JP2017053878A - 偏光板用粘着剤組成物および粘着剤層付き偏光板 - Google Patents

偏光板用粘着剤組成物および粘着剤層付き偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】偏光子保護膜の少なくとも一方が省略された構成に適用可能な、耐久性に優れ、かつ偏光子からの剥がれの抑制に優れた粘着剤層を形成できる偏光板用粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70〜95質量%と、カルボキシル基含有モノマーを5〜30質量%とを含むモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリル系共重合体と、(B)架橋剤とを含有し、偏光子と直接接する粘着剤層を形成するために用いられることを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板用粘着剤組成物および粘着剤層付き偏光板等に関する。
液晶セルは、液晶層が2枚の基板(例:ガラス板)間に挟まれた構造を有する。液晶セルを構成する基板の表面には、粘着剤層を介して偏光板が貼付されている。従来、偏光板は、力学的性質および光学的耐久性を向上させるため、一般的に、偏光機能を有する偏光子の両面に、トリアセチルセルロースフィルム等の偏光子保護膜が積層された構造が採られてきた。
近年、液晶セルの薄型化および偏光板の薄型化が要望されており、偏光板の薄型の要求に対して、偏光子の両面に形成された偏光子保護膜を省略することが試みられている。しかしながら、偏光子保護膜を有さない偏光板は、保護層を有する偏光板と比較して熱収縮が生じやすく、耐久試験において、偏光子のクラック(割れ)、光学性能の劣化等の不具合も生じやすい。また、粘着剤層が偏光子に直接接しているため、熱収縮の影響を直接受け、粘着剤層が偏光子から剥がれやすいという問題もある。
特許文献1には、重合体を構成するモノマー単位として、芳香環を有するモノマーと、水酸基を有するモノマーまたはカルボキシル基を有するモノマーを含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体を主成分とする粘着性組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル重合体中における芳香環を有するモノマーの含有量が、10〜70質量%であり、水酸基を有するモノマーの含有量が、12〜50質量%であり、カルボキシル基を有するモノマーの含有量が、7〜40質量%である粘着性組成物が記載されている。
特許文献2には、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、カルボキシル基含有単量体と、ジアルキル置換アクリルアミド単量体との共重合体と、ポリイソシアネート化合物、金属キレート化合物およびエポキシ化合物で構成される硬化剤とからなる偏光板用粘着剤組成物が記載されている。
しかしながら、特許文献1および特許文献2には、偏光子保護膜を省略し、偏光子に粘着剤層を直接積層する場合の上記クラック、熱収縮、剥がれ等の問題について、特に言及されていない。
特開2014−169382号公報 特開2011−128439号公報
本発明の課題は、偏光子の両面に通常形成される偏光子保護膜の少なくとも一方が省略された構成に適用可能な、耐久性に優れ、かつ偏光子からの剥がれの抑制に優れた粘着剤層を形成できる偏光板用粘着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の特定の構成を有する偏光板用粘着剤組成物を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[5]である。
[1](A)アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70〜95質量%と、カルボキシル基含有モノマーを5〜30質量%とを含むモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリル系共重合体と、(B)架橋剤とを含有し、偏光子と直接接する粘着剤層を形成するために用いられることを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
[2]前記架橋剤(B)として、イソシアネート化合物と金属キレート化合物を併用することを特徴とする前記[1]に記載の偏光板用粘着剤層。
[3]前記[1]または[2]に記載の粘着剤組成物より形成された偏光板用粘着剤層。
[4]前記[3]に記載の粘着剤層を有する偏光板用粘着シート。
[5]偏光子の少なくとも一方の面に直接積層された、前記[3]に記載の粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板。
本発明によれば、偏光子の両面に通常形成される偏光子保護膜の少なくとも一方が省略された構成に適用可能な、高熱・高湿熱環境下においても耐久性に優れ、かつ偏光子からの剥がれの抑制に優れた偏光板用粘着剤組成物を提供することができる。また、前記組成物より形成された偏光板用粘着剤層、前記粘着剤層を有する偏光板用粘着シート、および前記粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板を提供することができる。
以下、本発明の偏光板用粘着剤組成物、偏光板用粘着剤層、偏光板用粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板を説明する。以下では、本発明の偏光板用粘着剤組成物、偏光板用粘着剤層および偏光板用粘着シートを、それぞれ「粘着剤組成物」、「粘着剤層」および「粘着シート」ともいう。
〔偏光板用粘着剤組成物〕
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、以下に説明する(メタ)アクリル系共重合体(A)と架橋剤(B)とを含有する。前記組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤(C)および帯電防止剤(D)から選択される少なくとも1種を含有してもよく、有機溶媒(E)を含有してもよい。
[(メタ)アクリル系共重合体(A)]
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、カルボキシル基含有モノマーとを含むモノマー成分を共重合して得られた共重合体である。
本明細書において、アクリルおよびメタクリルを総称して「(メタ)アクリル」とも記載する。また、重合体に含まれる、あるモノマーAに由来する構成単位を「モノマーA単位」とも記載する。
《(メタ)アクリル酸アルキルエステル》
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(CH=CR−COOR;Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基である)であり、前記アルキル基の炭素数は4〜12がより好ましい。
アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分100質量%中、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量は70〜95質量%であり、好ましくは75〜93質量%、より好ましくは80〜90質量%である。
《カルボキシル基含有モノマー》
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分は、得られる粘着剤層の酸価を高くすることが可能で、かつ架橋剤(B)と反応することが可能なカルボキシル基含有モノマーを含む。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5−カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分100質量%中、カルボキシル基含有モノマーの使用量は5〜30質量%であり、好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは7〜20質量%である。カルボキシル基含有モノマーの使用量が前記上限値以下であると、(メタ)アクリル系共重合体(A)と架橋剤(B)とにより形成される架橋密度が高くなりすぎず、応力緩和特性に優れる粘着剤層が得られる。架橋性官能基含有モノマーの使用量が前記下限値以上であると、架橋構造が有効に形成され、常温において適切な強度を有する粘着剤層が得られる。
さらに、カルボキシル基含有モノマーの使用量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)の酸価が30以上になるよう設定することが好ましく、より好ましくは40〜250、さらに好ましくは50〜200である。(メタ)アクリル系共重合体(A)の酸価が前記範囲内であると、基材密着性に優れる粘着剤層が得られる。
なお、共重合体(A)の酸価は、共重合に用いたカルボキシル基含有モノマーの分子量、カルボキシル基含有モノマーの配合量(質量%)を基に、以下の式により算出される。なお、56.1はKOHの分子量である。
ポリマーの酸価(mgKOH/g)=56.1/X×(Y/100)×1000
=561/X×Y
X:カルボキシル基含有モノマーの分子量
Y:カルボキシル基含有モノマーの配合量
《その他のモノマー》
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するその他のモノマー成分としては、(メタ)アクリル系共重合体(A)の物性を損なわない範囲で、例えば、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、脂環式基または芳香環含有(メタ)アクリレート、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマー等の、その他のモノマーを用いることもできる。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−エトキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂環式基または芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
窒素含有モノマーとしては、例えば、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマーが挙げられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
窒素系複素環含有モノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタムが挙げられる。
シアノ基含有モノマーとしては、例えば、シアノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
また、(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分としては、(メタ)アクリル系共重合体(A)の物性を損なわない範囲で、例えば、スチレン系単量体、酢酸ビニル等の、共重合性モノマーを用いることもできる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレンが挙げられる。
その他のモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分100質量%中、以上のその他のモノマーの全使用量は、0〜45質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜25質量%である。
《(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造条件》
(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造条件は特に限定されないが、例えば、溶液重合法により製造することができる。具体的には、反応容器内に重合溶媒およびモノマー成分を仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応開始温度を通常40〜100℃、好ましくは50〜80℃に設定し、通常50〜90℃、好ましくは70〜90℃の温度に反応系を維持して、4〜20時間反応させる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、例えば上述したモノマーを含むモノマー成分を共重合して得られるが、ランダム共重合体でもよく、ブロック共重合体でもよい。これらの中では、ランダム共重合体が好ましい。
溶液重合に用いる重合溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル類;クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類等が挙げられる。これらの重合溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
溶液重合に用いる重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤が挙げられる。具体的には、2,2’−アソビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリウム等の過酸化物が挙げられる。これらの中でも、アゾ化合物が好ましい。アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が挙げられる。これらの重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
重合開始剤は、(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分100質量部に対して、通常0.01〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部の範囲内の量で使用される。また、上記重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、モノマー成分、重合溶媒を適宜追加添加してもよい。
《(メタ)アクリル系共重合体(A)の物性および含有量》
(メタ)アクリル系共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算値で、通常50万〜300万であり、好ましくは60万〜250万、より好ましくは70万〜200万である。Mwが前記範囲にあり、かつ上記モノマー単位を有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を用いることで、粘着力のバランスを取りやすく、塗工に適した粘度の粘着剤組成物とすることが出来る。
(メタ)アクリル系共重合体(A)のGPC法により測定される分子量分布(Mw/Mn)は、通常15以下であり、好ましくは4〜13である。
(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、例えば、当該共重合体を構成するモノマー単位およびその含有割合から、Foxの式により算定することができる。Foxの式により求めたガラス転移温度(Tg)が通常−70〜−5℃、好ましくは−60〜−10℃となるように、(メタ)アクリル系共重合体(A)を合成することができる。このようなガラス転移温度(Tg)を有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を用いることにより、応力緩和特性および耐久性に優れ、かつ常温で粘着性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。
Foxの式:1/Tg=(W/Tg)+(W/Tg)+…+(W/Tg
+W+…+W=1
式中、Tgは(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度であり、Tg,Tg,…,Tgは各モノマーからなるホモポリマーのガラス転移温度であり、W,W,…,Wは各モノマー由来の構成単位の前記(メタ)アクリル系共重合体(A)における重量分率である。各モノマー由来の構成単位の重量分率としては、共重合体合成時の各モノマーの全モノマーに対する仕込み割合を用いることができる。
前記Foxの式における各モノマーからなるホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、Polymer Handbook Fourth Edition(Wiley−Interscience 2003)記載の値を用いることができる。
本発明の粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系共重合体(A)の含有量は、組成物中の有機溶媒を除く固形分100質量%中、通常60〜99.995質量%、より好ましくは70〜99.99質量%、特に好ましくは80〜99.97質量%である。(メタ)アクリル系共重合体(A)の含有量が前記範囲にあると、粘着剤としての性能のバランスがとれ、粘着特性に優れる。
[架橋剤(B)]
本発明の粘着剤組成物は、さらに架橋剤(B)を含有する。
架橋剤(B)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)が有する、架橋性官能基含有モノマー由来の架橋性官能基と架橋反応を起こすことができる成分であれば特に限定されないが、例えば、イソシアネート化合物(B1)、金属キレート化合物(B2)、エポキシ化合物(B3)が挙げられる。
架橋剤(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の粘着剤組成物において、架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、通常0.005〜5質量部、より好ましくは0.01〜2.5質量部、さらに好ましくは通常0.03〜1.5質量部である。この含有量が前記範囲にあると、耐久性と応力緩和特性のバランスが取りやすい点で好ましい。
《イソシアネート化合物(B1)》
イソシアネート化合物(B1)としては、1分子中のイソシアネート基数が2以上のイソシアネート化合物が通常用いられる。イソシアネート化合物(B1)により(メタ)アクリル系共重合体(A)を架橋することで、架橋体(ネットワークポリマー)を形成することができる。
イソシアネート化合物(B1)のイソシアネート基数は、通常2以上であり、好ましくは2〜8であり、より好ましくは3〜6である。イソシアネート基数が前記範囲にあると、(メタ)アクリル系共重合体(A)とイソシアネート化合物(B1)との架橋反応効率の点、および粘着剤層の柔軟性を保つ点で好ましい。
1分子中のイソシアネート基数が2のジイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の炭素数4〜30の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチルジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の炭素数7〜30の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート等の炭素数8〜30の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
1分子中のイソシアネート基数が3以上のイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。具体的には、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートが挙げられる。
また、イソシアネート化合物(B1)としては、例えば、イソシアネート基数が2または3以上の上記イソシアネート化合物の、多量体(例えば2量体または3量体、ビウレット体、イソシアヌレート体)、誘導体(例えば、多価アルコールと2分子以上のジイソシアネート化合物との付加反応生成物)、重合物が挙げられる。前記誘導体における多価アルコールとしては、低分子量多価アルコールとして、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール等の3価以上のアルコールが挙げられ;高分子量多価アルコールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールが挙げられる。
このようなイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの3量体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはトリレンジイソシアネートのビウレット体またはイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートとの反応生成物(例えばトリレンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートの3分子付加物)、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物(例えばヘキサメチレンジイソシアネートの3分子付加物)、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートが挙げられる。
イソシアネート化合物(B1)の中でも、エージング性を向上させることができる点で、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートとの反応生成物(綜研化学(株)製L−45、綜研化学(株)製TD−75等)、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはトリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(旭化成(株)製TSE−100、日本ポリウレタン工業(株)製2050等)が好ましい。
イソシアネート化合物(B1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
《金属キレート化合物(B2)》
金属キレート化合物(B2)としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属に、アルコキシド、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物が挙げられる。
これらの中でも、特にアルミキレート化合物(綜研化学(株)製M−12AT等)が好ましい。具体的には、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネートが挙げられる。
金属キレート化合物(B2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
金属キレート化合物(B2)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)中のカルボキシル
基と、偏光子中の水酸基とを配位結合することで架橋(疑似架橋)し、粘着剤層と偏光子間に優れた密着性をもたらす。
本発明の粘着剤組成物における架橋剤(B)は、イソシアネート化合物(B1)と金属キレート(B2)を併用することが好ましく、金属キレート化合物(B2)の含有量は、イソシアネート化合物(B1)100質量部に対して、通常1〜500質量部、より好ましくは5〜300質量部、さらに好ましくは15〜100質量部である。この含有量が前記範囲にあると、偏光子との密着性に優れた粘着剤層が得られる点で好ましい。
《エポキシ化合物(B3)》
エポキシ化合物(B3)としては、1分子中のエポキシ基数が2以上のエポキシ化合物が通常用いられる。例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N’ ,N’−テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリンが挙げられる。
[シランカップリング剤(C)]
本発明の粘着剤組成物は、さらにシランカップリング剤(C)を含有することが好ましい。シランカップリング剤(C)は、粘着剤層をガラス板等の被着体に対して強固に接着させ、高湿熱環境下で剥がれを防止する点に寄与する。
シランカップリング剤(C)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有シランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シランカップリング剤、3−オキソブタン酸−3−(トリメトキシシリル)プロピル、及びオリゴマー型シランカップリング剤等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系共重合体(A)中に含まれる官能基と反応して共有結合を形成する官能基、又は(メタ)アクリル系共重合体(A)と相互作用することによる結合を形成し得る官能基を有しているシランカップリング剤が、湿熱環境下で剥がれを生じさせにくいという点で好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、シランカップリング剤(C)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、通常1質量部以下、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.05〜0.5質量部である。含有量が前記範囲にあると、高湿熱環境下における偏光板の剥がれや、高温環境下におけるシランカップリング剤(C)のブリードが防止される傾向にある。
[帯電防止剤(D)]
帯電防止剤(D)は、例えば、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層の表面抵抗値を低下させるために使用することができる。帯電防止剤(D)としては、例えば、界面活性剤、イオン性化合物、導電性ポリマーが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、4級アンモニウム塩類、アミド4級アンモニウム塩類、ピリジウム塩類、第1級〜第3級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン性界面活性剤;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基等のアニオン性基を有するアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アルキルイミダゾリニウムベタイン類、アルキルアミンオキサイド類、アミノ酸硫酸エステル類等の両性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル類、N−ヒドロキシエチル−N−2−ヒドロキシアルキルアミン類、アルキルジエタノールアミド類等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
また、界面活性剤として重合性基を有する反応型乳化剤も挙げられ、上記の界面活性剤または反応性乳化剤を含むモノマー成分を高分子量化したポリマー系界面活性剤を用いることもできる。
イオン性化合物は、カチオン部とアニオン部とから構成され、室温下(23℃/50%RH)では固体状でも液体状のいずれであってもよい。
イオン性化合物を構成するカチオン部としては、無機系カチオンまたは有機系カチオンのいずれか一方であっても双方であってもよい。無機系カチオンとしては、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンが好ましく、帯電防止性が優れたLi、NaおよびKがより好ましい。有機系カチオンとしては、例えば、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリンカチオン、ピロールカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンおよびこれらの誘導体が挙げられる。
イオン性化合物を構成するアニオン部としては、カチオン部とイオン結合してイオン性化合物を形成し得るものであれば特に制限されない。具体的には、F-、Cl-、Br-、I-、AlCl4 -、Al2Cl7 -、BF4 -、PF6 -、SCN-、ClO4 -、NO3 -、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2-、(F2SO2)2-、(CF3SO2)3-、AsF6 -、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、F(HF)n -、(CN)2-、C49SO3 -、(C25SO2)2-、C37COO-および(CF3SO2)(CF3CO)N-が挙げられる。これらの中では、フッ素原子を含むアニオンは、低融点のイオン性化合物を与えるので好ましく、(F2SO2)2-および(CF3SO2)2-がとりわけ好ましい。
イオン性化合物としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(ジフルオロスルホニル)イミド、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、カリウムビス(ジフルオロスルホニル)イミド、1−エチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−オクチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−オクチル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−オクチル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−オクチルピリジニウムフルオロスホニウムイミド、1−オクチル−3−メチルピリジニウム、トリフルオロスルホニウムイミドが好ましい。
導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびこれらの誘導体が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物において、帯電防止剤(D)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、通常3質量部以下、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.05〜2.5質量部である。
[有機溶媒(E)]
本発明の粘着剤組成物は、その塗布性を調整するため、有機溶媒(E)を含有することが好ましい。有機溶媒としては、(メタ)アクリル系共重合体(A)の欄で説明した重合溶媒が挙げられる。例えば、上記共重合で得られた、(メタ)アクリル系共重合体(A)および重合溶媒を含むポリマー溶液と、架橋剤(B)とを混合して、粘着剤組成物を調製することができる。本発明の粘着剤組成物において、有機溶媒(E)の含有量は、通常50〜90質量%、好ましくは60〜85質量%である。
なお、本明細書において「固形分」とは、粘着剤組成物中の含有成分のうち上記有機溶媒(E)を除いた全成分をいい、「固形分濃度」とは、粘着剤組成物100質量%に対する前記固形分の割合をいう。
[添加剤]
本発明の粘着剤組成物は、上記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、金属腐蝕防止剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋促進剤、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)以外の(メタ)アクリル系重合体およびリワーク剤から選択される1種または2種以上を含有してもよい。
[偏光板用粘着剤組成物の調製]
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)と架橋剤(B)と、必要に応じて他の成分とを、従来公知の方法により混合することで調製することができる。例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)を合成する際に得られた、当該ポリマーを含むポリマー溶液に、架橋剤(B)と必要に応じて他の成分とを配合することが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、液晶セルを構成する基板と偏光子との貼り合わせ用途に好適である。特に、薄型化された液晶セルを構成するガラス板の厚さが0.05〜1.0mm程度と小さい場合においても、当該基板と偏光子との貼り合わせ用途に好適である。
〔偏光板用粘着剤層〕
本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、偏光板の歪み抑制、凝集力、接着力、再剥離性の観点から、ゲル分率が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50〜98質量%、さらに好ましくは55〜95質量%である。ゲル分率が前記範囲にあると、粘着剤層は優れた耐久性を示す。
本発明の粘着剤層は、例えば、上述の粘着剤組成物中の架橋反応を進めることにより、具体的には(メタ)アクリル系共重合体(A)を架橋剤(B)で架橋することにより得られる。
粘着剤層の形成条件は、例えば以下のとおりである。本発明の粘着剤組成物を支持体上に塗布し、溶媒の種類によっても異なるが、通常50〜150℃、好ましくは60〜100℃で、通常1〜10分間、好ましくは2〜7分間乾燥して溶媒を除去し、塗膜を形成する。乾燥塗膜の膜厚は、通常5〜75μm、好ましくは10〜50μmである。
粘着剤層は、以下の条件で形成することが好ましい。本発明の粘着剤組成物を支持体上に塗布し、上記条件で形成された塗膜上にカバーフィルムを貼付した後、通常3日以上、好ましくは7〜10日間、通常5〜60℃、好ましくは15〜40℃、通常30〜70%RH、好ましくは40〜70%RHの環境下で養生する。上記のような熟成条件で架橋を行うと、効率よく架橋体(ネットワークポリマー)の形成が可能である。
粘着剤組成物の塗布方法としては、公知の方法、例えばスピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより、所定の厚さになるように塗布・乾燥する方法を用いることができる。
支持体およびカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。
〔偏光板用粘着シート〕
本発明の偏光板用粘着シートは、上述の粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有する。粘着シートとしては、例えば、上記粘着剤層のみを有する両面粘着シート、基材と、基材の両面に形成された上記粘着剤層とを有する両面粘着シート、基材と、基材の一方の面に形成された上記粘着剤層を有する片面粘着シート、およびそれら粘着シートの粘着剤層の基材と接していない面に剥離処理されたカバーフィルムが貼付された粘着シートが挙げられる。
基材およびカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。
粘着剤層の形成条件は、〔偏光板用粘着剤層〕の欄に記載した条件と同様である。
粘着剤層の膜厚は、粘着性能維持の観点から、通常5〜75μm、好ましくは10〜50μmである。基材およびカバーフィルムの膜厚は、特に限定されないが、通常10〜125μm、好ましくは25〜75μmである。
〔粘着剤層付き偏光板〕
本発明の粘着剤層付き偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に直接積層された、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有する。なお、本明細書では、「偏光板」は「偏光フィルム」を包含する意味で用いる。
偏光板としては、従来公知の偏光フィルムを使用することができる。例えば、偏光子そのもの、偏光子と、偏光子上に配置された偏光子保護膜とを有する多層フィルムが挙げられる。本発明では、偏光子に上記粘着剤層が直接接して配置されることから、偏光子の片面のみに偏光子保護膜が配置された構成、偏光子の両面に偏光子保護膜が配置されていない構成が挙げられる。
偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムに偏光成分を含有させて、延伸することにより得られる延伸フィルムが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、エチレン・酢酸ビニル共重合体の鹸化物が挙げられる。偏光成分としては、例えば、ヨウ素または二色性染料が挙げられる。
偏光子保護膜としては、例えば、熱可塑性樹脂からなるフィルムが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの樹脂から選択される2種以上の混合物が挙げられる。
偏光板の厚さは、通常10〜200μm、好ましくは30〜100μmである。本発明では、偏光子上に形成される偏光子保護膜を省略することができるため、偏光板を薄型化することができる。
本発明では、上記粘着剤層が、偏光子に直接接して形成される。本発明の粘着剤層付き偏光板としては、例えば、偏光子保護膜と偏光子と上記粘着剤層とがこの順で積層された構成、上記粘着剤層と偏光子保護膜と偏光子と上記粘着剤層とがこの順で積層された構成、上記粘着剤層と偏光子と上記粘着剤層とがこの順で積層された構成が挙げられる。これらの構成では、粘着剤層上には最外層として上述したカバーフィルムが配置されていてもよい。
偏光子表面に粘着剤層を形成する方法に特に制限はなく、偏光子表面に直接バーコーター等を用いて上記粘着剤組成物を塗布し乾燥および熟成させる方法、本発明の偏光板用粘着シートが有する粘着剤層を偏光子表面に転写し熟成させる方法が挙げられる。乾燥および熟成の条件やゲル分率の範囲等は、〔偏光板用粘着剤層〕の欄に記載した条件と同様である。
粘着剤層の厚さは、乾燥膜厚で通常5〜75μm、好ましくは10〜50μmである。なお、粘着剤層は、偏光子の少なくとも一方の面上で偏光子と接して形成されていればよく、偏光子の片面のみに粘着剤層が形成される態様、偏光子の両面に粘着剤層が形成される態様が挙げられる。
また、上記偏光板には、例えば保護層、防眩層、位相差層、視野角向上層等の他の機能を有する層が積層されていてもよい。
上記のようにして得られる本発明の粘着剤層付き偏光板を液晶セルの基板表面に設けることにより液晶素子が製造される。ここで液晶セルは、液晶層が2枚の基板間に挟まれた構造を有している。
液晶セルが有する基板としては、例えばガラス板が挙げられる。基板の厚さとしては、通常0.05〜3mm、好ましくは0.2〜1mmである。本発明では、上記粘着剤組成物を用いることで、偏光子上に粘着剤層が直接積層される場合でも、偏光板および基板の反りを抑制することができる。このため、基板の厚さが小さい場合(例:1mm以下、好ましくは0.2〜1mm)にも、偏光板と基板との貼り合わせに、上記粘着剤組成物は好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
〔GPC〕
(メタ)アクリル系共重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により、下記条件で、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求めた。
・測定装置:HLC−8320GPC(東ソー(株)製)
・GPCカラム構成:以下の4連カラム(すべて東ソー(株)製)
(1)TSKgel HxL−H(ガードカラム)
(2)TSKgel GMHxL
(3)TSKgel GMHxL
(4)TSKgel G2500HxL
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・サンプル濃度:1.5%(w/v)(テトラヒドロフランで希釈)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・標準ポリスチレン換算
[合成例1]
撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、ブチルアクリレート15部、2−エチルヘキシルアクリレート65部、2−メトキシエチルアクリレート5部、アクリル酸15部および酢酸エチル溶媒100部を仕込み、窒素ガスを導入しながら80℃に昇温した。次いで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を加え、窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、固形分濃度30質量%のポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系共重合体A1の重量平均分子量(Mw)は150万であり、分子量分布(Mw/Mn)は10であった。
[合成例2〜5]
重合反応に用いたモノマー成分を表1に記載したとおりに変更したこと以外は合成例1と同様に行い、固形分濃度30質量%のポリマー溶液を調製した。結果を表1に示す。
[実施例1]
(1)粘着剤組成物の調製
合成例1で得られたポリマー溶液(固形分濃度30質量%)と、当該溶液に含まれる(メタ)アクリル系共重合体A1 100部(固形分量)に対して、イソシアネート化合物として綜研化学(株)製「L−45」(固形分45質量%、酢酸エチル溶液)0.5部(固形分量)と、金属キレートとして綜研化学(株)製「M−12AT」(固形分10質量%、トルエン溶液)0.05部(固形分量)、シランカップリング剤として綜研化学(株)製「A−50」(固形分50質量%、トルエン溶液)0.2部(固形分量)とを混合して、粘着剤組成物を得た。
(2)粘着シートの作製
剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、上記(1)で得られた粘着剤組成物を、泡抜け後、ドクターブレードを用いて塗布し、90℃で3分間乾燥して、乾燥膜厚20μmの塗膜を形成した。塗膜の前記PETフィルムの貼付面とは反対面に、剥離処理されたPETフィルムをさらに貼り合わせ、23℃/50%RH環境下で7日間静置して熟成させて、2枚のPETフィルムに挟まれた厚さ20μmの粘着剤層を有する粘着シートを得た。
(3)粘着剤層付き偏光板の作製
剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、上記(1)で得られた粘着剤組成物を、泡抜け後、ドクターブレードを用いて塗布し、90℃で3分間乾燥して、乾燥膜厚20μmの塗膜を有するシートを得た。当該シートの塗膜面と、偏光子であるポリビニルアルコールフィルムと偏光子保護膜であるトリアセチルセルロースフィルムとからなる2層構成(厚さ60μm)の偏光板の、ポリビニルアルコールフィルム面とが接するように貼り合わせ、23℃/50%RHの条件で7日間静置して熟成させて、PETフィルムと厚さ20μmの粘着剤層と偏光子と偏光子保護膜とを有する粘着剤層付き偏光板を得た。
[実施例2〜5、比較例1,2]
実施例1において、ポリマー溶液を合成例2〜5で得られたポリマー溶液に変更し、配合組成を表2に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板を得た。
[評価]
〔ゲル分率〕
実施例・比較例で得られた粘着シートから、粘着剤約0.1gをサンプリング瓶に採取し、酢酸エチル30mLを加えて4時間振盪した後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥して乾燥重量を測定した。次式により、粘着剤のゲル分率を求めた。
・ゲル分率(%)=(乾燥重量/粘着剤採取重量)×100(%)
〔粘着力の測定〕
実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体)を70mm×25mmの大きさに裁断して、試験片を作成した。試験片からPETフィルムを剥離し、ラミネーターロールを用いて、粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体を、厚さ2mmのガラス板の片面に、粘着剤層とガラス板とが接するように貼着した。得られた積層体を、50℃/5気圧に調整されたオートクレーブ中に20分間保持した。次いで23℃/50%RH環境下に1時間放置した後、ガラス板面に対して90°方向に300mm/minの速度で偏光板端部を引っ張り、粘着力(剥離強度)を測定した。
〔基材密着性〕
実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体)を70mm×25mmの大きさに裁断して、試験片を作成した。試験片の偏光子保護膜を指で擦り、以下の基準で密着性の観察を行った。
AA:偏光子から粘着剤層の剥がれが確認されなかった
BB:偏光子から粘着剤層の細かい剥がれが確認された
CC:偏光子から粘着剤層の明らかな剥がれが確認された
〔耐久性試験(耐熱性・耐湿熱性試験)〕
実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体)を150mm×250mmの大きさに裁断して、試験片を作成した。試験片からPETフィルムを剥離し、ラミネーターロールを用いて、粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体を、厚さ0.5mmのガラス板の片面に、粘着剤層とガラス板とが接するように貼着した。得られた積層体を、50℃/5気圧に調整されたオートクレーブ中に20分間保持して、試験板を作成した。同様の試験板を2枚作成した。前記試験板を、温度80℃の条件下(耐熱性)または温度60℃/湿度90%RHの条件下(耐湿熱性)で500時間放置し、以下の基準で発泡、浮き、剥がれの発生を観察して評価した。
AA:発泡、浮き、剥がれ等の外観不良は観察されなかった
BB:発泡、浮き、剥がれ等の外観不良が僅かに観察された
CC:発泡、浮き、剥がれ等の外観不良が明らかに観察された
(メタ)アクリル系共重合体を形成するモノマーとして、(1)実施例に示すとおり、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有モノマーとを上記特定の割合で用いた例では、基材密着性、耐久性に優れており、(2)比較例1,2に示すとおり、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有モノマーとを上記特定の割合で用いていない例では、基材密着性、耐久性が劣る結果となった。

Claims (5)

  1. (A)アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70〜95質量%と、カルボキシル基含有モノマーを5〜30質量%とを含むモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリル系共重合体と、
    (B)架橋剤と
    を含有し、
    偏光子と直接接する粘着剤層を形成するために用いられる
    ことを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
  2. 前記架橋剤(B)として、イソシアネート化合物と金属キレート化合物を併用することを特徴とする請求項1に記載の偏光板用粘着剤層。
  3. 請求項1または請求項2に記載の粘着剤組成物より形成された偏光板用粘着剤層。
  4. 請求項3に記載の粘着剤層を有する偏光板用粘着シート。
  5. 偏光子の少なくとも一方の面に直接積層された、請求項3に記載の粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1054906A (ja) * 1996-08-09 1998-02-24 Sekisui Chem Co Ltd 位相差板及び楕円偏光板
WO2009069799A1 (ja) * 2007-11-30 2009-06-04 Sumitomo Chemical Company, Limited 高弾性率粘着剤層を有する偏光板及びそれを用いた画像表示装置
JP2015146013A (ja) * 2013-06-28 2015-08-13 日東電工株式会社 粘着剤層付偏光フィルム、積層体、及び、画像表示装置

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