JP2017048334A - ポリオレフィン微多孔膜、蓄電デバイス用セパレータ、及び蓄電デバイス - Google Patents
ポリオレフィン微多孔膜、蓄電デバイス用セパレータ、及び蓄電デバイス Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ポリオレフィン微多孔膜の膜幅方向の熱機械分析測定より得られる、熱機械分析一次微分曲線において、前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)未満の領域における微分値の最大値が、0.1以下である、ポリオレフィン微多孔膜。
【選択図】なし
Description
電池の安全性については、衝突や圧壊した際に発火および爆発しないことが重要な要素の一つである。
〔1〕
ポリオレフィン微多孔膜の膜幅方向の熱機械分析測定より得られる、熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)未満の領域における微分値の最大値が、0.1以下である、
ポリオレフィン微多孔膜。
〔2〕
前記熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)以上、前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tm未満の領域における微分値の最大値が、0.15以上である、
〔1〕に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔3〕
前記熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)未満の前記領域における微分値の最大値が、0.05以下である、
〔1〕または〔2〕に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔4〕
前記熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)以上、前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tm未満の領域における微分値の最大値が0.2以上である、
〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔5〕
前記熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tm以上、前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより5℃高い温度(Tm+5℃)未満の領域における熱機械分析微分値の最小値が、0.2以上である、
〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔6〕
膜幅方向の動摩擦係数が、0.4以下である、
〔1〕〜〔5〕いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔7〕
長手方向引張強度と膜幅方向引張強度が、ともに1500kg/cm2以上である、
〔1〕〜〔6〕いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔8〕
膜厚12μm換算透気度が、150秒/100cc以下である、
〔1〕〜〔7〕いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔9〕
膜厚が、5μm以上20μm以下である、
の〔1〕〜〔8〕いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
〔10〕
〔1〕〜〔9〕に記載のポリオレフィン微多孔膜からなる、蓄電デバイス用セパレータ。
〔11〕
〔10〕に記載の蓄電デバイス用セパレータを備える、蓄電デバイス。
本実施形態のPO微多孔膜は、PO微多孔膜の膜幅方向(TD)のTMA測定により得られる熱機械分析一次微分曲線において、ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)未満の領域(以下、「領域I」ともいう)における微分値の最大値が、0.1以下である。ここで、「熱機械分析一次微分曲線」とは、縮応力と温度からなる熱機械分析曲線(以下、「TMA曲線」ともいう)の一次微分した曲線である。
領域Iにおける微分値の最大値は、0.1以下であり、好ましくは0.075以下であり、より好ましくは0.05以下ある。また、領域Iにおける微分値の最大値の下限は、特に限定されないが、0以上である。
また、PO微多孔膜の融点Tm−10℃より低い温度以上、融点Tm未満の間の領域(以下、「領域II」ともいう。)におけるTMA一次微分曲線の微分値の最大値は、好ましくは0.15以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.26以上である。領域IIにおけるTMA一次微分曲線の微分値の最大値が上記範囲であることにより、PO微多孔膜が高温下に曝され、融点Tmに達した場合、PO微多孔膜の収縮力が瞬時に増加し、より速やかに閉孔がおこりシャットダウンする傾向にある。これにより高い耐熱安全性を担保することができる傾向にある。シャットダウン温度に達した際、瞬時にシャットダウンが起こることにより、部分的にイオン伝導経路が形成されてしまうことにより電極反応が部分的に活発になり、熱暴走の起点となってしまうことをより抑制できる傾向にある。なお、領域IIにおける微分値の最大値の上限は、特に限定されないが、0.8以下が好ましい。
さらに、PO微多孔膜の融点Tm以上、融点Tm+5℃未満の間の領域(以下、「領域III」ともいう。)におけるTMA一次微分曲線の微分値の最小値は、0.2以上であり、より好ましくは0.22以上であり、さらに好ましくは0.23以上である。領域IIIにおける微分値の最大値が上記範囲であることにより、PO微多孔膜が融点以上の高温下に曝され、シャットダウンが開始された際において、収縮応力が継続的に増加し、イオン電導経路の遮断がより確実なものになり、高温下での発火、爆発のような危険性がより低減される傾向にある。なお、領域IIIにおける微分値の最大値の上限は、特に限定されないが、0.8以下が好ましい。
本実施形態のPO微多孔膜の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂及び孔形成材料を含む樹脂組成物を溶融混練して押出す押出工程(a)と、前記工程(a)で得られた押出物をシート状に成形するシート成形工程(b)と、前記工程(b)で得られたシート状成形物を、少なくとも一回、少なくとも一軸方向に延伸する一次延伸工程(c)と、前記工程(c)で得られた一次延伸膜から孔形成材料を抽出する抽出工程(d)と、前記工程(d)で得られた一次延伸膜を、少なくとも一軸方向に延伸する二次延伸工程(e)と、前記工程(e)で得られた二次延伸膜を、所定の温度で熱固定する熱固定工程(f)と、を有する方法が挙げられる。
押出工程(a)は、ポリオレフィン樹脂及び孔形成材料を含む樹脂組成物を溶融混練して押出す工程である。なお、押出工程(a)においては、必要に応じて他の成分を混合してもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、無機材等が挙げられる。
上記工程(a)の押出工程における溶融混練に用いられるポリオレフィン樹脂(以下、「PO」ともいう。)としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン等のポリオレフィンの単独重合体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及びノルボルネンよりなる群から選ばれる少なくとも2つのモノマーを重合して得られる共重合体等が挙げられる。上記単独重合体としては、エチレン又はプロピレンの単独重合体が好ましい。
孔形成材料とは、可塑剤、及び必要に応じて配合する無機材のことを指し、後の(d)抽出工程で孔形成材料を除去した際に微多孔膜の孔となる部分に相当する材料である。
工程(a)において、POを含む樹脂組成物には、任意の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂以外の重合体;フェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の総添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
シート成形工程(b)は、押出工程(a)で得られた押出物をシート状に成形する工程である。シート成形工程(b)により得られるシート状成形物は、単層であってもよく、積層であってもよい。シート成形の方法としては、特に限定されないが、例えば、押出物を圧縮冷却により固化させる方法が挙げられる。圧縮冷却方法としては、特に限定されないが、例えば、冷風、冷却水等の冷却媒体に押出物を直接接触させる方法;冷媒で冷却した金属ロール、プレス機等に押出物を接触させる方法等が挙げられる。このなかでも、冷媒で冷却した金属ロール、プレス機等に押出物を接触させる方法が、膜厚制御が容易な点で好ましい。この場合の冷却温度は、押出物が固化する温度であれば特に限定されないが、例えば、20〜90℃が好ましい。
一次延伸工程(c)は、シート成形工程(b)で得られたシート状成形物を、少なくとも一回、少なくとも一軸方向に延伸する工程である。この延伸工程(次の抽出工程(d)より前に行う延伸工程)を「一次延伸」と呼ぶこととし、一次延伸によって得られた膜を「一次延伸膜」と呼ぶこととする。一次延伸では、シート状成形物を、少なくとも一方向へ延伸することができ、MD及びTDの両方向で行ってもよいし、MD又はTDの片方だけ行ってもよい。
抽出工程(d)は、一次延伸工程(c)で得られた一次延伸膜から孔形成材料を抽出して、多孔膜を得る工程である。孔形成材を除去する方法としては、例えば、抽出溶剤に一次延伸膜を浸漬して孔形成材を抽出し、充分に乾燥させる方法等が挙げられる。孔形成材を抽出する方法は、バッチ式及び連続式のいずれであってもよい。また、多孔膜中の孔形成材、特に可塑剤の残存量は、多孔膜全体の質量に対して1質量%未満にすることが好ましい。
二次延伸工程(e)は、抽出工程(d)で得られた一次延伸膜を、少なくとも一軸方向に延伸する工程である。この延伸工程(抽出工程(d)の後に行う延伸工程)を「二次延伸」と呼ぶこととし、二次延伸によって得られた膜を「二次延伸膜」と呼ぶこととする。二次延伸では、工程(d)の抽出工程を経て得られた多孔膜を、少なくとも一方向へ延伸することができ、MD及びTDの両方向で行ってもよいし、MD又はTDの片方だけ行ってもよい。
歪速度 (%/秒)=(延伸倍率−1)×100÷延伸時間(秒)
延伸時間(秒) =延伸距離(m)÷延伸速度(m/秒)
また、二次延伸することにより、孔の拡大が起こり、気孔率が増加する。二次延伸膜の気孔率は50%以上が好ましく、60%以上がさらに好ましい。二次延伸膜の気孔率が50%以上であることは次工程である工程(f)において熱固定温度を高く設定でき、領域IにおけるTMA一次微分曲線の微分値を減少できる傾向にある。また二次延伸膜の気孔率は強度の観点から90%以下が好ましい。
熱固定工程(f)は、二次延伸工程(e)で得られた二次延伸膜を、所定の温度で熱固定する工程である。この際の熱処理の方法としては、特に限定されないが、テンターやロール延伸機を利用して、延伸及び緩和操作を行う熱固定方法が挙げられる。
本実施形態のPO微多孔膜の製造方法は、上記工程(a)〜(f)以外の他の工程を含むことができる。他の工程としては、特に限定されないが、例えば、上記熱固定の工程に加え、積層体であるPO微多孔膜を得るための工程として、単層体であるPO微多孔膜を複数枚重ね合わせる積層工程が挙げられる。また、本実施形態のPO微多孔膜の製造方法は、PO微多孔膜の表面に対して、電子線照射、プラズマ照射、界面活性剤の塗布、化学的改質等の表面処理を施す表面処理工程を含んでもよい。更には、上記の無機材を、PO微多孔膜の片面又は両面に塗工して無機材層を備えたPO微多孔膜を得てもよい。
上記ポリオレフィン微多孔膜は、蓄電デバイス用セパレータ、特にリチウムイオン電池用セパレータに好適に用いることができる。本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、上記ポリオレフィン微多孔膜からなる。また、本実施形態の蓄電デバイスは、上記ポリオレフィン微多孔膜を備える。
ポリオレフィン微多孔膜のTMA測定は、島津製作所TMA50(商標)を用いて行った。まず、TD方向に約15mm、MD方向に幅3mmに切り出したサンプル(ポリオレフィン微多孔膜)を、チャック間距離(TD方向)が10mmとなるようにチャックに固定し、専用プローブにセットした。初期荷重を0.0049N(0.5gf)とし、定長モードにて30℃より10℃/minの速度にてプローブを250℃まで昇温させた。250℃まで到達する間、1秒間隔で温度と応力をサンプリングした。得られたデータに基づいて、温度と収縮応力の関係示すTMA曲線を作成した。なお、専用プローブとしては、引張型を用いた。
TMA測定により得られた、温度と応力のデータからある時間nにおける応力の微分値Inを求めた。Inは下記の式で表され、Tn、Fnはそれぞれn秒の時の温度、応力を示し、Tn+1、Fn+1はそれぞれn+1秒の温度と応力を示す。
In=Fn+1−Fn/Tn+1−Tn
測定範囲における全てのTnを横軸にとり、Inを縦軸にとることでTMA測定における温度と応力の微分値の関係を示す曲線を得た。さらにInを5点区間の移動平均近似によりスムージングを行い、TMA一次微分曲線とした。
DSCは、島津製作所社製DSC60を使用して測定した。まず、セパレータを直径5mmの円形に打ち抜き、数枚重ね合わせて3mgとしたものを測定サンプルとして用いた。このサンプルを、直径5mmのアルミ製オープンサンプルパンに敷き、クランピングカバーを乗せ、サンプルシーラーによりアルミパン内に固定した。窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で30℃から200℃まで昇温し、200℃で5分ホールドした後、降温速度10℃/分で200℃から30℃まで降温した。続いて、30℃において5分間ホールドした後、再度、昇温速度10℃/分で30℃から200℃まで昇温した。この時の融解吸熱曲線において、極大となる温度をPO微多孔膜の融点とした。極大値が複数ある場合は、一番大きな融解吸熱曲線の極大値となる温度をPO微多孔膜の融点として採用した。
引張試験機(島津オートグラフAG−A型)を用いて引張試験を行い、サンプル破断時の強度を、試験前のサンプル断面積で除し、引張破断強度(kg/cm2)とした。測定条件は、温度;23±2℃、サンプル形状;幅10mm×長さ100mm、チャック間距離;50mm、引張速度;200mm/minである。引張伸度(%)は、破断に至るまでの伸び量(mm)をチャック間距離(50mm)で除して、100を乗じることにより求めた。
東洋精機製の微小測厚器、KBM(商標)を用いて、室温(23±2℃)において、PO微多孔膜の膜厚を測定した。
PO微多孔膜から10cm×10cm角を切り取ってサンプルを得、室温23±2℃におけるその体積(cm3)と質量(g)とを測定した。それらの値と膜密度(g/cm3)とから、PO微多孔膜の気孔率を次式により算出した。
気孔率(%)=(体積−質量/膜密度)/体積×100
なお、膜密度は0.95g/cm3の一定値と仮定して計算した。
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精器(株)製、G−B2(商標))を使用して、室温23±2℃におけるPO微多孔膜の透気抵抗度(以下、透気度とも言う)を測定した。「透気度」とは、100ccの空気が、6.452cm2の試料面積を通過するのに要する時間(秒)を指す。また、膜厚12μm換算透気度は以下の式で求められる。
膜厚12μm換算透気度(秒/100cc)=透気度(秒/100cc)/膜厚(μm)*12μm
カトーテック株式会社製、KES−SE摩擦試験機を用い、荷重50g、接触子面積10×10=100mm2(0.5mmφの硬質ステンレス線SUS304製ピアノ線を互いに隙間なく、かつ、重ならないように20本巻きつけたもの)、接触子送りスピード1mm/sec、張力6kPa、温度23℃、湿度50%の条件にて幅50mm×測定方向200mmのサンプルサイズをついてTDに3回測定し、その平均を求めた。なお、当該動摩擦係数の値は電池作成時に負極に接する面の値を用いた。
出力特性、サイクル特性、高温サイクル特性、ピン抜け性、衝突試験、オーブン試験は簡易な組電池を作成して行った。以下に組電池の作成方法と各特性の評価方法を示す。
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2、導電材としてグラファイト及びアセチレンブラックを、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びN‐メチルピロリドン(NMP)に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。得られた成形体を57.0mm幅にスリットして正極を得た。
負極活物質として人造グラファイト、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスとを精製水に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる銅箔にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。得られた成形体を58.5mm幅にスリットして負極を得た。
エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート:=1:1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解させて、非水電解液を調製した。
正極、後述のPO微多孔膜及び負極を積層した後、常法により捲回電極体を作製した。なお、PO微多孔膜の厚みによって巻回数を調整した。得られた巻回電極体の最外周端部を絶縁テープの貼付により固定した。負極リードを電池缶に、正極リードを安全弁にそれぞれ溶接して、巻回電極体を電池缶の内部に挿入した。その後、非水電解液を電池缶内に5g注入し、ガスケットを介して蓋を電池缶にかしめることにより、外径18mm、高さ65mmの円筒型二次電池を得た。この円筒型二次電池を25℃雰囲気下、0.2C(定格電気容量の1時間率(1C)の0.2倍の電流)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行った。続いて0.2Cの電流値で電池電圧3.0Vまで放電し、そのときの電池容量をXmAhとした。
上記のようにして組み立てた電池を用いて、(i)電流量0.5C、上限電圧4.2V
、合計8時間の定電流定電圧充電、(ii)10分間の休止、(iii)電流量0.5C、終止電圧2.5Vの定電流放電、(iv)10分間の休止、のサイクル条件で都合50回の充放電を行った。上記充放電処理は全て25℃の雰囲気下にてそれぞれ実施した。その後、上記電池容量XmAhに対する上記50サイクル目の放電容量の比を100倍することで、容量維持率(%)を求めた。なお、下記基準に即して評価した。
◎:容量維持率(%)が70%以上。
○:容量維持率(%)が50%以上70%未満。
△:容量維持率(%)が30%以上30%未満。
×:容量維持率(%)が30%未満。
上記のようにして組み立てた電池を用いて、(i)電流量0.5C、上限電圧4.2V
、合計8時間の定電流定電圧充電、(ii)10分間の休止、(iii)電流量0.5C、終止電圧2.5Vの定電流放電、(iv)10分間の休止、のサイクル条件で都合50回の充放電を行った。上記充放電処理は全て90℃の雰囲気下にてそれぞれ実施した。その後、上記電池容量XmAhに対する上記50サイクル目の放電容量の比を100倍することで、容量維持率(%)を求めた。なお、下記基準に即して評価した。
◎:容量維持率(%)が70%以上。
○:容量維持率(%)が50%以上70%未満。
△:容量維持率(%)が30%以上30%未満。
×:容量維持率(%)が30%未満。
上記のようにして組み立てた電池を25℃の恒温状態で放電終止電圧3Vまでの1C放電容量と5C放電容量を測定し、5C容量/1C容量を出力特性値とした。なお、下記基準に即して評価した。
◎:出力特性値が0.85以上。
○:出力特性値が0.75以上0.85未満。
△:出力特性値が0.65以上0.75未満。
×:出力特性値が0.5未満。
上記のようにして組み立てた電池を用いて、充電後の電池を室温から150℃まで5℃/分で昇温し、150℃で所定の時間放置し、発火状況を確認した。なお、下記基準に即して評価した。
◎:放置時間1時間以上でも発火しなかったもの
○:放置時間30分〜1時間で発火したもの
△:放置時間10分〜30分で発火したもの
×:放置時間10分未満で発火したもの
上記のようにして組み立てた電池を用いて、直径15.8mmφのSUS棒を電池の長さ方向に垂直に配備させた後、高さ61cmの位置から、重さ9.1kgの重りを自由落下させて衝突させ、衝突後の電池の温度上昇や、発火状況の確認を5セルで実施した。なお、下記基準に即して評価した。
◎:5セル全てにおいて、表面温度上昇が30℃以下
○:1〜2セルにおいて、表面温度上昇が30℃超過80℃以下であり、他のセルの表面温度上昇が30℃以下
△:3〜5セルにおいて、表面温度上昇が30℃超過80℃以下であり、他のセルの表面温度上昇が30℃以下
×:1〜5セルにおいて、表面温度上昇が80℃超過、もしくはセルが発火。
上記のようにして作製した捲回電極体より捲回軸であるピンを手でひっぱり、捲回電極体より抜き終わった際の捲回姿からピン抜け特性(ピンに引っ張られ捲き姿が2mm以上ずれること)を確認した。捲回電極体100個を確認し、ピンに引っ張られ捲き姿が2mm以上ずれた捲回電極体の個数に基づいて、下記評価基準によりピン抜け性を評価した。
◎:ピンに引っ張られ捲き姿が2mm以上ずれた捲回電極体の個数が1個
○:ピンに引っ張られ捲き姿が2mm以上ずれた捲回電極体の個数が2〜4個
△:ピンに引っ張られ捲き姿が2mm以上ずれた捲回電極体の個数が5〜9個
×:ピンに引っ張られ捲き姿が2mm以上ずれた捲回電極体の個数が10個以上
Mvが700,000であるホモポリマーのポリエチレン(融点:135.5℃)47.5質量部と、Mvが300,000であるホモポリマーのポリエチレン(融点:135.5℃)47.5質量部と、Mvが400,000であるポリプロピレン5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたPO混合物99質量部に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量%、ポリマー濃度(以下、「PC」と略記することがある。)が35質量%となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。次いで、これらを二軸押出機内で溶融混練した。
一次延伸倍率、一次延伸温度、二次延伸倍率、二次延伸温度、緩和温度、緩和率、それぞれ表1に示すように設定した以外は実施例1と同様にしてPO微多孔膜を得た。なお、表中に延伸倍率を記載していない場合はMD一軸ロール延伸機及びTD一軸テンターに通膜していない。得られたPO微多孔膜の各種特性を上記方法により評価した。結果を表2に示す。また、実施例2における熱機械分析一次微分曲線を図1に示す。
領域I :熱機械分析一次微分曲線におけるTm−10℃未満の範囲
領域II :熱機械分析一次微分曲線におけるTm−10℃以上、Tm未満の範囲
領域III:熱機械分析一次微分曲線におけるTm以上、Tm+5℃以下の範囲
Claims (11)
- ポリオレフィン微多孔膜の膜幅方向の熱機械分析測定より得られる、熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)未満の領域における微分値の最大値が、0.1以下である、
ポリオレフィン微多孔膜。 - 前記熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)以上、前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tm未満の領域における微分値の最大値が、0.15以上である、
請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜。 - 前記熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)未満の前記領域における微分値の最大値が、0.05以下である、
請求項1または請求項2に記載のポリオレフィン微多孔膜。 - 前記熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより10℃低い温度(Tm−10℃)以上、前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tm未満の領域における微分値の最大値が0.2以上である、
請求項1〜3いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。 - 前記熱機械分析一次微分曲線において、
前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tm以上、前記ポリオレフィン微多孔膜の融点Tmより5℃高い温度(Tm+5℃)未満の領域における熱機械分析微分値の最小値が、0.2以上である、
請求項1〜4いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。 - 膜幅方向の動摩擦係数が、0.4以下である、
請求項1〜5いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。 - 長手方向引張強度と膜幅方向引張強度が、ともに1500kg/cm2以上である、
請求項1〜6いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。 - 膜厚12μm換算透気度が、150秒/100cc以下である、
請求項1〜7いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。 - 膜厚が、5μm以上20μm以下である、
の請求項1〜8いずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。 - 請求項1〜9に記載のポリオレフィン微多孔膜からなる、蓄電デバイス用セパレータ。
- 請求項10に記載の蓄電デバイス用セパレータを備える、蓄電デバイス。
Priority Applications (1)
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