JP2016218155A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】感光体に光を照射して転写メモリによるゴーストを抑制する構成において、省スペース化などの利点を損なうことなく、感光体を必要以上に露光してしまうことを抑制することのできる画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置100は、電源D3から帯電部材2に電圧を印加した時に帯電部材2に流れる直流電流を検知する検知部23と、転写体10に所定の試験トナー像を形成する試験トナー像形成手段(上流側の画像形成部)と、調整部110と、を有する構成とされる。調整部110は、転写体10に担持されて転写位置T1へと搬送された試験トナー像と、転写電流が供給された状態で接触した感光体1上の領域を、帯電部材2により帯電させる時の検知部23の検知結果に基づいて、前露光装置6による感光体1の露光量を調整する。【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式の画像形成装置では、感光体上トナー像が形成された位置に残留電荷による電位差が発生し、特にハーフトーンなどの画像で電位差の影響が画像の濃度差として現れる「ゴースト」と呼ばれる現象がある。ゴーストの種類としては、今回形成される画像における前回形成された画像に対応する位置が、周囲より濃くなるポジゴーストと、逆に周囲より薄くなるネガゴーストとがある。
また、例えば、複数の感光体から中間転写体に順次重ね合わせるようにしてトナー像を転写するタンデム型の画像形成装置では、ゴーストの種類として、上記の他に、次のようなものがある。つまり、上流側の転写部で中間転写体に転写されたトナーによって、下流側の転写部で感光体に対して電位差が生成されてしまう「転写メモリ」と呼ばれる現象があり、この転写メモリがゴーストの原因となる。転写メモリによるゴーストは、上流側の複数の転写部で複数色のトナーが重畳された多次色トナー像が下流側の感光体に電位差を生成させやすいことから、「多次色ゴースト」とも呼ばれる。
多次色ゴーストの原因となる感光体上の電位差である転写メモリは、上流側の転写部で中間転写体に転写されたトナーの載り量に依存し、多ければ多いほど悪化する傾向がある。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する画像形成部が設けられている場合に、上流側の画像形成部で中間転写体上にレッドのベタ画像が形成された後のシアンのハーフトーン部などで特に濃度差として顕著に現れる。
ここで、ゴーストの原因となる感光体上の電位差を除去する方法としては、次のものが知られている。
まず、転写部を通過した感光体の表面に光を照射して除電を行う方法が知られている(特許文献1)。また、転写部を通過した感光体に接して配置された電極によって、感光体の帯電電位と同極性の電圧を付与することにより、残像を除去する方法が知られている(特許文献2)。また、感光体の表面電位差又はトナー付着量差の少なくとも1つを計測してハーフトーン画像中でのゴーストの発生の有無を検知し、検知結果に基づいて補正手段に作像条件を補正する方法が知られている(特許文献3)。
特許第3313219号公報 特開平5−173460号公報 特開2008−122440号公報
しかしながら、特許文献2のような方法では、感光体に接触した電極を用いるため、この電極の部分に、感光体上のクリーニングしきなかったトナーが付着し、電位ムラが生じる可能性がある。
また、特許文献3のような方法では、表面電位差を検出する電位センサ又は感光体上のトナー付着量の検出を行うフォトセンサを用いるため、そのためのスペースやコストが必要となる。
一方、特許文献1のような光の照射により感光体を除電する方法は、非接触であり、また光除電器(前露光装置)の構成も比較的コンパクトかつ低コストである。しかしながら、光の照射により除電を行う場合、必要以上の光の照射を繰り返すことにより、感光体の光劣化を促進し、感光体の寿命を縮めてしまうという課題がある。
したがって、本発明の目的は、感光体に光を照射して転写メモリによるゴーストを抑制する構成において、省スペース化などの利点を損なうことなく、感光体を必要以上に露光してしまうことを抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転可能な感光体と、帯電位置で前記感光体を帯電させる帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する電源と、前記帯電部材により帯電させられた前記感光体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、転写位置で前記感光体からトナー像が転写される移動可能な転写体と、前記感光体と前記転写体との間に前記転写のための転写電流を供給する供給手段と、前記感光体の回転方向において前記転写位置より下流かつ前記帯電位置より上流で前記感光体を露光する前露光装置と、を有し、前記転写体に担持されて前記転写位置へと搬送されるトナー像に重ね合わせるようにして前記感光体から前記転写体へトナー像を転写することのできる画像形成装置において、前記電源から前記帯電部材に電圧を印加した時に前記帯電部材に流れる直流電流を検知する検知部と、前記転写体に所定の試験トナー像を形成する試験トナー像形成手段と、前記転写体に担持されて前記転写位置へと搬送された前記試験トナー像と、前記転写電流が供給された状態で接触した前記感光体上の領域を、前記帯電部材により帯電させる時の前記検知部の検知結果に基づいて、前記前露光装置による前記感光体の露光量を調整する調整部と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、感光体に光を照射して転写メモリによるゴーストを抑制する構成において、省スペース化などの利点を損なうことなく、感光体を必要以上に露光してしまうことを抑制することができる。
画像形成装置の概略断面図である。 画像形成部の模式図である。 前露光装置の模式図である。 帯電部通過前の感光体の表面電位の説明図である。 画像形成装置の要部の制御態様を示すブロック図である。 前露光量調整制御のフローチャート図である。 帯電部通過前の感光体の表面電位とゴーストのレベルとの相関を示すグラフ図である。 帯電電流と帯電部通過前の感光体の表面電位との相関を示すグラフ図である。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像の形成が可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のレーザービームプリンターである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として、第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKを有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKは、後述する中間転写体10の回転方向に沿ってこの順番で直線状に並べて配置されており、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する。
なお、各画像形成部PY、PM、PC、PKに対応して設けられた同様の機能、構成を有する要素について、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。また、各色用の要素を、語頭にY、M、C、Kを付して区別することがある。
図2は、代表して一つの画像形成部Pをより詳しく示す模式図である。画像形成部Pは、回転可能なドラム型(円筒形)の電子写真感光体(感光ドラム)1を有する。感光体1の周囲には、次の各機器が順に配置されている。まず、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2が配置されている。次に、像露光手段としての像露光装置(レーザースキャナー)3が配置されている。次に、現像手段としての現像装置4が配置されている。次に、1次転写手段としてのローラ型の1次転写部材である1次転写ローラ5が配置されている。次に、前露光装置(光除電器)6が配置されている。次に、クリーニング手段としてのクリーニング装置7が配置されている。
被帯電体である感光体1は、導電性支持体に有機物質の感光層、表面保護層が順次積層された有機感光体である。表面保護層にはフッ素樹脂微粒子が含有されている。本実施例の感光体1は、導電性支持体として肉厚1mmのアルミニウムを使用し、この上に感光層と表面保護層を積層することで、外径が30mmとされている。また、感光体1は、駆動手段としてのモータの駆動力を得て回転軸を中心に図示矢印R1方向に所定の周速度で回転駆動される。
帯電回転体である帯電ローラ2は、感光体1に接触して配置されている。帯電ローラ2は、軸部となる導電性芯金21が基体として使用され、その上に弾性層22が設けられた構造を有している。導電性芯金21は、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料を用いることができ、本実施例ではアルミニウムを用いている。なお、導電性を失わない範囲でこの導電性芯金21に防錆や耐傷性付与のためにメッキ処理を施してもよい。弾性層22は、感光体1への加圧時の撓みを考慮して、長手方向中央部が太く、長手方向両端部が細くなるように、所謂、クラウン形状となるように研磨処理が施されている。これは、帯電ローラ2の長手方向両端部が加圧機構により感光体1に向けて所定の加圧力を受ける構造となっているからである。つまり、帯電ローラ2の長手方向中央部の感光体1への当接圧が両端部に比べて小さくなる傾向があるため、これを抑制するためである。また、弾性層22は、弾性材料であるゴム(EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム))に導電剤であるカーボンブラックを分散させることで、体積抵抗率が1010Ωcm未満になるように電気抵抗が調整され、導電性を有している。なお、導電剤としては、グラファイト、導電性金属酸化物などの電子導電系のものや、アルカリ金属塩などのイオン導電系のものを使用しても構わない。また、弾性材料としては、天然ゴム、SBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、IR、BR、NBR及びCRなどの合成ゴムや、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂を使用しても構わない。本実施例の帯電ローラ2は、導電性芯金21として直径が8mmのものを使用し、弾性層22に導電剤を添加することで体積抵抗率が1×106Ωcmとなるように調整され、外径が14mmとなっている。また、本実施例の帯電ローラ2は、感光体1に向けて所定の当接圧となるように加圧されている。そして、この帯電ローラ2は、感光体1の回転に伴い従動して回転する。なお、帯電ローラ2は、モータやギアを用いて駆動してもよい。
帯電ローラ2には、その芯金21に、帯電バイアス印加手段としての帯電電源(高圧電源)D3が接続されている。また、本実施例では帯電電源D3と帯電ローラ2との間に、帯電電源D3が帯電ローラ2に電圧を印加した時に帯電ローラ2に流れる電流を検知する検知部としての電流計(電流検知回路)23が接続されている。本実施例では、帯電電源D3は、帯電バイアスとして、直流電圧と交流電圧とを重畳した振動電圧を帯電ローラ2に印加する。本実施例では、帯電バイアスは、−600Vの直流電圧と、ピーク間電圧が1700Vの交流電圧とが重畳された振動電圧である。また、本実施例では、電流計23は、特に直流電流成分(以下、単に「帯電電流」ともいう。)を、時間分解して検知可能(すなわち、時間軸に対する直流電流成分を検出可能)なものである。ここで時間の分解能は最低でも5msec、特に1msec以下であることが望ましい。
前露光装置6は、感光体1に光を照射する照射手段(光除電手段)であり、感光体1上の電荷の少なくとも一部を除電する除電手段の一例である。図3に示すように、前露光装置6は、感光体1の長手方向に沿って感光体1に対向して配置された導光部材であるライトガイド61と、ライトガイド61の長手方向の端部に配置された光源としてのLEDランプ62と、を有する。この前露光装置6は、LEDランプ62から光を照射し、ライトガイド61の側面に反射させた光を感光体1に照射(以下「前露光」ともいう。)することにより、感光体1の表面電位の少なくとも一部を除電する。ライトガイド61には、透光率の優れた樹脂(アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレンなど)又はガラスなどが用いられる。また、本実施例では、LEDランプ62は、ライトガイド61の長手方向の片側端面に対向する位置に1個設けているが、光量が不足する場合などは、ライトガイド61の両端面に対向する位置に1個ずつ計2つ設けてもよい。後述するように、この前露光装置6による感光体1の露光量は変更することが可能となっている。ここで、前露光装置6による感光体1の露光量は、感光体1の表面(単位面積あたり)に照射される単位時間あたりの光量と定義される。
また、画像形成装置100は、全ての画像形成部Pの感光体1と対向するように、無端状のベルトで構成された中間転写体(中間転写ベルト)10を有する。中間転写体10は、感光体1からトナー像が転写される移動可能な転写体の一例である。中間転写体10は、複数の張架ローラ(支持ローラ)としての駆動ローラ11、テンションローラ12、2次転写対向ローラ13に張架されている。本実施例では、中間転写体10は、ポリイミド系樹脂で形成され、カーボンブラックなどの帯電防止剤を適当量含有させて電気抵抗が調整されている。中間転写体10は、駆動ローラ11に駆動が伝達されることで、図中矢印R2方向に所定の周速度で循環移動(回転)させられる。
中間転写体10の内周面側において、各感光体1Y、1M、1C、1Kに対応して、上述の各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kが配置されている。1次転写ローラ5は、感光体と転写体との間に転写のための転写電流を供給する供給手段の一例である。1次転写ローラ5は、中間転写体10を介して感光体1に向けて付勢(押圧)される。これにより、1次転写ローラ5は、感光体1との間で中間転写体10を挟み込むようにして、感光体1と中間転写体10との接触部である1次転写部(1次転写ニップ)T1を形成する。1次転写ローラ5には、1次転写バイアス印加手段としての1次転写電源D1が接続されている。1次転写電源D1は、1次転写ローラ5に、1次転写バイアスとして現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性の直流電圧を印加する。本実施例では、1次転写時に1次転写バイアスを定電圧制御する定電圧方式を採用している。
また、中間転写体10の外周面側において、2次転写対向ローラ13と対向する位置に、2次転写手段としてのローラ型の2次転写部材である2次転写ローラ14が配置されている。2次転写ローラ14は、中間転写体10を介して2次転写対向ローラ13に向けて付勢(押圧)される。これにより、2次転写ローラ14は、2次転写対向ローラ13との間で中間転写体10を挟み込むようにして、中間転写体10と2次転写ローラ14との接触部である2次転写部(2次転写ニップ)T2を形成する。2次転写ローラ14には、2次転写バイアス印加手段としての2次転写電源D2が接続されている。2次転写電源D2は、2次転写ローラ14に、2次転写バイアスとしてトナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧を印加する。
また、中間転写体10の外周面側において、テンションローラ12と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としての中間転写体クリーニング装置19が配置されている。
さらに、画像形成装置100には、記録用紙などの記録材Sを2次転写部T2へと供給する給搬送装置、トナー像を記録材Sに定着させる定着装置15などが設けられている。
画像形成時には、回転する感光体1の表面は、帯電バイアスが印加された帯電ローラ2により所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に略一様に帯電させられる。感光体1の回転方向において、感光体1上の帯電ローラ2により帯電させられる位置が帯電位置(帯電部)aである。なお、感光体1の回転方向において、感光体1と帯電ローラ2との接触部の上流側と下流側には、感光体1と帯電ローラ2との間の微小な空隙が形成される。そして、帯電ローラ2は、この上流側及び下流側の空隙のうち少なくとも一方で発生する放電により感光体1の表面を帯電処理する。しかし、ここでは、便宜的に感光体1と帯電ローラ2との接触部が帯電位置(帯電部)aであるものと擬制して説明することがある。
帯電させられた感光体1の表面は、像露光装置3によって画像情報に基づくレーザー光Lで像露光(走査露光)され、静電潜像(静電像)が形成される。感光体1上に形成された静電潜像は、現像装置4により現像剤としてのトナーでトナー像として現像(可視化)される。現像装置4は、トナーを担持して感光体1との対向部に搬送する現像剤担持体としての現像ローラ41を有する。現像時に、現像ローラ41には、現像バイアス印加手段としての現像電源D4から、現像バイアスとして直流電圧と交流電圧とが重畳された振動電圧が印加される。本実施例では、イメージ部露光と反転現像とにより、トナー像が形成される。つまり、略一様に帯電処理された後に露光されることによって電位の絶対値が低下した感光体1上の露光部に、感光体1の帯電極性と同極性に帯電したトナーが付着する。本実施例では、露光装置3と現像装置4とによって、帯電部材により帯電させられた感光体にトナー像を形成するトナー像形成手段が構成される。
感光体1上に形成されたトナー像は、1次転写部T1において、1次転写バイアスが印加された1次転写ローラによって、中間転写体10上に転写(1次転写)される。感光体1の回転方向において、感光体1と中間転写体10とが接触し、感光体1から中間転写体10にトナー像が転写される位置が1次転写位置(1次転写部)T1である。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光体1に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が各1次転写部T1において重ね合わせるようにして中間転写体10に転写される。中間転写体10上に形成されたトナー像は、2次転写部T2において、2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ14によって、記録材S上に転写(2次転写)される。記録材Sは、収納部であるカセット18から送り出されて、搬送ローラ対17によって搬送され、レジストローラ対16によって中間転写体10上のトナー像と同期がとられて2次転写部T2に搬送されてくる。
トナー像が転写された記録材Sは、定着装置15において加熱及び加圧される。これにより、記録材Sにトナー像が定着される。その後、記録材Sは機外へと排出されて、一連の画像形成プロセスが終了する。
また、1次転写工程後に感光体1上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、クリーニング装置7が備えたクリーニングブレード71により感光体1上から除去されて、回収トナー容器72に回収される。感光体1の回転方向において、感光体1上のクリーニングブレード71が当接する位置がクリーニング位置(クリーニング部)bである。なお、2次転写工程後に中間転写体10上に残留したトナー(2次転写残トナー)は、中間転写体クリーニング装置19によって除去されて回収される。
また、1次転写工程後に感光体1上に残留する電荷(残留電荷)は、前露光装置6によってその少なくとも一部が除去される。感光体1の回転方向において、感光体1上の前露光装置6により光が照射される位置が前露光位置(前露光部)cである。本実施例では、前露光装置6は、感光体1の回転方向において、1次転写部T1より下流かつ帯電部a(より詳細にはクリーニング位置b)より上流で感光体1を露光する。
2.転写メモリ
次に、転写メモリについて説明する。なお、ここでは、複数の画像形成部Pのそれぞれについて、中間転写体10の回転方向において相対的に上流側又は下流側に配置されたものであることを、単に「上流側」、「下流側」などと呼んで区別することがある。
感光体1には、像露光によって形成された静電潜像の電位に基づいて決まった量のトナーが電気的に付着することでトナー像が形成される。そして、そのトナー像が、1次転写部に供給される転写電流の作用により中間転写体10へ電気的に転写される。この際、転写工程後にも静電潜像が残留することで感光体1上に電位差が生じ、ゴーストが発生することがある。ここで、一の画像形成部Pで静電潜像の形成を行わない場合でも、その一の画像形成部Pより上流側の画像形成部Pで形成されたトナー像がその一の画像形成部Pの1次転写部T1を通過する際に、その一の画像形成部Pの感光体1上に電位差を生じさせ得る。これは、上流側の画像形成部Pで形成されたトナー像が下流側の画像形成部Pの1次転写部T1を通過する際に、トナーが有る部分(以下「トナー部」ともいう。)とトナーが無い部分(以下「非トナー部」ともいう。)とで、下流側の画像形成部Pの感光体1に1次転写ローラ5から流れ込む電流に差が生じるために発生する現象である。前述のように、この現象は「転写メモリ」と呼ばれ、多次色ゴーストを発生させる原因となる。
図4は、上流側の画像形成部Pからのトナー像が下流側の画像形成部Pの1次転写部T1を通過した後の、下流側の画像形成部Pの感光体1の表面電位を模式的に表したものである。図4中に線図で表す感光体1の表面電位は、上方が+側、下方が−側の電位である。
一般に、画像形成装置100の通常の使用においては多次色ゴーストが発生しないように、1次転写ローラ5から感光体1へ流れ込む電流の設計が行われる。しかし、中間転写体10に放電する電流が過剰に多い条件下で使用されたりした場合には、中間転写体10の表面の絶縁破壊が急速に進行して、中間転写体10の電気抵抗が予想以上に低下する可能性がある。中間転写体10の電気抵抗が低下すると、1次転写ローラ5から感光体1の表面に流れ込む電流が不足する。そのため、1次転写部T1を通過した後かつ帯電部aを通過する前(以下、単に「帯電部通過前」ともいう。)の感光体1の表面電位と、帯電ローラ2に印加される電圧との電位差(以下、単に「コントラスト」ともいう。)が維持できなくなる。その結果、トナー部と非トナー部とに生じる感光体1上の電位差を解消できず、転写メモリとなり、多次色ゴーストを引き起こすことがある。前露光装置6によって帯電部通過前の感光体1の電荷を除去することで、コントラストの低下分を補うことができる。しかし、前露光装置6による感光体1の露光量(以下「前露光量」ともいう。)を必要以上に大きくすると、帯電部aで感光体1に流れ込む電流が大きくなることによる感光体1の削れの促進、及び光を照射し続けることによる感度劣化の促進が引き起こされることがある。
一方、例えば帯電部通過前の感光体1の表面電位を検出する電位センサを設け、その検出結果に応じて前露光量を制御することが考えられるが、前述のように、スペースやコストの点で課題がある。
そこで、本実施例では、以下詳しく説明するように、帯電電流を検知して、前露光量を極力小さくしながら、感光体1を十分に除電できるようにする。
3.前露光量調整制御の原理
次に、転写メモリによる多次色ゴーストを抑制すると共に感光体1の劣化を抑制するための前露光量調整制御の原理について説明する。
まず、次のような実験を行った。YM画像形成部PY、PMで形成されたレッドベタ画像を、感光体1の帯電処理のみを行い静電潜像の形成を行っていないC画像形成部PCの1次転写部T1に送る。そして、このC画像形成部PCの感光体1における、1次転写部T1でレッドベタ画像と接触した領域(トナー部、レッドベタ画像部)の帯電部通過前の表面電位を、表面電位計によって測定する。次に、YM画像形成部PY、PMで画像形成を行わない場合の、C画像形成部PCの感光体1における非トナー部の帯電部通過前の表面電位を測定する。ここで、上記レッドベタ画像は、感光体1の長手方向(回転軸線方向)における画像形成領域(トナー像の形成が可能な領域)の全域にわたって形成した。本実施例では、特に言及しない場合、帯電電流検知用の試験画像は、感光体1の長手方向における画像形成領域の全域にわたって形成されたベタ画像であるものとする。
なお、上記表面電位計は、当該実験のために感光体1の回転方向において1次転写部T1より下流かつ帯電部aより上流に設けられたものであり、本実施例の画像形成装置100が表面電位計を用いた制御を行うということではない。また、上記表面電位計は、より詳細には感光体1の回転方向において前露光部cより下流かつ帯電部aより上流で感光体1の表面電位を測定できるように配置した。そして、上記各表面電位の測定は、所定の前露光量(初期設定値)で前露光装置6による前露光を行いながら行った。
例えば、C画像形成部PCの感光体1を帯電ローラ2により−600Vに略均一に帯電させた場合、該感光体1におけるレッドベタ画像部の帯電部通過前の表面電位は−200V、非トナー部の帯電部通過前の表面電位は−150Vとなった。このように、上流側のYM画像形成部PY、PMで形成された画像に起因して、下流側のC画像形成部PCでゴーストの要因となる電位差が生じることがわかる。このときのC画像形成部PCにおいて1次転写ローラ5から感光体1へ流れる感光体1の長手方向の全域の総電流(以下「転写電流」ともいう。)は25μA程度である。この場合、上記電位差が生じていても、次回の画像上ではゴーストは発生しなかった。これは帯電部通過前の感光体1の表面電位と、帯電ローラ2に印加される電圧とに十分なコントラスが保たれているためと考えられる(図4(b))。
同様の実験を、C画像形成部PCにおいて1次転写ローラ5から感光体1へ流れる総電流(転写電流)を15μA程度に調整して行った。この場合、C画像形成部PCの感光体1におけるレッドベタ画像部の帯電部通過前の表面電位は−400V、非トナー部の帯電部通過前の表面電位は−350Vとなった。上流側のYM画像形成部PY、PMからC画像形成部PCの1次転写部T1に送られてくる画像は前述の実験と同様であるため、感光体1におけるトナー部と非トナー部とでの帯電部通過前の表面電位の差は同じ50Vになっている。しかし、次回の画像でゴーストが発生した。これは、帯電部通過前の感光体1の表面電位と、帯電ローラ2に印加される電圧とに十分なコントラスが保たれていないためと考えられる(図4(a))。
次に、帯電電流(帯電DC電流)とゴーストとの関係について説明する。帯電ローラ2によって帯電電位Vdに略均一に帯電させられた感光体1の領域が1次転写部T1を通過すると、転写手段からの放電を受け、帯電部通過前の表面電位Vtになる。上述の実験では、転写電流25μAのときVt1=−200V、転写電流15μAのときVt2=−400Vである。この電位を維持したまま、感光体1を再度帯電ローラ2によって帯電電位Vdに略均一に帯電させるときのコントラストΔVは、ΔV=|Vd−Vt|となる。
帯電電流Idcの値は、下記式1で表される。下記式1において、ΔV[V](上述の実験では、ΔV=|Vd−Vti|、i=1,2)は帯電処理時のコントラストである。また、下記式1において、L[m]は感光体1の長手方向の長さ、v[m/s]は感光体1の周速度、d[m]は感光体1の膜厚、εは比誘電率、ε0を真空の誘電率である。
Idc=ε×ε0×L×v×ΔV/d ・・・(式1)
ここで、感光体1の長手方向の長さL、周速度vは予め決まっている値であり、感光体1の膜厚dは例えば帯電時間と走行時間からほぼ正確に値を算出できる。ここでは、上記式1により、転写電流25μAの場合の帯電電流Idc(1)と、転写電流15μAの場合の帯電電流Idc(2)との関係は、Idc(1)=2×Idc(2)と表すことができる。
このように、転写電流が変化した際の、感光体1におけるレッドベタ画像部の帯電部通過前の表面電位の変動分を、帯電電流を検知することで予測することが可能である。帯電電流IdcとコントラストΔVとには比例関係がある。そのため、帯電電流Idcが減少すればコントラストΔVも減少するが、感光体1の帯電電位Vdは一定とされるため、帯電部通過前の表面電位Vtiが減少する(絶対値が大きくなる)。そして、帯電部通過前の表面電位Vtiの絶対値がある一定の電位を超えると、最低必要なコントラストΔVを維持できなくなり、多次色ゴーストが発生する(図4(a)参照)。ここでは、このゴーストが発生する一定の電位を、ゴースト発生閾値Vgとする。
そこで、本実施例では、帯電電流の検知結果を前露光装置6による前露光量にフィードバックすることで、感光体1の帯電部通過前の表面電位Vtiを制御する。これにより、必要なコントラストΔVを維持することで、必要最小限の前露光量でゴーストを抑制することが可能となる。
なお、本実施例では、1次転写部T1で試験トナー像と接触した感光体1の領域(トナー部)を帯電処理している時(トナー部が帯電部aを通過している時)に電流計23で検知された帯電電流に基づいて、前述の関係式から帯電部通過前の表面電位を求める。そして、その帯電部通過前の表面電位の絶対値がゴースト発生閾値Vgの絶対値を超えた場合に前露光量を大きくするように調整する。ただし、これに限定されるものではなく、トナー部を帯電処理している時に電流計23で検知された帯電電流の絶対値が予め設定された所定の閾値より小さくなった場合に、前露光量を大きくするように調整すればよい。
また、上述のように転写電流が変化すると、帯電電流が変化する。そのため、1次転写バイアス(電圧の目標値)の設定が可変とされている場合には、その1次転写バイアスの設定に応じて上記閾値を複数設定しておくことができる。1次転写バイアスは、環境あるいは中間転写体や1次転写ローラなどの転写手段の使用状態(使用初期からの使用量に関する情報など)に応じて変更されることがある。また、前述の関係式からわかるように、感光体1の帯電電位が変化すると、帯電電流が変化する。そのため、感光体1の帯電電位の設定が可変とされている場合には、その帯電電位の設定に応じて上記閾値を複数設定しておくことができる。
また、前露光量を大きくする程度は、転写メモリによる多次色ゴーストを十分に抑制できるように適宜設定することができる。また、調整前の前露光量が0(すなわち前露光装置6がOFF)であり、調整後に前露光量を0より大きくする(すなわち前露光装置をON)としてもよい。また、本実施例では、中間転写体10の電気抵抗が許容以上に低下した際に発生しやすくなる転写メモリによる多次色ゴーストを抑制するために、上記閾値を境にして前露光量を相対的に小さい値から相対的に大きい値に変更する。しかし、これに限定されるものではなく、段階的に絶対値が大きくなる複数の閾値を設けて、検知電流値が各閾値よりも小さくなるごとに前露光量を段階的に大きくするようにしてもよい。また、予め検知電流値に対する所望の前露光量を調べてテーブルなどとして記憶しておくことで、検知電流値に応じて前露光量を連続的に変化させるようにしてもよい。
4.制御態様
図5は、本実施例の画像形成装置100の要部の概略制御態様を示すブロック図である。画像形成装置100には、画像形成装置100の各部を統括的に制御する制御手段としての制御部110が設けられている。制御部110は、演算処理を行う中心的素子であるCPU11、記憶手段としての記憶素子(メモリ)であるROM112、RAM113などを有して構成される。RAM113には、センサの検出結果、演算結果などが格納され、ROM112には制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。本実施例との関係で言えば、制御部110には、電流計(電流検知回路)23、前露光量制御回路120などが接続されている。そして、制御部110は、電流計23による帯電電流の検知結果に基づいて、前露光量制御回路120を制御して前露光装置6の露光量を調整する制御(前露光量調整制御)を行う。本実施例では、制御部110は、感光体1の帯電部通過前の表面電位を算出する算出部(転写メモリによる多次色ゴーストの検出部)の機能を有しており、露光量調整制御を実行して前露光量を調整する調整部を構成する。
本実施例では、制御部110が前露光量制御回路120に前露光量を設定することで、前露光装置6が所定の光量で発光する。前露光量制御回路120は、PWM制御により、前露光装置6に供給する電流(前露光電流、駆動電流)を、例えば0mA(最小)〜20mA(最大)の範囲で制御可能である。前露光電流と前露光量とには略線形の関係があり、また前露光電流と前露光デューティ(PWMデューティ)とには略線形の関係がある。つまり、前露光デューティ0%時で前露光電流0mA、前露光デューティ100%で前露光電流20mAとなる。
ここで、画像形成装置100は、一の開始指示により開始される、単一又は複数の記録材Sに画像を形成して出力する一連の画像出力動作である「ジョブ」を行う。ジョブは、一般に、画像形成工程(印字工程)、前回転工程、複数の記録材Sに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に記録材Sに形成して出力する画像の静電潜像の形成、トナー像の形成、トナー像の転写を行う期間であり、画像形成時とはこの期間のことをいう。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程は、複数の記録材Sに連続して画像を形成する連続画像形成を行う際の記録材Sと記録材Sとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置100の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程時などが含まれる。
本実施例では、中間転写体10の使用量に関する情報として画像形成枚数が所定の閾値以上となるごとに、ジョブの後回転工程において前露光量調整制御を行う。ただし、これに限定されるものではなく、前露光量調整制御は、非画像形成時の任意のタイミングで行うことができる。
5.前露光量調整制御
次に、本実施例における前露光量調整制御(ゴースト検知動作)について説明する。図6は、本実施例における前露光量調整制御の手順を示すフローチャート図である。ここでは、一例として、C画像形成部PCにおける前露光量調整制御の手順について説明する。
CPU111は、ジョブ終了時の後回転工程が開始されると(S1)、前回の前露光量調整制御から100枚(例えばA4サイズ換算値)以上画像形成が行われたか否かを判断する(S2)。
S2にて100枚以上と判断した場合、CPU111は、試験トナー像を形成して帯電電流を検知する動作を開始させる(S3)。ここでは、試験トナー像としてYM画像形成部PY、PMにより中間転写体10にレッドベタ画像を形成し、このレッドベタ画像をC画像形成部PCの1次転写部T1へと送り込む。そして、C画像形成部PCにおいて、感光体1上の1次転写部T1でレッドベタ画像と接触した領域(トナー部)を帯電処理している時(トナー部が帯電部aを通過している時)の帯電電流Idc(n)を電流計23によって検知する。このとき、前露光装置7は、現在の前露光量の設定で駆動される。
次に、CPU111は、電流計23によって検知されたIdc(n)に基づいて前述の関係式から帯電部通過前の表面電位Vtiを算出し、RAM113に記憶させる(S4)。
次に、CPU111は、算出された帯電部通過前の表面電位Vtiの絶対値と、予めROM112に記憶されたゴースト発生閾値Vgの絶対値とを比較する(S5)。そして、CPU111は、|Vti|>|Vg|と判断した場合、前露光装置6の前露光量に対してフィードバックを指示する(S6)。具体的には、本実施例では、調整前よりも前露光量を大きくするように、前露光制御回路120における前露光装置6の駆動電流の設定を大きくする。その後、所定の後回転工程の動作が終了したらジョブを終了させる(S7)。
一方、S2にて100未満と判断した場合、CPU111は、試験トナー像の形成動作や帯電電流の検知動作を行わせず、所定の後回転工程の動作が終了したらジョブを終了させる(S7)。また、S5にて|Vti|≦|Vg|と判断した場合、CPU111は、前露光量の調整を行わずに、所定の後回転工程の動作が終了したらジョブを終了させる(S7)。
なお、以上では、試験トナー像としてレッドベタ画像を形成しC画像形成部PCにおける前露光量を調整する場合を例に説明した。本実施例の画像形成装置100では、K画像形成部PKにおいても、C画像形成部PCと同様に多次色ゴーストが発しやすい。したがって、本実施例では、K画像形成部PCについても、上記C画像形成部PCの前露光量調整制御と同様にして前露光量調整制御を行う。この際、本実施例では、C画像形成部PCと同様に試験トナー像としてレッドベタ画像(C画像形成部PCの前露光量調整制御のために形成したものであっても、別途新たに形成したものであってもよい。)を用いる。しかし、これに限定されるものではなく、レッドベタ画像に限らず、グリーンベタ画像形成を用いてもよい。また、2次色画像と比較して感光体1の帯電部通過前の表面電位の減少(絶対値の増大)が軽微なためゴーストは発生し難いが、試験トナー像にイエローやマゼンタなどの単色画像を用いて、下流側の画像形成部Pで上記同様の帯電電流の検知を行ってもよい。つまり、本実施例の前露光量調整制御は、複数の感光体1のうち中間転写体10の回転方向において最上流の感光体1よりも下流側の感光体1に対応して設けられた前露光装置6による前露光量の調整に適用できる。
また、ベタ(特に多次色ベタ)画像が上流側の画像形成部Pで形成された場合に下流側の画像形成部Pで転写メモリによるゴーストが発生しやすいため、これを予測するために試験トナー像としてはベタ画像(最高濃度レベルのトナー像)が好ましい。ただし、試験トナー像のトナー量は、転写メモリによるゴーストを発生させる可能性がある所定量以上であればよく、所望によりハーフトーン画像であってもよい。
6.効果
図7は、C画像形成部PCの感光体1におけるトナー部(レッドベタ画像部)の帯電部通過前の表面電位と、ゴーストのレベルとの相関を示すグラフ図である。なお、前述と同様、この帯電部通過前の表面電位は、前露光装置4による前露光が行われた後の電位である。また、図8は、電流計23により検知された帯電電流と、帯電部通過前の感光体1の表面電位との相関を示すグラフ図である。
実験により導き出された図7、図8に示す関係から、帯電電流がある一定の閾値より小さくなることで、帯電部通過前の感光体1の表面電位Vtiがゴースト発生閾値Vgを超え、転写メモリによるゴーストが発生しやすくなることがわかる。これに対し、本実施例では、帯電電流を検知することで転写メモリによるゴーストの発生レベルを予測し、前露光装置6による前露光量へフィードバックする。具体的には、帯電電流の絶対値が所定の閾値より小さくなった場合(帯電電流に基づいて求められた帯電部通過前の表面電位が所定の閾値を超えた場合でもよい)に、前露光量を大きくするように調整する。これにより、転写メモリによるゴーストの発生を抑制することが可能となる。
このように、本実施例の画像形成装置100は、感光体1の回転方向において転写位置T1より下流かつ帯電位置aより上流で感光体1を露光する前露光装置6を有する。この画像形成装置100は、転写体10に担持されて転写位置T1へと搬送されるトナー像に重ね合わせるようにして感光体1から転写体10へトナー像を転写することができる。また、この画像形成装置100は、電源D3から帯電部材2に電圧を印加した時に帯電部材2に流れる直流電流を検知する検知部23と、転写体10に所定の試験トナー像を形成する試験トナー像形成手段と、を有する。そして、この画像形成装置100は、検知部23の検知結果に基づいて、前露光装置6による感光体1の露光量を調整する調整部110を有する。その検知部23の検知結果は、転写体10に担持されて転写位置T1へと搬送された試験トナー像と、転写電流が供給された状態で接触した感光体上の領域を、帯電部材2により帯電させる時の検知部23の検知結果である。特に、本実施例では、上記試験トナー像形成手段は、転写体10の移動方向において上記感光体1よりも上流に配置された、転写体10に転写されるトナー像が形成される別の感光体1を有して構成される。そして、試験トナー像は、この別の感光体1に形成され、別の感光体1から転写体10に転写されて、転写位置T1へと搬送される。また、本実施例では、調整部110は、検知部23により検知された電流が所定の閾値よりも小さい場合に、前露光装置6による感光体1の露光量を調整前よりも大きくするように調整する。
以上説明したように、本実施例では、上流側の画像形成部で中間転写体10に試験トナー像を形成し、下流側の画像形成部の感光体1におけるその試験トナー像と接触した領域(トナー部)が帯電部aを通過している時の帯電電流(帯電DC電流)を検知する。帯電部通過前の感光体1の表面電位と帯電ローラ2に印加される帯電バイアスの電位とのコントラストによって決まる帯電電流が小さい場合には、帯電時の電位収束性が低下し、ゴーストをもたらし得る電位差を均すことができず、ゴーストが発生することがある。そのため、検知された帯電電流の絶対値が所定の閾値より小さい場合、前露光量を大きくするように調整して、帯電部通過前の感光体1の表面電位の絶対値を小さくできるようにする。これにより、例えば感光体1に近接した場所に表面電位センサなどを設けることなく、省スペース化、低コスト化などの利点を損なわずに、必要十分に転写メモリによる多次色ゴーストなどのゴーストを抑制することが可能である。したがって、本実施例によれば、感光体1に光を照射して転写メモリによるゴーストを抑制する構成において、省スペース化などの利点を損なうことなく、感光体1を必要以上に露光してしまうことを抑制することができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、帯電部材が感光体に接触している場合について説明したが、これに限定されるものではない。転写メモリによる多次色ゴーストなどのゴーストの問題は、非接触や近接などの帯電方式に関わらない共通の課題である。したがって、帯電ローラなどの帯電部材は、被帯電体である感光体の表面に必ずしも接触している必要はなく、近接部での放電が可能であれば、例えば数10μmの空隙(間隙)を有して非接触に近接して配置されていてもよい。このように帯電部材が感光体に近接して配置され、その近接部(上述の実施例での帯電ローラと感光体との接触部の上流、下流の間隙に対応)での放電により感光体を帯電処理する構成においても、本発明を適用することができる。
また、上述の実施例では、帯電バイアスとして直流電圧と交流電圧とを重畳した振動電圧を用いるAC帯電方式を採用したが、これに限定されるものではない。転写メモリによる多次色ゴーストなどのゴーストの問題は、AC帯電方式よりも感光体の電位収束性の低い、直流電圧のみからなる帯電バイアスを用いるDC帯電方式において、より顕著に発生する傾向がある。そのため、本発明を適用することによって、より高い効果を発揮する。なお、DC帯電方式を採用した場合、感光体の膜厚が耐久で目減りすることで、放電開始電圧が低下する。一定の電圧を印加し続けた場合には、膜厚の減少に応じて表面電位が上昇するため感光体の膜厚に応じた印加電圧制御を行うことが望ましい。
また、上述の実施例では、タンデム型の画像形成装置を例として説明したが、本発明は所謂1ドラム型の画像形成にも適用できる。1ドラム型の画像形成装置は、一の感光体に対して複数の現像装置が設けられており、感光体に順次形成される各色成分の静電潜像を、現像装置を切り替えて用いることで順次現像する。そして、感光体に各色のトナー像が形成されるごとに、そのトナー像が1次転写部において感光体から中間転写体に順次重ね合わせるようにして1次転写される。中間転写体は、転写されたトナー像を担持して繰り返し1次転写部を通過する。そして、最終的に形成された多重トナー像が2次転写部で記録材に2次転写される。このような画像形成装置においても、2色目以降の1次転写工程に関して、上述の実施例の画像形成装置と同様に、転写メモリによる多次色ゴーストなどのゴーストの問題が生じ得る。したがって、このような画像形成装置においても、試験トナー像を中間転写体に形成し、この試験トナー像を再び1次転写部へと搬送することで、この試験トナー像と接触した感光体上の領域を帯電処理している時の帯電電流を検知することができる。そして、その帯電電流の検知結果に基づいて、上述の実施例と同様にして前露光装置による感光体の露光量を調整することができ、上述の実施例と同様の効果が得られる。この場合も、試験トナー像はベタ(特に多次色ベタ)画像であることが好ましい。つまり、この場合、前述の試験トナー像形成手段は、調整対象の前露光装置6によって前露光処理をうけるその感光体自体を含んで構成される。そして、この場合、試験トナー像は、該感光体に形成され、転写位置で該感光体から転写体に転写されて、転写位置へと再び搬送される。
1 感光体
2 帯電ローラ
3 像露光装置
5 1次転写ローラ
6 前露光装置
23 電流計

Claims (7)

  1. 回転可能な感光体と、
    帯電位置で前記感光体を帯電させる帯電部材と、
    前記帯電部材に電圧を印加する電源と、
    前記帯電部材により帯電させられた前記感光体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    転写位置で前記感光体からトナー像が転写される移動可能な転写体と、
    前記感光体と前記転写体との間に前記転写のための転写電流を供給する供給手段と、
    前記感光体の回転方向において前記転写位置より下流かつ前記帯電位置より上流で前記感光体を露光する前露光装置と、
    を有し、前記転写体に担持されて前記転写位置へと搬送されるトナー像に重ね合わせるようにして前記感光体から前記転写体へトナー像を転写することのできる画像形成装置において、
    前記電源から前記帯電部材に電圧を印加した時に前記帯電部材に流れる直流電流を検知する検知部と、
    前記転写体に所定の試験トナー像を形成する試験トナー像形成手段と、
    前記転写体に担持されて前記転写位置へと搬送された前記試験トナー像と、前記転写電流が供給された状態で接触した前記感光体上の領域を、前記帯電部材により帯電させる時の前記検知部の検知結果に基づいて、前記前露光装置による前記感光体の露光量を調整する調整部と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記試験トナー像形成手段は、前記転写体の移動方向において前記感光体よりも上流に配置された、前記転写体に転写されるトナー像が形成される別の感光体を有し、
    前記試験トナー像は、前記別の感光体に形成され、前記別の感光体から前記転写体に転写されて、前記転写位置へと搬送されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記試験トナー像形成手段は、複数の前記別の感光体を有し、
    前記試験トナー像は、複数の前記別の感光体に形成され、複数の前記別の感光体から前記転写体に重ね合わせるようにして転写されて、前記転写位置へと搬送されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記試験トナー像形成手段は、前記感光体を含んで構成され、
    前記試験トナー像は、前記感光体に形成され、前記転写位置で前記感光体から前記転写体に転写されて、前記転写位置へと再び搬送されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記調整部は、前記検知部により検知された電流が所定の閾値よりも小さい場合に、前記前露光装置による前記感光体の露光量を調整前よりも大きくするように調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記試験トナー像は、最高濃度レベルのトナー像であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記電源は、前記帯電部材に直流電圧のみを印加することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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