JP2014182295A - 有機el素子、有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子、有機el素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014182295A
JP2014182295A JP2013056956A JP2013056956A JP2014182295A JP 2014182295 A JP2014182295 A JP 2014182295A JP 2013056956 A JP2013056956 A JP 2013056956A JP 2013056956 A JP2013056956 A JP 2013056956A JP 2014182295 A JP2014182295 A JP 2014182295A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
organic
insulating layer
light emitting
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013056956A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuto Yamamoto
和人 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2013056956A priority Critical patent/JP2014182295A/ja
Publication of JP2014182295A publication Critical patent/JP2014182295A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】有機発光層下部に設けられた基板上のゲート絶縁層が、薄膜トランジスタのチャネル層やオーミックコンタクト層のエッチング時に膜減りすることなく、光干渉の影響を抑え、発光色度を低く抑えることができる有機EL素子を提供する。
【解決手段】基板と、当該基板上に形成されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成されたチャネル層及び当該チャネル層上に形成されたチャネル保護層を備える薄膜トランジスタと、当該薄膜トランジスタによって駆動される発光画素部とを有し、前記発光画素部は、前記ゲート絶縁層を形成する被膜によって前記基板上に形成された第一の絶縁層と、当該第一の絶縁層上に形成された第一の保護層とを有する有機EL素子。
【選択図】図4

Description

本発明は、情報表示端末などのディスプレイへの用途が期待される有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略称)とその製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、有機ELディスプレイと略称)は、基板上に少なくともアノード電極と有機発光層とカソード電極とを含み、電極間に電界をかけることにより前記有機発光層に電子と正孔を注入し発光させる有機EL素子からなる。有機EL素子は自発光型素子であることから、液晶ディスプレイのようにバックライトを用いなくても表示が可能である。また、素子構造が単純であるため、薄く、軽量な素子を作製することができ、現在活発に研究が行われている。一般的な有機EL素子は、アノード電極、カソード電極間に有機発光層だけでなく、発光補助層を備えている場合もある。発光補助層としては、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等がある。以下、有機発光層及び発光補助層を合わせて有機発光媒体層と呼ぶ。
また、有機EL素子においては、表示のための光の取り出し方から2種類に大別され、発光した光を基板と反対側から取り出すトップエミッション方式と、発光した光を基板側から取り出すボトムエミッション方式がある。薄膜トランジスタ等の画素回路で画素発光を制御する有機EL素子の場合、トップエミッション方式では画素回路上に画素電極を形成する事ができるので、複雑な画素回路が形成されている有機EL素子でも開口率を下げることなく画素電極を形成する事ができる。しかしながら画素回路上に画素電極を形成する場合は、画素回路による凹凸を緩和するための平坦化層が必要なため、有機EL素子を製造するための工程数が多くなる欠点がある。一方、ボトムエミッション方式では、画素回路上に画素電極を形成することが出来ないが、平坦化層を形成する必要が無いため、トップエミッション方式と比べ有機EL素子を製造するための工程数を少なくすることができる。
特許文献1に示す先行技術文献ではボトムエミッション方式を採用した有機EL素子構造を採用しているが、ボトムエミッション方式の素子構造により発光の色度変化が生じる可能性がある。具体的には有機発光層下部のゲート絶縁層の膜厚にばらつきが生じると、色度変化が生じてしまう。
図1に色度変化が生じる模式図を示す。この模式図はボトムエミッション型有機EL素子の発光を示したものである。ガラス基板(屈折率約1.5)上に薄膜トランジスタのゲート絶縁層となる窒化シリコン薄膜(屈折率約1.9)が形成されている。窒化シリコン薄膜上には有機EL素子の発光に関連する透明アノード電極、有機発光層、カソード電極が形成されている。なお透明アノード電極の材料として本図では一例としてインジウムスズ複合酸化物(以下ITO屈折率約2.0)を用いている。またカソード電極は可視光に対する反射性を有する金属膜を用いている。
アノード電極−カソード電極間に電圧を印加し、有機発光層に電流を流すことにより、有機発光層から可視光が放射する。基板側への放射光はそのまま基板側に向かい、基板と反対側への放射光はカソード電極で反射して基板側に向かうので、有機発光層から生じる放射光は全てガラス基板に向かう。
ほとんどの放射光は透明アノード電極、窒化シリコン薄膜、ガラス基板を通り、有機EL素子外に抜けるが、窒化シリコン薄膜とガラス基板は屈折率の差が大きいので一部の光は窒化シリコン薄膜−ガラス基板界面で反射し、基板の反対側に向かう。基板の反対側に向かった光はカソード電極で反射され、再び基板側に向かい、大半の光は有機EL素子外に抜ける。
界面で反射することなく有機EL素子外に放射した光と、窒化シリコン薄膜−ガラス基板界面とカソード電極で反射し、有機EL素子外に放射した光は光路差によっては干渉を起こし、色度が変化する恐れがある。例えば、図1に示す構造を有するボトムエミッション方式の青色有機EL素子を発光させた時のゲート絶縁層の膜厚に対する色度(Cy)は、ゲート絶縁層の膜厚、350、400、420nmに対してそれぞれ、0.166、0.152、0.143と変化する。これはゲート絶縁層の窒化シリコン薄膜の膜厚が異なることによって界面で反射されない放射光と界面で反射された放射光との間の光路差も異なるので、光干渉の仕方も異なる結果である。
従って、ボトムエミッション型の有機EL素子を製造する上で、有機発光層下部のゲート絶縁層の膜厚を制御する必要があるが、製造した有機EL素子において、想定膜厚より有機発光層下部のゲート絶縁層が30〜50nm薄くなる問題がある。
想定膜厚より有機発光層下部のゲート絶縁層が薄くなる原因として薄膜トランジスタのチャネル層加工時のゲート絶縁層の膜減りが挙げられる。図2に薄膜トランジスタのチャネル層加工時のゲート絶縁層の膜減りの模式図を示す。図2に示すのは薄膜トランジスタにより駆動する有機EL素子を製造途中で断面視した図である。図2中のドライエッチング工程前の断面図はフォトリソグラフィーによりソース電極とドレイン電極をパターニングした直後の図である。ここに示す薄膜トランジスタにはガラス基板上に、下からゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル層(シリコン薄膜)、チャネル保護層(窒化シリコン)、オーミックコンタクト層(シリコン薄膜成膜時にリンをドーピングした導電性薄膜)、ソース・ドレイン電極(Cr)がパターン形状を作って積層されている。一方発光画素部にはガラス基板上にゲート絶縁層、チャネル層、オーミックコンタクト層が積層されている。
図2中のドライエッチング工程後の断面図は、ドライエッチングによりオーミックコンタクト層、チャネル層を加工した後の状態を示す。ドライエッチング時に用いるガスは六フッ化硫黄ガス(SF6)、水素ガス、塩素ガスであり、これらのガスによってドライエッチングを行うとシリコン薄膜や、シリコンにリンをドーピングした導電性薄膜はプラズマによって反応を起こし、選択的にエッチングされる。よってチャネル保護層や、ソース・ドレイン電極の下に位置していないチャネル層、オーミックコンタクト層は全てドライエッチングにより取り除かれる。チャネル層、オーミックコンタクト層のドライエッチングに用いるプラズマは窒化シリコンに対して反応しにくい条件を導入しているが、まったく反応が起きないわけではなくプラズマに対する反応時間に応じてエッチングされる。
ドライエッチング後の発光画素部のゲート絶縁層は上層のチャネル層、オーミックコンタクト層がドライエッチングにより取り除かれた後もある程度の時間はプラズマにさらされるため、図中の下向き矢印で示す破線位置のように、膜減りが生じてしまっている。一方、薄膜トランジスタのゲート絶縁層は、ソース・ドレイン電極や、チャネル保護層により保護されているので、ドライエッチングを行った後でも成膜時より膜厚は変動していない。
上記ドライエッチングによる膜減りにより、想定よりも有機発光層下部のゲート絶縁層の膜厚が薄くなるため、有機EL素子を製造すると青色の発光色度Cyが想定より高くなってしまう恐れがある。Cyが比較的低い方がより深みのある青色発光となるので、有機発光層下部のゲート絶縁層の膜厚は厚いほうが好ましい場合が多い。しかしながら、薄膜トランジスタのゲート絶縁層と発光画素部のゲート絶縁層とが一体的に形成されるので、ドライエッチングによる膜減りを見越して、発光画素部のゲート絶縁層の膜厚を最初から厚く成膜すると、薄膜トランジスタのゲート絶縁層も厚くなってしまう。薄膜トランジスタが流す電流はゲート絶縁層の膜厚に反比例するので、ゲート絶縁層の膜厚が厚くなることで薄膜トランジスタの特性が低下し、有機EL素子の駆動に悪影響を及ぼす結果となる。
特開2004−363034号公報
本発明は、上記問題を解決するため提案されるものであり、本発明が解決しようとする課題は、チャネル層やオーミックコンタクト層をエッチングする時に、有機発光層下部に設けられた基板上のゲート絶縁層が膜減りすることなく、有機発光層から放射された光が、基板とゲート絶縁層の界面で反射することに起因する光干渉の影響を抑えることができ、発光色度を低く抑えることができる有機EL素子を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、基板と、当該基板上に形成されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成されたチャネル層及び当該チャネル層上に形成されたチャネル保護層を備える薄膜トランジスタと、当該薄膜トランジスタによって駆動される発光画素部とを有する有機EL素子であって、前記発光画素部は、前記ゲート絶縁層を形成する被膜によって前記基板上に形成された第一の絶縁層と、当該第一の絶縁層上に形成された第一の保護層とを有することとした。
本発明の第二の態様は、前記発光画素部は、前記ゲート絶縁層上であって前記第一の保護層下に形成された第二の保護層をさらに有することとしてもよい。
本発明の第三の態様は、前記第一の保護層を、前記チャネル保護層を形成する被膜のエッチング剤に対して耐性を有する材料で形成することとしてもよい。
本発明の第四の態様は、前記エッチング剤に対して耐性を有する材料を、シリコン窒化物もしくはシリコン酸化物としてもよい。
本発明の第五の態様は、前記発光画素部を複数の発光画素部とするとともに、前記薄膜トランジスタを、前記複数の発光画素部を各々駆動する複数の薄膜トランジスタとしてもよい。
本発明の第六の態様は、基板と、当該基板上に形成されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成されたチャネル層及び当該チャネル層上に形成されたチャネル保護層を備える薄膜トランジスタと、当該薄膜トランジスタによって駆動される発光画素部とを有する有機EL素子の製造方法であって、前記発光画素部に、前記基板上に形成された第一の絶縁層を設ける第一の絶縁層形成工程と、前記第一の絶縁層上に第一の保護層を形成する第一の保護層形成工程とを有することとした。
本発明の第七の態様は、さらに前記第一の保護層下に第二の保護層を形成する第二の保護層形成工程とを有してもよい。
本発明の第八の態様は、前記第一の絶縁層を、前記ゲート絶縁層を形成する被膜によって前記ゲート絶縁層と一体的に同時に成膜して形成してもよい。
本発明の第九の態様は、前記第一の保護層を、前記チャネル保護層を形成する被膜によって前記チャネル保護層と一体的に同時に成膜し、パターニングして形成してもよい。
本発明の第十の態様は、前記第二の保護層を、前記チャネル層を形成する被膜によって前記チャネル層と一体的に同時に成膜し、パターニングして形成してもよい。
本発明による有機EL素子によれば、ゲート絶縁層の上方に設けられた第一の保護層が、薄膜トランジスタのチャネル層やオーミックコンタクト層をエッチングする時に、有機発光層下部に設けられた基板上のゲート絶縁層を保護するので、このゲート絶縁層が膜減りしない。よって、有機発光層から放射された光が、基板とゲート絶縁層の界面で反射することに起因する光干渉の影響を抑えることができ、発光色度を低く抑えることができる有機EL素子を提供できる。
ボトムエミッション方式の有機EL素子において光干渉が発生する要因を説明するための模式図である。 従来例の有機EL素子においてドライエッチングによる発光画素下部のゲート絶縁層の膜減りを説明するための断面模式図である。 本実施形態の有機EL素子の概略構造を説明するための模式図である。 本実施形態の有機EL素子の概略構造および実施の形態を説明するための断面模式図である。 本実施形態の有機EL素子を作製するための凸版印刷機の概念図である。 本実施形態の比較例1における有機EL素子の概略構造を説明するための模式図である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明はこれに限るものではない。
図3は、本実施形態の有機EL素子10の概略構造の一例を説明するための模式図である。絶縁性基板11上に、発光画素部12が図面上下左右方向にマトリックス状に配列されている。それぞれの発光画素には、図3では省略したが、画素電極(例えばアノード電極)と画素容量が形成されている。また発光画素部12周辺には画素容量に電圧を書き込むための選択トランジスタ14と、画素容量に書き込まれた電圧に従い発光画素部12に電流を供給し、発光画素部12を駆動させて発光させるための駆動トランジスタ13がそれぞれ設けられている。
発光画素部12の配列に沿って列方向(すなわち図面上下方向)に選択トランジスタ14を経由して発光画素部12の画素容量に電圧を書き込むための信号線15が配設され、また、当該信号線15に直交して行方向(すなわち図面左右方向)に選択トランジスタ14を選択状態にするための走査線16及び、駆動トランジスタ13に発光のための電流を流す電力供給線17が配設されている。絶縁性基板11上に2次元配列された複数の発光画素部12の画素電極に対して共通に単一の平面電極(べた電極)からなる対向電極(例えばカソード電極)19が形成されている。
図3の実施形態では、選択トランジスタと駆動トランジスタの二個のトランジスタを配置して一つの発光画素部12の駆動を行う方式を示したが、一つの発光画素部12につき三個以上のトランジスタを配置して駆動させる方式でも良い。また、選択トランジスタと駆動トランジスタが、本発明の薄膜トランジスタに相当する。
図4は、本実施形態の有機EL素子の断面構造の一例を説明するため模式図である。基板11上に、発光画素部12、駆動トランジスタ13、信号線15が設けられている。また、これら電気素子上には前記電気素子を保護するための層間絶縁層18が設けられている。
発光画素部12はガラス基板上の第一の絶縁層12a上に形成され、半導体層12b、第二の絶縁層12c、画素電極12d、有機発光層12eを備える。また、画素電極12dに対して対向電極19が形成されている。駆動トランジスタ13はゲート電極13a、ゲート絶縁層13b、チャネル層13c、チャネル保護層13d、オーミックコンタクト層13e、ソース電極13f、ドレイン電極13gをそれぞれ備える。本実施形態では第一の絶縁層12aとゲート絶縁層13bを一体的に同時に成膜して形成する。また、半導体層12bとチャネル層13cも一体的に同時に成膜し、パターニングして形成する。同様に第二の絶縁層12cとチャネル保護層13dも一体的に同時に成膜し、パターニングして形成するが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなくそれぞれの層を別々に成膜、パターニングすることも可能である。前記第二の絶縁層12cが、本発明の第一の保護層に相当し、前記半導体層12bが、本発明の第二の保護層に相当する。
また、本実施形態の有機EL素子においては、画素電極12dと対向電極19の間には有機発光層12eの他に発光補助層を備える構造でもよい。発光補助層としては、正孔輸送層の他に、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、等を挙げることができる。これらの発光補助層は適宜選択され、複数選択してもよい。正孔注入層はアノード電極と有機発光層12eとの間に設けられる。電子注入層、電子輸送層は有機発光層12eとカソード電極との間に設けられる。また、本発明の有機EL素子にあっては、アノード電極、カソード電極、有機発光層12e、正孔輸送層は単層構造ではなく、多層構造としてもよい。
図4では、薄膜トランジスタ13の実施形態としてゲート電極がチャネル層の下層に位置するボトムゲート構造の薄膜トランジスタを示したが、本発明は前記方式に限定されるものではなく、ゲート電極がチャネル層の上層に位置するトップゲート型の薄膜トランジスタでも良い。
本発明の有機EL素子においては、図4とは逆に、基板11上に、カソード電極となる画素電極12d、有機発光層12e、アノード電極となる対向電極19の順に設けてもよい。有機発光層12eと発光補助層とを総称して有機発光媒体層と呼べば、いずれの場合も、基板11上に、画素電極12d、有機発光媒体層、対向電極19の順に断面構成される。
次に、図3、図4に示した本実施形態の有機EL素子の製造方法について説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施形態にかかる基板11としては、絶縁性と透明性を有する基板、例えばガラス基板や石英基板が使用できる。また、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムやシートであっても良い。これら、プラスチックフィルムやシートに、金属酸化物薄膜、金属弗化物薄膜、金属窒化物薄膜、金属酸窒化物薄膜、あるいは高分子樹脂膜を積層したものを基板として利用することにより、水分やガスの透過を小さくして、素子の特性を安定化することができる。
前記金属酸化物薄膜としては、酸化珪素、酸化アルミニウム等が例示できる。前記金属弗化物薄膜としては、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等が例示できる。前記金属窒化物薄膜としては、窒化珪素、窒化アルミニウム等が例示できる。また、前記高分子樹脂膜としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂等が例示できる。
なお、上記各種の基板は、あらかじめ加熱処理を行うことにより、基板内部や表面に吸着した水分を極力低減することがより好ましい。また、基板上に積層される材料に応じて、密着性を向上させるために、超音波洗浄処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などの表面処理を施してから使用することが好ましい。
基板11の表面処理後、基板11上にゲート電極13a及び、信号線15を形成する。前記ゲート電極13a及び、信号線15の材料は例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cu膜等の単一金属や、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなるが、本発明はこれら材料に限定するものではない。上述の材料膜の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。真空成膜された金属膜にフォトレジストを塗布して露光・現像し、ウェットエッチング又はドライエッチングして、パターン状に加工する。
ゲート電極13a及び、信号線15を形成後はゲート絶縁層13b、チャネル層13c、チャネル保護層13dの三層を真空成膜する。前記三層成膜はCVD(Chemical Vapor Deposition)装置等の真空成膜装置を用いて成膜される。三層の成膜は基板を真空装置から取り出さずに連続して行うのが望ましい。ゲート絶縁層13b及び、チャネル保護層13dを形成する被膜は、シリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる。また、チャネル層13cはシリコン薄膜または金属酸化物薄膜からなる。シリコン薄膜の場合は、非晶質シリコン薄膜でも良いし、多結晶シリコン薄膜でも良いし、非晶質シリコン薄膜の中に微結晶状態のシリコンが含まれている微結晶シリコン薄膜でも良い。もしくは、それらの層を組み合わせた多層構造にすることも可能である。チャネル層13cの材料に非晶質シリコン薄膜もしくは微結晶シリコン薄膜を用いる場合はCVDにより直接成膜することが可能であるが、多結晶シリコン薄膜を用いる場合はCVDで非晶質シリコン薄膜を成膜後、レーザー等でアニール処理を行い、非晶質シリコンを多結晶化させる必要がある。金属酸化物薄膜の場合は、ZnOやInGaZnO等の公知の透明金属酸化物を用いることができる。
このように薄膜トランジスタ13にゲート絶縁層13bを形成する際、発光画素部12の第一の絶縁層12aも、ゲート絶縁層13bを形成する被膜によって、ゲート絶縁層13bと一体的に同時に成膜形成される(第一の絶縁層形成工程)。また薄膜トランジスタ13にチャネル保護層13dを形成する際、発光画素部12の第二の絶縁層12cも、チャネル保護層13dを形成する被膜によって、第一の絶縁層12a上に、チャネル保護層13dと一体的に同時に成膜形成される(第一の保護層形成工程)。また薄膜トランジスタ13にチャネル層13cを形成する際、発光画素部12の半導体層12bも、チャネル層13cを形成する被膜によって、第二の絶縁層12c下にチャネル層13cと一体的に同時に成膜形成される(第二の保護層形成工程)。
前記三層成膜を行った後、チャネル保護層13dにフォトレジストを塗布して露光・現像し、ウェットエッチング又はドライエッチングによりパターニングする。チャネル保護層13dのパターニングにより発光画素を構成する第二の絶縁層12cも一体的に同時に成膜形成される。その後オーミックコンタクト層13eを成膜する。前記オーミックコンタクト層13eはチャネル層13cと同様CVDにより成膜するが、アルシン、ホスフィン等のドナー型不純物を含むシランガスをプロセスガスとして用いる。前記ドナー型不純物を含むプロセスガスを用いた場合、オーミックコンタクト層13eはドナー型の不純物を含むシリコン薄膜で形成され、最終的に得られる薄膜トランジスタ13はn型薄膜トランジスタとなる。しかしながら薄膜トランジスタ13の用途に応じ、例えばジボラン等のアクセプター型不純物を含むシランガスを用いることで最終的にp型薄膜トランジスタを得ることもできる。
オーミックコンタクト層13e成膜後、ソース電極13f及び、ドレイン電極13gを形成する。図示していないが、前記ソース・ドレイン電極と同時に走査線16及び電力供給線17を一括して形成する。
オーミックコンタクト層13eは不純物を含むシリコン薄膜で形成されているので、大気中で表面が容易に酸化皮膜で覆われる。そのためオーミックコンタクト層13e成膜後、表面処理を施さずにソース電極13f及び、ドレイン電極13gを形成するとオーミックコンタクト層13e表面の酸化皮膜が絶縁層となり、オーミックコンタクト層13eとソース電極13f及び、オーミックコンタクト層13eとドレイン電極13gとの間で電気的導通をとることが困難になる。よってオーミックコンタクト層13e成膜後、ソース・ドレイン電極用の膜を成膜する直前に表面処理を行い、酸化皮膜を除去する必要がある。表面処理は例えばフッ化アンモニウム溶液で基板表面をシャワー処理する等の方法で行う。
ソース電極13f及び、ドレイン電極13gの材料は例えば、Mo膜、Cr膜、Al膜、Cu膜等の単一金属や、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなるが、本発明はこれら材料に限定するものではない。上述の材料膜の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。真空成膜された金属膜にフォトレジストを塗布して露光・現像し、ウェットエッチング又はドライエッチングして、パターン状に加工する。この時点で、発光画素部12のフォトレジストは現像されて剥離されるので、発光画素部12の最表層は第二の絶縁層12cとなる。
図3、図4では省略したが、チャネル保護層13dのパターニング後もしくは、オーミックコンタクト層13eの成膜後、ソース・ドレイン電極用の膜を形成する前に必要に応じてコンタクトホール形成を行う。例えば図3に示す、選択トランジスタ14のゲート電極と走査線16は電気的に接続する必要があるが、これらは同じ層に無いため、電気的に接続するためにはあらかじめコンタクトホールを形成しておく必要がある。同様に選択トランジスタ14のソース電極と信号線15の電気的接続や、駆動トランジスタ13のソース電極13fと電力供給線17の電気的接続はコンタクトホールを介して行う。コンタクトホールは、オーミックコンタクト層13eにフォトレジストを塗布して露光・現像し、ウェットエッチング又はドライエッチングをすることで形成する。
ソース電極13f及び、ドレイン電極13gのパターニング後、オーミックコンタクト層13e及び、チャネル層13cのパターニングを行う。このパターニングはフォトリソグラフィーを用いず、ソース電極13f及び、ドレイン電極13gのパターニング時のフォトレジストを剥離せずに、基板11をドライエッチングすることで行う。前記ソース・ドレイン電極のパターンで覆われたオーミックコンタクト層13eとチャネル層13c及び、チャネル保護層13dのパターンで覆われたチャネル層13c及び、第二の絶縁層12cのパターンで覆われた半導体層12bと、第一の絶縁層12aはドライエッチング環境下に置かれてもエッチングされないため、ドライエッチング終了後は前記ソース・ドレイン電極及び、前記チャネル保護層13dの下層にあるオーミックコンタクト層13e及び、チャネル層13c及び、第二の絶縁層12c下層の半導体層12bと、第一の絶縁層12aのみ残される。以上の製造方法により駆動トランジスタ13が形成される。図では省略したが、選択トランジスタ14も駆動トランジスタ13形成と同時に形成される。
次に、アノード電極となる画素電極12dを形成する。アノード電極形成材料として、ITO(インジウムスズ複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物が利用できる。被膜形成方法としてはドライコーティング方式が利用できる。例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等である。そして、真空成膜された金属酸化物被膜にフォトレジストを塗布して露光・現像し、ウェットエッチング又はドライエッチングして、パターン状に加工することができる。パッシブマトリックス方式の有機EL素子の場合には、アノード電極はストライプ状に形成される。アクティブマトリックス方式の有機EL素子の場合には、アノード電極はドット状にパターン形成されるが、各発光画素12の画素電極12dは駆動トランジスタ13のドレイン電極13gと電気的接続をとる必要がある。
画素電極12d形成後、層間絶縁層18を成膜する。前記層間絶縁層18は、例えばシリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる。また、前記層間絶縁層18はCVD装置等の真空成膜装置を用いて成膜される。層間絶縁層18成膜後、パターニングを行う。パターニングの内容は画素電極12d上に有機発光層12eを形成するために、画素電極12d上に矩形状のコンタクトホールを形成する加工と、有機EL素子形成後、該有機EL素子を駆動させるために、駆動用ドライバーやFPCを信号線15、走査線16、電力供給線17等と電気的に接続するためのコンタクトホール形成加工である。コンタクトホールは層間絶縁層18にフォトレジストを塗布して露光・現像し、ウェットエッチング又はドライエッチングをすることで形成する。
層間絶縁層18を形成後、隔壁20を形成する。隔壁を設けることによって、画素領域の正確な区分けと隣接画素間における混色の防止、リーク電流の防止、電気回路や電極線等の凹凸を軽減するなどの効果があり、また、基板回路上に設けられた薄膜トランジスタなどの駆動素子に対する保護効果も期待できる。隔壁20を形成する感光性樹脂材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらも可能であり、市販の材料を使用できる。感光性樹脂材料として、具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるがこれらに限定するものではない。この中でも感光性ポリイミドは耐熱性、耐溶剤性、低アウトガスなどの特性から最も好適である。また、有機ELディスプレイパネルの表示品位向上、および薄膜トランジスタの誤作動防止のため、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。
隔壁20を形成する感光性樹脂はスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法を用いて塗布される。次に、パターン露光と現像により、画素形成パターンを形成する。
前記実施形態では隔壁20を形成する材料として感光性を有する樹脂材料を用いたが、非感光性の樹脂材料を用いることも可能である。その場合はパターニングを行うために、樹脂を塗布後にレジストを続けて塗布し、フォトリソグラフィー法にてレジストをパターニングし、ドライエッチング等の方法でレジストにより保護されていない樹脂材料を除去する工程が必要となる。非感光性の樹脂材料としてはエポキシ系樹脂や、アクリル系樹脂が挙げられる。
隔壁20形成後、有機発光層12eを形成する。有機発光層12eは電流を通すことにより発光する層であり、大きく分けて低分子系材料と高分子系材料が存在する。低分子系材料は主に真空蒸着法により、高分子系材料は主に印刷法により形成するが、本発明では有機発光層の材料は低分子系材料でも、高分子系材料でもよく、形成方法も真空蒸着法や印刷法に限定されない。高分子系材料の有機発光材料として、例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’―ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系、ポリフェニレンビニレン系やポリフルオレン系が挙げられる。
有機発光媒体層の一部または全ての形成に用いる場合の印刷機は以下に示すような印刷機が望ましいが本発明はこれに限定される物ではない。図5は本発明の有機EL素子を作製するための凸版印刷機の概念図である。本製造装置は、インキチャンバー108とアニロックスロール101と、クッションテープ103を介して樹脂凸版104を取り付けした版胴105を有している。インキチャンバー108には、有機発光媒体インキが収容されている。アニロックスロール101は、インキチャンバー108のインキ供給部及び版胴105に接して回転するようになっている。
アニロックスロール101の回転にともない、インキチャンバー108から供給された有機発光媒体インキはドクターブレード102によってアニロックスロール101表面に均一に保持されたあと、版胴に取り付けた樹脂凸版104の凸部に均一な膜厚で転移する。さらに、被印刷基板107は摺動可能な基板固定台(ステージ)106上に固定され、版のパターンと被印刷基板のパターンの位置調整機構(図示せず)により、位置調整しながら印刷開始位置まで移動して、版胴の回転に合わせて樹脂凸版の凸部が基板に接しながらさらに移動し、基板の所定位置にインキを転移し、有機発光層12eをパターニングする。
次に、カソード電極となる対向電極19を形成する。カソード電極の材料としては、有機発光層12eへの電子注入効率の高い物質を用いる。具体的には、Mg、Al、Yb等の金属単体を用いてもよいし、発光媒体と接する界面にLiや酸化Li,LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いてもよい。または、電子注入効率と安定性を両立させるため、仕事関数が低いLi、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等の金属1種以上と、安定なAg、Al、Cu等の金属元素との合金系を用いてもよい。具体的にはMgAg、AlLi、CuLi等の合金が使用できる。
対向電極19の形成方法は、上述の材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いる。カソード電極の厚さに特に制限はないが、10nm〜1000nm程度が望ましい。カソード電極の膜厚が10nm未満であると膜のピンホールが十分に埋められずショートの原因となる。また1000nmより大きいと成膜時間が長くなり生産性が悪くなる。なお、カソード電極は、成膜時に所望のパターンで作製されたマスクを用いることでパターニングができる。以上のようにして、本実施形態の有機EL素子の製造方法が構成される。
本実施形態の有機EL素子の製造方法によれば、本発明の第一の保護層に相当する第二の絶縁層を、薄膜トランジスタのチャネル保護層を形成する被膜によって形成するので、別に新規な材料を用意する必要がない。またフォトマスクのレイアウトを変更してパターニングする工程を追加するだけで有機EL素子を製造できるので、製造コストの上昇を抑制できる。
また本実施形態では、第一の絶縁層を保護するために、本発明の第一の保護層に相当する第二の絶縁層と、本発明の第二の保護層に相当する半導体層の2つの保護層を用いるので、より確実に第一の絶縁層を保護することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(被印刷基板の作製工程)
まず、基板である無アルカリガラス上に、膜厚100nmのCr膜をスパッタリング法により成膜した。その後、前記Cr膜上にフォトレジストを塗布して露光・現像し、ウェットエッチングでパターニングすることで、図4に示すように、ゲート電極13a及び、信号線15を形成した。
次に、フォトレジストを除去した基板上に、CVD装置により窒化シリコン薄膜/非晶質シリコン薄膜/窒化シリコン薄膜の順で三層の薄膜を連続成膜した。前記三層の薄膜は後の工程でのパターニング後にそれぞれ、ゲート絶縁層13b又は第一の絶縁層12a/チャネル層13c又は半導体層12b/チャネル保護層13d又は第二の絶縁層12cに加工されるものである。三層の膜厚はそれぞれ、325nm/25nm/120nmとした。三層連続成膜後、最表層の窒化シリコン薄膜にフォトレジストを塗布して露光・現像し、ドライエッチングを行い最表層の窒化シリコン薄膜をパターニングすることでチャネル保護層13d及び、第二の絶縁層12cを形成した。
チャネル保護層13dの形成後、オーミックコンタクト層13eをCVDによりシランガスとホスフィンの混合ガスをプロセスガスとして用いて成膜した。その後オーミックコンタクト層13eにフォトレジストを塗布して露光・現像し、前記オーミックコンタクト層13eとチャネル層13cとゲート絶縁層13bをドライエッチングすることでコンタクトホールを形成した。
前記フォトレジストを剥離した後、続いて基板をフッ化アンモニウム溶液で処理して上記酸化皮膜を除去した後、膜厚400nmのAlTiNd合金の金属膜をスパッタリングにより成膜して、この金属膜にフォトレジストを塗布してフォトリソグラフィー法によりウェットエッチングでパターニングし、ソース電極13f及び、ドレイン電極13gを形成した。前記ソース・ドレイン電極形成後、前記フォトレジストを剥離せずに、基板をドライエッチングすることで、駆動トランジスタ13のオーミックコンタクト層13eとチャネル層13cをパターニングした。以上の製造方法により駆動トランジスタ13を形成した。選択トランジスタ14も駆動トランジスタ13の形成と同時に形成した。
この駆動トランジスタ13のパターニング工程において、発光画素部12の第一の絶縁層12aは上層の半導体層12b、第二の絶縁層12cで保護されているため膜厚は成膜当初の325nmより変化しなかった。ただし第二の絶縁層12cはドライエッチングの影響により50nm膜減りし、70nmの膜厚になった。
続いて、スパッタリング法により、ITO薄膜50nmを成膜した後、フォトリソグラフィー法によりウェットエッチングを行い、アノード電極となる画素電極12dを形成した。次にCVD装置により窒化シリコン薄膜を200nm成膜し、フォトリソグラフィー法によりドライエッチングを行い、パターニングすることで、層間絶縁層18を形成した。
次に隔壁20を形成した。まず、基板にポジ型感光性ポリイミドを全面スピンコートした。スピンコートの条件は、300rpmで5秒間回転させた後、800rpmで20秒間回転とし、スピンコート後の感光性材料の高さを3.3μmとした。スピンコート後フォトリソグラフィー法により露光後、現像処理を行った。こうして形成された隔壁20の膜厚は2.5μmとなった。
次に、正孔輸送インキとしてPEDOT/PSS水分散液であるバイトロンCH−8000を60%、超純水を20%、1−プロパノールを20%混合し、インキとした。上記インキを用いてスリットコート法にて基板上に正孔輸送層を形成し、膜厚を50nmとした。なお、正孔輸送インキ塗布前の基板に前処理として、UV/O3洗浄装置にて3分間紫外線照射を行った。これにより被印刷基板107を作製した。
(有機発光層形成用インキの作製工程)
赤色、緑色、青色(R、G、B)の3色からなる以下の高分子有機発光インキを、キシレンに溶解し調整した。赤色発光インキ(R)は、ポリフルオレン系誘導体のキシレン1wt%溶液(住友化学社製赤色発光材料、商品名Red1100)である。緑色発光インキ(G)は、ポリフルオレン系誘導体のキシレン1wt%溶液(住友化学社製緑色発光材料、商品名Green1300)である。青色発光インキ(B)は、ポリフルオレン系誘導体のキシレン1wt%溶液(住友化学社製青色発光材料、商品名Blue1100)である。
(樹脂凸版の作製工程)
厚さ250μmのニッケル材を、図5に示すように、感光性樹脂による凸版104の基材として、前記基材の上に黒色顔料を混錬したアクリルバインダー樹脂溶液を乾燥膜厚が10μmになるように塗布して乾燥し、反射防止層を形成した。
水溶性ポリアミドを主成分とし、ラジカル重合性モノマーとしてとしてジペンタエリスリトールヘキサキスアクリレート、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を混錬した感光性樹脂組成物が、前記基材の表面に版材の総厚が310μmとなるように溶融塗工したものを感光性樹脂層とし、ポリビニルアルコール溶液を乾燥膜厚1μmになるように塗布したポリエチレンテレフタレートフィルム(フィルム厚み125μm:帝人デュポンフィルム社製)をラミネートした。これにより、感光性樹脂凸版104を作製した。
合成石英基材のクロムマスクを樹脂凸版104のパターンの原版とし、このマスクをプロキシミティ露光装置にセットして感光性の樹脂凸版を露光することで、所望のパターンが形成された樹脂凸版104を作製した。
(有機発光層形成用インキの印刷工程)
樹脂凸版104を枚葉式印刷装置の版胴105にクッションテープ103を介して固定した。次に、前記高分子有機発光インキをインキチャンバー108に供給し、アニロックスロール101を回転させることで全面にインキングした。アニロックスロール101は600ライン/インチ、容積11ccのアニロックスロールを使用した。その後、アニロックスロール101上の余剰インキをドクターブレード102でかき取り、樹脂凸版104の凸パターン部にインキングした。
前述のようにインキングされた樹脂凸版104上の有機発光層インキを、被印刷基板107に凸版印刷装置にて基板上の画素長辺方向に画素内を埋めるように1ラインずつ、計3ライン形成した。
成膜後、オーブン内にて130℃で1時間乾燥を行った結果、各ラインの有機発光媒体層膜厚は平均で120nmとなった。
印刷膜上にCa、Alからなるカソード電極材料を、画素部のみに蒸着されるようにマスク蒸着し、膜厚500nmのカソード電極層を形成した。最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップとエポキシ系の接着剤を用いて密閉封止し、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子の表示部の周辺部には各画素電極に接続されているアノード電極側の取り出し電極と、カソード電極側の取り出し電極があり、これらを電源に接続することにより、有機ELディスプレイパネルを得た。
(比較例1)
比較例1においては発光画素に第二の絶縁層構造を設けない有機EL素子の製造例を示す。図6に示すように基板11上にゲート電極13a及び、信号線15を形成後、ゲート絶縁層13b、チャネル層13c、チャネル保護層13dの三層を真空成膜する工程までは実施例1と同様であるが、第一の絶縁層12aの膜減りを見越してゲート絶縁層13bの膜厚は400nmにした。また、比較例1ではチャネル保護層13dを形成する際に発光画素部12の基板11上に第二の絶縁層12cを設けない点が異なる。その後の工程は実施例1と有機ELディスプレイパネルの作成まで同じであるが、チャネル層13c、オーミックコンタクト層13eのドライエッチングによるパターニング時に、発光画素部12の基板11上に第二の絶縁層12cが設けられていないため下部にある半導体層12bがエッチングされて無くなり、さらに第一の絶縁層12aに当たる箇所はドライエッチングにより成膜当初の膜厚400nmから350nmに膜減りした。
比較例1に従って有機ELパネルを製造し、発光させると、発光画素部12の基板11下部の第一の絶縁層12aの膜厚が350nmであるため、パネルの青色発光の色度Cyは0.166であった。
(比較例2)
比較例2においては比較例1とほぼ同じ構造であるが、パネルの青色発光の色度Cyが高くなるのを避けるため、ゲート絶縁層13bの膜厚を450nmにした。チャネル層13c、オーミックコンタクト層13eのドライエッチングによるパターニング時に、発光画素部12の基板11上に第二の絶縁層12cが設けられていないため下部にある半導体層12bがエッチングされて無くなり、さらに第一の絶縁層12aに当たる箇所はドライエッチングにより成膜当初の膜厚450nmから400nmに膜減りした。
比較例2に従って有機ELパネルを製造し、発光させると、発光画素部12の基板11下部の第一の絶縁層12aの膜厚が400nmであるため、パネルの青色発光の色度Cyは0.152であった。しかしながら、比較例1と比べゲート絶縁層13bの膜厚を50nm厚くしたため、同じ電圧を印加した時の薄膜トランジスタの電流が13%低下し、パネルの輝度が下がってしまった。
一方、実施例1の構造では図4に示すように発光画素部12の基板11下部の第一の絶縁層12aは半導体層12b、第二の絶縁層12cで保護されているため325nmのまま変化しない。また、半導体層12bの25nm、第二の絶縁層12cの70nmと合わせ発光電極からガラス基板までの膜厚は420nmとなった。実施例1に従って有機ELパネルを製造し、発光させると、パネルの青色発光の色度Cyは0.143であった。しかも比較例1、比較例2と比較して、青色発光の色度Cyを低く抑えるため薄膜トランジスタ13のゲート絶縁層13bの膜厚を厚くする必要が無いため、薄膜トランジスタ13の電流が低下することも無く、従ってパネル輝度が下がることも無かった。
10 有機EL素子
11 絶縁性基板
12 発光画素部
12a 第一の絶縁層
12b 半導体層
12c 第二の絶縁層
12d 画素電極
12e 有機発光層
13 駆動トランジスタ
13a ゲート電極
13b ゲート絶縁層
13c チャネル層
13d チャネル保護層
13e オーミックコンタクト層
13f ソース電極
13g ドレイン電極
14 選択トランジスタ
15 信号線
16 走査線
17 電力供給線
18 層間絶縁層
19 対向電極
20 隔壁
101 アニロックスロール
102 ドクターブレード
103 クッションテープ
104 樹脂凸版
105 版胴
106 基板固定台
107 被印刷基板
108 インキチャンバー

Claims (10)

  1. 基板と、当該基板上に形成されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成されたチャネル層及び当該チャネル層上に形成されたチャネル保護層を備える薄膜トランジスタと、当該薄膜トランジスタによって駆動される発光画素部とを有する有機EL素子であって、
    前記発光画素部は、前記ゲート絶縁層を形成する被膜によって前記基板上に形成された第一の絶縁層と、当該第一の絶縁層上に形成された第一の保護層とを有することを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記発光画素部は、前記ゲート絶縁層上であって前記第一の保護層下に形成された第二の保護層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記第一の保護層を、前記チャネル保護層を形成する被膜のエッチング剤に対して耐性を有する材料で形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子。
  4. 前記エッチング剤に対して耐性を有する材料を、シリコン窒化物もしくはシリコン酸化物とすることを特徴とする請求項3記載の有機EL素子。
  5. 前記発光画素部を複数の発光画素部とするとともに、
    前記薄膜トランジスタを、前記複数の発光画素部を各々駆動する複数の薄膜トランジスタとしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機EL素子。
  6. 基板と、当該基板上に形成されたゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成されたチャネル層及び当該チャネル層上に形成されたチャネル保護層を備える薄膜トランジスタと、当該薄膜トランジスタによって駆動される発光画素部とを有する有機EL素子の製造方法であって、
    前記発光画素部に、前記基板上に形成された第一の絶縁層を設ける第一の絶縁層形成工程と、前記第一の絶縁層上に第一の保護層を形成する第一の保護層形成工程とを有することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  7. さらに前記第一の保護層下に第二の保護層を形成する第二の保護層形成工程とを有することを特徴とする請求項6に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 前記第一の絶縁層を、前記ゲート絶縁層を形成する被膜によって前記ゲート絶縁層と一体的に同時に成膜して形成することを特徴とする請求項6又は7に記載の有機EL素子の製造方法。
  9. 前記第一の保護層を、前記チャネル保護層を形成する被膜によって前記チャネル保護層と一体的に同時に成膜し、パターニングして形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  10. 前記第二の保護層を、前記チャネル層を形成する被膜によって前記チャネル層と一体的に同時に成膜し、パターニングして形成することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
JP2013056956A 2013-03-19 2013-03-19 有機el素子、有機el素子の製造方法 Pending JP2014182295A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013056956A JP2014182295A (ja) 2013-03-19 2013-03-19 有機el素子、有機el素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013056956A JP2014182295A (ja) 2013-03-19 2013-03-19 有機el素子、有機el素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014182295A true JP2014182295A (ja) 2014-09-29

Family

ID=51701049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013056956A Pending JP2014182295A (ja) 2013-03-19 2013-03-19 有機el素子、有機el素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014182295A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9105876B2 (en) Method for fabricating organic light emitting diode display device having improved effective emitting area
KR102453420B1 (ko) 투명 유기 발광 표시 장치 및 이의 제조방법
US20160043152A1 (en) Thin film transistor and manufacturing method thereof, array substrate and organic light emitting display panel
JP2007299616A (ja) 有機el素子の製造方法および有機el素子
JP2006286309A (ja) 有機el表示装置とその製造方法
JP2010020311A (ja) 有機発光表示装置及びその製造方法
JP2009004347A (ja) 有機el表示素子の製造方法及び有機el表示素子
JP2007115465A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP5092485B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ及びその製造方法
JPWO2012133206A1 (ja) 有機エレクトロルミネセンスディスプレイパネル及びその製造方法
JP5278686B2 (ja) 有機elディスプレイパネルおよびその製造方法
JP2008046441A (ja) 凸版製造方法
JP2007305465A (ja) 有機elディスプレイパネルの製造方法
JP2008229947A (ja) 高精細パターン形成用凸版および板状感光性樹脂積層体ならびに電子回路パターンならびに有機el素子の形成方法ならびに有機el素子ならびに有機elディスプレイ
JP5293322B2 (ja) 有機elパネル及びその製造方法
JP6083122B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP2008006690A (ja) 印刷用凸版、印刷物の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法および素子
JP2015170416A (ja) 薄膜トランジスタ基板の製造方法、薄膜トランジスタ基板
JP2015079618A (ja) 薄膜トランジスタ基板及びその製造方法、薄膜トランジスタ基板を用いた有機el素子及びその製造方法
JP2011060592A (ja) 有機el素子、及びディスプレイパネル、及びディスプレイパネルの製造方法
JP2012216810A (ja) 有機el素子及びその製造方法
JP2015065015A (ja) 有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ及びその製造方法
JP2009078501A (ja) 凸版印刷によるパターン形成方法、および有機機能性素子の製造方法
JP2014182295A (ja) 有機el素子、有機el素子の製造方法
JP2014179163A (ja) 有機el素子、製造方法、及び有機elパネル