JP2017054685A - 基板の製造方法及び有機elデバイスの製造方法 - Google Patents

基板の製造方法及び有機elデバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属配線がフィルム表面上に所定パターンで形成された透明フィルムの熱変形を抑制しながら、上記所定パターンが有する開口部が透明樹脂で埋められた基板を製造する方法及びその基板を含む有機ELデバイスの製造方法を提供する。【解決手段】一実施形態に係る基板10の製造方法は、透明フィルム12のフィルム表面12a上に形成されている金属配線14を埋設するように、透明樹脂を含む塗布液を塗布して塗布膜20をフィルム表面12a上に形成する工程と、塗布膜から溶媒を除去して透明樹脂膜22を形成する工程と、透明樹脂膜のうち、金属配線におけるフィルム表面と反対側の面14a上の部分を除去して開口部に対応する部分を残すように、透明樹脂膜をパターニングする工程と、透明フィルム上に残存した透明樹脂膜を加熱処理して予備硬化する工程と、フラッシュアニール処理により透明樹脂膜を本硬化する本硬化工程と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、基板の製造方法及び有機ELデバイスの製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイスなどに代表される有機電子デバイスが有する基板として、プラスチック材料を含む透明フィルム上に金属配線パターン(金属細線パターン)が形成された導電性基板がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1記載の技術では、導電性基板の金属配線パターンを、直接、有機EL素子の電極として使用しているが、金属配線パターンを、有機EL素子の電極への電力供給用のグリッド電極として使用する場合もある。この場合、導電性基板上に形成する有機電子素子(例えば有機EL素子)が有する各層の平坦性を確保するため、金属配線パターンが有する開口部を、透明樹脂からなる充填材で埋めて導電性基板の表面を平坦化することがある。
国際公開2014/185256号
表面に形成された凹凸を平坦にするために、凹部を膜で埋める場合がある。このように使用する膜は平坦化膜として知られている。平坦化膜が樹脂からなる場合、例えば、次のようにして形成され得る。まず、平坦化膜となるべき透明樹脂膜を、例えば塗布法などにより形成した後、その透明樹脂膜を硬化させる。膜の硬化の手法として、パルス光を照射して処理対象物を加熱するフラッシュアニール処理がある。フラッシュアニール処理では、高強度の光を利用しているため、膜硬化に要する時間を短縮できるという利点がある。
本発明者は、上記フラッシュアニール処理を利用した平坦化膜形成技術を、透明フィルム上に設けられた金属配線パターンの平坦化のために適用することを検討した。そして、金属配線パターンの開口部を埋める樹脂の硬化に、フラッシュアニール処理を適用すると、金属配線パターンが表面に設けられた透明フィルムが熱変形するという問題点を見出した。
したがって、本発明は、金属配線がフィルム表面上に所定パターンで形成された透明フィルムの熱変形を抑制しながら、上記所定パターンが有する開口部が透明樹脂で埋められた基板を製造する方法、及び、その製造方法で形成された基板を含む有機ELデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る基板の製造方法は、プラスチック材料を含む透明フィルムと、透明フィルムのフィルム表面上に、複数の開口部を有する所定パターンで形成されている金属配線とを有し、透明樹脂を含む透明樹脂膜で開口部が埋められている、基板の製造方法であり、透明フィルムのフィルム表面上に形成されている金属配線を埋設するように、熱硬化性を有する透明樹脂を含む塗布液を塗布してフィルム表面上に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、塗布膜を加熱処理し、塗布膜から溶媒を除去して透明樹脂膜を形成する透明樹脂膜形成工程と、透明樹脂膜のうち、金属配線におけるフィルム表面と反対側の面上の部分を除去して開口部に対応する部分を残すように、透明樹脂膜をパターニングするパターニング工程と、パターニング工程後に、透明フィルム上に残存した透明樹脂膜を加熱処理して予備硬化する予備硬化工程と、透明フィルムのフィルム表面側から予備硬化された透明樹脂膜にパルス光を照射して透明樹脂膜をフラッシュアニール処理することによって、透明樹脂膜を本硬化する本硬化工程とを備える。
上記基板の製造方法では、塗布膜形成工程で形成された塗布膜を、透明樹脂膜形成工程で加熱処理して透明樹脂膜を形成する。次に、透明樹脂膜をパターニング工程でパターニングすることで、金属配線におけるフィルム表面と反対側の面を露出させる一方、所定パターンが有する開口部を透明樹脂膜で埋めている。その後、予備硬化工程で、開口部内の透明樹脂膜を予備硬化した後、本硬化工程で、透明樹脂膜をフラッシュアニール処理することで、本硬化する。これにより、透明フィルムと、その透明フィルムのフィルム表面上に、複数の開口部を有する所定パターンで形成されている金属配線とを有し、透明樹脂膜で開口部が埋められている基板を製造できる。開口部は、透明樹脂膜で埋められているので、基板の開口部は透明樹脂で埋められていることになる。
上記製造方法では、フラッシュアニール処理を適用した本硬化工程の前に、予備硬化工程を設け、透明樹脂膜を予備硬化している。そのため、本硬化工程では、予備硬化をせずに、フラッシュアニール処理のみで透明樹脂膜を所望の硬度まで硬化させる場合に比べて、フラッシュアニール処理での処理条件を緩和できる。よって、上記製造方法では、金属配線がフィルム表面上に所定パターンで形成された透明フィルムの熱変形を抑制しながら、上記所定パターンが有する開口部が透明樹脂で埋められた基板を製造することができる。そのため、基板の製造歩留まりを向上し得る。
上記フラッシュアニール処理において、透明樹脂膜に照射される光量は、予備硬化工程を実施せずに、パターニング工程後の透明樹脂膜を本硬化する場合の光量より少なくし得る。
上記本硬化工程では、フラッシュアニール処理の前後における透明フィルムの反りの増加量が1.0mm以下であるような光量で、透明樹脂膜をフラッシュアニール処理することが好ましい。これにより、反りが抑制された基板を得ることができる。
上記本硬化工程では、フラッシュアニール処理後における金属配線の表面が目視観察で鏡面を保つような光量で、透明樹脂膜をフラッシュアニール処理することが好ましい。これにより、金属配線の熱変形を一層抑制し得る。
上記本硬化工程では、フラッシュアニール処理の前後における金属配線の表面抵抗値(Ω/□)の比が10倍以下となる光量で、透明樹脂膜をフラッシュアニール処理することが好ましい。これにより、金属配線の熱変形がより一層抑制され得る。
上記フラッシュアニール処理後の透明樹脂膜の鉛筆硬度が2H以上であることが好ましい。このような硬度を有することで、基板を、有機EL素子などの支持基板として好適に利用し易い。
上記予備硬化工程では、焼成炉又はホットプレートにより透明樹脂膜を予備硬化させてもよい。
上記透明樹脂はネガ型の感光性を有していてもよい。この場合、パターニング工程は、透明フィルムのフィルム表面と反対側から透明樹脂膜を透明樹脂の感光波長を有する光で露光する露光工程と、露光工程後の透明樹脂膜を現像する現像工程と、を有し得る。
透明樹脂が上記のようにネガ型の感光性を有する場合、透明フィルムのフィルム表面と反対側から透明樹脂膜を透明樹脂の感光波長を有する光で露光すれば、金属配線がマスクとして機能する。これにより、透明樹脂膜のうち、開口部の部分は露光される一方、金属配線におけるフィルム表面と反対側の面上の部分は未露光状態となる。よって、現像工程で、透明樹脂膜を現像すれば、金属配線におけるフィルム表面と反対側の面の部分を除去し、開口部を選択的に透明樹脂膜で埋めることが可能である。
本発明の他の側面に係る有機ELデバイスの製造方法は、(A)上記本発明に係る基板の製造方法により基板を製造する基板製造工程と、(B)基板の金属配線上に、第1の電極層と、有機発光層と、第2の電極層とを順に積層してなる有機EL素子を形成する素子形成工程と、を備える。
この場合、基板の製造方法により基板を製造しており、その基板上に有機EL素子を形成している。そのため、基板製造工程において、金属配線がフィルム表面上に形成された透明フィルムの熱変形を抑制しながら、開口部内の透明樹脂膜を、フラッシュアニール処理を利用して硬化させることができる。これにより、基板の製造において、金属配線がフィルム表面上に形成された透明フィルムの熱変形が生じにくいので、基板の製造歩留まりが向上し、その結果、有機ELデバイスの製造歩留まりの向上に資する。また、基板を効率的に製造できるので、有機ELデバイスの製造効率も向上する。
本発明によれば、金属配線がフィルム表面上に所定パターンで形成された透明フィルムの熱変形を抑制しながら、上記所定パターンが有する開口部が透明樹脂で埋められた基板を製造する方法、及び、その製造方法で形成された基板を含む有機ELデバイスの製造方法を提供できる。
図1(a)は、一実施形態に係る基板の製造方法で製造される基板の模式的な平面図であり、図1(b)は、図1(a)のIb―Ib線に沿った断面の一部拡大図である。 図2は、一実施形態に係る基板の製造方法のフローチャートである。 図3は、一実施形態に係る基板の製造方法における塗布膜形成工程後の透明フィルム上の構成を示す図面である。 図4は、一実施形態に係る基板の製造方法におけるパターニング工程が有する露光工程を説明するための図面である。 図5は、一実施形態に係る基板の製造方法におけるパターニング工程後の透明フィルム上の構成を示す図面である。 図6は、一実施形態に係る基板の製造方法における本硬化工程を説明するための図面である。 図7は、一実施形態に係る有機ELデバイスの構成を概略的に示す図面である。 図8は、一実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る基板の製造方法で製造された基板10は、図1(a)及び図1(b)に示したように、透明フィルム12を備える。透明フィルム12の表面(フィルム表面)12a上には、金属配線14が所定パターンPで設けられている。金属配線14が呈する所定パターンPは、複数の開口部16を有しており、各開口部16には、透明樹脂充填材18が充填されており、基板10の表面10aの平坦化が図られている。このような基板10は、例えば有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の支持基板として好適に利用され得る。
透明フィルム12は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有する。透明フィルム12の厚さの例は、30μm以上500μm以下であり、透明フィルム12は可撓性を有し得る。透明フィルム12は、帯状でもよいし、又は、枚葉状でもよい。
透明フィルム12はプラスチック材料を含むプラスチックフィルムである。プラスチック材料の例は、ポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂を含む。
これらの樹脂のなかでも、耐熱性が高く、線膨張率が低く、かつ、製造コストが低いことから、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレンレテフタレート、ポリエチレンナフタレートが特に好ましい。これらの樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
透明フィルム12の表面12a上には、バリア膜が形成されていてもよい。バリア膜は、例えば、シリコン(Si)、酸素(O)及び炭素(C)からなる膜、又は、Si、O、C及びNからなる膜であり得る。具体的には、バリア膜の材料の例は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等である。バリア膜の厚さの例は、100nm以上10μm以下である。
基板10を例えば有機EL素子の支持基板として使用する場合、透明フィルム12には、有機EL素子を駆動するための駆動回路(例えば、薄膜トランジスタなどを含む回路)が形成されていてもよい。このような駆動回路は、通常、透明材料から構成される。
金属配線14は、透明フィルム12の表面12a上に所定パターンPで設けられておいる。所定パターンPは複数の開口部16(又は窓部)を有するパターン(金属配線パターン)である。このような所定パターンPを呈する金属配線14は、複数の開口部16を有する金属層に対応する。
所定パターンPの例は、図1(a)に示すような格子状又はメッシュ状のパターンであり、この場合、複数の開口部16は、網目に対応する。開口部16の形状の例は、図1(a)に示したような六角形に限定されず、長方形又は正方形のような四角形、三角形及びその他の多角形を含む。所定パターンPのパターン形状は、金属配線14がネットワーク構造を有すれば限定されない。
所定パターンPを形成する金属配線14の断面の形状の一例は、図1(b)に示したような台形形状である。金属配線14の断面とは、金属配線14の延在方向に直交する断面を意味する。金属配線14は開口部16を画成しているため、金属配線14の延在方向は開口部16の外縁に沿った方向である。具体的には、例えば、開口部16が多角形(例えば六角形)であれば、各辺の延在方向であり、開口部16が円形であれば周方向である。ただし、金属配線14の断面の形状は限定されない。
金属配線14における表面12aと反対側の面である上面14aと表面12aとの間の距離(以下、「金属配線の厚さ」とも称す)の例は、20nm以上且つ2μm以下である。金属配線14の幅の例は、10μm以上である。通常、金属配線14の幅は、5mm以下であり、金属配線14は、金属細線であり得る。金属配線14の幅は、上面14aにおける金属配線14の延在方向に直交する方向の長さである。
金属配線14の材料の例は、MAM(モリブデン・アルミニウム・モリブデン)、銅、ニッケル、アルミニウムである。
一実施形態において、金属配線14の上面14aは目視観察において鏡面である。
基板10が例えば有機ELデバイスに使用される場合において、金属配線14は、有機EL素子への電力供給用のグリッド電極(又は補助電極)として機能する。基板10を備えた有機ELデバイスが基板10側から光を取り出す形態の場合、所定パターンPを規定する開口部16の大きさ及び金属配線14の幅は、基板10側から光を取り出せるように設定されていればよい。
上記金属配線14の形成方法は、複数の開口部16を有する所定パターンPを有するように金属配線14を形成可能であれば、特に限定されない。
例えば、金属配線14は、フォトリソグラフィー法を利用して形成され得る。この場合、まず、物理蒸着(PVD)法及びスパッタリング法などにより、金属配線14となるべき金属層を表面12a上に形成する。その後、その金属層を、フォトリソグラフィー法を用いて上記所定のパターンにパターニングすることで、金属配線14が得られる。
或いは、金属配線14は、リフトオフ法を用いて形成されてもよい。この場合、まず、表面12a上に、所定パターンPの金属配線14が形成されるべき領域が開口されているようにマスクを形成する。その後、物理蒸着法及びスパッタリング法等によりマスクの開口部に金属を堆積させて金属配線を形成する。続いて、マスクを除去すすることで、所定パターンPの金属配線14が得られる。
更に或いは、金属配線14は、インクジェット印刷、グラビア印刷又はスクリーン印刷などの種々の印刷法を用いて形成されてもよい。この場合、例えば、インクジェット印刷法などによって、金属粒子が分散されたインクを、金属配線14の所定パターンPで表面12a上に印刷する。その後、インクが印刷された透明フィルム12を焼成することで金属配線14が得られる。
透明樹脂充填材18は、複数の開口部16のそれぞれに充填されており、開口部16を埋めている。透明樹脂充填材18は、透明樹脂を含み熱硬化された透明樹脂膜である。よって、開口部16は透明樹脂で埋められている。透明樹脂充填材18に含まれる透明樹脂は、熱硬化性を有する。後述するように、透明樹脂充填材18を形成する工程において、露光工程を有する場合、透明樹脂は、ネガ型の感光性、すなわち、感光波長の光に対する光硬化性も有する。透明樹脂充填材18となる透明樹脂の例としては、フォトレジスト材料として使用されるものが挙げられ、例えば、例えば特開2008−65319号公報に記載の重合性樹脂化合物を好適に用いることができる。
透明樹脂充填材18の厚さは、金属配線14の厚さとほぼ同じである。すなわち、透明樹脂充填材18における表面12aと反対側の面である上面18aと、金属配線14の上面14aとは、実質的に面一とされている。したがって、透明樹脂充填材18は、上面16aと上面18aとを含む基板10の表面(基板表面)10aを平坦化するための平坦化膜として機能する。
透明樹脂充填材18は、鉛筆硬度において、2H以上を有し得る。本明細書において、「鉛筆硬度」とは、JIS K5600で規定された試験方法で得られた硬度である。
図1(a)及び図1(b)に示した基板10の構成では、透明フィルム12上に形成された金属配線14の上面14aは露出している。そのため、例えば、基板10の表面10a上に、有機EL素子を形成しても、金属配線14を利用して、有機EL素子が有する電極(陽極又は陰極)に電力を供給できる。
透明樹脂充填材18で開口部16を埋めていることから、基板10の表面10a上に、上記有機EL素子を形成しても、有機EL素子を構成する各層それぞれを均一な厚さで形成し易い。
これまでの基板10の説明では、透明フィルム12上の構成を、金属配線14を基準にして説明した。一方、開口部16を埋めている透明樹脂充填材18を基準としてみれば、基板10は、透明フィルム12上に、透明樹脂充填材18を構成する透明樹脂からなる透明樹脂層が形成されており、その透明樹脂層に、表面が露出するようにネットワーク構造の金属配線14が設けられている構成でもある。
次に、基板10の製造方法について説明する。ここでは、金属配線14が表面12aに所定のパターンで形成されている透明フィルム12を利用して基板10を製造する方法について説明する。以下の説明では、特に断らない限り、透明樹脂充填材18となる透明樹脂は、熱硬化性と共に、ネガ型の感光性を有する。
基板10の製造方法は、図2のフローチャートに示したように、塗布膜形成工程S10と、透明樹脂膜形成工程S12と、パターニング工程S14と、予備硬化工程S16と、本硬化工程S18と、を有する。各工程について説明する。
[塗布膜形成工程]
塗布膜形成工程S10では、透明樹脂充填材18となるべき透明樹脂を含む塗布液を、金属配線14を埋設するように透明フィルム12の表面12a上に塗布し、図3に示したように、塗布膜20を表面12a上に形成する。塗布膜20は、後工程での収縮などを考慮して、形成すべき透明樹脂充填材18の厚さが、金属配線14の厚さと実質的に一致するような厚さで形成すればよい。塗布膜20の厚さは、通常、50nm〜400nmであり、例えば、300nmである。
塗布液の溶媒としては、塗布膜20に含まれるべき透明樹脂を溶解できるものであれば限定されないが、例えば、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート、3−メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-1-ブタノール、シクロヘキサノンが挙げられる。
塗布法としては、スロットダイ法、キャスティング法、スリットコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、及び、インクジェットプリント法などを挙げることができる。
[透明樹脂膜形成工程]
塗布膜形成工程S10後に透明樹脂膜形成工程S12を実施する。透明樹脂膜形成工程S12では、塗布膜形成工程S10後の透明フィルム12を加熱処理(プリベーク処理)する。これにより、塗布膜20から溶媒を除去し、溶媒が除去された塗布膜20である透明樹脂膜22(図4参照)を形成する。この工程での加熱処理は、焼成炉を利用して行い得る。加熱処理は、塗布膜20の溶媒を除去可能であって、且つ、透明フィルム12の熱変形が生じない条件が行われればよい。例えば、透明フィルム12の温度がガラス転移温度以下である条件で行われ得る。一実施形態では、塗布膜20が形成された透明フィルム12を焼成炉において、100℃で3分程度、加熱処理する。
[パターニング工程]
透明樹脂膜形成工程S12の後、パターニング工程S14を実施する。パターニング工程S14では、透明樹脂膜22において開口部16に対応する部分を残存させる一方、金属配線14の上面14a上の部分を除去するように、透明樹脂膜22をパターニングする。
具体的には、図2に示したように、パターニング工程S14は、露光工程S14aと、現像工程S14bとを有し得る。
露光工程S14aでは、図4に示したように、透明フィルム12の裏面12b側に露光用の光源部24を配置し、光源部24から透明樹脂膜22に光を照射する。すなわち、透明フィルム12を裏面露光する。この場合、金属配線14がマスクとして機能することから、透明樹脂膜22のうち、開口部16の部分は露光される一方、金属配線14の上面14aの部分は未露光状態となる。
光源部24は、透明樹脂に対する感光波長の光を出力可能であればよい。例えば、透明樹脂充填材18となる透明樹脂が、可視光に対して感光性を有する場合、光源部24は、可視光を出力する光源であればよい。この場合、光源部24の例は、紫外光をカットするように構成した高圧水銀灯、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、及びSSD(Super Small Discharge)ランプを含む。透明樹脂が紫外光に感光性を有する場合には、光源部24は、紫外光を出力する光源であればよい。
透明樹脂膜22が形成された透明フィルム12を裏面露光する形態では、光源部24からの光は、透明フィルム12を通過して、透明樹脂膜22に照射される。この場合、透明フィルム12により光源部24からの光の波長の一部がカットされる場合もある。そのため、透明樹脂膜22を構成する透明樹脂は、光源部24から出力され透明フィルム12を通過した後の光に対して感光性を有するように調整されていることが好ましい。
一実施形態において、光源部24からの光の照射方向に対して透明フィルム12を相対的に移動させながら露光用の光を透明フィルム12に照射してもよい。例えば、透明フィルム12を、搬送ローラなどで図4の白抜き矢印の方向に搬送しながら光源部24から露光用の光を透明フィルム12に照射し得る。これにより、透明フィルム12全体に露光用の光を照射できる。ただし、透明フィルム12を光源部24に対して固定した状態で露光してもよい。
現像工程S14bでは、露光工程S14a後の透明フィルム12を現像液に浸漬させて現像処理する。これにより、図5に示したように、透明樹脂膜22における未露光部分、例えば、金属配線14の上面14a上の透明樹脂膜22を除去する。これによって、金属配線14の上面14aが露出する一方、開口部16には透明樹脂膜22が残存する。現像方法は、露光処理された透明樹脂膜22を現像できれば、現像方法は限定されない。
上述した露光処理及び現像処理により、通常、透明樹脂膜22の厚さは、露光及び現像処理前より薄くなる。従って、塗布膜20の厚さは、前述したように、このような露光及び現像処理での透明樹脂膜22の厚さの収縮を考慮して設定されている。図5では、透明樹脂膜22の厚さは、金属配線14の厚さと実質的に同じであるが、例えば、後工程の予備硬化工程S16及び本硬化工程S18で更に収縮するようであれば、図5の状態で透明樹脂膜22の厚さは、金属配線14の厚さより若干厚くなっていてもよい。
[予備硬化工程]
パターニング工程S14の後、予備硬化工程S16を実施する。予備硬化工程S16では、パターニング工程S14後の透明フィルム12を加熱処理して、開口部16に残存している透明樹脂膜22を予備硬化(或いは、半硬化)する。透明フィルム12の加熱処理は、例えば、焼成炉を利用した焼成でもよいし、ホットプレートによる加熱でもよい。
予備硬化工程S16では、透明樹脂膜22を本硬化させて得られる透明樹脂充填材18の硬度未満に透明樹脂膜22を硬化できればよい。例えば、透明樹脂充填材18の硬度のF程度に硬化できていればよい。
予備硬化工程S16では、透明フィルム12が熱変形せず、且つ、透明樹脂膜22を予備硬化可能な条件で透明樹脂膜22を加熱処理すればよい。よって、加熱温度としては、100℃以上であり、透明フィルム12のガラス転移温度以下が例示される。より具体的には、焼成炉内で焼成する場合、130℃で20分程度の焼成が例示される。
[本硬化工程]
本硬化工程S18では、予備硬化された透明樹脂膜22を、フラッシュアニール処理して本硬化する。すなわち、パルス光(或いはフラッシュランプ)を透明樹脂膜22に照射して透明樹脂膜22を本硬化する。本硬化工程S18において、本硬化された透明樹脂膜22が透明樹脂充填材18である。本硬化工程S18では、透明樹脂充填材18が所望の鉛筆硬度以上(例えば、鉛筆硬度が2H以上)であるように、透明樹脂膜22を硬化する。
具体的には、図6に示したように、透明フィルム12の表面12a上に配置されたフラッシュアニール用の光源部26からパルス光を透明フィルム12に向けて照射して、透明樹脂膜22を加熱し、硬化させる。
光源部26は、透明樹脂膜22を加熱可能な光、すなわち、透明樹脂膜22が吸収可能な波長を有する光を出力できればよい。光源部26の例はキセノンフラッシュランプである。
一実施形態において、露光工程S14aの場合と同様に、光源部26からの光の照射方向に対して透明フィルム12を相対的に移動させながらパルス光を透明フィルム12に向けて照射してもよい。例えば、透明フィルム12を、搬送ローラなどで図6の白抜き矢印の方向に搬送しながら光源部26からパルス光を透明フィルム12に照射し得る。ただし、透明フィルム12を光源部26に対して固定した状態でパルス光を照射してもよい。
フラッシュアニール処理においては、金属配線14が形成された透明フィルム12が熱変形しないように処理条件を設定する。具体的には、次の<条件1>を満たすような照射光量の条件で、透明樹脂膜22をフラッシュアニール処理する。
<条件1>
フラッシュアニール処理前後における透明フィルム12の反りの増加量が1.0mm以下である。
上記<条件1>における「透明フィルムの反り」とは、5cm角の試験用透明フィルムに対してフラッシュアニール処理を行った後に、処理後の試験用透明フィルムを平坦な台に載置したとき、その試験用透明フィルムの台側の面の中心部と、平坦な台との間の距離を意味する。試験用透明フィルムは、透明フィルム12の組成と同じ組成を有するフィルムである。
フラッシュアニール処理における照射光量の条件は、<条件2>を更に満たすことが好ましく、<条件3>を満たすことが更に好ましい。
<条件2>
フラッシュアニール処理後における金属配線14の表面が目視観察で鏡面を保っている。この<条件2>では、金属配線14の上面14aが目視観察で鏡面であればよい。
<条件3>
フラッシュアニール処理の前後における金属配線14の表面抵抗値(Ω/□)の比が10倍以下である。具体的には、フラッシュアニール処理前の金属配線14の表面抵抗値をR1(Ω/□)とし、フラッシュアニール処理後の金属配線14の表面抵抗値をR2(Ω/□)とした場合、R2/R1が10倍以下である。
フラッシュアニール処理における照射光量条件は、主に、透明樹脂膜22が形成された透明フィルム12に照射するパルス光のパルス幅、及び繰返し周波数、パルス光の照射時間、及び、光源部26の光出射面と、照射対象物である透明樹脂膜22が形成された透明フィルム12との間の距離Dを調整することで、設定され得る。これらのパラメータの一例は次の通りである。
・パルス光のパルス幅:100μs〜300μs
・パルス光の繰返し周波数:3Hz〜10Hz
・距離D:10mm〜50mm
図6に示したように、透明フィルム12が、白抜き矢印の方向に搬送されている場合には、パルス光の照射時間は、透明フィルム12の搬送速度にも依存する。よって、透明フィルム12も搬送速度も照射光量条件を設定する際のパラメータの一つであり得る。搬送速度の例は、0.5m/分〜5m/分である。
光源部26がキセノンフラッシュランプであり且つ透明フィルム12が図6に示した白抜き矢印の方向に搬送されている形態について、照射光量条件を設定する際の主なパラメータは、キセノンフラッシュランプにおける発光部への設定電圧、パルス光のパルス幅及び繰返し周波数、距離D、透明フィルム12の搬送速度である。パルス光のパルス幅及び繰返し周波数、距離D、透明フィルム12の搬送速度の例は、先に例示した例と同様とし得る。キセノンフラッシュランプにおける発光部への設定電圧の例としては、3kV〜5kVである。
よって、本硬化工程では、本硬化工程の透明樹脂膜22が所望の硬度を有すると共に、<条件1>を満たすように(或いは実現可能なように)上記例示した各パラメータを調整して、フラッシュアニール処理を実施すればよい。
上記例示した基板10の製造方法は、例えば、巻出しロールに巻かれた帯状(或いは長尺)の透明フィルム12を巻出しロールから繰り出し、搬送した後に、巻取りロールに巻き取る間に、所定の処理工程を実施するロールツーロール方式を採用して行ってもよい。この場合、ロールツーロール方式で全工程を連続的に行ってもよいし、或いは、各工程で、独立にロールツーロール方式で行ってもよい。
基板10の製造方法の一例では、透明樹脂膜22及び透明樹脂充填材18を構成する透明樹脂は、ネガ型の感光性を有する形態を説明した。しかしながら、上記透明樹脂は、例えば、ポジ型の感光性を有してもよい。上述した露光工程S14aの説明では、裏面露光を例示した。しかしながら、露光工程S14aでは、マスクなどを利用して例示したパターニングができれば表面12a側から透明樹脂膜22を露光してもよい。
以上説明した基板10の製造方法では、所定パターンPを呈する金属配線14が設けられた透明フィルム12を備え、所定パターンPが有する開口部16が透明樹脂充填材18で埋められた基板10を製造できる。
基板10の製造工程では、本硬化工程S18の前に、予備硬化工程S16を設けている。そのため、フラッシュアニール処理において、金属配線14が表面12aに設けられた透明フィルム12の熱変形を抑制できる。この点について、予備硬化工程S16を設けない場合と比較しながら説明する。
予備硬化工程S16を設けずに、透明樹脂膜22を所望の硬度まで硬化させる方法としては、例えば、透明樹脂膜22が形成された透明フィルム12を焼成炉内で焼成することが考えられる。この場合、高温(例えば、160℃)で長時間(例えば、60分)の焼成が必要になる。その結果、透明フィルム12が熱変形し易く、基板10の製造効率も低下する。効率性の観点からは、フラッシュアニール処理のみで透明樹脂膜22を所望の硬度まで硬化させることが考えられる。しかしながら、本発明者らの知見では、フラッシュアニール処理のみで透明樹脂膜22を所望の硬度まで硬化させると、透明フィルム12に熱変形が生じるし、更に、金属配線14の上面14aが許容範囲を超えて粗くなる場合も生じ得る。また、フラッシュアニール処理のみで透明樹脂膜22を硬化させる際に、上述した熱変形を回避しようとすると、透明樹脂膜22を所望の硬度まで硬化できない傾向にある。
これに対して、図2のフローチャートで例示した基板10の製造方法では、予備硬化工程S16を設けている。予備硬化工程S16では、本硬化する必要はないので、焼成炉又はホットプレートなどで加熱処理する際も、透明フィルム12のガラス転移温度以下で、より短い時間(例えば、20分程度)の処理でよい。そして、上記製造方法では、予備硬化工程S16の後に、本硬化工程S18を実施し、予備硬化された透明樹脂膜22をフラッシュアニール処理で本硬化する。
本硬化工程S18では、透明樹脂膜22は、予備硬化されているので、フラッシュアニール処理だけで透明樹脂膜22を所望の硬度以上に硬化させる場合より、フラッシュアニール処理での処理条件を緩和できる。具体的には、フラッシュアニール処理における光量を、フラッシュアニール処理だけで透明樹脂膜22を所望の硬度以上に硬化させる場合より低減できる。その結果、フラッシュアニール処理において、金属配線14が表面12aに設けられた透明フィルム12の熱変形を抑制できる。
したがって、図2のフローチャートに例示した基板10の製造方法では、金属配線14が表面12a上に形成された透明フィルム12の熱変形を抑制しながら、開口部16内の透明樹脂膜22を、フラッシュアニール処理を利用して硬化させることができる。フラッシュアニール処理を利用していることから、透明樹脂膜22の硬化処理時間を短くできる。また、予備硬化工程S16においても、透明樹脂膜22を、透明樹脂充填材18としての所望の硬度まで硬化させる必要がないので、予備硬化処理に要する時間は短くてよい。よって、所望の硬度の透明樹脂充填材18を有する基板10を、効率的に製造可能である。
上記<条件1>を満たすように、フラッシュアニール処理での照射光量条件を調整する形態では、所望の硬度を実現しながら、フラッシュアニール処理前後での透明フィルム12の反りの増加を1.0mm以下に抑制可能である。
上記<条件2>を満たすように、上記照射光量条件を調整する形態では、金属配線14の上面14aの鏡面状態を維持できる。これにより、例えば、基板10上に有機EL素子を形成した際に、有機EL素子の電極と、金属配線14との密着性が向上するので、金属配線14を介して有機EL素子の電極に均一に電力を供給できる。
更にまた、<条件3>を満たすように、上記照射光量条件を調整する形態では、フラッシュアニール処理の前後における金属配線14の表面抵抗値(Ω/□)の比を10倍以下にできる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態として、第1の実施形態の製造方法で製造された基板10を備えた有機ELデバイス及びその製造方法について説明する。
図7に模式的に示した有機ELデバイス28は、基板10と、有機EL素子30とを備える。基板10の構成は、図1(a)及び図1(b)に示した基板10の構成と同じであることから、説明を省略する。有機EL素子30は、基板10上に設けられており、陽極層(第1の電極層)30aと、陰極層(第2の電極層)30bと、陽極層30a及び陰極層30bの間に配置された発光層(有機発光層)30cを含む。有機ELデバイス28は、基板10側から光を出射するボトムエミッション型であっても、基板10とは反対側から光を出射するトップエミッション型であってもよい。
陽極層30aには、基板10における金属配線14上に設けられている。陽極層30aは、金属酸化物、金属硫化物及び金属などからなる薄膜を用いることができ、具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、及び銅などからなる薄膜が用いられる。発光層30cから放射される光が陽極層30aを通って素子外に出射する構成の有機ELデバイスの場合、陽極層30aには光透過性を示す電極が用いられる。
陰極層30bは、発光層30cを介して陽極層30a上に設けられている。陰極層30bの材料としては、仕事関数が小さく、発光層30cへの電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。陽極層30a側から光を取り出す構成の有機ELデバイスでは、発光層30cから放射される光を陰極で陽極層30a側に反射するために、陰極層30bの材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極層30bには、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表の13族金属などを用いることができる。陰極層30bとしては導電性金属酸化物および導電性有機物などからなる透明導電性電極を用いることができる。
発光層30cは、光を発光する機能を有する有機機能層である。発光層30cは、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率を向上させるため、或いは、発光波長を変化させるために加えられる。発光層30cに含まれる有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。発光層30cを構成する発光材料としては、有機EL素子に利用される例えば公知の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
有機ELデバイス28の製造方法の一例について説明する。この製造方法は、図8のフローチャートに示したように、基板製造工程S20と、素子形成工程S22とを備える。基板製造工程S20は、第1の実施形態で説明した製造方法で基板10を製造する工程である。そのため、基板製造工程S20の説明は省略する。
素子形成工程S22では、基板10上に、陽極層30a、発光層30c及び陰極層30bを順次形成することによって有機EL素子30を形成する。
陽極層30a、陰極層30b及び発光層30cは、蒸着法や塗布法によって形成することができる。塗布法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法およびノズルコート法などのコート法、並びにグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。パターン塗布が必要な場合には、パターン塗布が可能な塗布法によって形成され、とくにインクジェットプリント法によって形成されることが好ましい。
塗布法に用いるインク(塗布液)の溶媒としては、各材料を溶解させるものであれば制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水を挙げることができる。
有機ELデバイス28の製造方法では、基板製造工程S20を備えており、基板製造工程S20は、図2に示したフローチャートに沿って基板10を製造する。したがって、有機ELデバイス28の製造方法は、少なくとも第1の実施形態で説明した基板10の製造方法と同様の作用効果を有する。
すなわち、基板製造工程S20において、金属配線14が表面12a上に形成された透明フィルム12の熱変形を抑制しながら、開口部16内の透明樹脂膜22を、フラッシュアニール処理を利用して硬化させることができる。これにより、前述したように、基板10を効率的に製造できるので、有機ELデバイス28の製造効率も向上する。更に、基板10の製造において、金属配線14が表面12a上に形成された透明フィルム12の熱変形が生じにくいので、基板10の製造歩留まりが向上し、その結果、有機ELデバイス28の製造歩留まりの向上に資する。
上記のように製造された有機ELデバイス28では、基板10が有する金属配線14に接して陽極層30aが設けられている。そのため、金属配線14を介して陽極層30aに電力を供給可能である。金属配線14は、複数の開口部16を有する所定パターンPで形成されていることから、開口部16を有さない場合或いは陽極層30aに直接電力を供給する場合に比べて、陽極層30aの中央(有機ELデバイス28の平面視形状における中央)部分に対する電圧降下を低減しながら陽極層30aに電力を供給可能である。その結果、有機ELデバイス28から照射される光の輝度均一性が向上する。
金属配線14が呈する所定パターンPにおける複数の開口部16には、透明樹脂充填材18が充填されていることから、基板10の表面10a(陽極層30aとの界面)は平坦化されている。仮に、複数の開口部16に透明樹脂充填材18が充填されていない場合、基板の表面は凹凸形状を有する。このような基板表面の凹凸は、電流リークの原因となり、発光効率が低下する場合がある。これに対して、基板10の表面10aが平坦化されていれば、陽極層30a、発光層30c及び陰極層30bのそれぞれをほぼ均一な厚さで形成可能である。平坦な陽極層30a上に形成される発光層30cは、局所的に薄くなる箇所が無いので、電流リークが生じにくい。その結果、有機ELデバイス28の発光効率の向上を図ることができる。
基板10が有する透明フィルム12上に設けられる金属配線14は、複数の開口部16を有する所定パターンPで形成されており、開口部16には透明樹脂充填材18が埋められている。そのため、陽極層30a側から発光層30cの光を取り出すことが可能である。
図7では、陽極層30aと陰極層30bとの間に発光層30cのみが設けられている例を示したが、陽極層30aと陰極層30bとの間には発光層30c以外の有機機能層が設けられてもよい。以下、具体的に説明する。
陰極層30bと発光層30cとの間に設けられる層の例としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極層30bと発光層30cとの間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極層30bに接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という。
電子注入層は、陰極層30bからの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層は、陰極、電子注入層または陰極層30bにより近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。電子注入層および/または電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば正孔電流のみを流す有機EL素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することができる。
陽極層30aと発光層30cとの間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。陽極層30aに接する層を正孔注入層という。
正孔注入層は、陽極層30aからの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層または陽極層30aにより近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。正孔注入層および/または正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば電子電流のみを流す有機EL素子を作製し、測定された電流値の減少で電子の輸送を堰き止める効果を確認することができる。
上述した各種の有機機能層を含む有機ELデバイスにおける、有機EL素子の層構成の例を以下に示す。
a)陽極層/発光層/陰極層
b)陽極層/正孔注入層/発光層/陰極層
c)陽極層/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極層
d)陽極層/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極層
e)陽極層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極層
f)陽極層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極層
g)陽極層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極層
h)陽極層/発光層/電子注入層/陰極層
i)陽極層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極層
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。上記a)の構成が図7に示した構成に対応する。
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層のそれぞれの材料は公知の材料を用いることができる。正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層のそれぞれは、例えば、発光層30cと同様に塗布法により形成できる。
有機ELデバイス28は単層の発光層30cを有していても2層以上の発光層30cを有していてもよい。上記a)〜i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極層30aと陰極層30bとの間に配置された積層構造を「構造単位A」とすると、2層の発光層30cを有する有機EL素子の構成として、例えば、下記j)に示す層構成を挙げることができる。2個ある(構造単位A)の層構成は互いに同じであっても、異なっていてもよい。
j)陽極層/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極層
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどからなる薄膜を挙げることができる。
「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子の構成として、例えば、以下のk)に示す層構成を挙げることができる。
k)陽極層/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極層
記号「x」は、2以上の整数を表し、「(構造単位B)x」は、(構造単位B)がx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
電荷発生層を設けずに、複数の発光層30cを直接的に積層させて有機EL素子を構成してもよい。
基板10上に形成される層の順序、層の数、および各層の厚さについては、発光効率、寿命を勘案して適宜設定することができる。有機ELデバイスは、通常、陽極層を基板10側に配置して基板10上に設けられるが、陰極層を基板10側に配置して基板10上に設けてもよい。例えばa)〜k)の各有機EL素子を基板10上に作製する場合、陽極層を基板10側に配置する形態では陽極層側(各構成a〜kの左側)から順に各層を基板10上に積層し、陰極層を基板10側に配置する形態では陰極層(各構成a〜kの右側)から順に各層を基板10上に積層する。
以上、本発明の種々の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述した種々の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
10…基板、12…透明フィルム、12a…表面(フィルム表面)、14…金属配線、14a…上面(金属配線におけるフィルム表面と反対側の面)、16…開口部、20…塗布膜、22…透明樹脂膜、28…有機ELデバイス、30…有機EL素子、30a…陽極層(第1の電極層)、30b…陰極層(第2の電極層)、30c…発光層(有機発光層)、 P…所定パターン。

Claims (9)

  1. プラスチック材料を含む透明フィルムと、前記透明フィルムのフィルム表面上に、複数の開口部を有する所定パターンで形成されている金属配線とを有し、透明樹脂を含む透明樹脂膜で前記開口部が埋められている、基板の製造方法であって、
    前記透明フィルムの前記フィルム表面上に形成されている前記金属配線を埋設するように、熱硬化性を有する透明樹脂を含む塗布液を塗布して前記フィルム表面上に塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
    前記塗布膜を加熱処理し、前記塗布膜から溶媒を除去して透明樹脂膜を形成する透明樹脂膜形成工程と、
    前記透明樹脂膜のうち、前記金属配線における前記フィルム表面と反対側の面上の部分を除去して前記開口部に対応する部分を残すように、前記透明樹脂膜をパターニングするパターニング工程と、
    前記パターニング工程後に、前記透明フィルム上に残存した前記透明樹脂膜を加熱処理して予備硬化する予備硬化工程と、
    前記透明フィルムの前記フィルム表面側から前記予備硬化された前記透明樹脂膜にパルス光を照射して前記透明樹脂膜をフラッシュアニール処理することによって、前記透明樹脂膜を本硬化する本硬化工程と、
    を備える、基板の製造方法。
  2. 前記フラッシュアニール処理において、前記透明樹脂膜に照射される光量は、前記予備硬化工程を実施せずに、前記パターニング工程後の前記透明樹脂膜を本硬化する場合の光量より少ない、
    請求項1に記載の基板の製造方法。
  3. 前記本硬化工程では、前記フラッシュアニール処理の前後における前記透明フィルムの反りの増加量が1.0mm以下であるような光量で、前記透明樹脂膜を前記フラッシュアニール処理する、
    請求項1又は2に記載の基板の製造方法。
  4. 前記本硬化工程では、前記フラッシュアニール処理後における前記金属配線の表面が目視観察で鏡面を保つような光量で、前記透明樹脂膜を前記フラッシュアニール処理する、
    請求項3に記載の基板の製造方法。
  5. 前記本硬化工程では、前記フラッシュアニール処理の前後における前記金属配線の表面抵抗値(Ω/□)の比が10倍以下となる光量で、前記透明樹脂膜を前記フラッシュアニール処理する、
    請求項3に記載の基板の製造方法。
  6. 前記フラッシュアニール処理後の前記透明樹脂膜の鉛筆硬度が2H以上である、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の基板の製造方法。
  7. 前記予備硬化工程では、焼成炉又はホットプレートにより前記透明樹脂膜を予備硬化する、請求項1〜6の何れか一項に記載の基板の製造方法。
  8. 前記透明樹脂はネガ型の感光性を有しており、
    前記パターニング工程は、
    前記透明フィルムの前記フィルム表面と反対側から前記透明樹脂膜を前記透明樹脂の感光波長を有する光で露光する露光工程と、
    前記露光工程後の前記透明樹脂膜を現像する現像工程と、
    を有する、
    請求項1〜7の何れか一項に記載の基板の製造方法。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載の基板の製造方法により基板を製造する基板製造工程と、
    前記基板の前記金属配線上に、第1の電極層と、有機発光層と、第2の電極層とを順に積層してなる有機EL素子を形成する素子形成工程と、
    を備える、有機ELデバイスの製造方法。
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