JP2017052713A - 放射性フッ素標識前駆体化合物及びそれを用いた放射性フッ素標識化合物の製造方法 - Google Patents

放射性フッ素標識前駆体化合物及びそれを用いた放射性フッ素標識化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性フッ素標識化合物の簡単な精製方法、及び標識前駆体化合物の提供。
【解決手段】式(2)で表わされる、標識前駆体化合物。
Figure 2017052713

〔Rはアルキニル基、アリール基、含窒素複素環等;R及びRはアルキル基又はヒドロキシ基が保護基で保護/未保護のヒドロキシアルキル基;nは1又2の整数;Rはアルキル基又は−CONR1112基;R11及びR12は各々独立にアルキル基又は置換/未置換の単環或いは縮合多環アリール基;R、R、R及びRは各々独立にH、アルキル基等〕
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な放射性フッ素標識前駆体化合物、及び、該前駆体化合物を用いた放射性フッ素標識化合物の製造方法に関する。
従来、放射性フッ素標識反応は、標的基質Sのフッ素標識部位に脱離基Lを結合させた化合物S−Lを標識前駆体化合物として用意し、この化合物S−Lに放射性フッ化物イオンXを反応させる求核置換反応により行われることが多い。そして、この反応は、一般的に、大量の標識前駆体化合物に少量の放射性フッ化物イオンXを用いて行われる。したがって、得られる放射性フッ素標識化合物の精製は、HPLC法により、多量の未反応の標識前駆体化合物と分離することにより行われることが通常である。
しかしながら、HPLC法は、煩雑で時間を要するものであり、放射性フッ素の半減期110分を考慮すると、目的化合物の収量の低下を招く要因となる。HPLC精製を要しない代替的戦略として、特許文献1は、上記化合物S−Lの部分Lを化合物Mで修飾した化合物S−L−Mを標識前駆体化合物として用意し、この化合物S−L−Mに放射性フッ化物イオンXを反応させて、放射性フッ素標識化合物S−Xと脱離基L−Mとを生成させ、Mを備えない放射性標識化合物S−Xを、Mを備える脱離基L−M及び未反応の標識前駆体化合物S−L−Mから容易に分離できるようにすることを提案している。
国際公開第2009/127372号公報
しかし、特許文献1に記載された方法は、放射性フッ素化反応後、前駆体化合物のMに対し、樹脂に固定された活性基を化学的に作用させることをコンセプトとしている。このため、放射性フッ素化率に悪影響を与えたり、特殊な活性基を導入するなど樹脂の調製が必要だったり、放射性フッ素化反応後に加熱や試薬添加等の更なる反応条件の付加が必要になったりするなどの問題がある。
本発明は、放射性フッ素化率を従来法と同程度に維持しつつ、放射性フッ素化反応後に簡便な精製方法で放射性フッ素標識化合物を未反応の前駆体化合物と分離精製できるようにすることを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ベンゼンスルホニルオキシ基からなる脱離基のベンゼン環に疎水性のタグを導入することにより、放射性フッ素化率を従来法と同程度に維持しつつ、放射性フッ素化反応後に放射性フッ素標識化合物を簡便な精製方法で未反応の前駆体化合物と分離精製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一局面によれば、下記一般式(1):
Figure 2017052713

〔式中、
は、アルキニル基、アルキニルオキシ基、アジド基、アジドアルキル基、アリールアジド基、置換若しくは非置換の単環若しくは縮合多環アリール基、又は、置換若しくは非置換の含窒素複素環を示し、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又は、ヒドロキシ基が保護基で保護されていてもよい、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を示し、
nは1又2の整数である。〕
で表される、放射性フッ素標識化合物の標識前駆体化合物であって、
下記一般式(2):
Figure 2017052713

〔式中、
、R、R及びnは、前記一般式(1)と同じであり、
は、炭素数4〜24のアルキル基、又は、−CONR1112(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜24のアルキル基、又は、置換若しくは非置換の単環若しくは縮合多環アリール基を示す。)
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は、炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。〕
で表わされる、標識前駆体化合物を提供する。
また、本発明は、さらに他の局面によれば、上記の標識前駆体化合物を、[18F]フッ化物イオンと反応させ、上記一般式(1)で表わされる放射性フッ素標識化合物を得る工程を含む、放射性フッ素標識化合物の製造方法を提供する。
本発明によれば、放射性フッ素標識反応の標識前駆体化合物として、上記一般式(2)で表わされる化合物、すなわち、脱離基であるベンゼンスルホニルオキシ基のベンゼン環に疎水性の置換基を導入した化合物を使用することとしたので、放射性フッ素化率を従来法と同程度に維持しつつ、放射性フッ素化反応後に放射性フッ素標識化合物を簡便な精製方法で未反応の前駆体化合物と分離精製することができる。
1.放射性フッ素標識前駆体化合物
本発明の放射性フッ素標識前駆体化合物は、上記一般式(1)で表わされる放射性フッ素標識化合物の前駆体化合物であり、上記一般式(2)に示す構造を備えるものである。この標識前駆体化合物は、一般式(1)で表わされる放射性フッ素標識化合物のclogP(clogP(1))と、一般式(2)で表わされる前駆体化合物のclogP(clogP(2))との差(clogP(2)−clogP(1))が、1以上となるように設計されることが好ましく、より好ましくは、3以上であり、更に好ましくは、6以上であり、8以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、上記clogPの差(clogP(2)−clogP(1))は、50以下が好ましく、前駆体化合物の反応液への溶解性を考慮すると、30以下がより実用的である。こうすることで、放射性フッ素標識反応後、逆相カートリッジカラムなどの簡易カラムクロマトグラフィーで簡便かつ短時間に未反応の前駆体化合物と、標的とする放射性フッ素標識化合物とを分離することができる。
本発明において、Rのアルキニル基としては、好ましくは、末端に三重結合を有する末端アルキニル基であり、より好ましくは炭素数2〜10の末端アルキニル基であり、例えば、エチニル基、2−プロピニル基が挙げられる。
本発明において、Rのアルキニルオキシ基としては、好ましくは、末端に三重結合を有する末端アルキニルオキシ基であり、より好ましくは炭素数2〜10の末端アルキニルオキシ基であり、例えば、エチニルオキシ基、2−プロピニルオキシ基が挙げられる。
本発明において、Rのアジドアルキル基としては、好ましくは、末端にアジド基を有する末端アジドアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10の末端アジドアルキル基であり、例えば、アジドメチル基、アジドエチル基が挙げられる。
本発明において、Rのアリールアジド基としては、例えばフェニルアジド基、ベンジルアジド基が挙げられる。
本発明において、Rの単環アリール基としては、フェニル基が挙げられ、縮合多環アリール基としてはナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。当該アリール基は、水素原子がアルキル基、アルコキシ基やハロゲン等によって置換されていてもよい。
本発明において、Rの含窒素複素環としては、環内に1〜3個の窒素原子を有する飽和又は不飽和の4〜7員複素環式化合物が挙げられる。そのうち、環内に1〜3個の窒素原子を有する5又は6員環が好ましい。当該6員環の具体例としては、ピリジン、ピペリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジンなどが挙げられる。当該5員環の具体例としては、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、トリアゾールなどが挙げられる。これらの含窒素複素環は、環内の炭素原子に結合する水素原子が、ニトロ基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基等からなる群より選ばれた基で置換されていてもよい。また、これらの含窒素複素環は、その窒素原子を介して上記一般式(2)のRが結合するメチレン基に結合することが好ましい。
本発明において、R又はRの炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、neo−ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。
本発明において、Rのヒドロキシ基が保護されていてもよい、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基は、−(C2m)ORで表すことができる。また、Rのヒドロキシ基が保護されていてもよい、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基は、−(C2m)OR10で表すことができる。−(C2m)ORにおけるm、及び、−(C2m)OR10におけるmは、それぞれ独立に、1〜6の整数であり、R又はR10は、それぞれ独立に、水素又はヒドロキシ基の保護基である。R又はRのヒドロキシアルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、mは1又は2が好ましい。
本発明において、R又はR10で示されるヒドロキシ基の保護基には、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis(第5版)に記載されたものを用いることができるが、例えば、トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、2−テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、アセチル基、プロパノイル基、ピバロイル基、パルミトイル基、ジメチルアミノメチルカルボニル基、アラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ベンゾイル基、アリルオキシカルボニル基が挙げられる。R及びR10は、一緒になってジオールの保護基を表わしてもよく、例えば、R及びR10が、一緒になって、メチレン基、1−メチルエタン−1,1−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、又は1−フェニルメタン−1,1−ジイル基を表わし、その結果、1,3−ジオキサン環を形成したものとすることができる。中でも、R及びR10は、アセトニド基(R及びR10が、一緒になって、1−メチルエタン−1,1−ジイル基を表わし、その結果、1,3−ジオキサン環を形成したもの)であることが好ましい。
本発明において、Rの炭素数4〜24のアルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、直鎖であることが好ましく、炭素数8〜16の直鎖アルキル基がより好ましい。Rの−CONR1112で表わされる基中、R11及びR12のアルキル基としては炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられるが、直鎖のアルキル基が好ましい。R11及びR12の単環アリール基としてはフェニル基が挙げられ、縮合多環アリール基としてはナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。当該アリール基は、水素原子がアルキル基、アルコキシ基やハロゲン等によって置換されていてもよく、縮合多環アリール基がより好ましい。R11及びR12は、同一でも異なっていてもよいが、同一の基であることが好ましい。
本発明において、R、R、R及びRのアルキル基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基が挙げられ、R、R、R及びRのアルコキシ基としては、例えば、又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基が挙げられるが、R、R、R及びRは、水素であることが好ましい。
本発明の放射性フッ素標識前駆体化合物は、好ましくは、一般式(2)中、Rが、炭素数4〜24の直鎖アルキル基、又は、−CONR1112を示し、R、R、R及びRは、いずれも水素を示すものであり、Rが、−CONR1112の場合、より好ましくは、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜24の直鎖アルキル基、又は、置換若しくは非置換の縮合多環アリール基である。
本発明の放射性フッ素標識前駆体化合物は、例えば、下記SCHEME 1に示されるように、放射性フッ素を導入する部位にTMSO(トリメチルシロキシ)基を導入したトリメチルシリルエーテルに対し、脱離基に対応するスルホニルフルオリドとジアザビシクロウンデセン(DBU)を作用させることにより製造することができる。なお、下記SCHEME 1において、R〜Rは式(1)及び式(2)に関し上記したものと同じである。
Figure 2017052713
本発明の放射性フッ素標識前駆体化合物の好ましい実施形態は、前記一般式(2)中、Rが、置換若しくは非置換の含窒素複素環を示す化合物であり、具体的には、Rが下記式(3)で表される基である。
Figure 2017052713
式(3)中、Rは、水素、メチル基、又はヒドロキシメチル基である。また、*(アスタリスク)は結合部位を示す。一例として、下記の式(2−1)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2017052713

(式中、R、R及びnは、上記一般式(1)と同じであり、Rは、上記一般式(2)と同じであり、Rは、上記式(3)と同じである。)
2.放射性フッ素標識前駆体化合物を用いた放射性フッ素標識化合物の製造方法
本発明によれば、上記一般式(2)で表わされる放射性フッ素標識前駆体化合物を、[18F]フッ化物イオンと反応させる工程(放射性フッ素標識反応工程)に供することにより、上記一般式(1)で表わされる放射性フッ素標識化合物を製造することができる。
上記放射性フッ素標識反応は、不活性溶媒中、塩基の存在下で行うのが好ましい。具体的には、[18F]フッ化物イオンとしてサイクロトロンにより[18O]水から製造された[18F]フッ化物イオン水溶液を用い、塩基として、例えば、テトラブチルアンモニウム、又は、炭酸カリウム/クリプトフィックス222を用いて、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドのような非プロトン性溶媒等の適当な溶媒中に、20〜120℃の温度下で反応させて、上記一般式(1)の化合物を得ることができる。この放射性フッ素標識反応は、反応容器及び遮蔽体を備えた合成装置で実施することができる。また、この合成装置は、全ての工程を自動化した自動合成装置としてもよい。
前記反応工程では、標的化合物である一般式(1)の化合物以外に、副生成物として、未反応の前駆体化合物(即ち、式(2)で示される化合物)、下記式(3)で示されるOH体などが混在する。
Figure 2017052713

(式中、R、R、R及びnは、上記一般式(1)と同じ。)
標的化合物である上記一般式(1)の化合物の精製は、逆相カートリッジカラムを用いた固相抽出法に従って行うことができる。具体的には、通常、標的化合物である上記一般式(1)の化合物よりも、未反応の前駆体化合物(即ち、上記一般式(2)で表わされる化合物)の方が脂溶性が高く、換言すれば、疎水性が高い。したがって、この疎水性の差を利用した方法、例えば、上記放射性フッ素標識反応工程で得られた反応混合物を、オクタデシルシリカゲルなどを充填した逆相カートリッジカラムに添加して[18F]フッ化物イオンを分離後、該カラムに適切な溶出溶媒を通液して目的化合物である前記一般式(1)の化合物を溶離させて分離回収することができる。溶出溶媒としては、例えば、アセトニトリル、エタノール、t−ブタノール、メタノール等の水溶性溶媒、又は、これらと水との混合液が挙げられる。回収された標的化合物である上記一般式(1)の化合物は、必要に応じて脱保護などを行い、目的の化合物とすることができる。
例えば、上記一般式(1)の化合物において、Rがアルキニル基又はアルキニルオキシ基のものは、対応する前駆体化合物を用いた放射性フッ素標識反応工程後、アジド基を導入したペプチドやタンパク質などの生体分子を用いて、銅触媒を用いた環化付加反応を行うことで、これら生体分子に対し、放射性フッ素を導入することが可能になる。
また、例えば、上記一般式(1)の化合物において、Rがアジド基、アジドアルキル基又はアリールアジド基のものは、対応する前駆体化合物を用いた放射性フッ素標識反応工程後、末端アルキンが導入されたペプチドやタンパク質などの生体分子を用いて、同様に、銅触媒を用いた環化付加反応を行うことで、これら生体分子に対し、放射性フッ素を導入することが可能になる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
なお、下記実施例において、実験に供する各化合物の名称を、表1のように定義した。
Figure 2017052713
実施例中、各化合物の分子構造は、NMRスペクトルで同定した。NMR装置として、JNM−ECP−400(日本電子株式会社製)を使用し、溶媒は、重クロロホルムを使用した。H−NMRは、共鳴周波数400MHzで測定し、重クロロホルムのシグナルδ7.24を参照として使用した。13C−NMRは、共鳴周波数100MHzで測定した。全ての化学シフトはデルタスケール(δ)上のppmであり、そしてシグナルの微細分裂については、略号(s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、dd:ダブルダブレット、dt:ダブルトリプレット、dq:ダブルカルテット、ddt:ダブルダブルトリプレット、m:マルチプレット、br:ブロード)を用いて示した。
以下、実施例において「室温」は、25℃である。
各化合物の合成例において、化合物合成における各ステップは、必要に応じて複数回繰り返し行い、他の合成において中間体等として用いる際に必要な量を確保した。
(実施例1)前駆体化合物1の合成
下記スキームに従い、{2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサ−5−イル}メチル 4−(ジドデシルカルバモイル)ベンゼンスルホナート(前駆体化合物1)を合成した。
Figure 2017052713
Step1:4−フルオロスルホニル安息香酸塩化物の合成
4−フルオロスルホニル安息香酸(500mg、2.45mmol)をクロロホルム(7.4mL)に溶解し、塩化チオニル(0.711mL、9.8mmol)、ジメチルホルムアミド(0.05mL)を加えて、65℃で5時間加熱した。反応終了後,溶媒を留去し、4−フルオロスルホニル安息香酸塩化物の粗精製物を得た。
Step2:4−(ジドデシルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物の合成
ジドデシルアミン(1.04g、2.94mmol)をジクロロメタン(6.0mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.683mL、4.9mmol)を加え、0℃に冷却した後、Step1で合成した4−フルオロスルホニル安息香酸塩化物の粗精製物全量をジクロロメタン(6.0mL)に溶解した溶液を滴下し、0℃で1.5時間撹拌し、反応終了後、反応液を1mol/L塩酸に加え、酢酸エチルで2回抽出を行なった。合わせた酢酸エチル層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=75/25)にて精製を行い、4−(ジドデシルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(1.27g、2.35mmol)を得た。
H−NMR:δ 8.05(d,2H,J=8.2Hz),7.59(d,2H,J=8.2Hz),3.49(t,2H,J=7.8Hz),3.11(t,2H,J=7.5Hz),1.66(br,2H),1.49(br,2H),1.40−1.00(m,36H),0.88(t,6H,J=7.8Hz);
13C−NMR:δ 168.7,144.6,133.4,133.2,128.6,127.7,48.9,44.9,31.8,29.5,29.4,29.3,29.0,28.6,27.4,27.0,26.4,22.6,14.0。
Step7:2−ジメチル−5−トリメチルシロキシメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンの合成
国際公開パンフレットWO2013/042668の実施例1に記載された方法に従ってstep3〜6を実行し、得られた2,2−ジメチル−5−ヒドロキシメチル‐5‐[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン(102mg、0.376mmol)をジクロロメタン(1.1mL)に溶解し、0℃に冷却した後、トリエチルアミン(0.105mL、0.752mmol)、トリメチルシリルクロリド(57μL)を加え、1時間撹拌した。反応終了後、溶媒を留去した後、ショートシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)にて粗精製を行い、2,2−ジメチル−5−トリメチルシロキシメチル‐5‐[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンの粗精製物を得た。
Step8:前駆体化合物1の合成
4−(ジドデシルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(292mg、0.541mmol)をアセトニトリル(1.80mL)に溶解し、0℃に冷却しながら2,2−ジメチル−5−トリメチルシロキシメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン粗精製物とジアザビシクロウンデセン(135μL、0.902mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで2回抽出を行なった。合わせた酢酸エチル層を、水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=55/45)にて精製を行い、前駆体化合物1(280mg、0.354mmol)を得た。
H−NMR:δ 7.91(d,2H,J=8.7Hz),7.55(d,2H,J=8.3Hz),7.21(d,1H,J=1.0Hz),7.16(d,1H,J=1.0Hz),4.74(s,2H),4.01(s,2H),3.72(d,2H,J=12.1Hz),3.61(d,2H,J=12.1Hz),3.49(t,2H,J=7.5Hz),3.14(t,2H,J=7.3Hz),1.70−1.60(m,2H),1.54−1.44(m,2H),1.40(s,3H),1.37(s,3H),1.40−1.05(m,36H),0.88(t,6H,J=6.6Hz);
13C−NMR:δ 169.2,145.5,143.4,135.2,128.6,128.2,127.5,127.1,99.1,77.3,77.2,77.0,76.7,69.4,62.2,49.0,48.8,44.8,38.9,31.9,29.6,29.5,29.4,29.3,29.1,28.7,27.4,27.0,26.5,26.5,24.9,22.6,22.1,14.1。
(実施例2)前駆体化合物2の合成
下記スキームに従い、{2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサ−5−イル}メチル 4−(ジオクチルカルバモイル)ベンゼンスルホナート(前駆体化合物2)を合成した。
Figure 2017052713
Step2:4−(ジオクチルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物の合成
ジオクチルアミン(0.71g、2.94mmol)をジクロロメタン(6.0mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.683mL、4.9mmol)を加え、0℃に冷却した後、実施例1のstep1に示す方法に従って合成した4−フルオロスルホニル安息香酸塩化物の粗精製物全量をジクロロメタン(6.0mL)に溶解した溶液を滴下し、0℃で1.5時間撹拌した。反応終了後、反応液を1mol/L塩酸に加え、酢酸エチルで2回抽出を行なった。合わせた酢酸エチル層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=75/25)にて精製を行い、4−(ジオクチルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(0.891g、2.08mmol)を得た。
H−NMR:δ 8.05(d,2H,J=8.5Hz),7.61(d,2H,J=8.5Hz),3.50(t,2H,J=7.5Hz),3.14(t,2H,J=7.5Hz),1.68(br,2H),1.51(br,2H),1.42−1.00(m,20H),0.92−0.82(m,6H);
13C−NMR:δ 168.7,144.6,133.4,133.1,128.6,127.7,48.9,44.9,31.7,31.6,29.3,29.1,28.9,28.6,27.4,27.0,26.4,22.5,22.5,13.95,13.91。
Step3:前駆体化合物2の合成
4−(ジオクチルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(195mg、0.456mmol)をアセトニトリル(1.50mL)に溶解し、0℃に冷却しながら、実施例1のstep7に示す方法に従って合成した2,2−ジメチル−5−トリメチルシロキシメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン粗精製物とジアザビシクロウンデセン(114μL、0.763mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで2回抽出を行なった。合わせた酢酸エチル層を、水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=55/45)にて精製を行い、前駆体化合物2(221mg、0.326mmol)を得た。
H−NMR:δ 7.91(d,2H,J=6.8Hz),7.54(d,2H,J=6.8Hz),7.21(d,1H,J=0.9Hz),7.17(d,1H,J=0.9Hz),4.75(s,2H),4.01(s,2H),3.72(d,2H,J=12.0Hz),3.61(d,2H,J=12.1Hz),3.49(t,2H,J=7.8Hz),3.14(t,2H,J=7.5Hz),1.72−1.62(m,2H),1.54−1.44(m,2H),1.41(s,3H),1.37(s,3H),1.40−1.05(m,20H),0.94−0.82(m,6H)。
(実施例3)前駆体化合物3の合成
下記スキームに従い、{2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサ−5−イル}メチル 4−(ジブチルカルバモイル)ベンゼンスルホナート(前駆体化合物3)を合成した。
Figure 2017052713
Step2:4−(ジブチルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物の合成
ジブチルアミン(0.38g、2.94mmol)をジクロロメタン(6.0mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.683mL、4.9mmol)を加え、0℃に冷却した後、実施例1のstep1に示す方法に従って合成した4−フルオロスルホニル安息香酸塩化物の粗精製物全量をジクロロメタン(6.0mL)に溶解した溶液を滴下し、0℃で30分間撹拌した。反応終了後、反応液を1mol/L塩酸に加え、酢酸エチルで2回抽出を行なった。合わせた酢酸エチル層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=60/40)にて精製を行い、4−(ジブチルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(0.692g、2.19mmol)を得た。
H−NMR:δ 8.06(d,2H,J=8.5Hz),7.62(d,2H,J=8.5Hz),3.52(t,2H,J=7.5Hz),3.15(t,2H,J=7.5Hz),1.67(tt,2H,J=7.5,7.6Hz),1.50(tt,2H,J=7.2,7.7Hz),1.41(tq,2H,J=7.2,7.7Hz),1.15(tq,2H,J=7.2,7.7Hz),0.98(t,3H,J=7.2Hz),0.80(t,3H,J=7.2Hz);
13C−NMR:δ 168.6,144.5,133.2,132.9,128.5,127.5,48.5,44.4,30.5,29.3,20.0,19.5,13.6,13.3。
Step3:前駆体化合物3の合成
4−(ジブチルオクチルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(144mg、0.458mmol)をアセトニトリル(1.50mL)に溶解し、0℃に冷却しながら、実施例1のstep7に示す方法に従って合成した2,2−ジメチル−5−トリメチルシロキシメチル‐5‐[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン粗精製物全量とジアザビシクロウンデセン(114μL、0.763mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで2回抽出を行なった。合わせた酢酸エチル層を、水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=55/45)にて精製を行い、前駆体化合物3(175mg、0.310mmol)を得た。
H−NMR:δ 7.91(d,2H,J=7.5Hz),7.56(d,2H,J=7.5Hz),7.21(d,1H,J=1.0Hz),7.17(d,1H,J=1.0Hz),4.75(s,2H),4.00(s,2H),3.72(d,2H,J=12.1Hz),3.61(d,2H,J=12.1Hz),3.50(t,2H,J=7.5Hz),3.15(t,2H,J=7.8Hz),1.70−1.60(m,2H),1.56−1.46(m,2H),1.46−1.40(m,2H),1.41(s,3H),1.37(m,3H),1.20−1.10(m,2H),0.99(t,3H,J=7.5Hz),0.81(t,3H,J=7.5Hz)。
(実施例4)前駆体化合物4の合成
下記スキームに従い、{2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン−5−イル}メチル4−{(9−アントラセニルメチル)メチルカーバモイル}ベンゼンスルホナート(前駆体化合物4)を合成した。
Figure 2017052713
4−{(9−アントラセニルメチル)メチルカーバモイル}ベンゼンスルホニルフルオライド(化合物7)の合成
N−メチル−9−アントラセニルメチルアミン(325mg,1.47mmol)及びトリエチルアミン(340μL,2.45mmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解し、攪拌下に0℃で、実施例1のstep1に示す方法に従って合成した4−フルオロスルホニル安息香酸塩化物(1.23mmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を添加した。この混合物を室温で1.5時間攪拌した後、冷却された1mol/L塩酸に加え、酢酸エチルで2回抽出を行った。合わせた抽出液を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=60/40)にて精製を行い、化合物7(371mg,0.907mmol,収率74%)を得た。
H−NMR:δ 8.54(s,1H),8.38(d,2H,J=8.7Hz),8.09−8.02(m,4.5H),7.64−7.51(m,6.5H),5.87(s,2H),2.51(s,3H)。
前駆体化合物4(化合物8)の合成
化合物7(181mg,0.444mmol)、及び、実施例1のstep7に示す方法に従って合成した2,2−ジメチル−5−トリメチルシロキシメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン(化合物3、0.370mmol)をアセトニトリル(1.5mL)に溶解し、0℃に冷却しながらジアザビシクロウンデセン(110μL,0.740mmol)を滴下し、室温で1時間攪拌した。反応終了後、水に加え、酢酸エチルで2回抽出を行なった。合わせた抽出液を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=60/40)にて精製を行い、前駆体化合物4(211mg,0.322mmol,収率87%)を得た。
H−NMR:δ 8.53(s,1H),8.39(d,1.8H,J=9.2Hz),8.08(d,2.2H,J=8.2Hz),7.87(d,2H,J=8.3Hz),7.62−7.51(m,6H),7.19(d,1H,J=1.0Hz),7.13(s,1H),5.87(s,2H),4.72(s,2H),3.97(s,2H),3.71(d,2H,J=12.6Hz),3.59(d,2H,J=12.6Hz),2.54(s,3H),1.39(s,3H),1.35(s,3H)。
(実施例5)前駆体化合物5の合成
下記スキームに従い、{2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン−5−イル}メチル4−ドデシルベンゼンスルホナート(前駆体化合物5)を合成した。
Figure 2017052713
4−ドデシルベンゼンスルホニルフルオライド(化合物2)の合成
4−ドデシルベンゼンスルホニルクロリド(253mg,0.733mmol)のジクロロメタン溶液に、攪拌しながら、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(1.00mol/Lテトラヒドロフラン溶液)(1.47mL,1.47mmol)を加えた。1時間攪拌した後、冷却しながら水を加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合せて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/トルエン=90/10)で精製して、化合物2(176mg,0.535mmol,収率73%)を得た。
H−NMR:δ 7.93−7.91(m,2H),7.43−7.37(m,2H),2.82−2.62(m,1H,),1.78−0.74(m,24H)。
前駆体化合物5(化合物4)の合成
化合物2(177mg,0.539mmol)と、実施例1のstep7に示す方法に従って合成した1−[(2,2−ジメチル−5−{[(トリメチルシリル)オキシ]メチル}−1,3−ジオキサン−5−イル)メチル]−2−ニトロ−1H−イミダゾール(化合物3)(0.449mmol)のアセトニトリル(1.5mL)溶液に、ジアザビシクロウンデセン(134μL,0899mmol)を0℃で攪拌しながら摘下した。50℃に昇温して3.5時間攪拌した後、反応液に水を加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合せて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=55/45)で精製して、前駆体化合物5(190mg,0.328mmol,収率73%)を得た。
H−NMR:δ 7.79(d,2H,J=8.2Hz),7.40−7.33(m,2H),7.20−7.14(d,2H,),4.71(s,2H),3.99−3.96(m,2H),3.71−3.60(m,2H),2.84−2.48(m,1H),1.76−0.74(m,24H)。
(実施例6)前駆体化合物6の合成
下記スキームに従い、{2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン−5−イル}メチル4−(ジ−[(1−ナフタレニル)メチル]カルバモイル)ベンゼンスルホナート(前駆体化合物6)を合成した。
Figure 2017052713
1−ナフタレニルメチル−2−プロペン−1−イルアミン(化合物10)の合成
アリルアミン(204μL,2.71mmol)と炭酸カリウム(375mg,2.71mmol)のジメチルホルムアミド(2.0mL)溶液に、攪拌しながら、1−(ブロモメチル)−ナフタレン(化合物9)(300mg,1.36mmol)のジメチルホルムアミド(3.5mL)溶液を0℃で滴下した。1時間室温で攪拌した後、反応液に水を加えて、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合せて、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=60/40)で精製し、化合物10(196mg,0.142mmol,収率73%)を得た。
H−NMR:δ 8.07(d,1H,J=8.2Hz),7.79(d,1H,J=7.7Hz),7.70(d,1H,J=8.2Hz),7.49−7.34(m,4H),6.00−5.80(m,1H),5.22−5.14(m,1H),5.12−5.06(m,1H),4.15(s,2H),3.34−3.28(m,2H)。
プロペン−1−イル−ジ−[(1−ナフタレニル)メチル]アミン(化合物11)の合成
化合物10(440mg,2.23mmol)と炭酸カリウム(336mg,2.43mmol)のジメチルホルムアミド(8.8mL)溶液に、攪拌しながら、1−(ブロモメチル)−ナフタレン(448mg,2.03mmol)を0℃で滴下した。室温で1.5時間攪拌後、反応液に水を加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/トルエン=85/15)で精製し、化合物11(580mg,1.70mmol,収率84%)を得た。
H−NMR:δ 7.98(d,2H,J=8.2Hz),7.75(d,2H,J=8.2Hz),7.68(d,2H,J=8.2Hz),7.45−7.30(m,6H),7.22−7.21(m,2H),6.07−5.98(m,1H),5.21−5.16(m,2H),3.97(s,4H),3.10(d,2H,J=6.3Hz)。
ジ−[(1−ナフタレニル)メチル]アミン(化合物12)の合成
化合物11(481mg,1.43mmol)のジメチルホルムアミド(7.0mL)溶液に、攪拌しながら、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(82.3mg,0.0712mmol)と、1,3−ジメチルバルビツール酸(668mg,4.28mmol)を0℃で滴下した。室温で0.5時間攪拌した後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=80/20)で精製して、化合物12(334mg,1.13mmol,収率79%)を得た。
H−NMR:δ 8.08−8.06(m,2H),7.85−7.83(m,2H),7.76(d,2H,J=8.2Hz),7.51−7.39(m,8H),4.33(s,4H),1.87(s,1H)。
4−(ジ−[(1−ナフタレニル)メチル]カルバモイル)ベンゼンスルホニルフロリド(化合物13)の合成
化合物12(320mg,1.08mmol)及びトリエチルアミン(280μL,1.96mmol)のジクロロメタン(2.0mL)溶液に、攪拌しながら、実施例1のstep1に示す方法に従って合成した化合物5(0.980mmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加えた。室温で0.5時間攪拌した後、反応液を冷却しながら1mol/L塩酸に加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=80/20)で精製して、化合物13(454mg,0.940mmol,収率96%)で得た。
H−NMR:δ 8.20−8.10(br,1H),7.92−7.84(m,6H),7.67(d,2H,J=8.2Hz),7.64−7.30(br,8H),7.22−7.12(br,1H),5.39(s,2H),4.71(s,2H)。
前駆体化合物6(化合物14)の合成
化合物13(211mg,0.436mmol)、及び、実施例1のstep7に従って合成した化合物3(0.397mmol)のアセトニトリル(1.7mL)溶液に、攪拌しながら、ジアザビシクロウンデセン(120μL,0.794mmol)を0℃で滴下した。40℃で1時間攪拌した後、反応液に水を加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=60/40)で精製して、前駆体化合物6(121mg,0.167mmol,収率42%)を得た。
H−NMR:δ 8.16−8.08(br,1H,),7.94−7.82(m,5H),7.78(d,2H,J=7.8Hz),7.62−7.28(m,9H),7.20−7.14(br,1H),7.11(d,1H,J=0.9Hz),7.04(d,1H,J=0.9Hz),5.42−5.32(br,2H),4.80−4.70(br,2H),4.64(s,2H),3.92(s,2H),3.62(d,2H,J=12.6Hz),3.52(d,2H,J=12.6Hz),1.33(s,2H),1.26(s,2H)。
(実施例7)前駆体化合物7の合成
下記スキームに従い、{2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサ−5−イル}メチル 4−(ジオクタデシルカルバモイル)ベンゼンスルホナート(前駆体化合物7)を合成した。
Figure 2017052713
ジオクタデシルアリルアミンの合成
オクタデシルブロミド(2.16g、6.47mmol)、アリルアミン(0.739g、12.9mmol)および水酸化ナトリウム(0.776g、19.4mmol)のテトラヒドロフラン(16mL)溶液を封管中、120℃で24時間攪拌した後、反応液に水を加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=50/50)で精製して、ジオクタドデシルアリルアミン(376mg,0.661mmol,収率21%)を得た。
H−NMR:δ 5.85(ddt,1H,J=16.9Hz,J=10.2Hz,J=6.8Hz),5.14(dd,1H,J=16.9Hz,J=1.9Hz),5.09(dd,1H,J=10.2Hz,J=1.9Hz),3.07(d,2H,J=6.8Hz),2.39(t,4H,J=7.3Hz),1.46−1.38(m,4H),1.34−1.18(m,60H),0.88(t,6H,6.3Hz)。
ジオクタデシルアミンの合成
ジオクタデシルアリルアミン(99.7mg、0.178mmol)、テトラキスパラジウム(10.2mg、0.0088mmol)およびN,N−ジメチルバルビツール酸(83.1mg、0.532mmol)の塩化メチレン(0.89mL)溶液を室温下40分攪拌した後、反応液に水を加え、クロロホルムで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、得られた残査を次の反応に用いた。
4−(ジオクタデシルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物の合成
ジオクタデシルアミンの全量をテトラヒドロフラン(0.7mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.298mL、2.01mmol)を加え、0℃に冷却した後、実施例1のstep1に示す方法に従って合成した4−フルオロスルホニル安息香酸塩化物の粗精製物全量をジクロロメタン(2.5mL)に溶解した溶液を滴下し、0℃で1.5時間撹拌し、反応終了後、反応液を1mol/L塩酸に加え、塩化メチレンで2回抽出を行なった。合わせた酢酸エチル層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/ジエチルエーテル=80/20)にて精製を行い、得られた化合物を分子ふるいカラムを用いて精製することにより、4−(ジオクタデシルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(0.0901g、0.127mmol)を得た。
H−NMR:δ 8.05(d,2H,J=8.7Hz),7.59(d,2H,J=8.7Hz),3.49(t,2H,J=7.8Hz),3.12(t,2H,J=7.7Hz),1.72−1.60(m,2H),1.54−1.44(m,2H),1.40−1.04(m,60H),0.88(t,6H,J=6.8Hz)。
前駆体化合物7の合成
4−(ジオクタデシルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(130mg,0.183mmol)、及び、実施例1のstep7に従って合成した2,2−ジメチル−5−トリメチルシロキシメチル‐5‐[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンの粗精製物全量(0.166mmol)の塩化メチレン(0.90mL)溶液に、攪拌しながら、ジアザビシクロウンデセン(50μL,0.326mmol)を0℃で滴下した。室温下1時間攪拌した後、反応液に水を加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=60/40)で精製して、前駆体化合物7(37.6mg,0.399mmol,収率24%)を得た。
H−NMR:δ 7.90(d,2H,J=8.2Hz),7.54(d,2H,J=8.2Hz),7.20(s,1H),7.16(s,1H),4.74(s,2H),4.01(s,2H),3.72(d,2H,J=12.1Hz),3.61(d,2H,J=12.1Hz),3.48(t,2H,J=7.8Hz),3.14(t,2H,J=7.7Hz),1.70−1.60(m,2H),1.58−1.04(m,62H),0.88(t,6H,J=6.8Hz)。
(実施例8)前駆体化合物8の合成
下記スキームに従い、{2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサ−5−イル}メチル 4−(ジドコシルカルバモイル)ベンゼンスルホナート(前駆体化合物8)を合成した。
Figure 2017052713
N,N−ジドコシルアミンアリルアミンの合成
ドコシルブロミド(1.50g、3.85mmol)、アリルアミン(0.439g、7.70mmol)および水酸化ナトリウム(0.426g、11.5mmol)のテトラヒドロフラン(11.5mL)溶液を封管中、120℃で24時間攪拌した後、反応液に水を加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=50/50)で精製して、ジドコシルアミンアリルアミン(248mg,0.368mmol,収率19%)を得た。
H−NMR:δ 3.86(ddt,1H,J=17.0Hz,J=10.1Hz,J=6.7Hz),5.14Hz(d,1H,J=17.0Hz),5.09(d,1H,J=10.1Hz),3.07(d,2H,J=6.7Hz),2.39(t,4H,J=7.7Hz),1.50−1.06(m,80H),0.88(t,6H,J=6.3Hz)。
ジドコシルアミンの合成
ジドコシルアミンアリルアミン(516mg、0.766mmol)、テトラキスパラジウム(44.2mg、0.0383mmol)およびN,N−ジメチルバルビツール酸(359mg、2.30mmol)の塩化メチレン(3.8mL)溶液を室温下2時間攪拌した後、反応液に水を加え、クロロホルムで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/ジエチルエーテル=50/50)で精製して、ジドコシルアミン(360mg,0.567mmol,収率74%)を得た。
1H−NMR:2.59(t,4H,J=7.3Hz),1.64−1.54(m,4H),1.50−1.44(m,4H),1.32−1.20(m,72H)。
4−(ジオクタデシルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物の合成
ジドコシルアミン(216mg、0.340mmol)のをテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.95mL、0.679mmol)を加え、0℃に冷却した後、実施例1のstep1に示す方法に従って合成した4−フルオロスルホニル安息香酸塩化物の粗精製物全量をジクロロメタン(1.4mL)に溶解した溶液を滴下し、0℃で1.5時間撹拌し、反応終了後、反応液を1mol/L塩酸に加え、塩化メチレンで2回抽出を行なった。合わせた酢酸エチル層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/ジエチルエーテル=80/20)にて精製を行なうことにより、4−(ジオクタデシルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(0.135g、0.164mmol、48%)を得た。
H−NMR:δ 8.05(d,2H,J=8.2Hz),7.58(d,2H,J=8.2Hz),3.49(t,2H,J=7.3Hz),3.11(t,2H,J=7.2Hz),1.70−1.60(m,4H),1.54−1.44(m,4H),1.40−1.04(m,72H),0.88(t,6H,J=6.8Hz)。
前駆体化合物8の合成
4−(ジオクタデシルカルバモイル)ベンゼンスルホン酸フッ化物(112mg,0.136mmol)、及び、実施例1のstep7に従って合成した2−ジメチル−5−トリメチルシロキシメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン(0.146mmol)の塩化メチレン(0.73mL)溶液に、攪拌しながら、ジアザビシクロウンデセン(44μL,0.292mmol)を0℃で滴下した。室温下で1時間攪拌した後、反応液に水を加え、酢酸エチルで二度抽出した。抽出液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=60/40)で精製して、前駆体化合物8(33.4mg,0.0321mmol,収率22%)を得た。
H−NMR:δ 7.90(d,2H,J=8.2Hz),7.54(d,2H,J=8.2Hz),7.20(d,1H,J=1.0Hz),7.16(d,1H,J=1.0Hz),4.74(s,2H),4.01(s,2H),3.72(d,2H,J=12.6Hz),3.61(d,2H,J=12.6Hz),3.48(d,2H,J=7.8Hz),3.14(d,2H,J=7.7Hz),1.70−1.60(m,2H),1.56−1.06(m,78H),0.88(t,6H,J=6.8Hz)。
(比較例1)従来の前駆体化合物の合成
国際公開WO2013/042668号公報の実施例1に記載の方法で2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−1,3−ジオキサンを合成した。
(実施例9)前駆体化合物1〜8を用いた放射性フッ素化:2,2−ジメチル−5−[ 18 F]フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンの調製
18F]フッ化物イオン含有[18O]水に、炭酸カリウム水溶液(42.4μmol/L、0.3mL)及びクリプトフィックス222(商品名、メルク社製)(14mg、37.2μmol)のアセトニトリル(0.7mL)溶液を添加した。これをアルゴンガスの通気下110℃に加熱して水を蒸発させた後、アセトニトリル(0.5mL×3)を加えて共沸させ乾固させた。ここに実施例1〜8に示す方法に従って合成した前駆体化合物1〜8(10μmol)を溶解したアセトニトリル溶液(0.3mL)又はアセトニトリル/テトラヒドロフラン(1/1)の混合溶液(0.4mL)を各々加え、110℃で10分加熱した。反応終了後、下記条件でTLC分析した後、注射用水(10mL)を加え、Sep−Pak(登録商標)C18 Plas(商品名、日本ウォーターズ株式会社製)に通液し、2,2−ジメチル−5−[18F]フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンを当該カラムに吸着捕集した。このカラムを水(10mL)で洗浄した後、水/アセトニトリル=1:1混液(2mL)を通液して2,2−ジメチル−5−[18F]フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンを溶出させた。
上記操作で得られた2,2−ジメチル−5−[18F]フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンを下記条件でHPLC分析した。なお、同定は、国際公開WO2013/042668号公報の実施例2に記載の方法で合成した2,2−ジメチル−5−フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンの非標識体と、TLCプレート上の移動距離やHPLCの保持時間が同じであることを確認することにより行った。
[TLC条件]
プレート:TLCガラスプレート シリカゲル60F254
展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1:3
[HPLC条件]
カラム:YMC−TriartC18(商品名、YMC社製、サイズ:4.6mmφ×150mm)
移動相:50mM炭酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=100/0→30/70(0→40分)
流速:1.0mL/分
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波:325nm)
(比較例2)従来の前駆体化合物を用いた放射性フッ素化:2,2−ジメチル−5−[ 18 F]フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンの調製
前駆体化合物として比較例1に示す方法で合成した2,2−ジメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−1,3−ジオキサンを用いた以外は、実施例9と同様にして行った。
[評価1]フッ素標識化合物の標識反応評価
実施例9、比較例2において使用した放射能量、並びに、得られた生成物(2,2−ジメチル−5−[18F]フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン)の放射能量及び[18F]フッ素化率を表2に示す。反応終了後に実施したTLC分析の2,2−ジメチル−5−[18F]フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンのピーク面積率を[18F]フッ素化率とした。
表2に示すとおり、実施例の前駆体化合物1〜8は、従来の前駆体化合物とほぼ同程度の[18F]フッ素化率が得られた。
Figure 2017052713
[評価2]不純物評価
実施例9、比較例2において、得られた2,2−ジメチル−5−[18F]フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサン中の非放射性不純物の量をHPLC分析により評価した結果を表3に示す。前駆体化合物の混入量は、標準試料で検量線を作成することにより定量した。また、回収率は、放射性フッ素化反応に使用した前駆体化合物量に対する回収率を示した。構造未知の不純物量は、前駆体化合物量に換算して評価した。
その結果、表3に示すとおり、実施例の前駆体化合物1〜8は、従来の化合物に対して、いずれも前駆体の混入量が少なかった。また、前駆体化合物1、5、7、8については、構造未知の非放射性不純物量も従来の化合物より少なかった。
なお、表3中、構造未知の非放射性不純物の回収率は、100%を超えるものがあるが、UV吸収が強いものもあったため、混入量を過大評価していることが考えられた。
Figure 2017052713
[評価3]cLog評価
前駆体化合物1〜8、及び、比較例1で得られた従来の前駆体化合物のcLog値(A)及び2,2−ジメチル−5−フルオロメチル−5−[(2−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,3−ジオキサンとのcLog値(B)との差をChemDraw.Pro. ver14 for macの物性予測機能で算出した。結果を表4にまとめた。
Figure 2017052713
(実施例10)低酸素イメージング剤の合成
実施例1に示す方法で合成した前駆体化合物1を用いて、低酸素イメージング剤の1−(2,2−ジヒドロキシメチル−3−[18F]フルオロプロピル)−2−ニトロイミダゾール(国際公開WO2013/042668号公報の化合物1)を製造した。
18F]フッ化物イオン含有[18O]水(放射能量306MBq、合成開始時補正値)に、炭酸カリウム水溶液(42.4μmol/L、0.3mL)及びクリプトフィックス222(商品名、メルク社製)(14mg、37.2μmol)のアセトニトリル(0.7mL)溶液を添加した。これをアルゴンガスの通気下110℃に加熱して水を蒸発させた後、アセトニトリル(0.5mL×3)を加えて共沸させ乾固させた。ここに上記実施例にて合成した前駆体化合物1(8mg、10μmol)を溶解したアセトニトリル溶液(0.3mL)を加え、110℃で10分加熱した。反応終了後、注射用水(10mL)を加え、Sep−Pak(登録商標)C18 Plas(商品名、日本ウォーターズ株式会社製)に通液し、このカラムを水(10mL)で洗浄した後、水/アセトニトリル=1:1混液(2mL)で溶出した。溶出液に1mol/L塩酸(1.0mL)を加え、110℃で3分加熱した。反応終了後、水(10mL)を加え、Sep−Pak(登録商標)HLB Plas(商品名、日本ウォーターズ株式会社製)に通液し、1−(2,2−ジヒドロキシメチル−3−[18F]フルオロプロピル)−2−ニトロイミダゾールを当該カラムに吸着捕集した。このカラムを水(10mL)で洗浄した後、エタノール(2mL)を通液して1−(2,2−ジヒドロキシメチル−3−[18F]フルオロプロピル)−2−ニトロイミダゾールを溶出させた。得られた放射能量は48.5MBq(合成開始後87分)であった。また、下記の条件によるHPLC分析を行ったところ、前駆体化合物1に換算して非放射性不純物が26μg混入したことを確認し、HPLC精製しなくても非放射性不純物が少ない低酸素イメージング剤を合成できたことを確認した。
[HPLC条件]
カラム:YMC−TriartC18(商品名、YMC社製、サイズ:4.6mmφ×150mm)
移動相:50mM炭酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=100/0→30/70(0→40分)
流速:1.0mL/分
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波:325nm)

Claims (7)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2017052713

    〔式中、
    は、アルキニル基、アルキニルオキシ基、アジド基、アジドアルキル基、アリールアジド基、置換若しくは非置換の単環若しくは縮合多環アリール基、又は、置換若しくは非置換の含窒素複素環を示し、
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又は、ヒドロキシ基が保護基で保護されていてもよい、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を示し、
    nは1又2の整数である。〕
    で表される、放射性フッ素標識化合物の標識前駆体化合物であって、
    下記一般式(2):
    Figure 2017052713

    〔式中、
    、R、R及びnは、前記一般式(1)と同じであり、
    は、炭素数4〜24のアルキル基、又は、−CONR1112(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜24のアルキル基、又は、置換若しくは非置換の単環若しくは縮合多環アリール基を示す。)
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は、炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。〕
    で表わされる、標識前駆体化合物。
  2. 前記一般式(1)で表わされる放射性フッ素標識化合物のclogPと、前記一般式(2)で表わされる前駆体化合物のclogPとの差が、1以上である、請求項1に記載の標識前駆体化合物。
  3. 前記一般式(2)中、
    は、炭素数4〜24の直鎖アルキル基、又は、−CONR1112(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜24の直鎖アルキル基、又は、置換若しくは非置換の縮合多環アリール基を示す。)を示し、
    、R、R及びRは、いずれも水素を示す、請求項1又は2に記載の標識前駆体化合物。
  4. 前記一般式(1)及び(2)中、Rが、置換若しくは非置換の含窒素複素環を示す、請求項1乃至3いずれか一項に記載の標識前駆体化合物。
  5. が下記式(3)で表される基である、請求項4に記載の標識前駆体化合物。
    Figure 2017052713

    〔式中、Rは、水素、メチル基、又はヒドロキシメチル基である。〕
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の標識前駆体化合物を、[18F]フッ化物イオンと反応させ、下記一般式(1):
    Figure 2017052713

    〔式中、
    は、アルキニル基、アルキニルオキシ基、アジド基、アジドアルキル基、アリールアジド基、置換若しくは非置換の単環若しくは縮合多環アリール基、又は、置換若しくは非置換の含窒素複素環を示し、
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又は、ヒドロキシ基が保護基で保護されていてもよい、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を示し、
    nは1又2の整数である。〕
    で表わされる放射性フッ素標識化合物を得る工程を含む、放射性フッ素標識化合物の製造方法。
  7. 前記標識前駆体化合物を、[18F]フッ化物イオンと反応させることにより、得られる前記一般式(1)で表される放射性フッ素標識化合物を含む反応混合物を逆相カートリッジカラムに添加する工程と、
    前記一般式(1)で表される放射性フッ素標識化合物を前記逆相カートリッジカラムから溶出させる工程と、
    をさらに含む、請求項6に記載の製造方法。
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