえていれば、スイッチSW12を選択的にオンさせる制御信号を生成してバイアス回路934へ供給する。これにより、電源ノードNavdd及びグランドノードNgnd間に流れる電流をIcs1とすると、Ics1×(R1+R2)が中間電圧VMとして第1レベルシフタ931へ供給される。すなわち、電荷蓄積時間が閾値をこえたことに応じて、中間電圧VMのレベルがIcs1×R1からIcs1×(R1+R2)へ上昇され得る。
次に第1実施形態に係る固体撮像装置の動作について図6を用いて説明する。図6(a)〜図6(h)は、転送トランジスタTd及びリセットトランジスタTcを含む断面の構成を模式的に示した図である。図6(a’)〜図6(h’)は、図6(a)〜図6(h)の断面におけるポテンシャル構造を示す図である。図6(a’)〜図6(h’)は、横軸が位置を示し、縦軸が電位のレベルを示す。図6(a’)〜図6(h’)では、下側に電位が高くなるように示されている。電荷が電子である場合、電位が高くなる方向が電荷に対して安定な方向となる。
電源ラインPLの電位であるリセット電源電圧VDRNの電位がHレベルに設定された状態で、リセットトランジスタTcは、浮遊拡散領域FDの電位をHレベル(増幅トランジスタTbがオンするような電位)に設定することにより画素Pを選択状態にすることができる。リセット電源電圧VDRNの電位がLレベルに設定された状態で、リセットトランジスタTcは、浮遊拡散領域FDの電位をLレベル(増幅トランジスタTbがオフするような電位)に設定することにより画素Pを非選択状態にすることができる。
例えば、図6(a)及び図6(a’)に示すように、リセット電源電圧VDRNの電位がHレベル(VDDrst)に設定された状態で転送トランジスタTd及びリセットトランジスタTcがともにオンされると、光電変換領域PDの残留電荷がリセット電源電圧VDRNへ排出される。図6(a’)では、光電変換領域PDの残留電荷がリセット電源電圧VDRNへ排出される様子を実線の矢印で示している。そして、転送トランジスタTdがオフされると、光電変換領域PDで電荷蓄積動作が開始される。光電変換領域PDは、信号電荷を蓄積し始める。
図6(b)及び図6(b’)に示すように、リセット電源電圧VDRNの電位がLレベルに設定された状態で転送トランジスタTdをオフに維持しながらリセットトランジスタTcがオンされると、浮遊拡散領域FDがLレベル(増幅トランジスタTbがオフするような電位)にリセットされる。すなわち、画素Pが非選択状態に設定される。
例えば、図6(h)及び図6(h’)に示すように、リセット動作の完了に応じてリセットトランジスタTcがオフされると、浮遊拡散領域FDに暗電流成分の電荷が発生することがある。このとき、光電変換領域PDによる電荷蓄積動作が継続されているが、浮遊拡散領域FDにおける暗電流成分の電荷は、リセットトランジスタTcのチャネル領域における電位障壁に阻まれているので、矢印で示すように光電変換領域PDへ侵入し得る。これにより、光電変換領域PDで蓄積している信号電荷に暗電流成分の電荷が混入し得るので、画素Pから出力される信号に暗電流ノイズが含まれ得るため、固体撮像装置100の画像信号に応じた画像の画質が劣化する可能性がある。
そこで、本実施形態では、各画素Pにおいて、リセットトランジスタTcをオフさせる代わりに、リセットトランジスタTcのゲートに中間電圧VMに応じたMLレベルを出力することでリセットトランジスタTcをハーフオンさせる。リセットトランジスタTcをハーフオンさせることで、電荷(電子)に対してリセットトランジスタTcのチャネル領域における電位障壁を低くし(電位的に高くし)暗電流成分の電荷がリセット電源電圧VDRN側へ排出され得るようにする。
具体的には、図6(c)及び図6(c’)に示すように、リセット動作の完了に応じてリセットトランジスタTcのゲートに中間電圧VMに応じたMLレベル(図7に示すタイミングt7〜t9における制御信号φRSTのMLレベル)を出力することでリセットトランジスタTcをハーフオンさせ、電荷(電子)に対してリセットトランジスタTcのチャネル領域における電位障壁を図6(h’)に比べて低くする。固体撮像装置100は、各画素PのリセットトランジスタTcをオン状態とハーフオン状態との間で制御できるように構成されている。
画素Pにおいて、リセットトランジスタTcは、MLレベルの制御信号φRSTがゲートに供給された際にハーフオンする。例えば、リセット電源電圧VDRNがHレベルに設定されている場合、リセットトランジスタTcがハーフオンしても、リセットトランジスタTcのチャネル領域の電位障壁は下がるがチャネル領域にチャネルがほとんど形成されない。これにより、浮遊拡散領域FDの電位はHレベルまで上がらずに、増幅トランジスタTbがオフする電位に維持される。
図6(c)及び図6(c’)に戻って、リセット動作の完了に応じてリセットトランジスタTcがハーフオンされると、転送トランジスタTdのチャネル領域における電位障壁に比べて、リセットトランジスタTcのチャネル領域における電位障壁が低くなっている。これにより、図6(c’)に実線の矢印で示すように、浮遊拡散領域FDで発生した暗電流成分の電荷は、容易に、リセット電源電圧VDRN側へ排出される。
図6(d)及び図6(d’)に示すように、リセット電源電圧VDRNの電位がHレベル(VDDrst)に設定された状態で転送トランジスタTdをオフに維持しながらリセットトランジスタTcがオンされると、浮遊拡散領域FDがHレベル(増幅トランジスタTbがオンするような電位)にリセットされる。すなわち、画素Pが選択状態に設定される。
図6(e)及び図6(e’)に示すように、浮遊拡散領域FDのリセット動作の完了に応じてリセットトランジスタTcがオン状態からハーフオン状態に戻される。リセットトランジスタTcがハーフオンされた状態で転送トランジスタTdがオンされると、光電変換領域PDの電荷が浮遊拡散領域FDへ転送される。浮遊拡散領域FDの電圧は、信号電荷に応じたレベルになる。そして、増幅トランジスタTbは、浮遊拡散領域FDの電圧に応じた信号を信号線SLへ出力する。
図6(f)及び図6(f’)に示すように、転送動作の完了に応じて転送トランジスタTdがオフされる。リセット電源電圧VDRNの電位がLレベルに設定された状態で転送トランジスタTdをオフに維持しながらリセットトランジスタTcがオンされると、浮遊拡散領域FDがLレベル(増幅トランジスタTbがオフするような電位)にリセットされる。すなわち、画素Pが再び非選択状態に設定される。
図6(g)及び図6(g’)に示すように、リセット動作の完了に応じてリセットトランジスタTcがハーフオンされると、転送トランジスタTdのチャネル領域における電位障壁に比べて、リセットトランジスタTcのチャネル領域における電位障壁が低くなっている。これにより、図6(g)においても、浮遊拡散領域FDで発生した暗電流成分の電荷は、容易に、リセット電源電圧VDRN側へ排出される。
次に、画素Pの動作について図7を用いてさらに詳細に説明する。図7は、画素Pの動作を示す波形図である。
タイミングt1において、リセット電源電圧VDRNの電位がHレベル(VDDrst)に設定された状態で、制御信号φRSTと制御信号φREADとがいずれもHレベルになる。これにより、転送トランジスタTd及びリセットトランジスタTcがともにオンされ、光電変換領域PDの残留電荷がリセット電源電圧VDRNへ排出される。浮遊拡散領域FDの電位は、LレベルからHレベルへ引き上げられる。
タイミングt2において、制御信号φREADがLレベルになる。これにより、転送トランジスタTdがオフする。
タイミングt3において、制御信号φRSTがMLレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcは、オン状態からハーフオン状態へ遷移する。
タイミングt4において、制御信号φREADがHレベルになる。これにより、転送トランジスタTdがオンされ、光電変換領域PDの残留電荷が浮遊拡散領域FDへ排出される。
タイミングt5において、制御信号φREADがLレベルになる。これにより、転送トランジスタTdがオフする。
タイミングt6において、リセット電源電圧VDRNの電位がLレベルに設定されるとともに、制御信号φRSTがHレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcがオンされ、浮遊拡散領域FDがLレベル(増幅トランジスタTbがオフするような電位)に設定される。すなわち、画素Pが非選択状態に設定される。
タイミングt7において、制御信号φRSTがMLレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcは、オン状態からハーフオン状態へ遷移する。
タイミングt8において、リセット電源電圧VDRNの電位がLレベルからHレベル(VDDrst)に戻る。
タイミングt9において、制御信号φRSTがHレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcがオンされ、浮遊拡散領域FDがHレベル(増幅トランジスタTbがオンするような電位)にリセットされる。すなわち、画素Pが選択状態に設定される。
タイミングt10において、制御信号φRSTがMLレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcは、オン状態からハーフオン状態へ遷移する。
タイミングt11において、制御信号φREADがHレベルになる。これにより、転送トランジスタTdがオンされ、光電変換領域PD(フォトダイオード)の電荷が浮遊拡散領域FDへ転送される。浮遊拡散領域FDの電圧は、信号電荷に応じてHレベルから低下したレベルになる。そして、増幅トランジスタTbは、浮遊拡散領域FDの電圧に応じた信号を信号線SLへ出力する。
タイミングt12において、制御信号φREADがLレベルになる。これにより、転送トランジスタTdがオフされ、光電変換領域PDから浮遊拡散領域FDへの電荷の転送動作が完了する。
タイミングt13において、リセット電源電圧VDRNの電位がLレベルに設定されるとともに、制御信号φRSTがHレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcがオンされ、浮遊拡散領域FDがLレベル(増幅トランジスタTbがオフするような電位)に設定される。すなわち、画素Pが再び非選択状態に設定される。
タイミングt14において、制御信号φRSTがMLレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcは、オン状態からハーフオン状態へ遷移する。
タイミングt15において、リセット電源電圧VDRNの電位がLレベルからHレベル(VDDrst)に戻る。
以上のように、第1の実施形態では、固体撮像装置100において、電位生成部933がグランド電圧GNDと電源電圧VDDrstとの中間電圧VMを生成して第1レベルシフタ931の接地側端子へ供給する。第1レベルシフタ931は、ローデコーダ94から受けた制御信号φRST’のHレベルを電源電圧VDDrstに応じたHレベルに調整し、制御信号φRST’のLレベルを中間電圧VMに応じたMLレベルに調整して制御信号φRSTを生成する。これにより、リセットトランジスタTcをオフさせる代わりにハーフオンさせるので、リセットトランジスタTcをオフさせる場合に比べてリセットトランジスタTcのチャネル領域における電位障壁を低くでき、暗電流成分の電荷がリセット電源電圧VDRN側へ排出されやすくなる。この結果、光電変換領域PDで蓄積している信号電荷への暗電流成分の電荷の混入を抑制できるので、画素Pから出力される信号における暗電流ノイズを低減できる。したがって、固体撮像装置100の画像信号に応じた画像の画質を向上できる。
あるいは、図8に示すように、ドライバ93iにおいて、電位生成部933iは、バイアス回路934(図7参照)を含む代わりに、デジタル回路用の電源電圧DVDDが供給される電源ノードNdvddを含んでもよい。図8は、ドライバ93iの構成を示す回路図である。例えば、デジタル回路で複数種類の電源電圧が存在する場合、グランド電圧GNDと電源電圧VDDrstとの中点の電位(GND+VDDrst)/2よりグランド電圧GNDに近い電位を有する電源電圧DVDDを用いることができる。すなわち、電位生成部933iは、電源電圧DVDDをそのまま中間電圧VMとすることができる。この場合、中間電圧VMは、浮遊拡散領域FDに設定された際に増幅トランジスタTbがオフするレベルである。中間電圧VMは、例えば、1.2V程度である。
あるいは、図9に示すように、ドライバ93jは、各画素PのリセットトランジスタTcのゲートに加えてドレインにもMLレベルを供給可能なように構成されていてもよい。図9は、ドライバ93jの構成を示す回路図である。例えば、第2レベルシフタ932jの接地側端子は、グランド電圧GND(図3参照)に接続される代わりに、電位生成部933に接続され、中間電圧VMを受ける。第2レベルシフタ932jは、リセット電源電圧VDRN’のHレベルを電源電圧VDDrstに応じたHレベル(第3電圧)とし、リセット電源電圧VDRN’のLレベルを中間電圧VMに応じたMLレベル(第4電圧)とすることでリセット電源電圧VDRNのレベルを調整する。すなわち、第2レベルシフタ932は、リセット電源電圧VDRNのレベルをHレベルとMLレベルとの間で遷移させる。Hレベルは、アナログ回路用の電源電圧AVDDに応じたレベルであり、例えば、アナログ回路用の電源電圧AVDDを用いて画素Pのリセット動作用に調整された電源電圧VDDrstであり、浮遊拡散領域FDに設定された場合に増幅トランジスタTbがオンする電位である。リセット電源電圧VDRNのHレベルは、制御信号φRSTのHレベルと均等なレベルとすることができる。MLレベルは、例えば、中間電圧VMに対応したレベルあり、浮遊拡散領域FDに設定された場合に増幅トランジスタTbがオフするレベルである。リセット電源電圧VDRNのMLレベル(第4電圧)は、制御信号φRSTのMLレベル(第2電圧)と均等なレベルであってもよいし異なるレベルであってもよい。
このとき、図10及び図11に示すように、リセット電源電圧VDRNの電位がLレベルに代えてMLレベルに設定され、それに応じて、画素PのリセットトランジスタTcは、浮遊拡散領域FDの電位をLレベルに代えてMLレベルに設定する。
例えば、図10(b)及び図10(b’)に示すように、第2レベルシフタ932jによりリセット電源電圧VDRNの電位がMLレベル(図11に示すタイミングt6’〜t8’におけるリセット電源電圧VDRNのMLレベル)に設定されリセットトランジスタTcのドレインに制御ラインCL経由でMLレベルが供給された状態で、転送トランジスタTdをオフに維持しながらリセットトランジスタTcがオンされる。これにより、浮遊拡散領域FDがMLレベル(増幅トランジスタTbがオフするような電位)に設定される。すなわち、画素Pが非選択状態に設定される。このとき、浮遊拡散領域FDへ供給された電荷量が図6(b’)に比べて少なく(電位的に高く)なっているので、浮遊拡散領域FDから光電変換領域PDへの電荷の逆流の抑制が容易である。また、リセットトランジスタTcのドレイン側の電位レベル(電源ラインPLからリセットトランジスタTcのドレインに供給されるリセット電源電圧VDRNの電位の電位レベル)を見ると、図6(b’)に示すLレベル状態から図6(c’)に示すHレベル状態へ移行する場合に比べて、図10(b’)に示すMLレベル状態から図10(c’)に示すHレベル状態へ移行する場合に、遷移するためのレベル差が少ない(すなわち、|Hレベル−MLレベル|<|Hレベル−Lレベル|である)ため、リセット電源電圧VDRNの電位の遷移時間を短縮できる。これにより、暗電流成分の電荷の浮遊拡散領域FDからリセット電源電圧VDRN側への排出を、早いタイミングから実現可能である。
また、図11に示すタイミングt6’において、リセット電源電圧VDRNの電位がMLレベルに設定されるとともに、制御信号φRSTがHレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcがオンされ、浮遊拡散領域FDがMLレベル(増幅トランジスタTbがオフするような電位)に設定される。すなわち、画素Pが非選択状態に設定される。タイミングt8’において、リセット電源電圧VDRNの電位がMLレベルからHレベル(VDDrst)に戻る。タイミングt13’において、リセット電源電圧VDRNの電位がMLレベルに設定されるとともに、制御信号φRSTがHレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcがオンされ、浮遊拡散領域FDがMLレベル(増幅トランジスタTbがオフするような電位)にリセットされる。すなわち、画素Pが再び非選択状態に設定される。タイミングt15’において、リセット電源電圧VDRNの電位がMLレベルからHレベル(VDDrst)に戻る。
このように、浮遊拡散領域FDがLレベルに代えてMLレベルに設定されると、浮遊拡散領域FDの電位を増幅トランジスタTbがオフするような電位に設定する際(例えば、図11に示すタイミングt6’〜t8’,t13’〜t15’の期間)における浮遊拡散領域FDから光電変換領域PDへの電荷の逆流を抑制できる。また、浮遊拡散領域FDの電位設定後におけるリセット電源電圧VDRNの電位の遷移時間を短縮できる。これにより、暗電流成分の電荷の浮遊拡散領域FDからリセット電源電圧VDRN側への排出を、早いタイミングから実現可能である。
なお、図9では、電位生成部933が第1レベルシフタ931及び第2レベルシフタ932jで共通化されている場合について例示されているが、電位生成部933は第1レベルシフタ931及び第2レベルシフタ932jに対して個別に設けられていてもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる固体撮像装置100について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第1の実施形態では、第1レベルシフタ931が制御信号φRSTのレベルをHレベルとMLレベルとの間で遷移させ、各画素PのリセットトランジスタTcは、オン状態とハーフオン状態との間で遷移している。この場合、図6(e)及び図6(e’)に示されるように、信号読み出し時に光電変換領域PDから浮遊拡散領域FDへ転送可能な電荷量がMLレベルにより制限され得る。
それに対して、第2の実施形態では、第1レベルシフタ931が制御信号φRSTのレベルをHレベルとMLレベルとLレベルとの間で遷移させ、各画素PのリセットトランジスタTcは、オン状態とハーフオン状態とオフ状態との間で遷移させる。これにより、信号読み出し時にリセットトランジスタTcをオフ状態にして、光電変換領域PDから浮遊拡散領域FDへ転送可能な電荷量の確保を図る。
具体的には、図12に示すように、ドライバ93kにおいて、電位生成部933kは、スイッチSW1,SW2及びグランドノードNgnd2を有する。図12は、ドライバ93kの構成を示す図である。スイッチSW1は、一端が第1レベルシフタ931に電気的に接続され、他端がバイアス回路934に電気的に接続されている。スイッチSW2は、一端が第1レベルシフタ931に電気的に接続され、他端がグランドノードNgnd2に電気的に接続されている。グランドノードNgnd2は、グランド電圧GNDが供給される。
また、画素Pの動作が、図13に示すように、以下の点で第1の実施形態と異なる。図13は、画素Pの動作を示す波形図である。
タイミングt29の直前において、制御信号φSW1がHレベルに維持され、制御信号φSW2がLレベルに維持されている。これにより、スイッチSW1がオン状態に維持されているとともにスイッチSW2がオフ状態に維持されており、バイアス回路934が第1レベルシフタ931に電気的に接続されており、制御信号φRSTがMLレベルになっている。
タイミングt29において、制御信号φSW1がLレベルになり、制御信号φSW2がHレベルになる。これにより、スイッチSW1がオフするとともにスイッチSW2がオンし、グランドノードNgnd2が第1レベルシフタ931に電気的に接続される。また、制御信号φRSTがHレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcがオンされ、浮遊拡散領域FDがHレベル(増幅トランジスタTbがオンするような電位)にリセットされる。すなわち、画素Pが選択状態に設定される。
タイミングt30において、制御信号φRSTがLレベル(GNDレベル)になる。これにより、リセットトランジスタTcは、オン状態からオフ状態へ遷移する。
タイミングt31において、制御信号φREADがHレベルになる。これにより、転送トランジスタTdがオンされ、光電変換領域PDの電荷が浮遊拡散領域FDへ転送される。このとき、リセットトランジスタTcがオフ状態になっているので、光電変換領域PDから浮遊拡散領域FDへ転送可能な電荷量が確保されている。浮遊拡散領域FDの電圧は、信号電荷に応じてHレベルから低下したレベルになる。そして、増幅トランジスタTbは、浮遊拡散領域FDの電圧に応じた信号を信号線SLへ出力する。
タイミングt32において、制御信号φREADがLレベルになる。これにより、転送トランジスタTdがオフされ、光電変換領域PDから浮遊拡散領域FDへの電荷の転送動作が完了する。
タイミングt33において、制御信号φSW1がHレベルになり、制御信号φSW2がLレベルになる。これにより、スイッチSW1がオンするとともにスイッチSW2がオフし、バイアス回路934が第1レベルシフタ931に電気的に接続される。リセット電源DRNの電位がMLレベルに設定されるとともに、制御信号φRSTがHレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcがオンされ、浮遊拡散領域FDがMLレベル(増幅トランジスタTbがオフするような電位)に設定される。すなわち、画素Pが再び非選択状態に設定される。
タイミングt34において、制御信号φRSTがMLレベルになる。これにより、リセットトランジスタTcは、オン状態からハーフオン状態へ遷移する。
タイミングt35において、リセット電源DRNの電位がLレベルからHレベル(VDDrst)に戻る。
以上のように、第2の実施形態では、固体撮像装置100において、電位生成部933が信号読み出し時に中間電圧VMに代えて接地電圧を第1レベルシフタ931の接地側端子へ供給する。第1レベルシフタ931は、信号読み出し時に、ローデコーダ94から受けた制御信号φRST’のHレベルを電源電圧VDDrstに応じたHレベルに調整し、制御信号φRST’のLレベルを接地電圧に応じたLレベルに調整して制御信号φRSTを生成する。これにより、信号読み出し時にリセットトランジスタTcをハーフオンさせずにオフさせるので、光電変換領域PDから浮遊拡散領域FDへ転送可能な電荷量の確保を図ることができ、信号のダイナミックレンジを拡大できる。すなわち、電荷蓄積時にリセットトランジスタTcをオフさせる代わりにハーフオンさせ、信号読み出し時にリセットトランジスタTcをハーフオンさせずにオフさせるので、電荷蓄積時における暗電流成分の蓄積電荷への混入を抑制しながら信号読み出し時における信号のダイナミックレンジ拡大を実現できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。