JP2017048905A - 自動変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動変速機のブレーキ装置を均一に冷却する。【解決手段】自動変速機は、回転側摩擦板21と固定側摩擦板22とを含むブレーキ装置(BR1)と、ブレーキ装置(BR1)を収容する変速機ケース10と、変速機ケース10の内部におけるブレーキ装置(BR1)の下方空間(W)に潤滑油を供給する潤滑油供給部40と、供給された潤滑油を回転側摩擦板21の回転に伴い掻き上げる撹拌手段(50)とを備える。【選択図】図6

Description

本発明は、自動変速機のブレーキ装置に潤滑油を供給する技術に関する。
自動変速機のブレーキ装置は、所定の回転要素に連係された回転可能な回転側摩擦板と、回転側摩擦板に対向配置された回転不能な固定側摩擦板とを有している。そして、これら両摩擦板の圧接に伴い回転側摩擦板の回転が停止され(締結状態)、圧接の解除に伴い回転側摩擦板の回転が許容される(解放状態)。このようなブレーキ装置では、例えば、解放状態から締結状態に切り替わるときに、摩擦板どうしの摺動による摩擦熱が発生する。特に、自動変速機の種類によっては、ブレーキ装置を故意にスリップ制御すること(不完全に締結した状態におくこと)があり、このようなスリップ制御が行われると、摩擦熱の発生量が大きくなるので、当該摩擦熱によるブレーキ装置の劣化が懸念される。
そこで、このような摩擦熱からブレーキ装置を保護するべく、下記特許文献1では、ブレーキ装置の下方から潤滑油を供給して、この潤滑油によってブレーキ装置を冷却することが提案されている。
特許第5498785号公報
しかしながら、上記特許文献1のように単にブレーキ装置の下方から潤滑油を供給しただけでは、潤滑油が摩擦板の上部に到達するまでに時間がかかり、摩擦板の下部ばかりが集中的に冷却されて、摩擦板の上部が十分に冷却されないおそれがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ブレーキ装置を均一に冷却することが可能な自動変速機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、回転可能な回転側摩擦板と回転側摩擦板に対向配置された回転不能な固定側摩擦板とを含み、両摩擦板が圧接された締結状態と当該圧接が解除された解放状態とに切り替え可能なブレーキ装置と、前記ブレーキ装置を収容する変速機ケースと、前記変速機ケースの内部におけるブレーキ装置の下方空間に潤滑油を供給する潤滑油供給部と、前記下方空間に供給された潤滑油を前記回転側摩擦板の回転に伴い掻き上げる撹拌手段とを備えた、ことを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、ブレーキ装置の下方空間に潤滑油が供給されるだけでなく、当該潤滑油が撹拌手段によって上方に掻き上げられるので、本来であれば潤滑油が届きにくいブレーキ装置の上部に潤滑油を効率よく供給することができる。これにより、ブレーキ装置の下部だけに集中的に潤滑油が供給されるような事態が回避され、ブレーキ装置が均一に冷却されるので、ブレーキ装置が熱により劣化するのを効果的に防止することができる。
本発明において、好ましくは、前記回転側摩擦板は、回転可能な回転側保持部材の外周面に保持され、前記固定側摩擦板は、前記回転側保持部材よりも径方向外側に位置する回転不能な固定側保持部材の内周面に保持され、前記撹拌手段は、前記回転側摩擦板の外周部に突設された複数の撹拌プレートである(請求項2)。
この構成によれば、回転側摩擦板の外周部に突設された撹拌プレートによって潤滑油を確実に掻き上げることができる。
前記構成において、より好ましくは、前記回転側摩擦板における軸方向の少なくとも一方の面に、前記ブレーキ装置の締結時に固定側摩擦板に圧接されるフェイシングが設けられ、当該前記フェイシングよりも径方向外側に前記撹拌プレートが設けられる(請求項3)。
このように、撹拌プレートの取付け位置をフェイシングよりも径方向外側に設定した場合には、回転側摩擦板の回転に伴う撹拌プレートの上下の移動量を十分に確保でき、この撹拌プレートによって効率よく潤滑油を掻き上げることができる。
前記構成において、より好ましくは、前記撹拌プレートは、前記フェイシングよりも軸方向寸法が大きくなるように形成される(請求項4)。
この構成によれば、撹拌プレートによる潤滑油の掻き上げ能力をより高めることができる。
前記構成において、より好ましくは、前記固定側摩擦板における前記撹拌プレートと対向する部分に、当該部分を他部よりも薄肉にするための凹段部が形成される(請求項5)。
このように、固定側摩擦板に凹段部を形成した場合には、撹拌プレートと固定側摩擦板との干渉を回避しながら撹拌プレートの軸方向寸法を拡大できるとともに、この軸方向寸法が拡大された撹拌プレートによって潤滑油をより確実に掻き上げることができる。
本発明において、好ましくは、前記潤滑油供給部から供給された潤滑油を貯留可能な貯留空間が、前記変速機ケースの内周面と前記固定側保持部材とによって前記ブレーキ装置の下方に区画形成される(請求項6)。
この構成によれば、潤滑油供給部から貯留空間に供給された潤滑油がブレーキ装置以外の各要素部に分散されるのを抑制できるので、ブレーキ装置に確実に潤滑油を供給してその効率的な冷却を図ることができる。
ここで、前記固定側摩擦板は、回転不能な回転側保持部材の外周面に保持され、前記回転側摩擦板は、前記固定側保持部材よりも径方向外側に位置する回転可能な回転側保持部材の内周面に保持されていてもよい。この場合、前記撹拌手段は、前記回転側保持部材の外周面に設けるとよい(請求項7)。
この構成によっても、回転側保持部材(および回転側摩擦板)の回転に伴って潤滑油を掻き上げることができ、ブレーキ装置を均一に冷却することができる。
本発明において、好ましくは、前記潤滑油供給部は、前記ブレーキ装置の下方空間に下から潤滑油を供給可能なように、前記変速機ケースの下部に設けられる(請求項8)。
この構成によれば、一般に変速機ケースの下方に設けられる潤滑油の供給源からブレーキ装置の下方空間へと簡単な構成で確実に潤滑油を供給することができる。
前記構成において、より好ましくは、前記潤滑油供給部は、前記ブレーキ装置の下方空間に対する潤滑油の供給を制御するために開閉可能に設けられた供給制御弁を有する(請求項9)。
この構成によれば、ブレーキ装置への潤滑油の供給を供給制御弁を用いて適正に制御することができる。
本発明は、車両用の自動変速機、つまり車両に搭載された動力源から駆動力が入力される入力軸を備えた自動変速機に好適である。この場合、前記ブレーキ装置は、車両の発進時にスリップ制御することが可能である(請求項10)。さらにこの場合、前記入力軸は、流体を用いた動力伝達装置(トルクコンバータ)を介さずに前記動力源と連結することが可能である(請求項11)。
すなわち、本発明によれば、ブレーキ装置に対する冷却性能を十分に高めることができるので、たとえ車両の発進時にブレーキ装置をスリップ制御したとしても、これに伴い発生する摩擦熱からブレーキ装置を適正に保護することができる。また、車両の発進時にブレーキ装置がスリップ制御できれば、このブレーキ装置をトルクコンバータの代用として用いることができ、トルクコンバータを廃止することができる。
以上説明したように、本発明の自動変速機によれば、ブレーキ装置を均一に冷却することができ、ブレーキ装置が熱により劣化するのを効果的に防止することができる。
本発明の第1実施形態にかかる自動変速機の概略構成を示す骨子図である。 上記自動変速機の主要部の構造を示す断面図である。 摩擦要素の締結/解放の組合せと変速段との関係を示す締結表である。 回転側摩擦板の正面図である。 潤滑油供給部から潤滑油の供給をしない場合の動作説明図である。 潤滑油供給部から潤滑油を供給する場合の動作説明図である。 上記第1実施形態の変形例を説明するための図である。 本発明の第2実施形態にかかる自動変速機の一部断面図である。 上記第2実施形態の作用を説明するための正面図である。
<第1実施形態>
(1)自動変速機の概略構成
図1は、本発明の第1実施形態にかかる自動変速機の概略構成を示す骨子図であり、図2は、自動変速機の主要部の構造を示す断面図である。これらの図に示される自動変速機は、車両に搭載されており、その動力源であるエンジン(図示省略)から入力される駆動力を変速しつつ車輪に伝達する役割を果たす。
自動変速機は、エンジンにより回転駆動される入力軸2と、入力軸2上に設けられた複数のプラネタリギヤセット(以下、単にギヤセットという)GS1〜GS4と、ギヤセットGS1〜GS4を介した動力伝達経路を切り替える複数のクラッチ装置CL1〜CL3および複数のブレーキ装置BR1,BR2と、変速後の出力を外部(ディファレンシャル機構)に伝達するための出力ギヤ3と、これら各要素を内部に収容する変速機ケース10と、各種オイル(作動油、潤滑油)の給排を行うために変速機ケース10の下方に設けられたバルブボディ60とを備えている。なお、以下の説明では、入力軸2の軸心と平行な方向を軸方向、当該方向と直交する方向を径方向という。また、軸方向の一方側であってエンジンに近い側(図では右)を前、その逆(図では左)を後という。
当実施形態では、ギヤセットとして、後側(反エンジン側)から順に、第1ギヤセットGS1、第2ギヤセットGS2、第3ギヤセットGS3、および第4ギヤセットGS4が設けられている。クラッチ装置として、後側から順に、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、および第3クラッチCL3が設けられている。ブレーキ装置として、後側から順に、第1ブレーキBR1および第2ブレーキBR2が設けられている。
入力軸2は、エンジンに連結された第1入力軸2Aと、第1入力軸2Aと同軸に連結された第2入力軸2Bとを有している。第1入力軸2Aは、エンジンと直接的に連結されており、第1入力軸2Aとエンジンとの間にはトルクコンバータが設けられていない。すなわち、車両用の自動変速機の分野では、流体を用いた動力伝達装置であるトルクコンバータがエンジンと入力軸との間に設けられることが多いが、当実施形態では、このようなトルクコンバータが廃止され、エンジンの出力が第1入力軸2Aに直接伝達されるようになっている。
第1〜第4ギヤセットGS1〜GS4はいずれもシングルピニオン型のものである。具体的に、第1ギヤセットGS1は、サンギヤS1と、サンギヤS1に噛み合った複数のピニオンP1と、ピニオンを支持するキャリアC1と、ピニオンP1に噛み合ったリングギヤR1とを有している。同様に、第2ギヤセットGS2は、サンギヤS2、ピニオンP2、キャリアC2、およびリングギヤR2を有し、第3ギヤセットGS3は、サンギヤS3、ピニオンP3、キャリアC3、およびリングギヤR3を有し、第4ギヤセットGS4は、サンギヤS4、ピニオンP4、キャリアC4、およびリングギヤR4を有している。
入力軸2は第1ギヤセットGS1のキャリアC1に連結されている。また、第1ギヤセットGS1のサンギヤS1と第4ギヤセットGS4のサンギヤS4、第1ギヤセットGS1のリングギヤR1と第2ギヤセットGS2のサンギヤS2、第2ギヤセットGS2のキャリアC2と第4ギヤセットGS4のキャリアC4、第3ギヤセットGS3のキャリアC3と第4ギヤセットGS4のリングギヤR4とが、それぞれ連結されている。
第1、第2ブレーキBR1,BR2は、ギヤセットの回転要素と変速機ケース10とを断接可能に連結するものである。例えば、第1ブレーキBR1は、第3ギヤセットGS3のリングギヤR3と変速機ケース10とを断接可能に連結する。具体的に、第1ブレーキBR1は、軸方向に対向配置された複数の摩擦板21,22(図2)を有し、これら摩擦板21,22どうしの摩擦力によりリングギヤR3と変速機ケース10とを断接可能に連結する(詳細は後述する)。同様に、第2ブレーキBR2は、第4ギヤセットGS4のサンギヤS4と変速機ケース10とを断接可能に連結する。
第1〜第3クラッチCL1〜CL3は、入力側の回転要素と出力側の回転要素とを断接可能に連結するものである。例えば、第3クラッチCL3は、第2ギヤセットGS2のリングギヤR2と第3ギヤセットGS3のサンギヤS3とを断接可能に連結する。具体的に、第3クラッチCL3は、軸方向に対向配置された複数の摩擦板31,32(図2)を有し、これら摩擦板31,32どうしの摩擦力によりリングギヤR2とサンギヤS3とを断接可能に連結する。同様に、第1クラッチCL1は、第1ギヤセットGS1のキャリアC1と第3ギヤセットGS3のサンギヤS3とを断接可能に連結し、第2クラッチCL2は、第1ギヤセットGS1のリングギヤR1と第3ギヤセットGS3のサンギヤS3とを断接可能に連結する。
以上のように構成された当実施形態の自動変速機では、図3の締結表に示すように、第1〜第3クラッチCL1〜CL3および第1、第2ブレーキBR1,BR2から選ばれた特定の摩擦要素が締結されることにより、前進1〜8速と後退速とのいずれかの変速段が実現されるようになっている。なお、図3において、「〇」はクラッチまたはブレーキが締結状態にあることを示し、「×」は締結が解除された解放状態にあることを示している。
例えば、自動変速機の変速段が1速であるときは、締結表の上から2段目の行に示すように、第1クラッチCL1、第1ブレーキBR1、および第2ブレーキBR2が締結され、第2クラッチCL2および第3クラッチCL3が解放される。ここで、当該上から2段目の行において、第1ブレーキBR1の欄に括弧付きで「△」とあるのは、第1ブレーキBR1が車両の発進時および停車時にスリップ制御されることを示している。すなわち、当実施形態では、自動変速機とエンジンとの間にトルクコンバータが設けられておらず、自動変速機の入力軸2がエンジンに直接的に連結されているので、車両の発進時および停車時(このときは1速が選択される)に第1ブレーキBR1が締結されるとエンストが起きてしまう。そこで、車両の発進時および停車時には、第1ブレーキBR1をスリップ制御することにより、エンストを防止するようにしている。なお、スリップ制御とは、摩擦板どうしの相対回転を許容しつつ動力を伝達するために、摩擦板どうしを不完全に締結することをいう。
(2)ブレーキの詳細構造
次に、車両の発進時等にスリップ制御される上記第1ブレーキBR1とその周辺部品の構造について、図2および図4〜図6を参照しつつより詳しく説明する。
第1ブレーキBR1は、第3ギヤセットGS3のリングギヤR3(請求項にいう回転側保持部材に相当)の外周面に保持された複数の回転側摩擦板21と、各回転側摩擦板21と軸方向に対向配置された複数の固定側摩擦板22と、各固定側摩擦板22を外周側から包囲しつつこれを保持する保持部材25(請求項にいう固定側保持部材に相当)と、固定側摩擦板22および回転側摩擦板21を軸方向に押圧するピストン23と、ピストン23を収容するピストンハウジング24とを有している。
保持部材25およびピストンハウジング24は、それぞれ変速機ケース10に固定されている。具体的に、保持部材25は、変速機ケース10の内周面に例えば圧入等により固定されており、ピストンハウジング24は、変速機ケース10に固定された保持部材25にボルト等の締結手段を用いて固定されている。保持部材25は、その後端部に、径方向に突出するリテーニングプレート部25aを有している。
保持部材25の後端部(リテーニングプレート部25a)の近傍に位置する変速機ケース10の内周面には、リング状のせき止め部材15が取り付けられている。せき止め部材15は、いわゆるスナップリングからなり、変速機ケース10の内周面に形成された周状の溝に係合することにより固定されている。変速機ケース10の内周面に対するせき止め部材15の突出代は、変速機ケース10の内周面と保持部材25の外周面との径方向の隙間よりもわずかに大きくなるように設定されている。このため、変速機ケース10と保持部材25との間の隙間は、せき止め部材15によって後側から実質的に塞がれている。すなわち、変速機ケース10の内部には、変速機ケース10の内周面と保持部材25の外周面とせき止め部材15とによって、帯環状の空間が区画形成されている。
複数の固定側摩擦板22は、微少間隔をおいて軸方向に並ぶように配置されており、それぞれ保持部材25の内周面にスプライン係合により保持されている。すなわち、軸方向に延びる多数のスプライン溝が保持部材25の内周面に形成されるとともに、当該スプライン溝に係合される多数の突起が各固定側摩擦板22の外周面に形成されている。これにより、固定側摩擦板22は、保持部材25に対し相対回転不能な状態で保持されている。言い換えると、固定側摩擦板22は、変速機ケース10に対し相対回転不能で、かつ軸方向に移動可能に保持されている。
各固定側摩擦板22の軸方向の両面(前面および後面)には、周方向に並ぶ複数のフェイシング27(図4〜図6)が設けられている。フェイシング27は、圧接に伴い大きな摩擦力が発生するように、摩擦係数の大きい材質により構成されている。
複数の回転側摩擦板21は、隣接する固定側摩擦板22の間に挟まれるように(回転側摩擦板21と固定側摩擦板22とが交互に並ぶように)配置されており、それぞれリングギヤR3の外周面にスプライン係合により保持されている。すなわち、軸方向に延びる多数のスプライン溝がリングギヤR3の外周面に形成されるとともに、当該スプライン溝に係合される多数の突起が各回転側摩擦板21の内周面に形成されている。これにより、回転側摩擦板21は、リングギヤR3に対し相対回転不能な状態で保持されている。言い換えると、回転側摩擦板21は、リングギヤR3と一体に回転可能で、かつ軸方向に移動可能に保持されている。
ピストン23は、軸方向にスライド可能な状態でピストンハウジング24の内部に収容されており、最も前側に位置する固定側摩擦板22に対し前方から対向するように配置されている。また、ピストン23には図外のリターンスプリングが取り付けられており、このリターンスプリングによって常にピストン23が前方に付勢されている。
ピストン23の前面とピストンハウジング24との間には、締結油圧室29が画成されており、この締結油圧室29には、バルブボディ60から油路64を通じて供給される作動油が充填されている。
第1ブレーキBR1の締結時には、バルブボディ60からの給油に伴い締結油圧室29の油圧が高められ、当該油圧によって上記リターンスプリングの付勢力に抗してピストン23が後方に駆動される。回転側摩擦板21および固定側摩擦板22は、この後方に駆動されたピストン23によりリテーニングプレート部25aに押し付けられて互いに圧接し、当該圧接に伴う摩擦力により相対回転が不能な状態(締結状態)に至る。すなわち、回転側摩擦板21の回転が停止され、ひいてはリングギヤR3の回転が停止される。
一方、第1ブレーキBR1の締結が解除される解放時には、締結油圧室29の油圧が低減されることにより、上記リターンスプリングの付勢力がピストン23を前方に移動させる。これにより、回転側摩擦板21および固定側摩擦板22の圧接が解除されて、回転側摩擦板21およびリングギヤR3の回転が可能な状態(解放状態)に復帰する。
さらに、第1ブレーキBR1がスリップ制御されるとき(例えば車両の発進時)、締結油圧室29には、第1ブレーキBR1を完全に締結する(つまり回転側摩擦板21の回転を完全に停止させる)のに必要な油圧よりも小さくかつ上記リターンスプリングの付勢力よりも大きい油圧が供給され、回転側摩擦板21と固定側摩擦板22とが不完全に圧接される。このため、スリップ制御時は、回転側摩擦板21が固定側摩擦板22に対し回転方向に摺接し、両摩擦板21,22の間に摩擦熱が発生する。
(3)ブレーキの冷却システム
当実施形態では、上記のようなスリップ制御時の摩擦熱から第1ブレーキBR1を保護するべく、第1ブレーキBR1に効率的に潤滑油を供給可能とする冷却システムが採用されている。具体的に、当実施形態の自動変速機は、当該冷却システムとして、第1ブレーキBR1に対し下方から潤滑油を供給する潤滑油供給部40と、潤滑油供給部40から供給された潤滑油を掻き上げる複数の撹拌プレート50(図4〜図6)とを備えている。
潤滑油供給部40は、変速機ケース10の下部に形成された導入孔41および排出孔42と、導入孔41および排出孔42を閉鎖または開放する供給制御弁43とを有している。
導入孔41および排出孔42は、変速機ケース10の下部を径方向(上下方向)に貫通するように形成されている。導入孔41の上端は、第1ブレーキBR1の下方に形成された貯留空間Wに連通しており、下端は油路61を介してバルブボディ60に連通している。排出孔42の上端は、同じく貯留空間Wに連通しており、下端は油路62を介してバルブボディ60と連通している。なお、貯留空間Wとは、変速機ケース10と保持部材25とせき止め部材15とにより区画形成された帯環状の空間における下側の一部のことを指している。
変速機ケース10の下部には、供給制御弁43を収容するための収容孔44が、導入孔41および排出孔42とそれぞれ交差するように形成されている。収容孔44の後端は開口しており、この開口部には封止部材45が取り付けられている。すなわち、収容孔44は封止部材45によって密閉されている。
供給制御弁43は、図5、図6に示すように、収容孔44にスライド可能に収容されたスプール46と、スプール46と封止部材45との間に設けられ、スプール46を軸方向(前方)に付勢するリターンスプリング47とを有している。スプール46は、収容孔44の内径とほぼ同一の外径をもった第1大径部46aおよび第2大径部46bと、両大径部46a,46bの間に配置され、収容孔44の内径よりも小さい外径をもった小径部46cとを有している。
収容孔44の前端には、バルブボディ60から延びる油路63が連通している。スプール46は、この油路63を通じて供給される油圧の大小に応じて前方または後方に駆動され、それに伴い導入孔41および排出孔42を閉鎖または開放する。油圧が小さいとき、スプール46は、リターンスプリング47の付勢力によって図5のような前寄り位置に配置される。この状態では、第1大径部46aが導入孔41に対向する位置に配置されるともに、小径部46cが排出孔42に対向する位置に配置される。つまり、導入孔41が閉鎖されて排出孔42が開放される。このとき、貯留空間Wに貯留している潤滑油がある場合には、この潤滑油が排出孔42を通じて下方に(バルブボディ60に向けて)流下される。
一方、油圧が大きくなると、リターンスプリング47の付勢力に抗してスプール46が後方に駆動されることにより、図6に示すように、小径部46cが導入孔41に対向する位置に配置されるともに、第2大径部46bが排出孔42に対向する位置に配置される。つまり導入孔41が開放されて排出孔42が閉鎖される。これにより、バルブボディ60から供給される潤滑油が、導入孔41を通じて上方に(貯留空間Wに向けて)流入させられる。
貯留空間Wに面する保持部材25の下部には、当該保持部材25を径方向に貫通する複数のスリットHが形成されている。このスリットHは、保持部材25の内部の摩擦板21,22から貯留空間Wへの潤滑油の流出、または貯留空間Wから摩擦板21,22への潤滑油の流入を可能にするために設けられている。
図4〜図6に示すように、複数の撹拌プレート50は、回転側摩擦板21の最外周部の両面(前面および後面)に、回転側摩擦板21の外周に沿って周方向に並ぶように取り付けられている。各撹拌プレート50は、薄肉の板状部材からなり、フェイシング27よりも径方向外側において軸方向に所定量突出するように取り付けられている。当実施形態の場合、撹拌プレート50は、フェイシング27の厚みとほぼ同一の厚みを有する程度に軸方向に突設されている。
また、各撹拌プレート50は、図4に示す軸方向視(正面視)において、フェイシング27の外周側の辺に対してやや傾いた姿勢で取り付けられている。より具体的に、撹拌プレート50は、回転側摩擦板21の回転方向(図4に矢印で示す方向)の前側の端部が逆側(後側)の端部よりも径方向外側に位置するように傾いた姿勢で取り付けられている。撹拌プレート50がこのような姿勢で取り付けられているのは、貯留空間Wに供給(貯留)された潤滑油を回転に伴って上方に掻き上げ易くするためである。
次に、第1ブレーキBR1の状態と関連付けられた潤滑油供給部40の動作について説明する。
まず、第1ブレーキBR1の解放時の動作を図5を用いて説明する。第1ブレーキBR1の解放時は、供給制御弁43に通じる油路63の油圧が小さくされる。このため、供給制御弁43のスプール46は、導入孔41を閉鎖しかつ排出孔42を開放する前寄りの位置に保持される。これにより、導入孔41を通じてバルブボディ60から貯留空間Wに潤滑油が供給されることが禁止される。また、貯留空間Wに残存している潤滑油がある場合、この潤滑油は排出孔42を通じてバルブボディ60に排出される。このように、第1ブレーキBR1の解放時は、貯留空間Wおよびその上方の第1ブレーキBR1に潤滑油が供給されないので、回転側摩擦板21の回転が潤滑油によって阻害されることがなく、いわゆる引き摺り抵抗が低減される。
なお、上記のように潤滑油供給部40からの潤滑油の供給が禁止されるのは、第1ブレーキBR1が完全に締結されたときも同じである。すなわち、第1ブレーキBR1が完全に締結されると、回転側摩擦板21の回転が完全に停止される(つまり固定側摩擦板22に対し摺動しない)ので、やはり潤滑油の供給は特に必要ない。そこで、導入孔41が閉鎖されかつ排出孔42が開放されるように、供給制御弁43が上述した図5の位置に配置される。
一方、例えば車両の発進等に伴い第1ブレーキBR1のスリップ制御が開始されると、供給制御弁43に通じる油路63の油圧が大きくされる。これにより、図6に示すように、供給制御弁43のスプール46が後方に駆動されて、導入孔41を開放しかつ排出孔42を閉鎖する位置まで移動する。すると、排出孔42からの潤滑油の排出が禁止されるとともに、バルブボディ60から油路61を通じて供給される潤滑油が導入孔41を通じて貯留空間Wへと流入するようになる。貯留空間Wに流入した潤滑油は、保持部材25に形成されたスリットHを通じて上方へと移動し、保持部材25の下部内面に貯留される。さらに、保持部材25内に貯留された潤滑油は、回転側摩擦板21の回転に伴って、その外周部の撹拌プレート50によって掻き上げられる。これにより、潤滑油は速やかに摩擦板21,22の上部へと移動し、摩擦板21,22の全体に行き渡る。
(4)作用等
以上説明したように、第1実施形態の自動変速機は、変速機ケース10の内部における第1ブレーキBR1の下方空間、つまり貯留空間Wに、バルブボディ60からの潤滑油を供給する潤滑油供給部40と、貯留空間Wに供給された潤滑油を回転側摩擦板21の回転に伴い掻き上げる撹拌プレート50(撹拌手段)とを備えているので、第1ブレーキBR1を均一に冷却できるという利点がある。
すなわち、上記第1実施形態では、第1ブレーキBR1の下方の貯留空間Wに潤滑油が供給されるだけでなく、当該潤滑油が撹拌プレート50によって上方に掻き上げられるので、本来であれば潤滑油が届きにくい第1ブレーキBR1の上部に潤滑油を効率よく供給することができる。これにより、第1ブレーキBR1の下部だけに集中的に潤滑油が供給されるような事態が回避され、第1ブレーキBR1が均一に冷却されるので、第1ブレーキBR1が熱により劣化するのを効果的に防止することができる。
特に、上記第1実施形態では、自動変速機とエンジンとの間にトルクコンバータが設けられておらず、その代用として車両の発進時等に第1ブレーキBR1がスリップ制御されるので、この第1ブレーキBR1は他の摩擦要素よりも高温になり易いといえる。しかしながら、上記実施形態では、第1ブレーキBR1のスリップ制御時に潤滑油供給部40から潤滑油が供給されるので、当該潤滑油によって第1ブレーキBR1を効率よく冷却することができ、スリップ制御時に発生する摩擦熱から第1ブレーキBR1を適正に保護することができる。
また、上記第1実施形態では、回転側摩擦板21の軸方向の両面(前面および後面)に軸方向に突出するように撹拌プレート50が取り付けられ、しかもその取付け位置がフェイシング27よりも径方向外側に(最外周部)に設定されているので、回転側摩擦板21の回転に伴う撹拌プレート50の上下の移動量を十分に確保でき、この撹拌プレート50によって効率よく潤滑油を掻き上げることができる。
また、上記第1実施形態では、第1ブレーキBR1の下方の貯留空間Wが、変速機ケース10の内周面と保持部材25の外周面とせき止め部材15との間に区画されるように形成されているので、潤滑油供給部40から貯留空間Wに供給された潤滑油が第1ブレーキBR1以外の各要素部に分散されるのを抑制でき、第1ブレーキBR1に確実に潤滑油を供給してその効率的な冷却を図ることができる。
また、上記第1実施形態では、潤滑油供給部40が変速機ケース10の下部に設けられているので、変速機ケース10のさらに下方に設けられる潤滑油の供給源(バルブボディ等)から第1ブレーキBR1の下方(貯留空間W)へと簡単な構成で確実に潤滑油を供給することができる。
また、上記第1実施形態では、潤滑油供給部40に供給制御弁43が設けられるので、この供給制御弁43を用いて、第1ブレーキBR1への潤滑油の供給を適正に制御することができる。
なお、上記第1実施形態では、変速機ケース10の下部に設けられた潤滑油供給部40から(つまり下から上に)潤滑油を供給したが、第1ブレーキBR1の下方空間(貯留空間W)に潤滑油が供給できればよく、下からの供給に限られない。
また、上記第1実施形態では、締結油圧室29からの油圧により駆動されるピストン23を用いて第1ブレーキBR1を締結する一方、締結された第1ブレーキBR1を解放する際には、締結油圧室29の油圧を低減することにより(リターンスプリングの付勢力により)ピストン23を後退させるようにしたが、締結油圧室29とは独立した解放油圧室を設け、この解放油圧室に供給される油圧によりピストン23を押し戻すことで第1ブレーキBR1を解放するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、油圧により駆動されるスプール46を含む供給制御弁43を用いて第1ブレーキBR1に対する潤滑油の供給を制御するようにしたが、例えば電磁式のソレノイドバルブを用いて潤滑油の供給を制御するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、1つの供給制御弁43(スプール46)を駆動することにより、潤滑油の供給を禁止しかつ排出を許容する状態(図5)と、潤滑油を供給しかつ排出を禁止する状態(図6)とに切り替えるようにしたが、独立した2つの弁を用いて潤滑油の供給と排出とを個別に制御するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、回転側摩擦板21の軸方向の両面(前面および後面)にフェイシング27および撹拌プレート50を取り付けたが、回転側摩擦板21の片面(前面または後面)にのみフェイシング27および撹拌プレート50を取り付けてもよい。
また、上記実施形態では、貯留空間Wを画成するためのせき止め部材15を変速機ケース10の内周面に取り付けたが、このような構成に代えて、変速機ケース10の内周面から径方向内側に突出する凸部を、せき止め部材15に対応する位置に一体に形成してもよい。
また、上記実施形態では、保持部材25の下部にのみスリットHを形成したが、保持部材25の全周にスリットHを形成してもよい。
また、上記第1実施形態では、トルクコンバータが廃止された車両に搭載される自動変速機に本発明を適用した例について説明したが、トルクコンバータを介してエンジンと連結される従来型の自動変速機にも本発明は適用可能である。
また、上記第1実施形態では、多段式(有段式)の自動変速機に本発明を適用した例について説明したが、本発明が適用可能な変速機は、ブレーキ装置が使用される自動変速機であればよく、例えば無段変速機であってもよい。
また、上記第1実施形態では、撹拌プレート50の厚み(軸方向寸法)がフェイシング27とほぼ同一とされていたが、例えば図7に示すように、撹拌プレートの厚みをさらに増やすことも可能である。
具体的に、図7の変形例による第1ブレーキBR1’は、上記第1実施形態と同様に、軸方向に対向配置された複数の回転側摩擦板121および複数の固定側摩擦板122を有している。ただし、上記第1実施形態とは異なり、各回転側摩擦板121の軸方向の両面(前面および後面)には、フェイシング127よりも大きく軸方向に突出した撹拌プレート150がそれぞれ取り付けられている。また、この突出量の大きい撹拌プレート150に対応するように、各固定側摩擦板122の両面または片面には凹段部122aが形成されている。具体的には、固定側摩擦板122における撹拌プレート150と軸方向に対向する部分(外周部)に凹段部122aが形成され、この凹段部122aの形成に伴って、固定側摩擦板122の外周部が他部よりも薄肉とされている。
このように、固定側摩擦板122に凹段部122aを形成した図7の変形例によれば、撹拌プレート150と固定側摩擦板122との干渉を回避しながら撹拌プレート150の軸方向寸法を拡大できるとともに、この軸方向寸法が拡大された撹拌プレート150によって潤滑油をより確実に掻き上げることができる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態の自動変速機における第1ブレーキBR1は、回転可能なリングギヤR3(回転側保持部材)の外周面に保持された回転側摩擦板21と、リングギヤR3よりも径方向外側に位置する回転不能な保持部材25(固定側保持部材)の内周面に保持された固定側摩擦板22とを備えたものであったが、回転側保持部材と固定側保持部材との径方向の位置関係は逆であってもよい。この場合の具体例を第2実施形態として説明する。
図8および図9は、第2実施形態にかかる自動変速機の一部を示している。なお、本図において、第1実施形態と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。第2実施形態における第1ブレーキBR1”は、ピストンハウジング24を後方に延長するように設けられた円筒状の固定側保持部材225と、固定側保持部材225の内周面に保持された複数の固定側摩擦板222と、リングギヤR3の後壁から径方向外側に延びる延設部216と、延設部216の径方向外側端部から前方に延びる円筒状の回転側保持部材217と、回転側保持部材217の内周面に保持された複数の回転側摩擦板221とを有している。固定側保持部材225は回転不能であり、回転側保持部材217はリングギヤR3と一体に回転可能である。回転側保持部材217は、固定側保持部材225よりも径方向外側に配置されている。
回転側保持部材217の後端部の近傍に対応する変速機ケース10の内面には、上記第1実施形態と同様のせき止め部材15が取り付けられている。このため、第1ブレーキBR1”の下方には、せき止め部材15と変速機ケース10と回転側保持部材217とにより区画された貯留空間Zが形成されている。
回転側摩擦板221の軸方向の両面(前面および後面)には、フェイシング227が取り付けられている。ただし、上記第1実施形態の場合と異なり、フェイシング227の径方向外側には撹拌プレート50に相当するものは設けられていない。
そこで、第2実施形態では、撹拌プレートに代わる撹拌手段として、回転側保持部材217に撹拌リング250が取り付けられている。撹拌リング250は、概ね薄肉円筒状に形成され、回転側保持部材217の外周面を取り囲むように取り付けられている。
撹拌リング250における周方向および軸方向の複数箇所には、周方向(回転方向)の一方側に開く開口Eが形成されるように立体的に折り曲げられた折曲部250aが形成されている。また、この折曲部250aに対応する回転側保持部材217の複数箇所には、径方向に貫通する貫通孔Fが形成されている。
このような第2実施形態の構成において、潤滑油供給部40から貯留空間Zに潤滑油が供給された場合、この潤滑油は、回転側保持部材217(および回転側摩擦板221)の回転に伴い、折曲部250aの開口Eから折曲部250aの内部に取り込まれ、上方へと掻き上げられる。さらに、折曲部250aの内部に取り込まれた潤滑油は、図9に破線の矢印で示すように、貫通孔Fを通じて回転側保持部材217の内側へと導入される。これにより、摩擦板221,222に潤滑油がまんべんなく供給されて、摩擦板221,222が効果的に冷却される。
BR1 第1ブレーキ(ブレーキ装置)
R3 リングギヤ(回転側保持部材)
W,Z 貯留空間
2 入力軸
10 変速機ケース
21,121,221 回転側摩擦板
22,122,222 固定側摩擦板
25 保持部材(固定側保持部材)
27,127 フェイシング
40 潤滑油供給部
43 供給制御弁
50,150 撹拌プレート(撹拌手段)
122a 凹段部
217 回転側保持部材
225 固定側保持部材
250 撹拌リング(撹拌手段)

Claims (11)

  1. 回転可能な回転側摩擦板と回転側摩擦板に対向配置された回転不能な固定側摩擦板とを含み、両摩擦板が圧接された締結状態と当該圧接が解除された解放状態とに切り替え可能なブレーキ装置と、
    前記ブレーキ装置を収容する変速機ケースと、
    前記変速機ケースの内部におけるブレーキ装置の下方空間に潤滑油を供給する潤滑油供給部と、
    前記下方空間に供給された潤滑油を前記回転側摩擦板の回転に伴い掻き上げる撹拌手段とを備えた、ことを特徴とする自動変速機。
  2. 請求項1記載の自動変速機において、
    前記回転側摩擦板は、回転可能な回転側保持部材の外周面に保持され、
    前記固定側摩擦板は、前記回転側保持部材よりも径方向外側に位置する回転不能な固定側保持部材の内周面に保持され、
    前記撹拌手段は、前記回転側摩擦板の外周部に突設された複数の撹拌プレートである、ことを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項2記載の自動変速機において、
    前記回転側摩擦板における軸方向の少なくとも一方の面に、前記ブレーキ装置の締結時に固定側摩擦板に圧接されるフェイシングが設けられ、当該前記フェイシングよりも径方向外側に前記撹拌プレートが設けられた、ことを特徴とする自動変速機。
  4. 請求項3記載の自動変速機において、
    前記撹拌プレートは、前記フェイシングよりも軸方向寸法が大きくなるように形成されている、ことを特徴とする自動変速機。
  5. 請求項4に記載の自動変速機において、
    前記固定側摩擦板における前記撹拌プレートと対向する部分に、当該部分を他部よりも薄肉にするための凹段部が形成された、ことを特徴とする自動変速機。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動変速機において、
    前記潤滑油供給部から供給された潤滑油を貯留可能な貯留空間が、前記変速機ケースの内周面と前記固定側保持部材とによって前記ブレーキ装置の下方に区画形成された、ことを特徴とする自動変速機。
  7. 請求項1に記載の自動変速機において、
    前記固定側摩擦板は、回転不能な回転側保持部材の外周面に保持され、
    前記回転側摩擦板は、前記固定側保持部材よりも径方向外側に位置する回転可能な回転側保持部材の内周面に保持され、
    前記撹拌手段は、前記回転側保持部材の外周面に設けられている、ことを特徴とする自動変速機。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動変速機において、
    前記潤滑油供給部は、前記ブレーキ装置の下方空間に下から潤滑油を供給可能なように、前記変速機ケースの下部に設けられている、ことを特徴とする自動変速機。
  9. 請求項8記載の自動変速機において、
    前記潤滑油供給部は、前記ブレーキ装置の下方空間に対する潤滑油の供給を制御するために開閉可能に設けられた供給制御弁を有する、ことを特徴とする自動変速機。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動変速機において、
    車両に搭載された動力源から駆動力が入力される入力軸をさらに備え、
    前記ブレーキ装置は、車両の発進時にスリップ制御される、ことを特徴とする自動変速機。
  11. 請求項10に記載の自動変速機において、
    前記入力軸は、流体を用いた動力伝達装置を介さずに前記動力源と連結されている、ことを特徴とする自動変速機。
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