JP2017048763A - 潤滑オイルの供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの再始動時において、チェーンテンショナへの潤滑オイルの供給を速やかに行う。【解決手段】オイル供給系統20は、第1サブギャラリ26の下流端よりも下方に位置し、第1サブギャラリ26から供給される潤滑オイルを貯留するオイル溜り室27と、上流端がオイル溜り室27に連通されると共に下流端が上流端よりも上方に位置し、オイル溜り室27に貯留された潤滑オイルをチェーンテンショナ21へ向けて供給するオイル吐き出し路28とを備えている。【選択図】図2
Description
本発明は、エンジンが備えるチェーンテンショナに潤滑オイルを供給する潤滑オイルの供給装置に関する。
クランク軸の回転をシリンダヘッドのカム軸に伝達するチェーン等には、張力を油圧によって調整するチェーンテンショナが設けられる。
例えば、特許文献1には、エンジンが備えるオイルギャラリから分岐して形成された油溜め(貯留室)と、油溜めの下端部から下方に延びる圧油供給路と、圧油供給路よりも下方に配置されて潤滑オイルの圧力で動作するプランジャとを備えるチェーンテンショナが開示されている。
また、特許文献2には、シリンダブロックに形成された凹部をテンショナ本体で塞ぐことにより、潤滑オイルの貯留室を形成するチェーンテンショナが開示されている。
特許文献に記載された装置は何れも、エンジンの停止時にオイルの貯留室から潤滑オイルが排出されてしまう可能性があり、再始動時においてテンショナへの潤滑オイルの供給に時間を要してしまう虞がある。
開示の装置は、エンジンの再始動時において、チェーンテンショナへの潤滑オイルの供給を速やかに行うことを目的とする。
開示の装置は、エンジンが備えるチェーンテンショナに潤滑オイルを供給する潤滑オイルの供給装置であって、第1オイル供給路の下流端よりも下方に位置し、前記第1オイル供給路から供給される前記潤滑オイルを貯留する貯留室と、上流端が前記貯留室に連通されると共に下流端が前記上流端よりも上方に位置し、前記貯留室に貯留された前記潤滑オイルを前記チェーンテンショナへ向けて供給する第2オイル供給路と、を備える。
開示の装置によれば、エンジンの再始動時において、チェーンテンショナへの潤滑オイルの供給を速やかに行うことができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係るディーゼルエンジン1(内燃機関の一例,以下単にエンジン1という)について説明する。
エンジン1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド3を備えている。シリンダブロック2の下端部には、クランク軸4が回転可能な状態で配置されている。クランク軸4にはフライホイールハウジング5に覆われた状態で、フライホイール6が取り付けられている。また、クランク軸4にはチェーンスプロケット7も取り付けられている。このチェーンスプロケット7にはチェーン8が掛け渡されている。このチェーン8は、吸気カム軸9に設けられた吸気スプロケット10や排気カム軸11に設けられた排気スプロケット12にも掛け渡されている。そして、チェーンスプロケット7、チェーン8、吸気スプロケット10及び排気スプロケット12により、クランク軸4の駆動力が吸気カム軸9や排気カム軸11に伝達される。
フライホイールハウジング5の内部には、チェーンテンショナ21と、オイルジェット22が設けられている。チェーンテンショナ21は、チェーン8の張力を潤滑オイルの油圧によって調整する装置であり、潤滑オイルが供給されると共にプランジャ等(不図示)が収納されたシリンダ室23と、プランジャからの押圧力によって前進し、チェーン8の張力によって後退するレバー24等を備えている。オイルジェット22は、チェーン8に対して潤滑オイルを噴射する装置であり、本発明に係るオイル噴射部の一例である。オイルジェット22は、例えば図2に示すように、圧力室としてのチャンバ30とオイルを噴射する噴射ノズル31とを備える。
図2は、シリンダブロック2とフライホイールハウジング5に形成されたオイル供給系統20を模式的に説明する斜視図である。オイル供給系統20は、本発明に係る潤滑オイルの供給装置の一例である。
同図に示すように、オイル供給系統20は、メインギャラリ25と、第1サブギャラリ26と、オイル溜り室27と、オイル吐き出し路28と、第2サブギャラリ29とを備えている。これらの中で、メインギャラリ25と、第1サブギャラリ26と、オイル溜り室27の一部は、シリンダブロック2に設けられている。一方、オイル溜り室27の他の一部と、オイル吐き出し路28と、第2サブギャラリ29は、フライホイールハウジング5に設けられている。
メインギャラリ25は、上流側メインギャラリ25aと下流側メインギャラリ25bを備えており、シリンダブロック2の底部に貯留された潤滑オイルが供給される。上流側メインギャラリ25aには、シリンダブロック2の底部に配置されたオイルポンプ(不図示)によって潤滑オイルが送液される。この上流側メインギャラリ25aの下流端には、上下方向に延びる下流側メインギャラリ25bが接続されている。このため、潤滑オイルは、上流側メインギャラリ25aの下流端で向きを変え、下流側メインギャラリ25bを上方向へ流れる。
第1サブギャラリ26は、本発明に係る第1オイル供給路の一例であり、メインギャラリ25から流入されたオイルが流れる。第1サブギャラリ26は、横方向に長い流路であり、上流端が下流側メインギャラリ25bの上端部(下流側端部)に側方から接続されている。また、第1サブギャラリ26の下流端は、シリンダヘッド2の側面で開口されている(図3参照)。このため、第1サブギャラリ26は、メインギャラリ25から流入されたオイルを横方向に案内する。なお、第1サブギャラリ26の下流端は、第2サブギャラリ29の上流端によって区画される分岐空間29aに連通されている。
オイル溜り室27は、本発明に係る貯留室の一例であり、第1サブギャラリ26の下流端よりも下方に位置し、第1サブギャラリ26から供給される潤滑オイルを貯留する。本実施形態のオイル溜り室27は、シリンダブロック2側の第1凹部27aと、フライホイールハウジング5側の第2凹部27bとを備えている。そして、フライホイールハウジング5がシリンダブロック2に取り付けられると、第1凹部27aと第2凹部27bによって液密状態のオイル溜り室27が形成される。
なお、オイル溜り室27の上端には、分岐空間29aが連通されている。このため、第1サブギャラリ26から排出されたオイルの一部は、分岐空間29aを通じてオイル溜り室27に流入される。
オイル吐き出し路28は、本発明に係る第2オイル供給路の一例である。オイル吐き出し路28の上流端はオイル溜り室27に連通され、下流端は上流端よりも上方に位置してチェーンテンショナ21が備えるシリンダ室23に連通されている。このため、シリンダ室23には、オイル吐き出し路28を通じて、オイル溜り室27に貯留された潤滑オイルが供給される。本実施形態では、オイル吐き出し路28の上流端はオイル溜り室27の下端部に側方から連通されている。また、オイル吐き出し路28は、斜め上方に向けて延びる流路となっている。そして、シリンダ室23は、下端がオイル溜り室27における高さ方向の中間の高さに設けられている。すなわち、オイル溜り室27の高さを、オイル吐き出し路28の上流端よりも高くしている。
第2サブギャラリ29は、本発明に係る第3オイル供給路の一例であり、上流端である分岐空間29aから下流側に向けて斜め上方に傾斜され、下流端が分岐空間29aよりも上方の高さでオイルジェット22のチャンバ30に連通されている。
次に、オイル供給系統20の作用について説明する。
図4(A)に示すエンジン1の停止状態では、オイルポンプも停止しているので、メインギャラリ25、第1サブギャラリ26や第2サブギャラリ29は空気で満たされている。また、チェーンテンショナ21からも潤滑オイルは排出されているので、シリンダ室23にも空気で満たされている。
ここで、本実施形態では、シリンダ室23とオイル溜り室27とをオイル吐き出し路28で連通させていることから、オイル溜り室27におけるシリンダ室23の下端よりも低い部分、並びに、オイル吐き出し路28には、潤滑オイルOLが残存している。
エンジン1が始動されると、オイルポンプも始動される。これに伴い、図4(B)に示すように、メインギャラリ25(下流側メインギャラリ25b)に潤滑オイルOLが流れ込む。その際、メインギャラリ25内の空気が潤滑オイルOLによって押し出されるが、押し出された空気は、オイルジェット22から排出される他、オイル溜り室27に残存する潤滑オイルOLの液面に押圧力を付与する。これにより、オイル溜り室27やオイル吐き出し路28に残存していた潤滑オイルOLがシリンダ室23に流入する。
その結果、エンジン1の再始動時において、チェーンテンショナ21に対する潤滑オイルOLの供給を速やかに行うことができる。
さらに時間が経過すると、図4(C)に示すように、新たに供給された潤滑オイルOLによって、オイル溜り室27やオイル吐き出し路28が満たされる。この状態では、潤滑オイルOLに含まれる空気ARは、第1サブギャラリ26や第2サブギャラリ29を通じてオイルジェット22のシリンダ室30へ流れ込み、ノズル31を通じて放出される。
オイル溜り室27は、分岐空間29aよりも下方に設けられていることから、空気ARの吸い込みを効果的に防止できる。加えて、第2サブギャラリ29がオイルジェット22(チャンバ30)へ向けて斜め上方に傾斜していることから、この点でも空気ARの吸い込みを効果的に防止できる。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
例えば、内燃機関に関し、ディーゼルエンジン1に限定されない。ガソリンエンジンであっても同様に適用できる。
オイル吐き出し路28に関し、下流側に向けて斜め上方に延びる流路を例に挙げて説明したが、潤滑オイルを横方向に案内した後に上方向に案内するL字状流路で構成してもよい。
オイル吐き出し路28に関し、前述の実施形態では、オイル溜り室27の下端部側面に連通させていたが、エンジン1の停止時において、必要な量の潤滑オイルOLがオイル溜り室27に貯留されていれば、高さ方向の中間位置に連通させてもよい。
潤滑オイルが供給されるチェーンに関し、前述の実施形態では、クランク軸4の駆動力を吸気カム軸9や排気カム軸11に伝達するチェーン8を例示したが、これに限定されない。他の種類のチェーンであっても同様に適用できる。
1…ディーゼルエンジン,2…シリンダブロック,3…シリンダヘッド,4…クランク軸,5…フライホイールハウジング,6…フライホイール,7…チェーンスプロケット,8…チェーン,9…吸気カム軸,10…吸気スプロケット,11…排気カム軸,12…排気スプロケット,20…オイル供給系統,21…チェーンテンショナ,22…オイルジェット,23…シリンダ室,24…レバー,25…メインギャラリ,25a…上流側メインギャラリ,25b…下流側メインギャラリ,26…第1サブギャラリ,27…オイル溜り室,27a…第1凹部,27b…第2凹部,28…オイル吐き出し路,29…第2サブギャラリ,29a…分岐空間,30…チャンバ,31…噴射ノズル,OL…潤滑オイル,AR…空気
Claims (3)
- エンジンが備えるチェーンテンショナに潤滑オイルを供給する潤滑オイルの供給装置であって、
第1オイル供給路の下流端よりも下方に位置し、前記第1オイル供給路から供給される前記潤滑オイルを貯留する貯留室と、
上流端が前記貯留室に連通されると共に下流端が前記上流端よりも上方に位置し、前記貯留室に貯留された前記潤滑オイルを前記チェーンテンショナへ向けて供給する第2オイル供給路と、
を備える潤滑オイルの供給装置。 - 前記第2オイル供給路は、上流端が前記貯留室の下端部に連通されている
請求項1に記載の潤滑オイルの供給装置。 - 上流端が前記貯留室よりも上方で前記第1オイル供給路に連通されると共に下流端が前記上流端よりも上方に位置し、前記エンジンが備えるチェーンに前記潤滑オイルを噴射するオイル噴射部へ向けて、前記第1オイル供給路から供給される前記潤滑オイルを供給する第3オイル供給路を
さらに備える請求項1又は2に記載の潤滑オイルの供給装置。
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