[実施例]
(第1の実施例)
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成を示す。
本実施例の画像形成装置10は、接触帯電方式を採用した電子写真方式のレーザビームプリンタである。まず、図1および図2を参照して、本実施例のプリンタ10の全体構成について説明する。
図1に示すように、プリンタ10は、像担持体として、回転ドラム型の電子写真感光体1(以下、「感光ドラム」と呼ぶ)を有する。本実施例において、感光ドラム1は、帯電特性が負帯電性のa−Si(アモルファスシリコン)感光体であり、外径30mm、中心支軸を中心に300mm/secのプロセススピード(周速度)をもって曲線矢印の方向(反時計回り)に回転駆動される。感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)の表面に、光電荷発生層と、電荷輸送層(厚さ約20μm)とを下から順に塗り重ねた構成をしている。尚、感光体ドラム1としては、アモルファスシリコン感光体に限らず、例えば有機光導電体(OPC)を用いることができる。
図1に示すように、プリンタ10は、感光ドラム1表面を一様に帯電処理する接触式帯電手段として、帯電ローラ2を有する。帯電ローラ2は、感光ドラム1との間の微小ギャップにて生じる放電現象を利用して帯電する。
図2に示すように、帯電ローラ2は、芯金(支持部材)2aの両端部をそれぞれ軸受け部材2eにより回転自在に保持されると共に、押圧ばね2fによって感光ドラム1に向かって付勢して、感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接させている。これにより、帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転に従動して図中曲線矢印の方向(時計回り)に回転する。感光ドラム1と帯電ローラ2との圧接部が帯電部(帯電ニップ部)aである。
帯電ローラ2は長手長さ320mm、直径14mmである。また、図2の概略構成図に示すように、芯金2aの外回りに、下層2bと、中間層2cと、表層2dとを下から順次に積層した3層構成である。
芯金2aは直径6mmのステンレス丸棒である。下層2bは、カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜109Ωcmであり、層厚は約3.5mmである。中間層2cは、カーボン分散のNBRゴム、体積抵抗値102〜105Ωcmであり、層厚は約500μmである。表層2dはフッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫、カーボンを分散した構成で、体積抵抗値は107〜1010Ωcm、表面粗さ(JIS規格10点平均表面粗さRz)は1.5μm、層厚は約5μmである。
帯電ローラ2の芯金2aには、電源PS1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加される。
本実施例では、電源PS1はDCおよびAC電源のみからなる構成である。これにより、回転する感光ドラム1表面は、所定の極性・電位に接触帯電処理される。ここでは、−500Vに一様に帯電処理されるが、具体的な帯電バイアス制御については詳しく後述する。
図1に示すように、プリンタ10は、帯電処理された感光ドラム1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段として露光手段たる露光装置3を有する。本実施例において、露光装置3は半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。レーザビームスキャナ3は、画像読み取り装置(図示せず)などのホスト処理装置からプリンタ側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光Lを出力して、一様に帯電処理された回転する感光ドラム1の表面を、露光部(露光位置)bにおいてレーザ走査露光(イメージ露光)する。このレーザ走査露光により、感光ドラム1の表面のレーザ光Lで照射されたところの電位が低下し、回転する感光ドラム1の表面には、画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
図1に示すように、プリンタ10は、感光ドラム1上の静電潜像に従ってトナーを供給し、静電潜像をトナー画像(現像剤像)として反転現像する現像手段として、現像装置(現像器)4を有する。本実施例においては、現像器4はトナーとキャリアからなる二成分現像剤による磁気ブラシを、現像部cで感光ドラム1に接触させながら現像を行う二成分接触現像方式を採用した現像装置である。
現像装置には電源PS2から所定の現像バイアスが印加される。本実施例においては、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、振動電圧は、周波数8.0kHz、ピーク間電圧1.8kV、矩形波の交流電圧とを重畳した振動電圧である。直流電圧は、現像部における感光体ドラム1の電位に対して適正なカブリ取り電位になるように適宜設定されるが、詳細は後述する。
図1に示すように、プリンタ10は、転写手段として転写装置5を有する。本実施例においては、転写装置5は転写ローラである。転写ローラ5は、感光ドラム1に所定の押圧力をもって圧接され、その圧接ニップ部が転写部dである。この転写部dに紙機構部(図示せず)から所定の制御タイミングにて記録材Pが給送される。
転写部dに給送された記録材Pは、回転する感光ドラム1と転写ローラ5との間に挟持されて搬送される。その間、転写ローラ5には電源PS3からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス、本実施例では+600Vが印加される。これにより、転写部dを挟持搬送されていく記録材Pの表面に感光ドラム1の表面側のトナー画像が順次に静電転写されていく。
なお、画像形成装置の構成は、必ずしも感光ドラムからトナー像を直接転写紙に転写する構成ではなく、感光ドラムからトナー像を一時的に保持し搬送する中間転写体に転写し、中間転写体から転写紙に転写する構成であってもよい。
転写部dを通ってトナー画像の転写を受けた記録材Pは、感光ドラム1の表面から順次に分離されて定着装置6へ搬送される。本実施例では、定着装置6は熱ローラ定着装置であり、この定着装置6により記録材Pはトナー画像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
転写部dにおける転写紙Pへのトナー画像転写後に、感光ドラム1の表面に若干量残留する転写残トナーは、クリーニング部eにおいて、クリーニング装置7によって感光ドラム1の表面から除去される。ここでは、転写残トナーの除去手段としてクリーニング装置を用いる画像形成装置の例を挙げたが、転写残トナーの電荷適正化手段を有し、現像器にて現像同時回収するクリーナレス方式の画像形成装置においても、本発明の適用が可能である。
図1に示すように、プリンタ10は、感光体ドラム1上の電位測定部fにおける表面電位を測定する電位測定手段として、電位センサ8を有する。
図3は上記プリンタの動作シーケンス図である。
(1)初期回転動作(前多回転行程)
プリンタの起動時の始動動作期間(起動動作期間、ウォーミング期間)である。電源スイッチ−オンにより、制御回路が感光体ドラムを回転駆動させ、また定着装置の所定温度への立ち上げ等、所定のプロセス機器の準備動作を実行させる。
(2)印字準備回転動作(前回転行程)
プリント信号−オンから実際に画像形成(印字)行程動作がなされるまでの間の画像形成前の準備回転動作期間であり、初期回転動作中にプリント信号が入力したときには初期回転動作に引き続いて実行される。プリント信号の入力がないときには初期回転動作の終了後にメインモータの駆動が一旦停止されて感光ドラムの回転駆動が停止され、プリンタはプリント信号が入力されるまでスタンバイ(待機)状態に保たれる。プリント信号が入力されると、制御回路により印字準備回転動作が実行される。
(3)印字行程(画像形成行程、作像行程)
所定の印字準備回転動作が終了すると、引き続いて、制御回路により回転感光ドラムに対する作像プロセスが実行され、回転感光体ドラム面に形成されたトナー画像の転写材への転写、定着装置によるトナー画像の定着処理がなされて画像形成物がプリントアウトされる。
連続印字(連続プリント)モードの場合は上記の印字行程が所定の設定プリント枚数n枚分繰り返して実行される。
(4)紙間行程
連続印字モードにおいて、一の転写材の後端部が転写位置dを通過した後、次の転写材の先端部が転写位置dに到達するまでの間の、転写位置における記録紙の非通紙状態期間である。
(5)後回転動作
最後の転写材の印字行程が終了した後もしばらくの間、制御回路がメインモータの駆動を継続させて感光体ドラムを回転駆動させ、所定の後動作を実行させる期間である。
(6)スタンバイ
所定の後回転動作が終了すると、制御回路によりメインモータの駆動が停止されて感光体ドラムの回転駆動が停止され、プリンタは次のプリントスタ−ト信号が入力するまでスタンバイ状態に保たれる。
1枚だけのプリントの場合は、そのプリント終了後、プリンタは後回転動作を経てスタンバイ状態になる。
スタンバイ状態において、プリントスタート信号が入力すると、プリンタは前回転行程に移行する。
(3)の印字行程時が画像形成時であり、(1)の初期回転動作、(2)の前回転動作、(4)の紙間行程、(5)の後回転動作が非画像形成時である。
図4は帯電ローラ2に対する帯電バイアス印加系のブロック回路図である。
図4に示すように、帯電ローラ2においては、電圧印加手段である電源PS1が直流(DC)電源11と交流(AC)電源12とを有している。制御回路14により電源PS1から直流電圧に周波数fの交流電圧を重畳した所定の振動電圧(バイアス電圧Vdc+Vac)が芯金2aを介して帯電ローラ2に印加されることで、回転する感光体ドラム1の周面が所定の電位に帯電処理される。
制御回路14は、DC電源11から第一の帯電ローラ2に印加する直流電圧値と、AC電源12から第一の帯電ローラ2に印加する交流電圧のピーク間電圧値もしくは交流電流値と、を制御する機能を有する。
さらに、制御回路14は暗減衰量検知モードにおける感光体ドラム1の回転速度を制御する機能を有するほか、不図示の記録部を内蔵し、画像形成条件の各パラメータを記憶/格納する機能を有する。
本実施例の暗減衰量測定モードにおいては、制御回路14によって装置のプロセススピードを可変とすることにより、感光体ドラム1上のある一点が帯電ローラ2を通過してから電位センサ8に到達するまでの時間を可変とした。そして、電位センサ8によって感光体ドラム1の表面電位を測定し、制御回路14がその間の電位変動を検出する。これらの結果を用いると、制御回路14により所望の時間間隔に対する暗減衰量を測定することができる。
ここで、本実施例の暗減衰量測定モードの制御について、詳細に説明する。なお、本実施例の制御は、印字準備回転動作(前回転行程)時に、温度23℃、湿度50%の環境で行われた。
まず、装置のプロセススピードの設定について述べる。本実施例の暗減衰量測定モードにおいては、装置のプロセススピードが可変となっており、所望の経過時間後における暗減衰量を制御回路14が測定できるようになっている。ここでは、特に、通常の画像形成時において、帯電部で形成された電位が現像部に到達するまでに減衰する暗減衰量を測定することを目的としている。これは、画像形成においては、帯電部で形成された電位が現像部に到達するまでの暗減衰量を制御回路14が正確に検知し、適正な画像形成条件とすることが最も重要であるためである。
本実施例での暗減衰量測定モードにおける装置のプロセススピードv(msr)は、以下の手順で制御回路14が決定した。図5に示されるように、感光体ドラム1の断面において、接触帯電ローラ2の位置から電位センサ8の位置までの円弧の長さをD1、接触帯電ローラ2の位置から現像手段4の位置までの円弧の長さをD2とする。また、通常の画像形成時における感光体ドラム1のプロセススピードをv(prc)としたとき、画像形成時において帯電部で形成された電位が現像部に到達するまでの時間ΔT(prc)は、
ΔT(prc)=D2/v(prc)
である。一方、暗減衰量測定モードにおいて第一の帯電ローラ2で形成された電位が第2の帯電ローラ2’に到達するまでの時間ΔT(msr)は、
ΔT(msr)=D1/v(msr)
である。制御回路14がΔT(prc)に対する暗減衰量を求めるためには、ΔT(prc)=ΔT(msr)であるから、
v(msr)=(D1/D2)×v(prc)
と求められる。
本実施例においては、具体的には、D1=10(mm)、D2=40mmであり、前述の通り、画像形成時のプロセススピードが300mm/sであるため、暗減衰量測定モードに最適なプロセススピードは、
v(msr)=(D1/D2)×v(prc)=75(mm/s)
である。
本実施例では、制御回路14が上記のようにv(msr)を決定したが、この方法に限定されるものではなく、制御回路14が一旦、感光体ドラム1を停止させたり、減速させたりして、ΔT(prc)=ΔT(msr)となるように調整しても良い。
次に、暗減衰量測定モードにおける各バイアスの設定と暗減衰量の測定方法について、図6に基づいて述べる。
図6に示すように、本実施例では、帯電ローラ2に印加する帯電DCバイアスVdcUを−500Vとした。これは、印字行程(画像形成行程、作像行程)における帯電部通過後の目標ドラム電位と同等である。また、帯電ACバイアスVacUとして、1500Vppとした。これは、放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧(Vpp)であればよい。このように、帯電ACバイアスが放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧という条件のときには、帯電ローラを通過した感光ドラムの表面電位は印加したDCバイアスと同電位に収束することが知られている。
図7は温度23℃、湿度50%の環境における、第一の帯電ローラ2に印加したDC電圧と感光体表面電位との関係を示すグラフである。
図7に示すように、放電開始電圧Vthは約600Vであることから、印加するACバイアスは、Vthの2倍である1200Vpp以上であればよい。実際、本実施例においては、制御回路14により第一の帯電ローラ2に1500VppのAC電圧が印加され、第一の帯電ローラ2を通過した後の感光ドラム表面電位は−500Vとなる(図6を参照)。
一方、図6に示すように、本実施例では、電位センサ8における位置での感光体ドラム1の電位は−447Vであった。これは、時間間隔ΔT(msr)の間に、帯電ローラ2によって感光体ドラム1上に形成された−500Vのドラム電位が、−447Vまで減衰したことを示している。
上述の通り、ΔT(prc)=ΔT(msr)であるから、通常の画像形成時において帯電部で形成された電位が現像部に到達するまでの時間間隔と同等である。即ち、図8に示すように、通常の画像形成時において、帯電部通過直後に−500Vまで上昇した感光体ドラム1の電位は、現像部に到達する時点では、−447Vまで低下していることを示している。
このようにして求められた時間間隔に対する暗減衰量の関係は、制御部14によって記憶される。この結果に基づいて、適正なカブリ取り電位になるように、制御回路14により現像DCバイアスが設定される。本実施例においては、適正なカブリ取り電位は150Vであるため、制御回路14により、現像DCバイアスは−297Vと設定される。
実際、本実施例における制御を用いて、制御回路14が暗減衰量を測定しながら画像形成を行ったところ、十分な使用耐久枚数の画像出力を行っても、カブリやキャリア付着は発生せず、良好な画像が得られた。
図9は本実施例における、上記の暗減衰量測定モードをフローチャートで表現したものである。
まず、制御回路14が暗減衰量検知モードを行うと判断した際には、感光体ドラム1の回転速度が制御回路14によって所定のプロセススピードv(msr)に変更される(S1)。上記実施例1の場合には、v(msr)=(D1/D2)×v(prc)となるように変更を行った。次いで、変更された速度v(msr)において、感光体ドラム1上のある点が帯電ローラ2から電位センサ8に到達するまで走行時間ΔTが制御回路14によって算出され、制御回路14によって記憶される(S2)。
上記のように速度を設定することにより、走行時間ΔTは、感光体が画像形成中の速度で帯電ローラ2から現像手段まで移動するまでの時間と同等となる。一方で、帯電ローラ2に印加する電圧を以下のようにする。即ち、制御回路14は、帯電ローラ2に、Vdの目標電位と同等の帯電DCバイアスVdcUと、放電する条件のピーク間電圧である帯電ACバイアスVacUとを印加する(S3)。
この条件において、電位センサ8から読み取られるV0が制御回路14により記憶され(S4)、さらに、記憶された走行時間ΔTとの関係が記憶される(S5)。
ここで、走行時間ΔTは、暗減衰量測定モードにおいて感光体ドラム1が帯電ローラ2から電位センサ8まで移動するまでの時間であるが、感光体ドラム1が画像形成中の速度で帯電ローラ2から現像手段まで移動するまでの時間と同等となるように設定されている。
また、上記のように、帯電ローラ2には、画像形成中のVdの目標電位と同等の帯電DCバイアスが印加され、感光体ドラム1は目標電位Vdに帯電される。そして、走行時間ΔTが経過した後の感光体ドラム1の電位が、電位センサ8から読み取られる。
したがって、本件の制御を行うことにより、画像形成中の速度で帯電ローラ2から現像手段まで移動するまでの時間ΔTと、画像形成中のVd電位がΔTの間に暗減衰した電位(即ち、暗減衰量)が求められる。
この結果に基づいて制御回路14は各画像形成条件を変更し(S6)、暗減衰量測定モードを終了する。
以上のように、図1を用いて接触帯電方式における暗減衰の測定モードについて述べたが、非接触の帯電手段においても本発明は適用できる。図18は非接触帯電手段の一例であるコロナ帯電方式の概略の構成断面図である。以下に、図18を用いて、非接触帯電方式における暗減衰の測定について説明する。
図18中に、コロナ帯電器2を示す。コロナ帯電器2は、放電ワイヤ2aと、これを囲むように設けられたコの字状のシールドと、シールドの開口部に設置されたグリッド電極2bと、を備える(スコロトロンタイプ)。本実施例において、グリッド電極2bには、平板状のエッチンググリッドを用いた。また、コロナ帯電器の放電ワイヤ2aには高圧電源S1から高圧電圧が印加され、本実施例では、1000μAを印加した。同様に、グリッド電極には高圧電源S1‘から高圧電圧が印加され、700Vを印加した。高圧印加により、感光体の帯電電位は、約700Vに帯電する。
なお、コロナ帯電器2は感光体1の母線に沿って対向配置され、コロナ帯電器2の長手方向は感光体1の軸線方向と略平行な関係となっている。
放電ワイヤ2aには、ステンレススチール、ニッケル、モリブデン、タングステンなどを用いるのがよい。本実施例においては、金属の中で非常に安定性の高いタングステンを材質とする直径50μmの帯電ワイヤ2aを使用した。グリッド電極2bは、ワイヤグリッドでもよいし、エッチンググリッドでもよい。本実施例では、板状グリッド電極2bの基材はオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)からなる厚さ約0.03mmの薄板上の板金にエッチング加工によって多数の貫通孔が形成されたものを使用した。
コロナ帯電器は、放電ワイヤ2aに近いほど、帯電能力が高いので、放電ワイヤ2aからの最近接位置からの距離を基準とする。接触帯電の例と同様に、コロナ帯電器においても、電位センサ8までの距離D1と、現像手段4までの距離D2として、v(msr)とΔT(msr)を求めることができる。
コロナ帯電器は、グリッド電極により、感光体ドラムの電位はグリッド電位におおよそ収束する。しかし、コロナ帯電器の構成によっては、プロセススピードが速くなると、グリッド電位と感光体ドラムの電位の収束性が低くなる場合がある。プロセススピードが速くなる事によって、コロナ帯電器を通過する時間が短くなり、帯電する時間が変化するためである。そのような場合は、プロセススピードによって、帯電器直下における感光体ドラムの帯電電位が変動するため、コロナ帯電器を通過するまでは、v(prc)で帯電を行う。
そして、帯電器を通過した直後からv(msr)にプロセススピードを調整し、電位センサでΔT(msr)後の帯電電位を測定する。その際、プロセススピードの速度調整はモータや部品個体差が生じるため、予め、プロセススピードの速度調整における調整速度差をデータとして登録しておく事により、より正確にΔT(msr)後の帯電電位を測定できる。また、プロセススピードの速度調整が、使用環境や部品の耐久状態によって異なる場合は、モータトルクを元に上記のデータベースを補正して使用するのがよい。以上より、実際のv(msr)におけるコロナ帯電器の帯電状態における感光体ドラムの電位を精度よく測定できる。
近年の画像形成装置の小型化や高速化に伴い、帯電手段2から現像手段4までの距離が短く、ΔT(prc)が小さい場合がある。ΔT(prc)が小さいと、上述の方法より、v(msr)を計算しても、プロセススピードの調整が難しい場合がある。微妙なプロセススピードの調整を行うために、パルス式の速度調整モータや速度調整手段を用いると、装置のコストアップや装置の大型化になってしまう。
その場合は、v(msr)と異なったとしても、プロセススピードをv1(mrs)、v2(mrs)、v3(mrs)・・・と複数変更し、それぞれのプロセスピードにおける感光体ドラムの減衰電位を測定する事により、v(msr)における感光体ドラムの減衰電位を算出する事が出来る。
本発明者の検討によれば、感光体ドラムの帯電電位をEとした時、帯電電位Eは時間によって変化する関数E(t)として扱えるので、以下の式で表す事が出来る。
E(t)=E0×exp(−A/τ×t)
式中
E(t)=時間tにおける感光体ドラムの電位
t= 時間
E0=帯電器状態に応じて変動する帯電器直下における感光体ドラム電位
τ= 主に感光体ドラムの材質に応じて決まる時定数
A= 感光体ドラムの個体差によってばらつく時定数τを補正する補正係数
である。
上記関数の関係と、プロセススピードをv1(mrs)、v2(mrs)、v3(mrs)・・・と変更した際の感光体ドラムの測定電位から、v(mrs)における感光体ドラムの電位を算出する事ができる。尚、上記のE0は、帯電器から感光体ドラムに流れる電流値に依存する値である。たとえば、コロナ帯電器において、放電ワイヤに流れる電流量と、グリッド電極に流れる電流量を検出すれば、感光体ドラムに流れる電流を算出する事が出来る。
感光体ドラムに流れる電流値とE0との関係のデータベースをあらかじめ記録しておけば、感光体ドラムに流れる電流値を測定、または算出する事により、E0は予測できる。プロセススピードを変更して行う測定点を減らし、感光体ドラムの減衰量測定の時間を短縮化する事もできる。
上記の暗減衰量測定モードの実行は、実施例のプリンタのように印字準備回転動作時に限られるものではなく、他の非画像形成時、即ち、初期回転動作時や後回転動作時、紙間行程時とすることもできるし、複数の行程に実行させるようにすることもできる。
また、暗減衰量測定モードが頻繁に行われると、制御時間の増大による生産性の低下の原因となる。そこで、所定の画像形成枚数に達した際や、所定期間(例えば、600秒程度)以上の連続稼働時、環境センサなどで急激な使用環境の変化を制御回路が検知した際など、暗減衰量が大きく変化すると考えられるタイミングのみ、上記の暗減衰量測定モードを実行させることもできる。
以上説明したように、本実施例の制御を行うことにより、以下のような効果が得られる。
暗減衰量測定モード時に感光体ドラムのプロセススピードを変更することにより、通常の画像形成時における帯電部〜現像部までの時間と同等の暗減衰量を測定することができるため、現像部における正確な電位検知を行うことができる。したがって、カブリ取り電位の異常によるカブリ、キャリア付着などの発生を軽減することができる。
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例の画像形成装置(プリンタ)の基本構成は第1の実施例のものと同様である。従って、第1の実施例と同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
第1の実施例では、暗減衰量を測定する手段として電位測定手段としての電位センサを用いたが、複数の帯電ローラを有し、下流側の帯電ローラが電流検知手段を有する画像形成装置においては、電位センサを用いなくても感光体ドラムの電位を測定することができる。
このような複数の帯電ローラを有する帯電装置は、高速化、高信頼性が要求される高級機種において、初期から長期に渡って安定に高画質化を達成させるために利用されることが知られている。
図10に、第2の実施例の概略構成を示す。図10に示すように、プリンタ10は、接触式帯電手段として、帯電ローラ2よりも感光ドラム1の面移動方向下流に配設した第二の帯電ローラ2’と、を有する。第2の実施例では、帯電ローラ2は、便宜上、第一の帯電ローラ2と記す。
ここで、第二の帯電ローラ2’は、第一の帯電ローラ2と同様の寸法、材質のものを用いている。なお、第一の帯電ローラ2と同様、感光ドラム1との間の微小ギャップにて生じる放電現象を利用して帯電する。
なお、本実施例では、第一の帯電ローラ2および第二の帯電ローラ2’として同様の寸法、材質のものを用いたが、本発明における帯電部材の構成は何ら限定されるものではない。
第一の帯電ローラ2の芯金2a、第二の帯電ローラ2’の芯金2a’には、それぞれ、電源PS1、電源PS1’より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加される。
本実施例では、電源PS1はDC電源のみからなる構成であり、電源PS1’はDCおよびAC電源を有する構成である。これにより、回転する感光ドラム1表面は、所定の極性・電位に接触帯電処理される。ここでは、−500Vに一様に帯電処理されるが、具体的な帯電バイアス制御については詳しく後述する。
図11は第二の帯電ローラ2’に対する帯電バイアス印加系のブロック回路図である。
図11に示すように、第二の帯電ローラ2’においては、電圧印加手段である電源PS1’が直流(DC)電源11’と交流(AC)電源12’とを有している。制御回路14により電源PS1’から直流電圧に周波数fの交流電圧を重畳した所定の振動電圧(バイアス電圧Vdc’+Vac’)が芯金2a’を介して第二の帯電ローラ2’に印加されることで、回転する感光体ドラム1の周面が所定の電位に帯電処理される。13’は感光体1を介して第二の帯電ローラ2’に流れる直流電流値を測定する手段としての直流電流値測定回路である。この回路13’から後述の制御回路14に測定された直流電流値の情報が入力される。
制御回路14は、DC電源11から第一の帯電ローラ2に印加する直流電圧値と、AC電源12から第一の帯電ローラ2に印加する交流電圧のピーク間電圧値もしくは交流電流値と、を制御する機能を有する。
また、制御回路14は、DC電源11’から第二の帯電ローラ2’に印加する直流電圧値と、AC電源12’から第二の帯電ローラ2’に印加する交流電圧のピーク間電圧値もしくは交流電流値と、を制御する機能を有する。
そして、制御回路14は直流電流値測定回路13’から入力された直流電流値情報から、感光体ドラム1の暗減衰特性を検知し、印字行程の帯電行程における第一の帯電ローラ2および/または第二の帯電ローラ2’に対する印加直流バイアスの演算・決定プログラムを実行する機能を有する。
さらに、制御回路14は暗減衰量検知モードにおける感光体ドラム1の回転速度を制御する機能を有するほか、不図示の記録部を内蔵し、画像形成条件の各パラメータを記憶/格納する機能を有する。
本実施例の暗減衰量測定モードにおいては、制御回路14によって装置のプロセススピードを可変とすることにより、感光体ドラム1上のある一点が第一の帯電ローラ2を通過してから第二の帯電ローラ2’に到達するまでの時間を可変とした。そして、第二の帯電ローラ2’に設けられた電流測定手段13’の検出した電流値に基づいて、制御回路14がその間の電位変動を検出する。これらの結果を用いると、制御回路14により所望の時間間隔に対する暗減衰量を測定することができる。
ここで、本実施例の暗減衰量測定モードの制御について、詳細に説明する。なお、本実施例の制御は、印字準備回転動作(前回転行程)時に、温度23℃、湿度50%の環境で行われた。
まず、装置のプロセススピードの設定について述べる。本実施例の暗減衰量測定モードにおいては、装置のプロセススピードが可変となっており、所望の経過時間後における暗減衰量を制御回路14が測定できるようになっている。ここでは、特に、通常の画像形成時において、帯電部で形成された電位が現像部に到達するまでに減衰する暗減衰量を測定することを目的としている。これは、画像形成においては、帯電部で形成された電位が現像部に到達するまでの暗減衰量を制御回路14が正確に検知し、適正な画像形成条件とすることが最も重要であるためである。
本実施例での暗減衰量測定モードにおける装置のプロセススピードv(msr)は、以下の手順で制御回路14が決定した。図12に示されるように、感光体ドラム1の断面において、第一の接触帯電ローラ2の位置から第二の接触帯電ローラ2’の位置までの円弧の長さをD3、第二の接触帯電ローラ2’の位置から現像手段4の位置までの円弧の長さをD4とする。また、通常の画像形成時における感光体ドラム1のプロセススピードをv(prc)としたとき、画像形成時において帯電部で形成された電位が現像部に到達するまでの時間ΔT(prc)は、
ΔT(prc)=D4/v(prc)
である。一方、暗減衰量測定モードにおいて第一の帯電ローラ2で形成された電位が第2の帯電ローラ2’に到達するまでの時間ΔT(msr)は、
ΔT(msr)=D3/v(msr)
である。制御回路14がΔT(prc)に対する暗減衰量を求めるためには、ΔT(prc)=ΔT(msr)であるから、
v(msr)=(D3/D4)×v(prc)
と求められる。
本実施例においては、具体的には、D3=10(mm)、D4=30mmであり、前述の通り、画像形成時のプロセススピードが300mm/sであるため、暗減衰量測定モードに最適なプロセススピードは、
v(msr)=(D3/D4)×v(prc)=100(mm/s)
である。
本実施例では、制御回路14が上記のようにv(msr)を決定したが、この方法に限定されるものではなく、制御回路14が一旦、感光体ドラム1を停止させたり、減速させたりして、ΔT(prc)=ΔT(msr)となるように調整しても良い。
次に、暗減衰量測定モードにおける各バイアスの設定と暗減衰量の測定方法について、図13に基づいて述べる。
図13(a)に示すように、本実施例では、第一の帯電ローラ2に印加する帯電DCバイアスVdcUを−500Vとした。これは、印字行程(画像形成行程、作像行程)における帯電部通過後の目標ドラム電位と同等である。また、帯電ACバイアスVacUとして、1500Vppとした。これは、放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧(Vpp)であればよい。
実際、本実施例においては、制御回路14により第一の帯電ローラ2に1500VppのAC電圧が印加され、第一の帯電ローラ2を通過した後の感光ドラム表面電位は−500Vとなる(図13(a)を参照)。
一方、第二の帯電ローラ2’に帯電DCバイアスVdcLを印加しながら、帯電ACバイアスVacLとして1500Vppを印加した。帯電DCバイアスVdcLの値は任意であり、絶対値が、第一の帯電ローラ2に印加する帯電DCバイアスVdcUの絶対値以下であればよい。また、帯電ACバイアスVacLは、制御回路14によって1500Vppに設定されたが、放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧(Vpp)であればよい。このとき、第二の帯電ローラ2’を通過直後の感光体1のドラム電位は、印加したVdcLと同等になっている(図13(a)を参照)。
これらの条件下で、制御回路14が第二の帯電ローラ2’に印加する帯電DCバイアスVdcLを変動させながら、直流電流測定回路13’に流れるDC電流値Idcを測定する。測定されるDC電流値Idcが0となるとき、第二の帯電ローラ2’通過前後の感光ドラム電位が変化していないということであるから、そのときの第二の帯電ローラ2に印加されている帯電DCバイアスVdcL0が、第二の帯電ローラ2’の位置での感光体ドラム1の表面電位と同等であることがわかる。
図13(b)に示すように、本実施例では、帯電DCバイアスVdcL0が−460VのときにIdc=0、即ち、VdcL0=−460Vであった。これは、時間間隔ΔT(msr)の間に、第一の帯電ローラ2によって感光体ドラム1上に形成された−500Vのドラム電位が、−460Vまで減衰したことを示している。
上述の通り、ΔT(prc)=ΔT(msr)であるから、通常の画像形成時において帯電部で形成された電位が現像部に到達するまでの時間間隔と同等である。即ち、図14に示すように、通常の画像形成時において、帯電部通過直後に−500Vまで上昇した感光体ドラム1の電位は、現像部に到達する時点では、−460Vまで低下していることを示している。
このようにして求められた時間間隔に対する暗減衰量の関係は、制御部14によって記憶される。この結果に基づいて、適正なカブリ取り電位になるように、制御回路14により現像DCバイアスが設定される。本実施例においては、適正なカブリ取り電位は150Vであるため、制御回路14により、現像DCバイアスは−310Vと設定される。
実際、本実施例における制御を用いて、制御回路14が暗減衰量を測定しながら画像形成を行ったところ、十分な使用耐久枚数の画像出力を行っても、カブリやキャリア付着は発生せず、良好な画像が得られた。
図15は本実施例における、上記の暗減衰量測定モードをフローチャートで表現したものである。
まず、制御回路14が暗減衰量検知モードを行うと判断した際には、感光体ドラム1の回転速度が制御回路14によって所定のプロセススピードv(msr)に変更される(S11)。上記実施例1の場合には、v(msr)=(D3/D4)×v(prc)となるように変更を行った。次いで、変更された速度v(msr)において、感光体ドラム1上のある点が第一の帯電ローラ2から第二の帯電ローラ2’に到達するまで走行時間ΔTが制御回路14によって算出され、制御回路14によって記憶される(S12)。
上記のように速度を設定することにより、走行時間ΔTは、感光体が画像形成中の速度で帯電ローラ2から現像手段まで移動するまでの時間と同等となる。
一方で、第一の帯電ローラ2および第二の帯電ローラ2’に印加する電圧を以下のようにする。即ち、制御回路14は、第一の帯電ローラ2に、Vdの目標電位と同等の帯電DCバイアスVdcUと、放電する条件のピーク間電圧である帯電ACバイアスVacUとを印加し、第二の帯電ローラ2’に、任意の帯電DCバイアスVdcLと、放電する条件のピーク間電圧である帯電ACバイアスVacLとを印加する(S13)。
この条件において、制御回路14は第二の帯電ローラ2’に流れるDC電流値IdcLを測定回路13’で測定する(S14)。
測定された電流値IdcLが0でないときには(S14のNO)、制御回路14は第二の帯電ローラ2’に印加する帯電DCバイアスVdcLを変動させて(S15)再びDC電流値を測定し、測定された電流値IdcLが0になるまで繰り返す。
測定された電流値IdcLが0となったときには(S14のYES)、このときの第二の帯電ローラ2’の帯電DCバイアスVdcL0が制御回路14により記憶され(S16)、さらに、記憶された走行時間ΔTとの関係が記憶される(S17)。
ここで、走行時間ΔTは、暗減衰量測定モードにおいて感光体ドラム1が第一の帯電ローラ2から第二の帯電ローラ2’まで移動するまでの時間であるが、感光体ドラム1が画像形成中の速度で第二の帯電ローラ2’から現像手段まで移動するまでの時間と同等となるように設定されている。
また、上記のように、暗減衰量測定モードにおいて、第一の帯電ローラ2には画像形成中のVdの目標電位と同等の帯電DCバイアスが印加され、感光体ドラム1は目標電位Vdに帯電される。そして、走行時間ΔTが経過した後の感光体ドラム1の電位が、第二の帯電ローラ2’から読み取られる。
したがって、本件の制御を行うことにより、画像形成中の速度で第二の帯電ローラ2’から現像手段まで移動するまでの時間ΔTと、画像形成中のVd電位がΔTの間に暗減衰した電位(即ち、暗減衰量)が求められる。
この結果に基づいて制御回路14は各画像形成条件を変更し(S18)、暗減衰量測定モードを終了する。
上記の暗減衰量測定モードの実行は、実施例のプリンタのように印字準備回転動作時に限られるものではなく、他の非画像形成時、即ち、初期回転動作時や後回転動作時、紙間行程時とすることもできるし、複数の行程に実行させるようにすることもできる。
また、暗減衰量測定モードが頻繁に行われると、制御時間の増大による生産性の低下の原因となる。そこで、所定の画像形成枚数に達した際や、環境センサなどで急激な使用環境の変化を制御回路が検知した際など、暗減衰量が大きく変化すると考えられるタイミングのみ、上記の暗減衰量測定モードを実行させることもできる。
以上説明したように、本実施例の制御を行うことにより、以下のような効果が得られる。
上流側の帯電ローラによって感光体ドラム上に形成された電位が、下流側の帯電ローラに到達するまでの暗減衰量を、下流側の帯電ローラに流れるDC電流値に基づいて検知することによって、電位センサを用いなくても暗減衰量の測定を行うことができる。
また、暗減衰量測定モード時に感光体ドラムのプロセススピードを変更することにより、通常の画像形成時における帯電部〜現像部までの時間と同等の暗減衰量を測定することができるため、現像部における正確な電位検知を行うことができる。
したがって、電位センサを用いない簡易な構成であっても、複数の帯電ローラを用いて正確な暗減衰量の測定を行うことができ、カブリ取り電位の異常によるカブリ、キャリア付着などの発生を軽減することができる。尚、上述のような複数の帯電ローラの構成だけでなく、感光体ドラムの回転方向の上流側は、たとえばコロナ帯電器であってもかまわない。
この際、上記距離を測定する基準となるのは、帯電ローラの場合は、帯電ローラと感光体の接触ニップの中心が距離の基準となる。また、コロナ帯電器のような非接触帯電装置の場合は、放電ワイヤ直下を距離の基準として暗減衰量の検出を行えばよい。つまり、感光体ドラムの回転方向の下流に位置する帯電手段として、を感光体と接触する帯電部材(例えば、、帯電ローラ)を用いればよい本件制御を適応可能である。
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例の画像形成装置(プリンタ)の基本構成は第2の実施例のものと同様である。従って、第2の実施例と同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
第2の実施例では、暗減衰量測定モード時のプロセススピードv(msr)を、
v(msr)=(D3/D4)×v(prc)
として制御を行ったが、予め複数のプロセススピードを用いて帯電後の時間に対する暗減衰量の関係を求め、テーブルとして保存しておくこともできる。このようにすることで、画像形成時のプロセススピードを複数有する画像形成装置において、制御回路14がプロセススピードを変更して画像形成するときにも、その都度、プロセススピードに合わせた暗減衰量測定モードを行う必要がなくなる。
第3の実施例においては、暗減衰量測定モードにおける装置のプロセススピードv(msr)を複数有し、表1に示すような複数の設定で測定を行った。なお、本実施例では、暗減衰量測定モードは初期回転動作時に行われた。
さらに、表1には、これらの設定で暗減衰量測定モードを行った際の時間間隔ΔT(msr)と、求められたVdcL0の値を示している。図16は、時間間隔ΔT(msr)に対するVdcL0の関係をグラフとして示したものである。これは、印字行程(画像形成行程、作像行程)における帯電部通過後の目標ドラム電位の−500Vが、時間経過とともに減衰している様子を示したものと同等である。このようにして求められた離散的な値を近似補完する(図16点線を参照)ことによって、制御回路14は各時間間隔に対する暗減衰量を測定することができる。
このようにして求められた時間間隔に対する暗減衰量の関係は、制御回路14によって記憶される。この結果に基づいて、適正なカブリ取り電位になるように、制御回路14により現像DCバイアスが設定される。
ここで、本実施例における暗減衰量測定モードを用いて、現像DCバイアスを求めた実例を挙げる。
本実施例の画像形成装置は、厚紙やOHP用紙に画像を形成する際には、転写部や定着部での性能を確保するために、制御部がプロセススピードを低下させて画像形成を行っている。プロセススピードが変更された際には、帯電部で形成された電位が現像部に到達するまでの時間も長くなるため、通常のプロセススピードでの画像形成時よりも暗減衰の度合いが大きくなる。そこで、制御部は各プロセススピードに対して暗減衰量を測定し、適切な現像DCバイアスを印加することが必要になる。
本実施例の画像形成装置では、プロセススピードが150mm/sである半速画像形成モードと、100mm/sである1/3速画像形成モードと、を有している。なお、半速画像形成時、1/3速画像形成時においても、帯電部で形成する目標電位は−500Vである。
ここで、半速画像形成時、1/3速画像形成時における暗減衰量の求め方と、現像DCバイアスの設定について詳細に述べる。
前述の通り、感光体ドラム1の断面における、第二の接触帯電ローラ2’の位置から現像手段4の位置までの円弧の長さD4は30mmであるから、半速でのΔT(prc1/2)は、
ΔT(prc1/2)=D4/v(prc1/2)=0.2(sec)
である。
そこで、図16から、ΔT(prc1/2)=0.2(sec)に相当する電位を読み取ると、−423Vである。これは、半速画像形成時において帯電部通過直後に−500Vまで上昇した感光体ドラム1の電位が、現像部に到達する時点では、−423Vまで低下していることを示している。
本実施例においては、適正なカブリ取り電位は150Vであるため、制御回路14により現像DCバイアスが−273Vと設定される。
半速画像形成時と同様に算出すると、D4は30mmであるから、1/3速でのΔT(prc1/3)は、
ΔT(prc1/3)=D4/v(prc1/3)=0.3(sec)
である。
そこで、図16から、ΔT(prc1/3)=0.3(sec)に相当する電位を読み取ると、−389Vである。これは、半速画像形成時において帯電部通過直後に−500Vまで上昇した感光体ドラム1の電位が、現像部に到達する時点では、−389Vまで低下していることを示している。
本実施例においては、適正なカブリ取り電位は150Vであるため、制御回路14により現像DCバイアスが−239Vと設定される。
実際、本実施例における制御を用いて、制御回路14が暗減衰量を測定しながら画像形成装置を使用したところ、半速や1/3速で十分な使用耐久枚数の画像出力を行っても、カブリやキャリア付着は発生せず、良好な画像が得られた。
図17は第3の実施例における、上記の暗減衰量測定モードをフローチャートで表現したものである。
まず、制御回路14が暗減衰量検知モードを行うと判断した際には、感光体ドラム1の回転速度が制御回路14によって所定のプロセススピードv(msr)に変更される(S21)。次いで、変更された速度v(msr)において、感光体ドラム1上のある点が第一の帯電ローラ2から第二の帯電ローラ2’に到達するまで走行時間ΔTが制御回路14によって算出され、制御回路14によって記憶される(S22)。
一方で、第一の帯電ローラ2および第二の帯電ローラ2’に印加する電圧を以下のようにする。即ち、制御回路14は第一の帯電ローラ2に、任意のVdの目標電位と同等の帯電DCバイアスVdcUと、放電する条件のピーク間電圧である帯電ACバイアスVacUとを印加し、第二の帯電ローラ2’に、帯電DCバイアスVdcLと、放電する条件のピーク間電圧である帯電ACバイアスVacLとを印加する(S23)。この条件において、制御回路14は第二の帯電ローラ2’に流れるDC電流値IdcLを測定回路13’で測定する(S24)。
測定された電流値IdcLが0でないときには(S24のNO)、制御回路14は第二の帯電ローラ2’に印加する帯電DCバイアスVdcLを変動させて(S25)再びDC電流値を測定し、測定された電流値IdcLが0になるまで繰り返す。
測定された電流値IdcLが0となったときには(S24のYES)、このときの第二の帯電ローラ2’の帯電DCバイアスVdcL0が制御回路14により記憶され(S26)、さらに、記憶された走行時間ΔTとの関係が記憶される(S27)。
ここで、走行時間ΔTは、暗減衰量測定モードにおいて感光体ドラム1が第一の帯電ローラ2から第二の帯電ローラ2’まで移動するまでの時間である。
また、上記のように、暗減衰量測定モードにおいて、第一の帯電ローラ2には画像形成中のVdの目標電位と同等の帯電DCバイアスが印加され、感光体ドラム1は目標電位Vdに帯電される。そして、走行時間ΔTが経過した後の感光体ドラム1の電位が、第二の帯電ローラ2’から読み取られる。したがって、本件の制御を行うことにより、任意の時間ΔTと、画像形成中のVd電位がΔTの間に暗減衰した電位(即ち、暗減衰量)が求められる。
暗減衰補正を行うために必要な暗減衰時間に対するVdcL0が測定されていない場合には(S28のNO)、制御回路14は異なるプロセススピードにおいて同様の制御を再び行う(S21〜S27)。必要な暗減衰時間に対するVdcL0が測定された場合には(S28のYES)、その結果に基づいて制御回路14が各画像形成条件を変更し(S29)、暗減衰量測定モードを終了する。
画像形成装置においては、紙種や環境に応じて複数のプロセススピードを有する場合が多いため、このような装置の場合には、制御回路14により各プロセススピードに対する暗減衰量が測定されることが好ましい。また、その際には、各時間間隔に対する暗減衰量の関係が、制御回路14により記憶され、各プロセススピードに対してそれぞれ適切な現像DCバイアスが設定される。
本実施例では、暗減衰量測定モード時のプロセススピードとして、複数の離散的な値を用いたが、プロセススピードを連続的に変動させて、同様に各時間間隔に対する暗減衰量を測定することも可能である。
上記の暗減衰量測定モードの実行は、実施例のプリンタのように初期回転動作時に限られるものではなく、他の非画像形成時、即ち、印字準備回転動作時や後回転動作時、紙間行程時とすることもできるし、複数の行程に実行させるようにすることもできる。
また、暗減衰量測定モードが頻繁に行われると、制御時間の増大による生産性の低下の原因となる。そこで、所定の画像形成枚数に達した際や、環境センサなどで急激な使用環境の変化を制御回路が検知した際など、暗減衰量が大きく変化すると考えられるタイミングのみ、上記の暗減衰量測定モードを実行させることもできる。
以上説明したように、本実施例の制御を行うことにより、以下のような効果が得られる。
上流側の帯電ローラによって感光体ドラム上に形成された電位が、下流側の帯電ローラに到達するまでの暗減衰量を、下流側の帯電ローラに流れるDC電流値に基づいて制御回路が検知することによって、電位センサを用いなくても暗減衰量の測定を行うことができる。
また、暗減衰量測定モード時に感光体ドラムのプロセススピードを変更することにより、通常の画像形成時における帯電部〜現像部までの時間と同等の暗減衰量を測定することができるため、現像部における正確な電位検知を行うことができる。
したがって、電位センサを用いない簡易な構成であっても、複数の帯電ローラを用いて制御回路が正確な暗減衰量の測定を行うことができ、カブリ取り電位の異常によるカブリ、キャリア付着などの発生を軽減することができる。尚、上述のような複数の帯電ローラの構成だけでなく、感光体ドラムの回転方向の上流側は、たとえばコロナ帯電器であってもかまわない。つまり、感光体ドラムの回転方向の下流に位置する帯電手段として、感光体と接触する帯電部材(例えば、帯電ローラ)を用いればよい本件制御を適応可能である。