JP2017052991A - 鉱石スラリーの処理方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 - Google Patents

鉱石スラリーの処理方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸浸出処理に供給する鉱石スラリーによる配管やポンプ等の設備の磨耗を抑制するとともに、湿式製錬プロセスにおける最終中和工程から産出される最終中和残渣量を低減することができる方法を提供する。【解決手段】本発明にかかる方法は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法における酸浸出処理に供する鉱石スラリーの処理方法であって、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーに対して分級装置を使用した分級処理を施し、ゲーサイトを含む混合物と、クロマイトを含む混合物とを得る分級工程S21と、クロマイトを含む混合物から、磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する磁力選鉱工程S23とを有する。そして、分級工程S21にて得られたゲーサイトを含む混合物と、磁力選鉱工程S23にて分離したマグネタイトを含む混合物とを、酸浸出処理に供する鉱石スラリーとする。【選択図】図2

Description

本発明は、鉱石スラリーの処理方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関するものであり、より詳しくは、酸浸出によりニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出させて回収する湿式製錬方法において、その浸出処理に供給する鉱石スラリーの処理方法及びその処理工程を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関する。
近年、鉄、銅、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン等の鉱物資源において、採掘権の寡占化がますます進んでいることにより、金属製錬での原料コストが大幅に上昇している。このコストの大幅な上昇に対処するため、従来、製錬の対象にならなかった低品位鉱石を使用するための技術開発が行われている。
例えばニッケル製錬では、高温高圧下において耐食性に優れた材料が開発されたこともあり、ニッケル酸化鉱石を硫酸で加圧下に酸浸出する高圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leach)法に基づく湿式製錬方法が注目されている。
この高圧酸浸出法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱石の製錬方法である乾式製錬法と異なり、還元工程、乾燥工程等の乾式工程を有さないため、エネルギーコスト的に有利であり、今後も低品位ニッケル酸化鉱石(以下、単に「鉱石」という)の製錬方法として有力な技術となる。
また、この高圧酸浸出法に基づく湿式製錬法の製錬プロセスとしての完成度を上げるため、高温加圧下での浸出工程を中心として、ニッケル及びコバルトの浸出率の向上、浸出液の浄液、操業資材使用量の低減等に関して様々な提案がなされている。
ところで、高温加圧下での浸出処理を行うプロセスとして、特許文献1には、ニッケル、コバルト、マンガン等の有価金属を含有する鉱石から、下記工程(a)〜(c)からなる方法により、その有価金属を回収する方法が開示されている。
工程(a):スラリー化した鉱石を、工程(b)で得られた加圧酸浸出液により、硫酸酸性下で常圧浸出し、常圧浸出液と常圧浸出残留物を得る。
工程(b):工程(a)で得られた常圧浸出残留物を、高温高圧下の酸化性雰囲気で硫酸と反応させて加圧酸浸出液を得る。
工程(c):工程(a)で得られた常圧浸出液に中和剤を加えて中和し、次いで硫化アルカリ化合物を添加して、浸出液中のニッケル及びコバルトを硫化物として回収する。
この方法では、鉱石スラリーを工程(a)で常圧浸出し、次いで常圧浸出残渣を工程(b)で加圧酸浸出する2段浸出を行うことにより、鉱石からのニッケル浸出率を向上させ、同時に加圧酸浸出の浸出液中に含まれる過剰な酸を、常圧浸出残渣に含有されるアルカリ成分によって中和し、中和工程(工程(c))の負荷を低減させるものである。
しかしながら、2段浸出を行うプロセスであるため、設備点数が増えコストと手間が増加するといった問題や、浸出残渣を洗浄する際に発生する多量の薄液の処理にコストを要するといった問題があった。
これらの問題点を解決するため、特許文献2には、高温加圧下での浸出を利用する他のプロセスとして、下記(i)〜(iv)からなる工程を含む方法が開示されている。
(i)浸出工程:鉱石をスラリー化して硫酸を添加し、220〜280℃の温度で撹拌処理し、浸出スラリーを形成する。
(ii)固液分離工程:浸出スラリーを、多段階のシックナーを用いて洗浄し、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣とに分離する。
(iii)中和工程:浸出液の酸化を抑制しながら、炭酸カルシウムを用いてpHが4以下となるよう調整し、3価の鉄を含有する中和澱物を生成し、中和澱物スラリーとニッケル回収用母液とに分離する。
(iv)硫化工程:ニッケル回収用母液に硫化水素ガスを吹きこみ、ニッケル及びコバルトを含む硫化物を生成し、ニッケル及びコバルトを含む硫化物と貧液とに分離する。
ここで、特許文献2に開示される技術に基づく実用プラントの概要について図1を用いて説明する。なお、図1は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に基づく実用プラントの一例における製錬工程図である。
図1の工程図に示すように、最初に、[1]鉱石処理工程において、原料とするニッケル酸化鉱石が水と混合され、得られた混合液から異物が除去され、また鉱石粒度の調整が行われ、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーが形成される。
次に、[2]浸出工程において、得られた鉱石スラリーが、硫酸を用いた高温加圧浸出に付され、浸出液と浸出残渣とを含む浸出スラリーが形成される。
次に、[3]固液分離工程において、得られた浸出スラリーが多段洗浄された後、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と、浸出残渣スラリーとに分離される。
次に、[4]中和工程において、分離された浸出液に対する中和処理が施され、3価の鉄水酸化物を含む中和澱物スラリーと、中和後液とに分離される。
次に、[5]亜鉛除去工程において、中和後液に対して硫化剤が添加され、その溶液中に含まれる亜鉛が硫化物となり、硫化亜鉛を含む硫化亜鉛澱物と、亜鉛を除去したニッケル回収用の母液とに分離される。
次に、[6]硫化工程において、ニッケル回収用の母液に対して硫化剤が添加され、その母液中に含まれるニッケル及びコバルトが硫化物となり、ニッケル及びコバルトの混合硫化物と、ニッケル等が除去された貧液とに分離される。なお、貧液は、固液分離工程[3]における浸出残渣の洗浄水として使用される。
最後に、[7]最終中和工程において、余剰の貧液と、固液分離工程[3]で分離された浸出残渣スラリーとに対して中和処理が施され、中和処理により生成した最終中和残渣がテーリングダムに貯留される。
このような製錬プロセスの特徴としては、固液分離工程[3]で浸出スラリーを多段階で洗浄することによって、次工程の中和工程[4]での中和剤消費量と澱物量を削減でき、また浸出残渣の真密度を高めることができるため、固液分離特性を改善できることが挙げられる。また、浸出工程[2]での浸出処理を高温加圧浸出のみで行うことにより、プロセスを簡素化することができるという特徴も挙げられ、特許文献1に開示されている方法よりも利点があるとされている。
さらに、固液分離工程[3]で用いる洗浄液として、硫化工程[6]で生じた貧液を使用することで、貧液中に残留する硫酸を利用して浸出残渣に付着したニッケルを浸出させて回収でき、効果的かつ効率的な水の繰り返し使用が可能になるとされている。またさらに、中和工程[4]にて生成した中和澱物のスラリーを固液分離工程[3]に戻すことにより、ニッケルのロスを低減することができ、より有利であるとされている。
しかしながら、この製錬プロセスにおいては、以下のような課題がある。
第1に、設備の磨耗の抑制が挙げられる。ニッケル酸化鉱石は、鉱石スラリーとして各工程における設備間を搬送されるが、その搬送に際して鉱石スラリーによる設備材料の磨耗が著しく、とりわけ浸出工程における処理設備の配管、ポンプ等では補修頻度が高くなり、メンテナンスコストの上昇やプラント稼働率低下の大きな原因となっている。
第2に、最終中和残渣の量の低減が挙げられる。固液分離工程[3]で生じる浸出残渣スラリーは、硫化工程[6]から産出される余剰の貧液と合一され、最終中和工程[7]において石灰石スラリー又は消石灰スラリーを用いた中和処理が施され、無害化される。この最終中和工程[7]から産出される最終中和残渣は、テーリングダムで貯留されることになるが、この最終中和残渣には浸出残渣スラリー中のヘマタイト、クロマイト等の不純物成分のほか、中和処理により形成される石膏が含有されるため、資源化できず、テーリングダムの建設及び維持管理のための大きなコスト負担が生じていた。
このように、従来の高圧酸浸出法に基づく湿式製錬方法を用いた実用プラントでは、上述した課題の解決策が求められている。さらに、その課題を、効果的にかつ経済的に解決するためには、鉱石又は浸出残渣スラリーに含まれる不純物成分を効率的に分離回収することが有効な手段となり、これら不純物成分を資源化して有効活用することも求められている。
特許文献3には、高圧酸浸出法に基づく湿式製錬において、鉱石スラリーからシリカ鉱物、クロマイト又はケイ苦土鉱から選ばれる少なくとも1種を含む粒子を物理分離して回収する工程と、浸出残渣スラリー中のヘマタイト粒子を物理分離して回収する工程とを含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法が開示されている。しかしながら、鉱石又は浸出残渣に含まれる不純物成分の効率的な分離回収には、更なる改善が求められている。
特開平6−116660号公報 特開2005−350766号公報 特開2010−95788号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、酸浸出処理を用いたニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、酸浸出処理に供給する鉱石スラリーによる配管やポンプ等の設備の磨耗を抑制するとともに、湿式製錬プロセスにおける最終中和工程から産出される最終中和残渣量を低減することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、鉱石スラリーに対して分級処理を施してゲーサイトを含む混合物と、クロマイトを含む混合物と分離し、次いでそのクロマイトを含む混合物に対して磁力選鉱処理を施すことにより、非着磁物としてクロマイトを分離除去することにより、酸浸出処理に供する鉱石スラリー中のクロマイトを低減させることができ、上述した課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法における酸浸出処理に供する鉱石スラリーの処理方法であって、前記ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーに対して分級装置を使用した分級処理を施し、ゲーサイトを含む混合物と、クロマイトを含む混合物とを得る分級工程と、前記クロマイトを含む混合物から、磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する磁力選鉱工程とを有し、前記分級工程にて得られた前記ゲーサイトを含む混合物と、前記磁力選鉱工程にて分離した前記マグネタイトを含む混合物とを、前記酸浸出処理に供する鉱石スラリーとすることを特徴とする鉱石スラリーの処理方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記分級工程にて分離された前記クロマイト含む混合物を、前記磁力選鉱工程にて使用する前記磁力選鉱装置の磁界強度よりも小さい磁界強度を発生する低磁界磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する低磁界磁力選鉱工程をさらに有し、前記磁力選鉱工程では、前記低磁界磁力選鉱工程を経て分離された前記クロマイトを含む混合物から、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離し、前記低磁界磁力選鉱工程にて分離したマグネタイトを含む混合物を、前記酸浸出処理に供する鉱石スラリーに含めることを特徴とする鉱石スラリーの処理方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記分級工程では、前記分級装置としてハイドロサイクロンを使用し、該ハイドロサイクロンのオーバーフローとして前記ゲーサイトを含む混合物を分離し、アンダーフローとして前記クロマイトを含む混合物を分離することを特徴とする鉱石スラリーの処理方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第3の発明において、前記分級工程では、アンダーフロー粒子のうち、粒子サイズ−45μmのものの存在比率が30%以下となるように、前記ハイドロサイクロンの圧力と前記分級処理の対象とする鉱石スラリーの濃度を調整することを特徴とする鉱石スラリーの処理方法である。
(5)本発明の第5の発明は、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーに対して酸浸出処理を施してニッケルを浸出させて回収するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法において、前記ニッケル酸化鉱石から調製した鉱石スラリーのうち、前記酸浸出処理に供する鉱石スラリーからクロマイトを分離する鉱石スラリーの処理工程を含み、前記鉱石スラリーの処理工程は、前記ニッケル酸化鉱石から調製した鉱石スラリーに対して分級装置を使用した分級処理を施し、ゲーサイトを含む混合物と、クロマイトを含む混合物とを得る分級工程と、前記クロマイトを含む混合物から、磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する磁力選鉱工程とを有し、前記分級工程にて得られた前記ゲーサイトを含む混合物と、前記磁力選鉱工程にて分離した前記マグネタイトを含む混合物とを、前記酸浸出処理に供する鉱石スラリーとすることを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
本発明によれば、酸浸出処理に供する鉱石スラリー中のクロマイトを効率的にかつ効果的に低減させることができる。これにより、鉱石スラリーの移送等に使用する配管やポンプ等の設備の磨耗を抑制することができ、また、湿式製錬プロセスにおける最終中和工程から産出される最終中和残渣量を低減することができる。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの一例を示す工程図である。 鉱石スラリーの処理方法の一例を示す工程図である。 鉱石スラリーの処理方法を適用したニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの一例を示す工程図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.鉱石スラリーの処理方法≫
本実施の形態に係る鉱石スラリーの処理方法は、ニッケル酸化鉱石を原料とした湿式製錬プロセスにおける、例えば高温高圧下での酸浸出処理に供する鉱石スラリーを処理するための方法であり、鉱石スラリーに対する酸浸出処理に先立つ前処理方法である。
具体的に、この鉱石スラリーの処理方法は、図2に示す工程図のように、ニッケル酸化鉱石のスラリーに対して分級装置を使用した分級処理を施し、ゲーサイトを含む混合物とクロマイトを含む混合物とを得る分級工程S21と、分級工程S21にて得られたクロマイトを含む混合物から、磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する磁力選鉱工程S23とを有する。
また、この鉱石スラリーの処理方法では、分級工程S21に続いて、分級分離されたクロマイト含む混合物を、磁力選鉱工程S23にて使用する磁力選鉱装置の磁界強度よりも小さい磁界強度を発生する低磁界磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する低磁界磁力選鉱工程S22を備えるようにすることができる。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて処理される原料となるニッケル酸化鉱石は、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8〜2.5重量%であり、ニッケルは水酸化物、又は含水ケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有されている。また、鉄の含有量は、10〜50重量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄が含水ケイ苦土鉱物等に含有される。
さらに、ラテライト鉱においてはクロムが含まれており、そのクロム分の多くは、鉄又はマグネシウムを含むクロマイト鉱物として、例えば1〜5重量%程度含有されている。また、マグネシア分は、含水ケイ苦土鉱物のほか、未風化で硬度が高いニッケルをほとんど含有しないケイ苦土鉱物に含有される。珪酸分は、石英、クリストバライト(無定形シリカ)等のシリカ鉱物及び含水ケイ苦土鉱物に含有されている。
このように、ラテライト鉱において含有される、クロマイト鉱物、ケイ苦土鉱物、及びシリカ鉱物は、ニッケルをほとんど含有していない、いわゆる脈石成分である。
さて、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、主としてラテライト鉱である原料のニッケル酸化鉱石は、鉱石粒度の調整が行われた後に水と混合されて鉱石スラリーとして調製されるが、ニッケル酸化鉱石には上述のようにクロマイトが含まれている。このようなクロマイトを含有する鉱石スラリーを、酸浸出処理に供するために配管やポンプ等の設備を用いて移送すると、それら設備を著しく磨耗させることが知られており、設備のメンテナンスや操業効率に大きな影響を及ぼす。
このことから、酸浸出処理に供する鉱石スラリーとしては、その酸浸出処理に先立ってクロマイト分を分離除去したものを用いることが望ましい。
ここで、鉱石スラリーを構成する鉱石粒子中の各成分分布状態について説明する。ニッケル酸化鉱石をEPMA観察すると、クロム含有量の高い部分は、鉄含有量の高い部分とは独立した単独相として存在する比率が高く、かつ20〜1000μmの粒径の鉱石に含まれることが多い。このことは、クロムを含む鉱物は、約20μm以上の粒子に多く含まれており、一方で、ニッケル及び鉄を含む鉱物は、約20μm未満の粒子に多く含まれていることを示している。
したがって、鉱石スラリーからクロマイトを効果的に分離回収するためには、原料とするニッケル酸化鉱石から粗大な粒子を除いた後の鉱石をスラリー化し、この鉱石スラリー中のニッケル酸化鉱石を適切な粒度になるように解砕し、適切な分級粒度を設定することが肝要である。なお、このときの解砕粒度としては、鉱石スラリーを形成する際の本来の目的を考慮して決められるが、約2mm以下程度が好ましい。
表1に、原料のニッケル酸化鉱石を約2mm以下の粒度に破砕して得られた鉱石スラリーの鉱石粒度分布と、各粒度区分での金属元素成分の品位の一例を示す。
Figure 2017052991
表1に示すように、鉱石スラリー中の鉱石のうち、75μm以上の粗粒部に、クロム、珪素、マグネシウム等が濃縮されることが分かる。一方で、75μm以下の細粒部には、鉄が濃縮されることが分かる。
このことから、先ず、原料のニッケル酸化鉱石の粒度調整を行って得られた、例えば2mm以下の鉱石スラリーに対して、分級装置を用いて所定の分級粒度(分級点)で分級処理を施し、粗粒部と細粒部とに分級する。すると、粗粒部にクロマイトを含む混合物が得られ、細粒部に鉄を含有するゲーサイト等を含む混合物を得ることができる。これにより、第1段階として、鉱石スラリーからクロマイトを分離することができる。以下、より具体的に、このような分級処理を行う分級工程から説明する。
<1−1.分級工程>
分級工程S21では、ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーに対し、分級装置を使用して分級処理を施し、ゲーサイトを含む混合物とクロマイトを含む混合物とに分級する。ここで分級されたゲーサイトを含む混合物は、クロマイトが分離除去された鉱石スラリーであり、そのまま、湿式製錬プロセスのオートクレーブ等の加圧反応容器にて行われる酸浸出処理に供給する鉱石スラリーとなる。
分級工程S21では、分級装置を使用しその運転条件を決定することによって、ゲーサイトを含む混合物と、クロマイトを含む混合物とに分級分離することができる。この分級処理では、所定の分級粒度に基づいて、細粒部がゲーサイトを含む混合物となり、粗粒部がクロマイトを含む混合物となって分離される。なお、粗粒部に分級されるクロマイトを含む混合物には、主として、クロマイトとマグネタイトとを含み、この粗粒部に混入した一部のゲーサイトが含まれている。
具体的に、この分級工程S21における分級処理では、特に限定されないが、クロマイトを含む混合物中のクロマイト濃度が41重量%以上程度にまで濃縮させるようにすることが好ましい。
具体的に、分級装置の運転条件に関して、処理対象とする鉱石スラリーの分級粒度(分級点)としては、ニッケルが含有されるゲーサイトを細粒部として効率よく分級分離できればよく、好ましくは20〜150μmの範囲、より好ましくは45〜75μmの範囲から選択することが好ましい。すなわち、工業的に実施可能な分級粒度の下限としては、おおむね20μmである。このことから、分級粒度が20μm未満であると、粗粒部へのクロマイトの濃縮が不十分になるとともに、酸浸出処理に供給される鉱石スラリー中のニッケルがロスすることになる。一方で、分級粒度が150μmを超えると、細粒部においてクロマイト、ケイ苦土鉱、及びシリカ鉱物の除去が不十分となってしまう可能性がある。
分級装置としては、特に限定されないが、ハイドロサイクロンを使用することが好ましい。一般的に、クロマイトの比重はゲーサイト等の水酸化鉄の比重よりも大きく、ハイドロサイクロンを用いて分級処理を行うことによって、その鉱石スラリーを粒度に基づき、アンダーフロー(U/F)としてクロマイトを含む混合物を、オーバーフロー(O/F)としてゲーサイトを含む混合物を、精度良く分離することができる。また、ハイドロサイクロンは、大量の鉱石スラリーの処理に適しており、また、オーバーフローへの分配が多い場合の処理に適している。なお、ハイドロサイクロンは、1段のみでもよく、2段以上の複数段を備えるようにしてもよい。
ハイドロサイクロン等の分級装置の運転圧力、すなわち分級装置に供給するスラリーの圧力としては、特に限定されないが、分級性能や処理速度等を考慮すると、0.1〜0.3MPa程度とすることが好ましい。
また、分級装置としては、アンダーフローのパルプ濃度が50重量%以上となるように、その形状等を調整することが好ましい。
また、ハイドロサイクロン等の分級装置に供する鉱石スラリーのパルプ濃度としては、特に限定されないが、10〜30重量%程度であることが好ましく、15〜20重量%であることがより好ましい。例えばハイドロサイクロンを用いた分級分離においては、パルプ濃度が10重量%未満でも処理は可能であるものの、水を大量に必要とし、さらに後工程の沈降濃縮にも不利となってしまう。また、パルプ濃度が30重量%を超えると、スラリーの粘度が上昇し、分級分離が困難になる場合がある。これらのことから、パルプ濃度としては10〜30重量%の範囲に設定することが好ましく、これにより新たに水を供給する必要がなく、また希釈のためのタンクも不要になる。
また、分級処理を行うにあたっては、上述したように分級装置の分級性能や処理速度等を考慮して運転圧力等を調整することが好ましいが、その中でも、得られる粗粒部の粒子のうち、粒子サイズ−45μm(45μm未満)のものの存在比率が30%以下となるように、分級装置に供給するスラリー圧力と分級処理の対象とする鉱石スラリーの濃度を調整することが好ましい。
なお、粗粒部に分級される粒子において、粒子サイズが45μm未満の粒子の存在比率としては0%に近いほど望ましいが、その45μm未満の粒子の割合を下げていくと、分離させた細粒部に粗粒の低ニッケル含有粒子が混じってしまうことがあり、湿式製錬プロセスにおけるニッケルの回収ロスの要因となる可能性がある。
このように、パルプ濃度、ハイドロサイクロン等の分級装置の運転圧力、分級装置の形状等を最適化することにより、細粒部へのクロマイトの分配をほとんど無くすことが可能となり、クロマイトを効果的に分離することができる。
<1−2.磁力選鉱工程>
磁力選鉱工程S23では、分級工程S21において分離した、クロマイトを含む混合物に対して、磁力選鉱装置を使用して磁力選鉱処理を施す。
上述したように、分級工程S21にて粗粒部として分級分離したクロマイトを含む混合物には、主として、クロマイトとマグネタイトとが含まれており、一部ゲーサイトも含まれている。磁力選鉱工程S23では、このようなクロマイトを含む混合物に対して磁力選鉱処理を施すことによって、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離することができ、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離することができる。このような磁力選鉱処理によって、クロマイトを効果的に分離することができ、言い換えるとクロマイトをさらに濃縮することができる。一方、分離させた着磁物としてのマグネタイトを含む混合物は、湿式製錬プロセスの酸浸出処理に供給する鉱石スラリーとすることができる。
なお、磁力選鉱処理の処理対象であるクロマイトを含む混合物に微量含まれているゲーサイトは、この磁力選鉱処理によって、マグネタイトを含む混合物中に含まれることになり、マグネタイトと同様に、酸浸出処理に供給する鉱石スラリーとすることができる。
磁力選鉱装置としては、比較的に高い磁界を発生する高磁界磁力選鉱装置を用いる。具体的に、高磁界磁力選鉱装置としては、特に限定されないが、5KGauss以上の磁界強度を発生させるものであることが好ましい。これにより、マグネタイトを着磁物として効果的に分離することができる。一方で、磁界強度が大きすぎると、分離したいクロマイトも同時に着磁してしまう可能性があることから、高磁界磁力選鉱装置の磁界強度としては20kGauss以下であることが好ましい。このように、磁界強度が5〜20KGaussの範囲の磁力選鉱装置を使用して磁力選鉱処理を行うことにより、より効果的にクロマイトを分離して除去することができる。
<1−3.低磁界磁力選鉱工程>
さて、磁力選鉱工程S23での高磁界磁力選鉱装置を使用した磁力選鉱処理においては、分級工程S21での分級処理により得られたクロマイトを含む混合物から、マグネタイト、ゲーサイトのいずれも分離して除去することが可能であり、マグネタイトは上述のように着磁物として分離することができる。マグネタイトを着磁物として磁力選鉱する効果としては、比較的に低い磁界強度の磁力選鉱装置を使用して処理した場合よりは大きいものの、磁界強度が大きすぎるとマグネタイトを磁石から取り除き難くなる。一方で、ゲーサイトは、比較的に低い磁界強度の磁力選鉱装置による磁力選鉱では着磁しないが、高い磁界強度の磁力選鉱装置による磁力選鉱では着磁する。
このようなことから、本実施の形態に係る鉱石スラリーの処理方法においては、図2の工程図における点線囲み部にて示すように、ハイドロサイクロン等の分級装置を用いた分級工程S21に続けて、低磁界磁力選鉱工程S22を設けることが好ましい。
低磁界磁力選鉱工程S22では、上述した磁力選鉱工程S23にて使用する磁力選鉱装置の磁界強度よりも小さい磁界強度を発生する低磁界磁力選鉱装置を使用して、分級工程S21を経て得られたクロマイトを含む混合物に対して磁力選鉱処理を行う。この低磁界磁力選鉱装置を使用した磁力選鉱処理によって、着磁物として、強磁性体であるマグネタイトを含む混合物を分離することができ、非着磁物としてクロマイトとゲーサイトとを含む混合物を分離することができる。
このように、低磁界磁力選鉱工程S22では、強磁性体であるマグネタイトを効率的に分離除去することができ、分離したマグネタイトを含む混合物は、湿式製錬プロセスの酸浸出処理に供給する鉱石スラリーとすることができる。
低磁界磁力選鉱装置としては、磁力選鉱工程S23にて使用する磁力選鉱装置の磁界強度よりも小さい磁界強度を発生するものであれば特に限定されないが、500〜2000Gauss程度の磁界強度で運転できるものが好ましい。この低磁界磁力選鉱装置を使用した磁力選鉱処理は、強磁性体のマグネタイトを選択的に除去する処理であるが、使用する装置の磁界強度が500Gauss未満であるとその効果が得られ難くなる。一方で、磁界強度が2000Gaussを超えると、着磁物となったマグネタイトを磁石から取り除くことが困難になる。
この低磁界磁力選鉱工程S22において、非着磁物として分離されたクロマイトとゲーサイトとを含む混合物は、上述した磁力選鉱工程S23における処理に送られる。具体的には、磁力選鉱工程S23において、クロマイトとゲーサイトとを含む混合物が、例えば5〜20KGaussの範囲の磁力選鉱装置を使用する磁力選鉱処理に供され、その処理によって、着磁物としてゲーサイトを含む混合物が分離され、非着磁物としてクロマイトを含む混合物が分離される。
なお、低磁界磁力選鉱工程S22にて分離されたクロマイトとゲーサイトとを含む混合物中には、マグネタイトが含まれていることもあり、そのような場合には、磁力選鉱工程S23における処理により、着磁物として得られるゲーサイトを含む混合物中にマグネタイトも含まれ分離される。
このように、本実施の形態に係る鉱石スラリーの処理方法は、ニッケル酸化鉱石のスラリーに対して分級装置を使用した分級処理を施し、ゲーサイトを含む混合物と、クロマイトを含む混合物とを得る分級工程S21と、得られたクロマイトを含む混合物から、磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する磁力選鉱工程S23とを有する。また、より好ましくは、低磁界磁力選鉱工程S22として、分級分離されたクロマイト含む混合物を、磁力選鉱工程S23にて使用する磁力選鉱装置の磁界強度よりも小さい磁界強度を発生する低磁界磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する。
ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーを湿式製錬プロセスにおける酸浸出処理に供するに先立ち、その鉱石スラリーに対してこのような一連の処理を施すことによって、鉱石中のクロマイトを効率的にかつ効果的に分離除去することができる。そして、その他の分離成分、すなわち、分級工程S21にて分級分離されたゲーサイトを含む混合物と、磁力選鉱工程S23にて分離された着磁物としてのマグネタイトを含む混合物とを、酸浸出処理に供する鉱石スラリーとすることで、ニッケルの実収率の低下を抑えながら、酸浸出処理において使用する配管やポンプ等の設備の摩耗を防ぐことができる。
また、鉱石スラリー中のクロマイトを効果的に除去することができるため、湿式製錬プロセスにて生じる残渣、特に、最終中和工程を経て得られる最終中和残渣の量を低減させることができる。
以下では、上述した鉱石スラリーの処理方法を適用した、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスについて具体的に説明する。
≪2.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスについて≫
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスは、例えば高圧酸浸出法(HPAL法)を用いて、ニッケル酸化鉱石からニッケルを浸出させて回収する製錬プロセスである。
図3は、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法による湿式製錬プロセスの流れの一例を示す工程図である。図3の工程図に示すように、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスは、ニッケル酸化鉱石をスラリー化する鉱石処理工程S1と、鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で酸浸出処理を施す浸出工程S3と、得られた浸出スラリーを多段洗浄しながら残渣を分離してニッケルと共に不純物元素を含む浸出液を得る固液分離工程S4と、浸出液のpHを調整して不純物元素を含む中和澱物を分離しニッケルを含む中和後液を得る中和工程S5と、中和後液に硫化剤を添加することで亜鉛を含む硫化物(硫化亜鉛澱物)とニッケル回収用の母液を生成する亜鉛除去工程S6と、ニッケル回収用の母液に硫化剤を添加することでニッケルを含む硫化物(ニッケル硫化物)を生成させる硫化工程S7とを有する。さらに、この湿式製錬プロセスは、固液分離工程S4にて分離された浸出残渣スラリーや硫化工程S7にて排出された貧液を回収し、それらを無害化して最終中和残渣を生成する最終中和工程S8を有する。
そして、本実施の形態においては、鉱石スラリーに対する硫酸による酸浸出処理を施すに先立ち、鉱石処理工程S1にてスラリー化した鉱石スラリーに対して、クロマイトを除去する処理を施す鉱石スラリー処理工程S2を有することを特徴としている。
(1)鉱石処理工程
鉱石処理工程S1では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に対して、所定の分級点で分級してオーバーサイズの鉱石粒子を除去した後に、アンダーサイズの鉱石粒子に水を添加して粗鉱石スラリーとする。
ここで、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石は、ニッケルやコバルトを含有する鉱石であり、上述したように、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は、0.8〜2.5重量%程度であり、ニッケルは水酸化物、又は含水ケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10〜50重量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄が含水ケイ苦土鉱物等に含有される。
さらに、ラテライト鉱においてはクロムが含まれており、そのクロム分の多くは、鉄又はマグネシウムを含むクロマイト鉱物として、例えば1〜5重量%程度含有されている。また、マグネシア分は、含水ケイ苦土鉱物のほか、未風化で硬度が高いニッケルをほとんど含有しないケイ苦土鉱物に含有される。また、珪酸分は、石英、クリストバライト(無定形シリカ)等のシリカ鉱物及び含水ケイ苦土鉱物に含有されている。
ニッケル酸化鉱石の分級方法については、所望とする粒径に基づいて鉱石を分級できるものであれば特に限定されず、例えば、グリズリーや振動篩等を用いた篩分けによって行うことができる。さらに、その分級点についても、特に限定されず、所望とする粒径値以下の鉱石粒子からなる鉱石スラリーを得るための分級点を適宜設定することができる。
(2)鉱石スラリー処理工程
本実施の形態においては、鉱石スラリーに対して浸出工程S3にて酸浸出処理を施すに先立ち、鉱石処理工程S1を経て得られた鉱石スラリーに対して、クロマイトを分離除去する処理を施すことを特徴としている。
鉱石スラリー処理工程S2は、鉱石スラリーに対して分級装置を使用した分級処理を施し、ゲーサイトを含む混合物と、クロマイトを含む混合物とを得る分級工程S21と、分級工程S21にて得られたクロマイトを含む混合物から、磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する磁力選鉱工程S23とを有する。
また、鉱石スラリー処理工程S2は、分級工程S21に続いて、分級分離されたクロマイト含む混合物を、磁力選鉱工程S23にて使用する磁力選鉱装置の磁界強度よりも小さい磁界強度を発生する低磁界磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する低磁界磁力選鉱工程S22を備えるようにしてもよい。
鉱石スラリー処理工程S2におけるクロマイトの除去処理の詳細な説明は、上述したものと同様であるためここでは省略するが、このように鉱石スラリーに対して処理を施すことによって、鉱石スラリーから、クロマイトを効率的にかつ効果的に分離除去することができ、ニッケル実収率の低下を抑えながら、鉱石スラリーに対して酸浸出処理を施す際の、配管やポイプ等の設備の摩耗を防ぐことができる。また、湿式製錬プロセスにおいて最終的に得られる最終中和残渣の量を低減させることもできる。
なお、鉱石スラリー処理工程S2における、分級工程S21にて分級分離したゲーサイトを含む混合物と、磁力選鉱工程S23にて着磁物として分離したマグネタイトを含む混合物とが、後述する浸出工程S3における浸出処理に供給される鉱石スラリーとなる。なお、これらの鉱石スラリーは、ポンプによる圧力で配管を通って、酸浸出処理を行うオートクレーブ等の加圧反応容器に装入される。
(3)浸出工程
浸出工程S3では、鉱石スラリー処理工程S2を経てクロマイトが分離除去された後の鉱石スラリーに対して、例えば高圧酸浸出法を用いた酸浸出処理を施す。具体的には、オートクレーブ等の加圧反応容器内で、原料となる鉱石スラリーに硫酸を添加し、220〜280℃、好ましくは240〜270℃の高温の温度条件下で加圧しながら鉱石スラリーを攪拌し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを生成させる。
浸出工程S3における浸出処理では、下記式(i)〜(iii)で表される浸出反応と下記式(iv)及び(v)で表される高温熱加水分解反応が生じ、ニッケルやコバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。
・浸出反応
MO+HSO⇒MSO+HO・・・(i)
(なお、式中Mは、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mg、Cr、Mn等を表す)
2Fe(OH)+3HSO⇒Fe(SO+6HO・・・(ii)
FeO+HSO→FeSO+HO・・・(iii)
・高温熱加水分解反応
2FeSO+HSO+1/2O⇒Fe(SO+HO・・・(iv)
Fe(SO+3HO⇒Fe+3HSO・・・(v)
酸浸出処理で用いる硫酸の使用量としては、特に限定されず、鉱石中の鉄が浸出され、へマタイトに変化するのに必要な化学当量よりもやや過剰量、例えば、鉱石1トン当り300〜400kgが用いられる。特に、鉱石1トン当りの硫酸添加量が400kgを超えると、硫酸コスト及び後工程での中和剤コストが増加して好ましくない。また、生成物からみた硫酸使用量としては、浸出終了時の遊離硫酸の濃度が25〜50g/Lとなることを目標とし、好ましくは35〜45g/Lになるような硫酸使用量とする。このような条件を満足することによって、浸出残渣の真密度を高めて高密度の浸出残渣を安定的に産出し、スラリーの固液分離性を向上させることができ、次工程の固液分離工程S4の設備の簡素化を行うことができる。
ここで、酸浸出処理においては、鉱石スラリー処理工程S2を経て得られた鉱石スラリーが、配管等の設備を通じて、例えばオートクレーブ等に移送される。このとき、鉱石スラリー中にクロマイトが含まれていると、その配管やポンプ等の設備を著しく摩耗させ、補修頻度を高めてメンテナンスコストを上昇させてしまう。また、補修時にはプラントの稼働を停止させる必要も生じ、操業効率を悪化させる大きな要因となる。
この点、本実施の形態では、鉱石スラリー処理工程S2において、鉱石スラリーからクロマイトを効率的にかつ効果的に分離除去しているので、浸出工程S3における酸浸出処理に供される鉱石スラリー中のクロマイトが低減されている。その結果、鉱石スラリーを配管等の設備を介して移送するに際しても、その配管等の設備の摩耗を抑制することができ、操業効率の低下を防ぐことが可能となる。
(4)固液分離工程
固液分離工程S4では、浸出工程S3を経て得られた浸出スラリーを多段で洗浄しながら、ニッケル及びコバルトのほか不純物元素を含む浸出液と、浸出残渣とを分離する。
固液分離工程S4では、例えば、浸出スラリーと洗浄液とを混合した後、シックナー等の固液分離設備により固液分離処理を施す。具体的には、先ず、浸出スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。これにより、浸出残渣に付着するニッケル分をその希釈の度合いに応じて減少させることができる。なお、固液分離処理においては、例えばアニオン系の凝集剤を添加して行うようにしてもよい。
固液分離工程S4では、このように浸出スラリーを多段洗浄しながら固液分離をすることが好ましい。多段洗浄方法としては、例えば、浸出スラリーに対して洗浄液を向流に接触させる連続向流洗浄法を用いることができる。これにより、系内に新たに導入する洗浄液を削減できるとともに、ニッケル及びコバルトの回収率を95%以上に向上させることができる。また、洗浄液(洗浄水)としては、特に限定されないが、ニッケルを含まず、工程に影響を及ぼさないものを用いることが好ましい。例えば、洗浄液として、好ましくは、後工程の硫化工程S7で得られる貧液を繰り返して利用することができる。
(5)中和工程
中和工程S5では、固液分離工程S4にて分離された浸出液のpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物を分離して、ニッケルやコバルトを含む中和後液を得る。
具体的に、中和工程S5では、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、得られる中和後液のpHが4以下、好ましくは3.0〜3.5、より好ましくは3.1〜3.2になるように、その浸出液に炭酸カルシウム等の中和剤を添加して、中和後液と不純物元素として3価の鉄やアルミニウム等を含む中和澱物スラリーとを生成させる。中和工程S5では、このようにして不純物を中和澱物として除去し、ニッケル回収用の母液となる中和終液を生成させる。
(6)亜鉛除去工程
亜鉛除去工程S6では、ニッケル及びコバルトを硫化物として分離するに先立って、中和工程S5で得られた中和終液に対して、硫化水素ガス等の硫化剤を添加して硫化反応を生じさせ、亜鉛を含む硫化物を生成し、その硫化亜鉛澱物のスラリーとニッケル回収用の母液とを生成する。
亜鉛除去工程S6における処理では、硫化反応の際に弱い条件を作り出すことで硫化反応の速度を抑制し、亜鉛と比較して濃度の高い共存するニッケルの共沈を抑制する。このことにより、中和終液から亜鉛を選択的に除去する。この亜鉛除去処理により得られた硫化亜鉛澱物のスラリーは、中和工程S5で得られる中和澱物スラリーと同様に、最終中和工程S8に移送させて処理することができる。
(7)硫化工程
硫化工程S7では、亜鉛除去工程S6を経て得られたニッケル回収用の母液に対して、硫化水素ガス等の硫化剤を添加して硫化反応を生じさせ、ニッケル及びコバルトを含む硫化物(以下、「ニッケル・コバルト混合硫化物」ともいう)と貧液とを生成させる。
ニッケル回収用の母液は、浸出液から中和工程S5を経て不純物成分が低減され、また亜鉛除去工程S6を経て亜鉛が除去された硫酸酸性溶液である。なお、このニッケル回収用の母液には、不純物成分として鉄、マグネシウム、マンガン等が数g/L程度含まれている可能性があるが、これら不純物成分は、回収するニッケル及びコバルトに対して硫化物としての安定性が低く、したがって生成するニッケル・コバルト混合硫化物に含有されることはない。
硫化工程S7における硫化処理は、ニッケル及びコバルトの回収設備にて実行される。回収設備は、例えば、母液に対して硫化水素ガス等を吹き込んで硫化反応を行う硫化反応槽と、硫化反応後液からニッケル・コバルト混合硫化物を分離回収する固液分離槽とを備える。固液分離槽は、例えばシックナー等によって構成され、生成した硫化物を含んだ硫化反応後のスラリーに対して沈降分離処理を施すことで、沈殿物であるニッケル・コバルト混合硫化物をシックナーの底部より分離回収する。一方で、水溶液成分はオーバーフローさせて貧液として回収する。なお、回収した貧液は、ニッケル等の有価金属濃度が極めて低い溶液であり、硫化されずに残留した鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物元素を含む。この貧液は、後述する最終中和工程S8に移送されて無害化処理される。
(8)最終中和工程
最終中和工程S8では、上述した硫化工程S7にて排出された鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物元素を含む貧液に対して、排出基準を満たす所定のpH範囲に調整する中和処理(無害化処理)を施す。この最終中和工程S8では、固液分離工程S4における固液分離処理から排出された浸出残渣スラリーも併せて処理することもできる。また、必要に応じて、亜鉛除去工程S6にて得られる硫化亜鉛澱物のスラリーを併せて処理することもできる。
最終中和工程S8における無害化処理の方法、すなわちpHの調整方法としては、特に限定されないが、例えば炭酸カルシウム(石灰石)スラリーや水酸化カルシウム(消石灰)スラリー等の中和剤を添加することによって所定の範囲に調整することができる。具体的には、pHを8〜9程度に調整する。
このような中和剤を用いた中和処理によって、最終中和残渣が生成され、テーリングダムに貯留される。一方で、中和処理後の溶液は、排出基準を満たすものとなり、系外に排出される。
ここで、最終中和工程S8にて生成される最終中和残渣には、浸出残渣中のヘマタイトやクロマイト等の不純物成分のほか、中和工程S5等にて発生した石膏等を含有する。そして、当然に、これらの不純物成分等の量が多ければ、最終中和残渣の量も多くなり、テーリングダムの建設や維持管理のコスト負担も大きくなる。
この点に、本実施の形態では、鉱石スラリー処理工程S2において、鉱石スラリーからクロマイトを効率的にかつ効果的に分離除去しているので、浸出工程S3における酸浸出処理に供される鉱石スラリー中のクロマイトが低減されている。このことにより、その酸浸出処理により生成する浸出残渣中のクロマイトの量も抑制させることができ、したがって、最終中和工程S8にて生成される最終中和残渣の量も有効に低減させることができる。これにより、テーリングダムの建設や維持管理のコスト上昇も抑えることができ、効率的な操業を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における金属の分析は、蛍光X線分析法又はICP発光分析法を用いて行った。
≪鉱石スラリーに対する処理≫
[実施例1]
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセス(図1の工程図を参照)において、オートクレーブを使用した硫酸による酸浸出処理を行うにあたって、ニッケル酸化鉱石から調製した鉱石スラリーのうち、その酸浸出処理に供する鉱石スラリーからクロマイトを分離する鉱石スラリーの処理(図2の工程図を参照)を行った。
(分級工程)
先ず、分級工程として、湿式製錬の原料となるニッケル酸化鉱石から調製した鉱石スラリーに対し、ハイドロサイクロン(アタカ大機株式会社製、MD−9型)を使用して分級処理を行った。なお、ハイドロサイクロンにおいては、その圧力を0.1MPa、0.2MPa、0.3MPaとしてそれぞれの条件で分級処理を行った。また、下記表2に、分級処理の対象とした鉱石スラリーの組成を示す。
Figure 2017052991
ハイドロサイクロンを用いた分級処理により、ハイドロサイクロンのオーバーフロー(O/F)としてゲーサイトを含む混合物を、ハイドロサイクロンのアンダーフロー(U/F)としてクロマイトとマグネタイトと一部のゲーサイトとを含む混合物を、それぞれ分離した。下記表3に分級後のハイドロサイクロンU/Fに含まれる−45μm粒子の存在比率(wt%)を示し、また下記表4に分級後のハイドロサイクロンU/Fに含まれるクロマイト(Cr)の濃度(wt%)を示す。なお、表3及び表4中におけるSolid%(w/w)とは、分級処理の対象とした鉱石スラリー中の固形分濃度を示す。
Figure 2017052991
Figure 2017052991
表3及び表4に示すように、この分級処理では、ハイドロサイクロンのスラリー圧力が0.2MPa以下、スラリーの固形分濃度(Solid%)が23重量%以下の条件とすることにより、このハイドロサイクロンにより得られる粗粒部(ハイドロサイクロンU/F)において−45μmサイズの粒子の存在割合が30%以下になり、このときのCrの濃度は13.5%以上まで濃縮されていることが分かる。
(磁力選鉱工程)
次に、磁力選鉱工程として、分級処理により得られたハイドロサイクロンU/F、すなわち、クロマイトとマグネタイトと一部のゲーサイトとを含む混合物に対して、高磁界磁力選鉱装置を使用した磁力選鉱処理を施した。
具体的には、ハイドロサイクロンに投入した鉱石スラリーの濃度(固形分濃度)が23重量%、ハイドロサイクロンのスラリー圧力を0.2MPaとして物理分級して得られたハイドロサイクロンU/Fのスラリーを、15KGaussの高磁界磁力選鉱装置を使用して磁力選鉱処理を行った。
その結果、非着磁物としてクロマイトを分離することができ、その非着磁物中の−45μmサイズの微細粒子の存在比率は5%であった。また、Cr濃度は42質量%であった。
[実施例2]
実施例2では、ハイドロサイクロンに投入した鉱石スラリーの濃度(固形分濃度)が23重量%、ハイドロサイクロンのスラリー圧力を0.2MPaとして物理分級して得られたU/Fスラリーに対して、低磁界磁力選鉱工程として、1000Gaussの低磁界磁力選鉱装置を使用した磁力選鉱処理を施した。
この磁力選鉱処理により、非着磁物としてクロマイトを含む混合物が得られ、その混合物中における−45μmサイズの微細粒子の存在比率は15%であり、Cr濃度は32質量%であった。
そして、得られた非着磁物であるクロマイトを含む混合物に対して、実施例1と同様に磁力選鉱処理として、15KGaussの高磁界磁力選鉱装置を使用した磁力選鉱処理を行った。
その結果、非着磁物としてクロマイトを分離することができ、その非着磁物中の−45μmサイズの微細粒子の存在比率は4%まで低下させることができた。また、Cr濃度は44質量%まで上昇した。
[参照例1]
ハイドロサイクロンに投入した鉱石スラリーの濃度(固形分濃度)が23重量%、ハイドロサイクロンのスラリー圧力を0.2MPaとして物理分級して得られたU/Fスラリーを3KGaussの高磁界磁力選鉱装置で処理した。
その結果、非着磁物としてクロマイトを分離することができたものの、その非着磁物中の−45μmサイズの微細粒子の存在比率は12%であり、またCr濃度は34質量%であった。
[参照例2]
ハイドロサイクロンに投入した鉱石スラリーの濃度(固形分濃度)が30重量%、ハイドロサイクロンのスラリー圧力を0.3MPaとして物理分級して得られたU/Fスラリーを15KGaussの高磁界磁力選鉱装置で処理した。
その結果、非着磁物としてクロマイトを分離することができたものの、その非着磁物中の−45μmサイズの微細粒子の存在比率は10%であり、またCr濃度は38質量%であった。
≪処理後の鉱石スラリーを用いた酸浸出処理≫
[実施例3]
実施例1の処理において、分級工程にて得られたハイドロサイクロンO/Fのスラリーと、磁力選鉱工程にて得られた着磁物のスラリーとを、酸浸出処理に供する鉱石スラリーとし、オートクレーブに装入した。これに、濃度98%の硫酸を添加して、以下の条件で高温加圧硫酸浸出を行い、浸出スラリーを得た。
(浸出処理条件)
浸出温度:245℃
浸出時間:60分
最終(浸出終了時の)遊離硫酸濃度:40g/L
鉱石スラリー濃度(固形分濃度):30重量%
オートクレーブの容量:5L
次に、得られた浸出スラリーに対して固液分離処理を施し、浸出液と浸出残渣スラリーとに分離した。
分離した浸出残渣スラリー中のCr品位を知るために、浸出残渣スラリーに濃度20重量%のMg(OH)スラリーを中和剤として添加し、70℃の温度条件で、スラリーのpHが2.5になるように中和した。そして、そのスラリーに対して5C濾紙を用いて固液分離処理を施し、さらにMg(OH)スラリーをpH6になるまで添加した後、さらに5C濾紙を用いて固液分離処理を施し、最終中和残渣を得た。
得られた最終中和残渣のCr品位は0.8重量%と少なかった。なお、生成するMgSOの溶解度が大きいため、残渣のイオウ品位は0.65重量%であった。
[比較例1]
比較例1では、原料とするニッケル酸化鉱石から調製した鉱石スラリーに対して、ハイドロサイクロンを用いた分級処理や、磁力選鉱装置を用いた磁力選鉱処理を施すことなく、調製した鉱石スラリーのすべてをそのままオートクレーブに装入して、高温加圧硫酸浸出を行った。なお、酸浸出処理の条件は、実施例1と同様とした。
その後、固液分離して得られた浸出残渣スラリーに対して中和処理を施し、実施例1と同様に最終中和残渣を得た。
得られた最終中和残渣中のCr品位を測定したところ、Cr品位は2.0重量%と多かった。なお、生成するMgSOの溶解度が大きいため、残渣のイオウ品位は0.53重量%であった。
実施例3、比較例1の比較結果から明らかなように、調製した鉱石スラリーに対して、ハイドロサイクロン等の分級装置による分級処理を行い、次に、得られたクロマイトを含む混合物に対して磁力選鉱装置を用いて処理することで、鉱石スラリー中のクロマイトを効果的に分離除去することができ、酸浸出処理を経て得られる残渣中のCr品位を低減させることができることが分かった。
このことから、鉱石スラリーを浸出処理に供するために配管やポンプ等を用いて移送させた場合でも、それら設備の摩耗を防ぐことができることが期待される。また、最終中和残渣の量も低減できることが期待される。

Claims (5)

  1. ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法における酸浸出処理に供する鉱石スラリーの処理方法であって、
    前記ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーに対して分級装置を使用した分級処理を施し、ゲーサイトを含む混合物と、クロマイトを含む混合物とを得る分級工程と、
    前記クロマイトを含む混合物から、磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する磁力選鉱工程とを有し、
    前記分級工程にて得られた前記ゲーサイトを含む混合物と、前記磁力選鉱工程にて分離した前記マグネタイトを含む混合物とを、前記酸浸出処理に供する鉱石スラリーとする
    ことを特徴とする鉱石スラリーの処理方法。
  2. 前記分級工程にて分離された前記クロマイト含む混合物を、前記磁力選鉱工程にて使用する前記磁力選鉱装置の磁界強度よりも小さい磁界強度を発生する低磁界磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する低磁界磁力選鉱工程をさらに有し、
    前記磁力選鉱工程では、前記低磁界磁力選鉱工程を経て分離された前記クロマイトを含む混合物から、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離し、
    前記低磁界磁力選鉱工程にて分離したマグネタイトを含む混合物を、前記酸浸出処理に供する鉱石スラリーに含める
    ことを特徴とする請求項1に記載の鉱石スラリーの処理方法。
  3. 前記分級工程では、前記分級装置としてハイドロサイクロンを使用し、該ハイドロサイクロンのオーバーフローとして前記ゲーサイトを含む混合物を分離し、アンダーフローとして前記クロマイトを含む混合物を分離する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鉱石スラリーの処理方法。
  4. 前記分級工程では、アンダーフロー粒子のうち、粒子サイズ−45μmのものの存在比率が30%以下となるように、前記ハイドロサイクロンの圧力と前記分級処理の対象とする鉱石スラリーの濃度を調整する
    ことを特徴とする請求項3に記載の鉱石スラリーの処理方法。
  5. ニッケル酸化鉱石の鉱石スラリーに対して酸浸出処理を施してニッケルを浸出させて回収するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法において、
    前記ニッケル酸化鉱石から調製した鉱石スラリーのうち、前記酸浸出処理に供する鉱石スラリーからクロマイトを分離する鉱石スラリーの処理工程を含み、
    前記鉱石スラリーの処理工程は、
    前記ニッケル酸化鉱石から調製した鉱石スラリーに対して分級装置を使用した分級処理を施し、ゲーサイトを含む混合物と、クロマイトを含む混合物とを得る分級工程と、
    前記クロマイトを含む混合物から、磁力選鉱装置を使用して、着磁物としてマグネタイトを含む混合物を分離し、非着磁物としてクロマイトを含む混合物を分離する磁力選鉱工程とを有し、
    前記分級工程にて得られた前記ゲーサイトを含む混合物と、前記磁力選鉱工程にて分離した前記マグネタイトを含む混合物とを、前記酸浸出処理に供する鉱石スラリーとする
    ことを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
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