JP2017053878A - 偏光板用粘着剤組成物および粘着剤層付き偏光板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70〜95質量%と、カルボキシル基含有モノマーを5〜30質量%とを含むモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリル系共重合体と、(B)架橋剤とを含有し、偏光子と直接接する粘着剤層を形成するために用いられることを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えば以下の[1]〜[5]である。
[2]前記架橋剤(B)として、イソシアネート化合物と金属キレート化合物を併用することを特徴とする前記[1]に記載の偏光板用粘着剤層。
[3]前記[1]または[2]に記載の粘着剤組成物より形成された偏光板用粘着剤層。
[4]前記[3]に記載の粘着剤層を有する偏光板用粘着シート。
[5]偏光子の少なくとも一方の面に直接積層された、前記[3]に記載の粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板。
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、以下に説明する(メタ)アクリル系共重合体(A)と架橋剤(B)とを含有する。前記組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤(C)および帯電防止剤(D)から選択される少なくとも1種を含有してもよく、有機溶媒(E)を含有してもよい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、カルボキシル基含有モノマーとを含むモノマー成分を共重合して得られた共重合体である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(CH2=CR1−COOR2;R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1〜18のアルキル基である)であり、前記アルキル基の炭素数は4〜12がより好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分は、得られる粘着剤層の酸価を高くすることが可能で、かつ架橋剤(B)と反応することが可能なカルボキシル基含有モノマーを含む。
ポリマーの酸価(mgKOH/g)=56.1/X×(Y/100)×1000
=561/X×Y
X:カルボキシル基含有モノマーの分子量
Y:カルボキシル基含有モノマーの配合量
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するその他のモノマー成分としては、(メタ)アクリル系共重合体(A)の物性を損なわない範囲で、例えば、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、脂環式基または芳香環含有(メタ)アクリレート、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマー等の、その他のモノマーを用いることもできる。
窒素含有モノマーとしては、例えば、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマーが挙げられる。
窒素系複素環含有モノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタムが挙げられる。
シアノ基含有モノマーとしては、例えば、シアノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
その他のモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造条件は特に限定されないが、例えば、溶液重合法により製造することができる。具体的には、反応容器内に重合溶媒およびモノマー成分を仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応開始温度を通常40〜100℃、好ましくは50〜80℃に設定し、通常50〜90℃、好ましくは70〜90℃の温度に反応系を維持して、4〜20時間反応させる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算値で、通常50万〜300万であり、好ましくは60万〜250万、より好ましくは70万〜200万である。Mwが前記範囲にあり、かつ上記モノマー単位を有する(メタ)アクリル系共重合体(A)を用いることで、粘着力のバランスを取りやすく、塗工に適した粘度の粘着剤組成物とすることが出来る。
(メタ)アクリル系共重合体(A)のGPC法により測定される分子量分布(Mw/Mn)は、通常15以下であり、好ましくは4〜13である。
Foxの式:1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)
W1+W2+…+Wm=1
本発明の粘着剤組成物は、さらに架橋剤(B)を含有する。
架橋剤(B)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)が有する、架橋性官能基含有モノマー由来の架橋性官能基と架橋反応を起こすことができる成分であれば特に限定されないが、例えば、イソシアネート化合物(B1)、金属キレート化合物(B2)、エポキシ化合物(B3)が挙げられる。
架橋剤(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
イソシアネート化合物(B1)としては、1分子中のイソシアネート基数が2以上のイソシアネート化合物が通常用いられる。イソシアネート化合物(B1)により(メタ)アクリル系共重合体(A)を架橋することで、架橋体(ネットワークポリマー)を形成することができる。
イソシアネート化合物(B1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
金属キレート化合物(B2)としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属に、アルコキシド、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物が挙げられる。
金属キレート化合物(B2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
金属キレート化合物(B2)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)中のカルボキシル
基と、偏光子中の水酸基とを配位結合することで架橋(疑似架橋)し、粘着剤層と偏光子間に優れた密着性をもたらす。
エポキシ化合物(B3)としては、1分子中のエポキシ基数が2以上のエポキシ化合物が通常用いられる。例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N’ ,N’−テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリンが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、さらにシランカップリング剤(C)を含有することが好ましい。シランカップリング剤(C)は、粘着剤層をガラス板等の被着体に対して強固に接着させ、高湿熱環境下で剥がれを防止する点に寄与する。
帯電防止剤(D)は、例えば、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層の表面抵抗値を低下させるために使用することができる。帯電防止剤(D)としては、例えば、界面活性剤、イオン性化合物、導電性ポリマーが挙げられる。
イオン性化合物は、カチオン部とアニオン部とから構成され、室温下(23℃/50%RH)では固体状でも液体状のいずれであってもよい。
導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびこれらの誘導体が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、その塗布性を調整するため、有機溶媒(E)を含有することが好ましい。有機溶媒としては、(メタ)アクリル系共重合体(A)の欄で説明した重合溶媒が挙げられる。例えば、上記共重合で得られた、(メタ)アクリル系共重合体(A)および重合溶媒を含むポリマー溶液と、架橋剤(B)とを混合して、粘着剤組成物を調製することができる。本発明の粘着剤組成物において、有機溶媒(E)の含有量は、通常50〜90質量%、好ましくは60〜85質量%である。
本発明の粘着剤組成物は、上記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、金属腐蝕防止剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋促進剤、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)以外の(メタ)アクリル系重合体およびリワーク剤から選択される1種または2種以上を含有してもよい。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)と架橋剤(B)と、必要に応じて他の成分とを、従来公知の方法により混合することで調製することができる。例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)を合成する際に得られた、当該ポリマーを含むポリマー溶液に、架橋剤(B)と必要に応じて他の成分とを配合することが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、偏光板の歪み抑制、凝集力、接着力、再剥離性の観点から、ゲル分率が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50〜98質量%、さらに好ましくは55〜95質量%である。ゲル分率が前記範囲にあると、粘着剤層は優れた耐久性を示す。
本発明の偏光板用粘着シートは、上述の粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有する。粘着シートとしては、例えば、上記粘着剤層のみを有する両面粘着シート、基材と、基材の両面に形成された上記粘着剤層とを有する両面粘着シート、基材と、基材の一方の面に形成された上記粘着剤層を有する片面粘着シート、およびそれら粘着シートの粘着剤層の基材と接していない面に剥離処理されたカバーフィルムが貼付された粘着シートが挙げられる。
粘着剤層の膜厚は、粘着性能維持の観点から、通常5〜75μm、好ましくは10〜50μmである。基材およびカバーフィルムの膜厚は、特に限定されないが、通常10〜125μm、好ましくは25〜75μmである。
本発明の粘着剤層付き偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に直接積層された、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層を有する。なお、本明細書では、「偏光板」は「偏光フィルム」を包含する意味で用いる。
また、上記偏光板には、例えば保護層、防眩層、位相差層、視野角向上層等の他の機能を有する層が積層されていてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により、下記条件で、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求めた。
・測定装置:HLC−8320GPC(東ソー(株)製)
・GPCカラム構成:以下の4連カラム(すべて東ソー(株)製)
(1)TSKgel HxL−H(ガードカラム)
(2)TSKgel GMHxL
(3)TSKgel GMHxL
(4)TSKgel G2500HxL
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・サンプル濃度:1.5%(w/v)(テトラヒドロフランで希釈)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・標準ポリスチレン換算
撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、ブチルアクリレート15部、2−エチルヘキシルアクリレート65部、2−メトキシエチルアクリレート5部、アクリル酸15部および酢酸エチル溶媒100部を仕込み、窒素ガスを導入しながら80℃に昇温した。次いで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を加え、窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、固形分濃度30質量%のポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系共重合体A1の重量平均分子量(Mw)は150万であり、分子量分布(Mw/Mn)は10であった。
重合反応に用いたモノマー成分を表1に記載したとおりに変更したこと以外は合成例1と同様に行い、固形分濃度30質量%のポリマー溶液を調製した。結果を表1に示す。
(1)粘着剤組成物の調製
合成例1で得られたポリマー溶液(固形分濃度30質量%)と、当該溶液に含まれる(メタ)アクリル系共重合体A1 100部(固形分量)に対して、イソシアネート化合物として綜研化学(株)製「L−45」(固形分45質量%、酢酸エチル溶液)0.5部(固形分量)と、金属キレートとして綜研化学(株)製「M−12AT」(固形分10質量%、トルエン溶液)0.05部(固形分量)、シランカップリング剤として綜研化学(株)製「A−50」(固形分50質量%、トルエン溶液)0.2部(固形分量)とを混合して、粘着剤組成物を得た。
剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、上記(1)で得られた粘着剤組成物を、泡抜け後、ドクターブレードを用いて塗布し、90℃で3分間乾燥して、乾燥膜厚20μmの塗膜を形成した。塗膜の前記PETフィルムの貼付面とは反対面に、剥離処理されたPETフィルムをさらに貼り合わせ、23℃/50%RH環境下で7日間静置して熟成させて、2枚のPETフィルムに挟まれた厚さ20μmの粘着剤層を有する粘着シートを得た。
剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、上記(1)で得られた粘着剤組成物を、泡抜け後、ドクターブレードを用いて塗布し、90℃で3分間乾燥して、乾燥膜厚20μmの塗膜を有するシートを得た。当該シートの塗膜面と、偏光子であるポリビニルアルコールフィルムと偏光子保護膜であるトリアセチルセルロースフィルムとからなる2層構成(厚さ60μm)の偏光板の、ポリビニルアルコールフィルム面とが接するように貼り合わせ、23℃/50%RHの条件で7日間静置して熟成させて、PETフィルムと厚さ20μmの粘着剤層と偏光子と偏光子保護膜とを有する粘着剤層付き偏光板を得た。
実施例1において、ポリマー溶液を合成例2〜5で得られたポリマー溶液に変更し、配合組成を表2に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板を得た。
〔ゲル分率〕
実施例・比較例で得られた粘着シートから、粘着剤約0.1gをサンプリング瓶に採取し、酢酸エチル30mLを加えて4時間振盪した後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥して乾燥重量を測定した。次式により、粘着剤のゲル分率を求めた。
・ゲル分率(%)=(乾燥重量/粘着剤採取重量)×100(%)
実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体)を70mm×25mmの大きさに裁断して、試験片を作成した。試験片からPETフィルムを剥離し、ラミネーターロールを用いて、粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体を、厚さ2mmのガラス板の片面に、粘着剤層とガラス板とが接するように貼着した。得られた積層体を、50℃/5気圧に調整されたオートクレーブ中に20分間保持した。次いで23℃/50%RH環境下に1時間放置した後、ガラス板面に対して90°方向に300mm/minの速度で偏光板端部を引っ張り、粘着力(剥離強度)を測定した。
実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体)を70mm×25mmの大きさに裁断して、試験片を作成した。試験片の偏光子保護膜を指で擦り、以下の基準で密着性の観察を行った。
AA:偏光子から粘着剤層の剥がれが確認されなかった
BB:偏光子から粘着剤層の細かい剥がれが確認された
CC:偏光子から粘着剤層の明らかな剥がれが確認された
実施例・比較例で得られた粘着剤層付き偏光板(PETフィルム/粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体)を150mm×250mmの大きさに裁断して、試験片を作成した。試験片からPETフィルムを剥離し、ラミネーターロールを用いて、粘着剤層/偏光子/偏光子保護膜からなる積層体を、厚さ0.5mmのガラス板の片面に、粘着剤層とガラス板とが接するように貼着した。得られた積層体を、50℃/5気圧に調整されたオートクレーブ中に20分間保持して、試験板を作成した。同様の試験板を2枚作成した。前記試験板を、温度80℃の条件下(耐熱性)または温度60℃/湿度90%RHの条件下(耐湿熱性)で500時間放置し、以下の基準で発泡、浮き、剥がれの発生を観察して評価した。
AA:発泡、浮き、剥がれ等の外観不良は観察されなかった
BB:発泡、浮き、剥がれ等の外観不良が僅かに観察された
CC:発泡、浮き、剥がれ等の外観不良が明らかに観察された
Claims (5)
- (A)アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70〜95質量%と、カルボキシル基含有モノマーを5〜30質量%とを含むモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリル系共重合体と、
(B)架橋剤と
を含有し、
偏光子と直接接する粘着剤層を形成するために用いられる
ことを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。 - 前記架橋剤(B)として、イソシアネート化合物と金属キレート化合物を併用することを特徴とする請求項1に記載の偏光板用粘着剤層。
- 請求項1または請求項2に記載の粘着剤組成物より形成された偏光板用粘着剤層。
- 請求項3に記載の粘着剤層を有する偏光板用粘着シート。
- 偏光子の少なくとも一方の面に直接積層された、請求項3に記載の粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板。
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JPH1054906A (ja) * | 1996-08-09 | 1998-02-24 | Sekisui Chem Co Ltd | 位相差板及び楕円偏光板 |
WO2009069799A1 (ja) * | 2007-11-30 | 2009-06-04 | Sumitomo Chemical Company, Limited | 高弾性率粘着剤層を有する偏光板及びそれを用いた画像表示装置 |
JP2015146013A (ja) * | 2013-06-28 | 2015-08-13 | 日東電工株式会社 | 粘着剤層付偏光フィルム、積層体、及び、画像表示装置 |
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